駐機中 ― 2014年01月20日 03:52
駐機中
B787のバッテリー発火は、現在のところANA・JALに限って報道されている。
その理由については、既に考察した。
(なぜ日本だけに)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/01/19/7196816
部品としてのバッテリーの取り扱いについて、他社と異なる点があるのではないかというのが、浮沈子の仮説である。
今回は、バッテリーの保管状況とか、運搬方法とか、交換時の作業手順などとは別に、バッテリーの運用上の気になる点を考えてみる。
そもそも、B787バッテリーの発火は、公式には3回しか起こっていない。
(ボーイング787のバッテリー問題)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B0787%E3%81%AE%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%BC%E5%95%8F%E9%A1%8C
「2013年1月7日の現地時間午前10時半頃、成田国際空港からのフライトを終えボストン・ローガン国際空港で駐機中のJAL008便の機体内部の電池から発火した。」
「2013年1月16日午前8時25分頃、山口宇部空港発東京国際空港行きANA692便が香川県上空10000メートルを飛行中に、操縦席の計器に「機体前方の電気室で煙が感知された」との不具合のメッセージが表示されるとともに異臭もしたため、運航乗務員が緊急着陸を決断、午前8時47分に高松空港に緊急着陸した。」
「2014年1月14日、成田国際空港で出発準備をしていた機体前部のバッテリーから白煙が上がり、損傷が確認された。」
ANAは飛行中だったが、JALは、2例とも駐機中の発火である。
普通、飛行機には発電機が積まれていて、機内の電気はこの発電機によって賄われている。
発電用のエンジンは、推力を発生させるエンジンとは別に備えられていて、たぶん、同じ航空燃料を使って発電することができるはすだ(詳しくは知りません)。
地上作業中は、通常このエンジンを使うことはなく、外部からの電源供給を受けて、アンビリカルケーブルを繋いだ使徒のようになっているわけだな(一部の方には、分かりやすい喩え)。
最近は、駐機場のマンホールからケーブルで取り出せるようになっているらしいが、昔は電源車という専用のサービスビークルがあって、これが使用されていた。
(電源車)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E6%BA%90%E8%BB%8A
「空港などで見られる航空電源車も存在する。駐機中のエアコン、照明などのサービス用や、メインエンジンの始動用の電力を供給するのが目的である。」
「これは、航空機(おもに旅客機)がエンジンを切ってしまうと電力が得られないためであり、発電器を装備する車両と、地上電源からの電力を中継する車両があり、後者はGPU(ground power unit)と呼ばれる。現在の中型機以上にはAPUが装備されており、短時間の折り返しなどでは電源車を不要としている。」
(補助動力装置)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A3%9C%E5%8A%A9%E5%8B%95%E5%8A%9B%E8%A3%85%E7%BD%AE
「APUは作動時に騒音や大量の排気ガスを出すので、東京国際空港、成田国際空港や関西国際空港では使用が制限されており、日本国内のその他の空港でも地上施設や車両から駐機中の航空機へ電気や冷暖房を供給する地上動力装置(GPU)への切り替えが進められている。」
「全てが電動化されている航空機であるボーイング787では、APU は電力だけを供給している。空気圧系統が無いのでシンプルな設計になるが、何百kWもの電力が求められるため、大きく重い発電機と独特なシステム要件が必要とされる。」
浮沈子が注目しているのは、APUとして機能しているバッテリーに、JAL機が通常では想定できない負荷を掛けているのではないかという点にある。
駐機中に発火するということに対する原因は、駐機中の全ての負荷について、時系列的に解析を行い、トータルの負荷が、バッテリーに与える影響を徹底調査しなければならない。
まあ、当然、メーカーやキャリア、規制当局である航空局では行っているのだろうが、報道は一切ない。
同様の負荷を掛けての再現実験が、オフボードで行われたという話も聞かない。
もちろん、ANA機は飛行中の発火なので、異なる原因が想定されるが、地上に駐機中に既に問題が発生していた可能性もある。
当局からの発表がないので、これらの発火事故の詳細については不明である。
え?、そんなことは一切やっていないって?。
そんなこたあ、いくらなんでもないだろう。
少なくともJALについては、全世界で唯一、787のバッテリー発火事故を駐機中に起こしており、放電のみを行っている際の、何らかの負荷が原因となっている可能性はあるわけだ。
世界中のどこの航空会社でも行っていないような作業が、この間に行われており、それが元でバッテリーの負荷が一定の条件を満たせば発火に至るということが実証できれば、特定の航空会社に事故が限定的に発生していることの合理的な説明がつくのではないか(「呪い」とかじゃなくって!)。
わざわざ、「一定の条件」と書いたのは、ピーク値だけではなく、発火に至るプロセスを明らかにするためには、あらゆるパターンを想定すべきであるからだ。
幸いにも、大気圧での発火であり、オンボードであれ、オフボードであれ、再現は容易だ。
今回の発火事故が、関係者にとってショックだった(?)のは、B社の対策は、少なくとも発火を抑制するという点では、完全ではなかったということを、証明してしまったということだ。
効果がなかったかどうかは、今後の調査を待つしかないが、さらなる改善が必要なことは、「火」を見るより明らかだな。
B787のバッテリー発火は、現在のところANA・JALに限って報道されている。
その理由については、既に考察した。
(なぜ日本だけに)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/01/19/7196816
部品としてのバッテリーの取り扱いについて、他社と異なる点があるのではないかというのが、浮沈子の仮説である。
今回は、バッテリーの保管状況とか、運搬方法とか、交換時の作業手順などとは別に、バッテリーの運用上の気になる点を考えてみる。
そもそも、B787バッテリーの発火は、公式には3回しか起こっていない。
(ボーイング787のバッテリー問題)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B0787%E3%81%AE%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%BC%E5%95%8F%E9%A1%8C
