🐱スターシップ:来週秒読み ― 2024年03月08日 00:14
スターシップ:来週秒読み
(次のスターシップミッションの暫定的な打ち上げ日は3月14日です。)
https://arstechnica.com/space/2024/03/the-next-starship-mission-has-a-tentative-launch-date-march-14/
「SpaceX がこの試験飛行中に完了しようとしているマイルストーンには次のようなものがあります。」
・名目上の第 1 段階のパフォーマンスと、それに続く超大型ブースターのメキシコ湾への制御された降下
・「ホットステージング」、つまり第 1 段がまだエンジンに点火している間にエンジンを点火することを使用して、宇宙船を第 1 段から切り離す
・宇宙船が軌道速度に到達しエンジンが停止
・スターシップの推進剤タンク内での宇宙燃料補給技術の初期段階テスト
・インド洋におけるスターシップの制御された着水。
「インド洋」とあるところは、最初、ハワイ沖となっていた。
エリックバーガー自身が気付いたのか、指摘があったのかは知らないが、さっき見たら訂正されていた。
この他にも、大気圏外でのラプターエンジンの再着火なども予定されている(後述)。
「最初の 2 回の飛行から得た教訓に基づいて、ハードウェアと飛行ソフトウェアをアップグレードしたこの次のミッションは、おそらく成功する可能性がかなり高いでしょう。」
「成功」というのが、細かい動作試験全ての100パーセントの完了を指すのか、発射台をぶっ壊さずに離陸し、とりあえず2段目を宇宙空間に放り上げ、「インド洋」におっこどせばいいだけなのかは知らない。
「最近、連邦航空局は、スペースXが今年少なくとも9回スターシップを打ち上げようとしていると明らかにした。」
スターシップが、たとえ2段目使い捨てだろうと、1段目回収の成功率が低かろうと、運用を始めることになれば、打ち上げロケット業界には激震が走る。
「画期的」という言葉は、スターシップのためにあるようなもんだ。
軌道上に何かを持ち上げる手段として、大量、低コスト、高頻度という3本柱の桁が、それぞれ1桁ずつ上がることになるわけだからな。
べらぼーめ・・・。
ペイロードは、使い捨てにした場合、地球低軌道に250トンといわれている(1段目も使い捨てかどうかは未確認)。
現在、打ち上げロケットの世界的スタンダードとなっているファルコン9の場合、1段目を回収して打ちあげた時の最大ペイロード重量が15トン程度(もちっと重いかも)といわれているので、仮に完全再使用で100トンくらいになったとしても、桁が上がることは間違いない(2段目再使用でも100から150トンだそうです:後述)。
打ち上げ頻度はどうか。
まあ、そんだけの需要があるかどうかは知らないが、グウィンショットウェルは、毎日10回の飛行を目指していると言ってたからな(大陸間弾道旅客ロケットとして飛ばした場合)。
これは、一桁どころではないかも知れない(現在、同一ロケット(1段目)では、1か月くらいのインターバルが必要だ:最近は未確認)。
2桁アップということになる。
さて、最も重要なコストだが、完全再使用の場合、耐用打ち上げ回数が問題になる。
貨物用と有人用では、2段目の回数が異なるからな。
貨物用では100回程度は使えるだろう(記憶で書いているので、テキトーです)。
1段目は、1000回といわれている。
ファルコン9(1段目のみ再使用)が、20回程度で運用されていることを考えると、これも2桁アップの可能性がある。
つーことは、コストの大部分を占めるロケットエンジンの合計価格が10倍だったとしても、打ち上げ1回当たりのロケットのトータルコストが10分の1という話には十分以上の蓋然性がある(エンジンの基数自体は、ファルコン9(10基)の約4倍(39基))。
でかくて安くて頻繁なわけだ。
ファルコンの時にも書いたけど、価格もさることながら、高頻度の打ち上げによる市場占有率の高さがものをいう(絶対的な価格決定権が手に入る:まあ、今でもそうだし、だからULAが身売りすることになった)。
