🐱ウクライナ降伏不可避:醜聞 ― 2024年01月13日 07:25
ウクライナ降伏不可避:醜聞
(ウクライナに供与したアメリカの軍事物資10億ドル分が追跡できず)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/937353?display=1
「およそ17億ドル分の軍事物資のうち、10億ドル分=日本円で1450億円相当について、追跡ができていないと明らかに」(アメリカ国防総省)
実に6割近い。
しかも、これは、おそらく氷山の一角だろう。
「供与した軍事物資が盗まれたり、横流しされたりするリスクがあると指摘」
「アメリカが供与した武器が、ウクライナから不正に持ち出された証拠はない」
証拠が出たりすれば、大変なことになるからな。
また、これはウクライナに届くまでの間に消えてしまった物資がないということでもない。
やれやれ・・・。
ウクライナゲートが発覚すれば、米国の支援は危機に瀕する。
欧州も、バルト3国や英国、ドイツが相次いで支援を表明するなど、ウクライナへの関与を強めているように見えるが、実際の状況がどうなっているかは分からない。
昨年春先に、100万発の砲弾を約束した、その同じ口先での「確約」だからな(届いた砲弾は、3割と言われている)。
話半分と聞いておいた方がいいだろう。
それも、NATOが巻き込まれないという麗しき前提の下での話だ。
もちろん、ウクライナがNATO加盟を果たせば、支援の枠組みはそちらに移る。
現時点でその可能性はないといえるが、先のことは分からない。
ウクライナが、バルト3国辺りに偽旗作戦を掛け、ロシアがNATOに弓を引いたということになれば、直接対決に持ち込めるかもしれない。
NATOは、ロシアに2正面作戦を掛けるために、ウクライナへの支援を強化することになるのか、ウクライナを切り捨てて防衛ラインをウクライナの国境に設定するのか。
2正面作戦は、一見、ウクライナの兵力を活用することが出来るように見えるが、逆に、NATOの軍事力を前線に展開できないというネガも抱える。
ウクライナを切り捨てて、ウクライナ方面の前線を後退させ、時間を稼ぎながら後方の陣地を構築した方が得策だ。
もともと、欧州にとって、ウクライナは捨て石に過ぎない。
ロシアの戦力を削ぐための道具だ。
直接対決になれば、NATO軍が動いた方が効率がいいだろう。
まあ、いきなりバッサリ切るかどうかは分からないけどな。
それは、その時の戦況にもよる。
相当押し込まれて、持ち堪えられそうもなければ、バッサリ切られる。
守りやすい陣地に後退するのが得策だ。
拮抗しているようなら、支援を受け続けることができるかも知れない。
時間は資源だからな。
そのためにも、ウクライナは早急に兵力を増強する必要がある。
現在構築されつつある防衛ラインは、浮沈子の見立てでは脆弱で、ロシアに押し込まれかねない。
それを動的に支える兵力がなければ、あっさり突破されてしまうかもしれない。
ロシアがスロビキンラインを支えられているのは、文字通り、それを「死守」しているからに他ならない。
1平方メートル当たり、5個の地雷が埋まっていると言われる高密度地雷原には、同じくらいの兵士の命も埋まっている。
まあいい。
ウクライナが、今年の戦線を維持できたとして、後方の生産能力を挙げてロシアに対抗するだけの戦力を確保できるかどうかは未定だ。
欧州は、武器弾薬の増産に舵を切っていると言われるが、それが実現するのは数年先の話になる。
今年じゃない。
ウクライナ国内での生産に至っては、いつの話かは不明のままだ。
ラインメタルの修理工場の話(ウクライナ企業との合弁事業:当初は戦車の生産ラインを作るという話だった)も、1年近く店晒しになったままだしな。
口約束だけが威勢良く報道され、実体が伴わない状況が続いている。
英国の支援は10年計画だそうだが、ウクライナがそれまで存続しているという保証はない。
英国だって、保証はないけど、まあ、ウクライナよりは持ちがいいだろう(そういうことかあ?)。
国家の約束は、ベストエフォートだ。
バイデンも、「必要なだけ」から、「可能な限り」にこっそりと支援のスキームを変更したからな。
米国の支援はぶち切れ、既に可能ではなくなっている。
いつ復活するかの先行きは不透明なままで、大統領選挙や下院改選が迫れば、どう転ぶかは分からない。
米国は、4年毎に壊れるからな。
しかも、口約束はそれ以下しか持たないのだ。
フランス外相も、初のの外遊先にウクライナを選んでいるようだが、外交支援はタダだからな(手土産程度?)。
フランスは、ドイツと共にミンスク合意を形成した当事国だ。
マクロンは、2年前の開戦前後にも、頻繁にプーチンとの会合を重ねている。
ロシアの欧州侵攻の意図は不明だが、その可能性を抑止するためにも、ウクライナ情勢に関与し続けるだろう。
欧州は、なりふり構わず、外交・軍事・経済など、ありったけのリソースを対ロシア戦に注ぐことを決意したようだ。
もちろん、ウクライナもその中に含まれている。
今年、継戦能力を示すことが出来れば、引き続き支援を受けられるだろうが、不十分なら切られる。
欧州が、義務的にウクライナを支援し始めたことは、それだけ評価が厳しくなることを意味する。
余裕の範囲で、善意で行っていた支援ではないからな。
ウクライナも、義務を果たす必要がある。
政治的リスクを負い、新たな動員をかけ、支援の使途を透明化して見せなければならない。
前門の虎、後門の狼か・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
浮沈子が読んだ順序は逆なんだが、分かりやすくするためにこの話から・・・。
(【ショートコラム】ロシア系住民が明かす“二重の苦しみ”)
https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/cor/2023/03/31/30586.html
「エストニアにはロシア語で教育を行う学校も多くありますが、政府はこうした学校にもエストニア語での教育を義務化し、来年から段階的に導入していくことを決めた」
「今は『なぜウクライナを支持するのか。エストニア人はロシアが嫌いなんだろう。みんな死んでしまえ』などと知人からも言われ、ひどい扱いを受けている」(ロシアに就職した娘を持つロシア系住民の女性)
「私たちは二重の苦しみにあるのです。
エストニアではロシア系の住民がすべての責任を負わされる一方で、ロシアではウクライナに大きな援助をしているエストニア出身の私たちは罪を着せられるのです」(同上)
「ロシア系住民はロシアに暮らす家族に会えないなど、さまざまな制約を受けています。
ロシア正教だという理由で『プーチン大統領を支持している』などと中傷されることもあります。
ウクライナへの侵攻の責任は、侵攻を決定した人やそれを支持する人たちのみが負うべきではないでしょうか」(ロシア系の人たちが多く訪れるロシア正教会の司祭)
さて、ソ連崩壊後、晴れて独立を果たし、EUやNATOへの加盟も実現したバルト3国で、ロシア系住民は大きな苦しみに晒されている。
これを踏まえて、次の記事を読むわけだ(浮沈子は、先にこっちを読んだんだがな)。
(2024年・ロシアのプーチン大統領はどこへ行く?
米欧の「クレムリンとクレムリン関連勢力は最近、情報作戦を推進し、NATOの不安定化を目的としたハイブリッド戦争戦術を実施しており、現在、NATO諸国とその近隣諸国に対する将来起こり得るロシアの攻撃的な行動に向けて情報条件を設定している可能性がある」に対抗、国家改造着手)
https://toyokeizai.net/articles/-/727327?page=4
「すでに警戒すべき動きが起きている。」
「2023年12月4日、プーチン氏がバルト3国で「ルッソフォビア的事象」が起きていると批判」
「バルトでは各国政府と、旧ソ連時代から居住するロシア系住民との間でトラブルが続いている。」
「プーチン氏は「海外に住むロシア人に対する差別には対抗措置を取る」とも言明」
浮沈子は、ハッとしたわけだ。
ウクライナ東部の反政府勢力に対して、2014年に支援を行った際、似たような話を聞いたからな。
今回は、ウクライナ情勢というハッキリとした背景の中での差別が起こっている。
まあ、ロシアが、そんなこと(2024年のウクライナ侵攻)をしなければ、何の問題も起きていなかったんだろうが、やっちまったものは仕方ない。
で、まるで玉突きのゲームのように、それを契機として、同じような「ロシア忌避(嫌悪):ルッソフォビア」が次々と伝播していく。
次はバルト3国だと見ている浮沈子にとっては、これは強力な傍証だ。
しかも、それで終わりではないとしたら、戦禍は燎原の火のように広がっていく。
対立軸を作り、被害者は自分だと装い、存在が脅かされていると訴え、抵抗に駆り立てる。
まあ、どっちもどっちだとは思うけど、侵略者は常に侵略の口実を見つけるものだ。
つーか、作り出している。
「戦争は人の心の中で生れるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。」(国際連合教育科学文化機関憲章(ユネスコ憲章)前文の一節)
逆もまた、真なんだろうな。
人の心の中に戦争の種を播けば、憎しみと怒りがそれを育て、平和の砦を破壊し尽くす。
やれやれ・・・。
心の中の戦争だけではなく、リアルワールドでも問題は広がっている。
(米国がウクライナに渡した兵器、10億ドル分が「行方不明」 盗難の恐れも)
https://forbesjapan.com/articles/detail/68491
「ロシアが2022年2月にウクライナに全面侵攻して以降、米政府はウクライナに442億ドル(約6兆4100億円)超の軍事援助を行っている。」(米国務省)
どれだけの武器弾薬が闇に消えたかを考えると、暗澹たる思いだ。
「バイデン米政権はウクライナに送る兵器に関して、一部が適切な相手の手に渡るのであれば追跡不能なものが出るのもやむを得ないと判断している」(CNN:当局者の話)
(ウクライナ軍のシルシキー大将、戦局を打開するチャンスは常にある)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/general-sirushky-of-the-ukrainian-army-says-there-is-always-a-chance-to-break-the-war/
「A-10が戦場の低空域を飛び回ってロシア軍の戦車や陣地を攻撃するというのはロマン溢れる光景だが、これが実際に実行出来るのかと言われると非常に怪しく、限られた資金をA-10に投資するのが本当に正しいのか吟味されるべき」
先日の報道では、ウクライナが築いている防御ラインでは、地雷の密度がスロビキンラインに比べて低いと言われている。
自国の領土を、地雷で埋め尽くしたくないからという話だったが、単に、数が足りないだけなのではないか。
高額兵器に予算を食われたのか、横流しで闇に消えたのかは知らない。
それとも、心ある当局者が、平和の砦を築くのに使っちまったのかな・・・。
<さらに追加>ーーーーーーーーーー
少し前の記事になる。
(軍総司令官も認めるウクライナ軍の苦境、砲兵火力は露軍のわずか5分の1)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/78719
「国家を守る機能を果たすため、武器弾薬、人的資源の要請は継続的に行われている。参謀本部は来年に向け、数字を弾き出した。兵員配置の範囲、新たな部隊の編成、24年の損失予測が考慮されている。軍事機密のため、指標や数字を公表することはできない」(ザルジニー総司令官)
軍がはじき出した数字については、45万とも50万とも言われ、ザルジニーは数字を挙げて要求したことはないと言い、ゼレンスキーは軍から要請されたかのような言い回しだった。
ちょっとしたスキャンダルになっている(誰も、そのことを追及したりはしない?)。
政治目的は領地の完全な奪還というのは動かないが、24年の戦略目標は防御戦に徹して凌ぎ切ることに尽きる。
「ウクライナ軍はまだロシア軍を打ち負かすことができる。しかし、それには欧州からのさらなる支援が必要だ」(軍事シンクタンク「英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)」の陸戦専門家ジャック・ワトリング上級研究員)
ざっくり言って、戦争は投入されたリソース(資源)で決まる。
ドローンとか、電子戦とか、最近の資源は数値化が難しいけど、兵員の人数、前線における密度、砲弾の数、大砲や戦車の数が問題だ。
ロシアは、膨大な損失を出しながら、戦闘を継続しているが、ウクライナは劣勢に追い込まれている。
記事にあるように、砲弾が5分の1で話にならない。
先日、ロシアは、前線に展開していたA50とかいう電子戦機などを失ったようだが、その影響がどれ程に及ぶのかは分からない。
