😼メキシコへの道:第3章:ジャンプとギャップ ― 2023年08月09日 17:15
メキシコへの道:第3章:ジャンプとギャップ
<おことわり>ーーーーーーーーーー
この記事では洞窟潜水(ケーブダイビング)に関する記述が出てきます。閉鎖環境(直接水面に浮上することができない環境)での潜水は非常に危険です。指導団体による正規のトレーニングを終了せずに行うことは命に係わります。
浮沈子の個人的見解ですが、オープンウォーター(海洋など、直接水面に浮上できる場所)で行うダイビングに比べて100倍ヤバいです(オープンウォーターダイビングも十分危険なレジャーですが)。
知る限りの指導団体では、講習は段階を踏んで行われます(実際の講習では連続して行われることもあるようです)。各段階ごとに侵入できるエリアには制限が設けられています。それを超えて洞窟の奥へ侵入することは禁じられています(講習終了した段階の制限を超えては進めません:リスク管理は厳格です)。
一方、正規の訓練を受け、正しい態度や十分なスキルを身に着け、必要な器材を十分に使いこなすことができれば、そして、洞窟のさらに奥に何があるかについて、カリブ海のカラフルな熱帯魚の群れよりも興味があるなら、充実したダイビング体験ができることは請け合います。
では、死神の絵が描かれている看板の奥に行ってみましょう・・・。
ーーーーーーーーーーー
浮沈子はメキシコのセノーテしか洞窟潜水した経験はないんだが(それ以外では雲見とかで、穴ぼこに入った程度)、セノーテでは、一般のレジャーダイビングで潜るエリアには、パーマネントラインという太めの紐が張ってあって、その紐を辿っていけば目的地に着けるようになっている。
入り組んだ網の目のようなケーブシステム(と呼ぶようです)では、ふつーな設えなんだが、その紐(パーマネントライン)には、途切れているところや、近くに離れて設置されている別のラインがあったりする。
そういう途切れや、離れた接続(接続してはいませんが)のことを、ジャンプとがギャップと呼んでいる。
また、その途切れを超えて先へ進むことも「ジャンプする」とか言うことがあるようだ(ギャップするというのは聞かないけどな:ギャップを飛ぶとか言うようです)。
ジャンプやギャップは、洞窟潜水独特のライン構造(ラインの途切れ)だ(沈船のペネトレーションで、同様のライン構造があるかどうかは知りません)。
洞窟潜水でメインライン(パーマネントライン)に沿って、しかも現地のガイドさんの後についてカバーン(英語の発音では「キャバン」に近い?:昼間、自然光が直接見える)エリアで潜る限り、目にする機会はないはずだ。
逆に、簡単に目に触れて、あれは何だろうとそっちに行ってしまうようなことがないように、目立たないように設置されていなければならない。
メインラインが、途中でぶちっと切れていたりすることもある(ギャップ:これを体験できるのは、中級レベル以上:カバーンエリアでは通常お目にかかれない)。
この場合は、意図的に切り離してあるわけで、その先に行けるかどうかは受講したトレーニングのレベルによる。
浮沈子が受けた講習では、イントロケーブダイバーと呼ばれる中級レベルでは、ここで行き止まりになる。
フルケーブダイバーという、ふつーのケーブダイバー(ケーブダイバーとしての、ほんの入り口:その先にも果てしないレベルがあるようです)の講習を受ける中で、その意義とその先に侵入する際の技術や知識を学ぶ。
メインラインから離れて設置されている別のガイドラインに移ることもある(ジャンプ)けど、それもフルケーブダイバー以上のスキルになる。
ここでは、その詳細には触れない。
洞窟の奥にひいてあるラインには、意図的に切り離してある構造があるということを紹介するに留める。
その意図は、ワケワカなダイバーは、ここから先に行ってはいけないということに尽きる。
訳が分かっている(ワケワカじゃない)ダイバーは、どのように対処して侵入すべきか、当然知っているからな。
分からなければ、その先には進めない。
Uターンして引き返すしかない。
メインラインが途中でブチ切れていれば、そして、その先にそのまま続いていれば、それは典型的なギャップだ。
が、ラインの構造(張ってある物理的なラインのトポロジー)を見ただけでは、それがジャンプであるかギャップであるかを区別することができない場合もある。
辿ってきたラインのブチ切れの先に、別のラインが延長線上ではなく横に張られていたら?(実際にそういう場所があるかどうかは知りませんが)。
どちらから来たのか、どう移動しようとしているのかが考慮されなければ、ジャンプなのかギャップなのかは判断できない。
重ねて繰り返して恐縮だが、ケーブダイビングのトレーニングを受けていないダイバーが、ジャンプやギャップを目にすることはない。
そうでないダイバーがそれを見ちゃったということは、その時点で既に相当ヤバいことになっているわけだ。
ラインの途切れは命の途切れだ。
ここまで読んでこられた方の中には、不思議に思っている方もいるだろう。
ケーブダイビングをする際には、複数のライトを携行し、ラインを目で追いながら進んでいくはずなのに、なぜ切れ目を入れたりするのか。
洞窟の中の透視度が常にいいとは限らないし、ライトが無事に機能するとは限らないからな。
ゼロビジ(ゼロ・ビジビリティ)では、ラインを手で触り辿りながら出口に向かわなければならない。
ラインの切れ目は命の切れ目。
ラインを切ってあるということは、正しいスキルがない場合は戻れなくなるぞという警告なのだ。
もちろん、正しいスキルでその先に侵入する際には、それなりの手段を講じて戻ってこられるようにしている。
その手立てをしなければ、先に進めないぞということを示しているのがジャンプやギャップなわけだ。
メキシコのセノーテの中には、エルエデンなどのように広いオープンウォーターエリアを持つものもある。
そこから誤って洞窟の奥にラインを辿りながら行ってしまうことがないように、メインラインの端は、かなり奥の方に設置してある(それ自体がギャップになっているわけです)。
もちろん、その手前にはお約束の死神看板があるしな(エルエデンにあったかどうかは忘れました:何か所か入り口があったけど)。
ドスオホスとかでは、カバーンエリアのメインライン(カバーンライン)と明確に分離されて、ケーブエリアのメインラインが設置されている。
通常ではわからない位置にある。
分離されているのは、安全のためだ。
知識も技術も経験もないまま、危険に身を晒すことほど愚かなことはない。
オープンウォーターでも、大深度(ここでは30m以深:現在、多くの指導団体ではこの深度を限界深度としている)潜水では相当のリスクを負うことになる。
某指導団体では、12m、18mと段階を区切って、必要な知識と技術を教え、徐々に経験値を上げていくことを推奨している(そうだったっけえ?)。
ケーブダイビングだって、本来ならそうあるべきだろう。
カバーンエリアでファンダイビングして、中性浮力やトリムのコントロールなど洞窟のダイビングに十分馴染んでから、ジャンプやギャップの手前まで行けるイントロケーブダイビングに進み、そこまでの経験値を積んで、トラブルシューティングを含めて薬籠中にしてからフルケーブダイビングの講習に進むのが正しい。
速く走る者が遠くまで行けるわけではない。
が、実際にはメキシコ行くのだって大変だからな。
一気に仕上げてしまいたい。
浮沈子は、2年前の晩秋(初冬?)にカバーンダイビングに行って下見をした。
それ以前に、国内で、カバーン講習も受けている。
サイドマウントでの受講を希望したので、そのスキルチェックも事前に受けている(淡水環境でも、プールだけでなく本栖湖でも潜りました:海洋でも基礎的なスキルは習得してましたが)。
中性浮力は今でも苦手だけど、プールでは3mで2時間粘って練習していた。
それでも、昨年2月末からの講習では、9日間の長めのスケジュールでいっぱいいっぱいだった。
講習終了から既に1年以上が経過し、記憶は衰え、スキルは忘れ、錆び付いている。
年末のメキシコ行きが実現するかどうかは分からないが、徐々に知識の復習、スキルの確認(先日のチェックでは、マスク交換が出来ず:一応、その後復習済み)、総合的なトレーニングを再開していかなければならない。
ケーブダイバーとしては、時間的なギャップ(文字通り)があるわけで、それを埋めるための作業が必要だな。
残念ながら、浮沈子はジャンプアップ出来ない。
一つ一つ、丁寧に埋めていくより他はない。
出来ないことがあれば、何度でも繰り返してできるようになるまで続けるのみだ。
その努力を続ける情熱を持続できる間は、この世界に触れていられる。
指で作った輪の中のラインのように・・・。
ロストラインしちまったら?。
その時は、洞窟潜水から足を洗うまでだ。
これからは、何かを得ることよりも失っていくことの方が多いに違いない。
先日、シングルタンクでファンダイブしたんだが、エキジットして口の中が何か変な感じだったが、気が付いたら前歯が1本なかった(!)。
浮沈子の前歯2本は、チタン製の人工歯根にプラスチック(?)の歯を被せてある。
その左の前歯1本が、被せてあったチタン製の人工歯根から外れてしまっていた(接着剤が取れてたわけだな)。
幸い、歯はマウスピースの中に残っていたので、無事に回収して昨日、近所の歯医者で着けてもらった(人工歯根は、まだ使えるそうです)。
まあいい。
ギャップは至る所にある。
記憶は途切れ、薄れていく。
昔のことは覚えていても、さっきのことは忘れている(夕べ、何食ったっけ・・・)。
洞窟の奥に、死神看板の先に何があるのかが知りたくて、メキシコまで出かけて潜った。
もちろん、ケーブダイバーとしてはほんの入り口のところだけど(減圧できないし、深度40mまでしか行けない。もちろん、エクストラタンクは持てないし、スクーターも使用できない)。
洞窟の奥には洞窟だけがどこまでも続いている。
トラバース(縦断)して、別のオープンウォーターエリアに出るまではな。
或いは、サーキットを回って元のオープンウォーターエリアに戻るまでは。
某指導団体のテキストの著者後書きにはこうある・・・。
「オーバーヘッド環境を冒険することは危険であり、生命を脅かす可能性がある行為です。」
当然のことだが、リスクを避けるには何もしないのが一番だ。
車にも乗らず、ましてやタイタニックを見に、安物潜水艇で潜ったりしないのが正しい。
(タイタニック潜水艇 “破壊されるような音を検知か”米有力紙)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230623/k10014107101000.html
「観光用の潜水艇「タイタン」は、18日現地時間の午前8時に海中に潜り、潜水開始から1時間45分後の午前9時45分連絡が取れなくなりました。」
「こうした中、22日午前、無人の探査機が破片を発見し、アメリカの沿岸警備隊は午後3時ごろの会見で、見つかった破片は潜水艇の耐圧室が破壊されたことを示していて、乗っていた5人の生存は絶望的だという見解を示しました。」
どっちが危険なのかは何とも言えない。
テキストの後書きにはこんな記述もある・・・。
「時間をかけてケーブを学び、少しずつ理解してください。絶えずテクニックを磨き、トラブル解決の手順を懸命に練習しましょう。」
「あなたのトレーニングには決して終点がありません。」
そうしないで、1年前に発行されたCカードだけに頼って漫然とダイビングする方が、余程危険かもしれない。
ロストライン(ロストガイドライン)のトレーニングを大瀬崎でやった際、浮沈子はラインに辿り着けずに失敗した(これは、ロストバディと共にイントロケーブのスキルです)。
詳細は割愛するが、水底を這いつくばって進む距離感を誤ったことが最大の原因だ。
が、そのスキルに失敗したことが最大の収穫だったと思っている。
洞窟をなめてはいけない・・・。
「あなたが遭遇する、それぞれの環境に伴う危険性に対して感謝の意を育み、すべてのケーブダイビングに敬意をもってアプローチしてください。」
間違いない。
洞窟潜水はヘンタイダイバーの行うダイビングだ。
それも、極めつけの・・・。
沈潜があるわけでもなく、珍しい生物に出会えるわけでもない(ほかのヘンタイダイバー(珍種?)達とは、たまにすれ違いますが)。
洞窟の奥にあるのは、ただ洞窟だけだ。
浮沈子は、それをこの目で見てきた(まあ、水晶体はその時点では自前でしたが:今は両眼とも人工眼内レンズです)。
そんなダイビングのどこが面白いのか。
面白いかどうかは人によって異なるが、知識やスキルの習得、練度の維持や向上は継続したトレーニングを積む必要がある。
その情熱(時間と金と手間)を注ぐ価値を見出せるかどうかが問題だ。
何か、特別のことをやるわけではない。
ストレスの中で、当たり前のことを当たり前にできるようにするだけの話だ。
それが、どれほど困難なことかは、やってみなければ分からない。
浮沈子は、フィンワークや静止スキルに問題を抱えている。
つまり、へたっぴなわけだ。
手癖も悪い(姿勢をコントロールするために、手を使っちまう!)。
苦手なことが全て表面化する。
ごまかしは効かず、あやふやな知識や経験が足を引っ張る。
知識は一点の曇りもなく、明確にしておかなければならないし、不足している経験は繰り返しトレーニングして固めておかなければならない。
誤った思い込みは、チームのディスカッションなどで潰しておく。
そういう態度は、オープンウォーターのダイビングでも同じだし、許容度の差はあれ基本的な姿勢として推奨される。
浮沈子的には、魚の名前を覚えるより先な気がするんだがな(それって、覚えられない言い訳かあ?)。
まあ、どうでもいいんですが。
洞窟潜水は、要求事項も多く、その水準も高い。
ダイビングを終えた後の達成感は、それに比例するところもある。
が、実際の感覚としては、オープンウォーターエリアに戻ってきたときの解放感に勝るものはない。
光溢れる水面は天国そのものだ。
かといって、エルエデンのオープンウォーターエリアに、スイマーの生足見ながら2時間いたいとは思わないけどな・・・。
<この項、続く>
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(シャンデリアケーブ)
https://daydreampalau.com/?p=1466#%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%96
「世界的にも珍しい水中鍾乳洞です。ショップから5分の場所にあります。洞窟内には4つのエアドーム(空気のたまっている所)があり、そこは顔を出すことが出来ます。奥行きは50ⅿ程、洞窟内でも出入り口の光が見えますのでダイビングを始めたばかりの方でも楽しめるポイントです。」
浮沈子の洞窟体験の一つ。
余り思い出したくなかったので、忘れていた。
CCRで潜り、パニックになった。
やれやれ・・・。
小さいライトしか持って行かなかったからな。
空間識失調(バーティゴ)になって、洞窟の天井に当たった。
一番奥のエアドームに出て、帰りは一気に出口に向かった。
途中のエアドームには寄らずにな。
今でも、多少トラウマな感じは残っている。
思い出すと、フラッシュバックに近い感じがする。
洞窟はキライだ・・・。
子供のころ、悪戯して押し入れの中に閉じ込められた記憶が蘇る(そうなのかあ?)。
そのくせ、掛布団の中を這いずり回ったり、炬燵の中に入り込んだりしてたけどな(栴檀は双葉より芳し?)。
水中洞窟を初めて潜ったのはロタホール。
またいつか(早くても来年だな)、行ってみたいな・・・。
