毒皿 ― 2014年11月01日 11:03
毒皿
インフレターゲット論、デフレマインドからの脱却、次元の違う政策・・・。
アベノミクスという毒を飲んだ日本経済は、実態を伴わないまま暴走中である。
浮沈子は、経済のことは良く分からないが、需要が乏しいところに金を落とせば景気が良くなるといわれても、ピンと来ない。
物やサービスが溢れる現代では、お金を持っている人は生活しやすいが、そうでない人はそれらの利便性からは離れたところにいる。
それらの人々にお金を使ってもらおうとすれば、お金を渡すか、物やサービスの価格を下げるしかない。
お金を持っている人(法人を含めて)は、せっかく稼いだ金を手放したくないので、ビンボー人から少しずつ金を稼いで経済を回そうとしたら、値段を下げるより仕方が無いのだ。
デフレスパイラルは、金持ちが起こしたわけではなく、貧乏人が起こしたのだと浮沈子は思っている。
だから、風呂の水は上の方から温まるといって憚らない某政権与党の党首が言う通り、金持ちだけが儲かるような政策を打って行った暁には、価格の高い製品やサービスを手に入れられる富裕層と、そうでない庶民との格差が広がり、格差社会が構造化して所得階層が固定化する。
まあ、それがいいんだという人が多いからこういう政治状況になっているんだろうが、程度問題や、世代を超えて階層が固定化されてくると、話は変わってくるかもしれない。
今回の話は、そんな大それた話ではない。
もちっと卑近な話で、企業活動を活発にしなければ我が国の経済的な発展は無いから、カンフル注射を打ちましょうということだろう。
1度でダメなら、2度でも3度でも打ちましょう。
カンフル注射だから、副作用もあるだろうが、それを恐れて死に至る病を放置していたら、本体がダメになってしまう。
だから、この際、副作用には目を瞑って、毒を飲んでもらいましょうという話なのである。
デフレスパイラルから脱却し、経済成長が順調に見込まれれば、もう毒を飲まなくてもいい。
それまでは、耐えてもらいたいということだな。
耐えなくていい人(法人)もいるだろうが。
そういう方には、後からしっかりとツケを払っていただくとして、まあ、今のところはわが世の春を謳歌していただこう。
(黒田総裁は天才かつ秀才だが、間違っている
なぜ無意味な金融緩和をするのか?)
http://toyokeizai.net/articles/-/52286
実体経済の変動を、期待値からずれているから修正して、期待値の信用を高めようという手法について、経済ドシロウトの浮沈子は、別におかしいとは思わない。
大いにやればいい。
その結果、円安になり、物価だけが上がり、苦しむ人が増えようが、それは支払わなければならない対価であって、とにかくインフレが続くのだという期待値を維持することが優先する。
そのことによって、投資意欲が高まって、企業活動が活発になり、経済が潤って、風呂の底まで暖かくなるというわけだ。
まあ、誰がどのようにお湯をかき回してくれるのかという話は残る。
まあいい。
問題は、別のところにあるような気がしている。
我が国の経済は、単独で成り立っているわけではなく、世界と繋がっている。
その世界経済がおかしくなりつつある時に、我が国の金融政策が明後日の方を向いていないかどうか、目先のことに取り付かれて、頓珍漢なことをやっていないかどうかについては、常に意識していなければならないだろう。