現在でも、全世界で見て、宇宙空間に上がっている重量の8割はファルコン9が打ち上げている。
スターシップの運航が、文字通り軌道に乗れば、99.8パーセント程度が占められるようになる(他社の需要に変化がないと、良心的に仮定:実際には、政府需要以外は全てスターシップになるだろう)。
年間打ち上げ回数と1回当たりの打ち上げ重量が、それぞれ10倍になれば、少なくとも計算上はそうなる(全部で100トンだと仮定すると、現在80トンのところ、8000トンになる:8000÷8020×100≒99.75パーセント)。
エリックバーガーが、スターシップが部屋の中のゾウだと言っている意味が、よーっく分かる話だ。
少なくとも、民間の衛星会社(っていうのかあ?)にとって、特殊なタイミングで特殊な軌道に打ち上げる場合を除いて、選択の余地はない。
ゼロだ・・・。
その場合の単位重量当たりのコストは、スターシップで上げるコストの100倍かかることになる(頻度は別です)。
それで済めば、むしろかなり安上がりだ(比較しているのが、現在のファルコン9だからな)。
格安航空のエコノミーで行くか、丸ごと1機チャーターするかの違いだからな(中東の王様とかは、そうしてるんでしょうけど)。
来週、IFT3で上がるロケットは、そういうロケットだということだ。
(SpaceXが次のStarship飛行にテストを追加)
https://spacenews.com/spacex-adds-tests-to-next-starship-flight/
「スペースXは3月6日、スターシップ/スーパーヘビービークルの3回目の統合試験飛行が早ければ3月14日にも打ち上げられると予想していると発表した。」
「連邦航空局の関係者は(中略)3月中旬の打ち上げに間に合うように最新のライセンスを準備できる見込みであると述べた。」
「3 回目の飛行のプロファイルでは、打ち上げから約 65 分後にインド洋に着水することが予測されています。」
「この新しい飛行経路により、公共の安全を最大限に確保しながら宇宙でのエンジン燃焼などの新しい技術を試みることが可能になります」
「このミッションに追加されたもう 1 つの飛行中テストは、スターリンク衛星を展開する将来の打ち上げに使用されるペイロード ベイ ドアの開閉です。」
テキサスから離陸して65分でインド洋に着水ということになれば、大西洋とアフリカを超えるだけということになる。
弾道飛行だな(未確認)。
それでも、無重力(微小重力)下での燃料移送テストが行われるわけで、ほぼほぼ形だけということになる(ちょびっと加速度を与えないと移送はできない)。
(スターシップの3回目の飛行試験)
https://www.spacex.com/launches/mission/?missionId=starship-flight-3
公式ページも上がっている。
「3回目の飛行テストは、これまでの飛行から学んだことを基礎にしながら、両ステージの上昇燃焼の成功、スターシップのペイロードドアの開閉、上段の海岸フェーズでの推進剤移送のデモンストレーションなど、多くの野心的な目標を試みることを目的」
「宇宙滞在中のラプターエンジンの史上初の再点灯、およびスターシップの制御された再突入。また、スターシップはインド洋での着水を目標に、新たな軌道を飛行する予定だ。この新しい飛行経路により、公共の安全を最大限に確保しながら、宇宙内でのエンジン燃焼などの新しい技術を試すことが可能になります。」
「乗組員と貨物の両方を地球周回軌道まで運び、人類が月に帰還し、最終的には火星やその先へ旅行できるよう、完全に再利用可能な輸送システムの構築に取り組む上で、再帰的な改善は不可欠です。」
エリックバーガーは成功の可能性が高いと言っているけど、浮沈子はそうは思わない。
決して、へそ曲がりで言っているわけではなく、S社自身が「野心的」と表現している通り、
①スターシップのペイロードドアの開閉(再突入時の断熱が心配!)
