😼欧州大戦争:重箱の隅:クレバンビクスキー貯水池2025年08月14日 00:59

欧州大戦争:重箱の隅:クレバンビクスキー貯水池
欧州大戦争:重箱の隅:クレバンビクスキー貯水池


クレバンビクスキー貯水池は、コスティアンティニフカの南にある東西5km余りの細長い湖で、天然の「外堀」のような形で横たわっている(人工湖だろうから「天然」じゃないけど)。

この湖の南に広がる樹林帯は、ロシア軍を長い間寄せ付けなかったが、夏季攻勢の中で急速にウクライナ軍の支配が失われている。

貯水池の南側を奪われ、北側に回り込まれるとそこは既にコスティアンティニフカ南郊外ということになる。

街道沿いに複数の小さな集落があるものの、貯水池からコスティアンティニフカの市街地までは5km程度とコンパクトだ。

この距離は、当然、FPVドローンの行動範囲にもなる。

ヤバいな・・・。

ヤバ過ぎ!。

(ロシア軍の夏季攻勢、ポクロウシクとコンスタンチノフカで着実に前進)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/russian-summer-offensive-makes-steady-progress-in-pokrovsk-and-konstantinovka/

「敵はトレツク・シュチェルビニフカ方向の兵站を完全遮断するためビラ・ホラ~オレクサンドロ・シュルティネ方向、オレクサンドロ・カリノヴェ方向を積極的に攻撃している」「ビラ・ホラ~オレクサンドロ・シュルティネ方向を守る部隊は追加戦力や交代による回復を必要としているにも関わらず、兵士が最後の力を振り絞ってロシア軍の攻撃に耐えている状況だ」「ロシア軍が両拠点を確保すれば間違いなくFPVドローン部隊を送り込んで来るだろう。但し、両拠点は低地に位置しているため周囲の高地を奪いにかかるかもしれない」(DEEP STATEの8月5日の報告)

航空万能論は、5日から13日までの状況をまとめて掲載している。

聞きなれない地名が多数登場してくるけど、地図を拡大して見比べながら少しずつ読み解いていくしかない。

「ロシア軍はロマニフカを占領後、積極的にオレクサンドロ・カリノヴェを攻撃し、ここを失うとシュチェルビニフカやペトリフカの補給が困難になる。さらに占領したヤブルニフカからオレクサンドロ・カリノヴェに前進して足場を築こうしている。ここを占領されるとカテリニフカ方向に前進され、シュチェルビニフカやペトリフカに対する兵站ルートの完全遮断やベレストク方向にも前進してくるかもしれない。上記集落の喪失はトレツク、シュチェルビニフカ、ペトリフカ、ネリピフカ、プレシチイフカ、イヴァノピリャの兵站に不快な結果をもたらす可能性が高く、再び側面が我々の弱点になりつつある」(同上)

「ロシア軍が運河沿いで支配地域を広げた」「ロシア軍がチャシブ・ヤール北西郊外で支配地域を広げた」「ロシア軍がマイスケ郊外に迫っている」「ロシア軍がディリイフカ郊外で支配地域を広げた」「ロシア軍がトレツク北西の荒野で支配地域を広げた」「ロシア軍がトレツク北西郊外で支配地域を広げた」「ロシア軍がペトリフカ方向に前進して集落内に侵入した」「ロシア軍がカテリニフカ方向の高地で前進した」「ロシア軍がオレクサンドロ・カリノヴェの大半を占領した」(DEEP STATEの8月5日~13日の報告)

「状況的にクレバン・ビクスキー貯水池の南部分=トレツク市内、シュチェルビニフカ、ペトリフカ、カテリニフカ、クレバン・ビクが失われるのは時間の問題で、さらにロシア軍はチャシブ・ヤール南市内の制圧をスキップし、チャシブ・ヤールの北で新たな突出部を作り出そうとしている。」「コンスタンチノフカに対する包囲は初期段階にあるものの、この街の主要兵站ルートはポクロウシクよりも非常にシンプル=ドルジュキーウカに繋がるH-20のみなので、チャシブ・ヤールから西への突破を許しただけで勝負が決まってしまいそうだ」(航空万能論ブログ管理人)

「夏季攻勢におけるコンスタンチノフカ攻撃の優先順位は本命ではない。」(同上)

一押しすれば陥落しそうな街だが、ウクライナにとっては死守すべき要塞都市の一つなんだろう。

北西に位置するドルジュキーウカは、クラマトルスクへの玄関口のようなもんだからな。

まあいい。

この、貯水池の南側の攻防については、ベトナムメディアも詳細に報じている。

(ウクライナ軍はロシアのコンスタンチノフカからわずか1キロのクレバン・ブィク湖で包囲されている)
https://www.vietnam.vn/ja/quan-ukraine-bi-bao-vay-o-ho-kleban-byk-nga-chi-con-cach-konstantinovka-mot-km

自動翻訳の関係なのか、記事の標題は正確性を欠いている(既出のとおり、貯水池からコスティアンティニフカまでは5km程度の距離がある)。

副題の方は正確だ。

「ロシア軍はコンスタンチノフカ市から1キロ離れたプレドテチノ村を制圧し、約1000人のウクライナ軍がクレバン・ブィク湖で包囲された。」

日本語表記では、航空万能論と異なるけど、まあ、だいたい推測の範囲内だな(プレドテチノ村→プレデテキネ、クレバン・ブィク湖→クレバン・ビクスキー貯水池)。

以下、対応は割愛する。

「ロシア国防省に近い筋によると、ロシア軍南部軍集団(RFAF)の突撃部隊が、ハシフ・ヤル地方南西部のプレドテチノ村を制圧した。」

画像のISWの戦況地図でも、プレデテキネはまだ交戦区域になっているから、内容が正しければベトナムメディアの情報が最新だろう。

「プレドテチノ村は3日前にロシア軍に占領されましたが、その後ウクライナ軍(AFU)が猛烈な反撃を行い、村を奪還しました。しかし、最新情報によると、今日、プレドテチノ村はロシア空軍(RFAF)の支配下にあります。」

