😼欧州大戦争:「ミクロン」と核の傘2025年03月07日 07:44

欧州大戦争:「ミクロン」と核の傘


(核の傘拡大示唆のマクロン氏やゆ、ロ前大統領「退任惜しまれず」)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/7IBRQQ5YIBMTLKVRPUIB3BAJ5Y-2025-03-06/

「「ミクロン氏」と記して「(同氏)自身は大きな脅威ではない。遅くとも2027年5月14日までには永遠に姿を消し、惜しまれることはないだろう」」(いつの間に「改名」したんだあ?。)

ったく、メドベージェフは相変わらず口が悪い。

先日、米国大統領執務室でゼレンスキーに噛みついたバンスとともに、次世代の米ロを統べることになるかも知れず、先が思いやられる。

まあいい。

「マクロン氏(もちろん、こっちが正しい!)は5日夜にテレビ放映された国民向け演説で、欧州はロシアの脅威に立ち向かわなければならないと訴え、フランスの核の傘を欧州同盟諸国に拡大することについて議論する用意があると提案。」

ロシアの欧州侵攻が時間の問題となる中、フランスは欧州の盟主としての存在感を発揮しようとしている。

(仏大統領、欧州への核の傘拡大検討を示唆 米政権への懸念認める)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/I7BINPQ6ZVNZPLT5SETDNLXI3I-2025-03-05/

「 フランスのマクロン大統領は5日、ロシアは欧州全体にとって脅威であるとし、フランスの核の傘を欧州の同盟諸国に拡大することについて議論する用意」

「欧州の核保有国はフランスとイギリスのみ」

浮沈子の妄想の中では、ウクライナが密かに開発していることになってるんだがな。

まあ、どうでもいいんですが。

「しかし、将来のドイツ首相の歴史的な呼びかけに応えて、われわれの(核)抑止力を通じて欧州大陸の同盟国を守るための戦略的議論を始めることを決定した」(マクロン大統領)

「米国が「われわれの側に留まる」と信じたいとしながらも、それが事実でなくなった場合に備えて欧州は備えていなければならない」(同上)

フランスの核弾頭保有数は300発弱(290発)といわれ、200発程度(225発)の英国よりはやや多い。

それぞれ数千発を超える米ロや、500発超から1000発程度に増産中の中国とは異なる。

英仏の核配備は原潜搭載のSLBMに限られており、米ロ中のような多様な運用形態は持たない(フランスには若干のバリエーションがあるようです。<以下追加>参照)。

英国は、原潜搭載ミサイルについては米国に依存しており、欧州独自の核戦略としては馴染まない。

ミクロン(もとい、マクロン!)の鼻息が荒くなるのも無理はない。

ドイツのメルツが次期首相に収まる公算の中、ウクライナ支援や米国の欧州撤退の構図を踏まえてのタイミングなわけだ。

「次期ドイツ首相への就任が見込まれる中道右派キリスト教民主同盟(CDU)のメルツ党首は、北大西洋条約機構(NATO)が6月まで「現在の形態」を維持するかどうか疑問視し、核防衛拡大についてフランスと英国との協議を求めた。」

こういった動きに対するロシアの反応は興味深い。

(米は現実路線にシフト、EUは対立姿勢崩さず=ロシア外務省)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/PEQQZSEQLJIRPB2PRVJM5LULVU-2025-03-06/

「米ロはこのところ、ウクライナ停戦を巡り両国の高官協議を行うなど関係改善の兆しをみせており、欧州同盟国の不安をかき立てている。」

「ザハロワ氏は「欧州のエリート」はルソフォビア(ロシア嫌悪症)にとらわれ、欧州諸国は和平に関心がないため再軍備を進めていると主張した。」

つまり、この流れを作っているのは米国の態度豹変ということだな。

<スタート>
トランプ政権への交代
→米ロの関係改善
→欧州同盟国の不安
→欧州の再軍備
→ミクロン(マクロン!)の核の傘
→欧州大戦争?
<ゴール>

その背景にあるのが「ルソフォビア(ロシア嫌悪症)」だと言うんだろうが、ウクライナ侵攻の現実を見ればスウェーデンやフィンランドじゃなくたってロシアが好きになるとは思えないんだがな(北朝鮮とかは大好きでしょうが)。