②推進剤移送のデモンストレーション
③宇宙滞在中のラプターエンジンの再着火及び正常な燃焼
④スターシップ(ここでは2段目のこと)の制御された再突入と大気圏内でのマニューバリング
⑤インド洋でのソフトランディング(制御された着水)
全てがチャレンジングな課題だ。
「両ステージの上昇燃焼の成功」(ホットステージング含む)のみが、なんとか達成可能と思われるレベルだ(酸素の搭載量はどーすんだろうな・・・)。
1段目のメキシコ湾でのソフトランディングだって、100パーセント挑戦的なトライになる。
成功率は半分以下だろう(テキトーです)。
完全な成功などあり得ない(断定的!:1段目の軟着水を含めた6項目の成功率が、仮に全て50パーセントだとすると、全項目の成功率は1.6パーセント程度だ:0.5^6=0.015625)。
地上設備の改修だって、上手く稼働できるかどうかは未知だ(ウェットドレスリハーサルは成功したようです)。
壊してみなけりゃ分らんだろう!?。
「これらの飛行テストはいずれも、単なるテストであり続けます。これらは研究室や試験台で発生しているのではなく、学習を最大限に高めるために飛行環境に飛行ハードウェアを設置しています。」
能代では、イプシロンSの2段目のロケットモーターが、異常燃焼を起こして建物ごと吹っ飛んだ。
(イプシロンS 燃焼試験中の爆発事故 点火装置の一部溶融が原因)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231212/k10014286001000.html
「事実に基づいて着実に原因を判断することができた。失敗した過去は変わらないが、未来の打ち上げ成功に向けて、さらに気を引き締めていく」
ロケット開発の現場は、同じプロセスを踏んでいく。
物理の神様は公平だ。
ド田舎(失礼!)の建屋内でコソコソ隠れて(そうなのかあ?)試験を行うか、大出力のエンジンテストなどを行う巨大な建造物を建てるのが面倒なので、衆人環視の中、オープンスペースな試験場で、大っぴらに爆発炎上木っ端微塵にするかの違いだけだ。
壊してみなけりゃ分らんだろう!?。(再掲!)
2度あることは3度ある。
3度あることは9度ある(今年は、9回打ち上げるそうです)。
たまたま上手く行ったところが、次回に壊れることだってある。
H3の2段目だって、そうだったからな。
(スペースX、スターシップの第3回飛行試験を早ければ3月14日に実施へ)
https://sorae.info/space/20240307-starship.html#google_vignette
「スペースXによれば、両段を再利用する構成では100~150トンのペイロード(搭載物)を打ち上げることが可能」
「2段目のStarship宇宙船は単体でも地球上の2地点間を1時間以内に結ぶ準軌道飛行(サブオービタル飛行)が可能」
おっと、2段目だけで大陸間弾道飛行か。
米軍が欲しがるわけだよなあ・・・。
「打ち上げは早ければ日本時間2024年3月14日21時にも行われる模様です(承認のスケジュールや天候条件次第で変更される可能性があります)。」
来週は大変だな・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(スペースX、「スターシップ」IFT-2の飛行試験は“成功” - 14日に次の飛行試験)
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20240307-2900095/
「早ければ3月14日にも、3度目の飛行試験に挑む」
久々に鳥嶋さんの記事。
「従来、スーパー・ヘヴィとスターシップ宇宙船の分離には、分離直前に機体に少しスピンを与えたうえで、両者を結合している器具を外すのみという、きわめて簡素な仕組みを使っていた。これにより、コスト低減や運用性の向上といったメリットがあるとしていた。」
「しかし、IFT-1ではこの方法でうまく分離できなかったことなどから、IFT-2では「ホット・ステージング」という仕組みに変わった。」
ははあ、そういうこともあったのか。
