だいち3号2014年05月24日 01:33

だいち3号
だいち3号


陸域観測技術衛星3号というのが、正式名称らしい。

(だいち3号)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A0%E3%81%84%E3%81%A13%E5%8F%B7

残念ながら、打ち上げが何時になるのかは不明である。

「「だいち2号」と同時に運用される予定であったが、平成26年度(2014年度)予算編成時点では計画が棚上げされている。」

この衛星に搭載されるセンサーの性能が凄い!。

「性能:
パンクロマチックセンサー - 分解能80cm 、観測幅50km
ハイパー・マルチセンサー (HISUI)
マルチスペクトルセンサー - 分解能5m、観測幅90km
ハイパースペクトル センサー - 分解能30m、観測幅30km
観測可能範囲 - 2600km
地上局への伝送速度 - Xバンドにより800Mbps(データ中継衛星「こだま」を経由して伝送可能)
設計寿命 - 5年、目標は7年」

うーん、80cmの分解能か・・・。

(パンクロマチック画像とは ? )
http://www.pasco.co.jp/recommend/word/word101/

ALOSシリーズの画像解析については、このページが詳しいのだが、資料を見ても、何が書いてあるのかさっぱり分からない。

(宇宙航空研究開発機構 地球観測研究センター)
http://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/index_j.htm

だいち(ALOS)のデータを使用した、全地球の3Dデータが5mの分解能で有償利用できるようになるらしい。

(だいち:観測データの活用)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A0%E3%81%84%E3%81%A1#.E8.A6.B3.E6.B8.AC.E3.83.87.E3.83.BC.E3.82.BF.E3.81.AE.E6.B4.BB.E7.94.A8

「JAXAは、陸域観測技術衛星「だいち」によって撮影した約300万枚の衛星画像を用いて、世界最高精度の全世界デジタル3D地図を整備する計画を2014年2月に発表した。」

「2014年3月から3D地図の整備を開始し、2016年3月までに全世界の3D地図を完させる予定。」

まあ、これがゆくゆくは、80cmになるわけか・・・。

だいち2号には、光学センサーは小型赤外カメラ「CIRC」しかないが、だいち3号はモロにスパイ衛星だな。

だいち(ALOS)については、情報収集衛星との共通点も指摘されている。

(だいち:情報収集衛星との関係)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%A0%E3%81%84%E3%81%A1#.E6.83.85.E5.A0.B1.E5.8F.8E.E9.9B.86.E8.A1.9B.E6.98.9F.E3.81.A8.E3.81.AE.E9.96.A2.E4.BF.82

「公開されたり報道された情報から、だいちと第2世代までの情報収集衛星の機体構成や性能は、よく似ていると推測されている。だいちの開発・製造を担当するメーカーも、情報収集衛星と同じ三菱電機である。」

ちなみに、だいちのプライムコンストラクターは、NEC東芝スペースシステムとある。

ははあ、この辺りが、きな臭いわけだな(主契約者は違っても、実質的には同じメーカーが手がけるというわけか)。

まあいい。

衛星メーカーなんて、狭い世界だ(実質、2社だけ)。

(JAXAプロジェクトを担当する主な企業)
http://aerospacebiz.jaxa.jp/jp/spaceindustry/company/

事例の中では、衛星関係のとりまとめは、JAXA以外では、NECだけ。

まあ、もう、みんな顔見知りなわけだな。

(情報収集衛星)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%83%85%E5%A0%B1%E5%8F%8E%E9%9B%86%E8%A1%9B%E6%98%9F

光学衛星とレーダー衛星の組み合わせといい、センサーの種類といい、そっくりだな。

こっちの分解能は、光学衛星で、既に41cm未満である。

(政府、高解像度の衛星を開発へ…40センチの物体も識別)
http://web.archive.org/web/20090203020443/http://www.yomiuri.co.jp/space/news/20090131-OYT1T00456.htm

「各国の軍事衛星の能力は詳細が明らかにされていないが、40センチの解像度を上回るのは、米国の軍事衛星だけと見られる。」

昨年度からは、光学7号機の研究開発に着手している。

(情報収集衛星について)
http://www8.cao.go.jp/space/comittee/yusou-dai3/siryou2-4.pdf

浮沈子のような素人には、なんで共用しないんだろうと思うくらい、仕様が似ている。

お役所の間の縄張りとか、軍事衛星と共用することに対する抵抗とか、まあ、いろいろあるんだろうが、税金の使い道という観点からは、いかがなものかという気がしないでもない。

三菱電機が、共通のバスで作っているなら、トータルでコスト削減になっているのかもしれないし、逆に、開発フェーズは情報収集衛星に集約して、そっちにコスト乗っけて、ALOSシリーズは、手堅い設計にしているのかもしれない。

まあ、どうでもいいんですが。

よく引用されている資料として、「「だいち」後継機の概要」というのがあるので、読んでみた。

(「だいち」後継機の概要)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/utyuu/rikukai/091002/siryou1-2.pdf

