政治の季節と宇宙開発の行方 ― 2019年10月26日 00:36
政治の季節と宇宙開発の行方
まずは、鳥嶋さんの記事から。
(日本人宇宙飛行士も月に - NASAのブライデンスタイン長官が来日会見)
https://news.mynavi.jp/article/20191009-906610/
「ブライデンスタイン長官は、日本の技術力の高さを称えるとともに、「月を周回する宇宙ステーション『ゲートウェイ』計画への日本の参加を促すために来た」と明言。「日本人宇宙飛行士が月面に降り立つ可能性も大いにある」などと語られた。」
甘言を吐く者には、用心した方がいい。
「2020年に「アルテミス1」という計画で、有人月着陸に使う宇宙船「オライオン」と、超大型ロケット「スペース・ローンチ・システム(SLS)」の無人での打ち上げ試験を実施。」
「2022年には「アルテミス2」で有人の飛行試験を実施する。」
「2022年ごろから、並行してゲートウェイの建設を開始。そして2024年にオライオン、SLS、そしてゲートウェイを活用して、アポロ計画以来約半世紀ぶりとなる、有人月探査を実施する予定となっている。」
浮沈子的には、このスケジュール自体が実現不可能に思える。
「有人月着陸計画は、トランプ大統領の指示の下、実施が約4年前倒しになった。これに対する「技術的に、また予算的に大丈夫なのか?」という質問に対しては、ブライデンスタイン長官は「前倒しによるリスクより、延々先延ばしにするリスク、とくに政治的なリスクのほうが高いと考えている」と回答。すなわち、歴史的に米国の宇宙計画で繰り返されてきた、政権が変わって計画が中止になる可能性を危惧しているという見解を示した。」
アルテミスは、そのスケジュール自体が政治性を帯びている。
つーか、まんま政治日程を意識して作成されたものだ。
米国は、既に来年の大統領選挙をにらみ、政治の季節に入っている。
(2020年アメリカ合衆国大統領選挙)
https://ja.wikipedia.org/wiki/2020%E5%B9%B4%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%90%88%E8%A1%86%E5%9B%BD%E5%A4%A7%E7%B5%B1%E9%A0%98%E9%81%B8%E6%8C%99
「2019年:
・6月26日~6月27日:民主党候補の党主催第一回討論会(世論調査と資金調達額のいずれかの要件を充足した20人の候補を、2日に分けて開催。)
・7月30日~7月31日:民主党候補の党主催第二回討論会(第一回と同様の要件を充足した20人の候補を、2日に分けて開催。)
・9月12日:民主党候補の党主催第三回討論会(世論調査(所定の世論調査のうち4つで2%以上の支持)と資金調達(13万人以上かつ20州で400人以上からの寄付)の双方の要件を充足した10人の候補で開催)
・10月15日:民主党候補の党主催第四回討論会(第三回と同様の要件を充足した12名の候補で開催。)
・11月20日:民主党候補の党主催第五回討論会(世論調査(所定の世論調査のうち4つで3%以上の支持、または所定の州の世論調査2つで5%以上の支持)と資金調達(16.5万人以上かつ20州で600人以上からの寄付)の双方の要件を充足した候補で開催予定。)」
今のところ、共和党の動きはない。
「一期目を満了する予定の現職大統領であるトランプが、再選出馬を表明しているほか、
・元マサチューセッツ州知事で、前回2016年アメリカ合衆国大統領選挙でリバタリアン党の副大統領候補であったウィリアム・ウェルド
・元イリノイ州選出下院議員で、ラジオ番組の司会者であるジョー・ウォルシュ
・元サウスカロライナ州知事で、前サウスカロライナ州選出下院議員マーク・サンフォード
が、共和党からの出馬を正式に表明している。」
話題になっている弾劾が行われることになれば別だが、現職大統領の出馬表明がある以上、これを覆すことは難しいだろう。
民主党の候補は、混沌としていて読めない。
誰が出てきてもおかしくないし、出てきたとしても苦戦を強いられるに違いない。
トランプ政権が出来た時、世界は驚愕し、慌てふためいたが、再選されれば更に驚きだ。
が、それは現実的な話でもある。
NASAの宇宙計画は、来年の大統領選挙をにらんで策定されている。
我が国は、それに乗っかり、うまい汁を吸おうとしているようだが、その果実には毒がある。
米国の宇宙政策は、政権の交代によって激変する。
まあ、変わらないのはスペースXの火星移民くらいのものだ(そうなのかあ?)。
「はたして、このまま米国に付き従い、アルテミス、ゲートウェイに参画すべきなのか? この分野に積極的に宇宙予算を投じるべきなのか? 「日本人も月に降りられる」といった甘言に惑わされず、日本が行うべき、また日本にしかできない、そして次の世代に自信を持ってバトンを渡せるような、バランスの取れた宇宙開発のあり方を、いま一度検討すべきではないだろうか。」