「プレドテチノ村の制圧は双方にとって戦術的に極めて重要である。なぜなら、同村はコンスタンチノフカ市からわずか1キロメートルの距離にあり、実質的にはキエフが依然として実効支配するドネツィク州の残りの地域における最大の物流センターの「東の門」への鍵となるからである。」

まあ、ここからのアプローチを突破口にするかどうかは分からない。

「ここは、ウクライナ軍が支配するチャソフ・ヤール地域における最後の高地です。コンスタンチノフカ村自体ははるかに低い地点に位置しているため、コスティアンティノフカ村のウクライナ軍による防衛は極めて困難です。」

航空万能論の記事にもたびたび指摘されている「高さの優位性」というやつだな。

「ロシア国防省は、コスティアンティニフカ市南側にあるヤブロニフカ村をロシア連邦空軍中央軍集団の部隊が完全制圧したと発表」

これは、オレクサンドロカリノベの西側にある集落(ヤブルニフカ)のことだろう。

「戦前、人口約4,000人のヤブロニフカ村は数ヶ月にわたりロシア連邦空軍の攻撃を受けていたが、ようやく制圧に成功」

この地域のロシア軍の進軍が、夏季攻勢によって一気に進んだことを示唆している。

「ロシア軍は以前、アレクサンドロ=カリノヴォ要塞と、ミルノグラードからコンスタンチノフカに至るH20道路沿いの要塞を制圧していたものの、ヤブロニフカ村からの攻撃を受ける危険性は依然として残っていた。そのため、ヤブロニフカ村の完全制圧は、ロシア軍がH20道路沿いの防衛線を強化する上で役立った。」「ヤブロニフカの占領とH20ルート沿いの防衛線の強化により、クレバン・ブィク貯水池の南側を防衛していたウクライナ軍3個旅団はほぼ四方から包囲され、ウクライナ軍は激しい抵抗を見せた。」

「AFU参謀本部は、ロシア軍がヤブロニフカ地方西郊のクレバン・ブィク貯水池に到達したことを認めた。」

戦況地図(航空万能論とISWのいずれも)では、オレクサンドロカリノベの東側の一部から貯水池までの間はグレーゾーン(交戦区域)になっているが、既にロシア軍の支配地域になっているということなわけだ。

「英国国防省が新たに公開した地図では、赤色(ロシア語)の境界線が湖岸まで広がり、ウクライナ・トレツク・クラスターへの主要補給路であるN-20ルートが完全に遮断されている。」

貯水池東岸方面でも動きがある。

「国防総省のLiveuamap戦争地図では、クレバン・ブィク貯水池の東岸にロシア軍が接近している。米国戦争研究研究所(ISW)の情報筋は、ロシア軍部隊がトレツクの西側と接する村の「北へ進撃」した後、「ロシア空軍がシチェルビノフカを占領した」と認めた。」

航空万能論の戦況地図では、シュチェルビニフカはウクライナ軍支配地域のままだ。

この地域の状況は、急速に変化しているようだな。

「シュチェルビノフカの戦いは激戦を極めていた。ロシア空軍は村を何度も占領したが、ウクライナ軍に反撃され、奪還された。」

「ロシア軍がヤブロニフカを占領し、クレバン=ブィク地域の回廊を大幅に狭めた後、トレツクに駐留するウクライナ軍への「酸素供給」は途絶え、ウクライナ軍は動揺し、シュチェルビノフカから撤退した。残存するウクライナ軍は「大釜」の中に閉じ込められ、急速に縮小していった。」

この辺りの描写が、どこまで実態を反映しているのかは不明だ。

まあ、どうでもいいんですが。

いずれにしても、最新の状況ではシュチェルビニフカはロシア軍の手に落ちたということなわけだ。

やれやれ・・・。

「ルィバル・チャンネルの最新情報によると、1000人以上のウクライナ軍守備隊が2平方キロメートル以下の範囲で環状に展開している。カテリノフカ村の西側は現在、敵の地図上では灰色の領域となっているが、実際にはロシア軍がここ数日この環状地域を制圧している。」

「クレバン・ブィク貯水池の南方では、ロシア軍がカテリニフカ村とクレバン・ブィク貯水池の南防衛線に猛烈な攻撃を開始した。ミリタリーサマリーチャンネルは、ロシア空軍中央部隊が南東、すなわちシュチェルビノフカ橋頭保からカテリニフカ村に侵入し、村内で大きな前進を遂げたと報じた。」

現在の戦闘はカテリニフカを中心に展開されている感じだな。

貯水池の南側がロシア軍の手に落ちるのは時間の問題だろう。

コスティアンティニフカへの攻撃が、この南側ルートになるのか、トレツク方面からになるのか、チャシブヤール南側からになるのか、ドルジュキーウカからの兵站を遮断するチャシブヤール北側からになるのかは分からない。