「■ 防災関係府省庁殿からの要求
○ 光学センサとレーダが必要
○高分解能観測(約1m)
○広域観測(観測幅:50km以上)
○ 高頻度観測(概ね3時間以内)
■ 農林水産省殿からの要求
○ 面積調査の母集団整備に必要な精度:1/2,500~1/5,000相当(「だいち」は、1/7,000~1/10,000相当)
■ 国土地理院殿からの要求
○ 光学センサの分解能:0.8m
■ 海上保安庁殿からの要求
○冬季オホーツク海を高頻度、広域(PALSAR同等)」

保安庁だってえ?。

陸域観測じゃなかったっけ?。

0.8mという分解能は、国土地理院「殿」からの要求だったわけだな。

浮沈子が想像するに、光学7号とだいち3号(ALOS-3)は、同時期開発になっているのではないか。

あるいは、統合されるとか。

(平成22年宇宙開発委員会(第7回) 議事録)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/uchuu/015/gijiroku/1293950.htm

「【事務局(宇宙利用推進室松浦室長)】 補足ですけど、ALOS-2はレーダの衛星になりますので、立体視をする衛星は一応ALOS-3で今検討中です。ALOS-3についてはまだ研究フェーズということで仕様は完全に固まっておりませんが、一応解像度を上げた立体視のセンサを積むという意味ではALOS-3になるかなと思っています。」

ちなみに、この宇宙開発委員会というのは、平成24年(2012年)に廃止されている。

(宇宙政策委員会)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E5%AE%99%E6%94%BF%E7%AD%96%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A

「宇宙政策委員会(うちゅうせいさくいいんかい)は、内閣府設置法第38条を根拠として内閣府に設置されている審議会。有識者の大局的・専門的見地から日本の宇宙開発計画に対する調査・審議を行う。宇宙開発戦略本部の下に設置されていた宇宙開発戦略専門調査会に替わる組織として2012年7月設置された。機能や構成は文部科学省に設置されていた宇宙開発委員会と類似し、宇宙開発委員会の事実上の後継組織と言えるが、組織としての直接的なつながりはない」

まあ、整理されたんだろう。

「文部科学省という一省庁の審議会でしかなかった宇宙開発委員会を廃止して、あらたに内閣府に宇宙政策委員会を設置することにより、省庁の垣根を越えた宇宙開発体制の構築を実現させることが狙いである。」

非公開ということについては、いろいろ意見があるようだが、議事録等は公開されている。

(宇宙政策委員会 開催状況)
http://www8.cao.go.jp/space/comittee/kaisai.html

で、これらからALOS-3(だいち3号)について拾ってみると、あまり出てこない。

(宇宙開発委員会 推進部会(平成24年)(第2回) 議事録)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/uchuu/017/002/gijiroku/1315993.htm

「【宮崎特別委員】 55、56ページの今後の展望について質問ですが、ALOS-2や、ALOS-3に対していろいろ新たなrequirementが書かれています。例えばインフラの被災状況とか原子力発電所の詳細被害状況の把握、それとは別に、海洋監視や、森林炭素監視などいろいろなrequirementがあります。あるいは前にも書いてありましたように、火山対策、科学物質の流失への対応等、いろいろなニーズがありますが、それらの優先順位はどうやってこれから決めていかれるのでしょうか。新たな技術開発も必要になってきますし、プライオリティをどのようにセッティングしていかれる予定でしょうか。」

「【JAXA(大澤)】 プライオリティについては、宇宙基本計画に合わせてALOS-2、ALOS-3は書いておりますが、災害に対して観測するということがトッププライオリティだと思っております。」

(第6回宇宙政策委員会 議事要旨:平成24年10月19日)
http://www8.cao.go.jp/space/comittee/dai6/gijiyousi.pdf

「今回(H25年度予算要求)のヒアリング対象事業:
事業名:陸域観測技術衛星3号(ALOS-3)の衛星開発
要求額:1億円
24年度予算:1億円
枠(特別重点枠・重点枠:なし」

んだ、こんなもんかあ?。

こんなページもヒットした。

([ALOS-3]」の検索結果を表示しています)
http://d.hatena.ne.jp/iwamototuka/touch/searchdiary?word=%5BALOS-3%5D

(岩日誌)
http://d.hatena.ne.jp/iwamototuka/touch

まめですなあ。

少しは見習わないと。

(東日本大震災を踏まえた宇宙開発利用の戦略的推進のための施策の重点化及び効率化の方針について(案) )
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/utyuu/senmon/dai16/siryou1.pdf

「①光学
- ASNARO1(経産省、分解能 50cm 未満、観測幅 10km)は、すでに完成間近である上、同型機の海外輸出や海外衛星と共同での衛星画像提供サービス事業の構築などの意義が認められることから、2012 年打上を目指して必要な措置(予算を含)を取るべきである。
- だいち3(文科省(JAXA)、分解能 80cm、観測幅 50km、事業費:文部科学省[運用、打上げ費含む]約 390 億円)は、単純な撮像機能については ASNARO1 や海外衛星との重複がある上、立体視等の機能については地図の作成等では有効であるものの、緊急性等の点で他のプロジェクトに劣後するため、他の優先度の高いプロジェクトを実施した上で宇宙予算上可能であれば実施することとすべきである。」