浮沈子は、速度損失の減少とペイロード積載量の増加しか認識がなかったけどな(えーと、本音では、分離のタイミングを誤魔化す手段だとばっかし!)。
まあいい。
1段目と2段目の爆発炎上木っ端微塵(RUD?)については、特に新しい話はない。
「最も可能性の高い原因は、エンジンに液体酸素を供給する部分にあるフィルターの閉塞」
1段目のトラブルに対して想定される原因については、対策が施されていると言われる。
「液体酸素の排出を開始した際、スターシップ宇宙船の後部セクションから漏れが発生し、さらに燃え出し、火災を引き起こした。」
2段目についても同様だ。
「漏れの低減、防火性の向上、信頼性を高めるため推進剤の排出に関連した操作の改良」
えーと、つーことは、推進剤はやはり余剰分を積み込んで、飛行中に排出する可能性があるということなわけだ(未確認)。
ふーん・・・。
「その結果、計画された燃焼が完了する前に、6基のエンジンすべてが停止し、そして自律飛行安全システムが問題を検知して、飛行中断システムを作動させ、機体を破壊(いわゆる自爆)した。」
ひょっとすると、この話は再発のリスクがあるな。
対策が有効に機能するかどうかは、確認の必要がある。
もしかすると、実際の運用にあたっても、余剰の推進剤の排出手順が想定されているのかもしれない。
イーロンマスクは、実際にペイロードを搭載していれば、起こり得ないトラブルだと言ってたけどな(<さらに追加>参照)。
怪しい・・・。
実に怪しい!。
まあ、どうでもいいんですが。
浮沈子は、決して墜落激突爆発炎上木っ端微塵(RUD?)を期待しているわけではない。
人類が、究極の再使用ロケットを手に入れることを楽しみにしているだけだ。
周辺の環境や安全の面からも、無事に打ち上げられ、軌道上に達し、計画通り再突入の後、インド洋上にソフトランディングするに越したことはない。
「スターシップ(Starship)はスペースXが開発中のロケットで、全長は120m、直径は9mで、打ち上げ時の質量は5000tもあり、地球低軌道に150t以上の打ち上げ能力をもつ、人類史上最大・最強のロケットである。」
こういうのは、米国人は大好きだろうな・・・。
<さらに追加>ーーーーーーーーーー
(スペースX、スターシップ3回目の飛行は暫定的に3月14日を目標に)
https://spaceflightnow.com/2024/03/07/spacex-tentatively-targets-march-14-for-third-starship-flight/
「2 便はほぼ実際に軌道に到達しました。実際、皮肉なことに、もしペイロードがあれば軌道に乗ることができただろう」(スペースX創設者のイーロン・マスク氏:以下同じ)
「軌道に乗せられなかった理由は、液体酸素を放出したためであり、その液体酸素が最終的に火災と爆発を引き起こしたからです。」
「ペイロードがある場合、通常は液体酸素が存在しないため、液体酸素を排出したいと考えていました。つまり皮肉なことに、ペイロードがあれば軌道に到達していたはずだ。したがって、3号機が軌道に到達する非常に良い見通しが立ったと思います」
うーん、どっちが本当なんだろうな。
「漏れの低減、防火性の向上、信頼性を高めるため推進剤の排出に関連した操作の改良」(上記の<以下追加>より再掲)
「推進剤の搬出に関連した操作の改良」により「信頼性を高める」必要があるということは、すなわち、酸素を輩出する「操作」を行うことがあるということに他ならない。
それは、IFT-3ではもしかしたら行わないかも知れないけど、年内に行われる残り8回の打ち上げテストで行われる可能性もあるし、実際の運用に入ってからも行われるだろう。
再突入時の機体重量は厳密に管理されている必要がある。
強力な助燃材である酸素を大量に抱えたままというのも、あまり気持ちがいい状態とは言えないし、流動する余分な重量を腹に抱えてあちこち重心が動き回る中で、コールドガス(未確認)と動翼でマニューバリングするというのも避けたいところだ。
飛行中に、酸素を排出する手順の確立が必要で、そのための追加テストが今後行われるに違いないというのは合理的推測と思われる。