東アジア地域は、人口の停滞から減少に向かっていて、基本的な需要が低下しつつある。
中国の成長は、その中で抜きん出ているが、既に限界が見えつつあるように思える。
南アジアやアフリカの発展はまだまだ先の話だし、東南アジアは既に行き詰っている。
何をどうしたらいいのかは分からないが、米国や欧州だけ見ていても我が国の行く道は見えてこないのではないか。
一時、勝ち組、負け組みということが言われた。
わが国は勝ち組になれるのか、負け組みに落ちるのか。
それとも、第3の道があるのか。
その中で、大所を誤ることなく、立ち位置を固めることが何より重要だ。
超高齢化社会が過ぎて、人口減少に歯止めが掛かり、安定した社会に移行するまでに何をすべきなのか。
目先の株価を維持したり、為替の変動に一喜一憂するのも経済なら、国民の地道な活動をしっかりと成果に結びつけ、還元していくのも経済だ。
かいてもかいても前に進まないような社会を作ることの無いような、地に足の着いた金融政策を取って欲しいものだ。
毒食わば皿までなど、とんでもない話である。
インフレターゲット論、デフレマインドからの脱却、次元の違う政策・・・。
アベノミクスという毒を飲んだ日本経済は、実態を伴わないまま暴走中である。
浮沈子は、経済のことは良く分からないが、需要が乏しいところに金を落とせば景気が良くなるといわれても、ピンと来ない。
物やサービスが溢れる現代では、お金を持っている人は生活しやすいが、そうでない人はそれらの利便性からは離れたところにいる。
それらの人々にお金を使ってもらおうとすれば、お金を渡すか、物やサービスの価格を下げるしかない。
お金を持っている人(法人を含めて)は、せっかく稼いだ金を手放したくないので、ビンボー人から少しずつ金を稼いで経済を回そうとしたら、値段を下げるより仕方が無いのだ。
デフレスパイラルは、金持ちが起こしたわけではなく、貧乏人が起こしたのだと浮沈子は思っている。
だから、風呂の水は上の方から温まるといって憚らない某政権与党の党首が言う通り、金持ちだけが儲かるような政策を打って行った暁には、価格の高い製品やサービスを手に入れられる富裕層と、そうでない庶民との格差が広がり、格差社会が構造化して所得階層が固定化する。
まあ、それがいいんだという人が多いからこういう政治状況になっているんだろうが、程度問題や、世代を超えて階層が固定化されてくると、話は変わってくるかもしれない。
今回の話は、そんな大それた話ではない。
もちっと卑近な話で、企業活動を活発にしなければ我が国の経済的な発展は無いから、カンフル注射を打ちましょうということだろう。
1度でダメなら、2度でも3度でも打ちましょう。
カンフル注射だから、副作用もあるだろうが、それを恐れて死に至る病を放置していたら、本体がダメになってしまう。
だから、この際、副作用には目を瞑って、毒を飲んでもらいましょうという話なのである。
デフレスパイラルから脱却し、経済成長が順調に見込まれれば、もう毒を飲まなくてもいい。
それまでは、耐えてもらいたいということだな。
耐えなくていい人(法人)もいるだろうが。
そういう方には、後からしっかりとツケを払っていただくとして、まあ、今のところはわが世の春を謳歌していただこう。
(黒田総裁は天才かつ秀才だが、間違っている
なぜ無意味な金融緩和をするのか?)