<おことわり>ーーーーーーーーーー
この記事では洞窟潜水(ケーブダイビング)に関する記述が出てきます。閉鎖環境(直接水面に浮上することができない環境)での潜水は非常に危険です。指導団体による正規のトレーニングを終了せずに行うことは命に係わります。
浮沈子の個人的見解ですが、オープンウォーター(海洋など、直接水面に浮上できる場所)で行うダイビングに比べて100倍ヤバいです(オープンウォーターダイビングも十分危険なレジャーですが)。
知る限りの指導団体では、講習は段階を踏んで行われます(実際の講習では連続して行われることもあるようです)。各段階ごとに侵入できるエリアには制限が設けられています。それを超えて洞窟の奥へ侵入することは禁じられています(講習終了した段階の制限を超えては進めません:リスク管理は厳格です)。
一方、正規の訓練を受け、正しい態度や十分なスキルを身に着け、必要な器材を十分に使いこなすことができれば、そして、洞窟のさらに奥に何があるかについて、カリブ海のカラフルな熱帯魚の群れよりも興味があるなら、充実したダイビング体験ができることは請け合います。
では、死神の絵が描かれている看板の奥に行ってみましょう・・・。
ーーーーーーーーーーー
浮沈子はメキシコのセノーテしか洞窟潜水した経験はないんだが(それ以外では雲見とかで、穴ぼこに入った程度)、セノーテでは、一般のレジャーダイビングで潜るエリアには、パーマネントラインという太めの紐が張ってあって、その紐を辿っていけば目的地に着けるようになっている。
入り組んだ網の目のようなケーブシステム(と呼ぶようです)では、ふつーな設えなんだが、その紐(パーマネントライン)には、途切れているところや、近くに離れて設置されている別のラインがあったりする。
そういう途切れや、離れた接続(接続してはいませんが)のことを、ジャンプとがギャップと呼んでいる。
また、その途切れを超えて先へ進むことも「ジャンプする」とか言うことがあるようだ(ギャップするというのは聞かないけどな:ギャップを飛ぶとか言うようです)。
ジャンプやギャップは、洞窟潜水独特のライン構造(ラインの途切れ)だ(沈船のペネトレーションで、同様のライン構造があるかどうかは知りません)。
洞窟潜水でメインライン(パーマネントライン)に沿って、しかも現地のガイドさんの後についてカバーン(英語の発音では「キャバン」に近い?:昼間、自然光が直接見える)エリアで潜る限り、目にする機会はないはずだ。
逆に、簡単に目に触れて、あれは何だろうとそっちに行ってしまうようなことがないように、目立たないように設置されていなければならない。
メインラインが、途中でぶちっと切れていたりすることもある(ギャップ:これを体験できるのは、中級レベル以上:カバーンエリアでは通常お目にかかれない)。
この場合は、意図的に切り離してあるわけで、その先に行けるかどうかは受講したトレーニングのレベルによる。
浮沈子が受けた講習では、イントロケーブダイバーと呼ばれる中級レベルでは、ここで行き止まりになる。
フルケーブダイバーという、ふつーのケーブダイバー(ケーブダイバーとしての、ほんの入り口:その先にも果てしないレベルがあるようです)の講習を受ける中で、その意義とその先に侵入する際の技術や知識を学ぶ。
メインラインから離れて設置されている別のガイドラインに移ることもある(ジャンプ)けど、それもフルケーブダイバー以上のスキルになる。
ここでは、その詳細には触れない。
洞窟の奥にひいてあるラインには、意図的に切り離してある構造があるということを紹介するに留める。
その意図は、ワケワカなダイバーは、ここから先に行ってはいけないということに尽きる。
訳が分かっている(ワケワカじゃない)ダイバーは、どのように対処して侵入すべきか、当然知っているからな。
分からなければ、その先には進めない。
Uターンして引き返すしかない。
メインラインが途中でブチ切れていれば、そして、その先にそのまま続いていれば、それは典型的なギャップだ。
が、ラインの構造(張ってある物理的なラインのトポロジー)を見ただけでは、それがジャンプであるかギャップであるかを区別することができない場合もある。
辿ってきたラインのブチ切れの先に、別のラインが延長線上ではなく横に張られていたら?(実際にそういう場所があるかどうかは知りませんが)。
どちらから来たのか、どう移動しようとしているのかが考慮されなければ、ジャンプなのかギャップなのかは判断できない。
重ねて繰り返して恐縮だが、ケーブダイビングのトレーニングを受けていないダイバーが、ジャンプやギャップを目にすることはない。
そうでないダイバーがそれを見ちゃったということは、その時点で既に相当ヤバいことになっているわけだ。
ラインの途切れは命の途切れだ。
ここまで読んでこられた方の中には、不思議に思っている方もいるだろう。
ケーブダイビングをする際には、複数のライトを携行し、ラインを目で追いながら進んでいくはずなのに、なぜ切れ目を入れたりするのか。
洞窟の中の透視度が常にいいとは限らないし、ライトが無事に機能するとは限らないからな。
ゼロビジ(ゼロ・ビジビリティ)では、ラインを手で触り辿りながら出口に向かわなければならない。
ラインの切れ目は命の切れ目。
ラインを切ってあるということは、正しいスキルがない場合は戻れなくなるぞという警告なのだ。
もちろん、正しいスキルでその先に侵入する際には、それなりの手段を講じて戻ってこられるようにしている。
その手立てをしなければ、先に進めないぞということを示しているのがジャンプやギャップなわけだ。
メキシコのセノーテの中には、エルエデンなどのように広いオープンウォーターエリアを持つものもある。
そこから誤って洞窟の奥にラインを辿りながら行ってしまうことがないように、メインラインの端は、かなり奥の方に設置してある(それ自体がギャップになっているわけです)。
もちろん、その手前にはお約束の死神看板があるしな(エルエデンにあったかどうかは忘れました:何か所か入り口があったけど)。
ドスオホスとかでは、カバーンエリアのメインライン(カバーンライン)と明確に分離されて、ケーブエリアのメインラインが設置されている。
通常ではわからない位置にある。
分離されているのは、安全のためだ。
知識も技術も経験もないまま、危険に身を晒すことほど愚かなことはない。
オープンウォーターでも、大深度(ここでは30m以深:現在、多くの指導団体ではこの深度を限界深度としている)潜水では相当のリスクを負うことになる。
某指導団体では、12m、18mと段階を区切って、必要な知識と技術を教え、徐々に経験値を上げていくことを推奨している(そうだったっけえ?)。
ケーブダイビングだって、本来ならそうあるべきだろう。
カバーンエリアでファンダイビングして、中性浮力やトリムのコントロールなど洞窟のダイビングに十分馴染んでから、ジャンプやギャップの手前まで行けるイントロケーブダイビングに進み、そこまでの経験値を積んで、トラブルシューティングを含めて薬籠中にしてからフルケーブダイビングの講習に進むのが正しい。
速く走る者が遠くまで行けるわけではない。
が、実際にはメキシコ行くのだって大変だからな。
一気に仕上げてしまいたい。
浮沈子は、2年前の晩秋(初冬?)にカバーンダイビングに行って下見をした。
それ以前に、国内で、カバーン講習も受けている。
サイドマウントでの受講を希望したので、そのスキルチェックも事前に受けている(淡水環境でも、プールだけでなく本栖湖でも潜りました:海洋でも基礎的なスキルは習得してましたが)。
中性浮力は今でも苦手だけど、プールでは3mで2時間粘って練習していた。
それでも、昨年2月末からの講習では、9日間の長めのスケジュールでいっぱいいっぱいだった。
講習終了から既に1年以上が経過し、記憶は衰え、スキルは忘れ、錆び付いている。
年末のメキシコ行きが実現するかどうかは分からないが、徐々に知識の復習、スキルの確認(先日のチェックでは、マスク交換が出来ず:一応、その後復習済み)、総合的なトレーニングを再開していかなければならない。
ケーブダイバーとしては、時間的なギャップ(文字通り)があるわけで、それを埋めるための作業が必要だな。
残念ながら、浮沈子はジャンプアップ出来ない。
一つ一つ、丁寧に埋めていくより他はない。
出来ないことがあれば、何度でも繰り返してできるようになるまで続けるのみだ。
その努力を続ける情熱を持続できる間は、この世界に触れていられる。
指で作った輪の中のラインのように・・・。
ロストラインしちまったら?。
その時は、洞窟潜水から足を洗うまでだ。
これからは、何かを得ることよりも失っていくことの方が多いに違いない。
先日、シングルタンクでファンダイブしたんだが、エキジットして口の中が何か変な感じだったが、気が付いたら前歯が1本なかった(!)。
浮沈子の前歯2本は、チタン製の人工歯根にプラスチック(?)の歯を被せてある。
その左の前歯1本が、被せてあったチタン製の人工歯根から外れてしまっていた(接着剤が取れてたわけだな)。
幸い、歯はマウスピースの中に残っていたので、無事に回収して昨日、近所の歯医者で着けてもらった(人工歯根は、まだ使えるそうです)。
まあいい。
ギャップは至る所にある。
記憶は途切れ、薄れていく。
昔のことは覚えていても、さっきのことは忘れている(夕べ、何食ったっけ・・・)。
洞窟の奥に、死神看板の先に何があるのかが知りたくて、メキシコまで出かけて潜った。
もちろん、ケーブダイバーとしてはほんの入り口のところだけど(減圧できないし、深度40mまでしか行けない。もちろん、エクストラタンクは持てないし、スクーターも使用できない)。
洞窟の奥には洞窟だけがどこまでも続いている。
トラバース(縦断)して、別のオープンウォーターエリアに出るまではな。
或いは、サーキットを回って元のオープンウォーターエリアに戻るまでは。
某指導団体のテキストの著者後書きにはこうある・・・。
「オーバーヘッド環境を冒険することは危険であり、生命を脅かす可能性がある行為です。」
当然のことだが、リスクを避けるには何もしないのが一番だ。
車にも乗らず、ましてやタイタニックを見に、安物潜水艇で潜ったりしないのが正しい。
(タイタニック潜水艇 “破壊されるような音を検知か”米有力紙)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230623/k10014107101000.html
「観光用の潜水艇「タイタン」は、18日現地時間の午前8時に海中に潜り、潜水開始から1時間45分後の午前9時45分連絡が取れなくなりました。」
「こうした中、22日午前、無人の探査機が破片を発見し、アメリカの沿岸警備隊は午後3時ごろの会見で、見つかった破片は潜水艇の耐圧室が破壊されたことを示していて、乗っていた5人の生存は絶望的だという見解を示しました。」
どっちが危険なのかは何とも言えない。
テキストの後書きにはこんな記述もある・・・。
「時間をかけてケーブを学び、少しずつ理解してください。絶えずテクニックを磨き、トラブル解決の手順を懸命に練習しましょう。」
「あなたのトレーニングには決して終点がありません。」
そうしないで、1年前に発行されたCカードだけに頼って漫然とダイビングする方が、余程危険かもしれない。
ロストライン(ロストガイドライン)のトレーニングを大瀬崎でやった際、浮沈子はラインに辿り着けずに失敗した(これは、ロストバディと共にイントロケーブのスキルです)。
詳細は割愛するが、水底を這いつくばって進む距離感を誤ったことが最大の原因だ。
が、そのスキルに失敗したことが最大の収穫だったと思っている。
洞窟をなめてはいけない・・・。
「あなたが遭遇する、それぞれの環境に伴う危険性に対して感謝の意を育み、すべてのケーブダイビングに敬意をもってアプローチしてください。」
間違いない。
洞窟潜水はヘンタイダイバーの行うダイビングだ。
それも、極めつけの・・・。
沈潜があるわけでもなく、珍しい生物に出会えるわけでもない(ほかのヘンタイダイバー(珍種?)達とは、たまにすれ違いますが)。
洞窟の奥にあるのは、ただ洞窟だけだ。
浮沈子は、それをこの目で見てきた(まあ、水晶体はその時点では自前でしたが:今は両眼とも人工眼内レンズです)。
そんなダイビングのどこが面白いのか。
面白いかどうかは人によって異なるが、知識やスキルの習得、練度の維持や向上は継続したトレーニングを積む必要がある。
その情熱(時間と金と手間)を注ぐ価値を見出せるかどうかが問題だ。
何か、特別のことをやるわけではない。
ストレスの中で、当たり前のことを当たり前にできるようにするだけの話だ。
それが、どれほど困難なことかは、やってみなければ分からない。
浮沈子は、フィンワークや静止スキルに問題を抱えている。
つまり、へたっぴなわけだ。
手癖も悪い(姿勢をコントロールするために、手を使っちまう!)。
苦手なことが全て表面化する。
ごまかしは効かず、あやふやな知識や経験が足を引っ張る。
知識は一点の曇りもなく、明確にしておかなければならないし、不足している経験は繰り返しトレーニングして固めておかなければならない。
誤った思い込みは、チームのディスカッションなどで潰しておく。
そういう態度は、オープンウォーターのダイビングでも同じだし、許容度の差はあれ基本的な姿勢として推奨される。
浮沈子的には、魚の名前を覚えるより先な気がするんだがな(それって、覚えられない言い訳かあ?)。
まあ、どうでもいいんですが。
洞窟潜水は、要求事項も多く、その水準も高い。
ダイビングを終えた後の達成感は、それに比例するところもある。
が、実際の感覚としては、オープンウォーターエリアに戻ってきたときの解放感に勝るものはない。
光溢れる水面は天国そのものだ。
かといって、エルエデンのオープンウォーターエリアに、スイマーの生足見ながら2時間いたいとは思わないけどな・・・。
<この項、続く>
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(シャンデリアケーブ)
https://daydreampalau.com/?p=1466#%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%96
「世界的にも珍しい水中鍾乳洞です。ショップから5分の場所にあります。洞窟内には4つのエアドーム(空気のたまっている所)があり、そこは顔を出すことが出来ます。奥行きは50ⅿ程、洞窟内でも出入り口の光が見えますのでダイビングを始めたばかりの方でも楽しめるポイントです。」
浮沈子の洞窟体験の一つ。
余り思い出したくなかったので、忘れていた。
CCRで潜り、パニックになった。
やれやれ・・・。
小さいライトしか持って行かなかったからな。
空間識失調(バーティゴ)になって、洞窟の天井に当たった。
一番奥のエアドームに出て、帰りは一気に出口に向かった。
途中のエアドームには寄らずにな。
今でも、多少トラウマな感じは残っている。
思い出すと、フラッシュバックに近い感じがする。
洞窟はキライだ・・・。
子供のころ、悪戯して押し入れの中に閉じ込められた記憶が蘇る(そうなのかあ?)。
そのくせ、掛布団の中を這いずり回ったり、炬燵の中に入り込んだりしてたけどな(栴檀は双葉より芳し?)。
水中洞窟を初めて潜ったのはロタホール。
またいつか(早くても来年だな)、行ってみたいな・・・。
🐱メキシコへの道:第3章:光、あれっ!? ― 2023年08月10日 08:24
メキシコへの道:第3章:光、あれっ!?
