スピード292014年10月23日 14:34

スピード29
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立て続けにウィキの更新があったので、今回は2回分の更新を纏めて扱う。

(Timeline of cases and deaths)
http://en.wikipedia.org/wiki/Ebola_virus_epidemic_in_West_Africa#Timeline_of_cases_and_deaths

「17 Oct 2014:
Guinea:1,501:886
Liberia:4,607:2,689
Sierra Leone:3,560:1,227
Nigeria:20:8
Senegal:1:0
United States:3:1
Spain:1:0
合計:9,693:4,811」

「19 Oct 2014:
Guinea:1,540:904
Liberia:4,665:2,705
Sierra Leone:3,706:1,259
Nigeria:20:8
Senegal:1:0
United States:3:1
Spain:1:0
合計:9,936:4,877」

(EBOLA RESPONSE ROADMAP
SITUATION REPORT
22 OCTOBER 2014)
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/137091/1/roadmapsitrep22Oct2014_eng.pdf?ua=1

10月19日の数字は、WHOの発表のとおりである。

リベリアの数字は、本当に正しいのかあ?。

まあいい。

シエラレオネの死者数だって、異常値を計上し続けているのだから、この集計が意味するところを過信してはならないんだろうが、これしかないので付き合うしかない。

例によって、最新の数字を調べる。

「国名:感染者:死者:集計日
Guinea:1,540:904:10月19日
Liberia:4744:2737:10月20日
Sierra Leone:3843:1274
Nigeria:20:8:10月19日
Senegal:1:0:10月19日
United States:3:1:10月19日
Spain:1:0:10月19日
合計:10152:4924」

(--Guinea
Last Updated: October 22, 2014 22:38 GMT)
https://www.internationalsos.com/ebola/index.cfm?content_id=395&language_id=ENG

(Liberia Ebola SitRep no. 156
Ministry of Health and Social Welfare
Oct. 20th 2014:訂正)
http://www.mohsw.gov.lr/documents/SITRep%20158%20Oct%2020th,%202014.pdf

(EBOLA OUTBREAK UPDATES---October 22, 2014)
http://ogi.gov.sl/content/press-release-46

リベリアを20日、シエラレオネを22日に更新しただけだが、感染者はとうとう1万人を超えた。

やれやれ、実際の感染者数は数倍だというが、ちょっとペースが下がっている。

原因は、リベリアの感染者数が、首都圏を除いて軒並み下がっていることによる。

もちろん、これは医療機関の不足による集計漏れの可能性が高いが、それにしても今月の増加は少ない。

<リベリア:感染者数>
日付:感染者:前回からの増加
8月1日:468:ー
8月31日:1,698:1230
10月1日:3,834:2136
10月18日:4,665:831(1431)

( )内は、31日換算したときの増加数である。

リベリアの増加は、集計上は激減しているのだ。

当局が、この集計に騙されて、手を抜かないように祈るしかないな。

シエラレオネは、掛け値なしにヤバイ。

<シエラレオネ:感染者数>
日付:感染者:前回からの増加
8月1日:646:ー
8月31日:1,216:570
10月1日:2,437:1221
10月22日:3843:1406(1981)

増加数を見ると、リベリアの1.4倍近い。

このぺースが続けば、11月中にはリベリアを逆転してトップの座を奪還するに違いない・・・。

あまり褒められた話ではないが。

リベリアは、マルジビ郡の数字が改定されたことと、モンセーラド郡を除く全ての地域での感染速度が落ちたことによって、増加数が激減した(画像参照)。

指数関数的な増加を見せていた感染者は、もちろん、数が減ることはないが、明らかに新規患者が減っている。

首都圏は相変わらず手が付けられない状況だが、米国が意地でも何とかするだろう。

英国や中国が介入しているシエラレオネは、最早手頃な対象ではなくなった。

首都フリータウンを擁するウエスタンエリアは、モンセーラド郡に迫る勢いで患者が増加している。

(おそれ2:画像のグラフ参照)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/10/21/7467832