http://toyokeizai.net/articles/-/52286
実体経済の変動を、期待値からずれているから修正して、期待値の信用を高めようという手法について、経済ドシロウトの浮沈子は、別におかしいとは思わない。
大いにやればいい。
その結果、円安になり、物価だけが上がり、苦しむ人が増えようが、それは支払わなければならない対価であって、とにかくインフレが続くのだという期待値を維持することが優先する。
そのことによって、投資意欲が高まって、企業活動が活発になり、経済が潤って、風呂の底まで暖かくなるというわけだ。
まあ、誰がどのようにお湯をかき回してくれるのかという話は残る。
まあいい。
問題は、別のところにあるような気がしている。
我が国の経済は、単独で成り立っているわけではなく、世界と繋がっている。
その世界経済がおかしくなりつつある時に、我が国の金融政策が明後日の方を向いていないかどうか、目先のことに取り付かれて、頓珍漢なことをやっていないかどうかについては、常に意識していなければならないだろう。
東アジア地域は、人口の停滞から減少に向かっていて、基本的な需要が低下しつつある。
中国の成長は、その中で抜きん出ているが、既に限界が見えつつあるように思える。
南アジアやアフリカの発展はまだまだ先の話だし、東南アジアは既に行き詰っている。
何をどうしたらいいのかは分からないが、米国や欧州だけ見ていても我が国の行く道は見えてこないのではないか。
一時、勝ち組、負け組みということが言われた。
わが国は勝ち組になれるのか、負け組みに落ちるのか。
それとも、第3の道があるのか。
その中で、大所を誤ることなく、立ち位置を固めることが何より重要だ。
超高齢化社会が過ぎて、人口減少に歯止めが掛かり、安定した社会に移行するまでに何をすべきなのか。
目先の株価を維持したり、為替の変動に一喜一憂するのも経済なら、国民の地道な活動をしっかりと成果に結びつけ、還元していくのも経済だ。
かいてもかいても前に進まないような社会を作ることの無いような、地に足の着いた金融政策を取って欲しいものだ。
毒食わば皿までなど、とんでもない話である。
往還機 ― 2014年11月01日 21:24
往還機
宇宙ネタとしては、アゲ(打ち上げ成功とか)で行きたいのだが、このところサゲ(爆発炎上、墜落など)が多い。
英ヴァージンの商用宇宙船、試験飛行中に墜落 操縦士1人死亡)
http://www.afpbb.com/articles/-/3030580
「米カリフォルニア(California)州で試験飛行中に墜落し、少なくともパイロット1人が死亡した。」
テスト飛行中の事故という。
「試験中、スペースシップ・ツーは重大な異常に見舞われた結果、失われた。われわれの第一の心配は、パイロットたちの状態だ」
「ヴァージン・ギャラクティックはツイッターで「スペースシップ・ツーはホワイトナイト・ツーから切り離され、現在自由に飛行中」「点火!スペースシップ・ツーは再びロケット推進力で飛行中」 と試験飛行のもようを実況していたが、次のツイートで異常の発生を知らせ、続く一連のツイートでスペースシップ・ツーの墜落を確認した。」
(Virgin Galactic: 墜落したSpaceShip Twoは有人飛行試験中にロケットエンジンが爆発)
http://www.businessnewsline.com/biztech/201411010927430000.html
「今回、Virgin Galacticでは、新しい推進剤を使用した新ハイブリッドエンジンをSpaceShip Twoに搭載することで、新ハイブリッドエンジンを使った初のパワードフライト試験を実施したところで、機体が墜落するという最悪の事故に遭遇する結果になったものと見られている。」
「SpaceShip Twoに必要なハイブリッドエンジンは試験段階になり燃焼が安定しないという問題に直面し、開発作業は難航してきた。その上で、規定の出力と燃焼の安定性が得られたのは、今年の5月に入ってからとなっていた。」
「ハイブリッドエンジンで生じた問題とは、プラスチック系の推進剤が安定した燃焼をしないというもので、このため、Virgin Galacticは様々な推進剤を使用した燃焼試験を繰り返してきた。」
「SpaceShip Twoで使われているハイブリッドエンジンは当初は、有人宇宙船「Dream Chaser」の開発で有名なSierra Nevada Corp (SNC) が開発を進めてきたが、開発が難航したことから、Virgin Galacticは5月からは自社開発のものに変更していた。」
ほほう、これは知らなかったな。
(Virgin Galactic: SpaceShip Two用ハイブリッドロケットエンジンにおけるポリアミド燃料の採用を決定)
http://www.businessnewsline.com/biztech/201405280321390000.html