<おことわり>ーーーーーーーーーー
この記事では洞窟潜水(ケーブダイビング)に関する記述が出てきます。閉鎖環境(直接水面に浮上することができない環境)での潜水は非常に危険です。指導団体による正規のトレーニングを終了せずに行うことは命に係わります。
浮沈子の個人的見解ですが、オープンウォーター(海洋など、直接水面に浮上できる場所)で行うダイビングに比べて100倍ヤバいです(オープンウォーターダイビングも十分危険なレジャーですが)。
知る限りの指導団体では、講習は段階を踏んで行われます(実際の講習では連続して行われることもあるようです)。各段階ごとに侵入できるエリアには制限が設けられています。それを超えて洞窟の奥へ侵入することは禁じられています(講習終了した段階の制限を超えては進めません:リスク管理は厳格です)。
一方、正規の訓練を受け、正しい態度や十分なスキルを身に着け、必要な器材を十分に使いこなすことができれば、そして、洞窟のさらに奥に何があるかについて、カリブ海のカラフルな熱帯魚の群れよりも興味があるなら、充実したダイビング体験ができることは請け合います。
では、死神の絵が描かれている看板の奥に行ってみましょう・・・。
ーーーーーーーーーーー
洞窟の中は暗い。
どのくらい暗いかと言えば、中で生息している生物(エビ類や魚類など)が視覚(目)を失ってしまうほど暗い。
深海も暗いと言われるけど、水深1000mくらいでも、目のある魚がいるそうだ(浮沈子は、もちろん見たことはありませんが)。
真っ暗闇では、役に立たない器官を発達させないというのが正しい。
陸上に上がっちまった生物が、鰓を失ったのと同じだな。
その代わり、洞窟の中の生物(特に魚類)は、振動に鋭敏だと言われる(これも、浮沈子は見たことありません)。
そんな漆黒の洞窟の中で潜水するダイバーは、もちろん、ライト(トーチ)を持ち込んで、視覚に頼って潜っている(ほかの感覚も重要ですが)。
万が一ライトが壊れたら?。
バックアップのライトは、少なくとも1つは直ちに点灯できるように、ヘルメットに付けている。
プライマリーライトが壊れてしまったら、潜水は中止だ。
バックアップのライトで、直ちに出口に向かう。
最近は、ハンドヘルドタイプのライトでも、十分な光量と点灯時間がある製品が出てきていて、これをバックアッププライマリーライトとして携行することもあるようだ(浮沈子は、最近購入したので、まだ、そういう運用をしたことはありません)。
洞窟潜水の際には、第3のライトを持ち込む必要がある。
バックアップのバックアップということになる。
また、入り口に近いところで潜るカバーンダイビングでは、天然の陽光が第3のライトとなるため、携行するライトはプライマリーとバックアップの2つになる。
バックアップライトの点灯時間(バーンタイム)は、安全にエキジットするのに十分な時間が要求される。
光量は、視覚に頼って出口に向かうのに十分な明るさが必要だ。
バックアップライトだけでダイビングを継続することはない(プライマリーライトの故障時点で、ダイビングは終了して、直ちに出口に向かう)。
ライトが全滅するか、そうでなくても洞窟内が急に濁って視覚に頼ってダイビングを継続することが出来なくなった場合は、ラインコンタクトして出口に向かうことになる。
詳細は割愛するけど、光を失った状態でも、確実に(ここ、重要です!)エキジットできるスキルを養う。
ガスマネージメントや潜水計画も厳格だ(さらに、保守的に運用する必要もある)。
視覚が使えないので、その他の感覚をフルに活用して、安全に出口に向かう。
サイドマウントでは、レギュレーターの切り替えや、ボルトスナップを取り付けているDリングを潜水中に付け替える作業を行うことになるけど(ここは、器材の設えによって異なります)、それらの作業も全てラインコンタクトしながら視覚に頼らずに行う。
洞窟の中の生物になり切る・・・。
前回(昨年3月)のダイビングで最大潜水時間は2時間を超えていた。
最奥でトラブった場合、最悪1時間以上、視覚に頼ることなく出口に向かう必要が出てくる。
トレーニングでは、実際それに近い状況で行うこともあるようだ。
もちろん、中性浮力の維持も視覚に頼ることはできない。
ラインに触れている指の感覚、呼吸やフィンキックで上下する動きの感覚(フィンキックでは、だから上下動がない方がよろしい)を研ぎ澄まし、ラインに掴まることなく(指で作った輪の内側が、時々軽く触れる程度を維持しながら)ひたすら泳ぎ続ける。
ラインは、上がったり下がったりしているから、それに合わせて浮力もコントロールする。
振れ幅が小さければ呼吸で対応してしまえるが、BCのコントロールが必要な場所もある。
侵入していく過程で、洞窟の構造を頭に叩き込みながら進んでいく必要がある。
ラインについているいろいろな仕掛け(詳細は割愛!)、ラインが取り付けられている岩などの形状や角度、ライン際の鍾乳石(上からのつらら石や、下から生えている石筍、床から天井までつながっている石柱)の位置や太さも重要だ。
光がある間も、漫然と潜っていていいわけではないのだ。
ここを、真っ暗闇で戻ってくるかもしれないと、いつも緊張しながら、かつ、リラックスして泳ぎ続けていなければならない。
ボーっと泳いでいる時間はない。
光があるからといって、安心することもできない。
先頭を行くダイバーが、ルートを間違っちまうかもしれないしな。
往路だけではなく、帰り道で間違うことだってある。
チーム全員が、それぞれナビゲーションし、相互にチェックし続けなければならない。
洞窟という書物は難解だ。
光は、それを読み解くための重要なツールだが、それが全てではない。
洞窟を満たしている水もまた、重要な言葉だ(水温、透視度、色、淡水海水の別、流れの有無、方向、強さ)。
吐いた泡が天井に当たって落ちてくる剥落片、その溜まった泡も、命を救う言語になる場合がある。
ラインや、そのラインに付けられたマーカー類は、人間が作った言語だが、その文法や単語を知らなければ役には立たないし、見落としや思い違いもある。
光だけに頼って潜っているわけではない。
最大の資産は、ダイバーの頭脳かもしれない(もちろん、呼吸のためのガスは別ですが)。
限られた情報を組み合わせ、記憶を手繰り寄せ、統合し、安全に出口に向かう行動を起こす。
自分の脳を十全に機能させるように整えておくことが、最重要なわけだ。
アルコールが残っているとか、そのほかの薬物の影響でその機能が果たせなくなれば、洞窟の中では命取りになりかねない。
躊躇うことなく、ダイビングを中止すべきだ。
洞窟は逃げはしない。
次に来た時にいるかどうかの保証がない、マンタとかハンマーヘッドシャークの群れとは違うからな。
沈船と同じで、そこに行けば、必ずある。
自然光のない真っ暗闇の洞窟の中で、我々は光を持ち込み、その光に照らされた洞窟を見ながら進む。
しかし、今、光に照らされているものだけを見ているのではない。
エントリーしてからずーっと、見続けている洞窟の全体像をイメージし、水深の変化、水温の変化、海水淡水の変化、引かれているラインの状況、マーカー類、岩、鍾乳石などを記憶し続けている。
それら全てが、光を失った際に安全に戻るための資産になる。
もちろん、器材の不良をそのままにして、トラブルを起こすなどと言うのは論外だ。
陸上で出来ることは全て完全に済ませておく。
水中では、時間(=呼吸ガス)もまた、貴重な財産だからな。
これは、確実に最大の財産と言える。
陸上では、無尽蔵にある呼吸ガスは、洞窟潜水では金よりも貴重だ。
いつまでも、あると思うな親と金。
いつまでも、あると思うな呼吸ガス。
まあ、どうでもいいんですが。
先日、ライト(ハンドヘルドタイプのでかいヤツ)のチェックを兼ねてファンダイブした際、バックアップで持ち込んでいた小型のライトが、陸上で点灯しっぱなしになっていた。
注意散漫、確認不十分、管理不適切の極みだ。
やれやれ・・・。
ダイビング前には、プレダイブチェックをして万全を期すんだが、ダイビング後の確認も必要だ。
エキジットした直後からが、次のダイビングの準備だからな。
ライトは大切に扱わないとな・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
「洞窟の中は暗い」と書いた。
持ち込んでいるライトの明かりを消すと、確かに置くに行くと真っ暗になる。
それは間違いない。
明かりを点けた時が問題だな。
壁面(天井や壁もそうですが)がくろっぱい色をしている場合と、白っぽい色をしている場合では、同じくらいの大きさの洞窟でも、もちろん、白っぽい方が明るく見える。
同じような壁面の反射の場合、大きい洞窟は暗く、小さい洞窟は明るく感じられる。
透視度が高いとはいえ、水の中を進む光は減衰するし、洞窟潜水で使用するライトは光軸が絞ってあるとはいえ、ある程度拡散しているからな(ビデオライトなどは別ですが)。
遠くの壁面からの反射が弱くなるのは道理だ。
狭い洞窟ほど明るい。
行ってみて、初めてそう感じたが、考えてみれば当たり前の話だ。
狭くて明るいのと、広くて暗いのと、どっちがいい?。
えーと、広くて明るいのがいいということなら、カリブ海がお勧めだがな(広いぞお)・・・。
<おことわり>ーーーーーーーーーー
この記事では洞窟潜水(ケーブダイビング)に関する記述が出てきます。閉鎖環境(直接水面に浮上することができない環境)での潜水は非常に危険です。指導団体による正規のトレーニングを終了せずに行うことは命に係わります。
浮沈子の個人的見解ですが、オープンウォーター(海洋など、直接水面に浮上できる場所)で行うダイビングに比べて100倍ヤバいです(オープンウォーターダイビングも十分危険なレジャーですが)。
知る限りの指導団体では、講習は段階を踏んで行われます(実際の講習では連続して行われることもあるようです)。各段階ごとに侵入できるエリアには制限が設けられています。それを超えて洞窟の奥へ侵入することは禁じられています(講習終了した段階の制限を超えては進めません:リスク管理は厳格です)。
一方、正規の訓練を受け、正しい態度や十分なスキルを身に着け、必要な器材を十分に使いこなすことができれば、そして、洞窟のさらに奥に何があるかについて、カリブ海のカラフルな熱帯魚の群れよりも興味があるなら、充実したダイビング体験ができることは請け合います。
では、死神の絵が描かれている看板の奥に行ってみましょう・・・。
ーーーーーーーーーーー
洞窟の中は暗い。
どのくらい暗いかと言えば、中で生息している生物(エビ類や魚類など)が視覚(目)を失ってしまうほど暗い。
深海も暗いと言われるけど、水深1000mくらいでも、目のある魚がいるそうだ(浮沈子は、もちろん見たことはありませんが)。
真っ暗闇では、役に立たない器官を発達させないというのが正しい。
陸上に上がっちまった生物が、鰓を失ったのと同じだな。
その代わり、洞窟の中の生物(特に魚類)は、振動に鋭敏だと言われる(これも、浮沈子は見たことありません)。
そんな漆黒の洞窟の中で潜水するダイバーは、もちろん、ライト(トーチ)を持ち込んで、視覚に頼って潜っている(ほかの感覚も重要ですが)。
万が一ライトが壊れたら?。
バックアップのライトは、少なくとも1つは直ちに点灯できるように、ヘルメットに付けている。
プライマリーライトが壊れてしまったら、潜水は中止だ。
バックアップのライトで、直ちに出口に向かう。
最近は、ハンドヘルドタイプのライトでも、十分な光量と点灯時間がある製品が出てきていて、これをバックアッププライマリーライトとして携行することもあるようだ(浮沈子は、最近購入したので、まだ、そういう運用をしたことはありません)。
洞窟潜水の際には、第3のライトを持ち込む必要がある。
バックアップのバックアップということになる。
また、入り口に近いところで潜るカバーンダイビングでは、天然の陽光が第3のライトとなるため、携行するライトはプライマリーとバックアップの2つになる。
バックアップライトの点灯時間(バーンタイム)は、安全にエキジットするのに十分な時間が要求される。
光量は、視覚に頼って出口に向かうのに十分な明るさが必要だ。
バックアップライトだけでダイビングを継続することはない(プライマリーライトの故障時点で、ダイビングは終了して、直ちに出口に向かう)。
ライトが全滅するか、そうでなくても洞窟内が急に濁って視覚に頼ってダイビングを継続することが出来なくなった場合は、ラインコンタクトして出口に向かうことになる。
詳細は割愛するけど、光を失った状態でも、確実に(ここ、重要です!)エキジットできるスキルを養う。
ガスマネージメントや潜水計画も厳格だ(さらに、保守的に運用する必要もある)。
視覚が使えないので、その他の感覚をフルに活用して、安全に出口に向かう。
サイドマウントでは、レギュレーターの切り替えや、ボルトスナップを取り付けているDリングを潜水中に付け替える作業を行うことになるけど(ここは、器材の設えによって異なります)、それらの作業も全てラインコンタクトしながら視覚に頼らずに行う。
洞窟の中の生物になり切る・・・。
前回(昨年3月)のダイビングで最大潜水時間は2時間を超えていた。
最奥でトラブった場合、最悪1時間以上、視覚に頼ることなく出口に向かう必要が出てくる。
トレーニングでは、実際それに近い状況で行うこともあるようだ。
もちろん、中性浮力の維持も視覚に頼ることはできない。
ラインに触れている指の感覚、呼吸やフィンキックで上下する動きの感覚(フィンキックでは、だから上下動がない方がよろしい)を研ぎ澄まし、ラインに掴まることなく(指で作った輪の内側が、時々軽く触れる程度を維持しながら)ひたすら泳ぎ続ける。
ラインは、上がったり下がったりしているから、それに合わせて浮力もコントロールする。
振れ幅が小さければ呼吸で対応してしまえるが、BCのコントロールが必要な場所もある。
侵入していく過程で、洞窟の構造を頭に叩き込みながら進んでいく必要がある。
ラインについているいろいろな仕掛け(詳細は割愛!)、ラインが取り付けられている岩などの形状や角度、ライン際の鍾乳石(上からのつらら石や、下から生えている石筍、床から天井までつながっている石柱)の位置や太さも重要だ。