鳥嶋さんが、そう警鐘を鳴らして約一週間後、我が国は米国追従の道を選んだ。
(米国の月探査計画に日本も正式参画。日本人宇宙飛行士も月にいく可能性)
https://sorae.info/space/20191019-japan.html
「総理官邸で10月18日に行われた第20回宇宙開発戦略本部正式にて、安倍総理は、米国提案による月探査計画の日本の参画を正式に表明しました。」
浮沈子が興味を持ったのは、公式文書に添付された参考資料2である。
(宇宙開発戦略本部 第20回会合 議事次第)
https://www8.cao.go.jp/space/hq/dai20/gijisidai.html
(米国提案による国際宇宙探査について:参考資料2)
https://www8.cao.go.jp/space/hq/dai20/sankou2.pdf
「早期の有人月面着陸を目指す米国との協力をタイムリーかつ戦略的に実施できるよう必要な対応を加速
具体的な協力:
①第1段階ゲートウェイにおける協力→技術の補完により期限内の建設に貢献
②物資・燃料等の補給面での協力→有人月面着陸前倒しに伴う補給ニーズ増への対応に貢献
③月面データ共有面での協力→有人月面着陸候補地点の選定等に貢献
④移動手段での協力→持続的な月面活動へ貢献」
この記述の下には、画像に掲げたイメージが添付されている。
「(注:本イメージ図はNASAやJAXAの資料をもとに文部科学省が作成)」
浮沈子には、辛うじて判読できる小さい字で書かれているが、そのタイムラインは上記の記述と矛盾している。
たとえば、②の補給については、前倒し需要がひっ迫すると予想される2024年以前には行われない(ゲートウェイへの燃料・物資補給は2025年以降と明記されている)。
また、本文にはない「非与圧」月面車の開発も、2024年以前には行われない。
与圧月面車については、点線の矢印で結ばれ、2028年以降に実施されるかどうかも怪しい。
これらのどこが、「タイムリーかつ戦略的」なのか。
少なくとも「必要な対応を加速」しているとは思えないな。
確定的な記述としては、例として挙げられているミニ居住棟の熱制御系ポンプ、バッテリー、窒素・酸素分圧タンクに留まる。
また、ピンポイント着陸といっても、2022年に延期されていて、これからの話だし。
(SLIM)
https://ja.wikipedia.org/wiki/SLIM
「2021年にH-IIAロケットで打ち上げ予定のX線天文衛星ひとみ後継機XRISMとの相乗りで打ち上げられる見通し」
「誤差100メートルを目標に軟着陸を目指す」
JAXAの資料では、2021年度となっているからな。
(月着陸探査活動のJAXAにおける検討状況について:2019年4月19日)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/071/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2019/07/09/1418751_4.pdf
「小型月着陸実証機(SLIM)について、2021年度の打ち上げを目指し開発を進める。」(3ページ)
「小型月着陸実証機(SLIM)(2021年度)」(4ページ)
実際には、年明けの2022年になる可能性は高い。
2023年に予定されている月極域移動探査に至っては、チャンドラヤーン2の激突による失敗を考慮すれば、時期的な見直しは避けられないところだ(着陸機はインド主体で開発予定だからな)。
「打上時期:2023年頃を目標」(16ページ)
「着陸機:ISRO主担当」
おまけに、2022年にはNASA自身がローバーを月の南極に送ると報じられた(追加)。
(NASA、月の南極で氷を採掘へ 22年に探査車:追加)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191026-00000031-kyodonews-soci
「米航空宇宙局(NASA)は25日、月の南極に存在する氷の分布を調べる無人探査車「バイパー」を2022年に月面に送ると発表した。24年に飛行士の月面着陸を目指す「アルテミス計画」に先立ち、将来の有人探査で飲み水などに利用できる可能性を探る。」
我が国(インドも含めて?)の協力なんて、火の消えた後の消防車のようなもんかもな・・・。
まあいい。
既存の計画をつまみ食いしつつ、未定要素をちりばめてそれらしく見せるのも芸のうちだ。
粗さがしをしても、得るものは何もない。
我が国の宇宙開発担当も馬鹿ではない。