「SpaceShip Twoに用いられているハイブリッドロケットエンジンの開発製造元となるSierra Nevada Corporation (SNC)における各種の燃料を用いた燃焼実験の結果、ポリアミドの燃焼結果が一番、良好と判断されたことが今回の決定につながった。」
「Virgin Galacticでは、ポリアミド燃料による新型ハイブリッドロケットエンジンをSpaceShip Twoに搭載することで近く、実際に高度100キロ超の宇宙圏まで到達して帰還する宇宙フライトの最初の試験飛行を実施する予定でいる。」
今回の飛行の目的がどういう内容であったかは不明だが、シエラネバダコーポレションといえば、JAXAとの技術提携話もあったわけで、結局、今年の夏には液体燃料系に切り替えるとしていた。
(ハイブリッドロケット:ハイブリッドをめぐる状況)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88#.E3.83.8F.E3.82.A4.E3.83.96.E3.83.AA.E3.83.83.E3.83.89.E3.82.92.E3.82.81.E3.81.90.E3.82.8B.E7.8A.B6.E6.B3.81
「SpaceDev社(2008年12月にシエラ・ネヴァダ・コーポレーション (SNC) に買収された)は、小型の衛星打ち上げロケットであるStreakerと弾道飛行と周回飛行の両方の能力を備える有人宇宙船のドリームチェイサーを開発中である。Streakerとドリームチェイサーは両方とも亜酸化窒素と末端水酸基ポリブタジエン(HTPB)を使用する計画であった。」
「しかし、2014年夏に、ドリームチェイサーの推進系ではハイブリッドロケットは使わず、液体推進系に変更することが明らかにされた」
(SNC Abandons Own Hybrid Motors on Dream Chaser:August 19, 2014, at 1:37 pm)
http://www.parabolicarc.com/2014/08/19/snc-abandons-hybrid-motors-dream-chaser/#more-53194
「Sierra Nevada Corporation won’t be using its own hybrid rockets for its Dream Chaser space shuttle, making it the second company in recent months after Virgin Galactic to dump the nitrous oxide-rubber motors.」
つまり、ドリームチェイサー用に開発していた亜酸化窒素と末端水酸基ポリブタジエン(HTPB)を燃料とするロケットは、開発中止となり、代わって、酸化剤は分らないが(たぶん同じ亜酸化窒素?)、ポリアミドを燃料とするロケットに決まっていたのだが、シエラネバダコーポレーションが撤退して、バージンギャラクティックは、唯一のユーザーとして開発を継続することにしたのだろう。
ハイブリッドエンジンの燃料管理コストのメリットと、安全性を選択したのは良かったのだが、開発途上のエンジンを選択したツケが回ってきた格好になっている。
(ポリブタジエン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%83%96%E3%82%BF%E3%82%B8%E3%82%A8%E3%83%B3
基本的には、合成ゴムだな。
(固体推進薬とは・研究テーマについて:防衛大学のページ)
http://www.nda.ac.jp/~kohga/kenkyu.html
固体燃料の材料としては一般的なものだ。
(ポリアミド)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%9F%E3%83%89
基本的には、ナイロンとかだな。
(アミド)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9F%E3%83%89
「化合物フラグメントがアミド結合で多数連結した高分子化合物(樹脂)をポリアミドと呼ぶ。ポリアミド系樹脂の代表としては6,6-ナイロンが挙げられる。」
化学苦手なので、引用のみ。
ついでに、宇宙の話でよく出てくるポリイミドについてもお勉強。
(ポリイミド)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%89
「通常の高分子に比べて破格の高強度、耐熱性を有する。」
「破壊強度: 200 - 600 MPa」
「熱分解温度: 500℃ 以上」
「ポリアミド酸の溶液を金属のベルト上、ドラム上に押し出して乾燥し、最終的に 300 - 500℃ 以上の温度でイミド化させて製造される。」
