83タルガの真実 ― 2013年03月25日 20:13
83タルガの真実
納車まで、あと4日となった。
この時期が、クルマを買うという行為の中で、もっとも浮き足立つ時期である。
手続きをほぼ終え(後は任意保険のみ)、納車を待つのみで、ウキウキ、ワクワク、ソワソワ、ドキドキ・・・。
そんな今日、911デイズVol.39の23ページに、画像の記事が出ているのを見つけた。
83年をもって、911は生産中止になるところだったというのだ。
(ポルシェ:ロードカー)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7#.E3.83.AD.E3.83.BC.E3.83.89.E3.82.AB.E3.83.BC
年表を見ると、確かに924が熟成期に入っているし、928も6年目、944が登場する年でもある。
水冷FRポルシェの系譜が、ほぼ完成される時期であったわけだ。
しかし、ネットを見ても、83年で911の生産終了という記事はない。
(ポルシェ・944)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BB944
「ボディ形状は2ドア4座クーペであり、当時のポルシェ最高責任者ペーター・シュッツの政策で、当初は911の後継車として位置づけられていた。」とあるのみで、911(930)も同時に売られていたわけだ。
うーん、本当のところはどうなのだろうか。
ネットを徘徊すること数時間(!)、ようやく、以下の記事を見つけた。
(スポーツカー・レジェンド10 ポルシェ ボクスター - 「脱911」数十年越しの悲願が実現した歴史的モデル)
http://news.mynavi.jp/series/sportscar/010/index.html
「ポルシェは1965(昭和40)年に911を発売したが、それから7年後の1972年、創業家のポルシェ一族が経営から手を引いた。後を受け継いだ技術者兼経営者のエルンスト・フールマン氏は、その時点で911の設計はすでに古く、世代交代が必要と考え、「新世代ポルシェ」というべき完全新設計のモデルを開発した。それが924と928だ。当時、911は数年以内に生産を終了し、924と928が後を受け継ぐことが既定路線だった。」とある。
924が76年、928が77年だから、83年よりもずっと前から、FRポルシェに移行しようとしていたわけだ。
しかし、記事にあるように、クルマの出来良く、そこそこ売れはしたものの、やはりRRの911の置き換えはできなかった。
この記事の筆者によれば、それを成し遂げたのがボクスターだという(ホントかよ?)。
確かに、924の後継であった968や、FRポルシェの金字塔であった928(これ、いつかは乗りたいクルマの一つ)が消えたのが95年。
翌96年に2.5リッターの986ボクスターが彗星の如く登場し、売れに売れたのは事実である。
「このボクスターは売れた。ようやく、やっと、念願かなってポルシェは911以外のヒットモデルを生み出すことに成功したのだ。苦節数十年での悲願達成だった。その後のポルシェは、まるで911の呪縛から開放されたかのように、カイエン、パナメーラとヒットモデルを連発していくことになる。」とある。
また、ウィキペディアのポルシェの記事にも、「スポーツカー専業からの脱却」として取り上げられ、「ポルシェは創業以来2人乗りもしくは小さな後部座席を備えるスポーツカーを専門にしていたが、スポーツカーという限られた市場だけに依存した経営から脱却するために人気の高いSUV市場への参入を画策。」と書かれている。
「・・・スポーツカー専業メーカーではなくなっている。」とあるように、カイエン、パナメーラについては、従来のポルシェのスポーツカーの系譜とは異なる流れを作り出してきた。
しかし、ボクスターが、911の後継になったわけではないし、浮沈子に言わせれば、914のリメイクともいえるわけで、しかも、水冷エンジンについては、996型の911も搭載するなど、決して911を置き換えようとする車種ではない。
ポルシェは、ターボを頂点とする911の鉄壁のヒエラルキーを構築し、ケイマンR(330馬力)といえども、同時期の997型のカレラ(後期型345馬力)を越えるパワーを与えなかった。
このことからも、ボクスターをもって、911の後継車種ということはできないし、996型の911を投入した時点では、ポルシェがRRの911を正常進化させてスポーツカーのフラッグシップとしていく路線は固まっていたのだろう。
では、83型930が最後の911というのは、やはりガセなのか。
ここに、L4ポルシェについて書かれた記事がある。読み応えのある記事だ。
(L4ポルシェ物語 第3章 栄枯盛衰 1話 944と911)
http://www.ad-vantage.co.jp/924/gold/10301.html
「ただ、やはり頭の堅い911フリークは、944を素晴らしい車だと言う事、真のポルシェである事を認めても、 これを「911の後継車」と言う位置には置こうとはしなかった。