光がある間も、漫然と潜っていていいわけではないのだ。
ここを、真っ暗闇で戻ってくるかもしれないと、いつも緊張しながら、かつ、リラックスして泳ぎ続けていなければならない。
ボーっと泳いでいる時間はない。
光があるからといって、安心することもできない。
先頭を行くダイバーが、ルートを間違っちまうかもしれないしな。
往路だけではなく、帰り道で間違うことだってある。
チーム全員が、それぞれナビゲーションし、相互にチェックし続けなければならない。
洞窟という書物は難解だ。
光は、それを読み解くための重要なツールだが、それが全てではない。
洞窟を満たしている水もまた、重要な言葉だ(水温、透視度、色、淡水海水の別、流れの有無、方向、強さ)。
吐いた泡が天井に当たって落ちてくる剥落片、その溜まった泡も、命を救う言語になる場合がある。
ラインや、そのラインに付けられたマーカー類は、人間が作った言語だが、その文法や単語を知らなければ役には立たないし、見落としや思い違いもある。
光だけに頼って潜っているわけではない。
最大の資産は、ダイバーの頭脳かもしれない(もちろん、呼吸のためのガスは別ですが)。
限られた情報を組み合わせ、記憶を手繰り寄せ、統合し、安全に出口に向かう行動を起こす。
自分の脳を十全に機能させるように整えておくことが、最重要なわけだ。
アルコールが残っているとか、そのほかの薬物の影響でその機能が果たせなくなれば、洞窟の中では命取りになりかねない。
躊躇うことなく、ダイビングを中止すべきだ。
洞窟は逃げはしない。
次に来た時にいるかどうかの保証がない、マンタとかハンマーヘッドシャークの群れとは違うからな。
沈船と同じで、そこに行けば、必ずある。
自然光のない真っ暗闇の洞窟の中で、我々は光を持ち込み、その光に照らされた洞窟を見ながら進む。
しかし、今、光に照らされているものだけを見ているのではない。
エントリーしてからずーっと、見続けている洞窟の全体像をイメージし、水深の変化、水温の変化、海水淡水の変化、引かれているラインの状況、マーカー類、岩、鍾乳石などを記憶し続けている。
それら全てが、光を失った際に安全に戻るための資産になる。
もちろん、器材の不良をそのままにして、トラブルを起こすなどと言うのは論外だ。
陸上で出来ることは全て完全に済ませておく。
水中では、時間(=呼吸ガス)もまた、貴重な財産だからな。
これは、確実に最大の財産と言える。
陸上では、無尽蔵にある呼吸ガスは、洞窟潜水では金よりも貴重だ。
いつまでも、あると思うな親と金。
いつまでも、あると思うな呼吸ガス。
まあ、どうでもいいんですが。
先日、ライト(ハンドヘルドタイプのでかいヤツ)のチェックを兼ねてファンダイブした際、バックアップで持ち込んでいた小型のライトが、陸上で点灯しっぱなしになっていた。
注意散漫、確認不十分、管理不適切の極みだ。
やれやれ・・・。
ダイビング前には、プレダイブチェックをして万全を期すんだが、ダイビング後の確認も必要だ。
エキジットした直後からが、次のダイビングの準備だからな。
ライトは大切に扱わないとな・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
「洞窟の中は暗い」と書いた。
持ち込んでいるライトの明かりを消すと、確かに置くに行くと真っ暗になる。
それは間違いない。
明かりを点けた時が問題だな。
壁面(天井や壁もそうですが)がくろっぱい色をしている場合と、白っぽい色をしている場合では、同じくらいの大きさの洞窟でも、もちろん、白っぽい方が明るく見える。
同じような壁面の反射の場合、大きい洞窟は暗く、小さい洞窟は明るく感じられる。
透視度が高いとはいえ、水の中を進む光は減衰するし、洞窟潜水で使用するライトは光軸が絞ってあるとはいえ、ある程度拡散しているからな(ビデオライトなどは別ですが)。
遠くの壁面からの反射が弱くなるのは道理だ。
狭い洞窟ほど明るい。
行ってみて、初めてそう感じたが、考えてみれば当たり前の話だ。
狭くて明るいのと、広くて暗いのと、どっちがいい?。
えーと、広くて明るいのがいいということなら、カリブ海がお勧めだがな(広いぞお)・・・。
🐱メキシコへの道:第3章:ライン ― 2023年08月12日 08:14
メキシコへの道:第3章:ライン
<おことわり>ーーーーーーーーーー
この記事では洞窟潜水(ケーブダイビング)に関する記述が出てきます。閉鎖環境(直接水面に浮上することができない環境)での潜水は非常に危険です。指導団体による正規のトレーニングを終了せずに行うことは命に係わります。
浮沈子の個人的見解ですが、オープンウォーター(海洋など、直接水面に浮上できる場所)で行うダイビングに比べて100倍ヤバいです(オープンウォーターダイビングも十分危険なレジャーですが)。
知る限りの指導団体では、講習は段階を踏んで行われます(実際の講習では連続して行われることもあるようです)。各段階ごとに侵入できるエリアには制限が設けられています。それを超えて洞窟の奥へ侵入することは禁じられています(講習終了した段階の制限を超えては進めません:リスク管理は厳格です)。
一方、正規の訓練を受け、正しい態度や十分なスキルを身に着け、必要な器材を十分に使いこなすことができれば、そして、洞窟のさらに奥に何があるかについて、カリブ海のカラフルな熱帯魚の群れよりも興味があるなら、充実したダイビング体験ができることは請け合います。
では、死神の絵が描かれている看板の奥に行ってみましょう・・・。
ーーーーーーーーーーー
洞窟の中には何があるのか。
天然の光が届くカバーンエリアを超えて、さらにその奥へと続くケーブエリアに行くまでは、浮沈子も知らなかった。
もちろん、カバーンエリアにもそれはあったけど。
ラインだ(ガイドラインとも言います)。
材質は、多分ナイロン。
撚りを入れた、ふつーの紐で、太さはおそらく数ミリ程度。
ロープとは呼べないが、フィンガースプールに巻き付けてあったり、巻取り装置が付いているリールのラインとは異なる。
パーマネントラインとか、メインラインとか呼ばれている、まあ、大通り(メジャーな通路)なわけだ。
これが引いてあるところは、人通りも多い。
銀座通りな感じだ。
例外を除いて原則追い越し禁止だし、すれ違う時にも気を使わなければならない(ライトで目潰ししちゃいけないとかな)。
いろいろルールはあるけど、詳細は割愛する。
メインストリームにひいてあるパーマネントラインは、その名の通り、ずーっとそのまま設置してある。
ふつーの洞窟潜水するダイバー(たとえば、フルケーブダイバーになったばかりの浮沈子など)は、このラインに沿って、大通りを行ったり来たりすることになる。
もちろん、ジャンプやギャップを飛んで、離れた別のパーマネントラインに行くこともできる(イントロケーブダイバーでは、飛べません)。
洞窟の中は、もちろん、直接浮上して地球の大気という無尽蔵の呼吸源に辿り着くことはできないから、オープンウォーターダイビングとはけた違いのリスクを負っていることに変わりはないけど、そして、このメインラインを辿っていても、様々なトラブルが起こり得るので絶対的な安全とは程遠いが、ぶっちゃけ、ただひたすら泳ぐだけという行為で何とかなる。
正確なトリム取ったり(水平とは限りません)、シルトを巻き上げたり、壁や天井、鍾乳石蹴ったりしないフィンワークとか、ああでもないこうでもないという話はいくらでもあるけど。
知識的にも、座学でいやというほど叩き込まれてパンク状態にはなるけど、それでも、連続したパーマネントラインが引かれているエリアで、ガスマネージメントが厳格にできていて保守的な運用が徹底されていれば、戻るべき時点で戻ることさえ守れば帰ってくることは出来る。
ラインをただ見ているわけではない。
どこにどのように張られているのか、高低差はどうか、タイしてある(岩などに固定されている)場所の状況、壁や床、天井などとの距離はどうなっているか、他のラインが隠れてはいないか(ここ、重要です!)、エトセエトセを確認しつつ、ちゃーんと目で追いながら泳いでいかなければならない。
ラインとの距離も重要だな。
近寄りすぎてフィンで蹴ったりしてはいけないし、離れ過ぎて、突然の視界不良(マスク取れたあーっ!)などの際に、パッと手を伸ばして触れることができる程度の距離を保つ必要もある。
前を行くダイバー、後ろからくるダイバーの存在、距離、ライトコンタクトなどにも気を配らなければならない。
忙しいな・・・。
漫然と泳いでいるわけじゃない。
サイドマウントでは、左右のタンクの切り替えや、ガスの消費に伴うタンクの浮力変化に対応するための取り付け位置の変更も必要だ(セノーテではアルミタンクなので)。
自分の器材の運用や、トラブル対応にも神経を使う(パワーインフレーターが、今、突然吹いたらどーする!?)。
が、それでも、パーマネントラインを辿って泳いでいる時は、リスクは相対的に低い(オープンウォーターダイビングの100倍くらいか)。
ジャンプやギャップ(他にも、Tとかありますが)を越えて、複雑なケーブシステムに入り込んでいけば、そりゃもう、リスクは無限に増えていく。
正しい知識と、ルールを守る厳格な態度、鍛錬されたスキルとそれらを支える心身の健全さが求められる。
死神看板は、伊達や酔狂で設置されているわけではないのだ。
が、ラインの話をもう少し続けよう・・・。
オープンウォーターの環境でも、ガイドラインが設置されているところは多い。
安全のためということもあるし、確実に目的地にたどり着くために、効率を考えて設置されているところもある。
ブイを付けて、垂直に張られていたりもする。
視標というやつだな。
それを手で持って、掴まりながら先行や浮上するスキルも練習するでしょ?。
少し上手になると、目で追って、触らずに浮力コントロールできるようになったりして!。
もっと上達すると、ライン(視標)なんて見なくても、ブルーウォーターで潜降浮上ができるようになる。
ラインは、見ない方がエライ!(そうなのかあ?)。
そういう思い込み(!)は、すっぱり捨てて、洞窟潜水のラインの意義について、しっかり学ぶ必要があるな。
基本、ラインはしっかりと見るものだ。
視覚に頼ることが出来なくなれば、習ったとおりに手(指)で触れて辿ることになる。
ラインを見失う、或いは触れていたラインから手(指)が離れることは、死を意味する。
ロストライン。
すぐに見つかれば、或いは、すぐ再び触れることが出来れば問題はない(出口の方向さえ間違わなければ)。
が、見失ったこと、触れていた手が離れること自体はインシデントだ。
あってはならないこと、アクシデントに発展しかねない、重大なトラブルだ。
浮沈子が受けた講習では、そして、たぶん、洞窟潜水の講習ではどんな指導団体でも(たぶん)、ロストラインに対応する訓練を行う(ここでは詳細については触れません)。
イントロケーブの最後の最後、しかも、午後からのダイビングと相場が決まっている(イントロケーブ講習のハイライトです:ストレス最高潮!)。
地べたをはいつくばって移動するスキルだから、洞窟が濁るからな。
その際に、指導者からは重要なことを言い渡される。
「このスキルを身に付けたからといって、必ずラインに戻れるとは限らんぞ!。」
浮沈子は、セノーテの講習に先立って、海洋で2回、ロストラインのスキルを練習している(大瀬の湾内)。
で、2度とも失敗した。
既に、2回死んでいるわけだな。
やれやれ・・・。
洞窟でのラインは、文字通り命綱だ。
人間は、洞窟の中で生きられる動物じゃない。
光あふれ、呼吸する空気に満ちた地上に生息する動物だ。
真っ暗で呼吸ガスが限られている洞窟から、生きとし生けるものたちの世界へと導く命のライン・・・。
(蜘蛛の糸)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%9C%98%E8%9B%9B%E3%81%AE%E7%B3%B8
「芥川龍之介のはじめての児童文学作品」
そうか、児童文学だったのか・・・。
「ドイツ生まれのアメリカ作家で宗教研究者のポール・ケーラス(en:Paul Carus)(1852-1919)が1894年に書いた『Karma :A Story of Buddhist Ethics』(以下、『カルマ』と略)の原書[4](この原書は後述のカルマⅢである。)には以下の8編の仏教説話が収録されているが、『蜘蛛の糸』の材源となった「The Spider-Web」はケーラスの創作」
元ネタがあったとは知らなかったな。
「「カラマーゾフの兄弟」説」
「この人は野菜畑で葱を一本引き抜き、乞食女に与えました」
「ではその葱を取ってきて、火の湖にいるその女に差しだしてあげなさい。それにつかまらせ、引っぱるのです。もしも湖から岸に上がれれば、そのまま天国に行かせてあげよう。でもその葱が切れてしまったら、今と同じところに残るがよい」
まあ、糸でもネギでもいいんですが。
陸上で、どんな悪行をしていても、洞窟潜水でラインが切れちまって上がってこられなくなることはない。
が、正式な訓練を受けず、正確で十分な知識や、鍛錬されたスキル、ルールを守る厳格な態度、保守的な運用を守ることをしなければ、カンダダや意地の悪い女のように、地獄に落ちて苦しむことになるのだ。
もちろん、このラインは俺様のものだと言って、後ろからくるダイバーを思いっきりフィンで蹴ったりすれば、目の前のラインが切れるかもしれないけどな(そんなあ!)。
虫も殺さぬ浮沈子は、陸上で悪行をしているわけではないけれど、洞窟のラインを辿る時には、蜘蛛の糸の話(ネギでもニンジンでもいいんですが:『地獄の人参』という話もあるようです)を思い出す。
自分がリードダイバーの時は、後続のダイバーを蹴らないようにしないとな・・・。
<おことわり>ーーーーーーーーーー
この記事では洞窟潜水(ケーブダイビング)に関する記述が出てきます。閉鎖環境(直接水面に浮上することができない環境)での潜水は非常に危険です。指導団体による正規のトレーニングを終了せずに行うことは命に係わります。
浮沈子の個人的見解ですが、オープンウォーター(海洋など、直接水面に浮上できる場所)で行うダイビングに比べて100倍ヤバいです(オープンウォーターダイビングも十分危険なレジャーですが)。
