スピード282014年10月20日 00:28

スピード28


最近、リベリアの数字がおかしい。

(エボラ感染や疑い 9000人に迫る
10月16日 6時23分)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141016/k10015436461000.html

「WHOは、感染者数、死者数ともにもっとも多いリベリアでは、感染を確認するための検査や、感染者数を集計する人手すら足りなくなっており、実際の感染者の数はさらに多いとの認識を示しました。」

(WHO: Ebola Response Roadmap Situation Report
15 October 2014:たぶん、元ネタ)
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/136508/1/roadmapsitrep15Oct2014.pdf

「Data for epidemiological week 41 are incomplete, with missing data for 12 October from Liberia. This reflects the challenging nature of data gathering in countries with widespread and intense EVD transmission. These challenges remain particularly acute in Liberia, where there continues to be a mismatch between the relatively low numbers of new cases reported through official clinical surveillance systems on one hand, and reports from laboratory staff and first responders of large numbers of new cases on the other. Efforts are ongoing to reconcile different sources of data, and to rapidly scale-up capacity for epidemiological data gathering throughout each country with widespread and intense transmission.」

たぶんこの辺を指しているのだろう。

前回に続き、今回のネタも怪しい。

(WHO: EBOLA RESPONSE ROADMAP UPDATE
17 October 2014)
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/136508/1/roadmapsitrep15Oct2014.pdf

「国名:感染者:死者
ギニア:1519:862
リベリア:4262:2484
シエラレオネ:3410:1200
ナイジェリア:20:8
セネガル:1:0
米国:3:1
スペイン:1:0
合計:9216:4555」

で、ウィキは全く同じ数字を載せている。

「国名:感染者:死者
ギニア:1,519:862
リベリア:4,262:2,484
シエラレオネ:3,410:1,200
ナイジェリア:20:8
セネガル:1:0
米国:3:1
スペイン:1:0
合計:9216:4555」

リベリアの14日現在の数字が出れば、また変わるんだろうが。

で、例によって、最新の数字。

「国名:感染者:死者:集計日
ギニア:1519:862:10月13日
リベリア:4262:2484:10月12日
シエラレオネ:3562:1227:10月18日
ナイジェリア:20:8:10月17日
セネガル:1:0:10月17日
米国:3:1:10月17日
スペイン:1:0:10月17日
合計:9368:4582」

(EBOLA OUTBREAK UPDATES---October 18, 2014)
http://ogi.gov.sl/content/press-release-42

10月17日としているのは、WHOの発表日である。

感染者が1万人の大台に乗るのがいつなのか。

すべてはリベリアの集計に掛かっているのだが、先に行けば行く程、集計された数字の確度が下がっていくような気がする・・・。

マジヤバだな、きっと。

WHOは、初期の対応が失敗であったことを認めているようだ。

(WHO内部文書、エボラ初期対応失敗認める AP報道)
http://www.asahi.com/articles/ASGBM1QH5GBMUHBI001.html?iref=comtop_pickup_02

「「無能な職員」「官僚主義」「信頼出来る情報の不足」などを挙げ、「ほぼすべての関係者」が爆発的大流行の「兆候を見逃した」としている。」

そうなんだろうか?。

ギニアで最初の報告が行われたとき、既に数十人に感染が広がっていたこと、感染地域が主要3か国の国境が交わる地域で、日常的に人的交流が行われていたことを考えると、この時点で100人を超える感染者がいたかもしれない。