ウクライナの攻勢に資することになるのか、ロシアの攻勢を阻害することになるのか。
「ロシア軍は24年には動員された武器弾薬の生産、イランや北朝鮮からの供給、在庫を利用して約500万発の砲弾を撃ち込める。ロシアは北大西洋条約機構(NATO)全軍を上回る数の砲弾を生産している。ウクライナは数カ月間にわたって大幅な供給増を見込めない。クレムリンは26年までに勝利できると信じている」(同上)
調達能力における彼我の差は歴然で、覆うべくもない。
誰もが、何をやればいいのかは分かっているはずだが、具体的に動き出しているのはロシアだけな気がする(そうなのかあ?)。
「西側のウクライナ支援が途絶えれば、ロシア軍の侵略を食い止めるウクライナ軍の防衛能力が崩壊する可能性が強い。」
「そうしたシナリオではロシア軍は最終的にウクライナ西部の国境まで押し寄せてくる可能性がある」(戦争研究所)
浮沈子的には、武器弾薬だけではなく、最大の問題は訓練されたウクライナ軍の兵士ということになると見ている。
「反攻に失敗した教訓を生かすため、訓練の改善が最優先されなければならない。ウクライナ軍は5週間の訓練を受けるのが限界で、中隊(百数十人)以上の規模で集団訓練が実施されることはほとんどなかった。」
このまま推移すれば、ウクライナは負ける。
停戦や休戦、降伏ではなく、軍事的な完全敗北を喫する(2026年だそうです)。
この記事の、タラレバの話を全部引っぺがすとそうなる。
浮沈子は、もっと早いと思ってるけど、完全敗北ではなく、ロシアが提示する条件での降伏だけどな。
欧州は、口約束はするけれど、現物は渡さない(渡せない?)。
陸路の国境からの搬入は妨げられているし、そもそも生産量が追い付かない。
砲弾とかは、特にそうだ。
「・・・これは勝てる戦争なのだ」(ワトリング研究員)
タラレバがあればね。
プーチンは、米国大統領選挙を見守っているのかもしれないが、それとは関係なく、西側の支援が先細りになると見ているようだ(実際そうなるだろうし)。
「より効果的に行動するための、より多くの人々を救うための解決策の90%を見つけた。」(ザルジニー総司令官)
見つけたことと、実際にそれを手にして戦うことが出来ることとの間には、無限の距離がある。
ウクライナは、今年、それを実感することになるだろうし、来年は欧州自身が身をもって知ることになるだろう。
欧州が攻撃されても、米国は助けに来ず、投資した武器弾薬の増産は当分先で、バルト3国やポーランド、ルーマニアなどはロシアの餌食だろう。
ドイツは、窮地に立たされるに違いない。
本当に、ロシアとドンパチやることになると覚悟を決めているんだろうか?。
英国は、そのつもりでいるようだ。
フランスも、おそらく強力に反撃するだろう。
しかし、結局は大西洋を見渡す丘の上に、ロシアの国旗が翻ることになる(そうなのかあ?)。
「実際、ロシア政府高官も現在の前線を越えてさらにウクライナ領土を占領・併合する意向を表明している。」
誰が何と言っているかは知らないが、徹底抗戦を貫けばそうなる。
欧州も、徹底抗戦なんだろうか?。
さすがにそれはないだろう。
が、先のことは分からない。
浮沈子は、欧州はフランスしか行ったことはない。
焦土と化す前に、もう一度、パリを見ておきたい気もする。
モンマルトルの丘の、朝のゴミだらけの風景を・・・。
<さらにさらに追加>ーーーーーーーーーー
(ウクライナ、戦争継続なら国家存続に打撃=プーチン氏)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/4YR7APIVCFPQTMOSR6UBUIYIX4-2024-01-16/
「(ロシアと)交渉したくない場合はしなくても構わない。ウクライナの反転攻勢は失敗しただけでなく、主導権は完全にロシア軍が握っている。このままではウクライナは国家として取り返しのつかない深刻な打撃を受ける可能性がある」(ロシアのプーチン大統領)
言い回しの詳細は不明だが、記事の冒頭では「回復不可能な打撃」という表現も見られる。
「西側諸国とウクライナが協議している「いわゆる和平の方式」と「法外な要求」は拒否する」(同上)
「西側諸国が語る和平は「過去1年半でロシアが得たものを手放すよう仕向ける試み」との考えを示し、「こうしたことは誰もが不可能だと理解している」」(同上)
ロシアは、停戦への交渉を拒否していないと言いながら、ウクライナが受け入れられない条件を前提としていて、事実上、門戸を閉ざしている。
が、まあ、そこんとこはウクライナも同じだ。
このままいけば、ウクライナは国家としての存続を失うことになる。
それは、もはや単なる脅しではなくなりつつある。
(アングル:現状は「積極防衛」、ロシア消耗狙うとウクライナ司令官)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/UX5WX6FQMJPQLPWNI2YPLOFK34-2024-01-17/
「われわれの目標は変わらない。われわれの拠点を維持し、敵に最大限の損害を与えて消耗させることだ」(ウクライナのシルスキー陸軍司令官)
ロシアに占拠された土地を完全に奪還し、ロシア軍を、クリミアを含むすべてのウクライナ固有の領土から駆逐することじゃなかったっけえ?。
まあいい。
「ウクライナ軍側は、小規模な反撃を仕掛ける「積極的防衛」(シルスキー氏)を行っている。主導権奪回に向けて攻撃の機会を見計らうことで、敵に気を張り詰めさせる戦術だ。」
へえーっ、初耳だな。
(アクティブディフェンス)
https://en.wikipedia.org/wiki/Active_defense
「敵との係争地域や陣地を拒否するために、限定的な攻撃行動と反撃を行うこと」(国防総省)
うーん、よく分からないんだが、リアルな戦線での戦術用語として定着しているわけではないようだ(シルスキーが口から出まかせで言ってるんじゃないのかあ?)。
ぶっちゃけ、現状では、せいぜいそれしかできないということもある。
「ロシア側も状況に対応し、損失を食い止めることを学んだ」
「ウクライナは、望ましいレベルの攻撃を維持するのに十分な弾薬が無い」
「ロシアは東部戦線沿いの多方面に圧力をかけており、人員と物資を大きく失いながらも、工業地帯であるドンバス地域の完全な支配権奪取を目指している。」(シルスキー)
「ロシアはまた、南部ヘルソンおよびザポロジエ地域で失った陣地を取り戻したい意向」(同上)
陸軍司令官に見えている世界は、そこ止まりなんだろうな。
今年のウクライナにおける非対称戦(積極的防衛でもいいですが)は、単なる言葉遊びやエクスキューズのための防御陣地の構築では済まされない。
肉弾戦を厭わない果敢な(無謀なでもいいですけど)人海戦術、全ての西側の能力を上回る製造能力を投入して供給される豊富な砲弾、破壊されても、次々と投入される戦闘車両、無数の小型ドローンなどなどに、現実的に対応し続けなければならない。
戦時経済体制を確立した専制国家ロシアが、中国やインドの経済支援、イランや北朝鮮からの軍事支援を得て、おそらくは本気で勝ちに来る。
非対称戦だからな。
当然、ロシアの損失は莫大になる。
ウクライナ側の損失は、相対的には軽微だろうが、ウクライナにはそれを受け入れる能力が残っていないのではないか。
兵員も、武器も弾薬も、すでに底を尽きかけていて、新たな調達がかけられるという見込みは一切ない。
欧米は、口約束だけは気前よくするけれど、実際の行動に結びつくのはその一部だ。
欧州は、実際にカウントダウンを始めているのではないのか。
ウクライナが敗戦する日まで、あと何日とか。
徹底抗戦を主唱し、停戦を拒否し続ける現政権が続く限り、降伏はあり得ない。
選挙は無期限で延期され続けるだろうしな。
クーデターでも起こらない限り、現政権は安泰だ。
が、戦場で勝てない事実は変わらない。
プーチンがウクライナを諦めることはない。
バーンズ(米国CIA長官)は、そのことを確信していた。
ロシアは、長期戦の構えを見せながらも、今年は勝ちに来るだろう。
英国やフランスは、相次いでウクライナと2国間協定を結んでいる(フランスはこれからみたいですけど)。
それは、金と武器弾薬はくれてやるけど、自国の兵士は一兵たりとも送ることはないという意思表示でもある。
ウクライナが、独立国家としての機能を失えば、その取り決めは消える。
ああ、もちろん、英国やフランスが破綻しても同じだがな。
まあ、どうでもいいんですが。
ゼレンスキーは、ダボス会議で各国が差し押さえているロシア試算を引き渡すように迫ったそうだ。
(ゼレンスキー氏「ロシア凍結資産の引き渡し決断を」)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO77720320X10C24A1FF8000/
「日米欧などが凍結しているロシア資産をウクライナに引き渡すように呼びかけた。「国防費とウクライナ復興に使う」」(ゼレンスキー大統領)
当該国にとって、対ロシアとの重要な交渉材料なわけで、それらをウクライナに渡すということは国益に反する。
んな選択をする国があるとは思えないが、逆に言えば、ウクライナはそこまで追い詰められている。
西側諸国は、そろそろ冷徹な算段を始めているんだろう。
敗戦までのカウントダウン、それまでに投入する資源、そこから得られる利益、自国の安全保障との兼ね合い、バランス、軍需品の生産能力、備蓄、ロシアの能力との兼ね合いエトセエトセだな。
徹底抗戦は、必ずしも悪い話ではない。
上手くコントロールできれば、ロシアの戦力を削ぎながら、西側の備蓄や製造能力を増やす時間を得られる。
が、既に見たように、ロシアも消耗一辺倒ではなくなりつつある。
ロシアだって、馬鹿じゃないから(そうなのかあ?)、同じ計算はしているに違いない。
西側と違うのは、プラスとマイナスが逆なだけだ。
双方の計算の精度は知らないが、ウクライナにいくら投資しても、時間が稼げないということになれば、西側は自国への直接投資に切り替えた方が有利だ。
武器も、弾薬も、ウクライナには送らず自国に備蓄する。
グローバルサウスからの引き合い、雲行き怪しい中東の需要もあるからな。
今のところ、ウクライナは、停戦に向けての政治的圧力は受けていないと明言している。
それが、いい兆候なのかどうかは知らない。
米国の情勢が大きく動くのは夏以降だろう。
それまでの間は、何とかつないで凌ぐしかない。
それが出来なければ、夏までに非対称戦で敗れるだけの話だ。
積極的防衛だってえ?。
怪しげな言葉を振りかざすだけでは、戦場では勝てない。
昨年のキーワードは、「反転攻勢」だった(それは、間違いない!)。
練りに練った計画は、たった4日で放棄されたがな。
今年のそれは、いったい何日持つのかな・・・。
<また追加>ーーーーーーーーーー
(NATO、「戦闘の変革」必要 実効性重視を=軍事委員長)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/DPQP6VZKWJMO5AJZT2NPWCCC4I-2024-01-17/
「NATOの戦闘に変革が必要だ」(北大西洋条約機構(NATO)のバウアー軍事委員長)
彼の発言の中身を、ちょっと整理してみよう。
<これまで>
・あらゆるものが豊富に存在
・全てが予見可能・管理可能
・効率性を重視
<ロシアのウクライナ侵攻以降>
・いつ何が起きてもおかしくない(予見可能性の喪失)
・予期せぬ事態を想定しなければならない(同上)
・実効性を重視しなければならない(効率性より優先)
つまりだな、お先真っ暗な状況に対応するためには、(兵員武器弾薬などについて)豊富な備蓄と生産能力を備えていなければならず、そのためには効率性はある程度犠牲にせざるを得ず、完全な実効性を担保出来なければ意味はないということなわけだ。
が、記事には、これと矛盾するかのような話が続いている。
「ウクライナは今後ずっとわれわれの支援を受けられる。この戦争の結果が世界の運命を左右するからだ」
今後ずっとだってえ?。
予見可能性を喪失しているのに、何かを予見できるとでも言うんだろうか?。
つまり、この部分はバウアー氏のリップサービスであることが分かる。
NATOは、ウクライナの反転攻勢の失敗から多くを学んでいる。
ロシアの軍事力の増強(生産ぬ力の増強)についても、最も鋭敏に反応しているだろう。
対ロシア戦略のツールとしてのウクライナの位置づけについても、シビアに捉えているわけだ。
まあ、世界の運命はともかく、NATOの運命くらいは左右するからな。
NATOは、対ロシア戦を想定した対策に舵を切っている。
時間軸が相当悠長だという点を除けば、妥当な方針転換だろう。
しかし、ウクライナの支援を続けている間(戦闘が継続し、ウクライナがロシアを押しとどめている間)は、時計の針が動き出さないと考えているところが気になる。
浮沈子は、仮にNATOへの部分的侵攻がなかったとしても、ロシアの軍事的能力の増大は既に始まっていて、それはウクライナ紛争を想定したものだはなく、対NATO戦を想定した準備が進んでいると確信している。