これについては、「うーむ、ALOS-3は60度のポインティング機能とか観測幅とか利点があると思うんですが、どうやら後回しにされそうな気配です。」とこめんとされているほか、こんなページもあった。

(はたしてこれでいいのだろうか 宇宙開発戦略本部)
http://www.soranokai.jp/pages/senryakuhonbu_nakano_1.html

「「だいち3」とは、この4月に運用が終了したALOS(初代「だいち」)の後継機ALOS-3のことである。いっぽうASNARO1は、経産省が進めている衛星システムを指す。光学センサにかんしては、分解能が50cm以下であることから、文科省が計画しているALOS-3(だいち3)の分解能80cmよりも優れている。上記の文章では、この分解能の優位性をあげ、だからALOS-3(だいち3)は「立体視、広域観測等の機能については地図の作成等では有効であるものの、緊急性等との観点で他のプロジェクトより優先度が低い」と述べている。背骨のない宇宙戦略の小骨について、いちいち論評するのは不愉快なのだが、この部分にかんしてはどうしても納得できない。」

「観測衛星のセンサによる分解能をあげることは、衛星開発の世界ではたしかに“競争力の一つ”である。しかし、米国の商業衛星GeoEye-1が分解能50cmのデータを販売する世の中で、あえて日本が国の政策として分解能競争に参戦する必要があるのだろうか。
衛星による分解能は、スパコンの処理能力とは少々異なる。分解能が高いことはもちろん有利だが、そのデータを受ける地上側での解析能力は、もっと重要である。特定の人の顔を観測できるというのは、スパイ映画の話にすぎない。地形の微細な変化や土壌水分量の変動等々、地上のわずかな変化から何を読み取ることができるかという解析能力のほうが、今後はどんどん重要になるのではないか。
ALOSは、世界には例のないユニークな機能を備えた衛星だ。そのユニークさが、ようやく実を結びつつある。人間でいえば、大学院生になったといってよい。今はそのALOSの技術を徹底的に練り上げ、JAPAN-ORIGINALにしてしまうことが重要である。ALOS-3の分解能をあげるほうが、日本の独自路線の開拓につながると私は思う。」

まあ、いろいろな意見があるようだ。

気になったので、ASNARO1も調べてみた。

(ASNARO:ASNARO-1)
http://ja.wikipedia.org/wiki/ASNARO#ASNARO-1

「重量400kg級で設計寿命3年、分解能50cm未満、観測幅10kmの性能を持つ光学衛星ASNARO-1は、2008年(平成20年)度に開発が開始され、2014年(平成26年)度に打ち上げられる予定である。1基の価格は約50億円である」

ちなみに、ASNARO-2というレーダー衛星もあって、こちらは80億円から90億円で、2015年打ち上げ予定という。

開発は、NECだと。

NEC対三菱電機の仁義なき戦いと思いきや、使っているXバンドレーダーは、三菱電機製だ。

世界、狭すぎ!。

情報収集衛星との絡みは出てこないな。

やはり、そこんとこの壁は厚いんだろうか?。

(平成26年度宇宙開発利用に関する戦略的予算配分方針のフォローアップ)
http://www8.cao.go.jp/space/decision/pdf/26housin-fu.pdf

「①世界の安全保障に関するリモートセンシング衛星システム:
主要国における安全保障に関するリモートセンシング衛星システムは以下のような状況にある。
・主に軍が高機能で機密性の高い安全保障利用中心の政府専用衛星システムを偵察などの目的に運用している。
・欧米では、このような政府専用衛星とは別に、安全保障と民生両用の商業衛星(両用衛星)システムを整備している。これらは一般に専ら安全保障目的の政府専用衛星ほどの高分解能ではないため、一般的には政府専用衛星ほど機密性が高くはなく、安全保障利用だけでなく、一般的な国土管理や地図作成などの民生用途にも利用されている。
・両用衛星は政府及び民間事業者が資金負担をしつつも、民間事業者(欧州では政府の出資がある場合が多い)が主体となって衛星運用やデータ販売等の商業活動を担っている。
・このような衛星データの世界市場は現在年間 1000 億円程度であり、2021 年には 4000 億円程度に拡大するとの予測がある。
・新たな需要の創出により、データやソリューション提供に基づく収益の拡大に応じ、利益を次世代の衛星開発に投資することが可能となり、政府負担の軽減にも寄与する方向で制度設計がなされている。」

この文章を読む限り、政府専用衛星と両用衛星という切り分けをしているので、情報収集衛星(=政府専用衛星)は、安泰なわけだ。

この資料には、注目すべき点がいくつかあるが、またの機会に譲る。

我が国の宇宙開発2014年05月24日 15:07

我が国の宇宙開発
我が国の宇宙開発


宇宙政策委員会というのがあって、今年度の宇宙予算に対する評価を昨年の12月に行っている。

(平成26年度宇宙開発利用に関する戦略的予算配分方針のフォローアップ)
http://www8.cao.go.jp/space/decision/pdf/26housin-fu.pdf

