😼メキシコへの道:第3章:ジャンプとギャップ ― 2023年08月09日 17:15
メキシコへの道:第3章:ジャンプとギャップ
<おことわり>ーーーーーーーーーー
この記事では洞窟潜水(ケーブダイビング)に関する記述が出てきます。閉鎖環境(直接水面に浮上することができない環境)での潜水は非常に危険です。指導団体による正規のトレーニングを終了せずに行うことは命に係わります。
浮沈子の個人的見解ですが、オープンウォーター(海洋など、直接水面に浮上できる場所)で行うダイビングに比べて100倍ヤバいです(オープンウォーターダイビングも十分危険なレジャーですが)。
知る限りの指導団体では、講習は段階を踏んで行われます(実際の講習では連続して行われることもあるようです)。各段階ごとに侵入できるエリアには制限が設けられています。それを超えて洞窟の奥へ侵入することは禁じられています(講習終了した段階の制限を超えては進めません:リスク管理は厳格です)。
一方、正規の訓練を受け、正しい態度や十分なスキルを身に着け、必要な器材を十分に使いこなすことができれば、そして、洞窟のさらに奥に何があるかについて、カリブ海のカラフルな熱帯魚の群れよりも興味があるなら、充実したダイビング体験ができることは請け合います。
では、死神の絵が描かれている看板の奥に行ってみましょう・・・。
ーーーーーーーーーーー
浮沈子はメキシコのセノーテしか洞窟潜水した経験はないんだが(それ以外では雲見とかで、穴ぼこに入った程度)、セノーテでは、一般のレジャーダイビングで潜るエリアには、パーマネントラインという太めの紐が張ってあって、その紐を辿っていけば目的地に着けるようになっている。
入り組んだ網の目のようなケーブシステム(と呼ぶようです)では、ふつーな設えなんだが、その紐(パーマネントライン)には、途切れているところや、近くに離れて設置されている別のラインがあったりする。
そういう途切れや、離れた接続(接続してはいませんが)のことを、ジャンプとがギャップと呼んでいる。
また、その途切れを超えて先へ進むことも「ジャンプする」とか言うことがあるようだ(ギャップするというのは聞かないけどな:ギャップを飛ぶとか言うようです)。
ジャンプやギャップは、洞窟潜水独特のライン構造(ラインの途切れ)だ(沈船のペネトレーションで、同様のライン構造があるかどうかは知りません)。
洞窟潜水でメインライン(パーマネントライン)に沿って、しかも現地のガイドさんの後についてカバーン(英語の発音では「キャバン」に近い?:昼間、自然光が直接見える)エリアで潜る限り、目にする機会はないはずだ。
逆に、簡単に目に触れて、あれは何だろうとそっちに行ってしまうようなことがないように、目立たないように設置されていなければならない。
メインラインが、途中でぶちっと切れていたりすることもある(ギャップ:これを体験できるのは、中級レベル以上:カバーンエリアでは通常お目にかかれない)。
この場合は、意図的に切り離してあるわけで、その先に行けるかどうかは受講したトレーニングのレベルによる。
浮沈子が受けた講習では、イントロケーブダイバーと呼ばれる中級レベルでは、ここで行き止まりになる。
フルケーブダイバーという、ふつーのケーブダイバー(ケーブダイバーとしての、ほんの入り口:その先にも果てしないレベルがあるようです)の講習を受ける中で、その意義とその先に侵入する際の技術や知識を学ぶ。
メインラインから離れて設置されている別のガイドラインに移ることもある(ジャンプ)けど、それもフルケーブダイバー以上のスキルになる。
ここでは、その詳細には触れない。
洞窟の奥にひいてあるラインには、意図的に切り離してある構造があるということを紹介するに留める。
その意図は、ワケワカなダイバーは、ここから先に行ってはいけないということに尽きる。
訳が分かっている(ワケワカじゃない)ダイバーは、どのように対処して侵入すべきか、当然知っているからな。
分からなければ、その先には進めない。
Uターンして引き返すしかない。
メインラインが途中でブチ切れていれば、そして、その先にそのまま続いていれば、それは典型的なギャップだ。
が、ラインの構造(張ってある物理的なラインのトポロジー)を見ただけでは、それがジャンプであるかギャップであるかを区別することができない場合もある。
辿ってきたラインのブチ切れの先に、別のラインが延長線上ではなく横に張られていたら?(実際にそういう場所があるかどうかは知りませんが)。