明確になっているのは兵員の増強で、名目上はフィンランドのNATO加盟に伴う北西方面の配置を増強することになっている。
が、まあ、それを額面通りに捉える人は皆無なのではないか。
最終的には、150万人に膨れ上がる正規軍。
予備役は、数百万人と言われている。
やれやれ・・・。
ICBMやらなにやら、ウクライナ紛争では使われることがないだろう兵器の増産にもはっぱをかけている。
そう、欧州大戦争が始まれば、核兵器の使用が十分想定される。
北朝鮮からの武器の調達は、ウクライナ戦争を想定したものだけにしては、規模がデカいような気もするしな。
大車輪で増産に励んでいる消耗兵器の数々・・・。
「加盟国の政府・民間部門に対し、戦争を含め、いつ何が起きてもおかしくない時代に備えるよう呼びかけた。」(バウアー氏)
文字通り、いつ何が起きてもおかしくない時代だ。
ゼレンスキーは、ウクライナへの支援を躊躇うなと警鐘を鳴らしている。
「西側諸国によるウクライナ支援へのためらいや戦闘激化を巡る懸念によって戦争が長引く恐れがあると警告」
ここのところは、良く注意しなければならない。
もし、戦争の長期化がロシアの軍備増強につながると分かれば、欧州は早急に損切りに走るだろう。
裏を返せば、ゼレンスキーは、ウクライナへの支援を直ちに打ち切れと言っていることになる(そうなのかあ?)。
既に、その選択肢は具体的、定量的、時間的に俎上に上がっていると思われる。
まあ、暫くはバウアー氏のように、政治的配慮溢れる発言の衣に隠れて曖昧にされるだろうけどな。
だが、浮沈子はそれも時間の問題と見ている。
表層に現れるまでには、しばらく時間が掛かるだろうが、各国が個別に提供しようとしている安全保障のスキームは、諸刃の剣だ。
10年の期限で提供している英国は、それまでウクライナが持つとは思っていないに違いない(そうなのかあ?)。
フランスがどういう条件で提供しようとしているのかは知らないが、似たようなスキームだろう(未確認)。
米国は、何の約束も出来ない。
ドイツはどうするんだろうな。
欧州各国の軍事部門は、ロシアとの直接対決を現実の問題として受け止め始めている。
5年から9年の間に、欧州の防御態勢が整わなければ、ロシアは大規模な戦闘に踏み切る。
それ以前でも、3年程度で東欧諸国に対する部分介入を始める公算が高い。
プーチンは、2026年までウクライナ紛争を続けると言われている。
今年を入れて、3年間だ。
辻褄は合う。
しかも、欧州へ攻め込むタイミング(2027年)は、台湾危機が想定されているしな。
北朝鮮も、韓国を敵視する政策に転換した。
いや、もう、確定した未来以外の何物でもないだろう。
ヤバいな・・・。
ヤバ過ぎ!。
肥大する戦闘国家ロシアを早期に抑制できなければ、欧州はおろか、世界が戦禍に塗れることになる。
残念ながら、ウクライナにその力はないだろう。
西側が、どれだけ早くそのことに気付き、それに代わる有効な手を打てるかに世界の平和は掛かっている。
つーのも、浮沈子の妄想に過ぎないかもしれない。
米国も、欧州も、不安定で不足がちな支援を続け、ウクライナはその範囲で善戦し、ロシアの侵攻を食い止めていくだけかもしれない。
昨日のように今日があり、今日のように明日がある。
バウアーは、そうじゃないって言ってるけどな・・・。
(プーチン大統領「ウクライナは取り返しのつかない打撃受ける」)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240117/k10014324731000.html
NHKが、ロイターと同じ話を報じていたんだが、戦争研究所のコメントが載っていた。
「プーチン大統領は誠意をもってウクライナと交渉することに関心がなく、ウクライナや欧米側を完全降伏にひとしい状態にするという目標に変わりはない」
(ロシア攻撃キャンペーンの評価、2024 年 1 月 16 日:元記事)
https://www.understandingwar.org/backgrounder/russian-offensive-campaign-assessment-january-16-2024
「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ロシアは誠意を持ってウクライナと交渉することに興味がなく、ウクライナと西側諸国の完全降伏に等しいウクライナにおけるロシアの極限主義的目標は変わっていないことを示し続けた。」
「ウクライナの「非ナチス化」を求めるロシアの継続的な要求は、選挙で選ばれたウクライナ政府とその政権の解任を求める薄くベールに包まれた要求である。クレムリンが容認する政府と交代する」(要求内容の一部?)
「交渉不在の責任はロシアではなくウクライナにあるというクレムリンの主張を繰り返し、ウクライナの「和平公式」は実際にはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領によるロシアとの交渉禁止令の延長であり、ロシアとの交渉に対する「禁止的な要求」に相当する」(プーチン大統領)
「あらゆる交渉プロセスは「(ロシアに)過去1年半で得た利益を放棄するよう促す試み」であり、これは「不可能」であると主張」(同上)
「プーチン大統領は、ウクライナの反撃が失敗したことを受けて、ウクライナではロシア軍が「完全に」主導権を握っていると宣言した」
「これは、ほぼすべてのロシア軍が「積極的な行動段階」にあるという2023年12月14日のプーチン大統領の主張や、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣が以前にウクライナでのロシアの攻撃作戦を「積極的な防衛」と位置づけていたこととは、注目すべき逸脱である。」
おっと、ここでも「積極的防衛」なる怪しげな用語が飛び交っているな。
ここでの用法は、いわゆる特別軍事作戦と同義だろうけど。
ISWが言いたいのは、ヘルソンでは主導権を持っていないにもかかわらず(ISWの評価)、「完全に」主導権を握っているというのは言い過ぎたと言いたいわけだ。
重箱の隅・・・。
まあいい。
浮沈子が注目したのは、次のパラグラフだな(待ってました!)。
「プーチン大統領は1月16日、ラトビアと他のバルト三国が「ロシア人を国外に追い出している」と主張し、この状況は「(ロシアの)安全保障に直接影響を与えている」と主張した。」
「永住許可は2023年9月に無効となり、ロシア国民は2023年11月30日までにラトビア語試験の合格を含む、ラトビアでEU永住権を取得するための一般手順に従う必要がある」
「ラトビア市民権・移住問題局は2023年12月、期限までに新たな居住許可を申請しなかった約1,200人のロシア国民をラトビアが国外追放すると発表」
「プーチン大統領は長い間、ロシアの主権について広範な定義を採用し、旧ソ連諸国の主権を矮小化してきており、ロシアは長年、国境を越えたロシア系住民やロシア語話者を含む「海外の同胞」を保護する権利があると主張」
「ISWは、バルト三国に対するロシアの攻撃が差し迫っている、あるいはその可能性があるという兆候を観察していない」
「プーチン大統領は、「同胞」を守るという口実のもと、将来のロシアの海外での攻撃的な行動について情報条件を設定している可能性がある。」
よく分からないんだが、フィンランドにも何やら文句を付けているらしい。
「2023年12月中旬にフィンランドを脅し、NATO同盟の解体に等しい要求された変更を追求し続けていることを示す世界観を繰り返し述べた」
東欧やウクライナの独立当時の状況にも触れているが、ISW的観測では、欧州大戦争への布石という位置づけになっているらしい。
「クレムリンとクレムリン関連勢力は最近、情報作戦を推進し、NATOの不安定化を目的としたハイブリッド戦争戦術を実施しており、現在、NATO諸国とその近隣諸国に対する将来起こり得るロシアの攻撃的な行動に向けて情報条件を設定している可能性がある」
浮沈子が、戦争研究所のHPを読み出したのは最近だけど(それまでは、報道を通じて知る程度)、同じような妄想癖がある研究者がうじゃうじゃいるんだろう(そうなのかあ?)。
ウクライナのドンバス地域への介入に見るように、ルッソフォビア(ロシア嫌悪)を利用してバルト3国への干渉を行う可能性は高い。
しかも、それは連鎖していく構造体だ。
「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ロシアを西側の文化的敵対者として定義する継続的な取り組みの一環として、ロシアを「伝統的価値観」の保護者として描写し続けている。プーチン大統領は、ロシア連邦領89地域の地方自治体の代表との会合で、多くのロシア国民が西側諸国で「伝統的価値観」を持って「暮らし、子どもを育てる」のが難しいと感じているため、海外から帰国していると主張した。ロシア当局者は日常的にロシアが「伝統的価値観」を守っていると描写しており、プーチン大統領が2024年を「家族の年」と宣言したことから、今後数カ月でこのレトリックが強化される可能性がある」
いやあ、人のことは言えないなあ。
伝統的家族制度を利用して、国民を戦争へと駆り立てた歴史を有する我が国は、ロシアが何をやらかそうとしているかが手に取るようにわかる。
善良なるロシア国民は、ころっと騙されて欧州戦線に送り込まれるんだろう。
虐げられている同胞を救わなければならないとか言われてな。
やれやれ・・・。
プーチンにとって、ウクライナをまるっと手に入れることは、既に既定路線だ。
そこには、迷いもなければ躊躇いもない。
黙っていても、西側の敵失によって、転がり込んでくるくらいに思っているんだろう(そうなのかあ?)。
既に、バルト3国については、具体な仕込みに入っている。
それ以外の東欧諸国についても、鉛筆を舐めているに違いない。
浮沈子は、欧州での影響力が高いドイツに注目しているけど、我が国以上に第二次世界大戦のトラウマに捉われているからな。
米国に引きずられて、ウクライナ支援を続けているけど、ロシアに攻め込まれてどうするかはビミョーだ。
中国との分厚い関係もあるしな。
(中国が6年連続でドイツ最大の貿易相手国に)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/02/fbcba169a4805890.html
「輸出を国・地域別にみると、米国が1,221億ユーロで、前年に続き1位だった(前年比18.0%増)。中国が1,036億ユーロ(8.1%増)、フランスが1,023億ユーロ(12.6%増)と続いた。」
「輸入を国別にみると、1位の中国からの輸入額は前年比20.8%増の1,417億ユーロと、2位オランダの1,057億ユーロ(前年比21.5%増)、米国の721億ユーロ(6.5%増)と大きく差をつけている。」
2021年統計だから、ウクライナ侵攻以降の幾分の減少傾向は見られる。
(中国とドイツの貿易は2022年に減少、首脳間交流の下今後の動向に注目)
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2023/1adb0fd04f782fac.html
「中国からの輸出額は前年比0.8%増の1,162億1,201万ドルと、6年連続で増加し過去最高を記録した(図参照)。ただし、伸び率は前年の32.5%から大きく縮小した。輸入額は過去最高の2021年より7.2%減の1,114億2,237万ドルで、2019年以来3年ぶりに減少」
ジェトロは新型コロナのオミクロンの流行の影響と分析しているようだ。
まあ、どうでもいいんですが。
ドイツ国内のロシア人が迫害されているという話は聞かない。
(ドイツに住むロシア人、「プーチンの戦争」をどう思っているのか)
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-65593442
少し前の記事だが、エピソードは全て、他人ごとの話として語られている。
「プーチンのために人殺しになどなりたくなかった。テレビで聞かされるうそを、僕は信じていない」
「とても怖かったけど、反戦集会に参加していた。自分にできるだけのことはしていた」
「私たちにとっては、まったくひどすぎる冒涜(ぼうとく)だ」
「ロシア人のみんながみんな、ウクライナで起きていることを支持しているわけではないし、この記念日がこういう意味を持つようになってしまったことを支持しているわけでもないと、こうやって示すのが私には大事なこと」
自らがドイツ国内で排斥される憂き目にあえば(もちろん、そうならないことを願うのみだが)、そのこと自体がロシアに利用されることになる。
虐げられている同胞を救わなければならない・・・。
「戦争は人の心の中で生れるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。」(国際連合教育科学文化機関憲章(ユネスコ憲章)前文の一節)(何度でも再掲します!)