米国が政治の季節に入っていて、一寸先は闇であることなど先刻承知だ。
承知の上で、我が国の政治状況を利用して、財務当局への圧力を掛けつつ、いつでも撤退できる裏口を用意しているのかも知れないしな。
NASAが月周回ゲートウェイを使って、有人火星探査に及ぶという方向性はおそらく変わらないだろう。
それに対して、スペースXは、地球低軌道から直接火星を狙う。
(発表から3年、スペースXの「火星移民構想」をおさらい)
https://news.mynavi.jp/article/starship-1/
「こうしたアイディアの多くは、過去に多くの科学者などによって検討されたことがあり、その一部は「マーズ・ダイレクト」構想としてまとめられている。マスク氏はそれを掘り起こすとともに、現代の技術を使い、実現可能なレベルに落とし込もうとしているのである。」
(マーズ・ダイレクト)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%83%88
「1990年代のロケット技術のみで比較的低コストで実現可能な案として提案された火星有人探査計画。」
「火星大気の豊富な二酸化炭素を用い、地球帰還用の燃料を現地調達する、というアイデアが本計画の大きな特徴として挙げられる。」
スペースXの計画では、次の4つの要素があるとされる。
・完全に再使用できるロケットと宇宙船
→スターシップとスーパーヘビー
・地球周回軌道での推進剤補給
→タンカーロケットからの軌道上給油
・火星での推進剤の現地生産
→水の電気分解による液体酸素の製造とサバティエ反応による二酸化炭素からのメタン燃料の製造
・最適な推進剤の使用→メタン燃料と液体酸素
まあ、どれをとっても実現可能性は小さいけどな。
どうやら、メタンエンジン(ラプター)の開発にはある程度成功した様だが、実用になるかどうかはもう少し見守る必要がありそうだ。
NASAの案(ボーイングの案?)では、火星に行くのに宇宙空間でしか航行できない宇宙船を使用することになる。
長期の宇宙飛行を可能とする巨大な宇宙船。
あわよくば、原子力ロケットで実現したいだろうな。
しかし、それは先の話だ。
技術者でもなければ、宇宙飛行の経験もない政治家上がりの長官が率いるトランプ政権のNASA。
鳥嶋さんでなくとも、のめり込むには危う過ぎる。
参考資料2の小さな瑕疵は、分かる人だけに分かる抗議のサインなのかもしれない・・・。
まずは、鳥嶋さんの記事から。
(日本人宇宙飛行士も月に - NASAのブライデンスタイン長官が来日会見)
https://news.mynavi.jp/article/20191009-906610/
「ブライデンスタイン長官は、日本の技術力の高さを称えるとともに、「月を周回する宇宙ステーション『ゲートウェイ』計画への日本の参加を促すために来た」と明言。「日本人宇宙飛行士が月面に降り立つ可能性も大いにある」などと語られた。」
甘言を吐く者には、用心した方がいい。
「2020年に「アルテミス1」という計画で、有人月着陸に使う宇宙船「オライオン」と、超大型ロケット「スペース・ローンチ・システム(SLS)」の無人での打ち上げ試験を実施。」
「2022年には「アルテミス2」で有人の飛行試験を実施する。」
「2022年ごろから、並行してゲートウェイの建設を開始。そして2024年にオライオン、SLS、そしてゲートウェイを活用して、アポロ計画以来約半世紀ぶりとなる、有人月探査を実施する予定となっている。」
浮沈子的には、このスケジュール自体が実現不可能に思える。
「有人月着陸計画は、トランプ大統領の指示の下、実施が約4年前倒しになった。これに対する「技術的に、また予算的に大丈夫なのか?」という質問に対しては、ブライデンスタイン長官は「前倒しによるリスクより、延々先延ばしにするリスク、とくに政治的なリスクのほうが高いと考えている」と回答。すなわち、歴史的に米国の宇宙計画で繰り返されてきた、政権が変わって計画が中止になる可能性を危惧しているという見解を示した。」
アルテミスは、そのスケジュール自体が政治性を帯びている。
つーか、まんま政治日程を意識して作成されたものだ。
米国は、既に来年の大統領選挙をにらみ、政治の季節に入っている。
(2020年アメリカ合衆国大統領選挙)
https://ja.wikipedia.org/wiki/2020%E5%B9%B4%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%90%88%E8%A1%86%E5%9B%BD%E5%A4%A7%E7%B5%B1%E9%A0%98%E9%81%B8%E6%8C%99
「2019年:
・6月26日~6月27日:民主党候補の党主催第一回討論会(世論調査と資金調達額のいずれかの要件を充足した20人の候補を、2日に分けて開催。)