どちらから来たのか、どう移動しようとしているのかが考慮されなければ、ジャンプなのかギャップなのかは判断できない。
重ねて繰り返して恐縮だが、ケーブダイビングのトレーニングを受けていないダイバーが、ジャンプやギャップを目にすることはない。
そうでないダイバーがそれを見ちゃったということは、その時点で既に相当ヤバいことになっているわけだ。
ラインの途切れは命の途切れだ。
ここまで読んでこられた方の中には、不思議に思っている方もいるだろう。
ケーブダイビングをする際には、複数のライトを携行し、ラインを目で追いながら進んでいくはずなのに、なぜ切れ目を入れたりするのか。
洞窟の中の透視度が常にいいとは限らないし、ライトが無事に機能するとは限らないからな。
ゼロビジ(ゼロ・ビジビリティ)では、ラインを手で触り辿りながら出口に向かわなければならない。
ラインの切れ目は命の切れ目。
ラインを切ってあるということは、正しいスキルがない場合は戻れなくなるぞという警告なのだ。
もちろん、正しいスキルでその先に侵入する際には、それなりの手段を講じて戻ってこられるようにしている。
その手立てをしなければ、先に進めないぞということを示しているのがジャンプやギャップなわけだ。
メキシコのセノーテの中には、エルエデンなどのように広いオープンウォーターエリアを持つものもある。
そこから誤って洞窟の奥にラインを辿りながら行ってしまうことがないように、メインラインの端は、かなり奥の方に設置してある(それ自体がギャップになっているわけです)。
もちろん、その手前にはお約束の死神看板があるしな(エルエデンにあったかどうかは忘れました:何か所か入り口があったけど)。
ドスオホスとかでは、カバーンエリアのメインライン(カバーンライン)と明確に分離されて、ケーブエリアのメインラインが設置されている。
通常ではわからない位置にある。
分離されているのは、安全のためだ。
知識も技術も経験もないまま、危険に身を晒すことほど愚かなことはない。
オープンウォーターでも、大深度(ここでは30m以深:現在、多くの指導団体ではこの深度を限界深度としている)潜水では相当のリスクを負うことになる。
某指導団体では、12m、18mと段階を区切って、必要な知識と技術を教え、徐々に経験値を上げていくことを推奨している(そうだったっけえ?)。
ケーブダイビングだって、本来ならそうあるべきだろう。
カバーンエリアでファンダイビングして、中性浮力やトリムのコントロールなど洞窟のダイビングに十分馴染んでから、ジャンプやギャップの手前まで行けるイントロケーブダイビングに進み、そこまでの経験値を積んで、トラブルシューティングを含めて薬籠中にしてからフルケーブダイビングの講習に進むのが正しい。
速く走る者が遠くまで行けるわけではない。
が、実際にはメキシコ行くのだって大変だからな。
一気に仕上げてしまいたい。
浮沈子は、2年前の晩秋(初冬?)にカバーンダイビングに行って下見をした。
それ以前に、国内で、カバーン講習も受けている。
サイドマウントでの受講を希望したので、そのスキルチェックも事前に受けている(淡水環境でも、プールだけでなく本栖湖でも潜りました:海洋でも基礎的なスキルは習得してましたが)。
中性浮力は今でも苦手だけど、プールでは3mで2時間粘って練習していた。
それでも、昨年2月末からの講習では、9日間の長めのスケジュールでいっぱいいっぱいだった。
講習終了から既に1年以上が経過し、記憶は衰え、スキルは忘れ、錆び付いている。
年末のメキシコ行きが実現するかどうかは分からないが、徐々に知識の復習、スキルの確認(先日のチェックでは、マスク交換が出来ず:一応、その後復習済み)、総合的なトレーニングを再開していかなければならない。
ケーブダイバーとしては、時間的なギャップ(文字通り)があるわけで、それを埋めるための作業が必要だな。
残念ながら、浮沈子はジャンプアップ出来ない。
一つ一つ、丁寧に埋めていくより他はない。
出来ないことがあれば、何度でも繰り返してできるようになるまで続けるのみだ。
その努力を続ける情熱を持続できる間は、この世界に触れていられる。
指で作った輪の中のラインのように・・・。
ロストラインしちまったら?。
その時は、洞窟潜水から足を洗うまでだ。
これからは、何かを得ることよりも失っていくことの方が多いに違いない。