そこで、思考停止に陥らずに、具体な方策を探る気力はないけどな。
少なくとも、国民を戦争に駆り立てようとする言説にはご用心というところだな・・・。
(ウクライナに供与したアメリカの軍事物資10億ドル分が追跡できず)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/937353?display=1
「およそ17億ドル分の軍事物資のうち、10億ドル分=日本円で1450億円相当について、追跡ができていないと明らかに」(アメリカ国防総省)
実に6割近い。
しかも、これは、おそらく氷山の一角だろう。
「供与した軍事物資が盗まれたり、横流しされたりするリスクがあると指摘」
「アメリカが供与した武器が、ウクライナから不正に持ち出された証拠はない」
証拠が出たりすれば、大変なことになるからな。
また、これはウクライナに届くまでの間に消えてしまった物資がないということでもない。
やれやれ・・・。
ウクライナゲートが発覚すれば、米国の支援は危機に瀕する。
欧州も、バルト3国や英国、ドイツが相次いで支援を表明するなど、ウクライナへの関与を強めているように見えるが、実際の状況がどうなっているかは分からない。
昨年春先に、100万発の砲弾を約束した、その同じ口先での「確約」だからな(届いた砲弾は、3割と言われている)。
話半分と聞いておいた方がいいだろう。
それも、NATOが巻き込まれないという麗しき前提の下での話だ。
もちろん、ウクライナがNATO加盟を果たせば、支援の枠組みはそちらに移る。
現時点でその可能性はないといえるが、先のことは分からない。
ウクライナが、バルト3国辺りに偽旗作戦を掛け、ロシアがNATOに弓を引いたということになれば、直接対決に持ち込めるかもしれない。
NATOは、ロシアに2正面作戦を掛けるために、ウクライナへの支援を強化することになるのか、ウクライナを切り捨てて防衛ラインをウクライナの国境に設定するのか。
2正面作戦は、一見、ウクライナの兵力を活用することが出来るように見えるが、逆に、NATOの軍事力を前線に展開できないというネガも抱える。
ウクライナを切り捨てて、ウクライナ方面の前線を後退させ、時間を稼ぎながら後方の陣地を構築した方が得策だ。
もともと、欧州にとって、ウクライナは捨て石に過ぎない。
ロシアの戦力を削ぐための道具だ。
直接対決になれば、NATO軍が動いた方が効率がいいだろう。
まあ、いきなりバッサリ切るかどうかは分からないけどな。
それは、その時の戦況にもよる。
相当押し込まれて、持ち堪えられそうもなければ、バッサリ切られる。
守りやすい陣地に後退するのが得策だ。
拮抗しているようなら、支援を受け続けることができるかも知れない。
時間は資源だからな。
そのためにも、ウクライナは早急に兵力を増強する必要がある。
現在構築されつつある防衛ラインは、浮沈子の見立てでは脆弱で、ロシアに押し込まれかねない。
それを動的に支える兵力がなければ、あっさり突破されてしまうかもしれない。
ロシアがスロビキンラインを支えられているのは、文字通り、それを「死守」しているからに他ならない。
1平方メートル当たり、5個の地雷が埋まっていると言われる高密度地雷原には、同じくらいの兵士の命も埋まっている。
まあいい。
ウクライナが、今年の戦線を維持できたとして、後方の生産能力を挙げてロシアに対抗するだけの戦力を確保できるかどうかは未定だ。
欧州は、武器弾薬の増産に舵を切っていると言われるが、それが実現するのは数年先の話になる。
今年じゃない。
ウクライナ国内での生産に至っては、いつの話かは不明のままだ。
ラインメタルの修理工場の話(ウクライナ企業との合弁事業:当初は戦車の生産ラインを作るという話だった)も、1年近く店晒しになったままだしな。
口約束だけが威勢良く報道され、実体が伴わない状況が続いている。
英国の支援は10年計画だそうだが、ウクライナがそれまで存続しているという保証はない。
英国だって、保証はないけど、まあ、ウクライナよりは持ちがいいだろう(そういうことかあ?)。
国家の約束は、ベストエフォートだ。
バイデンも、「必要なだけ」から、「可能な限り」にこっそりと支援のスキームを変更したからな。
米国の支援はぶち切れ、既に可能ではなくなっている。
いつ復活するかの先行きは不透明なままで、大統領選挙や下院改選が迫れば、どう転ぶかは分からない。
米国は、4年毎に壊れるからな。
しかも、口約束はそれ以下しか持たないのだ。
フランス外相も、初のの外遊先にウクライナを選んでいるようだが、外交支援はタダだからな(手土産程度?)。
フランスは、ドイツと共にミンスク合意を形成した当事国だ。
マクロンは、2年前の開戦前後にも、頻繁にプーチンとの会合を重ねている。
ロシアの欧州侵攻の意図は不明だが、その可能性を抑止するためにも、ウクライナ情勢に関与し続けるだろう。
欧州は、なりふり構わず、外交・軍事・経済など、ありったけのリソースを対ロシア戦に注ぐことを決意したようだ。
もちろん、ウクライナもその中に含まれている。
今年、継戦能力を示すことが出来れば、引き続き支援を受けられるだろうが、不十分なら切られる。
欧州が、義務的にウクライナを支援し始めたことは、それだけ評価が厳しくなることを意味する。
余裕の範囲で、善意で行っていた支援ではないからな。
ウクライナも、義務を果たす必要がある。
政治的リスクを負い、新たな動員をかけ、支援の使途を透明化して見せなければならない。
前門の虎、後門の狼か・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
浮沈子が読んだ順序は逆なんだが、分かりやすくするためにこの話から・・・。
(【ショートコラム】ロシア系住民が明かす“二重の苦しみ”)
https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/cor/2023/03/31/30586.html
「エストニアにはロシア語で教育を行う学校も多くありますが、政府はこうした学校にもエストニア語での教育を義務化し、来年から段階的に導入していくことを決めた」
「今は『なぜウクライナを支持するのか。エストニア人はロシアが嫌いなんだろう。みんな死んでしまえ』などと知人からも言われ、ひどい扱いを受けている」(ロシアに就職した娘を持つロシア系住民の女性)
「私たちは二重の苦しみにあるのです。
エストニアではロシア系の住民がすべての責任を負わされる一方で、ロシアではウクライナに大きな援助をしているエストニア出身の私たちは罪を着せられるのです」(同上)
「ロシア系住民はロシアに暮らす家族に会えないなど、さまざまな制約を受けています。
ロシア正教だという理由で『プーチン大統領を支持している』などと中傷されることもあります。
ウクライナへの侵攻の責任は、侵攻を決定した人やそれを支持する人たちのみが負うべきではないでしょうか」(ロシア系の人たちが多く訪れるロシア正教会の司祭)
さて、ソ連崩壊後、晴れて独立を果たし、EUやNATOへの加盟も実現したバルト3国で、ロシア系住民は大きな苦しみに晒されている。
これを踏まえて、次の記事を読むわけだ(浮沈子は、先にこっちを読んだんだがな)。
(2024年・ロシアのプーチン大統領はどこへ行く?
米欧の「クレムリンとクレムリン関連勢力は最近、情報作戦を推進し、NATOの不安定化を目的としたハイブリッド戦争戦術を実施しており、現在、NATO諸国とその近隣諸国に対する将来起こり得るロシアの攻撃的な行動に向けて情報条件を設定している可能性がある」に対抗、国家改造着手)
https://toyokeizai.net/articles/-/727327?page=4
「すでに警戒すべき動きが起きている。」
「2023年12月4日、プーチン氏がバルト3国で「ルッソフォビア的事象」が起きていると批判」
「バルトでは各国政府と、旧ソ連時代から居住するロシア系住民との間でトラブルが続いている。」
「プーチン氏は「海外に住むロシア人に対する差別には対抗措置を取る」とも言明」
浮沈子は、ハッとしたわけだ。
ウクライナ東部の反政府勢力に対して、2014年に支援を行った際、似たような話を聞いたからな。
今回は、ウクライナ情勢というハッキリとした背景の中での差別が起こっている。
まあ、ロシアが、そんなこと(2024年のウクライナ侵攻)をしなければ、何の問題も起きていなかったんだろうが、やっちまったものは仕方ない。
で、まるで玉突きのゲームのように、それを契機として、同じような「ロシア忌避(嫌悪):ルッソフォビア」が次々と伝播していく。
次はバルト3国だと見ている浮沈子にとっては、これは強力な傍証だ。
しかも、それで終わりではないとしたら、戦禍は燎原の火のように広がっていく。
対立軸を作り、被害者は自分だと装い、存在が脅かされていると訴え、抵抗に駆り立てる。
まあ、どっちもどっちだとは思うけど、侵略者は常に侵略の口実を見つけるものだ。
つーか、作り出している。
「戦争は人の心の中で生れるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。」(国際連合教育科学文化機関憲章(ユネスコ憲章)前文の一節)
逆もまた、真なんだろうな。
人の心の中に戦争の種を播けば、憎しみと怒りがそれを育て、平和の砦を破壊し尽くす。
やれやれ・・・。
心の中の戦争だけではなく、リアルワールドでも問題は広がっている。
(米国がウクライナに渡した兵器、10億ドル分が「行方不明」 盗難の恐れも)
https://forbesjapan.com/articles/detail/68491
「ロシアが2022年2月にウクライナに全面侵攻して以降、米政府はウクライナに442億ドル(約6兆4100億円)超の軍事援助を行っている。」(米国務省)
どれだけの武器弾薬が闇に消えたかを考えると、暗澹たる思いだ。
「バイデン米政権はウクライナに送る兵器に関して、一部が適切な相手の手に渡るのであれば追跡不能なものが出るのもやむを得ないと判断している」(CNN:当局者の話)
(ウクライナ軍のシルシキー大将、戦局を打開するチャンスは常にある)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/general-sirushky-of-the-ukrainian-army-says-there-is-always-a-chance-to-break-the-war/
「A-10が戦場の低空域を飛び回ってロシア軍の戦車や陣地を攻撃するというのはロマン溢れる光景だが、これが実際に実行出来るのかと言われると非常に怪しく、限られた資金をA-10に投資するのが本当に正しいのか吟味されるべき」
先日の報道では、ウクライナが築いている防御ラインでは、地雷の密度がスロビキンラインに比べて低いと言われている。
自国の領土を、地雷で埋め尽くしたくないからという話だったが、単に、数が足りないだけなのではないか。
高額兵器に予算を食われたのか、横流しで闇に消えたのかは知らない。
それとも、心ある当局者が、平和の砦を築くのに使っちまったのかな・・・。
<さらに追加>ーーーーーーーーーー
少し前の記事になる。
(軍総司令官も認めるウクライナ軍の苦境、砲兵火力は露軍のわずか5分の1)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/78719
「国家を守る機能を果たすため、武器弾薬、人的資源の要請は継続的に行われている。参謀本部は来年に向け、数字を弾き出した。兵員配置の範囲、新たな部隊の編成、24年の損失予測が考慮されている。軍事機密のため、指標や数字を公表することはできない」(ザルジニー総司令官)
軍がはじき出した数字については、45万とも50万とも言われ、ザルジニーは数字を挙げて要求したことはないと言い、ゼレンスキーは軍から要請されたかのような言い回しだった。
ちょっとしたスキャンダルになっている(誰も、そのことを追及したりはしない?)。
政治目的は領地の完全な奪還というのは動かないが、24年の戦略目標は防御戦に徹して凌ぎ切ることに尽きる。
「ウクライナ軍はまだロシア軍を打ち負かすことができる。しかし、それには欧州からのさらなる支援が必要だ」(軍事シンクタンク「英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)」の陸戦専門家ジャック・ワトリング上級研究員)
ざっくり言って、戦争は投入されたリソース(資源)で決まる。
ドローンとか、電子戦とか、最近の資源は数値化が難しいけど、兵員の人数、前線における密度、砲弾の数、大砲や戦車の数が問題だ。
ロシアは、膨大な損失を出しながら、戦闘を継続しているが、ウクライナは劣勢に追い込まれている。
記事にあるように、砲弾が5分の1で話にならない。
先日、ロシアは、前線に展開していたA50とかいう電子戦機などを失ったようだが、その影響がどれ程に及ぶのかは分からない。
ウクライナの攻勢に資することになるのか、ロシアの攻勢を阻害することになるのか。
「ロシア軍は24年には動員された武器弾薬の生産、イランや北朝鮮からの供給、在庫を利用して約500万発の砲弾を撃ち込める。ロシアは北大西洋条約機構(NATO)全軍を上回る数の砲弾を生産している。ウクライナは数カ月間にわたって大幅な供給増を見込めない。クレムリンは26年までに勝利できると信じている」(同上)
調達能力における彼我の差は歴然で、覆うべくもない。
誰もが、何をやればいいのかは分かっているはずだが、具体的に動き出しているのはロシアだけな気がする(そうなのかあ?)。
「西側のウクライナ支援が途絶えれば、ロシア軍の侵略を食い止めるウクライナ軍の防衛能力が崩壊する可能性が強い。」
「そうしたシナリオではロシア軍は最終的にウクライナ西部の国境まで押し寄せてくる可能性がある」(戦争研究所)
浮沈子的には、武器弾薬だけではなく、最大の問題は訓練されたウクライナ軍の兵士ということになると見ている。
「反攻に失敗した教訓を生かすため、訓練の改善が最優先されなければならない。ウクライナ軍は5週間の訓練を受けるのが限界で、中隊(百数十人)以上の規模で集団訓練が実施されることはほとんどなかった。」
このまま推移すれば、ウクライナは負ける。
停戦や休戦、降伏ではなく、軍事的な完全敗北を喫する(2026年だそうです)。
この記事の、タラレバの話を全部引っぺがすとそうなる。
浮沈子は、もっと早いと思ってるけど、完全敗北ではなく、ロシアが提示する条件での降伏だけどな。
欧州は、口約束はするけれど、現物は渡さない(渡せない?)。
陸路の国境からの搬入は妨げられているし、そもそも生産量が追い付かない。
砲弾とかは、特にそうだ。
「・・・これは勝てる戦争なのだ」(ワトリング研究員)
タラレバがあればね。
プーチンは、米国大統領選挙を見守っているのかもしれないが、それとは関係なく、西側の支援が先細りになると見ているようだ(実際そうなるだろうし)。
「より効果的に行動するための、より多くの人々を救うための解決策の90%を見つけた。」(ザルジニー総司令官)
見つけたことと、実際にそれを手にして戦うことが出来ることとの間には、無限の距離がある。
ウクライナは、今年、それを実感することになるだろうし、来年は欧州自身が身をもって知ることになるだろう。
