🐼スターリンク:軌道投入失敗:値上げなんてするからさ2022年02月12日 14:58

スターリンク:軌道投入失敗:値上げなんてするからさ


(爆速ネット通信を人工衛星経由で地球上どこでも可能にする「StarlinkPremium」をイーロン・マスクが発表、ダウンロード速度最大500Mbps・アップロード速度最大250Mbps)
https://gigazine.net/news/20220203-spacex-starlink-premium/

「「プレミアム」とつくだけあって価格も標準のサービスより高くなり、保証金が500ドル(約5万7000円)で、アンテナ代とルーター代が2500ドル(約28万6000円)、さらに月額費用が500ドル必要」

ふざけんなよ!。

高過ぎ!。

(SpaceX、「Starlink」のプレミアムプラン開始 下り500Mbpsを月額500ドルで)
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2202/03/news072.html

「スモールオフィス、店舗、スーパーユーザー向け」

「レイテンシは20~40ミリ秒」(変わらず)

オフィスを構えられるところとか、店舗(つーことは客が足を運ぶところだな)には、それなりの回線がはるかに安い価格で提供されている。

この価格は、スペースXが利益を上げられる現実的な価格帯だ。

作れば作るほど赤字になるようなアンテナや、大した収益にならない通信料では商売はできない。

寛大な浮沈子は、スターリンクが軌道に乗り(文字通りですが)、現実的な価格プランが提示されたと見ている。

衛星数はまだまだ足りないし、スターレーザーでクロスリンクされたコンステレーションが展開できなければ、更なるレイテンシ(遅延時間)の圧縮は図れない。

プレミアムとは名ばかりで、実際にはようやくベータサービスから足を洗う程度だろう。

浮沈子的には、スタンダードコースでさえ、月額1万円以上も取るなら、最低でも1ギガbps以上で、レイテンシは一桁台(ms)が必要だ。

月額500ドルで500メガぽっちなんて、話にならない。

そんな中、2月初旬に打ち上げられたスターリンクが運用軌道に乗れないという話が出ている。

(「Starlinkの人工衛星40基が地球の大気圏に再突入する可能性がある」とSpaceXが公表)
https://gigazine.net/news/20220209-spacex-40-starlink-satellites-reenter/

「40基が、打ち上げ時に磁気嵐の影響を受けて正常な軌道に入らなかったため、地球の大気圏に再突入する可能性」

打ち上げられたのは49機だからな。

約8割もの損失だ。

「今回打ち上げられたStarlink衛星は2月4日に発生した磁気嵐の影響を受けた」

「磁気嵐は大気の温度と密度を高める原因となり、今回の磁気嵐では大気の抗力が通常時よりも50%増加」

「展開高度が低いため、より高性能な衛星が必要となり、かなりのコストがかかります。しかし、これは持続可能な宇宙環境を維持する上で正しいことだと思っています」

「予備的な分析では、低高度における抵抗が増加したため、衛星がセーフモードから離脱して軌道を上げる操作ができず、最大40基の衛星が地球の大気圏に再突入するか、すでに再突入していることが判明しました」

打上げは、「現地時間の2022年2月3日13時13分」とあるから、磁気嵐の影響を受けたのは直後ということになる。

今回の軌道投入の失敗については、海外メディアを中心にいくつかの記事が出ている。

(太陽嵐は最大40の新しいスターリンク衛星を破滅させる)
https://spaceflightnow.com/2022/02/08/solar-storm-dooms-40-new-starlink-satellites/

「ロケットは衛星を、地球から約130マイル(210 km)上にある周縁部または低点のある目標軌道に配置」

「通常、衛星はソーラーパネルを展開して発電を開始し、イオンスラスターを使用して動作高度335マイル(540キロメートル)まで操縦します。」

「スターリンクの打ち上げ前に先週NOAAが発表した宇宙天気予報は、1月29日に発生した太陽フレアによって引き起こされる「中程度の」地磁気嵐を予測」

「地磁気嵐は、無線伝送と送電網に影響を与える可能性」

「より多くの放射線被曝または増加した大気抵抗のいずれかから、衛星の運用を妨害する可能性」

「太陽活動の上昇から地球の大気に加えられたエネルギーは、大気を暖め、外側に膨らませます。高密度の空気は、スターリンク衛星や他の宇宙船が飛ぶ地球の数百マイル上の高度に以前存在していた希薄な分子に取って代わります。」

「スターリンク衛星の新しいバッチからのGPSナビゲーションデータは、以前の打ち上げ時よりも50パーセント高い大気抗力の増加を示しました。」

「地上管制官はフラットパネル衛星にセーフモードを指示し、大気に対して真っ直ぐに飛行して抗力を最小限に抑えました。」

うーん、宇宙空間を飛んでいる衛星も、ストリームラインを維持する必要があるということか・・・。

「予備的な分析によると、低高度での抗力の増加により、衛星はセーフモードを離れて軌道上昇操作を開始できなくなり、最大40個の衛星が地球の大気圏に再突入するかすでに再突入します」