先日、シングルタンクでファンダイブしたんだが、エキジットして口の中が何か変な感じだったが、気が付いたら前歯が1本なかった(!)。
浮沈子の前歯2本は、チタン製の人工歯根にプラスチック(?)の歯を被せてある。
その左の前歯1本が、被せてあったチタン製の人工歯根から外れてしまっていた(接着剤が取れてたわけだな)。
幸い、歯はマウスピースの中に残っていたので、無事に回収して昨日、近所の歯医者で着けてもらった(人工歯根は、まだ使えるそうです)。
まあいい。
ギャップは至る所にある。
記憶は途切れ、薄れていく。
昔のことは覚えていても、さっきのことは忘れている(夕べ、何食ったっけ・・・)。
洞窟の奥に、死神看板の先に何があるのかが知りたくて、メキシコまで出かけて潜った。
もちろん、ケーブダイバーとしてはほんの入り口のところだけど(減圧できないし、深度40mまでしか行けない。もちろん、エクストラタンクは持てないし、スクーターも使用できない)。
洞窟の奥には洞窟だけがどこまでも続いている。
トラバース(縦断)して、別のオープンウォーターエリアに出るまではな。
或いは、サーキットを回って元のオープンウォーターエリアに戻るまでは。
某指導団体のテキストの著者後書きにはこうある・・・。
「オーバーヘッド環境を冒険することは危険であり、生命を脅かす可能性がある行為です。」
当然のことだが、リスクを避けるには何もしないのが一番だ。
車にも乗らず、ましてやタイタニックを見に、安物潜水艇で潜ったりしないのが正しい。
(タイタニック潜水艇 “破壊されるような音を検知か”米有力紙)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230623/k10014107101000.html
「観光用の潜水艇「タイタン」は、18日現地時間の午前8時に海中に潜り、潜水開始から1時間45分後の午前9時45分連絡が取れなくなりました。」
「こうした中、22日午前、無人の探査機が破片を発見し、アメリカの沿岸警備隊は午後3時ごろの会見で、見つかった破片は潜水艇の耐圧室が破壊されたことを示していて、乗っていた5人の生存は絶望的だという見解を示しました。」
どっちが危険なのかは何とも言えない。
テキストの後書きにはこんな記述もある・・・。
「時間をかけてケーブを学び、少しずつ理解してください。絶えずテクニックを磨き、トラブル解決の手順を懸命に練習しましょう。」
「あなたのトレーニングには決して終点がありません。」
そうしないで、1年前に発行されたCカードだけに頼って漫然とダイビングする方が、余程危険かもしれない。
ロストライン(ロストガイドライン)のトレーニングを大瀬崎でやった際、浮沈子はラインに辿り着けずに失敗した(これは、ロストバディと共にイントロケーブのスキルです)。
詳細は割愛するが、水底を這いつくばって進む距離感を誤ったことが最大の原因だ。
が、そのスキルに失敗したことが最大の収穫だったと思っている。
洞窟をなめてはいけない・・・。
「あなたが遭遇する、それぞれの環境に伴う危険性に対して感謝の意を育み、すべてのケーブダイビングに敬意をもってアプローチしてください。」
間違いない。
洞窟潜水はヘンタイダイバーの行うダイビングだ。
それも、極めつけの・・・。
沈潜があるわけでもなく、珍しい生物に出会えるわけでもない(ほかのヘンタイダイバー(珍種?)達とは、たまにすれ違いますが)。
洞窟の奥にあるのは、ただ洞窟だけだ。
浮沈子は、それをこの目で見てきた(まあ、水晶体はその時点では自前でしたが:今は両眼とも人工眼内レンズです)。
そんなダイビングのどこが面白いのか。
面白いかどうかは人によって異なるが、知識やスキルの習得、練度の維持や向上は継続したトレーニングを積む必要がある。
その情熱(時間と金と手間)を注ぐ価値を見出せるかどうかが問題だ。
何か、特別のことをやるわけではない。
ストレスの中で、当たり前のことを当たり前にできるようにするだけの話だ。
それが、どれほど困難なことかは、やってみなければ分からない。
浮沈子は、フィンワークや静止スキルに問題を抱えている。
つまり、へたっぴなわけだ。
手癖も悪い(姿勢をコントロールするために、手を使っちまう!)。
苦手なことが全て表面化する。
ごまかしは効かず、あやふやな知識や経験が足を引っ張る。
知識は一点の曇りもなく、明確にしておかなければならないし、不足している経験は繰り返しトレーニングして固めておかなければならない。
