🚀インドの宇宙開発:宇宙ステーションだってえ!? ― 2024年09月24日 15:46
インドの宇宙開発:宇宙ステーションだってえ!?
(インド、再利用可能なロケットと宇宙ステーションモジュールの開発を承認)
https://arstechnica.com/space/2024/09/india-is-on-a-path-to-become-the-worlds-third-largest-space-power/
「総額で27億ドルの費用がかかると推定される。資金のほとんどは、同国の宇宙ステーションと再利用可能な打ち上げロケットに充てられる。」
うーん、再使用ロケットの需要としては、いささかショボい気がするけど、宇宙ステーションを上げるのに一定の頻度と回数を要することは確かだ。
人類は、3個目の宇宙ステーションを持つことになる(2個目は中国が上げているからな)。
ロシアも計画はしているようだが、当てにはならない。
「モディ首相が水曜日に発表した承認により、インドは2030年代に米国と中国に次ぐ第3位の宇宙大国となる軌道に乗ることになる。」
「インドの宇宙計画により同国は「世界の3大宇宙大国のうちの1つ」の地位に躍り出るだろう」(インドの液体推進システムセンター所長、V・ナラヤナン氏)
「これは、インドがロシアの宇宙計画を追い越すことを望んでいることを示唆している。」
「ロシア政府が、独立した国家宇宙ステーション、ソユーズ有人宇宙船の代替、あるいは重量物の再利用可能なロケットを支援できるかどうかについては、深刻な疑問がある。」
ここで重要なのは、インドが独立した「有人」宇宙開発を目指しているという点だ。
欧州や我が国は、米国に依存(国際協力ともいうが)して有人宇宙開発を進めている。
独自の宇宙船を使って打ち上げることはない。
ロシア、中国は既に有人宇宙船を所有している。
インドは、その列に連なろうとしているわけだ。
「欧州と日本も宇宙で多くの成果を上げているが、独立した有人宇宙飛行計画がなく、両国政府は再使用ロケットの開発を大幅に支援する措置を講じていない。」
有人宇宙開発と再使用ロケットが連動しているとは必ずしも言えない。
が、両者は多額の費用を要し、開発が長期に及ぶという点では共通している。
インドは、宇宙開発に投入するコストは僅かだが、ピンポイントでツボを押さえ、効果的に開発を進めている。
世界最大の人口を抱える国家として、宇宙大国であることは必要なポジションなんだろう。
将来的に、ロシアと中国、そしてインドは、宇宙で協力し合うことになる。
その際に、有利な位置を占めるためにも、これからの10年を有効に活用してく必要があるわけだ。
「インドは早ければ来年、ガガンヤーン有人宇宙飛行計画で宇宙飛行士を軌道上に打ち上げる4番目の国になることを目指している。」
「この計画が再び延期されたとしても、インドが次に有人宇宙飛行クラブに加わることはほぼ確実だ。」
有人宇宙開発は、月探査や惑星探査とは次元が異なる。
宇宙クラブのメンバーとして、一人前と見做されるためには避けて通れないパスだ。
こういう一点豪華主義的宇宙政策(そうなのかあ?)は、一昔前の流行ような気がするけど、逆に、今後、このスタイルを追求する国家が次々と台頭してくる可能性もある。
ブラジル、イラン、南アフリカ共和国(?)、イスラエルやパキスタンとかも、可能性は否定できない。
インドは、これらの国々に技術供与して、その存在感を高めていくことになるだろう。
まあ、イランとかはロシア辺りから直接移転するかもしれないし、イスラエルは米国からいくらでも支援が受けられるからな。
まあ、どうでもいいんですが。
浮沈子的に驚くのは、やはり宇宙ステーションだ。
「新たな資金は、ガガンヤーン計画の無人試験飛行1回と、インドのインド宇宙ステーション「バーラティヤ・アナトリクシュ」の最初のモジュールの打ち上げも予定されている2028年までの8回の実証ミッションにも充てられる。」
「インドは2035年までに、5つのモジュールを軌道上に乗せ、52トンの完全組み立て済み宇宙ステーションを建設する計画」
達成時期はともかく、使い捨てロケットで可能なレベルで、実現可能性は高い。
再使用ロケットよりは現実味がある。
有人宇宙開発とのマッチングも悪くないしな。
記事では、再使用ロケットへの取り組みについても書かれているが、ファルコン9のコンセプトをなぞっただけの感じだ。
「スーリヤ ロケットの第 1 段には着陸脚が備えられ、オフショア バージに垂直着陸したり、発射場に戻ったりできる。これは、SpaceX がファルコン 9 ブースターを回収する方法に似ている。」
中国の再使用ロケットと異なり、こちらは、まだスロットリング可能なエンジンの試験中だ。
もっとも、メタロックス推進剤を使用する点では、チャレンジングではあるけどな。
それだけに、早急に結果を出そうとしているわけではなく、取り組んでいるというエクスキューズだけな気もする。
