サイドマウントの功罪(毎度)2014年01月22日 13:24

サイドマウントの功罪(毎度)


エコなダイビングというのが、流行りなんだそうだ。

水中の環境を維持し、観光資源を持続的に活用していこうという、人間が勝手に決めたダイビングだという。

水中を泳ぎまわり、ゴボゴボと音立てて集団で泳ぎ回るだけで、水中の多くの生物にとってはいい迷惑であろう。

エコも、タコも、イカも、あったもんじゃない!。

それでも、珊瑚の上に盛大に落下して、ボキボキと折ってしまったり、砂地の水底に着底して、ベントスを潰したり、穴塞いだりするのは、あまりカッコいいものではない。

ドイツなどでは、魚に餌付けすることは、自然に対する過度の介入で、非常に問題視されているようだ。

フィリピンのセブ島におけるジンベイザメの餌付けなど、ダイビング雑誌でコテンパンに叩かれているらしい。

サイドマウントは、エコな潜水を可能にするといわれる。

どうも、良く聞いてみると、水平姿勢を取りやすいので、フィンが着底して砂を巻き上げたりすることが回避しやすいからだということらしい。

そういえば、従来のファンダイビングでは、着底をスキルの一つとして教えていた(墜落:ハードランディングではなく)。

また、着底した状態から、フィンで水底の砂などを巻き上げずに離底する方法なども聞いたような気がする。

エコなダイビングというのは、そんなもんではなかろう。

着底自体がエコではなく、水底近くを泳ぐ時も、フロッグキックや小刻みなフラッターキックなどで水底に影響を与えないように進むことが求められ、水底近くの生き物は、逆立ちして観察するなどの対応が求められる。

当然、浮沈子の苦手な中性浮力については、cm単位の正確さを求められ、流れが多少あるからといって、着底してはならないし、指示棒などを突き立てるなどはご法度である。

そういったダイビングが、エコなのかどうか、浮沈子は詳しくは知らない。

サイドマウントが水平姿勢を取りやすいというのは、少なくともローリングについては、確かにそういえる。

沈むタンクを両脇にして、それよりも高い位置にブラダーがくる。

重いものが下にあり、軽いものが上にあるので安定性は高い。

重いタンクを最上部に保持するバックマウントというのは、浮力のバランスが一番取り難いコンフィギュレーションである。

なんで、こんなものが標準になったのか、浮沈子には解せない。

大方、短時間で多くの顧客を捌き、収益向上を図る指導団体の陰謀に決まっている!。

スクーバの初期の頃からサイドマウントのコンフギュレーションは、実在した。

それも、洞窟潜水などではなく、浅いオープンウォーターの環境で潜っている映像がユーチューブで公開されている。

(クストーの海底世界:動画出ます:50-53秒辺り)
http://www.youtube.com/watch?v=7ldMcV5sLd4

浮沈子にとっては、これからのダイビングのうち、アットーテキな本数をサイドマウントで潜ることになるだろう。

オープンサーキットのレジャーダイビングでは、38本しかバックマウントで潜っていないので、逆転は時間の問題だし、CCRダイビングをサイドマウントで行うようになれば、やがては追いつくことになろう。

今後はCCRでも、ナイトロックスでも(水中では、有害でしかないクウキなどという毒ガスは、吸わずに済むなら吸わないように努力しよう)、サイドマウントで潜る。

前後左右のバランスが決まれば、安全で快適なダイビングを行うことが出来る。

エントリー、エキジットについては、水面でのタンクの受け渡しは、ガイドが行なった方が安全性は高い。

揺れるボートの底で頭部を強打する可能性が高く、ヘタをすると命にかかわる。

金を払っている方が、リスクを負うというのは、納得できない。

タンクを先に上げてもらって、安全を確保してからダイバーが上がるのがいいか、タンク2本をガイドが水面で確保してからダイバーを先に上げた方がいいかは、考慮しなければならない。

未来のレクリエーショナルダイビングでは、ガイドもまた、サイドマウントで潜っているからだ。

しかも、同時にエキジットしようとするカスタマーは、時には10人以上に及ぶわけで、その運用の開発は、これからの課題である。

薄利多売で客から金を巻き上げる立場から言えば、サイドマウントなんて、効率の悪いコンフィギュレーションは、止めて欲しいというのが、正直なところなのではないか。

サイドマウントが珍しがられているうちが、華かもしれない。

サイドマウントの功罪(その後)2014年01月22日 20:28

サイドマウントの功罪(その後)