まだまだ911の後継車となるためのカリスマが薄く(と言うより、発表されたばかりの車にカリスマを求める方が無理な話だが)、 シュッツは911と944を並行して、次第に911を944にフェードアウトさせていく方針で進める事にする。
そのため911は延命作業を施される事になる。まず「アメリカ人」に受ける(くどいようだが、シュッツは「アメリカ人」だ)様、 82年にカブリオレボディーを追加、またエンジンは3Lから3.2Lにアップされ、排気量アップ後の名前をあの栄光の『カレラ』を名乗らせた。」とある。
ちょうど83年頃の記事になる。
この記事は、924から944、968に至るL4エンジン(直列4気筒)搭載車の系譜を追ったものだが、ペーター・シュッツが、924では911の後継車種にはなりえないことから、944をその役回りに仕立て上げ、徐々に交代させようとしていたことは確からしい。
しかし、911は消えなかった。
消えたのは、968であり、928の方であった。
ボクスターは、996と兄弟車として生まれ、ケイマンを加えて現在に至っている。
83ポルシェが、最後の911になるという思惑は、確かにあったのかもしれないが、現実に、それに相応しい対応が採られることはなかった。
幻の最終型である。
そんないわく付きの83タルガが、今週末には我が家にやってくる。
しかも、3164ccのエンジンに換装したやつが。
L4ポルシェの記事には、次のように書かれている。
「20世紀後半、マスキー法とオイルショックの狭間に立ったポルシェ社は、落ち込むスポーツカー市場の生き残り策として、 水冷直列4気筒エンジンをFR駆動にした、新しい時代のスポーツカーの生産に着手した。
924と呼ばれるそれは、時代のニーズに合わせて、944、968と進化を遂げ、かつては911を向うに追いやるほどの勢力を誇っていたが、 日本車の急速なパワーアップに伴い,次第に競争力を失っていった。」とある。
「世界的に有名なモーター・ジャーナリストで、かつてのグランプリ・レーサーでもあった、 ポール・フレール氏の言葉を引用させてもらおう。
「ポルシェが作った物に、間違いは無いのだ・・・・・」」と結ばれている。
そのP・Fも既に故人である。
911に乗るということ、それは、単に機械製品としての自動車に乗ることではない。
50年の長きに渡って、幾度となく消滅の危機に瀕しながら、しぶとく生き残ってきたビッグネームの歴史を背負い、その歴史に新たなページを書き加えるということでもある。
それが、83タルガの真実なのだ。
納車まで、あと4日となった。
この時期が、クルマを買うという行為の中で、もっとも浮き足立つ時期である。
手続きをほぼ終え(後は任意保険のみ)、納車を待つのみで、ウキウキ、ワクワク、ソワソワ、ドキドキ・・・。
そんな今日、911デイズVol.39の23ページに、画像の記事が出ているのを見つけた。
83年をもって、911は生産中止になるところだったというのだ。
(ポルシェ:ロードカー)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7#.E3.83.AD.E3.83.BC.E3.83.89.E3.82.AB.E3.83.BC
年表を見ると、確かに924が熟成期に入っているし、928も6年目、944が登場する年でもある。
水冷FRポルシェの系譜が、ほぼ完成される時期であったわけだ。
しかし、ネットを見ても、83年で911の生産終了という記事はない。
(ポルシェ・944)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BB944
「ボディ形状は2ドア4座クーペであり、当時のポルシェ最高責任者ペーター・シュッツの政策で、当初は911の後継車として位置づけられていた。」とあるのみで、911(930)も同時に売られていたわけだ。
うーん、本当のところはどうなのだろうか。
ネットを徘徊すること数時間(!)、ようやく、以下の記事を見つけた。
(スポーツカー・レジェンド10 ポルシェ ボクスター - 「脱911」数十年越しの悲願が実現した歴史的モデル)
http://news.mynavi.jp/series/sportscar/010/index.html
「ポルシェは1965(昭和40)年に911を発売したが、それから7年後の1972年、創業家のポルシェ一族が経営から手を引いた。後を受け継いだ技術者兼経営者のエルンスト・フールマン氏は、その時点で911の設計はすでに古く、世代交代が必要と考え、「新世代ポルシェ」というべき完全新設計のモデルを開発した。それが924と928だ。当時、911は数年以内に生産を終了し、924と928が後を受け継ぐことが既定路線だった。」とある。
924が76年、928が77年だから、83年よりもずっと前から、FRポルシェに移行しようとしていたわけだ。
しかし、記事にあるように、クルマの出来良く、そこそこ売れはしたものの、やはりRRの911の置き換えはできなかった。
この記事の筆者によれば、それを成し遂げたのがボクスターだという(ホントかよ?)。
