🚀アルテミス:熱シールド ― 2024年05月10日 05:51
アルテミス:熱シールド
(NASA、オリオン熱シールド問題の「独立したレビュー」を確認)
https://arstechnica.com/space/2024/05/nasa-confirms-independent-review-of-orion-heat-shield-issue/
「アルテミス II の熱シールドは、フロリダ州の NASA ケネディ宇宙センターで飛行前試験中のオリオン宇宙船にすでに取り付けられています。」
「今、熱シールドを改造するには、オリオン乗組員モジュールを欧州サービスモジュールから分解する必要があり、おそらくアルテミスIIの打ち上げは現在の目標スケジュールである2025年9月より1年以上遅れる」
この記事は、アルテミス2の実施時期に深くかかわっている。
選択肢は3つ。
①再突入中に宇宙船の軌道を変更する
②熱シールド自体を変更する
③何もせずにアルテミス II ミッションをそのまま飛行する
NASAは、②は避けたいようで、①か③で強行したいと考えているようだ。
が、どうも、③という選択肢は取り得ないのではないか。
「2022年12月、25日間の無人飛行アルテミス1号ミッション終了時の大気圏再突入中に、オリオンの遮熱板から焦げた物質の塊がひび割れ、欠けた。」
「飛行後にカプセルを検査した技術者らは、再突入の応力によって破片が剥がれ落ちた100箇所以上の場所を発見した。」
「気温が華氏5,000度まで上昇すると、大気圏再突入の応力によって熱シールドの一部が剥がれ落ちた。」(該当箇所を切り出して自動翻訳)
ジャーン!。
100か所かよ。
やれやれ・・・。
浮沈子は、もっと少ないと思ってたんだがな。
例外的な損傷で、そのままアルテミス2を実施しても問題ない程度だという認識だった。
そうじゃないことは明らかだ。
少なくとも、同じことは繰り返し起こる。
「アルテミス II 宇宙飛行士は大気圏に再突入し、パラシュートを利用して太平洋に着水します。」
「飛行計画はアルテミス I とは異なりますが、アルテミス II のオリオン宇宙船は依然としてほぼ同じ時速 25,000 マイル (時速 40,000 km) の猛烈な速度で地球に帰還します。そうなると、遮熱板はアルテミス I で見られたのと同様の熱負荷を受けることになる。」
「エンジニアは地上試験でオリオンの熱シールドの一部の炭化損失を再現しましたが、直径 16.5 フィート (5 メートル) の熱シールド全体を地上でテストしたり、飛行機で経験した正確な材料反応や飛行環境を再現したりすることはできません。」
うーん、浮沈子の記憶が確かならば、2014年に今は亡きデルタ4ヘビーでドンガラのオリオン宇宙船を打ちあげ、大気圏再突入テストを行っているはずなんだがな。
(探査飛行試験-1:フライト)
https://en.wikipedia.org/wiki/Exploration_Flight_Test-1#Flight
「宇宙船は最大 8.9 km/s (20,000 mph) の再突入速度に達することができ、熱シールドは最大約 2,200 °C (4,000 °F) の温度にさらされました。」
再突入速度としてはアルテミス1より500mph(約800km/時)少なく、熱シールドの温度としては華氏1000度(摂氏約500度)低い値でのテストだったわけだ。
物理の神様が仕掛けたトラップに、まんまとハマっちまったことになる。
25パーセント増しの負荷に対して、熱シールドは耐えられなかったわけだ。
更に気になる記述もある。
「アルテミス II でのオリオンの再突入の角度を変更しても、問題は解決しない可能性」
「アルテミス I では非常に早い段階で解放が見られました」(アルテミスIIミッションのパイロット、ビクター・グローバー氏)
「ダメージを与える破片が非常に早い段階で始まった場合、軌道を変えることが解決策であるという保証はありません。それは何かを変えるでしょうが、必ずしもそれを解決するとは限りません。したがって、根本原因が分かるのであれば、それを理解する必要があります。」
①の解決策がクソの役にも立たず、③の解決策が実質的に取り得ない場合(穴だらけの熱シールドで、大気圏突入を繰り返すのかあ?)、残る選択肢は②だけだ。
アルテミス2で有人飛行が終わるわけじゃないからな。
「後続のオリオン宇宙船の熱シールドも、チャーの損失調査の影響で再設計が必要になる可能性があります。」(チャー(char):焦げ)