再使用ロケットの打ち上げ能力で宇宙ステーションを構築するというコンセプトではなさそうだ(なーんだ・・・)。
まあいい。
「インド政府は新型ロケットの開発を8年以内に完了することを目指している。インド政府によると、運用開始後は、同ロケットはインドの宇宙ステーションへの乗組員打ち上げを含む国家および商業ミッションを支援」
記事では、惑星探査についても触れられているが割愛する。
全体を読むと、どうも米国の後追いな気もするけど、インドの宇宙開発が民需を喚起できるかはいささか疑問だ。
軍事需要がベースにあって、膨大なリソースを擁する米国の真似をしても、やがては馬脚を現すことになる。
アルテミスに参加し、米国のスキームに乗って見せてはいるけど、この国の宇宙開発は独自だ。
当分は、形の上では中国の後追いになるだろう。
今回は見送られたようだが、2040年までには独自で月面有人探査を狙っている。
中国から10年遅れだが、無理のないところだ。
それまでに、現在の宇宙開発への投資がどれだけ続くか、或いは増加するかというところだな。
やっぱ、宇宙ステーションの中って、カレー味になっちまうのかな・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(インド、月サンプルリターン、金星探査機、宇宙ステーションモジュール、再利用可能ロケットを承認)
https://spacenews.com/india-approves-moon-sample-return-venus-orbiter-space-station-module-and-reusable-launcher/
「チャンドラヤーン4号月サンプル回収ミッションを承認」
「このミッションの複雑さは、2040年までに宇宙飛行士を月に着陸させるというインドの目標に向けた基礎的な技術と能力を提供するものとなる。」
「このミッションにより、インドは有人ミッション、月サンプルの回収、月サンプルの科学的分析のための重要な基礎技術を自給自足できるようになる。実現に向けて、インド産業界が大きく関与することになるだろう」(政府の声明)
自給自足か・・・。
植民地の歴史を持つ国家が追及する「絶対的な価値」だ。
「インド宇宙基地(BAS-1)の初モジュールを承認」
「ガガンヤーン有人宇宙飛行計画の範囲と予算を拡大」
計画は詳細に及んでいる。
「2026年までに4つのミッションを実施」
「2028年12月までにBASの最初のモジュールの開発と、BASのさまざまな技術の実証と検証のための4つのミッションを実施」
最初のマイルストーンまでは2年、次も2年刻みで計画されている。
具体的だな・・・。
「予算は、拡張に対応するために1110億ルピー(13億5000万ドル)増加し、2010億ルピー(4億3200万ドル)となった。」(計算、おかしくね?:The Gaganyaan budget was expanded by 111 billion rupees ($1.35 billion) to 201 billion rupees ($432 million) to accommodate the expansion.)
ちなみに、1ドル≒84インドルピーくらいだ。
んなんで足りるかどうかは別にしても、予算の裏付けを伴う中期計画として明確に位置づけられている。
再使用ロケットも出ている。
「NGLVは現在のLVM3の3倍の積載量を1.5倍のコストで運ぶように設計」
「再利用可能な部品とモジュール式のグリーン推進システムを備え、低コストで効率的な宇宙へのアクセス手段を提供」
「このプロジェクトには824億ルピー(9億9,400万ドル)が割り当てられている。」
「開発段階では8年間にわたり3回の試験飛行が行われる予定」
んなんで開発できるとは到底思えないが、それなりのやる気は感じられる。
大胆に予想すれば、再使用は放棄(無期限の先送りでもいいけど)されるのではないか。
宇宙ステーションにしても、有人飛行や月面着陸にしても、再使用である必然性はどこにもない。
インドの使い捨てロケットは、打ち上げ頻度はともかく、価格的には再使用ロケットに匹敵する経済性があるからな。
開発してますという、エクスキューズだけになるかもしれない。
まあいい。
「全体として、これらの開発はインドの宇宙部門への多大な資源投資と、月や惑星の探査、打ち上げ、有人宇宙飛行など多様な目標を掲げた野心の拡大を表している。」
アンドリュージョーンズはそう言っているけど、浮沈子的には宇宙ステーション以外は現在の延長線上にあるような気がしている。
既存のプロジェクトを再定義して、見栄えよくしただけ(そうなのかあ?)。
それでも、独自の宇宙ステーション建造に名乗りを上げ、初期モジュールの打ち上げスケジュールを出した点には注目する。
そう上手くいくんだろうか・・・。