「極めて軽量かつ過酷な環境に強いという物理的性質から、2010年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)が打ち上げた、宇宙ヨットと呼ばれる小型ソーラー電力セイル実証機であるIKAROSの太陽帆としても採用された。」
(イミド)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%89
「化学工業では、多くのイミドはモノマーとしてポリアミドの製造に使われている。」
あれ?、ポリイミドの原料としてポリアミド酸が使われてるんじゃね?。
まあ、どうでもいいんですが。
で、結局、何が原因かは、今後の調査を待つとしても、バージンギャラクテックの宇宙旅行(ちびっとだけ)が、無期限延期になったことは確かだ。
「Virgin Galacticは今のところ、有人宇宙船「SpaceShip Two」は、今回墜落事故を起こした1機しか有しておらず、今回の唯一の有人宇宙船を喪失したことにより、同社が近く実施を予定していた宇宙観光事業の実施は絶望的となった。」
businessnewslineの記事では、「絶望的」とまで言っている。
(スペースシップツー、新ロケット・モーターの「コールド・フロー」試験に成功:2014.08.30)
http://www.sorae.jp/030703/5280.html
「気になる動力飛行の再開や、宇宙空間への飛行、宇宙旅行サービスの開始時期については、まだ未定となっている。だが、8月17日に、ヴァージン社のサー・リチャード・ブランスン会長が『USAトゥデイ』紙に語ったところによれば、今後数週間のうちに、新しいロケット・モーターを使った動力飛行を行いたいとのことだ。」
相当プレッシャー掛けてたんじゃね?。
まあいい。
「現在いくつかの会社によってサブオービタル宇宙船の開発が行われており、その中でもスペースシップツーはもっとも実現に近い機体である。」
この記述も変えざるを得ないな。
宇宙往還機については、最近こんな記事も目に止まった。
(謎に包まれた米空軍の宇宙往還機X-37B - その虚構と真実:画像参照)
http://news.mynavi.jp/series/x_37b/001/
なんの役に立つかも分らない兵器(?)のために、巨額の費用をボーイングのために(?)払い続けるわけだ。
機密扱いにしているのは、その辺が理由なんじゃね?。
ミッションレベルでマトモに飛んでいる機体は、民間ではスペースXと三菱だけだ。
宇宙ロケットが国家レベルのプロジェクトとして行われている理由は、スペースシップツーのような失敗が起こった時にも、開発を継続し、推進することができるからに違いない。
今後、バージングループがどのような方針を採るかは明確ではない。
(Support for Virgin Galactic and Scaled Composites)
http://www.virgin.com/richard-branson/support-for-virgin-galactic-and-scaled-composites
「We will persevere and move forward together.」
バージングループとしては、直ちに撤退というわけでもないらしい。
しかし、今後の推移によっては、スペースシップツーの実現が困難になる可能性もある。
エンジンが怪しいロケットになんて、誰が乗りたがるもんか!。
宇宙ネタとしては、アゲ(打ち上げ成功とか)で行きたいのだが、このところサゲ(爆発炎上、墜落など)が多い。
英ヴァージンの商用宇宙船、試験飛行中に墜落 操縦士1人死亡)
http://www.afpbb.com/articles/-/3030580
「米カリフォルニア(California)州で試験飛行中に墜落し、少なくともパイロット1人が死亡した。」
テスト飛行中の事故という。
「試験中、スペースシップ・ツーは重大な異常に見舞われた結果、失われた。われわれの第一の心配は、パイロットたちの状態だ」
「ヴァージン・ギャラクティックはツイッターで「スペースシップ・ツーはホワイトナイト・ツーから切り離され、現在自由に飛行中」「点火!スペースシップ・ツーは再びロケット推進力で飛行中」 と試験飛行のもようを実況していたが、次のツイートで異常の発生を知らせ、続く一連のツイートでスペースシップ・ツーの墜落を確認した。」
(Virgin Galactic: 墜落したSpaceShip Twoは有人飛行試験中にロケットエンジンが爆発)
http://www.businessnewsline.com/biztech/201411010927430000.html
「今回、Virgin Galacticでは、新しい推進剤を使用した新ハイブリッドエンジンをSpaceShip Twoに搭載することで、新ハイブリッドエンジンを使った初のパワードフライト試験を実施したところで、機体が墜落するという最悪の事故に遭遇する結果になったものと見られている。」