この記述を素直に読むと、軌道上昇操作とやらは、ある程度の高度以下に落ちた衛星には適用できない感じがするな。

落ちるしかない。

「スターリンク衛星は非常に低い高度で打ち上げられ、追加の抗力を克服するためのマージンがほとんどありません。」

「低軌道に打ち上げることには別の利点もあります。Falcon 9ロケットは、より低い高度をターゲットにしている場合、1回のミッションでより多くのスターリンク宇宙船を運ぶことができます。」

うーん、それはどうかな。

低軌道配置を実施した際に、搭載機数(当時はバージョン1.0で60機搭載していた)が増えたという事実はない。

フェアリングの内部容積が、搭載機数の制限の場合、初期配置の軌道高度を上げたとしても影響はないに違いない。

「SpaceXは、地磁気嵐のリスクに対応して、将来のStarlinkの打ち上げ計画を調整する可能性があるかどうかについてのSpaceflightNowからの問い合わせに応答しませんでした。」

まあ、今回の失敗を受けて、多少は調整するだろうな。

中程度の太陽嵐で8割の衛星が失われる事態は、事業として容認できない。

不良衛星が落下するまでの期間が多少伸びたとしても、初期投入高度を上げた方がいいだろう。

(SpaceXは「地磁気嵐」のために数十の新しいスターリンク衛星を失います)
https://www.teslarati.com/spacex-starlink-satellites-doomed-geomagnetic-storm/

「Starlink 4-7の場合、地磁気嵐によって生成された放射線環境または大気の端への数日間の曝露が実際に数十のStarlink衛星に回復を超えて損傷を与えたのか、それとも異常な環境で軌道を外れたために通過したのかはあいまいです。」

ほほう、放射線環境が衛星機器に影響を与えた可能性も排除できないわけだ(未確認)。

「ソーラーアレイを最大の発電量(したがって最大の持続推力)に必要な位置に上げると、再突入も大幅に加速します。」

上昇するために太陽電池パネルを立てると、抗力も増大するというわけだな。

一定以上の抗力が存在する高度に留まってしまうと、上昇することが叶わなくなるわけだ。

40機の衛星は、その分起点を超えてしまったということだろう。

「この異常はまた、SpaceXがスターリンクの打ち上げ計画にさらに別の気象条件(地磁気嵐)を考慮に入れる必要があることを意味します。」

「Starlinkに使用される低い駐車軌道をわずかに上げ、わずかに遅い自然再突入を取引して、数十の新しい衛星を再び失うリスクを減らすことも検討する可能性があります。」

次回以降の打ち上げに注目というところか。

それでなくても、スターリンクは損失が多いと問題にされている。

(Starlink衛星はどのくらいの頻度で故障し、SpaceXは不要なスペースデブリを防ぐために何をしますか?)
https://www.elonx.cz/jak-casto-selhavaji-druzice-starlink-a-co-spacex-dela-aby-zbytecne-nevytvarelo-kosmicky-odpad/

「2022年1月、SpaceXは2,000個の打ち上げられた衛星のマイルストーンに到達しました。」

「打ち上げられた2,000の衛星のうち、約250の衛星が完全に運用されていないか、すでに軌道が外れています。」

その中には、本物の故障もあれば、敢えて軌道を外したもの、そもそも、運用経験を積むために打ち上げられ、実運用に供されなかったものも含まれている。

それらは、事業推進に影響を与えないとされ、織り込み済みなわけだ。

今回は異なる。

想定の範囲外の事象で、純損失に当たる。

初期投入軌道の見直しは行われるに違いない。

或いは、宇宙天気予報の考慮割合が大きくなり、太陽嵐による大気抗力の増加が見込まれる時期の打ち上げが延期される可能性もある。

実運用高度である540kmでは、その影響は殆どないのかも知れない。

打ち上げ直後から、運用軌道までは数か月かかるとされている。

次々と打ち上げられているスターリンクの場合、一定数の衛星は軌道上昇過程にあり、大気抗力の影響下に置かれている。

事業推進の立場からは、この影響を無視するということはあり得ない。

運用の見直しは必ず行われるだろう。

今回は、初めての事例だったが、今後の運用の中では何度も起こりうる事態だ。

初期の衛星では、太陽光の反射が天体観測の妨げになるとして話題になったが、S社にとってはそれ以来の最大の出来事なわけだ。

この事象が、値上げ直後に起こったことは印象深い。

天網恢恢疎にして漏らさず。

まあ、だからといって、値上げを撤回するわけじゃないだろうけどな・・・。

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