各省庁からの概算要求を、3段階に評価したものである。

「評価分類 :
A:推進すべきもの
B:可能な範囲で実施すべきもの
C:事業の見直しが必要なもの」

文章では、いろいろなことが書いてあるが、浮沈子は、この評価分類こそが全てであると思っている。

委員会の面々がどういう考えで整理したかはともかく、政府としてのプライオリティの付与については、これが全てである。

実際に予算がどの程度付いたのかはフォローしていないが、傾向を見るには十分だ。

この手の資料にありがちな重複記載や、多角的な位置付けを要するための分散を排除するために、単純にABCの評価区分ごとに整理してみよう。

なお、<最重要事業>については、「特A」として別途、区分した。

「特A:
1準天頂衛星システムの開発・整備・運用(内閣府)
2準天頂衛星時刻管理系設備の運用(総務省)
3準天頂衛星の運用(文部科学省)
4人工衛星の測量分野への利活用(測位分野)(国土交通省)
5宇宙利用拡大の調査研究(内閣府)
6宇宙状況監視に必要な経費(文部科学省) (新規)
7新型基幹ロケット(文部科学省)(新規)
8イプシロンロケット(文部科学省)
9情報収集衛星関係経費(内閣官房)
10静止気象衛星業務等(国土交通省)
11人工衛星の測量分野への利活用(リモートセンシング分野)(国土交通省)
12宇宙外交推進費(外務省)」

「A:
1操業管理適正化(農林水産省)
2VMSシステムの運用(農林水産省)
3マルチ GNSS による高精度測位技術の開発(国土交通省)
4交通分野における高度な制御・管理システムの技術開発(国土交通省)
5広域災害監視衛星ネットワークの開発・整備・運用(内閣府)(新規)
6陸域観測技術衛星2号(ALOS-2)の衛星開発(文部科学省)
7超高分解能合成開口レーダの小型化技術(ASNARO2)の研究開発
(経済産業省)
8スペースデブリ対策技術の研究(文部科学省)
9デブリ除去システム技術実証(文部科学省)(新規)
10宇宙を利用した C4ISR の機能強化のための調査・研究の一部(防衛省)
11いぶき(GOSAT)観測体制強化及びいぶき後継機開発体制整備(環境省)
12温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」による地球環境観測事業(環境省)
13衛星による地球環境観測経費(環境省)
14高解像度衛星画像解析システムの運用(警察庁)
15衛星画像判読分析支援(外務省)
16気象衛星情報の利用(防衛省)
17被災地域の農作物等復興状況の把握(農林水産省)
18極軌道プラットフォーム搭載用資源探査観測システム/次世代合成開口レーダ等の研究開発(経済産業省)
19ハイパースペクトルセンサ等の研究開発(経済産業省)
20衛星通信回線の利用料(内閣府)
21衛星系通信ネットワークの整備(内閣府)
22通信衛星使用料(警察庁)
23全国瞬時警報システム(J-ALERT)の衛星回線利用料(総務省)
24地域衛星通信ネットワークの利用(総務省)
25海洋資源調査のための次世代衛星通信技術に関する研究開発(総務省) (新規)
26Xバンド衛星通信中継機能等の整備・運営事業を含む衛星通信の利用(防衛省)
27基幹ロケット高度化(文部科学省)
28基幹ロケット相乗り機会拡大対応改修(文部科学省) (新規)
29空中発射システムの研究開発(経済産業省)
30水星探査機 Bepi Colombo(文部科学省)
31小型科学衛星シリーズ(文部科学省)
32第 26 号科学衛星(ASTRO-H)(文部科学省)
33学術研究・実験 等(文部科学省)
34国際協力の推進(文部科学省)
35宇宙を利用した C4ISR の機能強化のための調査・研究(防衛省)
36宇宙航空科学技術推進委託費(文部科学省)
37宇宙を利用した C4ISR の機能強化のための調査・研究の一部(防衛省)(新規)
38軌道上衛星の運用(文部科学省)
うち 科学衛星
39宇宙科学施設維持(文部科学省)」

「B:
1希少野生動物野生順化特別事業・渡り鳥調査等(環境省)
2温室効果ガス観測技術衛星後継機(GOSAT-2)(文部科学省)
3気候変動観測衛星(GCOM-C) (文部科学省)
4全球降水観測/二周波降水レーダ(GPM/DPR)(文部科学省)
5気候変動適応戦略イニシアチブ(文部科学省)
6二国間クレジット制度(JCM)推進のための MRV 等関連する技術高度化事業(環境省) (新規)
7海洋環境モニタリング多様化推進事業(環境省)
8北西太平洋地域海行動計画推進費(環境省)
9超低高度衛星技術試験機(SLATS)(文部科学省) (新規)
10政府間端末等の運用(警察庁)
11商用画像衛星の利用(防衛省)
12災害観測・監視システムの整備 等(文部科学省)
13石油資源遠隔探知技術の研究開発(経済産業省)
14次世代地球観測衛星利用基盤技術の研究開発(経済産業省)
15宇宙通信システム技術に関する研究開発(総務省)
16次世代情報通信衛星(文部科学省)
17宇宙ステーション補給システムへの回収機能の付加(HTV-R)(文部科学省)
18小惑星探査機「はやぶさ2」の開発(文部科学省)
19宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)(文部科学省)
20宇宙太陽光発電技術の研究(文部科学省)
21太陽光発電無線送受電高効率化の研究開発(経済産業省)(新規)
22将来研究(先行・萌芽、将来輸送系、共通基盤技術)(文部科学省)
23信頼性向上プログラム(文部科学省)
24宇宙産業技術情報基盤整備研究開発(SERVIS プロジェクト)(経済産業省)
25赤外センサの研究開発(文部科学省)(新規)
26弾道ミサイル防衛(BMD)(宇宙関連)(防衛省)
27最先端超小型衛星の研究開発(文部科学省)
28軌道上衛星の運用(文部科学省)
うち 利用衛星、交付金分(DRTS、ETS-Ⅷ、WINDS)
利用衛星、補助金分(GOSAT、GCOM-W、ALOS)
29基幹システムの維持 等(文部科学省)
30利用推進関連設備の維持 等(文部科学省)
31基礎・基盤施設維持運営費(文部科学省)
32情報システム関連経費(文部科学省)
33施設整備費(文部科学省)」