夏季攻勢の本命ではないとしても、対抗くらいにはなっているだろう。

兵站を断つとすれば、チャシブヤールの北側からの突出が効果的だ。

その上で、南東や南側から攻め上がる。

ウクライナ軍の抵抗はあるにしても、コスティアンティニフカには兵站拠点としての意味は最早ない。

せいぜい、周辺の集落の防御のリソースを供給(経由)するにとどまる。

それも、自らの兵站(Hー20)を脅かされながらという話になっちまう。

戦略的に維持する価値などないのだ。

とはいえ、クラマトルスクへの防御ラインの最前線でもあるわけだし、そう簡単には落ちないだろう。

西側には、広大な後背地もあるしな。

天然の要塞になっている。

が、安心するわけにはいかない。

ドブロピリア東側の電撃的進軍のこともあるからな。

重箱の隅の、更に片隅のクレバンビクスキー貯水池界隈の攻防。

「ビラ・ホラ~オレクサンドロ・シュルティネ方向を守る部隊は追加戦力や交代による回復を必要としているにも関わらず、兵士が最後の力を振り絞ってロシア軍の攻撃に耐えている状況だ」(航空万能論:DEEP STATE:再掲)

トレツク方面からの攻め上がりもありそうだしな(コスティアンティニフカ市街地までオレクサンドロ・シュルティネから約1km)。

プレデテキネが1kmでヤバいなら、こっちも同じだろう・・・。

😼欧州大戦争:侵攻前夜と演習:カギを握るベラルーシ2025年08月14日 14:53

欧州大戦争:侵攻前夜と演習:カギを握るベラルーシ


(ロシアのウクライナ軍事侵攻「大規模作戦も可能な態勢」:2022年2月20日)
https://www.bs-asahi.co.jp/sunday_scoop/interview/105/

別件(後述)でネットを漁っていたら、上記のアーカイブ記事を見つけた。

開戦(2022年の本格侵攻)前夜とも言える時期の多角的なインタビュー番組の文字起こしだが、当時のピリピリとした緊迫した雰囲気が良く伝わってくる。

米国は当初は軍事侵攻を疑っていたようだが、さすがにこの時期には確信している。

米軍は前年の秋頃から、ベラルーシにおける演習の規模をきっかけとして、ロシアに対して懸念を抱いていたようだ。

この番組のわずか4日後に、実際に軍事侵攻が行われたことを考えながら読み返すと、準備された状況は必ず次の段階に発展するものだということを改めて痛感するとともに、出席している専門家の見通しの確かさに感心する。

「先週には西側との対話路線だとか、部隊を引くという感じで、だいぶ情勢を沈静化させるのかなと思いましたが、結果的に、全く軍隊を引いていないですし、むしろ、より国境に近いところに部隊を展開するとか、核部隊の演習をやるとかですね、さらに緊迫度が増してきたと思っています。」(東京大学先端科学技術研究センター・専任講師の小泉悠)

「軍事演習ですと、多少ケガ人は出るかもしれませんけど、そんなに膨大な死傷者は出ることはないですから、大規模に野戦病院を作ることはあまりないはずなんですが、今回は、かなり大きな規模の野戦病院がこれだけじゃなくてあちこちに作られている。それからアメリカが最近言っているのは、緊急輸血用の血液をウクライナ周辺のロシア軍部隊の周りに集めてるんじゃないかという話もあるんですよね。」「・・・アメリカの軍事専門家は、これはやっぱり本当にやるんじゃないかと、意見を変えてきました。」(同上)

「特に近年のロシア軍は、ヘリコプターで大量に兵隊を急速に移動させる戦術を演習なんかでは相当、実施しています。」「従来、ロシア軍が集結してるぞと言っても、多くは周りにあるロシア軍基地に集まっていたんですよね。ところが最近、先々週ぐらいからの動きは、基地から出てきて、本当に国境のすぐそばまで展開していく。この数日はさらに、従来はウクライナ国境そばの平原地帯にいっぱいキャンプを作りましたが、この数日は完全に森の中に部隊が隠れ始めまして、衛星画像で追えなくなった。」(同上)

「今回の件は、やはりロシアがエネルギー供給の大国であることが関係しています。市場が見ているのは、軍事行動があるかどうかも、もちろんそうなんですけれども、その後の制裁措置ですね、先進国が今、やると言って、制裁措置がどういうものが出てきて、さらにそれに対してロシアが報復の制裁をどういう形でやってくるかということに注目」(野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト木内登英)

「ロシアが石油、天然ガスの供給としては世界第一位・第二位なわけですけども、そこを直接、輸出を規制するということは、まずしないだろうと言われてますが、一方で、例えば銀行の取引を規制する、貿易の決裁が一部、できないようにするとか、あとハイテクの輸出を制限するとか、そういうこと」「先進国側も制裁措置をすると、結局、自分の所に返ってくるというブーメラン効果があるので、どういう制裁をしようか、まだ迷っているところはあるんじゃないかなと思います。」(同上)

「問題はですね、じゃあ、ある程度の侵攻の口実作りというのは、この数日でバタバタっと行われて、実際に次のフェーズにいくのかどうかということですよね。」(小泉)

「ロシア軍を投入する時は上院の決議が必要なので、それなんじゃないかという話もあります。まだ全然わからないです。もう一個は昨日、プーチン大統領がロシアでも動員令を出していますね。」「ルガンスクとドネツク、これはまだロシアは正式に国家承認していないんです。今、ロシアの国会で、これを国家承認してしまおうという決議を出して、プーチン大統領に一任しますというところまでは行っているんですよね。だからドネツク、ルガンスクを巡って圧力をかけていることは間違いない」「ベラルーシからウクライナ側にかけて展開するロシア軍の規模を見ると、より大規模な、アメリカが言うようにキエフを占領するような大規模作戦もやろうと思ったらできないことはないということです。現状、大体考えうる全部の軍事オプションができる体制が整っていて、どこまでやるのか、あるいは、実際にやるのかどうかというのがプーチンさん次第」(同上)