まあ、どうでもいいんですが。
別に、ここんとこに拘ることもないんだが、S社のチョー楽観的見通しに付き合ってると、来年辺り、月より先に火星に向かって民間人を飛ばしそうな気がしてくるからな。
ちなみに、来年は火星飛行には向かない年回り(星回り?:火星は太陽の向こう側)だけどな・・・。
(次のスターシップミッションの暫定的な打ち上げ日は3月14日です。)
https://arstechnica.com/space/2024/03/the-next-starship-mission-has-a-tentative-launch-date-march-14/
「SpaceX がこの試験飛行中に完了しようとしているマイルストーンには次のようなものがあります。」
・名目上の第 1 段階のパフォーマンスと、それに続く超大型ブースターのメキシコ湾への制御された降下
・「ホットステージング」、つまり第 1 段がまだエンジンに点火している間にエンジンを点火することを使用して、宇宙船を第 1 段から切り離す
・宇宙船が軌道速度に到達しエンジンが停止
・スターシップの推進剤タンク内での宇宙燃料補給技術の初期段階テスト
・インド洋におけるスターシップの制御された着水。
「インド洋」とあるところは、最初、ハワイ沖となっていた。
エリックバーガー自身が気付いたのか、指摘があったのかは知らないが、さっき見たら訂正されていた。
この他にも、大気圏外でのラプターエンジンの再着火なども予定されている(後述)。
「最初の 2 回の飛行から得た教訓に基づいて、ハードウェアと飛行ソフトウェアをアップグレードしたこの次のミッションは、おそらく成功する可能性がかなり高いでしょう。」
「成功」というのが、細かい動作試験全ての100パーセントの完了を指すのか、発射台をぶっ壊さずに離陸し、とりあえず2段目を宇宙空間に放り上げ、「インド洋」におっこどせばいいだけなのかは知らない。
「最近、連邦航空局は、スペースXが今年少なくとも9回スターシップを打ち上げようとしていると明らかにした。」
スターシップが、たとえ2段目使い捨てだろうと、1段目回収の成功率が低かろうと、運用を始めることになれば、打ち上げロケット業界には激震が走る。
「画期的」という言葉は、スターシップのためにあるようなもんだ。
軌道上に何かを持ち上げる手段として、大量、低コスト、高頻度という3本柱の桁が、それぞれ1桁ずつ上がることになるわけだからな。
べらぼーめ・・・。
ペイロードは、使い捨てにした場合、地球低軌道に250トンといわれている(1段目も使い捨てかどうかは未確認)。
現在、打ち上げロケットの世界的スタンダードとなっているファルコン9の場合、1段目を回収して打ちあげた時の最大ペイロード重量が15トン程度(もちっと重いかも)といわれているので、仮に完全再使用で100トンくらいになったとしても、桁が上がることは間違いない(2段目再使用でも100から150トンだそうです:後述)。
打ち上げ頻度はどうか。
まあ、そんだけの需要があるかどうかは知らないが、グウィンショットウェルは、毎日10回の飛行を目指していると言ってたからな(大陸間弾道旅客ロケットとして飛ばした場合)。
これは、一桁どころではないかも知れない(現在、同一ロケット(1段目)では、1か月くらいのインターバルが必要だ:最近は未確認)。
2桁アップということになる。
さて、最も重要なコストだが、完全再使用の場合、耐用打ち上げ回数が問題になる。
貨物用と有人用では、2段目の回数が異なるからな。
貨物用では100回程度は使えるだろう(記憶で書いているので、テキトーです)。
1段目は、1000回といわれている。
ファルコン9(1段目のみ再使用)が、20回程度で運用されていることを考えると、これも2桁アップの可能性がある。
つーことは、コストの大部分を占めるロケットエンジンの合計価格が10倍だったとしても、打ち上げ1回当たりのロケットのトータルコストが10分の1という話には十分以上の蓋然性がある(エンジンの基数自体は、ファルコン9(10基)の約4倍(39基))。
でかくて安くて頻繁なわけだ。