まあ、ここまでは、程度の差はあれ、事業としては推進していいと評価されているわけで、あとは、金が取れるかどうかという問題になる。

問題は、概算要求で提出された中で、事業見直しを申し渡されているやつだな。

「C:
1広域・高分解能観測技術衛星の開発(文部科学省)(新規)
2雲エアロゾル放射ミッション/雲プロファイリングレーダ(EarthCARE/CPR)(文部科学省)
3月・探査ミッション研究・推進(文部科学省)
4日本実験棟「きぼう」の運用・科学研究等(文部科学省)
5産業振興基盤の強化(文部科学省)」

こうして、全89事業をみると、まあ、何となく、国家予算ベースでの宇宙政策の傾向が見て取れるわけだ。

見直し対象になっているとはいえ、きぼう実験棟については、引き続き予算が付くことは間違いない。

月は棚上げで、有人はきぼうだけ。

意外だったのは、準天頂衛星が、トッププライオリティを与えられているということだ。

産業への波及効果や、国際協調が期待できるからであろう。

情報収集衛星、ひまわりとともに、我が国の基幹衛星として位置づけられているようだ。

気になったので、新規事業にも注目してみた(前年度0といっても、新規とは限らない)。

「新規事業:
・特A:宇宙状況監視に必要な経費(文部科学省) (新規)
・特A:新型基幹ロケット(文部科学省)(新規)
・A:広域災害監視衛星ネットワークの開発・整備・運用(内閣府)(新規)
・A:デブリ除去システム技術実証(文部科学省)(新規)
・A:海洋資源調査のための次世代衛星通信技術に関する研究開発(総務省) (新規)
・A:基幹ロケット相乗り機会拡大対応改修(文部科学省) (新規)
・A:宇宙を利用した C4ISR の機能強化のための調査・研究の一部(防衛省)(新規)
・B:二国間クレジット制度(JCM)推進のための MRV 等関連する技術高度化事業(環境省) (新規)
・B:超低高度衛星技術試験機(SLATS)(文部科学省) (新規)
・B:太陽光発電無線送受電高効率化の研究開発(経済産業省)(新規)
・B:赤外センサの研究開発(文部科学省)(新規)
・C:広域・高分解能観測技術衛星の開発(文部科学省)(新規)」

殆どが事業として認められている中で、広域・高分解能観測技術衛星の開発(文部科学省)だけがCである。

事業統合されているのかもしれないが、気になるところだ。

今回打ち上げた「だいち2号」とともに運用が期待された「だいち3号」の芽は出なかったが、「広域災害監視衛星ネットワークの開発・整備・運用(内閣府)(新規)」の中での整備になるのかもしれない。

防衛省の案件がいくつか入っている。

「防衛省:
・A:宇宙を利用した C4ISR の機能強化のための調査・研究の一部
・A:気象衛星情報の利用
・A:Xバンド衛星通信中継機能等の整備・運営事業を含む衛星通信の利用
・A:宇宙を利用した C4ISR の機能強化のための調査・研究
・A:宇宙を利用した C4ISR の機能強化のための調査・研究の一部
・B:商用画像衛星の利用
・B:弾道ミサイル防衛(BMD)(宇宙関連)」

宇宙も平和利用だけではないということを実感する。

きれいごとを言ってはいられないのだ。

全体として、宇宙空間の利用促進といった政策を、良く反映している。

このあたりの手綱捌きは、成功しているといえるだろう。

まあ、それがいいかどうかは別である。

我が国は、地球軌道上での宇宙利用に注力することになった。

有人宇宙活動も、ISSを通じて堅持していくことになる。

月は、相変わらず遠いし、有人ロケットの打ち上げは影も形もない。

浮沈子は、有人である必要はないが、月や惑星、太陽といった、太陽系内の探査には、我が国が一定の役割を果たすべきだろうとは思う。

国際協力の中で、一定の役割を果たすという方法もあるが、やはり、自前で飛んで欲しいな。

水星探査機 Bepi Colombo(文部科学省)と第 26 号科学衛星(ASTRO-H)(文部科学省)がA評価である(両方とも、H15年度打ち上げ予定:ちなみに小惑星探査機「はやぶさ2」の開発(文部科学省)は、B評価)。