(インド、再利用可能なロケットと宇宙ステーションモジュールの開発を承認)
https://arstechnica.com/space/2024/09/india-is-on-a-path-to-become-the-worlds-third-largest-space-power/
「総額で27億ドルの費用がかかると推定される。資金のほとんどは、同国の宇宙ステーションと再利用可能な打ち上げロケットに充てられる。」
うーん、再使用ロケットの需要としては、いささかショボい気がするけど、宇宙ステーションを上げるのに一定の頻度と回数を要することは確かだ。
人類は、3個目の宇宙ステーションを持つことになる(2個目は中国が上げているからな)。
ロシアも計画はしているようだが、当てにはならない。
「モディ首相が水曜日に発表した承認により、インドは2030年代に米国と中国に次ぐ第3位の宇宙大国となる軌道に乗ることになる。」
「インドの宇宙計画により同国は「世界の3大宇宙大国のうちの1つ」の地位に躍り出るだろう」(インドの液体推進システムセンター所長、V・ナラヤナン氏)
「これは、インドがロシアの宇宙計画を追い越すことを望んでいることを示唆している。」
「ロシア政府が、独立した国家宇宙ステーション、ソユーズ有人宇宙船の代替、あるいは重量物の再利用可能なロケットを支援できるかどうかについては、深刻な疑問がある。」
ここで重要なのは、インドが独立した「有人」宇宙開発を目指しているという点だ。
欧州や我が国は、米国に依存(国際協力ともいうが)して有人宇宙開発を進めている。
独自の宇宙船を使って打ち上げることはない。
ロシア、中国は既に有人宇宙船を所有している。
インドは、その列に連なろうとしているわけだ。
「欧州と日本も宇宙で多くの成果を上げているが、独立した有人宇宙飛行計画がなく、両国政府は再使用ロケットの開発を大幅に支援する措置を講じていない。」
有人宇宙開発と再使用ロケットが連動しているとは必ずしも言えない。
が、両者は多額の費用を要し、開発が長期に及ぶという点では共通している。
インドは、宇宙開発に投入するコストは僅かだが、ピンポイントでツボを押さえ、効果的に開発を進めている。
世界最大の人口を抱える国家として、宇宙大国であることは必要なポジションなんだろう。
将来的に、ロシアと中国、そしてインドは、宇宙で協力し合うことになる。
その際に、有利な位置を占めるためにも、これからの10年を有効に活用してく必要があるわけだ。
「インドは早ければ来年、ガガンヤーン有人宇宙飛行計画で宇宙飛行士を軌道上に打ち上げる4番目の国になることを目指している。」
「この計画が再び延期されたとしても、インドが次に有人宇宙飛行クラブに加わることはほぼ確実だ。」
有人宇宙開発は、月探査や惑星探査とは次元が異なる。
宇宙クラブのメンバーとして、一人前と見做されるためには避けて通れないパスだ。
こういう一点豪華主義的宇宙政策(そうなのかあ?)は、一昔前の流行ような気がするけど、逆に、今後、このスタイルを追求する国家が次々と台頭してくる可能性もある。
ブラジル、イラン、南アフリカ共和国(?)、イスラエルやパキスタンとかも、可能性は否定できない。
インドは、これらの国々に技術供与して、その存在感を高めていくことになるだろう。
まあ、イランとかはロシア辺りから直接移転するかもしれないし、イスラエルは米国からいくらでも支援が受けられるからな。
まあ、どうでもいいんですが。
浮沈子的に驚くのは、やはり宇宙ステーションだ。
「新たな資金は、ガガンヤーン計画の無人試験飛行1回と、インドのインド宇宙ステーション「バーラティヤ・アナトリクシュ」の最初のモジュールの打ち上げも予定されている2028年までの8回の実証ミッションにも充てられる。」
「インドは2035年までに、5つのモジュールを軌道上に乗せ、52トンの完全組み立て済み宇宙ステーションを建設する計画」
達成時期はともかく、使い捨てロケットで可能なレベルで、実現可能性は高い。
再使用ロケットよりは現実味がある。
有人宇宙開発とのマッチングも悪くないしな。
記事では、再使用ロケットへの取り組みについても書かれているが、ファルコン9のコンセプトをなぞっただけの感じだ。
「スーリヤ ロケットの第 1 段には着陸脚が備えられ、オフショア バージに垂直着陸したり、発射場に戻ったりできる。これは、SpaceX がファルコン 9 ブースターを回収する方法に似ている。」
中国の再使用ロケットと異なり、こちらは、まだスロットリング可能なエンジンの試験中だ。
もっとも、メタロックス推進剤を使用する点では、チャレンジングではあるけどな。
それだけに、早急に結果を出そうとしているわけではなく、取り組んでいるというエクスキューズだけな気もする。
再使用ロケットの打ち上げ能力で宇宙ステーションを構築するというコンセプトではなさそうだ(なーんだ・・・)。
