🚀トランプ2.0:惑星探査の危機2025年02月04日 09:07

トランプ2.0:惑星探査の危機


(NASA、トランプ大統領の大統領令を理由に科学グループの作業を一時停止)
https://spacenews.com/nasa-pauses-work-of-science-groups-citing-trump-executive-orders/

「NASAは、トランプ政権の最近の大統領令を理由に、一連の科学委員会に作業を一時停止するよう指示」

「NASA​​ は大統領の行動の遵守を継続的に検討し、確実にするため、惑星科学分析/評価グループのすべての会議と活動を一時停止するよう要請します」

・水星探査評価グループ(MExAG):2月4日から6日:中止
・外惑星評価グループ(OPAG):2月下旬及び3月中旬:保留
・火星探査計画分析グループ(MEPAG):4月末:保留
(同グループの2つの委員会も活動を一時停止)
・国立科学財団(天文学および天体物理学諮問委員会の公開会議):1月30日と31日:延期
・宇宙優秀性諮問委員会(ACES)の会議(商務省):3月5日:開催

「NASA は、DEI に関連する取り組みへの資金提供を制限するなど、DEI 命令に関連する指令の実施を開始しています。」

「インターネット・アーカイブによると、NASAの歴史部門が2023年に公開した、NASAの1978年宇宙飛行士クラスに関する記事は、女性、黒人、アジア系アメリカ人初の宇宙飛行士を含むもので、1月25日まではアクセス可能だったが、1月29日にはエラーメッセージが返された」

「シャトル計画とその宇宙飛行士に関する他の記事はオンラインに残っているが、多様性について少し触れている。」

「1978年卒の宇宙飛行士に代表される多様性の遺産として、アルテミス計画中にNASAは初の女性と初の有色人種を月に着陸させる」

おっと、惑星関係の会議の中止や保留どころか、アルテミス計画がヤバそうな雰囲気だな。

おそらく、これらの動きは氷山の一角に過ぎないだろう。

米国における多様性への配慮は、多様化が進む社会の安定にとって必要不可欠な要素だ。

人種、ジェンダー、言語、宗教、様々なハンディキャップ、エトセエトセ・・・。

豊かな社会であるからこそ可能な配慮だが、ひとたびそこから手を引く流れを作れば、元に戻すことは困難を極めるだろう。

そもそも、差別は人間の本性に由来するものだからな(そうなのかあ?)。

長い時間を掛けてコツコツと積み上げてきた努力が、一瞬で瓦解する。

ジェフファウストが、どういう思いで記事を書いているかは推測の域を出ないが、先月の関連記事はそれをうかがい知る手掛かりになるかも知れない。

(NASA、大統領命令に従い多様性オフィスを閉鎖)
https://spacenews.com/nasa-shutters-diversity-offices-to-comply-with-executive-order/

「NASAのメモだけを見ると、ペトロ氏はDEIAの取り組みに批判的だったように思えるが、同氏は以前、DEIAの取り組みを賞賛していた。」

「NASA​​とケネディ宇宙センターでは、多様性、公平性、包括性、アクセシビリティへの取り組みが、ミッションの成功にとって最も重要でした。NASAのリーダーシップチーム全体がこの取り組みを支持しています」(NASAのジャネット・ペトロ暫定長官)

「「そのため、私はすべての人に成長の機会を提供することに深く尽力しています」と当時彼女は語った。」

まあいい。

ペトロ氏の就任については、一悶着あったようだ(詳細未確認)。

組織においては、立場によって入ってくる情報が異なるからな。

判断のスタンスが変わること自体は、想定の範囲内だ。

が、傍から見て、一貫していない態度がどう映るかは別の話だ。

おそらく、全米の国家機関で同様の話が巻き起こっているだろう。

それは、民間企業へも波及し、コスト削減の錦の御旗の元、関連する事業はばっさりと切り落とされているに違いないのだ。

多様性を維持するのに、組織的制度的な取り組みは必要ないという考え方があるかも知れない。

それで問題が解決できなかったからこそ、そういった制度なり組織なりが作られてきた経緯もある。

いき過ぎじゃなかったのか?。

そういう議論は当初からある。

が、ナタでぶった切るような話とは異なる。

その影響が、NASAの事業そのものに及んでくるのではないかという懸念は杞憂かも知れない。

惑星科学関連の会議が中止されたり保留されたりしても、「惑星科学」そのものが否定されているわけじゃないからな。

が、しかし・・・。

外堀を埋めてから内堀、本丸と攻めていくのは城取りの常道だ。

本丸に攻め込まれないという保証はないだろう・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(新たな任命によりNASAにおけるスペースXの影響に対する懸念が高まる)
https://arstechnica.com/space/2025/02/as-nasa-flies-into-turbulence-the-agency-could-use-a-steady-hand/