まあ、こうしてみると、リベリアの首都モンロビアがあるモンセーラド郡の増加が異常であることが改めて分かるんだが。

人口密度と増加の傾向には、おそらくかなりな相関があるのだろうが、ギニアの首都であるコナクリは増加の速度が遅い。

といっても、8月27日に100を超えてから、10月17日に200を超えるまで、2か月足らずで倍増したことになる。

初発地からは離れていて、国内で、比較的早期に飛び火感染している。

4月10日には、20人の感染者が報告されている。

100人になるのに4か月以上掛かっていることを考えると、増加のスピードは緩やかに加速している。

この傾向が続くようだとヤバイな。

200人から400人には1か月で到達し、800人には2週間という話になりかねない。

しかし、今までも、何度か増加の兆しを見せながら、コナクリはなんとか凌いできた。

比較的、医療機関が整っているということもあるのだろう。

しかし、それにしては、継続的な増加が続いているのが気になる。

コナクリも100万を越える人口密集地であり、ひとたび感染爆発が起これば、モンロビアやフリータウンのような事態になるであろうことは容易に想像できる。

これらの、集計上の数字で見る傾向は、まあ、いってみればある程度あてずっぽうに過ぎない。

集計自体の信頼性をWHO(CDC)に疑われているのだから。

本当に問題なのは、今現在は、現地の人々にエボラに対する知識がいきわたっていないことにより、感染が断ち切れないということだろう。

無論、医療機関の不足がベースにあることはいうまでもないが、在宅での感染を如何に効果的に遮断するかが課題だ。

医療機関が展開するまでの間、何とかして持ちこたえなければならない。

だが、しかし、やっぱ、たぶん、いや、きっと、無理なんだろうな。

その間も、感染は容赦なく拡大し続けて、投下した医療資源が歯止めにならない規模に拡大する。

もちろん、リベリアの一部地域で感染の勢いが減ってきたように見えるのは、対策の効果が現われてきたということなのかも知れない。

単なる集計漏れにしては、たとえばロファ郡などは、綺麗な終息曲線を描いている。

他は、ちょろちょろと増えていたりして、落ち着きがないんですが。

首都圏は、これはもう、どうしようもない。

海外への飛び火は、マスコミ的には派手に取り上げられるが、大したことはない。

西アフリカ地域に比べれば、ほとんどの国々は経済的に豊かだし、教育も行き届いている。

自分達でなんとかできるわけだ。

いや、何とかしてもらわなければならない。

セネガルやナイジェリアでさえ出来たんだから、頑張ってもらいましょう!。

別に高度な医療がなくても、感染対策がきちんと出来ていれば、治療の成果はともかく、二次感染は防ぐことが出来る。

エボラのスピードも、その状況では押さえ込まれて失速するしかない。

インドであれ、中国であれ、総力を挙げて押さえ込んでもらうしかない。

そのうえで、西アフリカ地域の火消しにも尽力しなければならない。

ワクチンが開発され、投入できるようになって、実際に効果が表れるまでには時間が掛かる。

生産のスピードを加速しても、来年の春以降にならなければ、主要3か国への展開は出来ないだろう。

年明けの段階では、医療関係者に投与するのがせいぜいだ。

それまでの間で、ウイルスが変異して、ワクチンの効果がなくなってしまわないことを祈るしかない。

ワクチンを投与しても、一定の割合で感染は起こる。

それに対しては、現在の隔離や対症療法を続けるしかない。

治療薬の話もあるが、投与量の問題もあり、治療法が確立するまでには一定の時間が掛かるだろう。

多くの感染者が回復して、一定の免疫を獲得すれば、彼らがバリアとなって、感染を封じ込める効果もある。

いずれにしても、少なくとも年内は徒手空拳で立ち向かわなければならない。

物量作戦が得意なはずの米国は、何をもたもたしているのだろうか?。