そのプーチンの頭の中について、既に良く知られている民族の一体化の話も出て来る。

「本当は我々は一緒じゃなきゃいけないのに、バラバラになっちゃって、なおかつ、今のキエフ側は西側の毛先になっているのではないかということをプーチンさんは言うんですよ。だからお前らは今、西側によって主権を奪われている、主権が不安定な状態になっているので、ロシアの側に戻ってこないと本当の主権は取り戻せないんだぞ」(同上)

実際の話、プーチン自身がそう考えているのかどうかは分からない。

浮沈子的には、軍事侵攻するにあたってのナラティブの一部に過ぎないと思ってるけどな。

まあいい。

「やはりロシア人のナショナリズムの問題として、ウクライナを自分たちの側に引き寄せないと気持ち悪いと、ロシアという存在が完全に実現されていない、そんな感じを持ってるんじゃないかという気がするんですよね。」(同上)

「ロシアがエネルギーを輸出できないような状況になった時に、中国がもっと買ってあげるとかですね、あるいはロシアの銀行がスイフト(SWIFT)というドル建ての国際送金をする仕組みから排除されて、貿易決済ができなかった時に、中国が独自に持っている貿易決済を使って、ロシアの貿易を助けてあげようと。こういう可能性がこれは色んな見方がありまして、そうすると制裁をしてもですね、抜け道になってしまうということなので、そこも考えて制裁をしていくということですし、そうなった場合にはですね、ロシアと中国がより接近してくという新しい局面に入っていくのかなと。」(木内)

この辺りは、正にその通りになっているからな。

浮沈子的には、ちょっと興味深い話も出ている。

「ロシアの軍事思想の中では、伝統的にずっとマスキロフカ、つまり”偽装”っていうことが非常に重視されてきたので、相手がこうだろうと思うことを、タイミングかもしれないし、場所かもしれないし、方法かもしれません、裏をかこうとするわけです。我々がこうだと思っていると、別の形で始まるという可能性もやはりこれもまた考慮していかなければいけないと思います。」(小泉)

マスキロフカかあ・・・。

(ロシアにとっての「認知領域の戦い」)
https://www.mod.go.jp/asdf/meguro/center/aspw10/aspw07.pdf

「チェコのサイバー専門家ダニエル・バゲ(Daniel P. Bagge)によれば、マスキロフカとは「戦闘作戦と部隊の日常活動を保全する手段」であり、「部隊や様々な装備の存在と配置、その状態、即応性と作戦、指揮官の計画について、敵を欺くように設計された複合的手段」と定義される」

この論文では、反射制御(自身が望む所定の決定を自発的に行うように相手を仕向けるべく、パートナー又は敵対者に特別に準備された情報を伝達する手段:トランプの得意技だな)と関連付けて論じられている。

まあ、どうでもいいんですが。

2022年の軍事侵攻では、マスキロフカではなく、想定通りの行動がとられた。

やれやれ・・・。

それから3年半が経ち(こんなに長期になるとは誰も(プーチンでさえ)思ってなかったろうけどな)、停戦仲介者を自認するトランプとプーチンとの会談が行われようとしている。

その成果には多くを期待できないというのが現在の状況だが(ホワイトハウスは、リスニング・エクササイズだと格下げしている)、そうなれば強硬な経済制裁が発動され、ロシアは戦闘の継続が困難になるとも言われている(そうなのかあ?)。

それでも、まあ、少なく見積もっても年内の攻勢は可能だろうから(未確認)、気になるのはむしろ短期決戦に切り替えて大攻勢を掛けて来るのではないかという点だ。

今年は、2023年に見送りになったベラルーシのと合同演習の年周りでもある。

ネットで調べてみると、ロシアは4つの軍管区において毎年持ち回りで軍事演習を行っているけど、西部軍管区はNATOとの対峙の関係から2年に1度と高頻度になっている。

前回は、ウクライナ侵攻のきっかけとなった2021年の演習だ。

翌年に、その演習に参加したロシア軍がベラルーシからなだれ込むことになった状況は、初出の引用の通りだ。

軍事侵攻の陰にベラルーシあり(そういうことかあ?)。

近い将来のバルト3国への侵攻の際にも、重要な役割を果たすと見られている。

6月に、キースケロッグがルカシェンコを訪ねて裏工作をしたのが気になっているけど、ロシアとのコミュニケーションルートの維持程度かも知れない(未確認)。

(ベラルーシ、ロシアと9月軍事演習 極超音速中距離ミサイル運用訓練も)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/ZSWYKLULEZMQXBS27LL6ENGOBI-2025-08-13/

「9月12─16日に実施するロシアとの合同軍事演習「ザパド(西方)2025」では戦術核兵器のほか、ロシア製極超音速中距離弾道ミサイル「オレシニク」の運用訓練が含まれると発表」(ベラルーシのフレニン国防相)

「ロシアのプーチン大統領は今月、「オレシニク」の量産が始まり、軍に納入されたと述べた。」

「ロシア大統領府は先週、西側の動きへの対応として、核弾頭搭載可能な中距離ミサイルの配備場所に関する制限を一切設けないと表明した。」

別記事によれば、オレシュニクはベラルーシ内に配備されることが決まっている。

重要なのは、今回の演習の規模とそれが行われる地域だな。

「9月の合同演習を巡っては、隣国のポーランド、リトアニア、ラトビアで安全保障上の懸念が高まっているが、ベラルーシのルカシェンコ大統領は、ベラルーシが隣国を攻撃するために演習を利用するという考えを「まったくのナンセンス」だと一蹴」