「2013年1月7日の現地時間午前10時半頃、成田国際空港からのフライトを終えボストン・ローガン国際空港で駐機中のJAL008便の機体内部の電池から発火した。」
「2013年1月16日午前8時25分頃、山口宇部空港発東京国際空港行きANA692便が香川県上空10000メートルを飛行中に、操縦席の計器に「機体前方の電気室で煙が感知された」との不具合のメッセージが表示されるとともに異臭もしたため、運航乗務員が緊急着陸を決断、午前8時47分に高松空港に緊急着陸した。」
「2014年1月14日、成田国際空港で出発準備をしていた機体前部のバッテリーから白煙が上がり、損傷が確認された。」
ANAは飛行中だったが、JALは、2例とも駐機中の発火である。
普通、飛行機には発電機が積まれていて、機内の電気はこの発電機によって賄われている。
発電用のエンジンは、推力を発生させるエンジンとは別に備えられていて、たぶん、同じ航空燃料を使って発電することができるはすだ(詳しくは知りません)。
地上作業中は、通常このエンジンを使うことはなく、外部からの電源供給を受けて、アンビリカルケーブルを繋いだ使徒のようになっているわけだな(一部の方には、分かりやすい喩え)。
最近は、駐機場のマンホールからケーブルで取り出せるようになっているらしいが、昔は電源車という専用のサービスビークルがあって、これが使用されていた。
(電源車)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E6%BA%90%E8%BB%8A
「空港などで見られる航空電源車も存在する。駐機中のエアコン、照明などのサービス用や、メインエンジンの始動用の電力を供給するのが目的である。」
「これは、航空機(おもに旅客機)がエンジンを切ってしまうと電力が得られないためであり、発電器を装備する車両と、地上電源からの電力を中継する車両があり、後者はGPU(ground power unit)と呼ばれる。現在の中型機以上にはAPUが装備されており、短時間の折り返しなどでは電源車を不要としている。」
(補助動力装置)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A3%9C%E5%8A%A9%E5%8B%95%E5%8A%9B%E8%A3%85%E7%BD%AE
「APUは作動時に騒音や大量の排気ガスを出すので、東京国際空港、成田国際空港や関西国際空港では使用が制限されており、日本国内のその他の空港でも地上施設や車両から駐機中の航空機へ電気や冷暖房を供給する地上動力装置(GPU)への切り替えが進められている。」
「全てが電動化されている航空機であるボーイング787では、APU は電力だけを供給している。空気圧系統が無いのでシンプルな設計になるが、何百kWもの電力が求められるため、大きく重い発電機と独特なシステム要件が必要とされる。」
浮沈子が注目しているのは、APUとして機能しているバッテリーに、JAL機が通常では想定できない負荷を掛けているのではないかという点にある。
駐機中に発火するということに対する原因は、駐機中の全ての負荷について、時系列的に解析を行い、トータルの負荷が、バッテリーに与える影響を徹底調査しなければならない。
まあ、当然、メーカーやキャリア、規制当局である航空局では行っているのだろうが、報道は一切ない。
同様の負荷を掛けての再現実験が、オフボードで行われたという話も聞かない。
もちろん、ANA機は飛行中の発火なので、異なる原因が想定されるが、地上に駐機中に既に問題が発生していた可能性もある。
当局からの発表がないので、これらの発火事故の詳細については不明である。
え?、そんなことは一切やっていないって?。
そんなこたあ、いくらなんでもないだろう。
少なくともJALについては、全世界で唯一、787のバッテリー発火事故を駐機中に起こしており、放電のみを行っている際の、何らかの負荷が原因となっている可能性はあるわけだ。
世界中のどこの航空会社でも行っていないような作業が、この間に行われており、それが元でバッテリーの負荷が一定の条件を満たせば発火に至るということが実証できれば、特定の航空会社に事故が限定的に発生していることの合理的な説明がつくのではないか(「呪い」とかじゃなくって!)。
わざわざ、「一定の条件」と書いたのは、ピーク値だけではなく、発火に至るプロセスを明らかにするためには、あらゆるパターンを想定すべきであるからだ。
幸いにも、大気圧での発火であり、オンボードであれ、オフボードであれ、再現は容易だ。
今回の発火事故が、関係者にとってショックだった(?)のは、B社の対策は、少なくとも発火を抑制するという点では、完全ではなかったということを、証明してしまったということだ。
効果がなかったかどうかは、今後の調査を待つしかないが、さらなる改善が必要なことは、「火」を見るより明らかだな。
サイドマウントの功罪 ― 2014年01月20日 20:05
サイドマウントの功罪
洞窟潜水で、狭隘な通路を通り抜けようとすると、呼吸に与るタンクを身体から外し、前面投影面積を可能な限り小さくしておかなければならない。
理論的には、身体が通り抜けられるところであれば、クリアできるというわけだ。
理論的とことわるのは、人間はタンクのほかにも、BCやらなにやらを付けているので、それも外す必要があるかも知れず、いやいや、身体を鋭い岩などから保護する潜水服やパンツだって脱いだ方がいいかもしれないし、素っ裸になったって、男の子は引っかかるものがあるかも知れず、そんなこというなら、あたし(女の子)だって引っかかりそうなところくらいあるわ!(ねえよ!、・・・バシッ!)。
まあ、つまり、だから、どうでもいいんですが。
そんな狭いところに入っていくのは、人類未踏の地に初めて辿り着いたということに、無上の価値を見出すエクスプローラー症候群に罹っているからであるな(エクスプローラーといっても、新種のE-SCRではない)。
(EXPLORER)
http://www.hollis.com/explorer/
人様の価値観に、文句を言っても始まらない。
行きたい人だけ行けばいいし、そんなことに価値を見出して賞賛してくれる仲間内だけで、盛り上がっていただければよろしい。
このサイドマウントというのは、そんな、究極の隘路通過を求められる、テクニカルダイビングの中の一部の連中が行ってきたヘンタイコンフィギュレーションなのである。
テクニカルダイビングの永遠のアイコンである、ダブルタンクというのがある。
浮沈子がナイトロックスのサーティフィケイトを受けたTDIという団体は、このダブルタンクの図柄をトレードマークにしている。
(TECHNICAL DIVING INTERNATIONAL JAPAN)
http://www.tdi-japan.gr.jp/