オリオン宇宙船は、アルテミス計画だけで使われるわけではない。
有人火星探査でも、地球からの発射や帰還で使用される想定だ。
盤石の設計である必要がある。
もしも、設計変更が行われるとすれば、再び無人機によるテストが必要になる。
アルテミス1.5とかな。
遅延は、1年では済まされないだろう。
当然、費用も数十億ドル単位で膨れ上がる。
21世紀の月面着陸で中国の後塵を拝することは確実となり、下手をすればインドと争うことになりかねない(そうなのかあ?)。
が、ちょっと待って欲しい。
米国は、半世紀以上前にアポロ計画を実施し、有人カプセルを複数回(8号、10号、11号から17号:13号含む)月軌道から地球に送り返してきたのではなかったのか?。
そん時使った熱シールドの材料とかじゃダメなのかあ?。
もちろん、カプセルの大きさはデカくなってるし、再使用を前提として、熱シールド自体は交換可能な設計となっている。
ハチの巣状になっている構造へのアブレーターの注入は、丁寧な手作業で行われ、入念な検査を経て出荷されている。
何が根本的な問題なのかを理解することは重要だ。
が、既に上手くいった経験を生かすことは出来ないんだろうか?。
それは、21世紀的じゃないのかもしれないけど、ロシアのソユーズ宇宙船(プログレス補給船や中国の神舟宇宙船を含む)は、そうやって60年以上飛び続けている。
熱シールドの問題は複雑を極めている。
これは、安全上の本質的な問題で、下手をするとアルテミスの命取りになりかねない。
「私たちは、飛行の理論的根拠、つまりスキップをどのように行うかについて検討し始めています。スキップをするのでしょうか? どうすれば異なるミッションを飛行できるでしょうか?」(ジムフリー?:NASAの上級管理者の一人)
「再突入軌道の変更は、大気圏に突入したときの熱シールドの加熱速度に影響します。しかし、ピーク温度は各軌道オプションでほぼ同じである」(ビクター・グローバー氏)
再突入軌道の変更で機械的な損失を回避し、熱シールドの耐熱性の範囲で対応できるかもしれないというのが、NASAが描いている落としどころのような気がする。
そう上手くいくのか。
それとも、インドとの競争になるのか(そんなあ!)。
あんま、注目していなかったんだが、この話は奥が深そうだな・・・。
(NASA、オリオン熱シールド問題の「独立したレビュー」を確認)
https://arstechnica.com/space/2024/05/nasa-confirms-independent-review-of-orion-heat-shield-issue/
「アルテミス II の熱シールドは、フロリダ州の NASA ケネディ宇宙センターで飛行前試験中のオリオン宇宙船にすでに取り付けられています。」
「今、熱シールドを改造するには、オリオン乗組員モジュールを欧州サービスモジュールから分解する必要があり、おそらくアルテミスIIの打ち上げは現在の目標スケジュールである2025年9月より1年以上遅れる」
この記事は、アルテミス2の実施時期に深くかかわっている。
選択肢は3つ。
①再突入中に宇宙船の軌道を変更する
②熱シールド自体を変更する
③何もせずにアルテミス II ミッションをそのまま飛行する
NASAは、②は避けたいようで、①か③で強行したいと考えているようだ。
が、どうも、③という選択肢は取り得ないのではないか。
「2022年12月、25日間の無人飛行アルテミス1号ミッション終了時の大気圏再突入中に、オリオンの遮熱板から焦げた物質の塊がひび割れ、欠けた。」
「飛行後にカプセルを検査した技術者らは、再突入の応力によって破片が剥がれ落ちた100箇所以上の場所を発見した。」
「気温が華氏5,000度まで上昇すると、大気圏再突入の応力によって熱シールドの一部が剥がれ落ちた。」(該当箇所を切り出して自動翻訳)
ジャーン!。
100か所かよ。
やれやれ・・・。
浮沈子は、もっと少ないと思ってたんだがな。
例外的な損傷で、そのままアルテミス2を実施しても問題ない程度だという認識だった。
そうじゃないことは明らかだ。
少なくとも、同じことは繰り返し起こる。
「アルテミス II 宇宙飛行士は大気圏に再突入し、パラシュートを利用して太平洋に着水します。」
「飛行計画はアルテミス I とは異なりますが、アルテミス II のオリオン宇宙船は依然としてほぼ同じ時速 25,000 マイル (時速 40,000 km) の猛烈な速度で地球に帰還します。そうなると、遮熱板はアルテミス I で見られたのと同様の熱負荷を受けることになる。」