詳細は不明だが、バルト3国からは一定の距離を置くとも言われている。

ベラルーシが攻撃するかどうかは知らないが、ロシアが攻撃する際の足掛かりにすることだけは間違いないだろう。

21年の演習の再来になるようなことがあれば、ウクライナ紛争は一気に進展することになる。

米国や欧州がロシアを追い詰めれば追い詰める程、その可能性は高まる。

200年戦争から、短期決戦へのシフトが行われる。

問題は、ザパド2025の規模だろう。

西側との合意で、演習の規模は一定に制限されているようだが(1万数千人程度)、んなもんはどうにでも誤魔化せるからな(そうなのかあ?)。

2022年の軍事侵攻の際には、最終的に20万人近くにまで膨れ上がったと言われている(10倍以上)。

当局が発表する数字は、紳士協定に基づく表向きの話に過ぎない。

今回は、既に軍事侵攻が行われている中での増派になる。

全世界注視の中でのベラルーシからの進軍を見ることになる。

狙うのは、もちろんウクライナの首都キエフだ。

ロシアは、このところ高官を派遣したり、プーチンとの電話会談を公表したりして、北朝鮮との関係強化をアピールしている。

そうか、北朝鮮兵派遣は東部戦線でも南部戦線でもなく、ベラルーシからキエフへ進軍させて、首都を制圧するときの弾除けにするつもりなわけだ(そんなあ!)。

ロシアも前回の失敗に凝りて、今度は十分な兵力を確保して臨むに違いない。

今のところ、ロシア軍の大規模な再配置は報じられていない。

東部戦線からの引き剥がしは困難だし、その他の地域からも、ウクライナ軍を引き留めておく関係上、移動させるわけにはいかないだろう。

膨大な予備兵力を割いて、北朝鮮兵を加えたとしても再配置だけで10万人単位の兵力を展開することは困難だ。

どうするのか。

過去の大規模軍事演習を当たると、2018年の演習(ボストーク2018)というのがあった。

(ボストーク2018)
https://en.wikipedia.org/wiki/Vostok_2018

「ショイグ国防相は後に、この演習には約30万人の兵士と3万6千台の車両、1千機の航空機が参加すると報告した。」

なんだ、やれば出来るじゃん!?

が、まあ、現在のロシアに、この演習当時の戦力を展開する力が残っているのかどうかは知らない。

考えてみれば、わずか7年前の話だからな。

ウクライナ紛争で疲弊しているとはいいながら、大部分を予備役と志願兵で賄っているわけだから、徴兵された兵士たちはそれぞれ国内の任務に割り当てられてぶらぶらしているわけだ(そうなのかあ?)。

しかも、定員は1.5倍に増強されている(おそらく、現在も増員中)。

浮沈子の妄想の中では、既に次の公式が成立している。

米ロ首脳会談の失敗
→米国の二次関税など経済制裁の強化
→ロシアの経済的疲弊
→長期戦闘継続が困難に
→短期決戦への戦略シフト
→たまたまタイミング良くザパド2025の年周り
→ウクライナの首都制圧に大動員(30万人!)

オレシュニクに恫喝された欧州は手も足も出せない。

米国はそもそも早期に戦闘を終結させたいわけだから、短期決戦は大歓迎かも知れない(そうなのかあ?)。

双方の犠牲者も多いだろう。

バカな話だ・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(【解説】 米ロ首脳会談、アラスカの米軍基地で開催へ 知っておくべきこと)
https://www.bbc.com/japanese/articles/crr2e0gj9pvo

「この合意案ではまた、ロシアに対し、現在一部を軍事的に支配しているウクライナ南部のヘルソン州とザポリッジャ州を放棄することを求めている。」

「トランプ氏によると、会談に先立ち、アメリカのスティーヴ・ウィトコフ特使が6日にモスクワでプーチン氏と「非常に有意義な」協議を行ったという。」

「トランプ氏は11日、「ウクライナのために、ロシアが占領している領土の一部を取り戻すつもりだ」と述べた。ただし、「ある程度の交換や領土の変更が必要になるかもしれない」とも警告している。」

全面的かどうかはともかくとして、「南部のヘルソン州とザポリッジャ州」の放棄は困難だろう。

もちろん、クリミアへのアクセスの問題があるし、クリミア半島は水資源に乏しく本土に依存しているからな。

ただし、部分的にドネツク州との等価交換として、一部を返還する形はとり得るだろう。

不動産屋さんとしてのトランプの腕の見せ所だが、まあ、ウクライナの同意を取り付けることは難しいかも知れない。

それでも、停戦に向けた努力としては評価していい。

問題は、ドンパチを止めると言い出したプーチンの条件を最大限尊重する姿勢だ。

舞台裏では、占領地の統治のあり方についても調整が進められていると言われる。

(「イスラエル占領」が手本 米ロ、ウクライナ和平協議―英紙)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025081400125&g=int

「米国とロシアが、イスラエルによるヨルダン川西岸の占領をモデルとするウクライナ和平案を協議している」(英紙タイムズ(電子版))

「和平案はイスラエルがパレスチナ自治区のあるヨルダン川西岸を事実上支配する現状が手本。ウクライナの国境は変えない一方、ロシアは占領地に独自の統治機構を置き、軍事・経済的に支配するという。」