欧州が攻撃されても、米国は助けに来ず、投資した武器弾薬の増産は当分先で、バルト3国やポーランド、ルーマニアなどはロシアの餌食だろう。
ドイツは、窮地に立たされるに違いない。
本当に、ロシアとドンパチやることになると覚悟を決めているんだろうか?。
英国は、そのつもりでいるようだ。
フランスも、おそらく強力に反撃するだろう。
しかし、結局は大西洋を見渡す丘の上に、ロシアの国旗が翻ることになる(そうなのかあ?)。
「実際、ロシア政府高官も現在の前線を越えてさらにウクライナ領土を占領・併合する意向を表明している。」
誰が何と言っているかは知らないが、徹底抗戦を貫けばそうなる。
欧州も、徹底抗戦なんだろうか?。
さすがにそれはないだろう。
が、先のことは分からない。
浮沈子は、欧州はフランスしか行ったことはない。
焦土と化す前に、もう一度、パリを見ておきたい気もする。
モンマルトルの丘の、朝のゴミだらけの風景を・・・。
<さらにさらに追加>ーーーーーーーーーー
(ウクライナ、戦争継続なら国家存続に打撃=プーチン氏)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/4YR7APIVCFPQTMOSR6UBUIYIX4-2024-01-16/
「(ロシアと)交渉したくない場合はしなくても構わない。ウクライナの反転攻勢は失敗しただけでなく、主導権は完全にロシア軍が握っている。このままではウクライナは国家として取り返しのつかない深刻な打撃を受ける可能性がある」(ロシアのプーチン大統領)
言い回しの詳細は不明だが、記事の冒頭では「回復不可能な打撃」という表現も見られる。
「西側諸国とウクライナが協議している「いわゆる和平の方式」と「法外な要求」は拒否する」(同上)
「西側諸国が語る和平は「過去1年半でロシアが得たものを手放すよう仕向ける試み」との考えを示し、「こうしたことは誰もが不可能だと理解している」」(同上)
ロシアは、停戦への交渉を拒否していないと言いながら、ウクライナが受け入れられない条件を前提としていて、事実上、門戸を閉ざしている。
が、まあ、そこんとこはウクライナも同じだ。
このままいけば、ウクライナは国家としての存続を失うことになる。
それは、もはや単なる脅しではなくなりつつある。
(アングル:現状は「積極防衛」、ロシア消耗狙うとウクライナ司令官)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/UX5WX6FQMJPQLPWNI2YPLOFK34-2024-01-17/
「われわれの目標は変わらない。われわれの拠点を維持し、敵に最大限の損害を与えて消耗させることだ」(ウクライナのシルスキー陸軍司令官)
ロシアに占拠された土地を完全に奪還し、ロシア軍を、クリミアを含むすべてのウクライナ固有の領土から駆逐することじゃなかったっけえ?。
まあいい。
「ウクライナ軍側は、小規模な反撃を仕掛ける「積極的防衛」(シルスキー氏)を行っている。主導権奪回に向けて攻撃の機会を見計らうことで、敵に気を張り詰めさせる戦術だ。」
へえーっ、初耳だな。
(アクティブディフェンス)
https://en.wikipedia.org/wiki/Active_defense
「敵との係争地域や陣地を拒否するために、限定的な攻撃行動と反撃を行うこと」(国防総省)
うーん、よく分からないんだが、リアルな戦線での戦術用語として定着しているわけではないようだ(シルスキーが口から出まかせで言ってるんじゃないのかあ?)。
ぶっちゃけ、現状では、せいぜいそれしかできないということもある。
「ロシア側も状況に対応し、損失を食い止めることを学んだ」
「ウクライナは、望ましいレベルの攻撃を維持するのに十分な弾薬が無い」
「ロシアは東部戦線沿いの多方面に圧力をかけており、人員と物資を大きく失いながらも、工業地帯であるドンバス地域の完全な支配権奪取を目指している。」(シルスキー)
「ロシアはまた、南部ヘルソンおよびザポロジエ地域で失った陣地を取り戻したい意向」(同上)
陸軍司令官に見えている世界は、そこ止まりなんだろうな。
今年のウクライナにおける非対称戦(積極的防衛でもいいですが)は、単なる言葉遊びやエクスキューズのための防御陣地の構築では済まされない。
肉弾戦を厭わない果敢な(無謀なでもいいですけど)人海戦術、全ての西側の能力を上回る製造能力を投入して供給される豊富な砲弾、破壊されても、次々と投入される戦闘車両、無数の小型ドローンなどなどに、現実的に対応し続けなければならない。
戦時経済体制を確立した専制国家ロシアが、中国やインドの経済支援、イランや北朝鮮からの軍事支援を得て、おそらくは本気で勝ちに来る。
非対称戦だからな。
当然、ロシアの損失は莫大になる。
ウクライナ側の損失は、相対的には軽微だろうが、ウクライナにはそれを受け入れる能力が残っていないのではないか。
兵員も、武器も弾薬も、すでに底を尽きかけていて、新たな調達がかけられるという見込みは一切ない。
欧米は、口約束だけは気前よくするけれど、実際の行動に結びつくのはその一部だ。
欧州は、実際にカウントダウンを始めているのではないのか。
ウクライナが敗戦する日まで、あと何日とか。
徹底抗戦を主唱し、停戦を拒否し続ける現政権が続く限り、降伏はあり得ない。
選挙は無期限で延期され続けるだろうしな。
クーデターでも起こらない限り、現政権は安泰だ。
が、戦場で勝てない事実は変わらない。
プーチンがウクライナを諦めることはない。
バーンズ(米国CIA長官)は、そのことを確信していた。
ロシアは、長期戦の構えを見せながらも、今年は勝ちに来るだろう。
英国やフランスは、相次いでウクライナと2国間協定を結んでいる(フランスはこれからみたいですけど)。
それは、金と武器弾薬はくれてやるけど、自国の兵士は一兵たりとも送ることはないという意思表示でもある。
ウクライナが、独立国家としての機能を失えば、その取り決めは消える。
ああ、もちろん、英国やフランスが破綻しても同じだがな。
まあ、どうでもいいんですが。
ゼレンスキーは、ダボス会議で各国が差し押さえているロシア試算を引き渡すように迫ったそうだ。
(ゼレンスキー氏「ロシア凍結資産の引き渡し決断を」)
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO77720320X10C24A1FF8000/
「日米欧などが凍結しているロシア資産をウクライナに引き渡すように呼びかけた。「国防費とウクライナ復興に使う」」(ゼレンスキー大統領)
当該国にとって、対ロシアとの重要な交渉材料なわけで、それらをウクライナに渡すということは国益に反する。
んな選択をする国があるとは思えないが、逆に言えば、ウクライナはそこまで追い詰められている。
西側諸国は、そろそろ冷徹な算段を始めているんだろう。
敗戦までのカウントダウン、それまでに投入する資源、そこから得られる利益、自国の安全保障との兼ね合い、バランス、軍需品の生産能力、備蓄、ロシアの能力との兼ね合いエトセエトセだな。
徹底抗戦は、必ずしも悪い話ではない。
上手くコントロールできれば、ロシアの戦力を削ぎながら、西側の備蓄や製造能力を増やす時間を得られる。
が、既に見たように、ロシアも消耗一辺倒ではなくなりつつある。
ロシアだって、馬鹿じゃないから(そうなのかあ?)、同じ計算はしているに違いない。
西側と違うのは、プラスとマイナスが逆なだけだ。
双方の計算の精度は知らないが、ウクライナにいくら投資しても、時間が稼げないということになれば、西側は自国への直接投資に切り替えた方が有利だ。
武器も、弾薬も、ウクライナには送らず自国に備蓄する。
グローバルサウスからの引き合い、雲行き怪しい中東の需要もあるからな。
今のところ、ウクライナは、停戦に向けての政治的圧力は受けていないと明言している。
それが、いい兆候なのかどうかは知らない。
米国の情勢が大きく動くのは夏以降だろう。
それまでの間は、何とかつないで凌ぐしかない。
それが出来なければ、夏までに非対称戦で敗れるだけの話だ。
積極的防衛だってえ?。
怪しげな言葉を振りかざすだけでは、戦場では勝てない。
昨年のキーワードは、「反転攻勢」だった(それは、間違いない!)。
練りに練った計画は、たった4日で放棄されたがな。
今年のそれは、いったい何日持つのかな・・・。
<また追加>ーーーーーーーーーー
(NATO、「戦闘の変革」必要 実効性重視を=軍事委員長)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/DPQP6VZKWJMO5AJZT2NPWCCC4I-2024-01-17/
「NATOの戦闘に変革が必要だ」(北大西洋条約機構(NATO)のバウアー軍事委員長)
彼の発言の中身を、ちょっと整理してみよう。
<これまで>
・あらゆるものが豊富に存在
・全てが予見可能・管理可能
・効率性を重視
<ロシアのウクライナ侵攻以降>
・いつ何が起きてもおかしくない(予見可能性の喪失)
・予期せぬ事態を想定しなければならない(同上)
・実効性を重視しなければならない(効率性より優先)
つまりだな、お先真っ暗な状況に対応するためには、(兵員武器弾薬などについて)豊富な備蓄と生産能力を備えていなければならず、そのためには効率性はある程度犠牲にせざるを得ず、完全な実効性を担保出来なければ意味はないということなわけだ。
が、記事には、これと矛盾するかのような話が続いている。
「ウクライナは今後ずっとわれわれの支援を受けられる。この戦争の結果が世界の運命を左右するからだ」
今後ずっとだってえ?。
予見可能性を喪失しているのに、何かを予見できるとでも言うんだろうか?。
つまり、この部分はバウアー氏のリップサービスであることが分かる。
NATOは、ウクライナの反転攻勢の失敗から多くを学んでいる。
ロシアの軍事力の増強(生産ぬ力の増強)についても、最も鋭敏に反応しているだろう。
対ロシア戦略のツールとしてのウクライナの位置づけについても、シビアに捉えているわけだ。
まあ、世界の運命はともかく、NATOの運命くらいは左右するからな。
NATOは、対ロシア戦を想定した対策に舵を切っている。
時間軸が相当悠長だという点を除けば、妥当な方針転換だろう。
しかし、ウクライナの支援を続けている間(戦闘が継続し、ウクライナがロシアを押しとどめている間)は、時計の針が動き出さないと考えているところが気になる。
浮沈子は、仮にNATOへの部分的侵攻がなかったとしても、ロシアの軍事的能力の増大は既に始まっていて、それはウクライナ紛争を想定したものだはなく、対NATO戦を想定した準備が進んでいると確信している。
明確になっているのは兵員の増強で、名目上はフィンランドのNATO加盟に伴う北西方面の配置を増強することになっている。
が、まあ、それを額面通りに捉える人は皆無なのではないか。
最終的には、150万人に膨れ上がる正規軍。
予備役は、数百万人と言われている。
やれやれ・・・。
ICBMやらなにやら、ウクライナ紛争では使われることがないだろう兵器の増産にもはっぱをかけている。
そう、欧州大戦争が始まれば、核兵器の使用が十分想定される。
北朝鮮からの武器の調達は、ウクライナ戦争を想定したものだけにしては、規模がデカいような気もするしな。
大車輪で増産に励んでいる消耗兵器の数々・・・。
「加盟国の政府・民間部門に対し、戦争を含め、いつ何が起きてもおかしくない時代に備えるよう呼びかけた。」(バウアー氏)
文字通り、いつ何が起きてもおかしくない時代だ。
ゼレンスキーは、ウクライナへの支援を躊躇うなと警鐘を鳴らしている。
「西側諸国によるウクライナ支援へのためらいや戦闘激化を巡る懸念によって戦争が長引く恐れがあると警告」
ここのところは、良く注意しなければならない。
もし、戦争の長期化がロシアの軍備増強につながると分かれば、欧州は早急に損切りに走るだろう。
裏を返せば、ゼレンスキーは、ウクライナへの支援を直ちに打ち切れと言っていることになる(そうなのかあ?)。
既に、その選択肢は具体的、定量的、時間的に俎上に上がっていると思われる。
まあ、暫くはバウアー氏のように、政治的配慮溢れる発言の衣に隠れて曖昧にされるだろうけどな。
だが、浮沈子はそれも時間の問題と見ている。
表層に現れるまでには、しばらく時間が掛かるだろうが、各国が個別に提供しようとしている安全保障のスキームは、諸刃の剣だ。
10年の期限で提供している英国は、それまでウクライナが持つとは思っていないに違いない(そうなのかあ?)。
フランスがどういう条件で提供しようとしているのかは知らないが、似たようなスキームだろう(未確認)。
米国は、何の約束も出来ない。
ドイツはどうするんだろうな。
欧州各国の軍事部門は、ロシアとの直接対決を現実の問題として受け止め始めている。
5年から9年の間に、欧州の防御態勢が整わなければ、ロシアは大規模な戦闘に踏み切る。
それ以前でも、3年程度で東欧諸国に対する部分介入を始める公算が高い。
プーチンは、2026年までウクライナ紛争を続けると言われている。
今年を入れて、3年間だ。
辻褄は合う。
しかも、欧州へ攻め込むタイミング(2027年)は、台湾危機が想定されているしな。
北朝鮮も、韓国を敵視する政策に転換した。
いや、もう、確定した未来以外の何物でもないだろう。
ヤバいな・・・。
ヤバ過ぎ!。
肥大する戦闘国家ロシアを早期に抑制できなければ、欧州はおろか、世界が戦禍に塗れることになる。
残念ながら、ウクライナにその力はないだろう。
西側が、どれだけ早くそのことに気付き、それに代わる有効な手を打てるかに世界の平和は掛かっている。
つーのも、浮沈子の妄想に過ぎないかもしれない。
米国も、欧州も、不安定で不足がちな支援を続け、ウクライナはその範囲で善戦し、ロシアの侵攻を食い止めていくだけかもしれない。
昨日のように今日があり、今日のように明日がある。
バウアーは、そうじゃないって言ってるけどな・・・。
(プーチン大統領「ウクライナは取り返しのつかない打撃受ける」)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240117/k10014324731000.html
NHKが、ロイターと同じ話を報じていたんだが、戦争研究所のコメントが載っていた。
「プーチン大統領は誠意をもってウクライナと交渉することに関心がなく、ウクライナや欧米側を完全降伏にひとしい状態にするという目標に変わりはない」
(ロシア攻撃キャンペーンの評価、2024 年 1 月 16 日:元記事)
https://www.understandingwar.org/backgrounder/russian-offensive-campaign-assessment-january-16-2024
「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ロシアは誠意を持ってウクライナと交渉することに興味がなく、ウクライナと西側諸国の完全降伏に等しいウクライナにおけるロシアの極限主義的目標は変わっていないことを示し続けた。」
「ウクライナの「非ナチス化」を求めるロシアの継続的な要求は、選挙で選ばれたウクライナ政府とその政権の解任を求める薄くベールに包まれた要求である。クレムリンが容認する政府と交代する」(要求内容の一部?)