日本では、あまり見かけることがないが、海外のダイビングショップではこのマークにお目にかかることが多い。
もちろん、IANTDも、特に韓国系のお客さんを当てにしているお店では、黄色に赤のダイバーの図柄が入ったマークを見ることが多い。
(IANTD Japan Web Site:ダブルタンクかどうかは、図柄からは分かりません)
http://www.iantd.jp/
どちらもテクニカルダイビングの老舗である。
浮沈子のインスピCCRのサーティフィケイトは、こちらで発行して頂いた。
最近は、天下のPADIもテクニカルダイビングを普及させて、一儲けしようと企んでいる。
(テクニカル・ダイビング)
http://www.padi.co.jp/visitors/program/tc_index.asp
「テクニカル・ダイビングは、主流のレクリエーショナル・ダイビングに比べて遥かに深い場所へ、経験豊富かつ資格のあるダイバーが行なう、スクーバ・ダイビングの「エクストリーム・スポーツ」です。テクニカル・ダイビングは、この種のダイビングに伴う追加された危険性を管理するために、極めて多くの器材とトレーニングが必要であることにより区別されています。」
極めて多くの器材の中には、当然ダブルタンクも入ってくる。
1本のタンクがあれば、深さにもよるが、1時間くらいのダイビングを楽しむことが出来るから、わざわざ2本持つのは、それが必要なダイビングを行うからである。
いわく、最大深度40mを超えるディープダイビング、いわく、水面から40mを超えて進入する洞窟潜水や沈船などのレックへのペネトレーション、いわく、タタミ一畳ダイバーの信じられないほど長時間のダイビング(なにしろ、動かないんで、CCRと同等の潜水時間を可能としてしまう)などなど。
これらに共通することは、直接水面に浮上できない状況での安全管理が必要だということである(タタミ一畳ダイバーについては、浮沈子は知りません)。
しかし、洞窟潜水や、レックへのペネトレーション(内部への侵入)ならともかく、ディープダイビングや超長時間潜水のような場合は、見かけの天井はない。
ダイビングを始めて、学科で教わることの中に、減圧ダイビングの禁止ということがある。
デコ出しというのは、ダイバーの恥であって、最近のスントのモスキートとか、やたらとピーピーいって浮上を促すんだそうだ(浮沈子は、セルフダイビングをしないので、オープンサーキットで潜る場合でも、たいがいはイントラかガイドさんの持っているダイコンに頼っている。持ち込んでいるのは、ゲージモードに固定したTUSAの2まんえんのダイコンだけ・・・)。
浮沈子にいわせれば、無限圧ダイビングなんてものは送気潜水の時代からだってありっこないのだ。
まあ、一応、そういうことにしておこう。
減圧が必要となった場合は、当然のことながら、徐々に深度を上げながら、正確な時間管理とガス管理、深度管理をしながらエキジットするわけだし、ハイ、ガスがなくなったら、緊急スイミングアセントですよー!、というわけにはいかない。
当該潜水のプロファイルの中で、血液中に溜め込んだ窒素ガスやヘリウムガス(ヘリオックスやトライミックスを吸った場合)を排出するのに必要な、減圧のための仮想的な天井が、洞窟の岩よりも鋼鉄製の沈没船の甲板よりも固く固く存在するのだ。
そこに、水面のきらめきが見えていようと、その間に厳として存在する仮想の天井をぶち破って浮上することはできないのである。
まあ、この辺りの話は、ちゃんと金を払って、手間暇掛けてみっちりとお勉強しないと命にかかわるので、誰にでもホイホイと奨められる話ではない。
そのためには、ダブルタンクでは足りずに、減圧のための複数の混合ガスが入ったタンクを、必要なだけ用意して潜ることになり、ダブルタンクよりも器材の量は増える。
テクニカルダイビングは、担いだら、マジで足が砂浜にめり込むダブルタンクを担ぎ(浮沈子は持ったことしかありません)、さらに追加のタンクも抱えてエントリー、エキジットをおこなうという、ヘンタイでもなければやりっこないダイビングであるな。
PADIは、従来の金儲けの方法である、ねずみ講的な商売に限界があると考えたのだろう、いわく40mより深くたっていいじゃないですか、いわく減圧出したっていいじゃないですか、というわけである。
今まで、ヘンタイ呼ばわりしていたテクニカルダイバーをお客さんとして囲い込むことができれば、そのインストラクターの養成を含めた新たな市場が開けることとなり、老舗のチマチマとした指導団体とは桁違いのアットーテキな数のファシリティを駆使して、その普及を図ることができる。
新たなねずみ講のネタが出来るわけだ。
まあ、世界中の人類がテクニカルダイビングのコースディレクターになってしまう心配はないから、安全に十分配慮して、事故を許容範囲にコントロールできれば、787も飛ばせるわけだな(あれっ?、どっかで間違いたかあ?)。
まあいい。
ここで、ようやく、PADIがサイドマウントをレクリエーショナルレベルで普及させようとしている本当の理由が明らかになるわけだ。
そう、サイドマウントをスタンダードにするメリットはないとほざく、頭の固いシングルタンクダイバーの戯言なんか、初めから相手にしていないのだ。
金のなる木を植えるためには、肥やしをくれてやることも考えなければならない。
継続的にテクニカルダイバーを拡大再生産するという事業を成功させるためには、レクリエーショナルダイバーに、何としてもダブルタンクを背負わせなければならないのだ。
比較すべきは、シングルタンクのバックマウントとの比較ではなく、ダブルタンクのバックマウントと比較して、その功罪を語らなければならない。
ネットを見ると、そこのところを勘違いして、サイドマウントには、メリットがないと書かれている方がおられるが、思いっきり外しているということになる。
今後、PADIは、全てのレクリエーショナルダイビングを、サイドマウントで行う可能性もある(えっ、えー?、聞いてないけど)。
シングルタンクのバックマウントがやりたければ、よそへ行ってくれ!、というわけだな。
ウチには、そんなサーティフィケイトはありません!。
ダイビングがやりたきゃ、サイドマウント(もちろん、サイドマウントというのは、全て、基本はダブルタンクです)で始めてください、ということになる(ホントかあ?)。
だって、タンクは2倍使ってくれるし、専用の器材を買ってくれるわけだし、レギュレーターセットも倍売れるわけだし、何より金のなる木のテクニカルダイビングへの敷居が、ぐっと低くなるわけだ。
これこそが、PADIにとってのサイドマウントの最大の魅力であり、だからこそ、レクリエーショナルレベルのサイドマウントを推進しようとしているのだ。
残念なことに、我が国では、PADIのテクニカルダイビングコースを開催できる環境が限られており、出口無きマンション(トイレはあると思いますが)になってしまっている。