サイドマウントをスタンダードにした時の、指導団体とダイバー自身のメリットについては、何度か、繰り返し取り上げてきた。

ダイビングサービスや、器材メーカーにとっても、長期短期のビジネスチャンスを生み出す好機である。

乗らない手はないのだが、いま一つ、ノリが悪い。

浮沈子は、その当時のことを知らない(ダイバーではなかったので)のだが、ナイトロックスへの対応の際、メーカーは、ウソをついて販促をしようとした。

いわく、ナイトロックスを吸うには、新たな器材が必要だ(一応、40パーセントまでは、既存の器材でOKということになっている)。

さらに、当時、業界最大手のPADIは、ナイトロックス導入に猛反対であった。

何の説明もなく、翌年から、ナイトロックスのスペシャリティを導入し、商売のネタにし始めた。

公式の反対理由は知らないが、当時の関係者に聞いてみたいもんだな。

我が国の潜水医学の権威である真野先生も、ダイバーが水中で酸素タンクから純酸素を吸うことには、「こころないことをするダイバー」として、公の立場で反対の意を明らかにしている。

そりゃ、まあ、高々32パーセントとか、36パーセントのナイトロックスと、100パーセントの純酸素を同列には語れないという意見があるかもしれない。

しかし、器材の専用を除けば、酸素毒性の考え方(水中での分圧に依存する)は、全く同じであり、区別する必要はない。

分圧の管理に必要な、水中での深度維持のスキルや、業務潜水時の供給方法、減圧ステージや減圧バーなど、方法論の問題であり、ある方法を具体的に採用できるかどうかというのは、主として経済的な問題であり、エンリッチドエアナイトロックスを導入するかどうかの根本的な理由にはならない。

深度維持が、可能ならば、ボトルからの純酸素を水中で吸わせていけない理由は全く無い。

話が逸れた(いつものことですが)。

要するに、レギュレーターセットを二倍売って儲けようとする器材屋が、ショップの無知に付け込んで、阿漕な商売をしようとしたわけで、ダイビング業界は、その時のトラウマを今も引きずっているのだ。

器材が2倍売れるなんて、甘い話には耳を貸す必要がない!。

サイドマウントでレギセットが2倍売れて、おまけに浮沈子が提唱するアルミ製6リッターシリンダーが売れまくって、BCも売れまくって、メーカーが標準品としない、ポシェットなどの小物や、ホースを挟み込むタンクベルトなどの消耗品も売れて、いうことありませんよ!、ってな話には、「おい、ナイトロックスの時の話の二の舞じゃねのかあ?」と、キツイ一言を食らわせるわけだ。

その後、ナイトロックスは、我が国では、レジャーダイビング業界なんかが我が国から消えて無くなったって、痛くも痒くもないお役所の規制が厳しくて、一向に普及していない。

ごく一部のショップが、努力しているだけである。

未だに、せいぜい40パーセントくらいまでしか対応できないメンブレン方式だろうが、100パーセントの酸素を扱うのと同様の設備と資格を要求している。

何も変わっていないし、お役所は、変える気が全く無い。

水中で酸素を呼吸することのリスクは、民間では管理できないというのが前提にある考え方だ。

むしろ、厳しい参入規制を掛けて、実質的に禁じることによって、高圧ガス製造事業者やダイバーの安全を確保してやっているくらいに考えているに違いない。

本来なら予防できるはずの潜水障害を、自分たちが発生させているなどとは、思いも及ばないだろう。

そして、彼らは「禁じたことなど一度もない」という紛れもない事実によって、責任を免れるのだ。

そう、誰も禁じてはいない。

禁じているのは、医療用酸素の販売だけだ。

工業用酸素を入手し、自己責任でリスクを承知の上で安全管理を行えば、誰でも自由に吸うことができる。

そうでなければ、浮沈子がCCRで濃いヤツをガバガバ吸うことは出来ない(最近、吸ってないので、あのスッキリ感が味わえないのが残念・・・)。

ただし、このルートは限られた形でしか運用できず、その辺のショップに酸素洗浄済みのボトルを持ち込んで、「200バール、パツンパツンに入れてくださ-い!」といっても、相手にしてくれる所は、事実上皆無に近い。

あれ?、また、話が逸れている。

まあいい。

サイドマウントの器材については、アルミシリンダーの耐圧試験のコストの問題だけが気になるだけで(KHK刻印付きの6リッターのアルミシリンダーって、出回ってないような・・・)、それ以外は、サイドマウント用器材を扱う輸入総代理店もあるようだから、全く問題ないと考えている。