誤った思い込みは、チームのディスカッションなどで潰しておく。
そういう態度は、オープンウォーターのダイビングでも同じだし、許容度の差はあれ基本的な姿勢として推奨される。
浮沈子的には、魚の名前を覚えるより先な気がするんだがな(それって、覚えられない言い訳かあ?)。
まあ、どうでもいいんですが。
洞窟潜水は、要求事項も多く、その水準も高い。
ダイビングを終えた後の達成感は、それに比例するところもある。
が、実際の感覚としては、オープンウォーターエリアに戻ってきたときの解放感に勝るものはない。
光溢れる水面は天国そのものだ。
かといって、エルエデンのオープンウォーターエリアに、スイマーの生足見ながら2時間いたいとは思わないけどな・・・。
<この項、続く>
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(シャンデリアケーブ)
https://daydreampalau.com/?p=1466#%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%96
「世界的にも珍しい水中鍾乳洞です。ショップから5分の場所にあります。洞窟内には4つのエアドーム(空気のたまっている所)があり、そこは顔を出すことが出来ます。奥行きは50ⅿ程、洞窟内でも出入り口の光が見えますのでダイビングを始めたばかりの方でも楽しめるポイントです。」
浮沈子の洞窟体験の一つ。
余り思い出したくなかったので、忘れていた。
CCRで潜り、パニックになった。
やれやれ・・・。
小さいライトしか持って行かなかったからな。
空間識失調(バーティゴ)になって、洞窟の天井に当たった。
一番奥のエアドームに出て、帰りは一気に出口に向かった。
途中のエアドームには寄らずにな。
今でも、多少トラウマな感じは残っている。
思い出すと、フラッシュバックに近い感じがする。
洞窟はキライだ・・・。
子供のころ、悪戯して押し入れの中に閉じ込められた記憶が蘇る(そうなのかあ?)。
そのくせ、掛布団の中を這いずり回ったり、炬燵の中に入り込んだりしてたけどな(栴檀は双葉より芳し?)。
水中洞窟を初めて潜ったのはロタホール。
またいつか(早くても来年だな)、行ってみたいな・・・。
<おことわり>ーーーーーーーーーー
この記事では洞窟潜水(ケーブダイビング)に関する記述が出てきます。閉鎖環境(直接水面に浮上することができない環境)での潜水は非常に危険です。指導団体による正規のトレーニングを終了せずに行うことは命に係わります。
浮沈子の個人的見解ですが、オープンウォーター(海洋など、直接水面に浮上できる場所)で行うダイビングに比べて100倍ヤバいです(オープンウォーターダイビングも十分危険なレジャーですが)。
知る限りの指導団体では、講習は段階を踏んで行われます(実際の講習では連続して行われることもあるようです)。各段階ごとに侵入できるエリアには制限が設けられています。それを超えて洞窟の奥へ侵入することは禁じられています(講習終了した段階の制限を超えては進めません:リスク管理は厳格です)。
一方、正規の訓練を受け、正しい態度や十分なスキルを身に着け、必要な器材を十分に使いこなすことができれば、そして、洞窟のさらに奥に何があるかについて、カリブ海のカラフルな熱帯魚の群れよりも興味があるなら、充実したダイビング体験ができることは請け合います。
では、死神の絵が描かれている看板の奥に行ってみましょう・・・。
ーーーーーーーーーーー
浮沈子はメキシコのセノーテしか洞窟潜水した経験はないんだが(それ以外では雲見とかで、穴ぼこに入った程度)、セノーテでは、一般のレジャーダイビングで潜るエリアには、パーマネントラインという太めの紐が張ってあって、その紐を辿っていけば目的地に着けるようになっている。
入り組んだ網の目のようなケーブシステム(と呼ぶようです)では、ふつーな設えなんだが、その紐(パーマネントライン)には、途切れているところや、近くに離れて設置されている別のラインがあったりする。
そういう途切れや、離れた接続(接続してはいませんが)のことを、ジャンプとがギャップと呼んでいる。
また、その途切れを超えて先へ進むことも「ジャンプする」とか言うことがあるようだ(ギャップするというのは聞かないけどな:ギャップを飛ぶとか言うようです)。
ジャンプやギャップは、洞窟潜水独特のライン構造(ラインの途切れ)だ(沈船のペネトレーションで、同様のライン構造があるかどうかは知りません)。