ファルコンの時にも書いたけど、価格もさることながら、高頻度の打ち上げによる市場占有率の高さがものをいう(絶対的な価格決定権が手に入る:まあ、今でもそうだし、だからULAが身売りすることになった)。
現在でも、全世界で見て、宇宙空間に上がっている重量の8割はファルコン9が打ち上げている。
スターシップの運航が、文字通り軌道に乗れば、99.8パーセント程度が占められるようになる(他社の需要に変化がないと、良心的に仮定:実際には、政府需要以外は全てスターシップになるだろう)。
年間打ち上げ回数と1回当たりの打ち上げ重量が、それぞれ10倍になれば、少なくとも計算上はそうなる(全部で100トンだと仮定すると、現在80トンのところ、8000トンになる:8000÷8020×100≒99.75パーセント)。
エリックバーガーが、スターシップが部屋の中のゾウだと言っている意味が、よーっく分かる話だ。
少なくとも、民間の衛星会社(っていうのかあ?)にとって、特殊なタイミングで特殊な軌道に打ち上げる場合を除いて、選択の余地はない。
ゼロだ・・・。
その場合の単位重量当たりのコストは、スターシップで上げるコストの100倍かかることになる(頻度は別です)。
それで済めば、むしろかなり安上がりだ(比較しているのが、現在のファルコン9だからな)。
格安航空のエコノミーで行くか、丸ごと1機チャーターするかの違いだからな(中東の王様とかは、そうしてるんでしょうけど)。
来週、IFT3で上がるロケットは、そういうロケットだということだ。
(SpaceXが次のStarship飛行にテストを追加)
https://spacenews.com/spacex-adds-tests-to-next-starship-flight/
「スペースXは3月6日、スターシップ/スーパーヘビービークルの3回目の統合試験飛行が早ければ3月14日にも打ち上げられると予想していると発表した。」
「連邦航空局の関係者は(中略)3月中旬の打ち上げに間に合うように最新のライセンスを準備できる見込みであると述べた。」
「3 回目の飛行のプロファイルでは、打ち上げから約 65 分後にインド洋に着水することが予測されています。」
「この新しい飛行経路により、公共の安全を最大限に確保しながら宇宙でのエンジン燃焼などの新しい技術を試みることが可能になります」
「このミッションに追加されたもう 1 つの飛行中テストは、スターリンク衛星を展開する将来の打ち上げに使用されるペイロード ベイ ドアの開閉です。」
テキサスから離陸して65分でインド洋に着水ということになれば、大西洋とアフリカを超えるだけということになる。
弾道飛行だな(未確認)。
それでも、無重力(微小重力)下での燃料移送テストが行われるわけで、ほぼほぼ形だけということになる(ちょびっと加速度を与えないと移送はできない)。
(スターシップの3回目の飛行試験)
https://www.spacex.com/launches/mission/?missionId=starship-flight-3
公式ページも上がっている。
「3回目の飛行テストは、これまでの飛行から学んだことを基礎にしながら、両ステージの上昇燃焼の成功、スターシップのペイロードドアの開閉、上段の海岸フェーズでの推進剤移送のデモンストレーションなど、多くの野心的な目標を試みることを目的」
「宇宙滞在中のラプターエンジンの史上初の再点灯、およびスターシップの制御された再突入。また、スターシップはインド洋での着水を目標に、新たな軌道を飛行する予定だ。この新しい飛行経路により、公共の安全を最大限に確保しながら、宇宙内でのエンジン燃焼などの新しい技術を試すことが可能になります。」
「乗組員と貨物の両方を地球周回軌道まで運び、人類が月に帰還し、最終的には火星やその先へ旅行できるよう、完全に再利用可能な輸送システムの構築に取り組む上で、再帰的な改善は不可欠です。」
エリックバーガーは成功の可能性が高いと言っているけど、浮沈子はそうは思わない。
決して、へそ曲がりで言っているわけではなく、S社自身が「野心的」と表現している通り、
①スターシップのペイロードドアの開閉(再突入時の断熱が心配!)