法的に領有を認める形(割譲や放棄)ではなく、事実上の支配とするわけだ。

浮沈子には、その違いは良く分からないが、ウクライナとしてはギリギリ受け入れられる形かもしれない(そうなのかあ?)。

まあ、それでも、「ヨルダン川西岸」と聞いただけで、一抹の不安がよぎることは変わらない。

実効支配しているはずのパレスチナ自治区を、イスラエルが次々と占領して「入植」しているからな。

自治もくそも、有名無実化している。

まあ、ウクライナがロシア占領地に同じことをするとは思えないけど。

我が国においては、北方領土が法的領有と実効支配の典型モデルだ。

戦後80年間も違法に占拠されている状態だが、我が国がドンパチ仕掛けて取り返そうという話はない(国際問題を武力解決することは、憲法で明確に否定されている)。

世界中どこでも、似たような話はあるだろう(未確認)。

仮にウクライナが受け入れたとしても、逆にロシアが停戦破りをしないとは言い切れない。

そこをどうやって担保するかが問題だ。

確かにロシアは経済的に追い詰められている。

(米ロ首脳会談、停戦に向け制裁緩和も焦点-戦時経済でプーチン氏苦境)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-08-14/T0YFRTGP9VDL00

「ロシア経済は成長ペースが失速し、石油収入が落ち込む一方、財政赤字は過去30年余りで最も膨らみ、インフレ率と金利は痛いほどの高止まりが続く。銀行業界の内部関係者は債務危機が近いと警告し、経済情勢は緊迫している。」

ロシアの経済状態を巡る評価については、憶測と希望的観測(西側の)に満ちているからな。

しかし、漏れ聞こえてくる話は順風満帆とは程遠い。

「事情に詳しい複数の関係者によると、プーチン氏はアラスカでの合意に制裁緩和を盛り込むよう再三要求した。」

「一部のロシア主要行の間では、8月初めまでに金利収入急減など深刻な影響が表面化した。」

「1バレル当たりのエネルギー価格がさらに10ドル下がれば、プーチンは人を殺すのをやめるだろう。自国経済が悪化しており、彼には選択肢がないだろう」(トランプ氏)

バランスシート重視のビジネスマンあがりのトランプと、経済は政治に付属する要素の一つと見做しているプーチン(そうなのかあ?)とでは、根本的認識が異なる。

「6月に開催されたサンクトペテルブルク国際経済フォーラムで、プーチン大統領はリセッション(景気後退)は「いかなる状況下でも許されない」と明言した。」

まあいい。

「15日の首脳会談に向け、トランプ氏がプーチン氏より多くのカードを持つ可能性を示唆するかもしれない。どちらが最も有利に手札を使ったか、会談の結果で判断されることになりそうだ。」

もっとも、会談の結果はウクライナが受け入れられるかどうかにかかっている。

あくまでも無条件停戦に拘り、安全保障に拘り、領土のいかなる形での放棄を認めないということなら、会談は初めから失敗ということになる(ゼレンスキーの任期は、200年は安泰だ・・・)。

米国は、おそらく、ロシアへの経済制裁を解除する方向で動いている。

それは、同時に、ウクライナへの軍事支援を打ち切る方向でもある。

ドンパチが終われば、つまり、停戦の実現は米国の利益に適う。

もちろん、ロシアの利益にも。

ババを引くことになるのは、ウクライナと欧州だ。

(トランプ氏は無条件停戦迫る意向か、ウクライナの領土については交渉せず 欧州外交官)
https://www.cnn.co.jp/world/35236664.html

「トランプ米大統領は15日にロシアのプーチン大統領と会談する際、ウクライナでの無条件停戦を迫る意向とみられる。」

そんなバカな・・・。

記事をよく読むと、欧州外交官の一部の希望的観測に過ぎないことが、よーっく分かる内容だ。

「トランプ氏は「無条件」という言葉こそ使わなかったものの、停戦が成立すればそれはロシアからの善意の表れだとの考えを示した。」「ウクライナの領土については自身が交渉する立場にないとの認識を示した」

「これについて当局者は、停戦と引き換えにウクライナ領土を支配するというロシアの提案を受け入れるつもりはないとの印象を与える発言だったと指摘」

うーん、どこをどう押せば、そういう話になるのか・・・。

「トランプ氏はまた、米国も関与してウクライナの安全を保証する案を支持する考えを表明した。」

どーせ、レアアースの時と同じような、実効性を伴わない安全保障の話に過ぎないんだろう(単なるリップサービスかも)。

「トランプ氏は同盟国を味方に付けておく発言をするケースが多いが、実際に会談に臨めばあらゆる事態が起こりうるという。」(トランプ政権の元当局者)

CNN自体が、この話(トランプがロシアに無条件停戦を迫ること)を眉唾と見ている。

それを、あえて記事として掲載する意図は何なのかを考える必要があるだろう。

そう、欧州は蚊帳の外に置かれているということだ(そうなのかあ?)。

その欧州との一体化を目指しているウクライナは、米ロ首脳会談における要素の一つに過ぎない。

やっかいで、扱いづらい要素だがな・・・。

<さらに追加>ーーーーーーーーーー

(ウクライナ・ゼレンスキー大統領 国外渡航制限年齢22歳に引き上げ求める)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/withbloomberg/2108082?display=1

「現在、国境を越えるには18歳という年齢上限がありますが、これを22歳まで引き上げることを提案します」(ウクライナ ゼレンスキー大統領)

「ウクライナでは渡航制限により、18歳になる前に国を離れてしまう男性が多くいることから、現地メディアは年齢の引き上げによって、国内の学生数の減少や若い優秀な人材の海外流出に歯止めをかける狙い」

違うな・・・。

これは、ウクライナの崩壊の前兆の一つだ。

戦争中の渡航制限を緩めるという形は、エクソダスを意味する。

若い世代を海外に避難させ、民族の消滅を避けようとする動きだ。

国民国家としてのウクライナは崩壊しても、民族としてのウクライナ人を維持する。

それが可能であるかどうかは分からない。

が、既にその方向に動き出したということだ(そうなのかあ?)。

「若いウクライナ人がウクライナとの繋がりを保ち、特に教育の面で自己実現できるようになる」(ゼレンスキー大統領)