「SpaceShip Twoに必要なハイブリッドエンジンは試験段階になり燃焼が安定しないという問題に直面し、開発作業は難航してきた。その上で、規定の出力と燃焼の安定性が得られたのは、今年の5月に入ってからとなっていた。」
「ハイブリッドエンジンで生じた問題とは、プラスチック系の推進剤が安定した燃焼をしないというもので、このため、Virgin Galacticは様々な推進剤を使用した燃焼試験を繰り返してきた。」
「SpaceShip Twoで使われているハイブリッドエンジンは当初は、有人宇宙船「Dream Chaser」の開発で有名なSierra Nevada Corp (SNC) が開発を進めてきたが、開発が難航したことから、Virgin Galacticは5月からは自社開発のものに変更していた。」
ほほう、これは知らなかったな。
(Virgin Galactic: SpaceShip Two用ハイブリッドロケットエンジンにおけるポリアミド燃料の採用を決定)
http://www.businessnewsline.com/biztech/201405280321390000.html
「SpaceShip Twoに用いられているハイブリッドロケットエンジンの開発製造元となるSierra Nevada Corporation (SNC)における各種の燃料を用いた燃焼実験の結果、ポリアミドの燃焼結果が一番、良好と判断されたことが今回の決定につながった。」
「Virgin Galacticでは、ポリアミド燃料による新型ハイブリッドロケットエンジンをSpaceShip Twoに搭載することで近く、実際に高度100キロ超の宇宙圏まで到達して帰還する宇宙フライトの最初の試験飛行を実施する予定でいる。」
今回の飛行の目的がどういう内容であったかは不明だが、シエラネバダコーポレションといえば、JAXAとの技術提携話もあったわけで、結局、今年の夏には液体燃料系に切り替えるとしていた。
(ハイブリッドロケット:ハイブリッドをめぐる状況)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88#.E3.83.8F.E3.82.A4.E3.83.96.E3.83.AA.E3.83.83.E3.83.89.E3.82.92.E3.82.81.E3.81.90.E3.82.8B.E7.8A.B6.E6.B3.81
「SpaceDev社(2008年12月にシエラ・ネヴァダ・コーポレーション (SNC) に買収された)は、小型の衛星打ち上げロケットであるStreakerと弾道飛行と周回飛行の両方の能力を備える有人宇宙船のドリームチェイサーを開発中である。Streakerとドリームチェイサーは両方とも亜酸化窒素と末端水酸基ポリブタジエン(HTPB)を使用する計画であった。」
「しかし、2014年夏に、ドリームチェイサーの推進系ではハイブリッドロケットは使わず、液体推進系に変更することが明らかにされた」
(SNC Abandons Own Hybrid Motors on Dream Chaser:August 19, 2014, at 1:37 pm)
http://www.parabolicarc.com/2014/08/19/snc-abandons-hybrid-motors-dream-chaser/#more-53194
「Sierra Nevada Corporation won’t be using its own hybrid rockets for its Dream Chaser space shuttle, making it the second company in recent months after Virgin Galactic to dump the nitrous oxide-rubber motors.」
つまり、ドリームチェイサー用に開発していた亜酸化窒素と末端水酸基ポリブタジエン(HTPB)を燃料とするロケットは、開発中止となり、代わって、酸化剤は分らないが(たぶん同じ亜酸化窒素?)、ポリアミドを燃料とするロケットに決まっていたのだが、シエラネバダコーポレーションが撤退して、バージンギャラクティックは、唯一のユーザーとして開発を継続することにしたのだろう。
ハイブリッドエンジンの燃料管理コストのメリットと、安全性を選択したのは良かったのだが、開発途上のエンジンを選択したツケが回ってきた格好になっている。
(ポリブタジエン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%83%96%E3%82%BF%E3%82%B8%E3%82%A8%E3%83%B3
基本的には、合成ゴムだな。
