スピード78 ― 2015年10月22日 16:41
スピード78
(Ebola Situation Report - 21 October 2015)
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-21-october-2015
シエラレオネの感染確定者は、5週連続して計上されていない。
ギニアは、今週また、違う感染経路で患者が発生した。
死亡してからの確定で、その子供にも感染していたという。
英国の看護師(後期後遺症(晩期後遺症とも)の発症)は、危機を脱したという記事も出た。
(WHO notes 3 Ebola cases in Guinea as UK nurse improves)
http://www.cidrap.umn.edu/news-perspective/2015/10/who-notes-3-ebola-cases-guinea-uk-nurse-improves
「Her condition, though, has now improved enough for her to converse, use an iPad, and sit up in bed, The Guardian reported today.」
うーん、ガーディアンの記事が出所らしいので、続報を待とう。
シエラレオネは、もうすぐ6週目を迎えて、終息宣言を出せるかもしれない。
いつ、患者からウイルスが消えたかは分からないが、その後42日というのが現在の基準だから(6週間×7日=42日)。
しかし、いろいろ報道されているのを見ると、9か月経って感染したとか言ってるしな。
その場合は、新たな感染ということになるんだろうか?。
今のところ、リベリアの再感染について、別計上にするかどうかは、ハッキリしていないようだ。
WHOのシチュエーションレポートは、区別してるが一緒に表の中にぶち込んでるしな。
(エボラ、実は消えていなかった:感染のロングテール)
https://wired.jp/2015/10/19/ebola-is-coming-back/
ワイヤードがいい記事を載せている。
「治療しているのはエボラ出血熱による「通常では起きない後天性の合併症」だという。」
(Ebola Is Coming Back—But It Never Really Went Away:元記事?)
http://www.wired.com/2015/10/ebola-is-coming-backbut-it-never-really-went-away/
「late complication」を後天性の合併症と訳しているのはいかがなものか。
まあいい。
ワイヤードにその辺のところを期待してはいけない。
治療終了後の、とか、治療の副反応(後遺症)による、などとするのが正しい様だ。
小児がんなどの治療の影響が、大人になってから出るなどという場合に使われるようだ。
1万7千人余りの感染者(感染者引く死者)は、多かれ少なかれ、このリスクを負っている。
誤訳に触発されたわけではないが、「後天的」ではなく、「先天的」な感染者が出ないかも心配である。
性交渉による水平感染は、エビデンスがある。
しかし、垂直感染の事例は、未だに聞かない(浮沈子が知らないだけかも)。
エボラが、RNAを遺伝子としたウイルスであることは知られた話だ。
(RNAウイルス)
https://ja.wikipedia.org/wiki/RNA%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9
「ゲノムRNAからDNAを介さずに遺伝情報が発現するタイプのウイルスと、ゲノムRNAをいったん逆転写酵素によってDNAとしてコピーしそのDNAから遺伝情報を読み出すタイプのものとがある。後者をとくにレトロウイルスと呼ぶ。」
(ウイルスの分類:RNAウイルスのみ抽出)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%81%AE%E5%88%86%E9%A1%9E
・第4群 (Group IV) - 1本鎖RNA +鎖
・・SARSウイルスなど
・第5群 (Group V) - 1本鎖RNA -鎖
・・エボラウイルスなど
・第6群 (Group VI) - 1本鎖RNA+鎖逆転写
・・HIV-1など
・・HTLV-1など
HTLV-1(成人T細胞白血病の原因ウイルス)などでは、垂直感染が見られるが、その感染経路は現在は母乳が主であるとされている。
(HTLV-1感染症)
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k2011/2011-07/2011k07.html
「感染経路・予防:
(前略)現在では、母子感染、特に母乳を介した感染が主要な感染経路と考えられている。(後略)」
遺伝的な伝播は見られないということだ。
が、エボラが同じかどうかは分からない。
HIV(エイズですな)は、胎盤期、産道(分娩時)、授乳期に起こるとされている。