「交渉不在の責任はロシアではなくウクライナにあるというクレムリンの主張を繰り返し、ウクライナの「和平公式」は実際にはウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領によるロシアとの交渉禁止令の延長であり、ロシアとの交渉に対する「禁止的な要求」に相当する」(プーチン大統領)
「あらゆる交渉プロセスは「(ロシアに)過去1年半で得た利益を放棄するよう促す試み」であり、これは「不可能」であると主張」(同上)
「プーチン大統領は、ウクライナの反撃が失敗したことを受けて、ウクライナではロシア軍が「完全に」主導権を握っていると宣言した」
「これは、ほぼすべてのロシア軍が「積極的な行動段階」にあるという2023年12月14日のプーチン大統領の主張や、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣が以前にウクライナでのロシアの攻撃作戦を「積極的な防衛」と位置づけていたこととは、注目すべき逸脱である。」
おっと、ここでも「積極的防衛」なる怪しげな用語が飛び交っているな。
ここでの用法は、いわゆる特別軍事作戦と同義だろうけど。
ISWが言いたいのは、ヘルソンでは主導権を持っていないにもかかわらず(ISWの評価)、「完全に」主導権を握っているというのは言い過ぎたと言いたいわけだ。
重箱の隅・・・。
まあいい。
浮沈子が注目したのは、次のパラグラフだな(待ってました!)。
「プーチン大統領は1月16日、ラトビアと他のバルト三国が「ロシア人を国外に追い出している」と主張し、この状況は「(ロシアの)安全保障に直接影響を与えている」と主張した。」
「永住許可は2023年9月に無効となり、ロシア国民は2023年11月30日までにラトビア語試験の合格を含む、ラトビアでEU永住権を取得するための一般手順に従う必要がある」
「ラトビア市民権・移住問題局は2023年12月、期限までに新たな居住許可を申請しなかった約1,200人のロシア国民をラトビアが国外追放すると発表」
「プーチン大統領は長い間、ロシアの主権について広範な定義を採用し、旧ソ連諸国の主権を矮小化してきており、ロシアは長年、国境を越えたロシア系住民やロシア語話者を含む「海外の同胞」を保護する権利があると主張」
「ISWは、バルト三国に対するロシアの攻撃が差し迫っている、あるいはその可能性があるという兆候を観察していない」
「プーチン大統領は、「同胞」を守るという口実のもと、将来のロシアの海外での攻撃的な行動について情報条件を設定している可能性がある。」
よく分からないんだが、フィンランドにも何やら文句を付けているらしい。
「2023年12月中旬にフィンランドを脅し、NATO同盟の解体に等しい要求された変更を追求し続けていることを示す世界観を繰り返し述べた」
東欧やウクライナの独立当時の状況にも触れているが、ISW的観測では、欧州大戦争への布石という位置づけになっているらしい。
「クレムリンとクレムリン関連勢力は最近、情報作戦を推進し、NATOの不安定化を目的としたハイブリッド戦争戦術を実施しており、現在、NATO諸国とその近隣諸国に対する将来起こり得るロシアの攻撃的な行動に向けて情報条件を設定している可能性がある」
浮沈子が、戦争研究所のHPを読み出したのは最近だけど(それまでは、報道を通じて知る程度)、同じような妄想癖がある研究者がうじゃうじゃいるんだろう(そうなのかあ?)。
ウクライナのドンバス地域への介入に見るように、ルッソフォビア(ロシア嫌悪)を利用してバルト3国への干渉を行う可能性は高い。
しかも、それは連鎖していく構造体だ。
「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ロシアを西側の文化的敵対者として定義する継続的な取り組みの一環として、ロシアを「伝統的価値観」の保護者として描写し続けている。プーチン大統領は、ロシア連邦領89地域の地方自治体の代表との会合で、多くのロシア国民が西側諸国で「伝統的価値観」を持って「暮らし、子どもを育てる」のが難しいと感じているため、海外から帰国していると主張した。ロシア当局者は日常的にロシアが「伝統的価値観」を守っていると描写しており、プーチン大統領が2024年を「家族の年」と宣言したことから、今後数カ月でこのレトリックが強化される可能性がある」
いやあ、人のことは言えないなあ。
伝統的家族制度を利用して、国民を戦争へと駆り立てた歴史を有する我が国は、ロシアが何をやらかそうとしているかが手に取るようにわかる。
善良なるロシア国民は、ころっと騙されて欧州戦線に送り込まれるんだろう。
虐げられている同胞を救わなければならないとか言われてな。
やれやれ・・・。
プーチンにとって、ウクライナをまるっと手に入れることは、既に既定路線だ。
そこには、迷いもなければ躊躇いもない。
黙っていても、西側の敵失によって、転がり込んでくるくらいに思っているんだろう(そうなのかあ?)。
既に、バルト3国については、具体な仕込みに入っている。
それ以外の東欧諸国についても、鉛筆を舐めているに違いない。
浮沈子は、欧州での影響力が高いドイツに注目しているけど、我が国以上に第二次世界大戦のトラウマに捉われているからな。
米国に引きずられて、ウクライナ支援を続けているけど、ロシアに攻め込まれてどうするかはビミョーだ。
中国との分厚い関係もあるしな。
(中国が6年連続でドイツ最大の貿易相手国に)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/02/fbcba169a4805890.html
「輸出を国・地域別にみると、米国が1,221億ユーロで、前年に続き1位だった(前年比18.0%増)。中国が1,036億ユーロ(8.1%増)、フランスが1,023億ユーロ(12.6%増)と続いた。」
「輸入を国別にみると、1位の中国からの輸入額は前年比20.8%増の1,417億ユーロと、2位オランダの1,057億ユーロ(前年比21.5%増)、米国の721億ユーロ(6.5%増)と大きく差をつけている。」
2021年統計だから、ウクライナ侵攻以降の幾分の減少傾向は見られる。
(中国とドイツの貿易は2022年に減少、首脳間交流の下今後の動向に注目)
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2023/1adb0fd04f782fac.html
「中国からの輸出額は前年比0.8%増の1,162億1,201万ドルと、6年連続で増加し過去最高を記録した(図参照)。ただし、伸び率は前年の32.5%から大きく縮小した。輸入額は過去最高の2021年より7.2%減の1,114億2,237万ドルで、2019年以来3年ぶりに減少」
ジェトロは新型コロナのオミクロンの流行の影響と分析しているようだ。
まあ、どうでもいいんですが。
ドイツ国内のロシア人が迫害されているという話は聞かない。
(ドイツに住むロシア人、「プーチンの戦争」をどう思っているのか)
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-65593442
少し前の記事だが、エピソードは全て、他人ごとの話として語られている。
「プーチンのために人殺しになどなりたくなかった。テレビで聞かされるうそを、僕は信じていない」
「とても怖かったけど、反戦集会に参加していた。自分にできるだけのことはしていた」
「私たちにとっては、まったくひどすぎる冒涜(ぼうとく)だ」
「ロシア人のみんながみんな、ウクライナで起きていることを支持しているわけではないし、この記念日がこういう意味を持つようになってしまったことを支持しているわけでもないと、こうやって示すのが私には大事なこと」
自らがドイツ国内で排斥される憂き目にあえば(もちろん、そうならないことを願うのみだが)、そのこと自体がロシアに利用されることになる。
虐げられている同胞を救わなければならない・・・。
「戦争は人の心の中で生れるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。」(国際連合教育科学文化機関憲章(ユネスコ憲章)前文の一節)(何度でも再掲します!)