こんな話を真に受ける人はいないだろう。

徴兵年齢を19歳まで引き下げろという、米国の要求をかわすための窮余の一策だ。

血と肉と骨の飛び散る前線に叩き込まれたくなければ、海外に逃げろ!。

ウクライナ人の血脈を保ち、捲土重来を期せ!。

既に、ウクライナは深刻な人口問題に晒されている。

停戦を拒否し続けた場合、ウクライナという国家の維持自体が危機に瀕する。

このエクソダス政策は、ウクライナがその道を選択したことに他ならない。

前線の都市では、行き場のない老人だけが残っている。

彼らはロシアの占領を待っているロシアのシンパではない。

どーせ死ぬなら、住み慣れた街で死にたいと思っているだけの話だ。

(ウクライナ人ボランティア、ドローンのせいでポクロウシクの状況は最悪だ)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/ukrainian-volunteer-says-drones-make-things-worse-in-pokrovsk/

「ポクロウシクに残っている民間人の大半は親族がいない高齢者ばかりで、彼らは街に残ることで死ぬかもしれないと知りつつ「最後の瞬間を自宅で迎えたい」と望んでいる。彼らはロシア軍の到着を待っている協力者ではなく、街の外に身寄りがいないただの高齢者だ。軍は最後の瞬間まで彼らを救おうと努力しているが、ポクロウシクの状況は本当に困難だ」(ポーランドのディフェンスメディア=Defence24の取材に応じたウクライナ人ボランティア)

「このウクライナ人ボランティアは戦場における人道支援の問題について「避難しない人々に食料を届けることは避難しないことを助長させ労働意欲も失わせている」「このことが問題を引き起こし状況を悪化させている」「避難しない人々はただ生き延びているだけだ」「そのため人道支援の食料は国内の後方に避難した人々に届けるべきだ」「ドローンのせいで戦場から人々を連れ出すのは大きな課題だ」と述べ・・・」

ウクライナ全土が、やがてそういう状態になる(そんなあ!)。

ウクライナへの支援の行きつく先は、ただ生き延びている人々を支えるための支援と、後方(国外)に避難したウクライナ人への支援という究極の選択を迫られることになるだろう。

暗澹たる未来だな・・・。

😼欧州大戦争:無条件停戦の見返り2025年08月14日 22:31

欧州大戦争:無条件停戦の見返り


(トランプ大統領は停戦と引き換えの領土割譲を否定、ロシアに無条件停戦を要求)
https://grandfleet.info/us-related/president-trump-denies-territorial-cessions-in-exchange-for-ceasefire-demands-unconditional-ceasefire-from-russia/

「追記:Telegraphは14日「トランプ大統領は停戦に応じる見返りとして幾つかの経済的利益を用意している」「これにはロシアがアラスカの天然資源にアクセスできるようにし、ロシア航空業界に対する一部制裁の解除などが含まれる」と報じ、これが事実ならトランプ大統領は「無条件停戦を受け入れる見返りを用意している」と意味になる。」(航空万能論ブログ管理人)

あっちゃーっ!、経済制裁の解除どころか、アラスカ資源へのアクセスまであげちゃうのかあ!?。

浮沈子がプーチンの立場なら、迷うことなく停戦しちゃうけどな。

ディールだ・・・。

まさに、ディールに他ならない!。

正義もクソもへったくれもない。

領土問題を扱わないのは、ウクライナの立場に配慮しているからだが、米国として反対する気はないだろう。

「無条件」というのは、そういう意味だ。

停戦さえすれば、経済的利益はロシアのものだ。

制裁は、停戦期間に応じて順次解除されていくに違いない。

国家は正義では動かない。

国益で動く。

ロシアにとっては願ったり叶ったりというところだろう(そうなのかあ?)。

プーチンは受け入れて見せるに違いない。

もちろん、ウクライナが拒否することを前提としている。

停戦を拒否したのはロシアではなくウクライナだと、全世界に深く深く印象付けることが出来る。

何より、米ロ首脳会談の開催そのものがロシアにとっては大勝利だからな。

トランプとプーチンの相性は抜群だ。

停戦そのものは実現しないにしても、そのプロセスの一歩を踏み出すことになるのは間違いない。

が、この道が本当に停戦に繋がる道かどうかは分からない。

ロシアは、ウクライナが決して受け入れられない条件を引っ込める気はサラサラない。

中立化(もちろん、欧州軍の駐留は認めない)、大統領選挙(議会選挙を含む)、ウ軍の解体的縮小、エトセエトセ・・・。

今回の停戦条件からは外しているのかもしれないが、衣の下からは鎧が見えている。

「ロシアが戦争継続を選択しても米国やNATOが直接参戦することもないし、戦場の力関係を一変させる致命的な武器(例えば核兵器やF-35など)を供給することはないと思うが、ロシア軍の急速な前進をできなくするための武器、弾薬、資金をウクライナに供給し続け、ロシアの石油・ガス収入を攻撃して戦争継続コストを引き上げてくるのは確実だ。」「その代償を受け入れるならロシアは戦争を継続するだろうし、その結果としてロシアがドネツク州、ルハンシク州、ザポリージャ州、ヘルソン州の行政境界線まで到達すれば、ウクライナも欧米諸国も「戦場の現実」として4州全体のロシア支配継続を受け入れると思うが、そこまでしてもウクライナは4州+クリミアに対するロシア主権だけは認めないだろう。」(航空万能論ブログ管理人)