(HIV の垂直感染とその予防)
http://www.jsog.or.jp/PDF/58/5809-224.pdf
「妊娠中期から抗レトロウイルス薬を投与し選択的帝王切開術を施行,出産後は断乳のうえ児に zidovudine(AZT)シロップを 6 週間予防的に投与することによって垂直感染を起こす例は極めて少ない.」
アジドチミジンなんて、懐かしい名前を見たな。
(ジドブジン)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%89%E3%83%96%E3%82%B8%E3%83%B3
「核酸系逆転写酵素阻害薬の一種で、HIV の治療薬として用いられる。別名は アジドチミジン (azidothymidine, AZT) 」
レトロウイルスの増殖には不可欠の逆転写酵素を阻害する治療薬で、エイズの特効薬として華々しく登場した。
「投与により骨髄抑制が現れるので血液検査などを行い、患者の状態を十分に観察する必要がある。」
「(前略)ウイルスは核酸系逆転写酵素剤に対し多剤耐性を示す。」
万能薬というわけではない。
「他の抗HIV薬と併用して、ジドブジンとして1日量500~600mgを2~6回に分けて経口投与する。」
カクテル療法というやつだ。
(カクテル療法)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%AF%E3%83%86%E3%83%AB%E7%99%82%E6%B3%95
「AIDSの原因ウイルスであるHIVを、完全に体内から除去する治療法は、現在確立されていない。HIVの増殖を抑える治療法として有効とされているのが、このカクテル療法(HAART療法)であ。HIV-1感染症に対するカクテル療法では、核酸系逆転写酵素阻害剤、非核酸系逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤を数種類組み合わせた投与が行われる。」
しつこく調べているのは、エボラもまたRNAウイルスである以上、ある程度共通の治療が有効になるのではないかと考えられるからだが、もちろん違いもあるだろう(だいぶ違うかもしれない)。
この感染症が、風土病となることなく、完全に抑制されるためには、垂直感染の予防も重要だ。
この話、もう少し調べたらまた書く。
(Ebolavirus cycle:追加:画像参照)
http://viralzone.expasy.org/all_by_species/5016.html
エボラの場合、RNAベースで複写され、核内には入らない。
逆転写酵素は持たず、AZTとかは効かないようだ。
(Ebola Situation Report - 21 October 2015)
http://apps.who.int/ebola/current-situation/ebola-situation-report-21-october-2015
シエラレオネの感染確定者は、5週連続して計上されていない。
ギニアは、今週また、違う感染経路で患者が発生した。
死亡してからの確定で、その子供にも感染していたという。
英国の看護師(後期後遺症(晩期後遺症とも)の発症)は、危機を脱したという記事も出た。
(WHO notes 3 Ebola cases in Guinea as UK nurse improves)
http://www.cidrap.umn.edu/news-perspective/2015/10/who-notes-3-ebola-cases-guinea-uk-nurse-improves
「Her condition, though, has now improved enough for her to converse, use an iPad, and sit up in bed, The Guardian reported today.」
うーん、ガーディアンの記事が出所らしいので、続報を待とう。
シエラレオネは、もうすぐ6週目を迎えて、終息宣言を出せるかもしれない。
いつ、患者からウイルスが消えたかは分からないが、その後42日というのが現在の基準だから(6週間×7日=42日)。
しかし、いろいろ報道されているのを見ると、9か月経って感染したとか言ってるしな。
その場合は、新たな感染ということになるんだろうか?。
今のところ、リベリアの再感染について、別計上にするかどうかは、ハッキリしていないようだ。
WHOのシチュエーションレポートは、区別してるが一緒に表の中にぶち込んでるしな。
(エボラ、実は消えていなかった:感染のロングテール)
https://wired.jp/2015/10/19/ebola-is-coming-back/
ワイヤードがいい記事を載せている。
「治療しているのはエボラ出血熱による「通常では起きない後天性の合併症」だという。」
(Ebola Is Coming Back—But It Never Really Went Away:元記事?)
