オリンピック1年延期の意味2020年03月25日 09:06

オリンピック1年延期の意味


報道では、我が国の首相がIOCに提案して1年延期になったような感じになっているが、もちろん、そんな話じゃないことは見え見えだ。

元々、IOCは、開催についてはWHOと協議の上決定すると公言している。

新型コロナの影響を見極めるに際して、WHOが1年後なら開催できると進言し、それを受けて芝居を打っただけの話だ。

この動きを見極めて、株式市場は高騰している。

終わりなき流行に終止符を打ったわけだ。

と同時に、我が国を初めとする各国に対して、1年後に開催できるように終息への取り組みを促したともいえる。

ヒトヒト感染だからな。

人間の行動を制御することによって、流行の消長もコントロールできるはずだ・・・。

まあ、そう上手くいくとは限らないが、少なくとも出口が見えないトンネルの先に聖火が灯ったことは確かだ。

早速話題に上っているのは、首都東京のロックダウンだ。

海外からの帰国者による感染の拡大、出どころ不明の市中感染の拡大が進めば、外出禁止令を含む強硬な封鎖都市政策に踏み切る可能性がある。

浮沈子的には、東京都で1日の感染者が100人を超え、持続的に感染が広まる状況になれば、緊急事態を宣言してロックダウンすると見ている。

都内で感染者を収容する病床は、現在4000床の確保が見込まれているが、必要ならさらに拡大する。

クルーズ船の時のように、関東近県から順次埋めていくことになるだろう。

ロックダウンの範囲も、状況に応じて広がる。

レベルも調整可能だが、封鎖期間に応じて変化するに違いない。

当局が、どの程度想定して検討しているかは知らない。

市民生活への影響は甚大だ。

特に、外出禁止令を伴う措置と、その違反者への対応によっては、トラブルが発生する可能性もある。

お上に忠実な国民性を考えれば、イタリアやフランスのようなことにはならないかもしれないが、こればかりはやってみなければ分からないともいえる。

戒厳令なんて、数十年ぶりだしな。

世界が強調して封じ込めに成功し、或いは、感染を制御して通常時に近い社会経済活動を取り戻したとしても、オリンピックが開催されるかどうかは分からない。

1年の先送りが、何の根拠もなく、現状の課題から逃れるための方便である可能性だってある。

中止でもなく、2年延期でもなく、年内開催でもない。

それは、おそらく政治的に決まった、科学的根拠に乏しい日程だという推測も成り立つ。

WHO自身が、ワクチンの開発には1年以上が必要だと言っているし、現状の感染速度では、1年以内に自然終息に必要な集団免疫の獲得に持ち込むことはできない。

標準的な治療法が確立され、特効薬が見いだされれば、流行が継続していても通常の社会経済活動に戻ることは可能かもしれないしな。

常識的に考えて、この流行が数年以内に終息することはあり得ない。

2024年のパリ大会含めて、オリンピックの開催など論外だろう。

米国は、早々に諦めて、社会経済活動を通常対応に戻すと言い始めている。

大統領選挙が絡んでいるので、政治的発言と捉えるのが正解だろうが、流行の継続をある程度許容しつつ、両立させるための方策を探る必要もある。

各国がバラバラで行えば、ちぐはぐな政策不一致の弊害も出てくる。

一斉に封じ込めに入るとか、順次緩めるとか、総合調整が必要だが、WHOには、それ程の影響力はない。

長い期間の封鎖政策は、様々な弊害を生む。

それらを緩和したり、代替するための総合的な対応も必要だ。

ヒトヒト感染する感染症は、現代を映す鏡だ。

人類が、この災厄にどう対応するかは、歴史に残る。

100年後、その検証に耐えるかどうかは、今は誰にも分からない。

ああ、100年後も続いてるかもしれないけどな・・・。