知る限りの指導団体では、講習は段階を踏んで行われます(実際の講習では連続して行われることもあるようです)。各段階ごとに侵入できるエリアには制限が設けられています。それを超えて洞窟の奥へ侵入することは禁じられています(講習終了した段階の制限を超えては進めません:リスク管理は厳格です)。
一方、正規の訓練を受け、正しい態度や十分なスキルを身に着け、必要な器材を十分に使いこなすことができれば、そして、洞窟のさらに奥に何があるかについて、カリブ海のカラフルな熱帯魚の群れよりも興味があるなら、充実したダイビング体験ができることは請け合います。
では、死神の絵が描かれている看板の奥に行ってみましょう・・・。
ーーーーーーーーーーー
洞窟の中には何があるのか。
天然の光が届くカバーンエリアを超えて、さらにその奥へと続くケーブエリアに行くまでは、浮沈子も知らなかった。
もちろん、カバーンエリアにもそれはあったけど。
ラインだ(ガイドラインとも言います)。
材質は、多分ナイロン。
撚りを入れた、ふつーの紐で、太さはおそらく数ミリ程度。
ロープとは呼べないが、フィンガースプールに巻き付けてあったり、巻取り装置が付いているリールのラインとは異なる。
パーマネントラインとか、メインラインとか呼ばれている、まあ、大通り(メジャーな通路)なわけだ。
これが引いてあるところは、人通りも多い。
銀座通りな感じだ。
例外を除いて原則追い越し禁止だし、すれ違う時にも気を使わなければならない(ライトで目潰ししちゃいけないとかな)。
いろいろルールはあるけど、詳細は割愛する。
メインストリームにひいてあるパーマネントラインは、その名の通り、ずーっとそのまま設置してある。
ふつーの洞窟潜水するダイバー(たとえば、フルケーブダイバーになったばかりの浮沈子など)は、このラインに沿って、大通りを行ったり来たりすることになる。
もちろん、ジャンプやギャップを飛んで、離れた別のパーマネントラインに行くこともできる(イントロケーブダイバーでは、飛べません)。
洞窟の中は、もちろん、直接浮上して地球の大気という無尽蔵の呼吸源に辿り着くことはできないから、オープンウォーターダイビングとはけた違いのリスクを負っていることに変わりはないけど、そして、このメインラインを辿っていても、様々なトラブルが起こり得るので絶対的な安全とは程遠いが、ぶっちゃけ、ただひたすら泳ぐだけという行為で何とかなる。
正確なトリム取ったり(水平とは限りません)、シルトを巻き上げたり、壁や天井、鍾乳石蹴ったりしないフィンワークとか、ああでもないこうでもないという話はいくらでもあるけど。
知識的にも、座学でいやというほど叩き込まれてパンク状態にはなるけど、それでも、連続したパーマネントラインが引かれているエリアで、ガスマネージメントが厳格にできていて保守的な運用が徹底されていれば、戻るべき時点で戻ることさえ守れば帰ってくることは出来る。
ラインをただ見ているわけではない。
どこにどのように張られているのか、高低差はどうか、タイしてある(岩などに固定されている)場所の状況、壁や床、天井などとの距離はどうなっているか、他のラインが隠れてはいないか(ここ、重要です!)、エトセエトセを確認しつつ、ちゃーんと目で追いながら泳いでいかなければならない。
ラインとの距離も重要だな。
近寄りすぎてフィンで蹴ったりしてはいけないし、離れ過ぎて、突然の視界不良(マスク取れたあーっ!)などの際に、パッと手を伸ばして触れることができる程度の距離を保つ必要もある。
前を行くダイバー、後ろからくるダイバーの存在、距離、ライトコンタクトなどにも気を配らなければならない。
忙しいな・・・。
漫然と泳いでいるわけじゃない。
サイドマウントでは、左右のタンクの切り替えや、ガスの消費に伴うタンクの浮力変化に対応するための取り付け位置の変更も必要だ(セノーテではアルミタンクなので)。
自分の器材の運用や、トラブル対応にも神経を使う(パワーインフレーターが、今、突然吹いたらどーする!?)。
が、それでも、パーマネントラインを辿って泳いでいる時は、リスクは相対的に低い(オープンウォーターダイビングの100倍くらいか)。
ジャンプやギャップ(他にも、Tとかありますが)を越えて、複雑なケーブシステムに入り込んでいけば、そりゃもう、リスクは無限に増えていく。
正しい知識と、ルールを守る厳格な態度、鍛錬されたスキルとそれらを支える心身の健全さが求められる。
死神看板は、伊達や酔狂で設置されているわけではないのだ。
が、ラインの話をもう少し続けよう・・・。
オープンウォーターの環境でも、ガイドラインが設置されているところは多い。
安全のためということもあるし、確実に目的地にたどり着くために、効率を考えて設置されているところもある。
ブイを付けて、垂直に張られていたりもする。
視標というやつだな。
それを手で持って、掴まりながら先行や浮上するスキルも練習するでしょ?。
少し上手になると、目で追って、触らずに浮力コントロールできるようになったりして!。
もっと上達すると、ライン(視標)なんて見なくても、ブルーウォーターで潜降浮上ができるようになる。
ラインは、見ない方がエライ!(そうなのかあ?)。
そういう思い込み(!)は、すっぱり捨てて、洞窟潜水のラインの意義について、しっかり学ぶ必要があるな。
基本、ラインはしっかりと見るものだ。
視覚に頼ることが出来なくなれば、習ったとおりに手(指)で触れて辿ることになる。
ラインを見失う、或いは触れていたラインから手(指)が離れることは、死を意味する。
ロストライン。
すぐに見つかれば、或いは、すぐ再び触れることが出来れば問題はない(出口の方向さえ間違わなければ)。
が、見失ったこと、触れていた手が離れること自体はインシデントだ。
あってはならないこと、アクシデントに発展しかねない、重大なトラブルだ。
浮沈子が受けた講習では、そして、たぶん、洞窟潜水の講習ではどんな指導団体でも(たぶん)、ロストラインに対応する訓練を行う(ここでは詳細については触れません)。
イントロケーブの最後の最後、しかも、午後からのダイビングと相場が決まっている(イントロケーブ講習のハイライトです:ストレス最高潮!)。
地べたをはいつくばって移動するスキルだから、洞窟が濁るからな。
その際に、指導者からは重要なことを言い渡される。
「このスキルを身に付けたからといって、必ずラインに戻れるとは限らんぞ!。」
浮沈子は、セノーテの講習に先立って、海洋で2回、ロストラインのスキルを練習している(大瀬の湾内)。
で、2度とも失敗した。
既に、2回死んでいるわけだな。
やれやれ・・・。
洞窟でのラインは、文字通り命綱だ。
人間は、洞窟の中で生きられる動物じゃない。
光あふれ、呼吸する空気に満ちた地上に生息する動物だ。
真っ暗で呼吸ガスが限られている洞窟から、生きとし生けるものたちの世界へと導く命のライン・・・。
(蜘蛛の糸)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%9C%98%E8%9B%9B%E3%81%AE%E7%B3%B8
「芥川龍之介のはじめての児童文学作品」
そうか、児童文学だったのか・・・。
「ドイツ生まれのアメリカ作家で宗教研究者のポール・ケーラス(en:Paul Carus)(1852-1919)が1894年に書いた『Karma :A Story of Buddhist Ethics』(以下、『カルマ』と略)の原書[4](この原書は後述のカルマⅢである。)には以下の8編の仏教説話が収録されているが、『蜘蛛の糸』の材源となった「The Spider-Web」はケーラスの創作」
元ネタがあったとは知らなかったな。
「「カラマーゾフの兄弟」説」
「この人は野菜畑で葱を一本引き抜き、乞食女に与えました」
「ではその葱を取ってきて、火の湖にいるその女に差しだしてあげなさい。それにつかまらせ、引っぱるのです。もしも湖から岸に上がれれば、そのまま天国に行かせてあげよう。でもその葱が切れてしまったら、今と同じところに残るがよい」
まあ、糸でもネギでもいいんですが。
陸上で、どんな悪行をしていても、洞窟潜水でラインが切れちまって上がってこられなくなることはない。
が、正式な訓練を受けず、正確で十分な知識や、鍛錬されたスキル、ルールを守る厳格な態度、保守的な運用を守ることをしなければ、カンダダや意地の悪い女のように、地獄に落ちて苦しむことになるのだ。
もちろん、このラインは俺様のものだと言って、後ろからくるダイバーを思いっきりフィンで蹴ったりすれば、目の前のラインが切れるかもしれないけどな(そんなあ!)。
虫も殺さぬ浮沈子は、陸上で悪行をしているわけではないけれど、洞窟のラインを辿る時には、蜘蛛の糸の話(ネギでもニンジンでもいいんですが:『地獄の人参』という話もあるようです)を思い出す。
自分がリードダイバーの時は、後続のダイバーを蹴らないようにしないとな・・・。
🐱メキシコへの道:第3章:見ること ― 2023年08月12日 13:27
メキシコへの道:第3章:見ること
<おことわり>ーーーーーーーーーー
この記事では洞窟潜水(ケーブダイビング)に関する記述が出てきます。閉鎖環境(直接水面に浮上することができない環境)での潜水は非常に危険です。指導団体による正規のトレーニングを終了せずに行うことは命に係わります。
浮沈子の個人的見解ですが、オープンウォーター(海洋など、直接水面に浮上できる場所)で行うダイビングに比べて100倍ヤバいです(オープンウォーターダイビングも十分危険なレジャーですが)。
知る限りの指導団体では、講習は段階を踏んで行われます(実際の講習では連続して行われることもあるようです)。各段階ごとに侵入できるエリアには制限が設けられています。それを超えて洞窟の奥へ侵入することは禁じられています(講習終了した段階の制限を超えては進めません:リスク管理は厳格です)。
一方、正規の訓練を受け、正しい態度や十分なスキルを身に着け、必要な器材を十分に使いこなすことができれば、そして、洞窟のさらに奥に何があるかについて、カリブ海のカラフルな熱帯魚の群れよりも興味があるなら、充実したダイビング体験ができることは請け合います。
では、死神の絵が描かれている看板の奥に行ってみましょう・・・。
ーーーーーーーーーーー
2年前に初めてメキシコでダイビングした時には、浮沈子はカバーンだけではなく、ちゃーんと(!)カリブ海にも潜った(生まれて初めてでしたが)。
名前は忘れたけど(浮沈子は、魚の名前とか覚えられない:美味そうかそうでないかくらい:塩焼きかムニエルにしたら美味そうでしたが)、カラフルな南国の熱帯魚の群れに囲まれて泳いだりもした(自称、リゾートダイバーですから!)。
ボートダイビングで、ポイントまで移動し、まったりと暖かい海で泳ぐのは楽しい。
初心者向けのポイントで、同行したロシア人の観光客の中には体験ダイビングのお客さんもいたしな。
水深は10mくらい。
カンクンエリアで、珍しい水中彫刻もあったしな。
いや、実に、ふつーに楽しい。
が、しかし、誰とは言わないが、メキシコに何十回と通って潜っているダイバーの中には、カリブ海で潜ったことがないというヘンタイもいる。
セノーテ(洞窟)ばっかし・・・。
まあ、好みの問題だから、どーでもいいんですけど。
燦燦と陽光降り注ぐカリブ海に背を向けて、真っ暗な(地球上で体験できる限り最高の暗闇だそうです)穴倉の奥へ奥へと突き進んでいく。
このブログでは、何度も書いているけど、洞窟の奥にあるのは洞窟だ。
さらに、その奥にも洞窟が続いている。
美しい鍾乳石、かつて水面上にあった時代(鍾乳石は、水中では形成されません:ヘルズベルとか、一部例外はあります)に迷い込んだ動物の骨とかはあるけど、原則として洞窟の中は洞窟だけが見えている。
何が面白くて洞窟潜水するのか。
浮沈子は、洞窟愛(ああ、十分ヘンタイだ)が足りないので、未だに永遠の謎である。
最近、メキシコ行きの準備でいろいろ復習したりしている中で、少し分かってきたのは、洞窟潜水自体が洞窟愛を育む要素を内包しているという点だな。
ケーブダイビングをしている際に見ているのは、今、見ているものだけではない。
潜水計画で確認したルート、エントリーしてから今までのルートでの情報(水深、水温、淡水海水の別、透視度、鍾乳石(つらら石、石筍、石柱)、岩(形などの特徴や岩質)、ライン(ライン上のマーカー、ジャンプやギャップ、Tなどの分岐)、シルトの状況、パーコレーション(吐いた泡で天井から落ちてくる剥落片、または、それが落ちること)の状況、エトセエトセ)、これから進んでいく先にあるトラバースやサーキットの情報が頭の中を駆け巡っている・・・。
もちろん、ガスの消費は定期的に確認するし、事前に想定されている消費量と比べて大きく乖離していないかもチェックする。
サイドマウントの場合には、さらに面倒くさい手順も必要だ。
ああでもない、こうでもない、ああだったこうだった、ああしなければならない、こうしなければならない・・・。
今この瞬間、視覚の中では見えないものを、頭の中で見ている。
浮沈子は、航空機の操縦は出来ないんだが、例えて言えば計器飛行を続けているようなものだ。
その作業を継続し続け、ダイビングを管理し続けることが、洞窟潜水では必要最低限のスキルになる。
見えていないものを見る能力が試される。
それが多ければ多いほど、また、体系づけられて整理され、効率よく管理されていればいるほど、ケーブダイバーとしてのスキルが高いことになる(もちろん、それだけじゃありませんが)。
カリブ海では、ボーっと潜っていられる(浮沈子だけかあ?)。
カメラも持たず、確か、ライトも持って行かなかったからな(明るいし)。
浅く明るく温かい(3A)、まったりとしたダイビングで、頭の中を空っぽにできる(得意です!)。
えーと、もちろん、残圧とか、潜水時間とか、深度は管理してますけど(NDLは、見てなかったかも!?:MAX10mですから)。
見ているものだけを見て、ダイビングできてしまうからな。
お魚と泳ぐ、お魚になる・・・。
おさかなになった、わ・た・し。
(「♪おさかなになったわ~た~し~」は何のCMでしたかね?)