②推進剤移送のデモンストレーション
③宇宙滞在中のラプターエンジンの再着火及び正常な燃焼
④スターシップ(ここでは2段目のこと)の制御された再突入と大気圏内でのマニューバリング
⑤インド洋でのソフトランディング(制御された着水)
全てがチャレンジングな課題だ。
「両ステージの上昇燃焼の成功」(ホットステージング含む)のみが、なんとか達成可能と思われるレベルだ(酸素の搭載量はどーすんだろうな・・・)。
1段目のメキシコ湾でのソフトランディングだって、100パーセント挑戦的なトライになる。
成功率は半分以下だろう(テキトーです)。
完全な成功などあり得ない(断定的!:1段目の軟着水を含めた6項目の成功率が、仮に全て50パーセントだとすると、全項目の成功率は1.6パーセント程度だ:0.5^6=0.015625)。
地上設備の改修だって、上手く稼働できるかどうかは未知だ(ウェットドレスリハーサルは成功したようです)。
壊してみなけりゃ分らんだろう!?。
「これらの飛行テストはいずれも、単なるテストであり続けます。これらは研究室や試験台で発生しているのではなく、学習を最大限に高めるために飛行環境に飛行ハードウェアを設置しています。」
能代では、イプシロンSの2段目のロケットモーターが、異常燃焼を起こして建物ごと吹っ飛んだ。
(イプシロンS 燃焼試験中の爆発事故 点火装置の一部溶融が原因)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231212/k10014286001000.html
「事実に基づいて着実に原因を判断することができた。失敗した過去は変わらないが、未来の打ち上げ成功に向けて、さらに気を引き締めていく」
ロケット開発の現場は、同じプロセスを踏んでいく。
物理の神様は公平だ。
ド田舎(失礼!)の建屋内でコソコソ隠れて(そうなのかあ?)試験を行うか、大出力のエンジンテストなどを行う巨大な建造物を建てるのが面倒なので、衆人環視の中、オープンスペースな試験場で、大っぴらに爆発炎上木っ端微塵にするかの違いだけだ。
壊してみなけりゃ分らんだろう!?。(再掲!)
2度あることは3度ある。
3度あることは9度ある(今年は、9回打ち上げるそうです)。
たまたま上手く行ったところが、次回に壊れることだってある。
H3の2段目だって、そうだったからな。
(スペースX、スターシップの第3回飛行試験を早ければ3月14日に実施へ)
https://sorae.info/space/20240307-starship.html#google_vignette
「スペースXによれば、両段を再利用する構成では100~150トンのペイロード(搭載物)を打ち上げることが可能」
「2段目のStarship宇宙船は単体でも地球上の2地点間を1時間以内に結ぶ準軌道飛行(サブオービタル飛行)が可能」
おっと、2段目だけで大陸間弾道飛行か。
米軍が欲しがるわけだよなあ・・・。
「打ち上げは早ければ日本時間2024年3月14日21時にも行われる模様です(承認のスケジュールや天候条件次第で変更される可能性があります)。」
来週は大変だな・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(スペースX、「スターシップ」IFT-2の飛行試験は“成功” - 14日に次の飛行試験)
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20240307-2900095/
「早ければ3月14日にも、3度目の飛行試験に挑む」
久々に鳥嶋さんの記事。
「従来、スーパー・ヘヴィとスターシップ宇宙船の分離には、分離直前に機体に少しスピンを与えたうえで、両者を結合している器具を外すのみという、きわめて簡素な仕組みを使っていた。これにより、コスト低減や運用性の向上といったメリットがあるとしていた。」
「しかし、IFT-1ではこの方法でうまく分離できなかったことなどから、IFT-2では「ホット・ステージング」という仕組みに変わった。」
ははあ、そういうこともあったのか。
浮沈子は、速度損失の減少とペイロード積載量の増加しか認識がなかったけどな(えーと、本音では、分離のタイミングを誤魔化す手段だとばっかし!)。
まあいい。
1段目と2段目の爆発炎上木っ端微塵(RUD?)については、特に新しい話はない。