(固体推進薬とは・研究テーマについて:防衛大学のページ)
http://www.nda.ac.jp/~kohga/kenkyu.html
固体燃料の材料としては一般的なものだ。
(ポリアミド)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%9F%E3%83%89
基本的には、ナイロンとかだな。
(アミド)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9F%E3%83%89
「化合物フラグメントがアミド結合で多数連結した高分子化合物(樹脂)をポリアミドと呼ぶ。ポリアミド系樹脂の代表としては6,6-ナイロンが挙げられる。」
化学苦手なので、引用のみ。
ついでに、宇宙の話でよく出てくるポリイミドについてもお勉強。
(ポリイミド)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%89
「通常の高分子に比べて破格の高強度、耐熱性を有する。」
「破壊強度: 200 - 600 MPa」
「熱分解温度: 500℃ 以上」
「ポリアミド酸の溶液を金属のベルト上、ドラム上に押し出して乾燥し、最終的に 300 - 500℃ 以上の温度でイミド化させて製造される。」
「極めて軽量かつ過酷な環境に強いという物理的性質から、2010年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)が打ち上げた、宇宙ヨットと呼ばれる小型ソーラー電力セイル実証機であるIKAROSの太陽帆としても採用された。」
(イミド)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%89
「化学工業では、多くのイミドはモノマーとしてポリアミドの製造に使われている。」
あれ?、ポリイミドの原料としてポリアミド酸が使われてるんじゃね?。
まあ、どうでもいいんですが。
で、結局、何が原因かは、今後の調査を待つとしても、バージンギャラクテックの宇宙旅行(ちびっとだけ)が、無期限延期になったことは確かだ。
「Virgin Galacticは今のところ、有人宇宙船「SpaceShip Two」は、今回墜落事故を起こした1機しか有しておらず、今回の唯一の有人宇宙船を喪失したことにより、同社が近く実施を予定していた宇宙観光事業の実施は絶望的となった。」
businessnewslineの記事では、「絶望的」とまで言っている。
(スペースシップツー、新ロケット・モーターの「コールド・フロー」試験に成功:2014.08.30)
http://www.sorae.jp/030703/5280.html
「気になる動力飛行の再開や、宇宙空間への飛行、宇宙旅行サービスの開始時期については、まだ未定となっている。だが、8月17日に、ヴァージン社のサー・リチャード・ブランスン会長が『USAトゥデイ』紙に語ったところによれば、今後数週間のうちに、新しいロケット・モーターを使った動力飛行を行いたいとのことだ。」
相当プレッシャー掛けてたんじゃね?。
まあいい。
「現在いくつかの会社によってサブオービタル宇宙船の開発が行われており、その中でもスペースシップツーはもっとも実現に近い機体である。」
この記述も変えざるを得ないな。
宇宙往還機については、最近こんな記事も目に止まった。
(謎に包まれた米空軍の宇宙往還機X-37B - その虚構と真実:画像参照)
http://news.mynavi.jp/series/x_37b/001/
なんの役に立つかも分らない兵器(?)のために、巨額の費用をボーイングのために(?)払い続けるわけだ。
機密扱いにしているのは、その辺が理由なんじゃね?。
ミッションレベルでマトモに飛んでいる機体は、民間ではスペースXと三菱だけだ。
宇宙ロケットが国家レベルのプロジェクトとして行われている理由は、スペースシップツーのような失敗が起こった時にも、開発を継続し、推進することができるからに違いない。
今後、バージングループがどのような方針を採るかは明確ではない。
(Support for Virgin Galactic and Scaled Composites)
http://www.virgin.com/richard-branson/support-for-virgin-galactic-and-scaled-composites
「We will persevere and move forward together.」
バージングループとしては、直ちに撤退というわけでもないらしい。
しかし、今後の推移によっては、スペースシップツーの実現が困難になる可能性もある。
エンジンが怪しいロケットになんて、誰が乗りたがるもんか!。
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