その辺りは、一人ひとり、考えが違うだろう。

もう、地球軌道上の宇宙利用は、有人であれ、無人であれ、当たり前になった。

だいち2号は、さっき、定刻どおりに打ち上げられて、何の面白みもないインターネット中継は、なぜか、相乗り衛星の射出を待たずに終わった。

ただ乗りしている衛星なんて、JAXAの予算で放映してなるものかという、タカビーな視点を感じる。

まあ、どうでもいいんですが。

日常化した衛星打ち上げは、国民の関心から離れ、単なる「お仕事」になる。

華々しさは霞んで、うまくいって当たり前になるわけだ。

それは、喜ばしいことではあるが、関心が遠のくことにも繋がる。

宇宙開発委員会が、宇宙政策委員会になって、防衛省の予算の一部を所掌するようになった。

弾道ミサイル防衛という、生々しい項目が登場する。

それが、宇宙を巡る我が国の将来を象徴しているように、浮沈子には感じられてならない。

宇宙時代になれば、地球上の小さな揉め事などは、きっと解決するに違いないと、少年の頃には考えていたが、事実は逆で、揉め事の解決を宇宙に持ち込むだけのことになった。

スパイ衛星が飛び交い、戦略情報を競って収集する。

宇宙外交推進費(外務省)というのがあるが、相手国を恫喝する手段として使われないとも限らない(まあ、そんな心配は杞憂かも知れないが)。

高分解能の光学観測衛星について、いろいろ揉めているのも、何らかの干渉があるからなのだろう。

その中で、超低高度衛星技術試験機(SLATS)(文部科学省) (新規)というのも気になる。

(超低高度衛星技術試験機(SLATS))
http://www8.cao.go.jp/space/comittee/dai19/sankou2-2.pdf

(超低高度衛星技術試験機(SLATS)の
検討状況について)
http://www.jaxa.jp/press/2013/09/20130904_slats_j.pdf

「軌道を低くすることで、結果的に分解能を高める効果が得られる」とある。

これは、スパイ衛星の技術である。

この低高度を維持するために、イオンエンジンを使用して、長期間にわたる超低高度を維持することも可能だ。

(平成26年度本予算、JAXAに対し約1,500億円の内示。H-Ⅲロケット(70億円)、超低高度衛星技術試験機(6億円)など。)
http://aerospace-economic-news.blogspot.jp/2014/01/FY26JAXA.html

「超低高度衛星技術試験機(SLATS)は、高度200から300kmを周回する衛星の構想。600から800kmの軌道を周回している従来の地球観測衛星と比較して、半分以下の高度を飛行するため、より詳細な観測が可能になることが期待されている。これまでJAXAは、衛星が受ける大気抵抗をイオンエンジンで打ち消すことで、超低高度衛星も技術的に実現可能とする考えを、文科省の宇宙開発利用部会などの場で示してきた。SLATSの総開発費は約34億円と見込まれている。」

実際に付いたのは、6億円ということだが、事業が承認されたことは大きい。

しかも、短期開発で2016年には打ち上げるという。

待ったなし、先進技術で、一気に解像度を上げてくるわけだ。

この技術と、従来からの光学センサーを組み合わせて、解像度10cm台も夢ではない(既に情報収集衛星は、41cm未満の解像度を実現)。

この解像度は、既にスパイ衛星の領域に踏み込んでいる。

(GOCE)
http://ja.wikipedia.org/wiki/GOCE

「衛星の矢のような形と羽根は、まだわずかな大気が残っている260kmという高度を飛ぶ際に、衛星を安定させるのに役立っており、宇宙のフェラーリとの異名を持つ。さらにイオンエンジンの噴射によって、機体を振動させずに大気抵抗による減速を防ぎ、軌道高度を維持することができる。」

すでに、大気圏に突入して燃え尽きているが、欧州宇宙機関(ESA)では既にこの技術を取得している。

浮沈子的には、準天頂衛星よりも、こっちの方が気になるな。

VSOP2014年05月24日 20:46

VSOP
VSOP


VSOPといえば、ベリー・スペシャル・ワン・パターンのことだと信じていた(ウソです)。

(VSOP)
http://ja.wikipedia.org/wiki/VSOP

「ブランデーの等級の一つ、Very Superior Old Pale 。」とある。

(ブランデー)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%BC

「元競馬騎手の吉永正人が戦法の一つとして行っていた「最後方強襲戦法」の別称。「ベリー・スペシャル・ワン・パターン」の略。」というのも、ちゃんとある!。

(吉永正人:騎手としての特徴)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E6%B0%B8%E6%AD%A3%E4%BA%BA#.E9.A8.8E.E6.89.8B.E3.81.A8.E3.81.97.E3.81.A6.E3.81.AE.E7.89.B9.E5.BE.B4

競馬の戦法とは知らなかったな。

今回のネタは、これ。

「人工衛星と超長基線電波干渉法を用いた電波天文学ミッション、VSOP計画(VLBI Space Observatory Programme; VLBI宇宙天文台計画)」