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1213671032
「TOTOのバスタブのCMで、三東ルシアさんがお風呂につかっているシーンで、このフレーズが出てきました。」
(三東ルシア:動画出ます。)
https://www.youtube.com/watch?v=R1HJ_m_mynA
まあいい。
お魚になった私をイメージするのだって、目に見えないものを見ているんだと強弁することはできるかも知れない(無理筋かあ?)。
しかし、洞窟潜水では、それが出来なければ潜れない。
絶対的な必要条件になるし、データを統合して価値を与え、情報として活用すること、つまり、行動に結び付けることが要求されるからな。
トレーニングでたまたま何かができること(スキルがあること)と、実際に、その時その場でそれを行えることの間には無限の距離がある。
しかも、洞窟の中という環境自体がとてつもないストレスを与えている。
浮沈子は、3回目のメキシコ行きに備えて前回の復習のつもりでこのシリーズを書いているけど、改めて振り返る度に新たな発見がある。
つーか、無我夢中で講習を受けていた時には気づかなかったことに気づかされる。
見ることについても、今更のように考えさせられる。
漫然と見る(対象を特定しないで広く情報収集する)、確認するために特定の対象をしっかり見る、目で見ているものの背後にあるものまで見る。
最後のは難しいな。
これには経験が必要だ。
ダイバーが、頻繁にゲージ(残圧計)を確認していたら?。
ひょっとして、想定外の呼吸ガスを消費していて、それを気にしているのかもしれないし、ゲージが壊れちまって針が動いていないのかもしれない。
ストレスが溜まってきて、他のトラブルを誘発するかもしれないし、場合によってはダイビング終了のゴールデンサインが出るかもな・・・。
が、単に、ゲージが見づらいだけで、ライトを当てて蓄光してから蛍光塗料が塗られた目盛と針を、再確認しているだけかもしれないし。
フィンキックが安定しているか、呼吸の乱れがないかなど、他のトラブルの兆候を見逃さないようにしておかないとな。
人のことはともかく、自分の方は大丈夫かな。
残圧は定期的にチェックしているかな、想定される時間消費量を逸脱してないかな、ゲージがぶっ壊れてるということはないだろうか。
ガスの消費に伴うタンクの浮力変化には適切に対応しているか、左右の消費バランスはどうか、この先で隘路が続くから、今、早めにチェンジしておいた方がいいかな、でも、それって時間的には短いかもしれないから、通過してからがいいかも・・・。
んなことを、前のダイバーはちゃあんと考えてるのかな・・・。
後ろのヤツは、どーするつもりなんだろう?。
おっと、若干の深度変化で海水層から淡水層へ上がらないといけなくなったぞ。
うーん、BCに入れた方がいいかな(淡水層は浮力が小さくなるので、浮上してても給気することがあります)、ちっと、呼吸で調整してみて、カバーできないようならすぐに給気できるように準備しとくか・・・。
見えないものを見、聞こえないものを聞く(これはあまりないかも)。
幻覚ではなく、エビデンスに基づく正しい情報で、現状を把握し、未来を予測し、限られた資源を活用して安全を確保していく。
洞窟愛にどっぷり漬かったダイバーは皆、終わることのないこのプロセスに快感を感じているんだろう(ヘンタイだあ!)。
浮沈子は、フルケーブ講習を辛うじてクリアしたてのひよっこケーブダイバーだが、その気持ちが少しだけわかるような気もする。
目の前に世界最大の水中洞窟が横たわっているのに、なんでカリブ海なんか(!)に潜るのお?(ヘンタイだあ・・・)。
まあ、どうでもいいんですが。
一応、念のために断っておくけど、洞窟の奥には洞窟しかない。
そりゃ、マストドンの骨とか、トラバースして別のセノーテの入り口に出たこととかもあるけど、基本的には行って帰ってくるだけの話で、見ているものの99パーセントは洞窟の壁(天井、床含む)だ。
珍しい水中生物といえば、メインルートをすれ違うほかのダイバー達だけ。
そういうダイビングを続けるかどうかは、講習が終わった後にそれぞれが判断することになる。
が、これだけは言える。
フルケーブダイバーの講習は受講する価値がある。
個人差があるので一概には言えないし、向き不向きは当然あるけど、金と暇と手間を掛けるに値する。
洞窟愛に乏しい浮沈子は、まだ、カリブ海に未練がある(たらたら・・・)。
次回は、コスメル島のドロップオフで、是非ともお魚ダイビングを楽しみたい(ここ、重要です!)。
まあ、それができるかどうかは、同行のダイバー次第だけどな(前回はとてもとてもムリポ!)。
両眼の人工眼内レンズで見られるものだけを見る。
頭の中に、仮想の洞窟を作ることもない。
洞窟ダイバーはきっと、潜っていない時でも、シミュレーションしているんだろう。
頭の中の、自分だけの仮想の洞窟を、もちろん、他人の目で見ることのできない世界を、自由自在に遊弋する。
呼吸ガスが足りなくて戻らざるを得なかったターニングポイントの先まで、トラバースできなかった遠くのセノーテまで、Uターンして戻ってきたサーキットを回って、元のセノーテにたどり着くまで・・・。
予備のタンクを持ち、40mの制限を超え、減圧ガスを吸い、スクーターを抱え、リブリーザーで呼吸しながら延々と潜り続ける夢を見るのだ(どれも、浮沈子にはできませんが)。
ただひたすらに、洞窟の壁を見ながらな。
洞窟ダイバーが見ているのは、どこまでも永遠に潜り続ける夢なのかもしれない。
この洞窟の果てまで行ってQ!・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(パーコレーション)
http://www.inspiredtodive.com/photo-blog/percolation
「パーコレーションとは、洞窟ダイバーが、吐き出された泡が上昇して岩に当たるときに洞窟の屋根から剥がれ落ちる泥に付けた名前です。」
(パーコレーション)
https://itsdefined.com/glossary/percolation/
「定義:ダイバーの排気泡が洞窟の天井のシルトを乱したときに発生する状況。」
元々の意味は、ガソリンが燃料パイプ内で早期に気化することをいうらしい。
(パーコレーション)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3
「元は自動車用語で、ガソリンがキャブレターに到達するまでに気化し、燃料パイプ内に気泡を生ずること。」
「燃料噴射装置を採用している車両では、燃料供給装置内が加圧されているので起こりにくい。」
洞窟潜水の用語は、元の意味とはだいぶ異なっているな。
まあ、「泡のせいで不都合な状況になる」という点では共通だ。
浮沈子は、講習中にこれに見舞われ、背中が真っ白になった。
実際に体験すると、やや恐怖を感じることもある(天井が崩落するんじゃないか・・・)。
「洞窟の入り口付近で浸透が発生しているため、ダイビングを中止します。」(浸透:「percolation」の訳語の一つ:上記itsdefined.comからの引用)
天井に吐いた泡が溜まって、天井の凸凹の状況によっては、木の葉のような模様を見せることもあるようだ(浮沈子は見たことはありませんが)。
パーマネントラインが張ってあるメインストリートでは、パーコレーションは起きない。
通行量が多いからな。
落ちるべきものはみんな落ちてしまっている。
が、そこから少し外れると、パラパラと景気良く落ちてくる。
これが1万円札とかなら文句を言う筋合いじゃないだがな・・・。
<おことわり>ーーーーーーーーーー
この記事では洞窟潜水(ケーブダイビング)に関する記述が出てきます。閉鎖環境(直接水面に浮上することができない環境)での潜水は非常に危険です。指導団体による正規のトレーニングを終了せずに行うことは命に係わります。
浮沈子の個人的見解ですが、オープンウォーター(海洋など、直接水面に浮上できる場所)で行うダイビングに比べて100倍ヤバいです(オープンウォーターダイビングも十分危険なレジャーですが)。
知る限りの指導団体では、講習は段階を踏んで行われます(実際の講習では連続して行われることもあるようです)。各段階ごとに侵入できるエリアには制限が設けられています。それを超えて洞窟の奥へ侵入することは禁じられています(講習終了した段階の制限を超えては進めません:リスク管理は厳格です)。
一方、正規の訓練を受け、正しい態度や十分なスキルを身に着け、必要な器材を十分に使いこなすことができれば、そして、洞窟のさらに奥に何があるかについて、カリブ海のカラフルな熱帯魚の群れよりも興味があるなら、充実したダイビング体験ができることは請け合います。
では、死神の絵が描かれている看板の奥に行ってみましょう・・・。
ーーーーーーーーーーー
2年前に初めてメキシコでダイビングした時には、浮沈子はカバーンだけではなく、ちゃーんと(!)カリブ海にも潜った(生まれて初めてでしたが)。
名前は忘れたけど(浮沈子は、魚の名前とか覚えられない:美味そうかそうでないかくらい:塩焼きかムニエルにしたら美味そうでしたが)、カラフルな南国の熱帯魚の群れに囲まれて泳いだりもした(自称、リゾートダイバーですから!)。
ボートダイビングで、ポイントまで移動し、まったりと暖かい海で泳ぐのは楽しい。
初心者向けのポイントで、同行したロシア人の観光客の中には体験ダイビングのお客さんもいたしな。
水深は10mくらい。
カンクンエリアで、珍しい水中彫刻もあったしな。
いや、実に、ふつーに楽しい。
が、しかし、誰とは言わないが、メキシコに何十回と通って潜っているダイバーの中には、カリブ海で潜ったことがないというヘンタイもいる。
セノーテ(洞窟)ばっかし・・・。
まあ、好みの問題だから、どーでもいいんですけど。
燦燦と陽光降り注ぐカリブ海に背を向けて、真っ暗な(地球上で体験できる限り最高の暗闇だそうです)穴倉の奥へ奥へと突き進んでいく。
このブログでは、何度も書いているけど、洞窟の奥にあるのは洞窟だ。
さらに、その奥にも洞窟が続いている。
美しい鍾乳石、かつて水面上にあった時代(鍾乳石は、水中では形成されません:ヘルズベルとか、一部例外はあります)に迷い込んだ動物の骨とかはあるけど、原則として洞窟の中は洞窟だけが見えている。
何が面白くて洞窟潜水するのか。
浮沈子は、洞窟愛(ああ、十分ヘンタイだ)が足りないので、未だに永遠の謎である。
最近、メキシコ行きの準備でいろいろ復習したりしている中で、少し分かってきたのは、洞窟潜水自体が洞窟愛を育む要素を内包しているという点だな。
ケーブダイビングをしている際に見ているのは、今、見ているものだけではない。
潜水計画で確認したルート、エントリーしてから今までのルートでの情報(水深、水温、淡水海水の別、透視度、鍾乳石(つらら石、石筍、石柱)、岩(形などの特徴や岩質)、ライン(ライン上のマーカー、ジャンプやギャップ、Tなどの分岐)、シルトの状況、パーコレーション(吐いた泡で天井から落ちてくる剥落片、または、それが落ちること)の状況、エトセエトセ)、これから進んでいく先にあるトラバースやサーキットの情報が頭の中を駆け巡っている・・・。
もちろん、ガスの消費は定期的に確認するし、事前に想定されている消費量と比べて大きく乖離していないかもチェックする。
サイドマウントの場合には、さらに面倒くさい手順も必要だ。
ああでもない、こうでもない、ああだったこうだった、ああしなければならない、こうしなければならない・・・。
今この瞬間、視覚の中では見えないものを、頭の中で見ている。
浮沈子は、航空機の操縦は出来ないんだが、例えて言えば計器飛行を続けているようなものだ。
その作業を継続し続け、ダイビングを管理し続けることが、洞窟潜水では必要最低限のスキルになる。
見えていないものを見る能力が試される。
それが多ければ多いほど、また、体系づけられて整理され、効率よく管理されていればいるほど、ケーブダイバーとしてのスキルが高いことになる(もちろん、それだけじゃありませんが)。
カリブ海では、ボーっと潜っていられる(浮沈子だけかあ?)。
カメラも持たず、確か、ライトも持って行かなかったからな(明るいし)。
浅く明るく温かい(3A)、まったりとしたダイビングで、頭の中を空っぽにできる(得意です!)。
えーと、もちろん、残圧とか、潜水時間とか、深度は管理してますけど(NDLは、見てなかったかも!?:MAX10mですから)。
見ているものだけを見て、ダイビングできてしまうからな。
お魚と泳ぐ、お魚になる・・・。
おさかなになった、わ・た・し。
(「♪おさかなになったわ~た~し~」は何のCMでしたかね?)
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1213671032
「TOTOのバスタブのCMで、三東ルシアさんがお風呂につかっているシーンで、このフレーズが出てきました。」
(三東ルシア:動画出ます。)
https://www.youtube.com/watch?v=R1HJ_m_mynA
まあいい。
お魚になった私をイメージするのだって、目に見えないものを見ているんだと強弁することはできるかも知れない(無理筋かあ?)。
しかし、洞窟潜水では、それが出来なければ潜れない。
絶対的な必要条件になるし、データを統合して価値を与え、情報として活用すること、つまり、行動に結び付けることが要求されるからな。
トレーニングでたまたま何かができること(スキルがあること)と、実際に、その時その場でそれを行えることの間には無限の距離がある。
しかも、洞窟の中という環境自体がとてつもないストレスを与えている。
浮沈子は、3回目のメキシコ行きに備えて前回の復習のつもりでこのシリーズを書いているけど、改めて振り返る度に新たな発見がある。
つーか、無我夢中で講習を受けていた時には気づかなかったことに気づかされる。
見ることについても、今更のように考えさせられる。
漫然と見る(対象を特定しないで広く情報収集する)、確認するために特定の対象をしっかり見る、目で見ているものの背後にあるものまで見る。
最後のは難しいな。
これには経験が必要だ。
ダイバーが、頻繁にゲージ(残圧計)を確認していたら?。
ひょっとして、想定外の呼吸ガスを消費していて、それを気にしているのかもしれないし、ゲージが壊れちまって針が動いていないのかもしれない。
ストレスが溜まってきて、他のトラブルを誘発するかもしれないし、場合によってはダイビング終了のゴールデンサインが出るかもな・・・。
が、単に、ゲージが見づらいだけで、ライトを当てて蓄光してから蛍光塗料が塗られた目盛と針を、再確認しているだけかもしれないし。
フィンキックが安定しているか、呼吸の乱れがないかなど、他のトラブルの兆候を見逃さないようにしておかないとな。
人のことはともかく、自分の方は大丈夫かな。
残圧は定期的にチェックしているかな、想定される時間消費量を逸脱してないかな、ゲージがぶっ壊れてるということはないだろうか。
ガスの消費に伴うタンクの浮力変化には適切に対応しているか、左右の消費バランスはどうか、この先で隘路が続くから、今、早めにチェンジしておいた方がいいかな、でも、それって時間的には短いかもしれないから、通過してからがいいかも・・・。
んなことを、前のダイバーはちゃあんと考えてるのかな・・・。
後ろのヤツは、どーするつもりなんだろう?。
おっと、若干の深度変化で海水層から淡水層へ上がらないといけなくなったぞ。
うーん、BCに入れた方がいいかな(淡水層は浮力が小さくなるので、浮上してても給気することがあります)、ちっと、呼吸で調整してみて、カバーできないようならすぐに給気できるように準備しとくか・・・。