「エンジニアは地上試験でオリオンの熱シールドの一部の炭化損失を再現しましたが、直径 16.5 フィート (5 メートル) の熱シールド全体を地上でテストしたり、飛行機で経験した正確な材料反応や飛行環境を再現したりすることはできません。」
うーん、浮沈子の記憶が確かならば、2014年に今は亡きデルタ4ヘビーでドンガラのオリオン宇宙船を打ちあげ、大気圏再突入テストを行っているはずなんだがな。
(探査飛行試験-1:フライト)
https://en.wikipedia.org/wiki/Exploration_Flight_Test-1#Flight
「宇宙船は最大 8.9 km/s (20,000 mph) の再突入速度に達することができ、熱シールドは最大約 2,200 °C (4,000 °F) の温度にさらされました。」
再突入速度としてはアルテミス1より500mph(約800km/時)少なく、熱シールドの温度としては華氏1000度(摂氏約500度)低い値でのテストだったわけだ。
物理の神様が仕掛けたトラップに、まんまとハマっちまったことになる。
25パーセント増しの負荷に対して、熱シールドは耐えられなかったわけだ。
更に気になる記述もある。
「アルテミス II でのオリオンの再突入の角度を変更しても、問題は解決しない可能性」
「アルテミス I では非常に早い段階で解放が見られました」(アルテミスIIミッションのパイロット、ビクター・グローバー氏)
「ダメージを与える破片が非常に早い段階で始まった場合、軌道を変えることが解決策であるという保証はありません。それは何かを変えるでしょうが、必ずしもそれを解決するとは限りません。したがって、根本原因が分かるのであれば、それを理解する必要があります。」
①の解決策がクソの役にも立たず、③の解決策が実質的に取り得ない場合(穴だらけの熱シールドで、大気圏突入を繰り返すのかあ?)、残る選択肢は②だけだ。
アルテミス2で有人飛行が終わるわけじゃないからな。
「後続のオリオン宇宙船の熱シールドも、チャーの損失調査の影響で再設計が必要になる可能性があります。」(チャー(char):焦げ)
オリオン宇宙船は、アルテミス計画だけで使われるわけではない。
有人火星探査でも、地球からの発射や帰還で使用される想定だ。
盤石の設計である必要がある。
もしも、設計変更が行われるとすれば、再び無人機によるテストが必要になる。
アルテミス1.5とかな。
遅延は、1年では済まされないだろう。
当然、費用も数十億ドル単位で膨れ上がる。
21世紀の月面着陸で中国の後塵を拝することは確実となり、下手をすればインドと争うことになりかねない(そうなのかあ?)。
が、ちょっと待って欲しい。
米国は、半世紀以上前にアポロ計画を実施し、有人カプセルを複数回(8号、10号、11号から17号:13号含む)月軌道から地球に送り返してきたのではなかったのか?。
そん時使った熱シールドの材料とかじゃダメなのかあ?。
もちろん、カプセルの大きさはデカくなってるし、再使用を前提として、熱シールド自体は交換可能な設計となっている。
ハチの巣状になっている構造へのアブレーターの注入は、丁寧な手作業で行われ、入念な検査を経て出荷されている。
何が根本的な問題なのかを理解することは重要だ。
が、既に上手くいった経験を生かすことは出来ないんだろうか?。
それは、21世紀的じゃないのかもしれないけど、ロシアのソユーズ宇宙船(プログレス補給船や中国の神舟宇宙船を含む)は、そうやって60年以上飛び続けている。
熱シールドの問題は複雑を極めている。
これは、安全上の本質的な問題で、下手をするとアルテミスの命取りになりかねない。
「私たちは、飛行の理論的根拠、つまりスキップをどのように行うかについて検討し始めています。スキップをするのでしょうか? どうすれば異なるミッションを飛行できるでしょうか?」(ジムフリー?:NASAの上級管理者の一人)
「再突入軌道の変更は、大気圏に突入したときの熱シールドの加熱速度に影響します。しかし、ピーク温度は各軌道オプションでほぼ同じである」(ビクター・グローバー氏)
再突入軌道の変更で機械的な損失を回避し、熱シールドの耐熱性の範囲で対応できるかもしれないというのが、NASAが描いている落としどころのような気がする。
そう上手くいくのか。
それとも、インドとの競争になるのか(そんなあ!)。
あんま、注目していなかったんだが、この話は奥が深そうだな・・・。
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