レクリエーショナルレベルのサイドマウントダイバーの増加、そこからテクニカルダイビングへ移行する顧客の流れ、それを受け入れるテクニカルダイビングコースを開催できるファシリティーの育成、インストラクターの開発(PADIの社内用語:養成と同義)を、無駄のない、しかし、需給関係に齟齬を来たすことのないように計画的に展開しなければ、このミッションは成功しない。
テックレックという、宗教の布教活動なのである。
ネットで見かける意見として、浮沈子が感心するのは、シングルタンクのバックマウントとサイドマウントで携行するステージボトルの組み合わせを推奨するというものである。
ウエイビーなビーチエントリーという、あまり例を見ない環境と、世界でも北東アジアの伊豆など一部地域でしか普及していないメタリコンタンクの運用が定着している中で、ファシリティーや指導団体の利益ではなく、ダイバーのメリットを真剣に考えれば、そのような結論になるのは目に見えている。
しかし、同時に、出口のない今のレクリエーショナルダイビングの状況を、ブレークスルーするための手段としては、誤った方向である。
浮沈子は、実際にPADIの催行するレクリエーショナルレベルのサイドマウントを受講している最中だが、それでなくても苦手のオープンサーキットでの中性浮力の維持とか、1本のタンクに付いているレギュレーターですら、あれっ?、どっち吸うんだっけえ?、という状態なのに、それを、頻繁に残圧を管理しながら交互に吸うという神業をマスターしなければならず、確かに、CCRでのダイビングに慣れているダイバーが移行するのがタイヘンなのはよく分かった(あんまり、参考にならずにスイマセン・・・)。
エントリーやエキジットの際の水中での脱着については、サイドマウントダイバー自身の慣れの問題と、ガイドやボートスタッフの対応の慣れの問題がある。
2、3人のサイドマウントダイバーならまだしも、30人ぐらいがゾロゾロと空挺部隊さながらにダイビング専用のカタマラン艇からジャイアントストライドでエントリーし、エキジットでは、流れ作業のように水中でフィンを外してもらって、タンクを掴んで引き上げてもらって、身体が上がったら、フィンを渡されてボート上の自席でタンクの交換を行うような、ヘンリー・フォードもビックリのダイビングには向かないな。
薄利多売のダイビングで、この業界は潤ってきたのだ。
その流れを変えようというのだから、しばらくは混乱すると思われる。
整理しておこう。
その1:
サイドマウントの利点は、既にいろいろいわれていることがら(水平姿勢になりやすいとか、バルブが手元にあって操作しやすいとか)とは別に、PADIにとっては、戦略的な利点があること。
その2:
シングルタンクのバックマウント+ステージボトルの携行は、上記の意味から、PADIが今後その方向で、ユーザー本位の対応を展開する見込みは、(たぶん)全くないこと。
その3:
しかしながら、サイドマウントダイバーの最大のメリットである、複数のタンクを携行するという意味では、両者は同じ効果を期待できること。
その4:
まあ、浮沈子が感じるところでは、ダブルタンクを容易に運用できるという以外に、サイドマウントには突出したメリットはないこと。
こんな感じかなあ・・・。
もちろん、デメリットというか、真剣に考慮すべき点もある。
ダブルタンクの運用は、水中の滞在時間を単純に2倍に延長する。
従来から、呼吸消費が少ない方は、デコを出しやすい。
シングルタンクでも、タンクのエアが持ってしまうのだ。
ダブルになれば、なおのこと、多くのダイバーが減圧を出しやすい環境が整うことになる。
昔、西伊豆の獅子浜では、減圧を含めた潜水計画書を作成できなければ、インデペンデンスのダブルタンクの貸し出しは行わないと掲げていた。
事故でも起こされたら、店の信用に傷が付くから、などというケチな発想ではない。
何よりも、ダイバーの安全を考え、良心的な対応をしてきたのだ(斉藤さんとこの宣伝ではないので、念のため)。
しかし、ダブルタンクを前提としたサイドマウントが普及して、減圧症が続出する事態になったらどうするんだろう?。
PADIの座学はこれからなので、そんな問題も出るのだろうか(うーん、浮沈子、苦手・・・)。
目出度くサーティフィケイトを受領された方は、長時間潜水の危険性について、十分な説明を受けたのだろうか。
浅海域での窒素の蓄積については、遅いコンパートメントの性質も含め、十分な知見の蓄積はない。
水深10m未満で3時間潜って、人間の身体がどうなるかは、未知の世界なのである。
まあ、PADIのおかげで、多くの人柱が立って、研究者にとっては、ヨダレが出そうな話ではある。
コンパートメントモデルに新たな知見が加わり、ダイビングのトータルな安全性の向上に寄与するに違いない(って、イヤミみたいなもんです)。
米海軍のマッチョどもが、ダブルタンクで人体実験やったって、一般人には当てはまらんのよ!。
サイドマウントの功罪については、まだまだ書きたいことがあるが、長くなったので、従来はタンクの容量で半自動でコントロールされていたガスの管理について、明確な指導が必要であることに触れたところで、とりあえず中締めとする(二次会行く方は、幹事まで申し出てください・・・)。
洞窟潜水で、狭隘な通路を通り抜けようとすると、呼吸に与るタンクを身体から外し、前面投影面積を可能な限り小さくしておかなければならない。
理論的には、身体が通り抜けられるところであれば、クリアできるというわけだ。
理論的とことわるのは、人間はタンクのほかにも、BCやらなにやらを付けているので、それも外す必要があるかも知れず、いやいや、身体を鋭い岩などから保護する潜水服やパンツだって脱いだ方がいいかもしれないし、素っ裸になったって、男の子は引っかかるものがあるかも知れず、そんなこというなら、あたし(女の子)だって引っかかりそうなところくらいあるわ!(ねえよ!、・・・バシッ!)。
まあ、つまり、だから、どうでもいいんですが。
そんな狭いところに入っていくのは、人類未踏の地に初めて辿り着いたということに、無上の価値を見出すエクスプローラー症候群に罹っているからであるな(エクスプローラーといっても、新種のE-SCRではない)。
(EXPLORER)
http://www.hollis.com/explorer/
人様の価値観に、文句を言っても始まらない。
行きたい人だけ行けばいいし、そんなことに価値を見出して賞賛してくれる仲間内だけで、盛り上がっていただければよろしい。
このサイドマウントというのは、そんな、究極の隘路通過を求められる、テクニカルダイビングの中の一部の連中が行ってきたヘンタイコンフィギュレーションなのである。
テクニカルダイビングの永遠のアイコンである、ダブルタンクというのがある。
浮沈子がナイトロックスのサーティフィケイトを受けたTDIという団体は、このダブルタンクの図柄をトレードマークにしている。
(TECHNICAL DIVING INTERNATIONAL JAPAN)
http://www.tdi-japan.gr.jp/
日本では、あまり見かけることがないが、海外のダイビングショップではこのマークにお目にかかることが多い。