トランプだって、ロシアが好きだから関係改善しているわけじゃない。

台頭する中国の封じ込めなどと米国の衰退に伴うポジション改善のツールとして、仕方なく対ロ関係を使おうとしているだけだ。

元より欧州への関心は低い。

つーか、欧州は対ロシア戦略における単なるエサに過ぎない。

もちろん、ウクライナ問題だって、その流れの中にあるんだろうけど、タイミングが悪過ぎた。

米国の政策転換の中に埋没しちまっている。

ウクライナを国家として存続させること、紛争を早期に収束させること、戦後の安全保障は欧州が担うことを3本柱として、現実的な対応を模索している。

領土の一体性、公正な平和、正義の実現といった従来の価値観は雲散霧消。

そこには自由と民主主義という普遍的な価値観でさえ、影も形もない(そうなのかあ?)。

軍事力や経済力といった実質的な力を背景にした取引(ディール)の世界だ。

欧州は、完全に置いて行かれている。

理念や理想、歴史的背景や文化力は、機能不全に陥っている。

やれやれ・・・。

かくあれかしと望むことより、こうするしかないという選択肢で動く世界。

昨日までとは全く異なる風景の中で、日常は昨日と同じように回っている。

不思議な感覚だが、それが現実だ。

もしかすると、パラダイムの転換などというのは幻で、従来の価値観は不変なのかも知れないとすら思える。

トランプ政権の4年間の大騒ぎが収まれば、世界はまた元の鞘に納まり、これまでと同じように回り出すような気になる。

そう考える方が生き易いし、気分的にも安定していられるような錯覚もあるしな。

が、残念ながらそうはならない。

欧州大戦争が起こるかどうかは政治的な選択の問題だが、米国をはじめとする西欧世界の衰退や中国インドなどの台頭は経済をベースにした抗い難い大きな流れだ。

国民国家を超えた動きに対し、単独国家主体のスキームで対応しようというムリポな話を、帝国主義的発想で乗り切ろうとしている。

悪手だはと思うけど、米ロ中はそうすることを選択した。

浮沈子的には、欧州は第4の中心になろうとしているようにも見える。

まあ、実際には3.5くらいにしかならないだろうけど。

それが緊張を緩和する方向に動けばいいけど、マクロンのアプローチはどう見ても逆方向としか思えない。

メルツがそれに乗っかり、欧州をけん引することになれば、トランプの欧州離れはさらに進むだろう。

プーチンの思う壺に、どっぷりとハマることになる。

既に触れたように、フランス(英国も)の核兵器は、第2撃用の報復的価値しかない。

つまり、相手が使う前には使えないわけで、通常戦力で圧倒されれば張子の虎なわけだ。

戦術的にはないのと同じだからな。

ぶっちゃけ、ロシアにとっては欧州侵攻の口実が増えるだけの話だ。

ラブロフは、早速、ロシアにとっての脅威だと明言しているしな。

(仏大統領の発言は「核による脅しのニュアンス」、ロシアが非難)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/5BK5JPTEDRMSBEJTBU2LAOV7WM-2025-03-06/

「ロシアのラブロフ外相も6日、マクロン大統領の核に関する発言はロシアにとって脅威という認識を示した。」

プーチンは、笑いが止まらんだろう。

「ナポレオンの時代に戻ることを願っている人もまだいるようだが、その時代がどのように終えんを迎えたか忘れているようだ」(プーチン大統領)

帝政ロシアの復活を目論んでいるおまいに言われたくない気もするけどな。

重層的な意味で、歴史が繰り返されないことを祈るのみだな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(フランスの核戦力一覧)
https://www.recna.nagasaki-u.ac.jp/recna/nuclear1/nuclear_list_202406/france202406?doing_wp_cron=1741303441.1788699626922607421875

確認のために調べたら、原潜搭載用(240発)以外にも、航空機搭載用の核弾頭が若干存在する(40発)。

一覧表では空母艦載機(ラファールMF3)への割り当てはないけど、有事には空母シャルル・ドゴールへ搭載されると見られている(作戦外貯蔵分10発)。

まあいい。

核兵器は、その破壊力の桁違いの大きさから、数の問題とは言えないけど、運用形態の多様性、残存性は重要だ。

マクロンは、第1撃用の核もあるぞと言いたいんだろうが、それでロシアと真っ向勝負するというのはギャンブルだな。

(世界の核弾頭一覧)
https://www.recna.nagasaki-u.ac.jp/recna/nuclear1/nuclear_list_202406

・ロシア:4380
・米国:3708
・中国:500
・フランス:290
・英国:225
・パキスタン:170
・インド:170
・イスラエル:90
・北朝鮮:50
(2024.6.1現在:、ロシアは2022年9月、米国は2023年3月のデータが最後)

西側が殺人者やら狂人呼ばわりしているプーチンと、誰も(本人も?)が認める変人のトランプが8千発以上の核弾頭を管理しているというのは、それ自体が狂気の沙汰だ。

我が国がこの表に登場するのはいつになるのかな・・・。

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