http://www.wired.com/2015/10/ebola-is-coming-backbut-it-never-really-went-away/
「late complication」を後天性の合併症と訳しているのはいかがなものか。
まあいい。
ワイヤードにその辺のところを期待してはいけない。
治療終了後の、とか、治療の副反応(後遺症)による、などとするのが正しい様だ。
小児がんなどの治療の影響が、大人になってから出るなどという場合に使われるようだ。
1万7千人余りの感染者(感染者引く死者)は、多かれ少なかれ、このリスクを負っている。
誤訳に触発されたわけではないが、「後天的」ではなく、「先天的」な感染者が出ないかも心配である。
性交渉による水平感染は、エビデンスがある。
しかし、垂直感染の事例は、未だに聞かない(浮沈子が知らないだけかも)。
エボラが、RNAを遺伝子としたウイルスであることは知られた話だ。
(RNAウイルス)
https://ja.wikipedia.org/wiki/RNA%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9
「ゲノムRNAからDNAを介さずに遺伝情報が発現するタイプのウイルスと、ゲノムRNAをいったん逆転写酵素によってDNAとしてコピーしそのDNAから遺伝情報を読み出すタイプのものとがある。後者をとくにレトロウイルスと呼ぶ。」
(ウイルスの分類:RNAウイルスのみ抽出)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%81%AE%E5%88%86%E9%A1%9E
・第4群 (Group IV) - 1本鎖RNA +鎖
・・SARSウイルスなど
・第5群 (Group V) - 1本鎖RNA -鎖
・・エボラウイルスなど
・第6群 (Group VI) - 1本鎖RNA+鎖逆転写
・・HIV-1など
・・HTLV-1など
HTLV-1(成人T細胞白血病の原因ウイルス)などでは、垂直感染が見られるが、その感染経路は現在は母乳が主であるとされている。
(HTLV-1感染症)
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k2011/2011-07/2011k07.html
「感染経路・予防:
(前略)現在では、母子感染、特に母乳を介した感染が主要な感染経路と考えられている。(後略)」
遺伝的な伝播は見られないということだ。
が、エボラが同じかどうかは分からない。
HIV(エイズですな)は、胎盤期、産道(分娩時)、授乳期に起こるとされている。
(HIV の垂直感染とその予防)
http://www.jsog.or.jp/PDF/58/5809-224.pdf
「妊娠中期から抗レトロウイルス薬を投与し選択的帝王切開術を施行,出産後は断乳のうえ児に zidovudine(AZT)シロップを 6 週間予防的に投与することによって垂直感染を起こす例は極めて少ない.」
アジドチミジンなんて、懐かしい名前を見たな。
(ジドブジン)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%89%E3%83%96%E3%82%B8%E3%83%B3
「核酸系逆転写酵素阻害薬の一種で、HIV の治療薬として用いられる。別名は アジドチミジン (azidothymidine, AZT) 」
レトロウイルスの増殖には不可欠の逆転写酵素を阻害する治療薬で、エイズの特効薬として華々しく登場した。
「投与により骨髄抑制が現れるので血液検査などを行い、患者の状態を十分に観察する必要がある。」
「(前略)ウイルスは核酸系逆転写酵素剤に対し多剤耐性を示す。」
万能薬というわけではない。
「他の抗HIV薬と併用して、ジドブジンとして1日量500~600mgを2~6回に分けて経口投与する。」
カクテル療法というやつだ。
(カクテル療法)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%AF%E3%83%86%E3%83%AB%E7%99%82%E6%B3%95
「AIDSの原因ウイルスであるHIVを、完全に体内から除去する治療法は、現在確立されていない。HIVの増殖を抑える治療法として有効とされているのが、このカクテル療法(HAART療法)であ。HIV-1感染症に対するカクテル療法では、核酸系逆転写酵素阻害剤、非核酸系逆転写酵素阻害剤、プロテアーゼ阻害剤を数種類組み合わせた投与が行われる。」
しつこく調べているのは、エボラもまたRNAウイルスである以上、ある程度共通の治療が有効になるのではないかと考えられるからだが、もちろん違いもあるだろう(だいぶ違うかもしれない)。
この感染症が、風土病となることなく、完全に抑制されるためには、垂直感染の予防も重要だ。
この話、もう少し調べたらまた書く。
(Ebolavirus cycle:追加:画像参照)
http://viralzone.expasy.org/all_by_species/5016.html
エボラの場合、RNAベースで複写され、核内には入らない。
逆転写酵素は持たず、AZTとかは効かないようだ。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。
※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。