(VSOP計画)
http://ja.wikipedia.org/wiki/VSOP%E8%A8%88%E7%94%BB

「VSOP計画 (VLBI Space Observatory Programme) は、宇宙科学研究所(現宇宙航空研究開発機構)・国立天文台で研究・開発・運用が行われたスペースVLBI計画である。」

「1997年2月12日に打ち上げられた人工衛星はるか(MUSES-B)を用いて、世界各国の電波望遠鏡とともに長大な基線を持つ干渉計(VLBI)を構成し、遠方の銀河やクェーサーの観測に成果をあげた。予定では4年間の運用であったが、衛星軌道が高いことや、運用に関しても管制業務が連続的に行えたため、7年間に渡り運用を行うことができた。」

この衛星は、工学試験衛星の位置付けであったが、実際の観測にも成果を上げた。

(はるか (人工衛星))
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%AF%E3%82%8B%E3%81%8B_(%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E8%A1%9B%E6%98%9F)

「衛星の本体は寸法が1.5m x 1.5m x 1.0mの箱型で、その上部に展開式の大型アンテナを搭載している。質量は830kgで、地球を周回する長楕円軌道で運用される。光学系はカセグレン式を採用し、主鏡の最大径は10m(有効径8m)、主鏡から3.4mの高さに副鏡が取り付けられている。主鏡の反射面は金メッキされたモリブデンのワイヤーメッシュでできている」

「VLBIを実施する機器を有し、地球上の電波望遠鏡と連携して世界初のスペースVLBI観測(VSOP計画)を実施した。」

「2005年11月30日、残った燃料を投棄した上で、地上より停波指令を発信し、運用を終了した。当初寿命は3年と見積もられていたが、予定を超える8年9ヶ月の運用を達成した。」

「2006年、VSOP2計画に基づく後継となる電波天文衛星(第25号科学衛星ASTRO-G)への着手が発表されたが、この衛星はアンテナの開発に技術上の困難が生じたため中止となった。」

中止となったASTRO-Gについては、こちら。

(ASTRO-G)
http://ja.wikipedia.org/wiki/ASTRO-G

「ASTRO-Gは、国際的な天体観測プロジェクトである宇宙VLBI計画「VSOP-2」で使用するために、日本の国立天文台 (NAOJ) と宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究本部 (JAXA/ISAS) が中心となって開発していた電波天文衛星である。開発の過程で、中核となる高精度展開アンテナの技術課題が明らかになり、費用と開発期間の超過が予想されることから、2011年にプロジェクトは中止された。」

この手の衛星は、電波天文衛星と呼ばれるらしい。

(電波天文衛星)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E6%B3%A2%E5%A4%A9%E6%96%87%E8%A1%9B%E6%98%9F

「宇宙空間に電波望遠鏡を打ち上げて、天体観測を行うというのは、スペースVLBI衛星(はるか、ASTRO-G)だけではない。実際には、ノーベル物理学賞を受賞したCOBE衛星や宇宙誕生期の微かな電波観測を行い、宇宙の年齢を精密に測定したWMAP衛星などがある。」

「電波天文衛星一覧:
<スペースVLBI衛星>
・TDRS - 本来の用途はデータ中継衛星だが、1986年から1988年にかけてスペースVLBIの実証を行った。
・はるか - 宇宙科学研究所 (ISAS) が1997年に打ち上げた世界初のスペースVLBI衛星。
・ラジオアストロン - ロシアが2011年に打ち上げたスペースVLBI衛星。
・ASTRO-G - はるかの後継に相当するVLBI衛星。2011年に開発中止。」

「<ビッグバン宇宙論を実証した衛星>
・COBE衛星 - 所属:アメリカ航空宇宙局/ゴダード宇宙センター/カリフォルニア大学
・WMAP衛星 - 所属:アメリカ航空宇宙局/ゴダード宇宙センター/プリンストン大学」

「<ヨーロッパ宇宙機関で打ち上げた衛星>
プランク衛星 - WMAPでは観測の出来なかった精密観測を予定。」

宇宙の天文台だが、基本機能は通信衛星や放送衛星と同じだそうだ。

背景輻射を観測する衛星はともかく、宇宙空間に及ぶ長大な基線を確保して観測を行う宇宙VLBIというのは、そう簡単ではないようだ。

(超長基線電波干渉法)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%85%E9%95%B7%E5%9F%BA%E7%B7%9A%E9%9B%BB%E6%B3%A2%E5%B9%B2%E6%B8%89%E6%B3%95

「解像度は、アレイを構成するアンテナのうち、最も離れた二つの間の距離に比例する。VLBIではこの距離を、ケーブルでアンテナ同士を物理的に接続できないような長さにまで拡大することを可能にする。」

「VLBIは通常、ラジオ波の波長域で用いられるが、可視光領域にも応用されつつある。」

(超大型望遠鏡VLT)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%85%E5%A4%A7%E5%9E%8B%E6%9C%9B%E9%81%A0%E9%8F%A1VLT