「最も可能性の高い原因は、エンジンに液体酸素を供給する部分にあるフィルターの閉塞」
1段目のトラブルに対して想定される原因については、対策が施されていると言われる。
「液体酸素の排出を開始した際、スターシップ宇宙船の後部セクションから漏れが発生し、さらに燃え出し、火災を引き起こした。」
2段目についても同様だ。
「漏れの低減、防火性の向上、信頼性を高めるため推進剤の排出に関連した操作の改良」
えーと、つーことは、推進剤はやはり余剰分を積み込んで、飛行中に排出する可能性があるということなわけだ(未確認)。
ふーん・・・。
「その結果、計画された燃焼が完了する前に、6基のエンジンすべてが停止し、そして自律飛行安全システムが問題を検知して、飛行中断システムを作動させ、機体を破壊(いわゆる自爆)した。」
ひょっとすると、この話は再発のリスクがあるな。
対策が有効に機能するかどうかは、確認の必要がある。
もしかすると、実際の運用にあたっても、余剰の推進剤の排出手順が想定されているのかもしれない。
イーロンマスクは、実際にペイロードを搭載していれば、起こり得ないトラブルだと言ってたけどな(<さらに追加>参照)。
怪しい・・・。
実に怪しい!。
まあ、どうでもいいんですが。
浮沈子は、決して墜落激突爆発炎上木っ端微塵(RUD?)を期待しているわけではない。
人類が、究極の再使用ロケットを手に入れることを楽しみにしているだけだ。
周辺の環境や安全の面からも、無事に打ち上げられ、軌道上に達し、計画通り再突入の後、インド洋上にソフトランディングするに越したことはない。
「スターシップ(Starship)はスペースXが開発中のロケットで、全長は120m、直径は9mで、打ち上げ時の質量は5000tもあり、地球低軌道に150t以上の打ち上げ能力をもつ、人類史上最大・最強のロケットである。」
こういうのは、米国人は大好きだろうな・・・。
<さらに追加>ーーーーーーーーーー
(スペースX、スターシップ3回目の飛行は暫定的に3月14日を目標に)
https://spaceflightnow.com/2024/03/07/spacex-tentatively-targets-march-14-for-third-starship-flight/
「2 便はほぼ実際に軌道に到達しました。実際、皮肉なことに、もしペイロードがあれば軌道に乗ることができただろう」(スペースX創設者のイーロン・マスク氏:以下同じ)
「軌道に乗せられなかった理由は、液体酸素を放出したためであり、その液体酸素が最終的に火災と爆発を引き起こしたからです。」
「ペイロードがある場合、通常は液体酸素が存在しないため、液体酸素を排出したいと考えていました。つまり皮肉なことに、ペイロードがあれば軌道に到達していたはずだ。したがって、3号機が軌道に到達する非常に良い見通しが立ったと思います」
うーん、どっちが本当なんだろうな。
「漏れの低減、防火性の向上、信頼性を高めるため推進剤の排出に関連した操作の改良」(上記の<以下追加>より再掲)
「推進剤の搬出に関連した操作の改良」により「信頼性を高める」必要があるということは、すなわち、酸素を輩出する「操作」を行うことがあるということに他ならない。
それは、IFT-3ではもしかしたら行わないかも知れないけど、年内に行われる残り8回の打ち上げテストで行われる可能性もあるし、実際の運用に入ってからも行われるだろう。
再突入時の機体重量は厳密に管理されている必要がある。
強力な助燃材である酸素を大量に抱えたままというのも、あまり気持ちがいい状態とは言えないし、流動する余分な重量を腹に抱えてあちこち重心が動き回る中で、コールドガス(未確認)と動翼でマニューバリングするというのも避けたいところだ。
飛行中に、酸素を排出する手順の確立が必要で、そのための追加テストが今後行われるに違いないというのは合理的推測と思われる。
まあ、どうでもいいんですが。
別に、ここんとこに拘ることもないんだが、S社のチョー楽観的見通しに付き合ってると、来年辺り、月より先に火星に向かって民間人を飛ばしそうな気がしてくるからな。
ちなみに、来年は火星飛行には向かない年回り(星回り?:火星は太陽の向こう側)だけどな・・・。
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