果たしてそうなるだろうか。

米国とロシアで内々とはいえ合意した停戦案にあくまで抵抗し、安全保障がないからイヤだとか、ロシアに見返りを与えるからイヤだとか駄々をこねて反故にしたウクライナに支援を続け、ロシアには苛烈な経済制裁をかけ続け、向こう200年間続くドンパチを下支えし続けることになる。

ありえねー・・・。

米ロが何らかの形で合意した内容を受け入れないということは、ウクライナにとっては自殺行為だ。

表面上は「無条件停戦」を迫りながら、制裁解除を与え、ロシアにとっても利益となる「停戦に伴う純粋な果実」も与えることにもなる(軍備増強や兵力の再配置など)。

どっちに転んでも、ロシアが損をすることはない。

これはロシアが仕組んだ、或いは米ロで協調して演出された芝居だ(浮沈子的には後者に1票)。

ロシアが求めているのは制裁の解除であって領土ではない。

それは、ある意味、どうにでもなる話だ(後から停戦破って取り返せばいいだけの話だからな:そうなのかあ?)。

それは、欧州大戦争勃発と軌を一にする可能性もある。

(欧州「ロシア、2029年に侵攻」…トランプ・プーチンのアラスカ会談に震える)
https://japanese.joins.com/JArticle/337558?sectcode=A00&servcode=A00

「両首脳の目的が「世界秩序の再編」(ロシア・スプートニク)にあることは、世界中が知っている。」

「トランプ氏は、ロシアが武力侵攻によって獲得したウクライナ領土を承認しようとする姿勢を繰り返し示してきた。「領土譲歩はない」というウクライナを、かえって非難することさえあった。戦争による領土獲得が再び合法化されることになるのだ。」

やれやれ・・・。

「フリードリヒ・メルツ首相が就任直後に連邦情報局(BND)関係者と会い、機密分析報告を受けた」「そこには、ロシア軍がウクライナ戦争で被った損失から回復し、NATO領土に対する大規模攻撃を敢行できる時期が2029年という内容が含まれていた」(ドイツのシュピーゲル誌)

「我々は歴史の脚注に転落する危険に直面している」(ある欧州外交官:CNN)

浮沈子は、別に自己実現的な記事だけを拾っているわけじゃない。

「欧州がウクライナと同様に一つの駒に転落する可能性があるという危機感」(中央日報)

誰もが認めざるを得ない状況が生まれつつあり、核心に向かって徐々に焦点が絞られてきている。

「トランプ氏とプーチン氏が語る「アラスカ体制」の骨格は、ある程度明らかになっている。「武力による領土変更は認めない」という既存の国際法秩序の否定だ。」

浮沈子は、トランプ政権によって欧州がロシアに差し出された「エサ」になったと感じたが、あながち的外れでもないようだ(そうなのかあ?)。

しかし、2029年という悠長な日程には同意しかねる。

「ロシア軍がウクライナ戦争で被った損失から回復」することが条件のように書かれているけど、なぜ侵攻前のレベルまで回復を待たなければならないのか。

ウクライナ支援で欧州の武器庫が空っぽになっている今こそ、ロシアにとっては最良最大のチャンスではないのか。

ウクライナの停戦は、欧州大戦争と直結している。

まあ、この辺りからは浮沈子の妄想の世界(自己実現的予想?)だがな。

ロシアがどのくらいエサを食うかは、エサの都合ではないだろう。

ロシアの腹の満たされ具合で決まる(そんなあ!)。

プーチンは、まあ、バルト3国や東欧の一部だけで満足するかもしれないけど、メドベージェフやその後任は、ウクライナを支援した全ての欧州を平らげるまで満ち足りることはないに違いない(そんなあ!)。

大西洋の見える丘にロシア国旗が翻るまで、いや、ドーバーを越えた英国も含めて、安閑としてはいられまい。

21世紀後半は、欧州にとって試練の時代になるだろう。

そこに、もう一つの大国である中国がどう絡んでくるのか。

浮沈子の最近の妄想の中には、中国の首都が北京からローマに遷都するというのがある(そうなのかあ?)。

地政学的見地からは、アフリカ大陸に睨みを利かせるというメリットが生まれるし、太平洋から大西洋まで、ユーラシア大陸を横断する超大陸国家として君臨することになる(インドはどーする!?)。

欧州でのロシアとの棲み分けが問題だが、そこんところは上手くやるんだろう(大ロシア帝国を併合しているかもな)。

ちっぽけな惑星の上の、重箱の隅を突くような話だが、人類にとっては他に選択肢がないからな(火星は遠すぎるし、月は流行らないし・・・)。

まあ、どうでもいいんですが。

話が飛んだ(宇宙まで!)。

確認しておこう。

米ロ首脳会談における「無条件の停戦」というのは、表面上の話に過ぎない。

米ロで決める世界秩序の中で、欧州を含めたウクライナがどこに収まるかというだけの話だ。

選択の自由は米ロ(と中国)にあり、ウクライナや欧州にはないのだ。

米ロ首脳会談が開かれること自体が、両者にとっての敗北であり、デッドエンドを意味する。

前政権の国務長官だったブリンケンは、テーブルに着くかメニューに載るか(正確には、「国際システムの中ではテーブルに就けなければメニューに載ることになる」)と迫ったそうだが、トランプ政権では選択の余地はない。

両者はメニューに載ってしまっているのだ。

やれやれ・・・。

停戦を拒否すればウクライナは消えて無くなり、停戦すればいずれはロシアに呑み込まれる。

ロシアの胃袋は、ウクライナだけでは満たされないだろう。

浮沈子的には、それだけは確かな気がするんだがな・・・。