もちろん、IANTDも、特に韓国系のお客さんを当てにしているお店では、黄色に赤のダイバーの図柄が入ったマークを見ることが多い。
(IANTD Japan Web Site:ダブルタンクかどうかは、図柄からは分かりません)
http://www.iantd.jp/
どちらもテクニカルダイビングの老舗である。
浮沈子のインスピCCRのサーティフィケイトは、こちらで発行して頂いた。
最近は、天下のPADIもテクニカルダイビングを普及させて、一儲けしようと企んでいる。
(テクニカル・ダイビング)
http://www.padi.co.jp/visitors/program/tc_index.asp
「テクニカル・ダイビングは、主流のレクリエーショナル・ダイビングに比べて遥かに深い場所へ、経験豊富かつ資格のあるダイバーが行なう、スクーバ・ダイビングの「エクストリーム・スポーツ」です。テクニカル・ダイビングは、この種のダイビングに伴う追加された危険性を管理するために、極めて多くの器材とトレーニングが必要であることにより区別されています。」
極めて多くの器材の中には、当然ダブルタンクも入ってくる。
1本のタンクがあれば、深さにもよるが、1時間くらいのダイビングを楽しむことが出来るから、わざわざ2本持つのは、それが必要なダイビングを行うからである。
いわく、最大深度40mを超えるディープダイビング、いわく、水面から40mを超えて進入する洞窟潜水や沈船などのレックへのペネトレーション、いわく、タタミ一畳ダイバーの信じられないほど長時間のダイビング(なにしろ、動かないんで、CCRと同等の潜水時間を可能としてしまう)などなど。
これらに共通することは、直接水面に浮上できない状況での安全管理が必要だということである(タタミ一畳ダイバーについては、浮沈子は知りません)。
しかし、洞窟潜水や、レックへのペネトレーション(内部への侵入)ならともかく、ディープダイビングや超長時間潜水のような場合は、見かけの天井はない。
ダイビングを始めて、学科で教わることの中に、減圧ダイビングの禁止ということがある。
デコ出しというのは、ダイバーの恥であって、最近のスントのモスキートとか、やたらとピーピーいって浮上を促すんだそうだ(浮沈子は、セルフダイビングをしないので、オープンサーキットで潜る場合でも、たいがいはイントラかガイドさんの持っているダイコンに頼っている。持ち込んでいるのは、ゲージモードに固定したTUSAの2まんえんのダイコンだけ・・・)。
浮沈子にいわせれば、無限圧ダイビングなんてものは送気潜水の時代からだってありっこないのだ。
まあ、一応、そういうことにしておこう。
減圧が必要となった場合は、当然のことながら、徐々に深度を上げながら、正確な時間管理とガス管理、深度管理をしながらエキジットするわけだし、ハイ、ガスがなくなったら、緊急スイミングアセントですよー!、というわけにはいかない。
当該潜水のプロファイルの中で、血液中に溜め込んだ窒素ガスやヘリウムガス(ヘリオックスやトライミックスを吸った場合)を排出するのに必要な、減圧のための仮想的な天井が、洞窟の岩よりも鋼鉄製の沈没船の甲板よりも固く固く存在するのだ。
そこに、水面のきらめきが見えていようと、その間に厳として存在する仮想の天井をぶち破って浮上することはできないのである。
まあ、この辺りの話は、ちゃんと金を払って、手間暇掛けてみっちりとお勉強しないと命にかかわるので、誰にでもホイホイと奨められる話ではない。
そのためには、ダブルタンクでは足りずに、減圧のための複数の混合ガスが入ったタンクを、必要なだけ用意して潜ることになり、ダブルタンクよりも器材の量は増える。
テクニカルダイビングは、担いだら、マジで足が砂浜にめり込むダブルタンクを担ぎ(浮沈子は持ったことしかありません)、さらに追加のタンクも抱えてエントリー、エキジットをおこなうという、ヘンタイでもなければやりっこないダイビングであるな。
PADIは、従来の金儲けの方法である、ねずみ講的な商売に限界があると考えたのだろう、いわく40mより深くたっていいじゃないですか、いわく減圧出したっていいじゃないですか、というわけである。
今まで、ヘンタイ呼ばわりしていたテクニカルダイバーをお客さんとして囲い込むことができれば、そのインストラクターの養成を含めた新たな市場が開けることとなり、老舗のチマチマとした指導団体とは桁違いのアットーテキな数のファシリティを駆使して、その普及を図ることができる。
新たなねずみ講のネタが出来るわけだ。
まあ、世界中の人類がテクニカルダイビングのコースディレクターになってしまう心配はないから、安全に十分配慮して、事故を許容範囲にコントロールできれば、787も飛ばせるわけだな(あれっ?、どっかで間違いたかあ?)。
まあいい。
ここで、ようやく、PADIがサイドマウントをレクリエーショナルレベルで普及させようとしている本当の理由が明らかになるわけだ。
そう、サイドマウントをスタンダードにするメリットはないとほざく、頭の固いシングルタンクダイバーの戯言なんか、初めから相手にしていないのだ。
金のなる木を植えるためには、肥やしをくれてやることも考えなければならない。
継続的にテクニカルダイバーを拡大再生産するという事業を成功させるためには、レクリエーショナルダイバーに、何としてもダブルタンクを背負わせなければならないのだ。
比較すべきは、シングルタンクのバックマウントとの比較ではなく、ダブルタンクのバックマウントと比較して、その功罪を語らなければならない。
ネットを見ると、そこのところを勘違いして、サイドマウントには、メリットがないと書かれている方がおられるが、思いっきり外しているということになる。
今後、PADIは、全てのレクリエーショナルダイビングを、サイドマウントで行う可能性もある(えっ、えー?、聞いてないけど)。
シングルタンクのバックマウントがやりたければ、よそへ行ってくれ!、というわけだな。
ウチには、そんなサーティフィケイトはありません!。
ダイビングがやりたきゃ、サイドマウント(もちろん、サイドマウントというのは、全て、基本はダブルタンクです)で始めてください、ということになる(ホントかあ?)。
だって、タンクは2倍使ってくれるし、専用の器材を買ってくれるわけだし、レギュレーターセットも倍売れるわけだし、何より金のなる木のテクニカルダイビングへの敷居が、ぐっと低くなるわけだ。
これこそが、PADIにとってのサイドマウントの最大の魅力であり、だからこそ、レクリエーショナルレベルのサイドマウントを推進しようとしているのだ。
残念なことに、我が国では、PADIのテクニカルダイビングコースを開催できる環境が限られており、出口無きマンション(トイレはあると思いますが)になってしまっている。