見えないものを見、聞こえないものを聞く(これはあまりないかも)。
幻覚ではなく、エビデンスに基づく正しい情報で、現状を把握し、未来を予測し、限られた資源を活用して安全を確保していく。
洞窟愛にどっぷり漬かったダイバーは皆、終わることのないこのプロセスに快感を感じているんだろう(ヘンタイだあ!)。
浮沈子は、フルケーブ講習を辛うじてクリアしたてのひよっこケーブダイバーだが、その気持ちが少しだけわかるような気もする。
目の前に世界最大の水中洞窟が横たわっているのに、なんでカリブ海なんか(!)に潜るのお?(ヘンタイだあ・・・)。
まあ、どうでもいいんですが。
一応、念のために断っておくけど、洞窟の奥には洞窟しかない。
そりゃ、マストドンの骨とか、トラバースして別のセノーテの入り口に出たこととかもあるけど、基本的には行って帰ってくるだけの話で、見ているものの99パーセントは洞窟の壁(天井、床含む)だ。
珍しい水中生物といえば、メインルートをすれ違うほかのダイバー達だけ。
そういうダイビングを続けるかどうかは、講習が終わった後にそれぞれが判断することになる。
が、これだけは言える。
フルケーブダイバーの講習は受講する価値がある。
個人差があるので一概には言えないし、向き不向きは当然あるけど、金と暇と手間を掛けるに値する。
洞窟愛に乏しい浮沈子は、まだ、カリブ海に未練がある(たらたら・・・)。
次回は、コスメル島のドロップオフで、是非ともお魚ダイビングを楽しみたい(ここ、重要です!)。
まあ、それができるかどうかは、同行のダイバー次第だけどな(前回はとてもとてもムリポ!)。
両眼の人工眼内レンズで見られるものだけを見る。
頭の中に、仮想の洞窟を作ることもない。
洞窟ダイバーはきっと、潜っていない時でも、シミュレーションしているんだろう。
頭の中の、自分だけの仮想の洞窟を、もちろん、他人の目で見ることのできない世界を、自由自在に遊弋する。
呼吸ガスが足りなくて戻らざるを得なかったターニングポイントの先まで、トラバースできなかった遠くのセノーテまで、Uターンして戻ってきたサーキットを回って、元のセノーテにたどり着くまで・・・。
予備のタンクを持ち、40mの制限を超え、減圧ガスを吸い、スクーターを抱え、リブリーザーで呼吸しながら延々と潜り続ける夢を見るのだ(どれも、浮沈子にはできませんが)。
ただひたすらに、洞窟の壁を見ながらな。
洞窟ダイバーが見ているのは、どこまでも永遠に潜り続ける夢なのかもしれない。
この洞窟の果てまで行ってQ!・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(パーコレーション)
http://www.inspiredtodive.com/photo-blog/percolation
「パーコレーションとは、洞窟ダイバーが、吐き出された泡が上昇して岩に当たるときに洞窟の屋根から剥がれ落ちる泥に付けた名前です。」
(パーコレーション)
https://itsdefined.com/glossary/percolation/
「定義:ダイバーの排気泡が洞窟の天井のシルトを乱したときに発生する状況。」
元々の意味は、ガソリンが燃料パイプ内で早期に気化することをいうらしい。
(パーコレーション)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%B3%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3
「元は自動車用語で、ガソリンがキャブレターに到達するまでに気化し、燃料パイプ内に気泡を生ずること。」
「燃料噴射装置を採用している車両では、燃料供給装置内が加圧されているので起こりにくい。」
洞窟潜水の用語は、元の意味とはだいぶ異なっているな。
まあ、「泡のせいで不都合な状況になる」という点では共通だ。
浮沈子は、講習中にこれに見舞われ、背中が真っ白になった。
実際に体験すると、やや恐怖を感じることもある(天井が崩落するんじゃないか・・・)。
「洞窟の入り口付近で浸透が発生しているため、ダイビングを中止します。」(浸透:「percolation」の訳語の一つ:上記itsdefined.comからの引用)
天井に吐いた泡が溜まって、天井の凸凹の状況によっては、木の葉のような模様を見せることもあるようだ(浮沈子は見たことはありませんが)。
パーマネントラインが張ってあるメインストリートでは、パーコレーションは起きない。
通行量が多いからな。
落ちるべきものはみんな落ちてしまっている。
が、そこから少し外れると、パラパラと景気良く落ちてくる。
これが1万円札とかなら文句を言う筋合いじゃないだがな・・・。
🐱メキシコへの道:第3章:洞窟はどのようにして洞窟になったか ― 2023年08月12日 19:35
メキシコへの道:第3章:洞窟はどのようにして洞窟になったか
<おことわり>ーーーーーーーーーー
この記事では洞窟潜水(ケーブダイビング)に関する記述が出てきます。閉鎖環境(直接水面に浮上することができない環境)での潜水は非常に危険です。指導団体による正規のトレーニングを終了せずに行うことは命に係わります。
浮沈子の個人的見解ですが、オープンウォーター(海洋など、直接水面に浮上できる場所)で行うダイビングに比べて100倍ヤバいです(オープンウォーターダイビングも十分危険なレジャーですが)。
知る限りの指導団体では、講習は段階を踏んで行われます(実際の講習では連続して行われることもあるようです)。各段階ごとに侵入できるエリアには制限が設けられています。それを超えて洞窟の奥へ侵入することは禁じられています(講習終了した段階の制限を超えては進めません:リスク管理は厳格です)。
一方、正規の訓練を受け、正しい態度や十分なスキルを身に着け、必要な器材を十分に使いこなすことができれば、そして、洞窟のさらに奥に何があるかについて、カリブ海のカラフルな熱帯魚の群れよりも興味があるなら、充実したダイビング体験ができることは請け合います。
では、死神の絵が描かれている看板の奥に行ってみましょう・・・。
ーーーーーーーーーーー
人間は、みんな悩んで大きくなったことになっている。
(ソクラテスかプラトンか(野坂昭如):動画出ます。)
https://www.youtube.com/watch?v=iCWbwqireyU
「ソ、ソ、ソクラテスかプラトンか
ニ、ニ、ニーチェかサルトルか
みーんな悩んで大きくなった!」
まあ、どうでもいいんですが。
この歌に、2番があったとは知らなかったな。
「シェ、シェ、シェークスピアか西鶴か
ギョ、ギョ、ギョエテかシルレルか
みーんな悩んで大きくなった!」
まあ、これも、どうでもいいんですが。
メキシコのユカタン半島の地下に広がるセノーテは、別に悩んで大きくなったわけじゃない(下手な前振りだな・・・)。
(セノーテ:日本語版)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%86
「中米ユカタン半島の低平な石灰岩地帯に見られる陥没穴に地下水が溜まった天然の井戸や泉のこと。約3500か所存在する」
おっと、地上と繋がっているところだけがセノーテと呼ばれる。
「泉の下層には大規模な鍾乳洞が水没していることが知られている。」
鍾乳洞(石灰洞)は、英語圏ではソリューションケーブと呼ばれている。
(鍾乳洞)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8D%BE%E4%B9%B3%E6%B4%9E
「鍾乳洞を胚胎する石灰岩の地層はサンゴ礁などが発達する暖かい海で、石灰質の殻や骨格をもった生物の遺骸などが海底に厚く堆積することによってできたものである。」
「主成分が炭酸カルシウムからなる石灰岩は、酸性の溶液に溶解する化学的性質をもつ。」
「石灰岩が地殻変動によって地上に隆起すると、二酸化炭素を含む弱酸性の雨水や地下水による侵食(溶食)が始まる。」
「このような侵食(溶食)によって石灰岩体の内部に多くの空洞(洞窟)が生じる。石灰岩中の微細な割れ目等を満たした地下水(炭酸カルシウムが多量に溶解している)が洞窟内に滲出すると、二酸化炭素を含む水と炭酸カルシウムとの化学反応が可逆的であることから、逆に炭酸カルシウムが方解石として晶出を始め、沈積して鍾乳石等の洞窟生成物が発達する。」
ウィキのページでは、水中鍾乳洞は紹介されていないけどな。
まあいい。
元になっているのは、暖かい海で沈殿した生物由来の石灰岩だ。
主成分は炭酸カルシウムで、雨水や地下水で溶解して鍾乳洞を形成し、水上に露出している間に空洞中に溶解した炭酸カルシウムが滴下して、つらら石や石筍、石柱などを形成する。
こうしてできた鍾乳洞が、再び水没すると、水中鍾乳洞が出来上がるというわけだ。
浮沈子が聞いた話では、天井からぶら下がっているつらら石が、1cm伸びるのに100年掛かるそうだ(環境によって異なるでしょうけど)。
1m伸びるのには、1万年の歳月を要する。
実は、我が国にも水中鍾乳洞はある。
(神秘が誘う幻想の地底世界へようこそ_。「稲積水中鍾乳洞」)
https://oita-katete.pref.oita.jp/web_magazine/inazumi/
「「稲積水中鍾乳洞」は3億年前の古生代に形成されましたが、その後、今から30万年前の阿蘇火山大噴火により水没したことで、現在の「水中」の形になりました。実は世界的にも非常に珍しいとされる「水中鍾乳洞」なのです!」
浮沈子は、メキシコ行って、ゲップが出るほど潜ってきたけどな(それって、コカコーラライトの飲み過ぎじゃね?:知ってる人は、全員頷いてるな)。
(セノーテ:英語版)
https://en.wikipedia.org/wiki/Cenote
「メキシコのユカタン半島の北と北西では、セノーテは通常、現在の地下水面の下 50 ~ 100 m (160 ~ 330 フィート) を貫通する垂直の空洞の上にあります。」
「しかし、これらのセノーテのうち、水平方向に広がる地下河川系とつながっていると考えられるものはほとんどなく、セノーテを通る水流は帯水層マトリックスと断層流によって支配されている可能性が高くなります。」
うーんワケワカだなあ・・・。
「対照的に、ユカタン半島のカリブ海沿岸沿いのセノーテ (キンタナ ロー州内) では、システマ オックス ベル ハ、システマ サック アクトゥン/システマ ノホック ナー チチ、システマ ドス オホスなどの広大な水中洞窟システムへのアクセスが提供されることがよくあります。」
浮沈子が潜った水系は、このカリブ海沿いのセノーテからアクセスする水中洞窟ということになる。
講習で使ったのはエルエデン(エデンとも)とタジマハだが、2年前の下見(この時は、カバーンエリアとカリブ海)の際には、ドスオホス、チャックモール(ククルカンも)とカラベラも潜った。
水中洞窟ということなら、国内では雲見とか宮古島、海外ではロタホール、パラオのシャンデリアケーブ、ダハブのキャニオンとかもある(これらは皆、カバーンです)。
しかし、淡水(12mより下の方は海水)のセノーテは、それとはまったく異なる体験になる(特にケーブエリア)。
巨大洞窟(広さとかじゃなくて、水系の複雑さと長さ)だ。
何十万年も時間をかけて自然が生み出した造形を、今、この瞬間に潜る。
鍾乳洞や鍾乳石は時間の化石だ。
我々は、その悠久の時間の流れの中に浮遊する浮遊物というところか。
セノーテの水面に落ちるひとひらの木の葉に等しい。
そういえば、エルエデンでは、崖の上からスイマーが飛び込みをしてたっけ・・・。
エルエデン スイマー飛び込む 水の音。
まあいい。
水中鍾乳洞やセノーテがであがるのには、人間の尺度で計り切れない時間が流れている。
そこは、訪れるリスクや困難さを考えれば、神聖で侵すことのできない禁断の地といっていい。
まあ、現地に行くと、週末の気軽なダイビングツアーのノリで、みんなふつーに潜ってるけどな。
それでいいのかもしれないし、それじゃマズイのかもしれない。
浮沈子はこの目で、1万年かかって成長したつらら石が崩れているのも、プルアンドグライドで崩壊した石柱も見た。
一応念のために書いておくけど、ソリューションケーブ(鍾乳洞)だけが洞窟じゃない。
鉱山の跡(マイン)、アイスケーブ、ブルーホール(海底のくぼみ)、海洋ケーブ、溶岩チューブ、コーラルケーブなどがある(これ以外にも、発電所の排水管とかあります:それって、洞窟かあ?:閉鎖空間には違いないけどな)。
マイン以外は、全て自然の造形で、多くは長い時間をかけて作られた(溶岩チューブとかは、短期間で出来るんでしょうけど:未確認)。
人間は、野生動物や風水害など自然の危険を避けるために、長い期間、洞窟で生活していたという話もある(もちろん陸上で)。
最近では、防空壕を再び作る話まで出ている。
(石垣市長と竹富町長 視察の自民議連に避難シェルター支援要請)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/okinawa/20230523/5090023249.html
「石垣島には都会のように地下施設は市役所以外ほとんどなく、公的機関の関係者は最後まで島に残る必要があり、シェルターが必要で、どれくらいの島民が残るかを確認した上で具体的な要望を行いたい」
「西表島に新たな庁舎を整備する計画だが、地上の駐車場の計画を地下に変更することで、有事の際、島に残る住民が避難シェルターとして利用できるようにしたい」
「先島諸島の有事に向き合う緊張感を感じた。避難シェルターの設置を促すような枠組みと予算的措置を考えて突破口を開きたい」
数万年後、地盤沈下や海面上昇で地下施設に水が溜まり、ダイビングスポットになるかどうかは知らない。
まあ、その頃、ダイビングというレジャーがあるのかとか、人類が生存しているのかとか、突っ込みどころはキリがないけどな。
洞窟と人類は、いつの時代も繋がっている(そうなのかあ?)。
米国では、イーロンマスクが地下トンネルを掘りまくってるっていうじゃないの。
(イーロン・マスクが計画する「地下を走るシャトル」らしき映像がリークされる)
https://www.gizmodo.jp/2023/07/vegas-loop-leak.html
「場所はラスベガスにある、掘削業者The Boring Companyとのこと。」
「ガラス張りのポッドが、ネオンだらけの駅で反射してサイバーっぷりに拍車をかけることでしょう。」
ベガスの地下トンネルが水没するかどうかは知らない(標高は610mだそうです)。
が、万が一そういうことになれば、利に敏い米国人は、早速ダイビングスポットにするかも知れない(そんなあ!)。
もちろん、縦穴の洞窟なら、人工のプールはある。
(「世界一深いプール」がオープン、巨大な水中都市を構成 ドバイ)
https://www.cnn.co.jp/travel/35173667.html
「プールの水深は60メートルで、ポーランドにある深さ45メートル超の「ディープスポット」から世界一の座を奪った。」
「水温は30度に維持され、ウェットスーツや水着での利用に快適な温度」
浮沈子は、GUEのテック1だから、51mまでしか行けないけどな(PADIだと50m)。
こういうのは、確かにダイビングするには適しているが、それのどこが面白いのかは知らない。
浮沈子は、それでも十分だけど。
安全が管理されていて、無茶は出来ず、人工の造形の中で楽しむ。
こういう話を、セノーテのダイビングの中で出してくるというのは、お門違いといわれそうだが、それがこのブログのいいところだ(そうなのかあ?)。
米国では、ICBMのサイロさえダイビングスポットになっていると言われる。
(ミサイルサイロダイブが帰ってきた!
タイタンI核ミサイル複合体に潜りましょう!)
