🚀NASA:月と火星:絵に描いた餅2025年05月16日 08:20

NASA:月と火星:絵に描いた餅


(もし議会が実際にSLSロケットを中止したら、次に何が起こるでしょうか?)
https://arstechnica.com/space/2025/05/if-congress-actually-cancels-the-sls-rocket-what-happens-next/

「スペース・ローンチ・システム・ロケット、オリオン宇宙船、ルナ・ゲートウェイという3つの主要計画の中止」

まあ、そこまでは当然の流れなんだが、この記事はその後の展望を描いている。

「用途が定かではない月面ゲートウェイの組み立てに充てられる」

月面ゲートウェイというのは初耳だが、要するに月面基地のことだな。

これを、民間主導で構築しようとしている。

まず、この話は絵餅だ。

「NASAが古くからあるが成功を収めている戦略、すなわちCOTSに頼っているというものです。これはCommercial Orbital Transportation System(商業軌道輸送システム)の略で、20年前にNASAが国際宇宙ステーション(ISS)向けの貨物輸送システム(後にSpaceXのDragon宇宙船とノースロップのCygnus宇宙船の基盤となる)を開発するために考案しました。それ以来、NASAはこのモデルを乗組員サービスやその他の商業プログラムにも採用しています。」

民間にインセンティブを与えて競争させ、所期の成果を得るためにはそのためのバックグラウンドが必要だ。

地球低軌道の宇宙機や宇宙船は、既に存在し、技術もリソースも民間にあった。

月面基地なんてのは、後にも先にも存在したためしはない。

「将来の(月面)COTSプログラムは、費用対効果の高い商業的能力の開発を可能にし、繁栄する地球近傍月圏経済を確立する大きな可能性を秘めており、将来の火星有人ミッションに向けた経済的かつ持続可能なアプローチへの道を開くだろう」(NASA職員の10年前の研究論文)

だから絵餅だって!。

ここには、火星有人ミッションもその延長線上にあると述べられているが、どっちにしたっていきなり民間主導はない。

「月探査に70億ドル以上を割り当て、火星に焦点を当てたプログラムに10億ドルの新規投資を導入することで、この予算は、アメリカの有人宇宙探査の取り組みが比類のない革新的で効率的なものであり続けることを保証する。」

「この資金はおそらく、火星への本格的なCOTSプログラムの出発点となるだろう。これは火星への貨物ミッションから始まるだろう。しかし、最終的には有人ミッションへと拡大し、トランプ氏の約束である「人類を火星に着陸させる」という約束を果たすことになるだろう。」

エリックバーガーは、悪い夢でも見てるんじゃないのかあ?。

「実際、我々は乗組員の居住室を含む大型のものを月と火星に着陸させ、地球に持ち帰りたいのです」(共和党のある宇宙政策コンサルタント)

「科学研究のために高価な特注のロボット着陸機を次々と建造するのではなく、最小限の変更で月と火星への貨物と乗組員のミッションの両方をサポートできる、費用対効果の高い再利用可能な着陸機を開発しましょう。」(同上)

絵に描いた餅をいくつ並べても、積み重ねたとしても、食えたものにはならない。

予算執行における一定の効率化は見込めるとしても、持続可能な開発に繋がるかどうかは、そこに市場がなければならない。

米国は、月面の資源については宇宙条約の対象外で私有可能という立場だ。

最近、民間の月着陸船が頻繁に上がっているのは、この誘導政策に基づくものだ。

火星も同様なんだろうが、そのコストは3桁くらい跳ね上がるからな(未確認)。

益々食えない。

柳の下のドジョウは狙っても獲れない。

目黒のサンマのようなもんだ(そうなのかあ?)。

SLSとオリオンの命運は早晩尽きる。

アルテミス3がどうなるかに関わらず、また、アルテミス4以降の復活如何に関わらず、この完成されたレガシーシステムを維持運用していく力は米国にはない。

予算の削減は、新たなリソースの開発を促すためのもんじゃない。

何もなくなるから、そうせざるを得ないだけの話だ。

ISS輸送機で成功したような、美味い話が柳の下にあるとは限らない。

人類未踏の地への民間主導は、どちらかと言えば要素を取り違えた例えの目黒のサンマに近い。

それが持続開発を確保するためのキーワードなんて話は、浮沈子的には殆ど詐欺に思える。

国家需要を含めて、そこに十分な市場があればよし、そうでなければとん挫することは目に見えている。

S社は、スターリンクのあがりを火星移民に投じると表明しているが、例えばアマゾンなどのライバルが価格競争を仕掛けてきたときには利益が圧迫されて資金ショートが発生する可能性がある。

浮沈子は元々火星移民なんてのは与太話に過ぎないと思っているけど、それを民間主導で行う政策は輪を掛けてヨタな話に聞こえる。

冗談はよしてくれ・・・。

米国の民生用宇宙関連予算の削減は、単純に業界からの撤退に他ならない。

第2のスターウォーズと言われるアイアンドームなどの軍事部門での投資は進むだろうけど、そして、そこからのスピンオフが民生分野に波及する可能性はあるが、内向きな米国第一主義が宇宙にまで及んでいることは間違いない。

浮沈子的には、アルテミス3は飛ばしたくても飛ばせなくなる可能性があると見ている。

2030年代にずれ込み、もちろん中国には先を越され、何のために飛ばすのかワケワカになり、自然消滅する公算が高い。

今年は、NASAの転換点になるだろう。

エリックバーガーは、それを承知で記事を書いているに違いない。

NASAは終わったなどとは、米国のジャーナリストとしては書けないだろうからな・・・。

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