・7月30日~7月31日:民主党候補の党主催第二回討論会(第一回と同様の要件を充足した20人の候補を、2日に分けて開催。)
・9月12日:民主党候補の党主催第三回討論会(世論調査(所定の世論調査のうち4つで2%以上の支持)と資金調達(13万人以上かつ20州で400人以上からの寄付)の双方の要件を充足した10人の候補で開催)
・10月15日:民主党候補の党主催第四回討論会(第三回と同様の要件を充足した12名の候補で開催。)
・11月20日:民主党候補の党主催第五回討論会(世論調査(所定の世論調査のうち4つで3%以上の支持、または所定の州の世論調査2つで5%以上の支持)と資金調達(16.5万人以上かつ20州で600人以上からの寄付)の双方の要件を充足した候補で開催予定。)」
今のところ、共和党の動きはない。
「一期目を満了する予定の現職大統領であるトランプが、再選出馬を表明しているほか、
・元マサチューセッツ州知事で、前回2016年アメリカ合衆国大統領選挙でリバタリアン党の副大統領候補であったウィリアム・ウェルド
・元イリノイ州選出下院議員で、ラジオ番組の司会者であるジョー・ウォルシュ
・元サウスカロライナ州知事で、前サウスカロライナ州選出下院議員マーク・サンフォード
が、共和党からの出馬を正式に表明している。」
話題になっている弾劾が行われることになれば別だが、現職大統領の出馬表明がある以上、これを覆すことは難しいだろう。
民主党の候補は、混沌としていて読めない。
誰が出てきてもおかしくないし、出てきたとしても苦戦を強いられるに違いない。
トランプ政権が出来た時、世界は驚愕し、慌てふためいたが、再選されれば更に驚きだ。
が、それは現実的な話でもある。
NASAの宇宙計画は、来年の大統領選挙をにらんで策定されている。
我が国は、それに乗っかり、うまい汁を吸おうとしているようだが、その果実には毒がある。
米国の宇宙政策は、政権の交代によって激変する。
まあ、変わらないのはスペースXの火星移民くらいのものだ(そうなのかあ?)。
「はたして、このまま米国に付き従い、アルテミス、ゲートウェイに参画すべきなのか? この分野に積極的に宇宙予算を投じるべきなのか? 「日本人も月に降りられる」といった甘言に惑わされず、日本が行うべき、また日本にしかできない、そして次の世代に自信を持ってバトンを渡せるような、バランスの取れた宇宙開発のあり方を、いま一度検討すべきではないだろうか。」
鳥嶋さんが、そう警鐘を鳴らして約一週間後、我が国は米国追従の道を選んだ。
(米国の月探査計画に日本も正式参画。日本人宇宙飛行士も月にいく可能性)
https://sorae.info/space/20191019-japan.html
「総理官邸で10月18日に行われた第20回宇宙開発戦略本部正式にて、安倍総理は、米国提案による月探査計画の日本の参画を正式に表明しました。」
浮沈子が興味を持ったのは、公式文書に添付された参考資料2である。
(宇宙開発戦略本部 第20回会合 議事次第)
https://www8.cao.go.jp/space/hq/dai20/gijisidai.html
(米国提案による国際宇宙探査について:参考資料2)
https://www8.cao.go.jp/space/hq/dai20/sankou2.pdf
「早期の有人月面着陸を目指す米国との協力をタイムリーかつ戦略的に実施できるよう必要な対応を加速
具体的な協力:
①第1段階ゲートウェイにおける協力→技術の補完により期限内の建設に貢献
②物資・燃料等の補給面での協力→有人月面着陸前倒しに伴う補給ニーズ増への対応に貢献
③月面データ共有面での協力→有人月面着陸候補地点の選定等に貢献
④移動手段での協力→持続的な月面活動へ貢献」
この記述の下には、画像に掲げたイメージが添付されている。
「(注:本イメージ図はNASAやJAXAの資料をもとに文部科学省が作成)」
浮沈子には、辛うじて判読できる小さい字で書かれているが、そのタイムラインは上記の記述と矛盾している。
たとえば、②の補給については、前倒し需要がひっ迫すると予想される2024年以前には行われない(ゲートウェイへの燃料・物資補給は2025年以降と明記されている)。
また、本文にはない「非与圧」月面車の開発も、2024年以前には行われない。
与圧月面車については、点線の矢印で結ばれ、2028年以降に実施されるかどうかも怪しい。
これらのどこが、「タイムリーかつ戦略的」なのか。
少なくとも「必要な対応を加速」しているとは思えないな。
確定的な記述としては、例として挙げられているミニ居住棟の熱制御系ポンプ、バッテリー、窒素・酸素分圧タンクに留まる。