洞窟潜水でメインライン(パーマネントライン)に沿って、しかも現地のガイドさんの後についてカバーン(英語の発音では「キャバン」に近い?:昼間、自然光が直接見える)エリアで潜る限り、目にする機会はないはずだ。
逆に、簡単に目に触れて、あれは何だろうとそっちに行ってしまうようなことがないように、目立たないように設置されていなければならない。
メインラインが、途中でぶちっと切れていたりすることもある(ギャップ:これを体験できるのは、中級レベル以上:カバーンエリアでは通常お目にかかれない)。
この場合は、意図的に切り離してあるわけで、その先に行けるかどうかは受講したトレーニングのレベルによる。
浮沈子が受けた講習では、イントロケーブダイバーと呼ばれる中級レベルでは、ここで行き止まりになる。
フルケーブダイバーという、ふつーのケーブダイバー(ケーブダイバーとしての、ほんの入り口:その先にも果てしないレベルがあるようです)の講習を受ける中で、その意義とその先に侵入する際の技術や知識を学ぶ。
メインラインから離れて設置されている別のガイドラインに移ることもある(ジャンプ)けど、それもフルケーブダイバー以上のスキルになる。
ここでは、その詳細には触れない。
洞窟の奥にひいてあるラインには、意図的に切り離してある構造があるということを紹介するに留める。
その意図は、ワケワカなダイバーは、ここから先に行ってはいけないということに尽きる。
訳が分かっている(ワケワカじゃない)ダイバーは、どのように対処して侵入すべきか、当然知っているからな。
分からなければ、その先には進めない。
Uターンして引き返すしかない。
メインラインが途中でブチ切れていれば、そして、その先にそのまま続いていれば、それは典型的なギャップだ。
が、ラインの構造(張ってある物理的なラインのトポロジー)を見ただけでは、それがジャンプであるかギャップであるかを区別することができない場合もある。
辿ってきたラインのブチ切れの先に、別のラインが延長線上ではなく横に張られていたら?(実際にそういう場所があるかどうかは知りませんが)。
どちらから来たのか、どう移動しようとしているのかが考慮されなければ、ジャンプなのかギャップなのかは判断できない。
重ねて繰り返して恐縮だが、ケーブダイビングのトレーニングを受けていないダイバーが、ジャンプやギャップを目にすることはない。
そうでないダイバーがそれを見ちゃったということは、その時点で既に相当ヤバいことになっているわけだ。
ラインの途切れは命の途切れだ。
ここまで読んでこられた方の中には、不思議に思っている方もいるだろう。
ケーブダイビングをする際には、複数のライトを携行し、ラインを目で追いながら進んでいくはずなのに、なぜ切れ目を入れたりするのか。
洞窟の中の透視度が常にいいとは限らないし、ライトが無事に機能するとは限らないからな。
ゼロビジ(ゼロ・ビジビリティ)では、ラインを手で触り辿りながら出口に向かわなければならない。
ラインの切れ目は命の切れ目。
ラインを切ってあるということは、正しいスキルがない場合は戻れなくなるぞという警告なのだ。
もちろん、正しいスキルでその先に侵入する際には、それなりの手段を講じて戻ってこられるようにしている。
その手立てをしなければ、先に進めないぞということを示しているのがジャンプやギャップなわけだ。
メキシコのセノーテの中には、エルエデンなどのように広いオープンウォーターエリアを持つものもある。
そこから誤って洞窟の奥にラインを辿りながら行ってしまうことがないように、メインラインの端は、かなり奥の方に設置してある(それ自体がギャップになっているわけです)。
もちろん、その手前にはお約束の死神看板があるしな(エルエデンにあったかどうかは忘れました:何か所か入り口があったけど)。
ドスオホスとかでは、カバーンエリアのメインライン(カバーンライン)と明確に分離されて、ケーブエリアのメインラインが設置されている。
通常ではわからない位置にある。
分離されているのは、安全のためだ。
知識も技術も経験もないまま、危険に身を晒すことほど愚かなことはない。
オープンウォーターでも、大深度(ここでは30m以深:現在、多くの指導団体ではこの深度を限界深度としている)潜水では相当のリスクを負うことになる。
某指導団体では、12m、18mと段階を区切って、必要な知識と技術を教え、徐々に経験値を上げていくことを推奨している(そうだったっけえ?)。