そこで、思考停止に陥らずに、具体な方策を探る気力はないけどな。
少なくとも、国民を戦争に駆り立てようとする言説にはご用心というところだな・・・。
🐱アルテミス:更に1年の延期 ― 2024年01月13日 08:50
アルテミス:更に1年の延期
(1972年以来初の月への宇宙飛行士ミッション、熱シールドの問題とハードウェアの準備のため延期)
https://spaceflightnow.com/2024/01/10/first-astronaut-missions-to-the-moon-since-1972-delayed-due-to-heat-shield-questions-hardware-readiness/
「今年11月にケネディ宇宙センターから打ち上げられる予定だったアルテミス2号ミッションは、2025年9月以降に打ち上げられる予定」
「アルテミス3号ミッションは、1972年以来初の有人月面着陸を予定しているが、現在は2026年9月に延期」
延期の理由は多岐に渡る。
「オリオン座の乗組員カプセルを保護する熱シールド」
「取り外して交換する必要があるハードウェア」
「宇宙服」
「着陸船」
やれやれ・・・。
特に、熱シールドの問題は深刻だ。
「遮熱板から剥がれ落ちた一部の炭化物の名目外の後退」
「スキップ再突入の第一段階で熱シールドの一部が剥がれた」(月火星計画および探査システム開発ミッション総局の副副管理者であるアミット・クシャトリヤ氏)
「熱シールドはアブレーティブ素材で作られているため焦げは予想されるものの、剥がされるとは予想していない」(同上)
「乗組員の安全は脅かされていないように見えても、より包括的なデータがなければ今後のことを推測したくない」(同上)
「そのデータを合成し、熱シールドの全体的な熱モデル、機械モデル、材料モデルを更新して、アルテミス 2 の2 回目の月帰還ミッションから再突入を試みる前に、私たちは熱シールドについて100パーセント理解していることを確信する必要があります。」(同上:自動翻訳一部訂正)
「問題の根本原因を特定するための調査は 2023 年の大半にわたって続き、現在も継続中」
熱シールド以外の装置にも、重大な問題があるようだな。
「非常に重要な生命維持システム、特に二酸化炭素スクラバーで使用される回路に設計上の欠陥を発見」
リブリーザーユーザーだった浮沈子(最近使ってないので、過去形ですが)は、この手の話には敏感に反応する。
「システムをそのまま使用する可能性の理論的根拠を検討したところ、そのハードウェアを受け入れることは受け入れられず、交換する必要があることが明らかになりました」(クシャトリヤ氏)
「宇宙船の現在の構成を考慮すると、これらのコンポーネントにアクセスするには…アクセスするにはかなりの時間がかかります。交換作業の一環として触れるすべてのコネクタは、完了後にテストする必要があり、その後、車両の完全な機能テストを行う必要があります。」(同上)
「交換プロセスがアルテミス2ミッションの新たな目標打ち上げ日である2025年9月の主な推進要因である」(同上)
「主な」って、まだあんのかあ?。
「オリオンやSLSの初飛行とは異なり、アルテミス2号には統合された中止機能が搭載される」(同上)
「オリオンにはスペース・ローンチ・システム・ロケットからの急速な脱出に耐える資格があるが、システムの仕組みに関してはいくつかの疑問が残っている」(同上)
「電気システムの性能、特に一部のバッテリーの性能に欠陥がある可能性があると思われるケースがいくつか見つかりました。バッテリーがそのような環境にどのように耐えているかを確認する必要があります」(同上)
「つまり、我々はまだその調査の初期段階にあるのです。私たちはまだ前進の道筋を立てていません。この問題を解決するための複数の並行オプションがあります。」(同上)
もう、ボロボロ・・・。
この分だと、オリオン周りだけで、再延期になる可能性もありそうだ(そうなのかあ?)。
問題はさらに続く・・・。
「アルテミス 3 の飛行には独自の一連の課題があります。」
「着陸船と宇宙服の両方の準備が必要」(NASA指導者ら)
「軌道上のタンカーに燃料を完全に供給するにはスターシップを約10回打ち上げる必要がある」(スペースXの顧客業務担当副社長ジェシカ・ジェンセン氏)
「それが現時点での私の大まかな推測ですが、最初の飛行試験がどれだけうまくいくかによってはそれよりも低くなる可能性もあれば、もう少し高くなる可能性もあります」(同上)
ちなみに、スターシップはまだ1度も打ち上げに成功していない。
「3回目の試験飛行のためのハードウェアは今月下旬に準備が整うはずで、2月の打ち上げに向けて米国連邦航空局から承認が得られる予定」(同上)
その際に、軌道上燃料移送試験を行うことが想定されている。
「ヘッダータンクからメインタンクに推進剤を移送することが目的」(同上)
「単一のスターシップ車両内で推進剤の移送デモンストレーションが行われる予定」(同上)
なんだ、その程度の話か。
しかし、まあ、それはロケットが無事に打ち上がって、準周回軌道上でメインエンジンを切って、慣性飛行にならなければできない。
記事には、宇宙服についての言及もある。
「NASAとアクシオム・スペースがアルテミス3の予備設計レビューを完了している」(NASA の新しい副管理官ジム・フリー氏)
「その検討プロセスとサプライチェーンのセットアップでわかったことは、[Artemis 3 の発売] 日に影響を与えたものの一部です」(同上)
記事では、その他の懸念事項についても触れている。
「2028 年 9 月に予定されているアルテミス 4 ミッションに先立って、NASA はゲートウェイ宇宙ステーション用の動力推進要素 (PPE) と居住・物流前哨基地 (HALO) モジュールを打ち上げる必要があります。」
「計画は2025年10月に2機を打ち上げる予定だったが、現在はそれも変更されつつある」(クシャトリヤ氏)
「われわれは現在、マクサー社やノースロップ・グラマン社の業界パートナーと協力して、アルテミス4より前にいつ発売するのが合理的かスケジュールを検討しているところだ」(同上)
「私たちは彼らがそのミッションを支援するために私たちをそこに連れて行くための素晴らしい道を持っていると信じていますが、私たちはそのスケジュールも更新するつもりです。私たちは、パートナーが開発を正しく安全に行うための時間を確実に確保できるよう、できる限りのことを行っています。」(同上)
できることは一つしかないだろう。
延期だ。
いや、中止かあ?(そんなあ!)。
「アルテミス 4 は以前、より大型の SLS ブロック 1B ロケットをサポートするために必要な、アップグレードされたモバイルランチャープラットフォームとタワーのスケジュールの遅れに対応するために部分的に遅延されました。」
おお、モバイルタワーの問題は、さんざん揉めてたからな。
思い出したぜ・・・。
「アルテミス計画は我が国にとって非常に重要です。それは次世代にインスピレーションを与え、私たちの業界と国際的なパートナーシップを強化し、最終的には人類を火星に送るために必要な能力を実証するでしょう。」(下院科学・宇宙・技術委員会の幹部である民主党のゾーイ・ロフグレン氏)
民主党だからな。
有人火星探査に言及しないわけにはいかないだろう。
公共事業としてのSLSに、多額の投資を行ってきた張本人たちだ。
今後、アルテミスや有人火星探査で、政府の金を湯水のごとく使っていくわけだな。
まあ、よその国のことだから、どうでもいいんですが。
ウクライナへの追加支援(600億ドル以上)に比べれば、わずかな額だ(SLSの開発費用は10年で200億ドルと言われている:オリオン宇宙船などは除く)。
が、アルテミスでは、その10倍以上の金が動くに違いない。
有人火星探査では、おそらく、さらに桁が一つ上がるだろう。
べらぼーめ・・・。
確認しておこう。
アルテミス計画は、2020年代後半にずれ込んだ。
アルテミス2においてさえ、再延期の可能性が見えてきている。
特に、アルテミス3以降については、宇宙服はともかく、着陸船(スターシップだとさ!)がらみで、実際の話はいつになるか、全く見通しが立っていない。
浮沈子は、2020年代に実現すれば、奇跡が起こったと思うだろう(そうなのかあ?)。
アルテミスは月の女神とされている。
その衣の裾に触れることが出来るかどうかは分からない。
まあ、もっとも、間違ってオリオンを射殺しちまった女神だからな。
迂闊に近寄らない方がいいのかもしれないな・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーー
(イーロン・マスク氏、スターシップが2回目の飛行で爆発した理由と、スペースXが3回目のミッションで何をテストする予定であるかを明らかにした)
https://www.elonx.cz/elon-musk-prozradil-proc-pri-druhem-letu-vybuchla-starship-a-co-spacex-planuje-otestovat-na-treti-misi/
「マスク氏によれば、目標は軌道に到達すること」
「これはおそらく、実際には、以前のテストミッションの大気横断経路ではなく、安定した軌道を意味します。」
ほほう、準周回軌道じゃないんだ・・・。
「飛行中、 NASAとの契約の一環として、小型着陸タンクからメインタンクへ推進剤を移送するデモンストレーションが行われる予定」
まあ、微小加速度を掛けて移送するわけだからな。
時間はかかるのかもしれない。
「試験ミッションの終了時には、船首にある小型着陸タンクからの推進剤を使用して、1 機のラプターの軌道外点火を実行する予定」
小型着陸タンクの燃料は、全部メインタンクに移す訳じゃなくって、点火テスト用に残しておくわけだな。
「しかし、マスク氏はプレゼンテーション中に、船の電動着陸を試みる計画があることには言及しなかった。したがって、 FCCの文書に記載されている「インド洋への標的を絞った電動着陸」はおそらく軌道外点火にすぎない。したがって、その場合、スターシップ S28 は海に衝突するだけで、水面着陸をシミュレートするため、エンジンを再点火しようとはしません。」(電動着陸:パワードランディングの誤訳)
うーん、それは何とも言えないのではないか。
S社が試験したがっているのは、確かに大気圏再突入における2段目のマニューバリングには違いないだろうけど、それに必要な減速を与えるためのラプターへの点火ではないだろう。
メレチンが言うように、真空ラプターへの再点火が可能かどうかの試験だけかもしれない。
が、パワードランディングを試みる可能性がないとは言えない。
前回の2段目の爆発の原因についての言及もある。
「メインタンクから意図的に過剰な酸素が放出され、火災と爆発を引き起こしたことが原因」
「逆説的ですが、船に貨物が積まれていると言われれば、船には酸素が残っていないため、酸素を放出する必要はなく、船は目的地に到着する可能性が高くなります。」
テスト飛行の設計に問題があったということか。
まあいい。
いずれにしても、タンカーだろうが月着陸船だろうが、スターシップが飛ばなければ、アルテミスは2号機でとん挫する。
月面着陸は夢と消える(まあ、ブルーオリジンに期待ですな)。
浮沈子は、まだ懐疑的だ。
前回のテストで、ラプター2の安定燃焼を実現した手腕は評価するけど、それは開発への道が続くことを意味するだけに留まる。
2020年代に、月着陸船が飛ぶとは思えないな(予定では、来年だそうですが)。
もっとも、ブルーオリジンの着陸船にはニューグレンロケットが必要だからな(これも、予定では来年だってさ!)
無期限延期に変わりはない。
一寸先は闇の宇宙開発。
が、バルカンロケットが成功したことで、停滞感が少しだけ払しょくされたことは間違いない(ペレグリン月着陸船は失敗でしたが)。
スターシップが飛ぶのが先か、アリアン6が先かは分からないが、遅延していたプログラムが回り出す気もする。
おっと、またまたH3(2月15日予定)を忘れるところだったな・・・。
<さらに追加>ーーーーーーーーーー
(イーロン・マスク氏の最近のSpaceXでの全員参加会議は興味深いニュースでいっぱいだった)
https://arstechnica.com/space/2024/01/elon-musks-recent-all-hands-meeting-at-spacex-was-full-of-interesting-news/
「3号機、私たちは軌道に到達したいと思っています。ヘッダータンクから宇宙でエンジンを燃焼させて、確実に軌道離脱できることを証明したいのです」(マスク氏)
やっぱ、弾道軌道ではなく、完全な周回軌道に乗せるつもりなわけだ。
「次回のスターシップ試験飛行では、初めて宇宙船のラプターエンジンの再点火も試みられる。昨年、スターシップの最初の2回の飛行は、地球の周りをほぼ一周した後、太平洋上で地球の大気圏に帰還する軌道に近い軌道を目標とした。SpaceX は、スターシップが地球低軌道で立ち往生するのではなく、確実に地球に帰還できるように、この飛行プロファイルを選択しました。」
つーことは、再点火に失敗すると、地球低軌道上で立ち往生する可能性があるということなわけだ。
まあいい。
再点火の目的が、軌道離脱なことは明言されたわけで、自信があるんだろう(成功しなければ、世界のさらし者になるわけだからな)。
が、そんなこと時にしていたのでは、スターシップの開発はできない。
「時間を犠牲にするよりも、ハードウェアを犠牲にするほうが常に良いことだ」
「時間は唯一の真の通貨です。迅速に再利用可能で信頼性の高いロケットへの最速の道です。」
浮沈子は、高齢者の仲間入りをして、この言葉の意味を噛み締めるようになっている。
時間だけではない。
健康であることもまた、真の通貨だ。
まあ、どうでもいいんですが。
長い記事で、様々な内容が掛かれている。
ペトルメレチンが疑問視していた、インド洋上へのソフトランディングについては、スティーブンクラークは実行されると見ている。
「同氏はスペースXがスターシップや超重量ブースターを回収する短期計画については言及しなかったが、次回の試験飛行では両機の水面着陸が試みられる予定だ。」
直接の言及がなかった点では一致しているけどな。
まあ、どうでもいいんですが。
「スペースXの当初計画には、スターリンク衛星の打ち上げとNASAのためにスターシップを月に送ることが含まれているのは明らか」
次回(3回目)の打ち上げでは、スターリンク衛星放出の仕掛けのテスト(実際に放出するかどうかは不明)、推進剤の宇宙船内での移送テストが予定されている。
が、それは、そもそも、2段目が無事に軌道に到達できたらの話だ。
んなもんは、打ち上げてみなけりゃ分らんだろう!?。
「時間を犠牲にするよりも、ハードウェアを犠牲にするほうが常に良いことだ」(再掲!)