レクリエーショナルレベルのサイドマウントダイバーの増加、そこからテクニカルダイビングへ移行する顧客の流れ、それを受け入れるテクニカルダイビングコースを開催できるファシリティーの育成、インストラクターの開発(PADIの社内用語:養成と同義)を、無駄のない、しかし、需給関係に齟齬を来たすことのないように計画的に展開しなければ、このミッションは成功しない。
テックレックという、宗教の布教活動なのである。
ネットで見かける意見として、浮沈子が感心するのは、シングルタンクのバックマウントとサイドマウントで携行するステージボトルの組み合わせを推奨するというものである。
ウエイビーなビーチエントリーという、あまり例を見ない環境と、世界でも北東アジアの伊豆など一部地域でしか普及していないメタリコンタンクの運用が定着している中で、ファシリティーや指導団体の利益ではなく、ダイバーのメリットを真剣に考えれば、そのような結論になるのは目に見えている。
しかし、同時に、出口のない今のレクリエーショナルダイビングの状況を、ブレークスルーするための手段としては、誤った方向である。
浮沈子は、実際にPADIの催行するレクリエーショナルレベルのサイドマウントを受講している最中だが、それでなくても苦手のオープンサーキットでの中性浮力の維持とか、1本のタンクに付いているレギュレーターですら、あれっ?、どっち吸うんだっけえ?、という状態なのに、それを、頻繁に残圧を管理しながら交互に吸うという神業をマスターしなければならず、確かに、CCRでのダイビングに慣れているダイバーが移行するのがタイヘンなのはよく分かった(あんまり、参考にならずにスイマセン・・・)。
エントリーやエキジットの際の水中での脱着については、サイドマウントダイバー自身の慣れの問題と、ガイドやボートスタッフの対応の慣れの問題がある。
2、3人のサイドマウントダイバーならまだしも、30人ぐらいがゾロゾロと空挺部隊さながらにダイビング専用のカタマラン艇からジャイアントストライドでエントリーし、エキジットでは、流れ作業のように水中でフィンを外してもらって、タンクを掴んで引き上げてもらって、身体が上がったら、フィンを渡されてボート上の自席でタンクの交換を行うような、ヘンリー・フォードもビックリのダイビングには向かないな。
薄利多売のダイビングで、この業界は潤ってきたのだ。
その流れを変えようというのだから、しばらくは混乱すると思われる。
整理しておこう。
その1:
サイドマウントの利点は、既にいろいろいわれていることがら(水平姿勢になりやすいとか、バルブが手元にあって操作しやすいとか)とは別に、PADIにとっては、戦略的な利点があること。
その2:
シングルタンクのバックマウント+ステージボトルの携行は、上記の意味から、PADIが今後その方向で、ユーザー本位の対応を展開する見込みは、(たぶん)全くないこと。
その3:
しかしながら、サイドマウントダイバーの最大のメリットである、複数のタンクを携行するという意味では、両者は同じ効果を期待できること。
その4:
まあ、浮沈子が感じるところでは、ダブルタンクを容易に運用できるという以外に、サイドマウントには突出したメリットはないこと。
こんな感じかなあ・・・。
もちろん、デメリットというか、真剣に考慮すべき点もある。
ダブルタンクの運用は、水中の滞在時間を単純に2倍に延長する。
従来から、呼吸消費が少ない方は、デコを出しやすい。
シングルタンクでも、タンクのエアが持ってしまうのだ。
ダブルになれば、なおのこと、多くのダイバーが減圧を出しやすい環境が整うことになる。
昔、西伊豆の獅子浜では、減圧を含めた潜水計画書を作成できなければ、インデペンデンスのダブルタンクの貸し出しは行わないと掲げていた。
事故でも起こされたら、店の信用に傷が付くから、などというケチな発想ではない。
何よりも、ダイバーの安全を考え、良心的な対応をしてきたのだ(斉藤さんとこの宣伝ではないので、念のため)。
しかし、ダブルタンクを前提としたサイドマウントが普及して、減圧症が続出する事態になったらどうするんだろう?。
PADIの座学はこれからなので、そんな問題も出るのだろうか(うーん、浮沈子、苦手・・・)。
目出度くサーティフィケイトを受領された方は、長時間潜水の危険性について、十分な説明を受けたのだろうか。
浅海域での窒素の蓄積については、遅いコンパートメントの性質も含め、十分な知見の蓄積はない。
水深10m未満で3時間潜って、人間の身体がどうなるかは、未知の世界なのである。
まあ、PADIのおかげで、多くの人柱が立って、研究者にとっては、ヨダレが出そうな話ではある。
コンパートメントモデルに新たな知見が加わり、ダイビングのトータルな安全性の向上に寄与するに違いない(って、イヤミみたいなもんです)。
米海軍のマッチョどもが、ダブルタンクで人体実験やったって、一般人には当てはまらんのよ!。
サイドマウントの功罪については、まだまだ書きたいことがあるが、長くなったので、従来はタンクの容量で半自動でコントロールされていたガスの管理について、明確な指導が必要であることに触れたところで、とりあえず中締めとする(二次会行く方は、幹事まで申し出てください・・・)。
サイドマウントの功罪(二次会) ― 2014年01月20日 23:53
サイドマウントの功罪(二次会)
水中という人間にとってはヤバイ世界では、器材とスキルに頼って呼吸し、そのかわりとして体内に不活性ガスを蓄積するという宿命を負う。
これは、CCRを使おうが、サイドマントで潜ろうが変わらぬ真理である。
さらにもっといえば、マウスピースを口から離し、数回周りの海水を肺に送り込むだけで、簡単に一生を終えることができる。
ダイビングという行為においては、レクリエーショナルだろうがテクニカルだろうが、基本的には同じリスクが根底にある。
レクリエーショナルが安全で、テクニカルが危険だなどという話は、まあ、後から考えた作り話で、ダイビングを商売のネタにしようと考えた時、教育にかけるコストと、それにより回避できるリスクを天秤にかけ、市場調査とファシリティの意見を聞きながら、まあ、このくらいまでなら、リスクヘッジできると踏んで始めたに過ぎない。
40mまで、無限圧という御伽噺は、こうして生まれた。
嘘っぱちである。
今、レクリエーショナルダイビングで、40mまで潜ることを認めている団体も、程なく30mまでに変更する可能性がある。
いや、もともと18mなのだ。
アドバンスドダイバーという偉そうな名前が付いているが、生身の人間として、ただのダイバーと変わるところは何もない。
ちっとばっかの中性浮力のスキル、不活性ガスのナルコシスを体験させるための、管理された体験潜水。
浮沈子が受けた講習の中で、安全管理に役立ちそうなスキルはこれだけ。
ナイトダイビングや、ナビゲーション、リフトバッグも面白かったが、水中で足し算を間違えたディープダイビングの体験は自分の身体の特性を知るという、貴重な経験だった。
まあ、偉そうなことを書いている割には、その後、空気潜水で38mまで潜ったりして、全然役に立っていないんだが・・・。
まあいい。