今回のエボラの流行は、予見不可能な状態から始まったのだ。

浮沈子は、逆に、今こそ対応を誤るべきではないと考えている。

今は、ある意味で、今回のエボラの発生初期と同じ状況なのだ。

リベリアが正確な統計を出せず、感染の実態が闇に包まれてしまっている。

国際社会は、正に官僚主義に陥って機能不全を起こしているし、世界の公衆衛生担当職員が皆優秀だなどとは誰も期待していまい・・・。

「ほぼすべての関係者」が爆発的大流行の「兆候を見逃し」ているのは、今この瞬間ではないのか。

西アフリカ地域にほぼ限定されたエピデミックであり、飛び火感染先での大流行にも繋がっていない。

致死率は、かなり高いが、空気感染に変異したというエビデンスはない。

今後、世界的な大流行が発生するとすれば、今の状況を正しく認識する能力を欠いていたといわれても仕方ない。

スペインでは三次感染の疑いが持たれているというし、医療関係者の訓練の質がおそまつだとうことはバレてしまっている。

バスや電車で隣に座った方が、感染者でないと証明することは誰にも出来ない。

CDCは、問い合わせを受けながら、発熱が基準より低かったからって、航空機への搭乗を認めちゃったっていうじゃないの!。

それに比べれば、セネガルの対応は見事である。

10月20日になれば(日本時間では、今、なりましたが)、目出度く潜伏期間の2倍の期間で、新たな発症がないということになり、晴れて終息宣言を出すことになる。

しかし、今後、同じような未承認の越境がないという保証はない。

セネガルは、第1波を払いのけたに過ぎない。

喜んでる場合じゃないのだ。

次々と二次感染を出している米国や、三次感染の疑いを抱えるスペインが今後どうなるかは注目だな。

日本も人事ではない。

この瞬間も、潜伏期間中の感染者が、国際便から降り立って、町のホテルに公共交通機関を乗り継いで向かっているかもしれない。

その可能性を、誰も否定できないし、彼(彼女)が、熱発して医療機関を受診した時に、抗生物質を処方されて追い返されないという保証もないのだ。

このリスクは、仮定の話ではなく、現実のリスクである。

CDCは、まあ、いろいろチョンボをやらかして、ブログネタを提供してくれてはいるが、少なくとも、たった一つ、真に正しい方針を示している。

主要3か国における終息なくしては、エボラの危機を避けることはできないということだ。

国境を閉ざして嵐が過ぎるのを待つことは許されない。

嵐は巨大になり、閉ざしたはずの国境をぶち破って荒れ狂いだすのだ。

きっと、数か月後には、今の時点を振り返って、同じような記事が書かれることになる。

「「無能な職員」「官僚主義」「信頼出来る情報の不足」などを挙げ、「ほぼすべての関係者」が爆発的大流行の「兆候を見逃した」としている。」

致死率70パーセントの感染症がパンデミックになれば、それこそ一大事である。

今なら、まだ間に合うかもしれない。

しかし、たぶん、おそらく、きっと、もう、既に遅すぎるかも知れない。

我々が対応できる時期はとっくに過ぎてしまって、全世界が過酷な自然終息を待つしかない段階に達しているかもしれないのだ。

それは、いつ検証されるのだろうか。

「まずはエボラ出血熱の封じ込めに専念し、過去の対応の調査は終息後に行う」

いいだろう。

だが、リベリアのように集計を行う態勢も危うい状況になって、過去の対応の調査どころではなくなっているかもしれない。

人類の30パーセントは生き残る計算だから、彼らに頑張ってもらうしかない。

そんな、悪夢のような結果にならないように、なんとか今のうちに対応してもらいたいもんだな。

ロボットカー2014年10月20日 20:46

ロボットカー
ロボットカー


必ずしも無人運転でなくてもいい。

人間に代わって、路面の状況を事前に把握して、サスペンションのレートを変えたり、走行スピードによってステアリングホイールのアシストを変化させたりすることは、従来から行われてきた。

F1では、古くからサーキットの情報をデータとして事前に入力することにより、最適な走行を得ることが行われてきた。

まあ、レギュレーションで禁止されたりして、最近はどうなっているか知らないが。

ロールスロイスのレイスには、GPSから取得した道路のデータを入力して、オートマチックトランスミッションのギア選択をさせる仕掛けがある。

最近流行の、車載カメラの画像を解析して前車追従走行を行ったりということもある。

既に、要素技術におけるロボットカーは実用レベルに達していて、コストや法令の問題を解決すれば、限られた条件の下なら直ぐにでも実現可能な状況にある。

そんな状況の中で、無人ロボットカーがサーキットを走り回る映像が出ている。

(アウディ RS7 ロボットカー、無人走行でルマンレーサーを追い回す?![動画])
http://response.jp/article/2014/10/19/235400.html

レーシングスピードではなさそうだが、240kmのスピードだという。

「無人走行で、サーキット最高240km/hもの速度で周回するための中核技術が、特別に修正されたGPS信号の利用と、車両に装着された3Dカメラが捉えた映像をリアルタイムで車載データと照合すること。これにより、サーキットで正確な走行ラインを自動トレースすることを可能にした。」