「現在、連邦政府の他の多くの機関と同様に、NASA もトランプ政権の最初の激動の日々に混乱している。」

ジェフファウストだけじゃなく、エリックバーガーもNASAの変容に懸念を抱いている。

しかも、こっちは職員の多様性だけじゃなく、事業そのものへの影響だ。

「過去 2 週間で、暫定長官ジャネット ペトロの就任という形でリーダーシップが変わり、その就任は驚きだった。彼女の最初の行動は、多様性、公平性、包摂性、アクセシビリティに関する契約を撤回し、この命令に従わなかった者を「報告」するよう職員に指示することだった。」

「スペースXの創設者イーロン・マスクの行動がある。先週、マスクはNASAが宇宙飛行士を宇宙ステーションに「取り残した」と主張して疑念を植え付けた。」

「スペースXの長年の従業員であるマイケル・アルテンホーフェン氏が「NASA​​長官の上級顧問」としてNASAに加わった」

新たな上級顧問の就任以外は、既に報道もされ、それなりの反応が見られた。

NASAに多くの情報源を持つエリックバーガーは、その人脈を生かして落ち込むNASAの状況を肌で感じているようだ。

「今週末、私は全国各地のさまざまなセンターにいるNASAの情報源と話したりテキストメッセージを送ったりしたが、その圧倒的なメッセージは、NASAの士気が「途方もなく低い」ということだった。」

やれやれ・・・。

「宇宙機関の将来に関する噂が飛び交っている。」

・予算の30パーセント削減
・フィールドセンターの統合
・ワシントンDCからの本部移転
・アルテミス2号からの宇宙飛行士の撤退
・スペース・ローンチ・システム・ロケットのキャンセル

「これらの噂の多くには真実の核心がある」(情報筋)

もちろん、正式な決定はない。

うーん、どれもこれもありそうな話ばっかだな・・・。

それだけじゃない。

「今後数か月以内に何らかの解決を必要とする非常に現実的な政策上の問題」

・火星サンプルリターン計画
→最も可能性の高い結果は中止だ(爆!)。

・アルテミス計画
→既存のミッションをすべて廃止
→アルテミスIIとIIIをほぼそのまま飛行させる
→月面居住からの資源削減

・月面ゲートウェイ
→ゲートウェイは移動(軌道変更?)
→完全にキャンセル

・国際宇宙ステーション
→ISS の飛行期間を延長する
→商用代替手段への資金投入を加速する
→ギャップを受け入れる

・商業戦略
→機能する分野と機能しない分野を明確に特定する必要

MSRの中止というのは、かなり大胆な選択だが、現在検討されている方法では時間と金の浪費に違いない。

有人火星探査にフォーカスして、戦略を練り直すことになるだろう(人間が回収に行くのかあ?)。

ISSと商業戦略については、選択というより方向性を出すということになるだろうが、浮沈子的にはISSは早期廃棄、金にならない大型宇宙望遠鏡や惑星間探査機の建造は延期または中止が相当と見ている。

悲惨な状況の中で、NASA関係者が期待しているのはジャレッドアイザックマンのリーダーシップだ。

「彼に会った人々は、アイザックマンが宇宙飛行とすべての人のための探査の推進に真摯で関心を持っていることを知った。」

「スペース X の代理人としてではなく。彼は、NASA を何十年も行き詰まっているアポロ時代から抜け出し、21 世紀へと導く可能性を秘めた、若くダイナミックな宇宙推進リーダーとみなされている。」

さすが、エリックバーガーは物書きとしての慧眼を持ってるな・・・。

NASAは、まだ、20世紀のままということだ。

使い捨ての巨大ロケットを運用し、空気漏れが止まらないボロボロの宇宙ステーションを維持し続けている。

そのISSに人間を運ぶ宇宙船は、クルードラゴンを除けば、飛ぶ度に問題を起こすソユーズと、いつまで経っても実用化の目途が立たないスターライナーだ。

やれやれ・・・。

アイザックマンは、米国が2番手になることはないと明言している。

それは、2番手となることが避けられない競争(有人月面着陸とMSR)には参加しないということだ(そうなのかあ?)。

21世紀は人類が火星に挑む世紀と位置づけ、そこにフォーカスして取り組む。

地球低軌道や、半世紀以上前に星条旗を立てた月面に未練はない!。

いや、やっぱ、ちっとはあるか・・・。

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