水中にいるときは、せいぜい、窒素酔いくらいしか悪さをしない空気の成分は、水中から上がろうとするダイバーの身体を、物理的に蝕む。
もっとも顕著なのは、減圧症といわれる病気で、様々な症状を呈する。
(減圧症)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%9B%E5%9C%A7%E7%97%87
「潜水直後の飲酒は減圧症を招きやすく危険である。」
あろうことか、浮沈子は3年前まで、ダイビングからホテルに帰ってシャワーを浴びると、サンミゲル(フィリピンのビールですな)を、グビグビと飲み干していた・・・。
依存の気があったので、イントラに注意されたことをきっかけに、断酒した。
浮沈子は意志が弱い。
あの、人生で最もビールが、「うまい!」と感じる一瞬だけ禁酒して、他ではそこそこに嗜むなどという芸当は不可能だ。
浮沈子の今後に、飲酒という単語は存在しない。
意志が強いから止めたのではない。
今は、ダイビング直後に「水」という液体を飲み干して、気分だけ「ぷはあ」とやっている!。
減圧症の防止にもよろしい。
なお、減圧症以外にも潜水において罹患する病気は数多くあり、潜水障害と呼ばれる。
減圧症は、その中の一部ということになる。
(ダイビング医学)
http://www.divingmedicine.jp/
この中には出てこないが、浮沈子が注目している疾患は、これ。
(骨壊死)
http://merckmanuals.jp/home/%E9%AA%A8%E3%80%81%E9%96%A2%E7%AF%80%E3%80%81%E7%AD%8B%E8%82%89%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E9%AA%A8%E5%A3%8A%E6%AD%BB/%E9%AA%A8%E5%A3%8A%E6%AD%BB.html
減圧時に血液中に無数に発生するマイクロバブルが、骨に栄養を与える微小血管を塞いで、骨細胞が死んでしまうのだ。
骨壊死自体は、様々な原因で起こるため、ダイビングの減圧により発生する割合がどの程度あるかは知らない。
マイクロバブルの発生自体は、悪いことではなく、肺の細胞壁を通して、体外に排出されていく。
しかし、骨壊死については、どうやら防ぐ手立てがないようだ。
長年ダイバーを業としてなさっていた方が亡くなって、亡骸を火葬すると骨が残らないんだそうだ(粉になってしまうという)。
浮沈子は、テニアンでCカードを取ってダイバーになったのだが、そこで聞いた話だ(亡くなった方がテニアン出身者とかではありません)。
大腿骨骨頭に壊死が起こると、ちと、老後が不安になる。
ダブルタンクを水中に持ち込み、長時間の潜水を行うことは、ダイビングに伴うあらゆるリスクを増大させるという、負の側面も併せ持つ。
もちろん、深場では、ガスの減りが早いわけだが、そんな状況を許容するコンフィギュレーションでもある。
浮沈子は、どうも、減圧症が増えることに繋がるのではないかと懸念しているのだ。
そこで提案なのだが、CCRの時にサイドマウントして持っていく、6リッターの細身のタンクを使用するというのはどうだろうか。
6リッター2本なら、12リッタータンク(ってあるのかあ?)1本を持ち込むのと同じガス量であり、総量は世界的に普及している11リッタータンクと余り変わらない。
もちろん、2本持ち込むことによるリスクヘッジはそのままだし、変わりばんこに吸うというだけ(ではないんですが)のスキルで、簡単に2本持ちのメリットを享受できる。
何より、タンクが軽い!。
浮沈子は、プールトレーニングの際、このコンフィギュレーションを試して、非常に快適だったことを記憶している(器材の都合で、2日間だけでしたが)。
ただし、その時の経験から、同じアルミのステージボトルでも、ラクスファー(浮沈子のヤツ)とカタリナのそれは、重さが違う。
左右のバランスの最適解を見出すのに、苦労した記憶がある。
バランス命のサイドマウントの構造的な問題だが、ウエイトの位置や、タンクのマウント位置の微調整で解決可能である。
とはいえ、同じメーカーの同じ型式のタンクであるに越したことはない。
ラクスファーは、軽くていいが(持っただけで、重さ違います!)、ボトムが浮こうとするトルクに、どうやって対処するかが問題だな(企業秘密に抵触するため、ここには書けません)。
カタリナは重い!。
スチールタンクじゃないかと思う程、重い。
水中でのボトムの浮き上がりが殆んどなく、微調整がいらなくて済むので、有力な選択肢の一つである。
まあ、どっちでもいいんですが。
タンクだけではなく、バルブやファーストステージなどにも拘りたい!。
バルブは、理想を言えば、グリップが左右で逆になっているものがよい。右側のバルブの開閉時に、身体の外側で操作できる。
ファーストは、どこがいいのかは、浮沈子は詳しくないので同じものであればいいだろうとは思う。
中圧ホースの穴が必要個数、必要な位置にあるかどうかは決定的な要素であって、足りないということはないだろうが、位置的な確認は行う必要がある。
まあ、こんなとこかあ?。
どんなことをしても、完璧に同じじゃないわけだから、後は実装して潜りながら、ああでもない、こうでもないと試すのがよろしい。
それも、楽しみの一つである。
SNS50を買った話は、既にした。
(SMS50ゲット)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/01/16/7194761
シンプルで必要最小限の作りであり、これに6リットルタンクでもぶら下げて、暖かく、透明度の高い南の島のビーチダイビングを、まったりと楽しめたらどんなにいいだろう。
ダイビングサービスが、この提案に乗ってくれれば、いいとこ取りのダイビングを行うことが可能になる。
もちろん、きっちりと2本持ちのメリット、デメリットを説明して、運用計画まで立てられるように教育し、11リッター2本を担がせるというのもアリだな。
さて、二次会も、そろそろ終わりにするかなあ。
水中という人間にとってはヤバイ世界では、器材とスキルに頼って呼吸し、そのかわりとして体内に不活性ガスを蓄積するという宿命を負う。
これは、CCRを使おうが、サイドマントで潜ろうが変わらぬ真理である。
さらにもっといえば、マウスピースを口から離し、数回周りの海水を肺に送り込むだけで、簡単に一生を終えることができる。
ダイビングという行為においては、レクリエーショナルだろうがテクニカルだろうが、基本的には同じリスクが根底にある。
レクリエーショナルが安全で、テクニカルが危険だなどという話は、まあ、後から考えた作り話で、ダイビングを商売のネタにしようと考えた時、教育にかけるコストと、それにより回避できるリスクを天秤にかけ、市場調査とファシリティの意見を聞きながら、まあ、このくらいまでなら、リスクヘッジできると踏んで始めたに過ぎない。
40mまで、無限圧という御伽噺は、こうして生まれた。
嘘っぱちである。