「干渉計としての働き:
4台の望遠鏡を光ファイバーで繋ぎ、VLT干渉計(VLT Interferometer: VLTI)として使用することがある。これにより、実質口径130メートルの望遠鏡として動作させることができる。これはそれぞれの望遠鏡を単独で使うよりも25倍空間分解能の良い観測ができることを意味している。また、4台の望遠鏡のほかに口径1.8m望遠鏡からなるVLT干渉計補助望遠鏡(AT)を用いることで、より質の良い画像を得ることができる。」

光学望遠鏡まで、干渉計の時代かあ。

(OWL望遠鏡)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%85%E5%A4%A7%E5%9E%8B%E5%A4%A9%E4%BD%93%E6%9C%9B%E9%81%A0%E9%8F%A1

まあ、いろいろあるようだ。

干渉計も万能ではないらしい。

(開口合成)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%8B%E5%8F%A3%E5%90%88%E6%88%90

「複数の受信機を利用して、高分解能な情報を取得するための技術である。開口とは、電磁波を受信する素子、すなわち受信機を意味する言葉であり、複数の受信機を1つの大きな受信機に合成したような効果が得られるため、このように呼ぶ。」

「一般のアンテナ(電波受信機)の分解能限界は口径に比例し、観測波長に反比例する。しかし、電波の波長は可視光線の波長の一万倍以上長いものであるため、単体での分解能は光学系に比べて必然的に悪いものとなる。この問題を解消すべく、1946年、ケンブリッジ大学の天文学者マーティン・ライルらが、電波望遠鏡の分解能を向上させる方法として考案した、複数の電波望遠鏡を干渉計として使用する仕組みが開口合成である。ライルはこの業績によりノーベル物理学賞を受賞している。」

ほう、ノーベル賞級の発明だったわけだ。

「基線の長さが長くなるほど分解能が上がることから、受信機の位置を出来るだけ離すことで高分解能を得ることが出来る。もちろん、同時に複数の受信機を用いることで、精度を向上させることも出来る。同一の波であれば適応できるため、いわゆる電波だけでなく音波、地震波 でも適応可能である。開口合成を実施するには、到達時間の差を厳密に計測する必要がある。「正確な計時を行うこと」がこの技術の鍵となっている。」

「応用範囲:
一般的な応用例としては、合成開口レーダーがあげられる。合成処理に膨大な演算が必要なため利用が増加してきたのは比較的最近になってからであり、コンピュータの小型化や高速化によって用途が拡大してきている。そもそもの発端となった電波天文学においては、単体(1セット)の電波望遠鏡だけではなく、数千km の基線をもつVLBI(Very Long Baseline Interferometer:超長基線電波干渉計)でも利用されている。また、地球上にとどまらず電波望遠鏡を地球周回軌道へ打ち上げることでさらに基線を延長するスペースVLBIなども実施されている。また、VLBI については、測量にも利用されており、プレートテクトニクスによる大陸の移動の様子など、地殻の変化を調べるのに役立っている。」

正確な時計と、高速な演算処理が可能なコンピューターの登場が可能にした21世紀に相応しい技術である。

(合成開口レーダー)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%88%E6%88%90%E9%96%8B%E5%8F%A3%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%BC

「合成開口レーダーは、概念的には、軌道上に仮想的なアンテナをいくつも並べたものであるとされる。つまり、軌道を移動中に何回も送受信を行ない、受信した電波を、ドップラー効果を考慮した上で合成することによって、分解能を向上させている。すなわち、「小さな開口面(アンテナ)を合成して大きな開口面(アンテナ)を実現するレーダー」であり、そのため「合成開口レーダー」と呼ばれる。」

「移動方向と直交する方向の分解能を向上(レンジ圧縮)するためには、短い時間内に送信波の周波数を微妙に変化させることによって、擬似的にドップラー効果と同様の効果を実現する必要がある。そのような送信波のことを、チャープ信号と呼ぶ。」

このチャープ信号というのが分からなかったので調べた。

(3時間で分かる合成開口レーダ)
http://members2.jcom.home.ne.jp/keiko0/sarthreehours.pdf

「もとより、合成開口レーダのような難しい技術を3時間で完全に理解することは、不可能です。」

「しかし、一般人には、このような分かった気にさせてくれる教材が必要と思います。」

あのー、全然分かった気にならないんですけど・・・。

まあいい。

「チャープ信号(Chirp signal):
レーダの分解能を高めるためには、パルス幅を狭くする必要があるが、技術的に難しい。このかわりに、周波数が時間的に線形に変化する信号が使われる。この信号をチャープ信号という。」

無論、これは、レンジ方向の分解能のことで、アジマス方向の分解能は、SAR技術を使っても、アンテナの実長の半分にしかならない。

短くすりゃあいいんだろうが、ノイズが増えるというデメリットがある。

なんちゃって、このくらいの知識は手に入るわけだな。

もちろん、数式の部分は、浮沈子の頭の中では全て黒塗り状態である・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

合成開口レーダーのデータは、ちゃんと処理しないと使い物にならないというのも分かった。

原理的に、そういうものだからだ。

比較的波長が長く、透過性のよいLバンドレーダーを積むだいち2号は、その特性を生かして森林などの葉を透過して、その下の地面の浅いところまで観測することが出来る。

少し、疲れたので、今日はここまで。