まあいい。
「インド政府は新型ロケットの開発を8年以内に完了することを目指している。インド政府によると、運用開始後は、同ロケットはインドの宇宙ステーションへの乗組員打ち上げを含む国家および商業ミッションを支援」
記事では、惑星探査についても触れられているが割愛する。
全体を読むと、どうも米国の後追いな気もするけど、インドの宇宙開発が民需を喚起できるかはいささか疑問だ。
軍事需要がベースにあって、膨大なリソースを擁する米国の真似をしても、やがては馬脚を現すことになる。
アルテミスに参加し、米国のスキームに乗って見せてはいるけど、この国の宇宙開発は独自だ。
当分は、形の上では中国の後追いになるだろう。
今回は見送られたようだが、2040年までには独自で月面有人探査を狙っている。
中国から10年遅れだが、無理のないところだ。
それまでに、現在の宇宙開発への投資がどれだけ続くか、或いは増加するかというところだな。
やっぱ、宇宙ステーションの中って、カレー味になっちまうのかな・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(インド、月サンプルリターン、金星探査機、宇宙ステーションモジュール、再利用可能ロケットを承認)
https://spacenews.com/india-approves-moon-sample-return-venus-orbiter-space-station-module-and-reusable-launcher/
「チャンドラヤーン4号月サンプル回収ミッションを承認」
「このミッションの複雑さは、2040年までに宇宙飛行士を月に着陸させるというインドの目標に向けた基礎的な技術と能力を提供するものとなる。」
「このミッションにより、インドは有人ミッション、月サンプルの回収、月サンプルの科学的分析のための重要な基礎技術を自給自足できるようになる。実現に向けて、インド産業界が大きく関与することになるだろう」(政府の声明)
自給自足か・・・。
植民地の歴史を持つ国家が追及する「絶対的な価値」だ。
「インド宇宙基地(BAS-1)の初モジュールを承認」
「ガガンヤーン有人宇宙飛行計画の範囲と予算を拡大」
計画は詳細に及んでいる。
「2026年までに4つのミッションを実施」
「2028年12月までにBASの最初のモジュールの開発と、BASのさまざまな技術の実証と検証のための4つのミッションを実施」
最初のマイルストーンまでは2年、次も2年刻みで計画されている。
具体的だな・・・。
「予算は、拡張に対応するために1110億ルピー(13億5000万ドル)増加し、2010億ルピー(4億3200万ドル)となった。」(計算、おかしくね?:The Gaganyaan budget was expanded by 111 billion rupees ($1.35 billion) to 201 billion rupees ($432 million) to accommodate the expansion.)
ちなみに、1ドル≒84インドルピーくらいだ。
んなんで足りるかどうかは別にしても、予算の裏付けを伴う中期計画として明確に位置づけられている。
再使用ロケットも出ている。
「NGLVは現在のLVM3の3倍の積載量を1.5倍のコストで運ぶように設計」
「再利用可能な部品とモジュール式のグリーン推進システムを備え、低コストで効率的な宇宙へのアクセス手段を提供」
「このプロジェクトには824億ルピー(9億9,400万ドル)が割り当てられている。」
「開発段階では8年間にわたり3回の試験飛行が行われる予定」
んなんで開発できるとは到底思えないが、それなりのやる気は感じられる。
大胆に予想すれば、再使用は放棄(無期限の先送りでもいいけど)されるのではないか。
宇宙ステーションにしても、有人飛行や月面着陸にしても、再使用である必然性はどこにもない。
インドの使い捨てロケットは、打ち上げ頻度はともかく、価格的には再使用ロケットに匹敵する経済性があるからな。
開発してますという、エクスキューズだけになるかもしれない。
まあいい。
「全体として、これらの開発はインドの宇宙部門への多大な資源投資と、月や惑星の探査、打ち上げ、有人宇宙飛行など多様な目標を掲げた野心の拡大を表している。」
アンドリュージョーンズはそう言っているけど、浮沈子的には宇宙ステーション以外は現在の延長線上にあるような気がしている。
既存のプロジェクトを再定義して、見栄えよくしただけ(そうなのかあ?)。
それでも、独自の宇宙ステーション建造に名乗りを上げ、初期モジュールの打ち上げスケジュールを出した点には注目する。
そう上手くいくんだろうか・・・。
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