今、レクリエーショナルダイビングで、40mまで潜ることを認めている団体も、程なく30mまでに変更する可能性がある。
いや、もともと18mなのだ。
アドバンスドダイバーという偉そうな名前が付いているが、生身の人間として、ただのダイバーと変わるところは何もない。
ちっとばっかの中性浮力のスキル、不活性ガスのナルコシスを体験させるための、管理された体験潜水。
浮沈子が受けた講習の中で、安全管理に役立ちそうなスキルはこれだけ。
ナイトダイビングや、ナビゲーション、リフトバッグも面白かったが、水中で足し算を間違えたディープダイビングの体験は自分の身体の特性を知るという、貴重な経験だった。
まあ、偉そうなことを書いている割には、その後、空気潜水で38mまで潜ったりして、全然役に立っていないんだが・・・。
まあいい。
水中にいるときは、せいぜい、窒素酔いくらいしか悪さをしない空気の成分は、水中から上がろうとするダイバーの身体を、物理的に蝕む。
もっとも顕著なのは、減圧症といわれる病気で、様々な症状を呈する。
(減圧症)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%9B%E5%9C%A7%E7%97%87
「潜水直後の飲酒は減圧症を招きやすく危険である。」
あろうことか、浮沈子は3年前まで、ダイビングからホテルに帰ってシャワーを浴びると、サンミゲル(フィリピンのビールですな)を、グビグビと飲み干していた・・・。
依存の気があったので、イントラに注意されたことをきっかけに、断酒した。
浮沈子は意志が弱い。
あの、人生で最もビールが、「うまい!」と感じる一瞬だけ禁酒して、他ではそこそこに嗜むなどという芸当は不可能だ。
浮沈子の今後に、飲酒という単語は存在しない。
意志が強いから止めたのではない。
今は、ダイビング直後に「水」という液体を飲み干して、気分だけ「ぷはあ」とやっている!。
減圧症の防止にもよろしい。
なお、減圧症以外にも潜水において罹患する病気は数多くあり、潜水障害と呼ばれる。
減圧症は、その中の一部ということになる。
(ダイビング医学)
http://www.divingmedicine.jp/
この中には出てこないが、浮沈子が注目している疾患は、これ。
(骨壊死)
http://merckmanuals.jp/home/%E9%AA%A8%E3%80%81%E9%96%A2%E7%AF%80%E3%80%81%E7%AD%8B%E8%82%89%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E9%AA%A8%E5%A3%8A%E6%AD%BB/%E9%AA%A8%E5%A3%8A%E6%AD%BB.html
減圧時に血液中に無数に発生するマイクロバブルが、骨に栄養を与える微小血管を塞いで、骨細胞が死んでしまうのだ。
骨壊死自体は、様々な原因で起こるため、ダイビングの減圧により発生する割合がどの程度あるかは知らない。
マイクロバブルの発生自体は、悪いことではなく、肺の細胞壁を通して、体外に排出されていく。
しかし、骨壊死については、どうやら防ぐ手立てがないようだ。
長年ダイバーを業としてなさっていた方が亡くなって、亡骸を火葬すると骨が残らないんだそうだ(粉になってしまうという)。
浮沈子は、テニアンでCカードを取ってダイバーになったのだが、そこで聞いた話だ(亡くなった方がテニアン出身者とかではありません)。
大腿骨骨頭に壊死が起こると、ちと、老後が不安になる。
ダブルタンクを水中に持ち込み、長時間の潜水を行うことは、ダイビングに伴うあらゆるリスクを増大させるという、負の側面も併せ持つ。
もちろん、深場では、ガスの減りが早いわけだが、そんな状況を許容するコンフィギュレーションでもある。
浮沈子は、どうも、減圧症が増えることに繋がるのではないかと懸念しているのだ。
そこで提案なのだが、CCRの時にサイドマウントして持っていく、6リッターの細身のタンクを使用するというのはどうだろうか。
6リッター2本なら、12リッタータンク(ってあるのかあ?)1本を持ち込むのと同じガス量であり、総量は世界的に普及している11リッタータンクと余り変わらない。
もちろん、2本持ち込むことによるリスクヘッジはそのままだし、変わりばんこに吸うというだけ(ではないんですが)のスキルで、簡単に2本持ちのメリットを享受できる。
何より、タンクが軽い!。
浮沈子は、プールトレーニングの際、このコンフィギュレーションを試して、非常に快適だったことを記憶している(器材の都合で、2日間だけでしたが)。
ただし、その時の経験から、同じアルミのステージボトルでも、ラクスファー(浮沈子のヤツ)とカタリナのそれは、重さが違う。
左右のバランスの最適解を見出すのに、苦労した記憶がある。
バランス命のサイドマウントの構造的な問題だが、ウエイトの位置や、タンクのマウント位置の微調整で解決可能である。
とはいえ、同じメーカーの同じ型式のタンクであるに越したことはない。
ラクスファーは、軽くていいが(持っただけで、重さ違います!)、ボトムが浮こうとするトルクに、どうやって対処するかが問題だな(企業秘密に抵触するため、ここには書けません)。
カタリナは重い!。
スチールタンクじゃないかと思う程、重い。
水中でのボトムの浮き上がりが殆んどなく、微調整がいらなくて済むので、有力な選択肢の一つである。
まあ、どっちでもいいんですが。
タンクだけではなく、バルブやファーストステージなどにも拘りたい!。
バルブは、理想を言えば、グリップが左右で逆になっているものがよい。右側のバルブの開閉時に、身体の外側で操作できる。
ファーストは、どこがいいのかは、浮沈子は詳しくないので同じものであればいいだろうとは思う。
中圧ホースの穴が必要個数、必要な位置にあるかどうかは決定的な要素であって、足りないということはないだろうが、位置的な確認は行う必要がある。
まあ、こんなとこかあ?。
どんなことをしても、完璧に同じじゃないわけだから、後は実装して潜りながら、ああでもない、こうでもないと試すのがよろしい。
それも、楽しみの一つである。
SNS50を買った話は、既にした。
(SMS50ゲット)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/01/16/7194761
シンプルで必要最小限の作りであり、これに6リットルタンクでもぶら下げて、暖かく、透明度の高い南の島のビーチダイビングを、まったりと楽しめたらどんなにいいだろう。
ダイビングサービスが、この提案に乗ってくれれば、いいとこ取りのダイビングを行うことが可能になる。
もちろん、きっちりと2本持ちのメリット、デメリットを説明して、運用計画まで立てられるように教育し、11リッター2本を担がせるというのもアリだな。
さて、二次会も、そろそろ終わりにするかなあ。
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