それが正しいかどうかは別問題だ(それだけのハードウェアを準備できるかどうかという問題もある)。
が、明らかなことが一つある。
「アルテミス計画を成功させるためには、スターシップを成功させなければなりません」(マスク氏)
違いないな・・・。
(1972年以来初の月への宇宙飛行士ミッション、熱シールドの問題とハードウェアの準備のため延期)
https://spaceflightnow.com/2024/01/10/first-astronaut-missions-to-the-moon-since-1972-delayed-due-to-heat-shield-questions-hardware-readiness/
「今年11月にケネディ宇宙センターから打ち上げられる予定だったアルテミス2号ミッションは、2025年9月以降に打ち上げられる予定」
「アルテミス3号ミッションは、1972年以来初の有人月面着陸を予定しているが、現在は2026年9月に延期」
延期の理由は多岐に渡る。
「オリオン座の乗組員カプセルを保護する熱シールド」
「取り外して交換する必要があるハードウェア」
「宇宙服」
「着陸船」
やれやれ・・・。
特に、熱シールドの問題は深刻だ。
「遮熱板から剥がれ落ちた一部の炭化物の名目外の後退」
「スキップ再突入の第一段階で熱シールドの一部が剥がれた」(月火星計画および探査システム開発ミッション総局の副副管理者であるアミット・クシャトリヤ氏)
「熱シールドはアブレーティブ素材で作られているため焦げは予想されるものの、剥がされるとは予想していない」(同上)
「乗組員の安全は脅かされていないように見えても、より包括的なデータがなければ今後のことを推測したくない」(同上)
「そのデータを合成し、熱シールドの全体的な熱モデル、機械モデル、材料モデルを更新して、アルテミス 2 の2 回目の月帰還ミッションから再突入を試みる前に、私たちは熱シールドについて100パーセント理解していることを確信する必要があります。」(同上:自動翻訳一部訂正)
「問題の根本原因を特定するための調査は 2023 年の大半にわたって続き、現在も継続中」
熱シールド以外の装置にも、重大な問題があるようだな。
「非常に重要な生命維持システム、特に二酸化炭素スクラバーで使用される回路に設計上の欠陥を発見」
リブリーザーユーザーだった浮沈子(最近使ってないので、過去形ですが)は、この手の話には敏感に反応する。
「システムをそのまま使用する可能性の理論的根拠を検討したところ、そのハードウェアを受け入れることは受け入れられず、交換する必要があることが明らかになりました」(クシャトリヤ氏)
「宇宙船の現在の構成を考慮すると、これらのコンポーネントにアクセスするには…アクセスするにはかなりの時間がかかります。交換作業の一環として触れるすべてのコネクタは、完了後にテストする必要があり、その後、車両の完全な機能テストを行う必要があります。」(同上)
「交換プロセスがアルテミス2ミッションの新たな目標打ち上げ日である2025年9月の主な推進要因である」(同上)
「主な」って、まだあんのかあ?。
「オリオンやSLSの初飛行とは異なり、アルテミス2号には統合された中止機能が搭載される」(同上)
「オリオンにはスペース・ローンチ・システム・ロケットからの急速な脱出に耐える資格があるが、システムの仕組みに関してはいくつかの疑問が残っている」(同上)
「電気システムの性能、特に一部のバッテリーの性能に欠陥がある可能性があると思われるケースがいくつか見つかりました。バッテリーがそのような環境にどのように耐えているかを確認する必要があります」(同上)
「つまり、我々はまだその調査の初期段階にあるのです。私たちはまだ前進の道筋を立てていません。この問題を解決するための複数の並行オプションがあります。」(同上)
もう、ボロボロ・・・。
この分だと、オリオン周りだけで、再延期になる可能性もありそうだ(そうなのかあ?)。
問題はさらに続く・・・。
「アルテミス 3 の飛行には独自の一連の課題があります。」
「着陸船と宇宙服の両方の準備が必要」(NASA指導者ら)
「軌道上のタンカーに燃料を完全に供給するにはスターシップを約10回打ち上げる必要がある」(スペースXの顧客業務担当副社長ジェシカ・ジェンセン氏)
「それが現時点での私の大まかな推測ですが、最初の飛行試験がどれだけうまくいくかによってはそれよりも低くなる可能性もあれば、もう少し高くなる可能性もあります」(同上)
ちなみに、スターシップはまだ1度も打ち上げに成功していない。
「3回目の試験飛行のためのハードウェアは今月下旬に準備が整うはずで、2月の打ち上げに向けて米国連邦航空局から承認が得られる予定」(同上)
その際に、軌道上燃料移送試験を行うことが想定されている。
「ヘッダータンクからメインタンクに推進剤を移送することが目的」(同上)
「単一のスターシップ車両内で推進剤の移送デモンストレーションが行われる予定」(同上)
なんだ、その程度の話か。
しかし、まあ、それはロケットが無事に打ち上がって、準周回軌道上でメインエンジンを切って、慣性飛行にならなければできない。
記事には、宇宙服についての言及もある。
「NASAとアクシオム・スペースがアルテミス3の予備設計レビューを完了している」(NASA の新しい副管理官ジム・フリー氏)
「その検討プロセスとサプライチェーンのセットアップでわかったことは、[Artemis 3 の発売] 日に影響を与えたものの一部です」(同上)
記事では、その他の懸念事項についても触れている。
「2028 年 9 月に予定されているアルテミス 4 ミッションに先立って、NASA はゲートウェイ宇宙ステーション用の動力推進要素 (PPE) と居住・物流前哨基地 (HALO) モジュールを打ち上げる必要があります。」
「計画は2025年10月に2機を打ち上げる予定だったが、現在はそれも変更されつつある」(クシャトリヤ氏)
「われわれは現在、マクサー社やノースロップ・グラマン社の業界パートナーと協力して、アルテミス4より前にいつ発売するのが合理的かスケジュールを検討しているところだ」(同上)
「私たちは彼らがそのミッションを支援するために私たちをそこに連れて行くための素晴らしい道を持っていると信じていますが、私たちはそのスケジュールも更新するつもりです。私たちは、パートナーが開発を正しく安全に行うための時間を確実に確保できるよう、できる限りのことを行っています。」(同上)
できることは一つしかないだろう。
延期だ。
いや、中止かあ?(そんなあ!)。
「アルテミス 4 は以前、より大型の SLS ブロック 1B ロケットをサポートするために必要な、アップグレードされたモバイルランチャープラットフォームとタワーのスケジュールの遅れに対応するために部分的に遅延されました。」
おお、モバイルタワーの問題は、さんざん揉めてたからな。
思い出したぜ・・・。
「アルテミス計画は我が国にとって非常に重要です。それは次世代にインスピレーションを与え、私たちの業界と国際的なパートナーシップを強化し、最終的には人類を火星に送るために必要な能力を実証するでしょう。」(下院科学・宇宙・技術委員会の幹部である民主党のゾーイ・ロフグレン氏)
民主党だからな。
有人火星探査に言及しないわけにはいかないだろう。
公共事業としてのSLSに、多額の投資を行ってきた張本人たちだ。
今後、アルテミスや有人火星探査で、政府の金を湯水のごとく使っていくわけだな。
まあ、よその国のことだから、どうでもいいんですが。
ウクライナへの追加支援(600億ドル以上)に比べれば、わずかな額だ(SLSの開発費用は10年で200億ドルと言われている:オリオン宇宙船などは除く)。
が、アルテミスでは、その10倍以上の金が動くに違いない。
有人火星探査では、おそらく、さらに桁が一つ上がるだろう。
べらぼーめ・・・。
確認しておこう。
アルテミス計画は、2020年代後半にずれ込んだ。
アルテミス2においてさえ、再延期の可能性が見えてきている。
特に、アルテミス3以降については、宇宙服はともかく、着陸船(スターシップだとさ!)がらみで、実際の話はいつになるか、全く見通しが立っていない。
浮沈子は、2020年代に実現すれば、奇跡が起こったと思うだろう(そうなのかあ?)。
アルテミスは月の女神とされている。
その衣の裾に触れることが出来るかどうかは分からない。
まあ、もっとも、間違ってオリオンを射殺しちまった女神だからな。
迂闊に近寄らない方がいいのかもしれないな・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーー
(イーロン・マスク氏、スターシップが2回目の飛行で爆発した理由と、スペースXが3回目のミッションで何をテストする予定であるかを明らかにした)
https://www.elonx.cz/elon-musk-prozradil-proc-pri-druhem-letu-vybuchla-starship-a-co-spacex-planuje-otestovat-na-treti-misi/
「マスク氏によれば、目標は軌道に到達すること」
「これはおそらく、実際には、以前のテストミッションの大気横断経路ではなく、安定した軌道を意味します。」
ほほう、準周回軌道じゃないんだ・・・。
「飛行中、 NASAとの契約の一環として、小型着陸タンクからメインタンクへ推進剤を移送するデモンストレーションが行われる予定」
まあ、微小加速度を掛けて移送するわけだからな。
時間はかかるのかもしれない。
「試験ミッションの終了時には、船首にある小型着陸タンクからの推進剤を使用して、1 機のラプターの軌道外点火を実行する予定」
小型着陸タンクの燃料は、全部メインタンクに移す訳じゃなくって、点火テスト用に残しておくわけだな。
「しかし、マスク氏はプレゼンテーション中に、船の電動着陸を試みる計画があることには言及しなかった。したがって、 FCCの文書に記載されている「インド洋への標的を絞った電動着陸」はおそらく軌道外点火にすぎない。したがって、その場合、スターシップ S28 は海に衝突するだけで、水面着陸をシミュレートするため、エンジンを再点火しようとはしません。」(電動着陸:パワードランディングの誤訳)
うーん、それは何とも言えないのではないか。
S社が試験したがっているのは、確かに大気圏再突入における2段目のマニューバリングには違いないだろうけど、それに必要な減速を与えるためのラプターへの点火ではないだろう。
メレチンが言うように、真空ラプターへの再点火が可能かどうかの試験だけかもしれない。
が、パワードランディングを試みる可能性がないとは言えない。
前回の2段目の爆発の原因についての言及もある。
「メインタンクから意図的に過剰な酸素が放出され、火災と爆発を引き起こしたことが原因」
「逆説的ですが、船に貨物が積まれていると言われれば、船には酸素が残っていないため、酸素を放出する必要はなく、船は目的地に到着する可能性が高くなります。」
テスト飛行の設計に問題があったということか。
まあいい。
いずれにしても、タンカーだろうが月着陸船だろうが、スターシップが飛ばなければ、アルテミスは2号機でとん挫する。
月面着陸は夢と消える(まあ、ブルーオリジンに期待ですな)。
浮沈子は、まだ懐疑的だ。
前回のテストで、ラプター2の安定燃焼を実現した手腕は評価するけど、それは開発への道が続くことを意味するだけに留まる。
2020年代に、月着陸船が飛ぶとは思えないな(予定では、来年だそうですが)。
もっとも、ブルーオリジンの着陸船にはニューグレンロケットが必要だからな(これも、予定では来年だってさ!)
無期限延期に変わりはない。
一寸先は闇の宇宙開発。
が、バルカンロケットが成功したことで、停滞感が少しだけ払しょくされたことは間違いない(ペレグリン月着陸船は失敗でしたが)。
スターシップが飛ぶのが先か、アリアン6が先かは分からないが、遅延していたプログラムが回り出す気もする。
おっと、またまたH3(2月15日予定)を忘れるところだったな・・・。
<さらに追加>ーーーーーーーーーー
(イーロン・マスク氏の最近のSpaceXでの全員参加会議は興味深いニュースでいっぱいだった)
https://arstechnica.com/space/2024/01/elon-musks-recent-all-hands-meeting-at-spacex-was-full-of-interesting-news/
「3号機、私たちは軌道に到達したいと思っています。ヘッダータンクから宇宙でエンジンを燃焼させて、確実に軌道離脱できることを証明したいのです」(マスク氏)
やっぱ、弾道軌道ではなく、完全な周回軌道に乗せるつもりなわけだ。
「次回のスターシップ試験飛行では、初めて宇宙船のラプターエンジンの再点火も試みられる。昨年、スターシップの最初の2回の飛行は、地球の周りをほぼ一周した後、太平洋上で地球の大気圏に帰還する軌道に近い軌道を目標とした。SpaceX は、スターシップが地球低軌道で立ち往生するのではなく、確実に地球に帰還できるように、この飛行プロファイルを選択しました。」
つーことは、再点火に失敗すると、地球低軌道上で立ち往生する可能性があるということなわけだ。
まあいい。
再点火の目的が、軌道離脱なことは明言されたわけで、自信があるんだろう(成功しなければ、世界のさらし者になるわけだからな)。
が、そんなこと時にしていたのでは、スターシップの開発はできない。
「時間を犠牲にするよりも、ハードウェアを犠牲にするほうが常に良いことだ」
「時間は唯一の真の通貨です。迅速に再利用可能で信頼性の高いロケットへの最速の道です。」
浮沈子は、高齢者の仲間入りをして、この言葉の意味を噛み締めるようになっている。
時間だけではない。
健康であることもまた、真の通貨だ。
まあ、どうでもいいんですが。
長い記事で、様々な内容が掛かれている。
ペトルメレチンが疑問視していた、インド洋上へのソフトランディングについては、スティーブンクラークは実行されると見ている。
「同氏はスペースXがスターシップや超重量ブースターを回収する短期計画については言及しなかったが、次回の試験飛行では両機の水面着陸が試みられる予定だ。」
直接の言及がなかった点では一致しているけどな。
まあ、どうでもいいんですが。
「スペースXの当初計画には、スターリンク衛星の打ち上げとNASAのためにスターシップを月に送ることが含まれているのは明らか」
次回(3回目)の打ち上げでは、スターリンク衛星放出の仕掛けのテスト(実際に放出するかどうかは不明)、推進剤の宇宙船内での移送テストが予定されている。
が、それは、そもそも、2段目が無事に軌道に到達できたらの話だ。
んなもんは、打ち上げてみなけりゃ分らんだろう!?。
「時間を犠牲にするよりも、ハードウェアを犠牲にするほうが常に良いことだ」(再掲!)
それが正しいかどうかは別問題だ(それだけのハードウェアを準備できるかどうかという問題もある)。
が、明らかなことが一つある。
「アルテミス計画を成功させるためには、スターシップを成功させなければなりません」(マスク氏)
違いないな・・・。

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