マクラーレンF12012年06月18日 00:34

マクラーレンF1
マクラーレンF1


20世紀の末に作られた、不世出の名車である。

以前にもこのブログでちょこっと触れたことがある。

(上には上)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2012/03/21/6383901

ゴードンマーレーは、拘りにこだわってこの車を設計した。設計者の思い通りに作られた車は、そう多くはないだろう。生産工程や、市場の需要、当然コストの制約が、設計、製造段階での変更を求めてくるからだ。

そんな制約から解き放たれて、素晴らしい工業製品として誕生した。製造台数はわずか100台程度といわれている。

(1992→1998 McLaren F1)
http://www.supercars.net/cars/1177.html

(McLAREN AUTOMOTIVE CELEBRATES 20TH ANNIVERSARY OF THE LEGENDARY McLAREN F1:オフィシャルページ)
http://media.mclarenautomotive.com/release/40/

電子制御デバイスを極力廃し、機械としての自動車の究極の姿を追求した結果、車重は僅か1140kg、BMWのV12気筒6064cc627馬力のエンジンで380キロを超える最高速をたたき出している(上記のページより)。

これは、自動車の製造とか、工業製品の出荷とかを超えた、1つの「事件」である。

性能的にこの車を越える自動車は、何台も出てきた。しかし、それらはターボ加給車であり、ナチュラル・アスピレーションではない。また、中央にドライバーが座る特異な配置は、一人乗りかタンデム乗車以外では例がない(と思っていた)。

(ゴードン・マーレイ氏のシティカー「T.25」が正式発表!:これもドライバー、真ん中です:好きなんだなあ)
http://jp.autoblog.com/2010/06/30/gordon-murrays-t-25-city-car/

唯一無二のクルマである。

新車価格は1億円ほどだったが、中古車の値段は2億円とも3億円ともいわれる。

(至高のスーパースポーツ マクラーレン F1:写真多数)
http://www.tennodai.com/satoh/RS200/20030601supasupa/McLarenF1/McLarenF1.htm

(McLaren Models:モデル毎の写真多数!)
http://www.conceptcarz.com/vehicle/series.aspx?seriesID=206&modelID=1176

(Mclaren F1:左のフレームからマクラーレンを選択:右のフレームのF1を選択:痺れます)
http://supercarnet.digiweb.jp/

(Jeremy Clarkson Most Outrageous Video...ever (Parte 3/7):トップギアのビデオ:動くF1が見られる)
https://www.youtube.com/watch?v=rBn0P0tcW5U

空前絶後、機械文明の頂点に君臨する栄光のクルマである。スーパーカーの中のスーパーカー。キング・オブ・キングズ。

断言する。こんな自動車が作られることは、人類の歴史で二度とない。世界遺産である。文化財である。

金属とガラスと樹脂(CFRP含む)とゴムでできた機械。溜息の出るようなフォームには、全て理由がある。機能が形に表れている。

この類まれな機械にめぐり会えたこと、同時代に生きていることに、感謝である。

人間不信2012年06月18日 18:21

人間不信
人間不信


まずはこの記事を読んでから。

(ベンツとビーエムの不思議な関係:沢村慎太郎)
http://www.gooworld.jp/car_info/feature/0706/02up/02.html

(BMWがベンツよりハンドリングが良いとよく聞くのですがこれはどういうことですか?)
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1123391126

(シャーシはエンジンよりも速く)
http://www.mercedes-benz.co.jp/passenger/testdrive/

(コンパティビリティ)
http://www.mercedes-benz.co.jp/brand/safety/compatibility.html

最後は、ちょっと関係ないかもしれないが、ベンツのドライバーの安全に関する哲学に関わる部分なので、敢えて紹介する。

沢村氏は、人間を信じていないから、人間任せにしないハンドリングを目指しているといっているが、一面の真理である。だからといって、BMWが危険かどうかは別の話だ。意のままになるハンドリングで危険を回避できたほうが安全である場合も存在する。

だから、BMWは積極的にドライビングスクールを実施している。信じられない人間を、信じられる人間に改造することによって、マン・マシンシステムである自動車の安全を図ろうとしているのだ。

ベンツは、そんな(無駄な?)ことはしない。

初心者も年寄りも乗るコモンビークルである現代の自動車は、(へたっぴー含めて)誰が乗っても安全なものでなければならないと考えている。

ハンドリングがどうのというよりは、ベンツのホンネは「人間なんかがハンドルに触らないほうが安全なクルマ」を作りたいんじゃなかろうか?。

俺たちが何とかしてやるから、ドライバーは引っ込んでろ!、というわけである。

そんなことを全面に出していたら売れなくなってしまうので、最近のベンツは、少しはその手のひらの上で遊ばせてくれるようになってきた。しかし、ちょっとでも逸脱しようとすると、母親が子供の手を引っ張るように、介入してきて止めに入る。

人間なんて怪しげな存在が、俺たちが作る精巧な機械を操るなんて許せん!。しかし、そんなに運転がしたいのなら、俺たちの流儀に従ってもらおう、というわけだ。

ベンツはドライバーに対して神や仏のように振舞う。偉いのである(エヘン!)。

その慈悲深いベンツが考え出したのが「コンパティビリティ」である。

(車両相互の安全 : 全方位コンパティビリティ)
http://www.toyota.co.jp/jpn/tech/safety/technology/technology_file/passive/compatibility.html

最近はトヨタもマネして同じようなことをやっているが、単なるモノマネ以外の何物でもない(画像を見ると分かるが、ベンツは大型車(Eクラス)が大きく壊れているのに対し、トヨタはヴィッツの方が大きく損傷している)。

ベンツの思想は、「軽い小さな車の安全性を、重い大きな車の余裕のあるクラッシャブルゾーンで確保する。」つまり、大きな車が積極的に壊れることで、衝突安全性が物理的に求めづらい小さな車の安全を図る、ということなのだ。

まあ、小さな車同士の場合はどうなるんだ?、という突っ込みはあるんですけどね!。

昔は高価な車が壊れないことが、自動車の価値だった。今や、積極的に壊れることによって、搭乗者や他の車、歩行者などを守ることが求められている。

そのうち、衝突しそうになると、急激なGに耐えられない人間を椅子ごと空中に射出して、フロントグリルからロケットエンジンを逆噴射して急停止するクルマが開発されるかもしれない(トンネルの中ではどーする?)。