衛星からの電波を車両搭載画像で修正して、数センチ単位の精度で位置をトレースして、リアルタイムにコントロールする・・・。

一昔前には夢のような話だ。

21世紀を感じるシーンだな。

無人の車両(?)といえば、パトレイバーの劇場版にも、そんなシーンがあったな。

(パトレイバー op:動画出ます)
https://www.youtube.com/watch?v=sOrbHOueDn4

暴走した軍用レイバーの搭乗席を開けてみたら無人だったという、制御系を手がけている方が見たら、ゾクッとくるシーンが出てくる。

意図的に仕込まれたバグが、ある条件で起動して発動するという、地雷のような、時限爆弾のような話である。

浮沈子は、アウディの動画のラストシーンを観て、パトレイバーのこのシーンを思い出した。

似たようなSFチックな話は他にもある。

ステルス(映画)の無人機や、戦闘妖精雪風などにも、この手の話は登場する。

無数のセンサーと、高速な情報処理、最適なアルゴリズムで、人間には到底許容できない挙動を実現して、絶対優位の戦闘力を発揮するのだ。

レースシーンで自動運転車(ロボットカー)が登場するのは、時間の問題だろう。

限定された走行場所で、限られた台数のクルマが動き回る。

車両コードを読み込んで、そのクルマが特定のシーンでどんな挙動を示すかを、リアルタイムに解析して、次のコーナーでの攻め方を決定する。

まあ、お互いにやってるわけだから、そう美味くいくとは限らない。

そうやって、仮想的に仕組まれた制御系が、タイヤやサスペンションなどのリアルなデバイスを介して、実在の世界でのバトルを演出する。

それを観戦していて面白いかどうかはともかく、人間のレーサー相手にどこまで立ち向かえるかは興味があるところだ。

(ホッケンハイムリンク)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%83%E3%82%B1%E3%83%B3%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AF

「コース長 4.574 km (2.842 マイル)
レコードタイム 1:13.780」

アベレージは時速223km余り。

最高速度はともかく、ドイツグランプリが行われるコースで走らせたというところが、アウディの商売上手なところだな。

相手が、ルマンカーのeトロンというのも、なかなかの宣伝上手だ。

無人車とか、無人機とは何なんだろう?。

人間に忠実で、優れた能力を持つ異形の存在。

それは、ある時は人間に歯向かったりする。

ロボット、家畜、奴隷(?)、人形・・・。

天使か、はたまた悪魔のような存在か。

アウディでなければ、こんなコマーシャルは作らないかもしれない。

彼らの文化の中には、どこか機械に対する無批判な信頼を感じるのだ。

比類なきテクニックと、闘争心でeトロンを追い回したクルマのサイドウインドウが開け放たれ、無人の運転席が現われる。

まず、BMWは絶対に作らない宣伝だな。

彼らの文化は、ドライバー中心の文化だ。

ヘボなドライバーは、ヘボな運転をするのが当然だというのがBMWだ。

対して、ベンツ(ダイムラー)は、ドライバーを信頼していない。

ヘボな運転をしても、クルマがそれなりに走らせてしまうのがベンツの文化だ。

しかし、クルマを運転するのは人間であるというところに、辛うじて踏み留まっている。

そこにいくと、アウディは、あっさりと人間を切り捨ててしまう。

何の躊躇いもなく、バッサリとやってくれるじゃないの!。

彼らにとっては、人間などという不合理極まりないものは、クルマの要素としては受け入れ難いに違いない。

このコマーシャルを作るのに、社内で揉めるなんてことは、きっと一度もなかったに違いない。

それどころか、誇らしげに、無人の運転席を見せてくれるわけだ。

「鳴かぬなら、殺してしまえ、ホトトギス」

まあ、どうでもいいんですが。

浮沈子は、そこはかとない不気味さを感じる。

それを良しとする感性に付いていけない。

搭乗者が居て、運転に関与していなければ、まだ許せるような気がする(って、何の意味があるのか・・・)。

とにかく、無人車はダメだ。

受け入れられない。

しかし、倉庫の中で動く自動搬送システムや、病院などの配送システムは許せる(って、どこが違うんだか・・・)。

自動車の形をしたものが、ロボットになって動き回るというのは、もう、悪夢以外の何物でもない。

人を乗せて、決まった道を走る路線バスのようなものならば、百歩譲ってもいい。

しかし、サーキットでルマンの優勝ドライバーが操るeトロンを追い回してはいけないのだ。

ちょっと興奮した。

どこのメーカーが、最初に完全自動運転車を市場に投入するか、浮沈子は注目している。

日産は、やると明言したし、トヨタも遅かれ早かれ突入することは目に見えている。

絶対やらないのはポルシェだな。

しかし、ベンツやBMWは、いやでもやるハメになる。

アウディは、嬉々として、可能であれば、真っ先に投入するかもしれない。

そういう会社だと、浮沈子は見ている。

今回の件で、その感を一層強くしたことは確かだ。

(アウディ RS7 自動運転車、サーキット高速デモ走行に成功:追加)
http://response.jp/article/2014/10/21/235495.html

(アウディ RS7 がサーキットで高速無人走行に成功[動画]:追加)
http://response.jp/article/2014/10/25/235857.html