確かに、924の後継であった968や、FRポルシェの金字塔であった928(これ、いつかは乗りたいクルマの一つ)が消えたのが95年。
翌96年に2.5リッターの986ボクスターが彗星の如く登場し、売れに売れたのは事実である。
「このボクスターは売れた。ようやく、やっと、念願かなってポルシェは911以外のヒットモデルを生み出すことに成功したのだ。苦節数十年での悲願達成だった。その後のポルシェは、まるで911の呪縛から開放されたかのように、カイエン、パナメーラとヒットモデルを連発していくことになる。」とある。
また、ウィキペディアのポルシェの記事にも、「スポーツカー専業からの脱却」として取り上げられ、「ポルシェは創業以来2人乗りもしくは小さな後部座席を備えるスポーツカーを専門にしていたが、スポーツカーという限られた市場だけに依存した経営から脱却するために人気の高いSUV市場への参入を画策。」と書かれている。
「・・・スポーツカー専業メーカーではなくなっている。」とあるように、カイエン、パナメーラについては、従来のポルシェのスポーツカーの系譜とは異なる流れを作り出してきた。
しかし、ボクスターが、911の後継になったわけではないし、浮沈子に言わせれば、914のリメイクともいえるわけで、しかも、水冷エンジンについては、996型の911も搭載するなど、決して911を置き換えようとする車種ではない。
ポルシェは、ターボを頂点とする911の鉄壁のヒエラルキーを構築し、ケイマンR(330馬力)といえども、同時期の997型のカレラ(後期型345馬力)を越えるパワーを与えなかった。
このことからも、ボクスターをもって、911の後継車種ということはできないし、996型の911を投入した時点では、ポルシェがRRの911を正常進化させてスポーツカーのフラッグシップとしていく路線は固まっていたのだろう。
では、83型930が最後の911というのは、やはりガセなのか。
ここに、L4ポルシェについて書かれた記事がある。読み応えのある記事だ。
(L4ポルシェ物語 第3章 栄枯盛衰 1話 944と911)
http://www.ad-vantage.co.jp/924/gold/10301.html
「ただ、やはり頭の堅い911フリークは、944を素晴らしい車だと言う事、真のポルシェである事を認めても、 これを「911の後継車」と言う位置には置こうとはしなかった。
まだまだ911の後継車となるためのカリスマが薄く(と言うより、発表されたばかりの車にカリスマを求める方が無理な話だが)、 シュッツは911と944を並行して、次第に911を944にフェードアウトさせていく方針で進める事にする。
そのため911は延命作業を施される事になる。まず「アメリカ人」に受ける(くどいようだが、シュッツは「アメリカ人」だ)様、 82年にカブリオレボディーを追加、またエンジンは3Lから3.2Lにアップされ、排気量アップ後の名前をあの栄光の『カレラ』を名乗らせた。」とある。
ちょうど83年頃の記事になる。
この記事は、924から944、968に至るL4エンジン(直列4気筒)搭載車の系譜を追ったものだが、ペーター・シュッツが、924では911の後継車種にはなりえないことから、944をその役回りに仕立て上げ、徐々に交代させようとしていたことは確からしい。
しかし、911は消えなかった。
消えたのは、968であり、928の方であった。
ボクスターは、996と兄弟車として生まれ、ケイマンを加えて現在に至っている。
83ポルシェが、最後の911になるという思惑は、確かにあったのかもしれないが、現実に、それに相応しい対応が採られることはなかった。
幻の最終型である。
そんないわく付きの83タルガが、今週末には我が家にやってくる。
しかも、3164ccのエンジンに換装したやつが。
L4ポルシェの記事には、次のように書かれている。
「20世紀後半、マスキー法とオイルショックの狭間に立ったポルシェ社は、落ち込むスポーツカー市場の生き残り策として、 水冷直列4気筒エンジンをFR駆動にした、新しい時代のスポーツカーの生産に着手した。
924と呼ばれるそれは、時代のニーズに合わせて、944、968と進化を遂げ、かつては911を向うに追いやるほどの勢力を誇っていたが、 日本車の急速なパワーアップに伴い,次第に競争力を失っていった。」とある。
「世界的に有名なモーター・ジャーナリストで、かつてのグランプリ・レーサーでもあった、 ポール・フレール氏の言葉を引用させてもらおう。
「ポルシェが作った物に、間違いは無いのだ・・・・・」」と結ばれている。
そのP・Fも既に故人である。
911に乗るということ、それは、単に機械製品としての自動車に乗ることではない。
50年の長きに渡って、幾度となく消滅の危機に瀕しながら、しぶとく生き残ってきたビッグネームの歴史を背負い、その歴史に新たなページを書き加えるということでもある。
それが、83タルガの真実なのだ。
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