ケーブダイビングだって、本来ならそうあるべきだろう。
カバーンエリアでファンダイビングして、中性浮力やトリムのコントロールなど洞窟のダイビングに十分馴染んでから、ジャンプやギャップの手前まで行けるイントロケーブダイビングに進み、そこまでの経験値を積んで、トラブルシューティングを含めて薬籠中にしてからフルケーブダイビングの講習に進むのが正しい。
速く走る者が遠くまで行けるわけではない。
が、実際にはメキシコ行くのだって大変だからな。
一気に仕上げてしまいたい。
浮沈子は、2年前の晩秋(初冬?)にカバーンダイビングに行って下見をした。
それ以前に、国内で、カバーン講習も受けている。
サイドマウントでの受講を希望したので、そのスキルチェックも事前に受けている(淡水環境でも、プールだけでなく本栖湖でも潜りました:海洋でも基礎的なスキルは習得してましたが)。
中性浮力は今でも苦手だけど、プールでは3mで2時間粘って練習していた。
それでも、昨年2月末からの講習では、9日間の長めのスケジュールでいっぱいいっぱいだった。
講習終了から既に1年以上が経過し、記憶は衰え、スキルは忘れ、錆び付いている。
年末のメキシコ行きが実現するかどうかは分からないが、徐々に知識の復習、スキルの確認(先日のチェックでは、マスク交換が出来ず:一応、その後復習済み)、総合的なトレーニングを再開していかなければならない。
ケーブダイバーとしては、時間的なギャップ(文字通り)があるわけで、それを埋めるための作業が必要だな。
残念ながら、浮沈子はジャンプアップ出来ない。
一つ一つ、丁寧に埋めていくより他はない。
出来ないことがあれば、何度でも繰り返してできるようになるまで続けるのみだ。
その努力を続ける情熱を持続できる間は、この世界に触れていられる。
指で作った輪の中のラインのように・・・。
ロストラインしちまったら?。
その時は、洞窟潜水から足を洗うまでだ。
これからは、何かを得ることよりも失っていくことの方が多いに違いない。
先日、シングルタンクでファンダイブしたんだが、エキジットして口の中が何か変な感じだったが、気が付いたら前歯が1本なかった(!)。
浮沈子の前歯2本は、チタン製の人工歯根にプラスチック(?)の歯を被せてある。
その左の前歯1本が、被せてあったチタン製の人工歯根から外れてしまっていた(接着剤が取れてたわけだな)。
幸い、歯はマウスピースの中に残っていたので、無事に回収して昨日、近所の歯医者で着けてもらった(人工歯根は、まだ使えるそうです)。
まあいい。
ギャップは至る所にある。
記憶は途切れ、薄れていく。
昔のことは覚えていても、さっきのことは忘れている(夕べ、何食ったっけ・・・)。
洞窟の奥に、死神看板の先に何があるのかが知りたくて、メキシコまで出かけて潜った。
もちろん、ケーブダイバーとしてはほんの入り口のところだけど(減圧できないし、深度40mまでしか行けない。もちろん、エクストラタンクは持てないし、スクーターも使用できない)。
洞窟の奥には洞窟だけがどこまでも続いている。
トラバース(縦断)して、別のオープンウォーターエリアに出るまではな。
或いは、サーキットを回って元のオープンウォーターエリアに戻るまでは。
某指導団体のテキストの著者後書きにはこうある・・・。
「オーバーヘッド環境を冒険することは危険であり、生命を脅かす可能性がある行為です。」
当然のことだが、リスクを避けるには何もしないのが一番だ。
車にも乗らず、ましてやタイタニックを見に、安物潜水艇で潜ったりしないのが正しい。
(タイタニック潜水艇 “破壊されるような音を検知か”米有力紙)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230623/k10014107101000.html
「観光用の潜水艇「タイタン」は、18日現地時間の午前8時に海中に潜り、潜水開始から1時間45分後の午前9時45分連絡が取れなくなりました。」
「こうした中、22日午前、無人の探査機が破片を発見し、アメリカの沿岸警備隊は午後3時ごろの会見で、見つかった破片は潜水艇の耐圧室が破壊されたことを示していて、乗っていた5人の生存は絶望的だという見解を示しました。」
どっちが危険なのかは何とも言えない。
テキストの後書きにはこんな記述もある・・・。
「時間をかけてケーブを学び、少しずつ理解してください。絶えずテクニックを磨き、トラブル解決の手順を懸命に練習しましょう。」