http://www.underseaadventures.net/titan-i-missile-silo-silo-diving-dive-into-history.htm
「2 つのタンク ダイブが $349 で開催中です。
これは、ランチャー 3、設備ターミナル 3、およびランチャー 2 でのダイブを含む 1 日の体験です。さらに、ランチと複合施設のドライサイドのツアーが含まれます。」
まあ、どうでもいいんですが。
「何と素晴らしい経験だったでしょう! 今は放棄され、水で満たされている超極秘のミサイル サイロに潜りました。信じられないことに、これは私が住んでいる場所からわずか 40 分離れたところにありました。驚くほど素晴らしい経験です。アンダーシー アドベンチャーズに感謝します」ケネウィックで。」
冷戦万歳だな・・・。
「勇敢で非常に資格のある人のために、完全な頭上環境を備えたいくつかのサイドトンネルがあります。これらのエリアは、ほとんどのダイバーにとって立ち入り禁止です。」(写真のキャプションより)
深度にもよるだろうけど、減圧停止が生じるようなら浮沈子は奥までは行けないな。
いろいろ書いたが、セノーテからアクセスする水中洞窟は、長い時間を掛けて自然が作り上げた唯一無二の造形だ。
究極の地形ダイビングともいえる(つーか、それしかないし・・・)。
死神看板の先に行くには、それなりのトレーニングが必要だが、なーに、浮沈子でさえクリアできる(時間はかかりましたが)。
その先に行くかどうかは、死神と相談して決めてくれ(そんなあ!)。
浮沈子は、その間、コスメル島で、浅く明るく温かいお魚ダイビングでもしてるからな・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
日本の水中洞窟の代表的なのを忘れていた。
(龍泉洞)
http://www.iwate-ryusendo.jp/
「龍泉洞は日本三大鍾乳洞の一つとされ、また洞内に棲むコウモリと共に国の天然記念物に指定されています。」
「見つかっている地底湖は8つで、そのうち3つが公開中。」
(龍泉洞ツウ情報)
http://www.iwate-ryusendo.jp/about/tsuu/
「潜水調査:
ケイバーによる洞内の陸上調査に加え、洞窟の水中専門のダイバーが公開している地底湖はもちろんの事、その奥につながる未公開部分などの調査を行っています。」
「この潜水調査は大変に大がかりなもので、かつ地底湖というせまい空間での潜水が大変難易度が高いことから、一年に一回ほどしか行いません。その年によって日程と時間には違いがありますが、営業時間内に行う年もあり、居合わせたお客様たちには大変喜ばれています。」
洞窟潜水は見世物じゃないんだがな・・・。
まあ、どうでもいいんですが。
浮沈子は、Nバンを購入した直後(確か10月)に、ここを訪れている。
(秋の奥州路をひた走る)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/10/15/8973317
「時間にして、36時間で、自宅から龍泉洞に行って、ふつーに見学して帰ってきた。
強行軍だな(アホなだけ!)。」
もちろん、陸上だけだが中を見学して回った。
後悔されている地底湖も、上からのぞいたけど、あんなところで潜る気はしない(深いです)。
ここでの潜水は、正真正銘の探検だ。
大量のガスを使い、極地法的手法で探索する。
ここ数年は潜ってないみたいだけどな(未確認)。
浮沈子は、浅く温かいセノーテの方がいい(もちろん、明るくはありませんが、水温は25度あります)。
が、また機会があれば、龍泉洞の見学もしてみたいな(もちろん、陸上だけ:水温は9度だそうです:べらぼーめ・・・)。
<おことわり>ーーーーーーーーーー
この記事では洞窟潜水(ケーブダイビング)に関する記述が出てきます。閉鎖環境(直接水面に浮上することができない環境)での潜水は非常に危険です。指導団体による正規のトレーニングを終了せずに行うことは命に係わります。
浮沈子の個人的見解ですが、オープンウォーター(海洋など、直接水面に浮上できる場所)で行うダイビングに比べて100倍ヤバいです(オープンウォーターダイビングも十分危険なレジャーですが)。
知る限りの指導団体では、講習は段階を踏んで行われます(実際の講習では連続して行われることもあるようです)。各段階ごとに侵入できるエリアには制限が設けられています。それを超えて洞窟の奥へ侵入することは禁じられています(講習終了した段階の制限を超えては進めません:リスク管理は厳格です)。
一方、正規の訓練を受け、正しい態度や十分なスキルを身に着け、必要な器材を十分に使いこなすことができれば、そして、洞窟のさらに奥に何があるかについて、カリブ海のカラフルな熱帯魚の群れよりも興味があるなら、充実したダイビング体験ができることは請け合います。
では、死神の絵が描かれている看板の奥に行ってみましょう・・・。
ーーーーーーーーーーー
人間は、みんな悩んで大きくなったことになっている。
(ソクラテスかプラトンか(野坂昭如):動画出ます。)
https://www.youtube.com/watch?v=iCWbwqireyU
「ソ、ソ、ソクラテスかプラトンか
ニ、ニ、ニーチェかサルトルか
みーんな悩んで大きくなった!」
まあ、どうでもいいんですが。
この歌に、2番があったとは知らなかったな。
「シェ、シェ、シェークスピアか西鶴か
ギョ、ギョ、ギョエテかシルレルか
みーんな悩んで大きくなった!」
まあ、これも、どうでもいいんですが。
メキシコのユカタン半島の地下に広がるセノーテは、別に悩んで大きくなったわけじゃない(下手な前振りだな・・・)。
(セノーテ:日本語版)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%86
「中米ユカタン半島の低平な石灰岩地帯に見られる陥没穴に地下水が溜まった天然の井戸や泉のこと。約3500か所存在する」
おっと、地上と繋がっているところだけがセノーテと呼ばれる。
「泉の下層には大規模な鍾乳洞が水没していることが知られている。」
鍾乳洞(石灰洞)は、英語圏ではソリューションケーブと呼ばれている。
(鍾乳洞)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8D%BE%E4%B9%B3%E6%B4%9E
「鍾乳洞を胚胎する石灰岩の地層はサンゴ礁などが発達する暖かい海で、石灰質の殻や骨格をもった生物の遺骸などが海底に厚く堆積することによってできたものである。」
「主成分が炭酸カルシウムからなる石灰岩は、酸性の溶液に溶解する化学的性質をもつ。」
「石灰岩が地殻変動によって地上に隆起すると、二酸化炭素を含む弱酸性の雨水や地下水による侵食(溶食)が始まる。」
「このような侵食(溶食)によって石灰岩体の内部に多くの空洞(洞窟)が生じる。石灰岩中の微細な割れ目等を満たした地下水(炭酸カルシウムが多量に溶解している)が洞窟内に滲出すると、二酸化炭素を含む水と炭酸カルシウムとの化学反応が可逆的であることから、逆に炭酸カルシウムが方解石として晶出を始め、沈積して鍾乳石等の洞窟生成物が発達する。」
ウィキのページでは、水中鍾乳洞は紹介されていないけどな。
まあいい。
元になっているのは、暖かい海で沈殿した生物由来の石灰岩だ。
主成分は炭酸カルシウムで、雨水や地下水で溶解して鍾乳洞を形成し、水上に露出している間に空洞中に溶解した炭酸カルシウムが滴下して、つらら石や石筍、石柱などを形成する。
こうしてできた鍾乳洞が、再び水没すると、水中鍾乳洞が出来上がるというわけだ。
浮沈子が聞いた話では、天井からぶら下がっているつらら石が、1cm伸びるのに100年掛かるそうだ(環境によって異なるでしょうけど)。
1m伸びるのには、1万年の歳月を要する。
実は、我が国にも水中鍾乳洞はある。
(神秘が誘う幻想の地底世界へようこそ_。「稲積水中鍾乳洞」)
https://oita-katete.pref.oita.jp/web_magazine/inazumi/
「「稲積水中鍾乳洞」は3億年前の古生代に形成されましたが、その後、今から30万年前の阿蘇火山大噴火により水没したことで、現在の「水中」の形になりました。実は世界的にも非常に珍しいとされる「水中鍾乳洞」なのです!」
浮沈子は、メキシコ行って、ゲップが出るほど潜ってきたけどな(それって、コカコーラライトの飲み過ぎじゃね?:知ってる人は、全員頷いてるな)。
(セノーテ:英語版)
https://en.wikipedia.org/wiki/Cenote
「メキシコのユカタン半島の北と北西では、セノーテは通常、現在の地下水面の下 50 ~ 100 m (160 ~ 330 フィート) を貫通する垂直の空洞の上にあります。」
「しかし、これらのセノーテのうち、水平方向に広がる地下河川系とつながっていると考えられるものはほとんどなく、セノーテを通る水流は帯水層マトリックスと断層流によって支配されている可能性が高くなります。」
うーんワケワカだなあ・・・。
「対照的に、ユカタン半島のカリブ海沿岸沿いのセノーテ (キンタナ ロー州内) では、システマ オックス ベル ハ、システマ サック アクトゥン/システマ ノホック ナー チチ、システマ ドス オホスなどの広大な水中洞窟システムへのアクセスが提供されることがよくあります。」
浮沈子が潜った水系は、このカリブ海沿いのセノーテからアクセスする水中洞窟ということになる。
講習で使ったのはエルエデン(エデンとも)とタジマハだが、2年前の下見(この時は、カバーンエリアとカリブ海)の際には、ドスオホス、チャックモール(ククルカンも)とカラベラも潜った。
水中洞窟ということなら、国内では雲見とか宮古島、海外ではロタホール、パラオのシャンデリアケーブ、ダハブのキャニオンとかもある(これらは皆、カバーンです)。
しかし、淡水(12mより下の方は海水)のセノーテは、それとはまったく異なる体験になる(特にケーブエリア)。
巨大洞窟(広さとかじゃなくて、水系の複雑さと長さ)だ。
何十万年も時間をかけて自然が生み出した造形を、今、この瞬間に潜る。
鍾乳洞や鍾乳石は時間の化石だ。
我々は、その悠久の時間の流れの中に浮遊する浮遊物というところか。
セノーテの水面に落ちるひとひらの木の葉に等しい。
そういえば、エルエデンでは、崖の上からスイマーが飛び込みをしてたっけ・・・。
エルエデン スイマー飛び込む 水の音。
まあいい。
水中鍾乳洞やセノーテがであがるのには、人間の尺度で計り切れない時間が流れている。
そこは、訪れるリスクや困難さを考えれば、神聖で侵すことのできない禁断の地といっていい。
まあ、現地に行くと、週末の気軽なダイビングツアーのノリで、みんなふつーに潜ってるけどな。
それでいいのかもしれないし、それじゃマズイのかもしれない。
浮沈子はこの目で、1万年かかって成長したつらら石が崩れているのも、プルアンドグライドで崩壊した石柱も見た。
一応念のために書いておくけど、ソリューションケーブ(鍾乳洞)だけが洞窟じゃない。
鉱山の跡(マイン)、アイスケーブ、ブルーホール(海底のくぼみ)、海洋ケーブ、溶岩チューブ、コーラルケーブなどがある(これ以外にも、発電所の排水管とかあります:それって、洞窟かあ?:閉鎖空間には違いないけどな)。
マイン以外は、全て自然の造形で、多くは長い時間をかけて作られた(溶岩チューブとかは、短期間で出来るんでしょうけど:未確認)。
人間は、野生動物や風水害など自然の危険を避けるために、長い期間、洞窟で生活していたという話もある(もちろん陸上で)。
最近では、防空壕を再び作る話まで出ている。
(石垣市長と竹富町長 視察の自民議連に避難シェルター支援要請)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/okinawa/20230523/5090023249.html
「石垣島には都会のように地下施設は市役所以外ほとんどなく、公的機関の関係者は最後まで島に残る必要があり、シェルターが必要で、どれくらいの島民が残るかを確認した上で具体的な要望を行いたい」
「西表島に新たな庁舎を整備する計画だが、地上の駐車場の計画を地下に変更することで、有事の際、島に残る住民が避難シェルターとして利用できるようにしたい」
「先島諸島の有事に向き合う緊張感を感じた。避難シェルターの設置を促すような枠組みと予算的措置を考えて突破口を開きたい」
数万年後、地盤沈下や海面上昇で地下施設に水が溜まり、ダイビングスポットになるかどうかは知らない。
まあ、その頃、ダイビングというレジャーがあるのかとか、人類が生存しているのかとか、突っ込みどころはキリがないけどな。
洞窟と人類は、いつの時代も繋がっている(そうなのかあ?)。
米国では、イーロンマスクが地下トンネルを掘りまくってるっていうじゃないの。
(イーロン・マスクが計画する「地下を走るシャトル」らしき映像がリークされる)
https://www.gizmodo.jp/2023/07/vegas-loop-leak.html
「場所はラスベガスにある、掘削業者The Boring Companyとのこと。」
「ガラス張りのポッドが、ネオンだらけの駅で反射してサイバーっぷりに拍車をかけることでしょう。」
ベガスの地下トンネルが水没するかどうかは知らない(標高は610mだそうです)。
が、万が一そういうことになれば、利に敏い米国人は、早速ダイビングスポットにするかも知れない(そんなあ!)。
もちろん、縦穴の洞窟なら、人工のプールはある。
(「世界一深いプール」がオープン、巨大な水中都市を構成 ドバイ)
https://www.cnn.co.jp/travel/35173667.html
「プールの水深は60メートルで、ポーランドにある深さ45メートル超の「ディープスポット」から世界一の座を奪った。」
「水温は30度に維持され、ウェットスーツや水着での利用に快適な温度」
浮沈子は、GUEのテック1だから、51mまでしか行けないけどな(PADIだと50m)。
こういうのは、確かにダイビングするには適しているが、それのどこが面白いのかは知らない。
浮沈子は、それでも十分だけど。
安全が管理されていて、無茶は出来ず、人工の造形の中で楽しむ。
こういう話を、セノーテのダイビングの中で出してくるというのは、お門違いといわれそうだが、それがこのブログのいいところだ(そうなのかあ?)。
米国では、ICBMのサイロさえダイビングスポットになっていると言われる。
(ミサイルサイロダイブが帰ってきた!
タイタンI核ミサイル複合体に潜りましょう!)
http://www.underseaadventures.net/titan-i-missile-silo-silo-diving-dive-into-history.htm
「2 つのタンク ダイブが $349 で開催中です。
これは、ランチャー 3、設備ターミナル 3、およびランチャー 2 でのダイブを含む 1 日の体験です。さらに、ランチと複合施設のドライサイドのツアーが含まれます。」
まあ、どうでもいいんですが。
「何と素晴らしい経験だったでしょう! 今は放棄され、水で満たされている超極秘のミサイル サイロに潜りました。信じられないことに、これは私が住んでいる場所からわずか 40 分離れたところにありました。驚くほど素晴らしい経験です。アンダーシー アドベンチャーズに感謝します」ケネウィックで。」
冷戦万歳だな・・・。
「勇敢で非常に資格のある人のために、完全な頭上環境を備えたいくつかのサイドトンネルがあります。これらのエリアは、ほとんどのダイバーにとって立ち入り禁止です。」(写真のキャプションより)
深度にもよるだろうけど、減圧停止が生じるようなら浮沈子は奥までは行けないな。
いろいろ書いたが、セノーテからアクセスする水中洞窟は、長い時間を掛けて自然が作り上げた唯一無二の造形だ。
究極の地形ダイビングともいえる(つーか、それしかないし・・・)。
死神看板の先に行くには、それなりのトレーニングが必要だが、なーに、浮沈子でさえクリアできる(時間はかかりましたが)。
その先に行くかどうかは、死神と相談して決めてくれ(そんなあ!)。
浮沈子は、その間、コスメル島で、浅く明るく温かいお魚ダイビングでもしてるからな・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
日本の水中洞窟の代表的なのを忘れていた。
(龍泉洞)
http://www.iwate-ryusendo.jp/
「龍泉洞は日本三大鍾乳洞の一つとされ、また洞内に棲むコウモリと共に国の天然記念物に指定されています。」
「見つかっている地底湖は8つで、そのうち3つが公開中。」
(龍泉洞ツウ情報)
http://www.iwate-ryusendo.jp/about/tsuu/
「潜水調査:
ケイバーによる洞内の陸上調査に加え、洞窟の水中専門のダイバーが公開している地底湖はもちろんの事、その奥につながる未公開部分などの調査を行っています。」
「この潜水調査は大変に大がかりなもので、かつ地底湖というせまい空間での潜水が大変難易度が高いことから、一年に一回ほどしか行いません。その年によって日程と時間には違いがありますが、営業時間内に行う年もあり、居合わせたお客様たちには大変喜ばれています。」
洞窟潜水は見世物じゃないんだがな・・・。
まあ、どうでもいいんですが。
浮沈子は、Nバンを購入した直後(確か10月)に、ここを訪れている。
(秋の奥州路をひた走る)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/10/15/8973317
「時間にして、36時間で、自宅から龍泉洞に行って、ふつーに見学して帰ってきた。
強行軍だな(アホなだけ!)。」
もちろん、陸上だけだが中を見学して回った。
後悔されている地底湖も、上からのぞいたけど、あんなところで潜る気はしない(深いです)。
ここでの潜水は、正真正銘の探検だ。
大量のガスを使い、極地法的手法で探索する。
ここ数年は潜ってないみたいだけどな(未確認)。
浮沈子は、浅く温かいセノーテの方がいい(もちろん、明るくはありませんが、水温は25度あります)。
が、また機会があれば、龍泉洞の見学もしてみたいな(もちろん、陸上だけ:水温は9度だそうです:べらぼーめ・・・)。
最近のコメント