バルブ2015年12月07日 22:49

バルブ
バルブ


あかつきのバルブ(逆流防止弁)の不具合について、いろいろ調べてみた。

詳しいことは分からないが、配管図によれば、ヒドラジンだけによる一液式エンジン(スラスター)と、四酸化二窒素との反応(燃焼)を使ったメインエンジンを使い分けるようになっている。

(一液式ロケット)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E6%B6%B2%E5%BC%8F%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88

「単一の化学物質を燃料に使用するロケットである。」

「推進剤を構成する化学物質の分子の化学結合が解き放たれることにより結合エネルギーに相当するエネルギーが解放され、高温のガスが噴出する事によりその反動で推進する。」

「よく使われる燃料としてはヒドラジン(N2H4)がある。」

「燃料は触媒としてスポンジ状の銀や白金を内蔵した反応槽に入れられる。」

「触媒としては、粒状のアルミナをイリジウム(一例としてS-405やKC 12 GA)でコーティングしたもの(例えば、Shell-405)がある。」

「ヒドラジンを用いるエンジンには点火装置は不要である。Shell-405 は自発的触媒であり、ヒドラジンは接触しただけで分解し始める。」

まあ、ざっとこんな感じかな。

で、問題の逆止弁からの酸化剤の透過(リークだけではなく)が起こったという配管図は、前回引用した。

(あかつき、なう:画像参照)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2015/12/07/7939556

この元ネタの中で、以下のくだりがあった(資料20ページ)。

「今回の不具合事例については,配管系の設計に依存するものであったが,「のぞみ」と「あかつき」では推進系コンフィグレーションに相違があり,実績として単純に参照すべきものではなかった」

こりゃあ、のぞみの配管図を見るしかないなと思って調べたら、ウィキの参照先に載っていた(画像参照)。

(第18号科学衛星 「のぞみ」の火星周回軌道への (PLANET-B)
投入失敗に係る原因究明及び今後の対策について:42ページ参照)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/uchuu/reports/04061101.pdf

確かに、電磁弁と逆止弁の配置は、圧力ガス(ヘリウム)タンクに対して上流下流が逆転している。

これが、燃料ガスの透過による拡散で、燃料側の逆止弁に悪影響を及ぼしたあかつきのケースとの違いを説明するのかどうかは、分からない。

燃料系の逆止弁の下流に、電磁弁がついている(運用不明)という点でも異なり、このバルブによって、結晶生成の材料となる燃料ガスが逆止弁に到達していなかったのかもしれない。

いずれにしても、バルブのシール材を透過するガスに対して、管理が甘かったということは分かった。

そんでもって、あかつきでは、それが原因で燃料側の逆止弁に作動不良を起こしたということになる(閉塞)。

今回、事故後の対応として、メインエンジンを諦め、酸化剤を投棄して一液ロケットである姿勢制御用エンジンを使ったマニューバを行ったわけだが、燃料系に圧力を掛ける際には、問題になった逆止弁の作動が正常でなければならず、その辺りはクリアしていたに違いない(未確認)。

いろいろな資料を見ても、そのことについての記述が見つけられずにいるんだが、きっと見落としているんだろう。

メインエンジンの作動時に異常だった燃料側の逆止弁は、今回の再投入では正常に機能していたということだ。

それとも、スラスターを作動させる際の流量(圧力)は、故障したままでも十分だったんだろうか?。

ちっと、謎のままであるなあ・・・。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
kfujitoの徒然の筆者のペンネームは、
「○○子」です。
○○を記入してください。

コメント:

トラックバック