「あなたのトレーニングには決して終点がありません。」
そうしないで、1年前に発行されたCカードだけに頼って漫然とダイビングする方が、余程危険かもしれない。
ロストライン(ロストガイドライン)のトレーニングを大瀬崎でやった際、浮沈子はラインに辿り着けずに失敗した(これは、ロストバディと共にイントロケーブのスキルです)。
詳細は割愛するが、水底を這いつくばって進む距離感を誤ったことが最大の原因だ。
が、そのスキルに失敗したことが最大の収穫だったと思っている。
洞窟をなめてはいけない・・・。
「あなたが遭遇する、それぞれの環境に伴う危険性に対して感謝の意を育み、すべてのケーブダイビングに敬意をもってアプローチしてください。」
間違いない。
洞窟潜水はヘンタイダイバーの行うダイビングだ。
それも、極めつけの・・・。
沈潜があるわけでもなく、珍しい生物に出会えるわけでもない(ほかのヘンタイダイバー(珍種?)達とは、たまにすれ違いますが)。
洞窟の奥にあるのは、ただ洞窟だけだ。
浮沈子は、それをこの目で見てきた(まあ、水晶体はその時点では自前でしたが:今は両眼とも人工眼内レンズです)。
そんなダイビングのどこが面白いのか。
面白いかどうかは人によって異なるが、知識やスキルの習得、練度の維持や向上は継続したトレーニングを積む必要がある。
その情熱(時間と金と手間)を注ぐ価値を見出せるかどうかが問題だ。
何か、特別のことをやるわけではない。
ストレスの中で、当たり前のことを当たり前にできるようにするだけの話だ。
それが、どれほど困難なことかは、やってみなければ分からない。
浮沈子は、フィンワークや静止スキルに問題を抱えている。
つまり、へたっぴなわけだ。
手癖も悪い(姿勢をコントロールするために、手を使っちまう!)。
苦手なことが全て表面化する。
ごまかしは効かず、あやふやな知識や経験が足を引っ張る。
知識は一点の曇りもなく、明確にしておかなければならないし、不足している経験は繰り返しトレーニングして固めておかなければならない。
誤った思い込みは、チームのディスカッションなどで潰しておく。
そういう態度は、オープンウォーターのダイビングでも同じだし、許容度の差はあれ基本的な姿勢として推奨される。
浮沈子的には、魚の名前を覚えるより先な気がするんだがな(それって、覚えられない言い訳かあ?)。
まあ、どうでもいいんですが。
洞窟潜水は、要求事項も多く、その水準も高い。
ダイビングを終えた後の達成感は、それに比例するところもある。
が、実際の感覚としては、オープンウォーターエリアに戻ってきたときの解放感に勝るものはない。
光溢れる水面は天国そのものだ。
かといって、エルエデンのオープンウォーターエリアに、スイマーの生足見ながら2時間いたいとは思わないけどな・・・。
<この項、続く>
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(シャンデリアケーブ)
https://daydreampalau.com/?p=1466#%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%96
「世界的にも珍しい水中鍾乳洞です。ショップから5分の場所にあります。洞窟内には4つのエアドーム(空気のたまっている所)があり、そこは顔を出すことが出来ます。奥行きは50ⅿ程、洞窟内でも出入り口の光が見えますのでダイビングを始めたばかりの方でも楽しめるポイントです。」
浮沈子の洞窟体験の一つ。
余り思い出したくなかったので、忘れていた。
CCRで潜り、パニックになった。
やれやれ・・・。
小さいライトしか持って行かなかったからな。
空間識失調(バーティゴ)になって、洞窟の天井に当たった。
一番奥のエアドームに出て、帰りは一気に出口に向かった。
途中のエアドームには寄らずにな。
今でも、多少トラウマな感じは残っている。
思い出すと、フラッシュバックに近い感じがする。
洞窟はキライだ・・・。
子供のころ、悪戯して押し入れの中に閉じ込められた記憶が蘇る(そうなのかあ?)。
そのくせ、掛布団の中を這いずり回ったり、炬燵の中に入り込んだりしてたけどな(栴檀は双葉より芳し?)。
水中洞窟を初めて潜ったのはロタホール。
またいつか(早くても来年だな)、行ってみたいな・・・。
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