また、ピンポイント着陸といっても、2022年に延期されていて、これからの話だし。
(SLIM)
https://ja.wikipedia.org/wiki/SLIM
「2021年にH-IIAロケットで打ち上げ予定のX線天文衛星ひとみ後継機XRISMとの相乗りで打ち上げられる見通し」
「誤差100メートルを目標に軟着陸を目指す」
JAXAの資料では、2021年度となっているからな。
(月着陸探査活動のJAXAにおける検討状況について:2019年4月19日)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/071/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2019/07/09/1418751_4.pdf
「小型月着陸実証機(SLIM)について、2021年度の打ち上げを目指し開発を進める。」(3ページ)
「小型月着陸実証機(SLIM)(2021年度)」(4ページ)
実際には、年明けの2022年になる可能性は高い。
2023年に予定されている月極域移動探査に至っては、チャンドラヤーン2の激突による失敗を考慮すれば、時期的な見直しは避けられないところだ(着陸機はインド主体で開発予定だからな)。
「打上時期:2023年頃を目標」(16ページ)
「着陸機:ISRO主担当」
おまけに、2022年にはNASA自身がローバーを月の南極に送ると報じられた(追加)。
(NASA、月の南極で氷を採掘へ 22年に探査車:追加)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191026-00000031-kyodonews-soci
「米航空宇宙局(NASA)は25日、月の南極に存在する氷の分布を調べる無人探査車「バイパー」を2022年に月面に送ると発表した。24年に飛行士の月面着陸を目指す「アルテミス計画」に先立ち、将来の有人探査で飲み水などに利用できる可能性を探る。」
我が国(インドも含めて?)の協力なんて、火の消えた後の消防車のようなもんかもな・・・。
まあいい。
既存の計画をつまみ食いしつつ、未定要素をちりばめてそれらしく見せるのも芸のうちだ。
粗さがしをしても、得るものは何もない。
我が国の宇宙開発担当も馬鹿ではない。
米国が政治の季節に入っていて、一寸先は闇であることなど先刻承知だ。
承知の上で、我が国の政治状況を利用して、財務当局への圧力を掛けつつ、いつでも撤退できる裏口を用意しているのかも知れないしな。
NASAが月周回ゲートウェイを使って、有人火星探査に及ぶという方向性はおそらく変わらないだろう。
それに対して、スペースXは、地球低軌道から直接火星を狙う。
(発表から3年、スペースXの「火星移民構想」をおさらい)
https://news.mynavi.jp/article/starship-1/
「こうしたアイディアの多くは、過去に多くの科学者などによって検討されたことがあり、その一部は「マーズ・ダイレクト」構想としてまとめられている。マスク氏はそれを掘り起こすとともに、現代の技術を使い、実現可能なレベルに落とし込もうとしているのである。」
(マーズ・ダイレクト)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%83%88
「1990年代のロケット技術のみで比較的低コストで実現可能な案として提案された火星有人探査計画。」
「火星大気の豊富な二酸化炭素を用い、地球帰還用の燃料を現地調達する、というアイデアが本計画の大きな特徴として挙げられる。」
スペースXの計画では、次の4つの要素があるとされる。
・完全に再使用できるロケットと宇宙船
→スターシップとスーパーヘビー
・地球周回軌道での推進剤補給
→タンカーロケットからの軌道上給油
・火星での推進剤の現地生産
→水の電気分解による液体酸素の製造とサバティエ反応による二酸化炭素からのメタン燃料の製造
・最適な推進剤の使用→メタン燃料と液体酸素
まあ、どれをとっても実現可能性は小さいけどな。
どうやら、メタンエンジン(ラプター)の開発にはある程度成功した様だが、実用になるかどうかはもう少し見守る必要がありそうだ。
NASAの案(ボーイングの案?)では、火星に行くのに宇宙空間でしか航行できない宇宙船を使用することになる。
長期の宇宙飛行を可能とする巨大な宇宙船。
あわよくば、原子力ロケットで実現したいだろうな。
しかし、それは先の話だ。
技術者でもなければ、宇宙飛行の経験もない政治家上がりの長官が率いるトランプ政権のNASA。
鳥嶋さんでなくとも、のめり込むには危う過ぎる。
参考資料2の小さな瑕疵は、分かる人だけに分かる抗議のサインなのかもしれない・・・。
最近のコメント