ホリス、UTD、ハルシオンは、既に国内でも調達可能だし、Xディープやレーザーも、そのうちどこかが扱うかもしれない。

不良品の交換や、使用に当ってのインストラクターの紹介などにも対応してくれると思われる(だいたい、特定の数人に行き着くようなんですが・・・)。

自己流での使用は、ホリスの場合はメーカー側で文書で禁じているし、実際、下手な対応だと危険が伴う。

宣伝とかではなく、金額も妥当なので、是非、コースで学んでおくべきだと、浮沈子は明記しておく。

レギュレーターは、ロングホース付きのセカンドが登場するくらいで、目新しいものは何も無い。

残圧径のホースを短いものにしたり、インフレーター用のホースを短いものにしたりというのはあるだろうが、大した話ではないし、どうにでもなる話だ。

ブレークすれば、いい線行くかもしれない。

しかも、ナイトロックスの話に出てくる規制当局は、ここには登場しない。

民間の責任で、オウンリスクで好きにやってみろ、というわけである(太っ腹というか、そんなとこまで手が回らないというか)。

タンクとレギセットを2つ持ち込むわけで、ちゃんとしたトレーニングを行って運用すれば、むしろ、安全性の向上に大きく寄与するわけだし。

パディのテックレック戦略に、騙された振りして乗っかってみるのも悪くはないかも!。

このとき、欲を出して、シリンダー1本での変則サイドマウントを行うべきではない(スキルとして教えてはくれる)。

いくつかのメリットはあるだろうが、本質的な、シングルタンクを凌駕するパフォーマンスを持つ、ダブルタンクのレクリエーショナルへの普及という、本来の在り方を曇らせてしまう。

サイドマウントは、2本持ちであることに、大きな意味があるのである。

今日は、金儲けの話を中心に書いてみた(やっぱ、違う?)。

民間の事業変化は、変化の先に増収増益が無ければ話を進めにくい。

同程度の収益では、リスクを取ることは簡単にはいかない。

アットーテキに儲かる話など、そう滅多にあるわけではない。

世の中のダイバーを、しっかりと教育してもらって、浮沈子のように、1本持ちで潜ることが恐くて仕方ないと思うように洗脳することが出来れば、しめしめである。

もちろん、その考え方は、従来のシングルタンクと相容れない話なのだから、そんな危険なダイビングを並行して行うわけにはいかない。

ウチは、サイドマウントしかやりません!。

パディがそんなことをいうわけはないと思うが、わからんぞお!。

金儲けになると踏んだ途端、今まで目の敵にしていたナイトロックスを、一夜にしてスペシャルティにした前科(?)もある・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

浮沈子は、ここでも提案したいことがある。

サイドマウントというのは、やはり、長時間潜水を可能にするという面もある(今までのタンクを2本持ちで潜った場合)。

安全管理が十分にできれば、軽い減圧を含むダイビングを許容してもいい(おお、テックレック!)。

そしたら、ほら、いろいろ売れそうなグッズ(器材のことかあ?)があるじゃないですか!(マーカーブイとか、リールとか)。

使い方をマスターすれば、多少いい加減な中性浮力でも、きちんと減圧できるわけだし、そもそも安全性の向上にも寄与する。

さらに、潜水時間の長期化は、トイレが近くなるという、避け難い生理的な欲求にも対応することが必要になる。

そういう需要が多ければ、対応するスーツも必要になる。

様々な器材の販売が促進され、そのスペシャルティが売れ、笑いが止まらないんじゃね?(だといいですなあ!)。

現実の世の中は、金で動く。

パディのマークがトーチを掲げたダイバーの柄であることは知られた話だが、そのうち、背中のタンクがなくなって、サイドマウントに変更されたデザインになるかもしれない。

極秘任務(その1)2014年01月22日 21:51

極秘任務(その1)
極秘任務(その1)


サイドマウントダイバーとしての修行中の身であるにも拘らず、勝手にサイドマウントのダイビングをしてきた(聞いてないけど?)。

いやはや、これがイントラに知れた日には、破門は免れまい。

まあいい。

実際にダイビングをしたのは2日間。

サイパンのとあるサービス(迷惑がかからないように、伏せます)で、ボートダイブ2本とビーチダイブ2本の計4本。

本当は、3日間のダイビングを計画していたのだが、初日は当日朝の体調が悪く、ドタキャン。

手配したナイトロックス6本のうち、1本は吸わなかった。

久々のナイトロックスの吸い心地は上々!。

というか、浮沈子は、タンクからナイトロックスを吸うのは生まれて初めてである(講習の時には、座学だけで吸わなかった)。

エキジットした後の爽快感(すっきり感)は、CCRと共通のものがある。

吸ったのはナイトロックスⅠ(32パーセント)で、最大深度は、33mなどといわれている(PO2=1.4の場合。浮沈子の場合は、CCRでの経験から、PO2を1.6まで許容するので、40mまでと考えている)。

本来なら、O2センサーを持ち込んだり、店のセンサーを借りて測定してからでなければ吸ってはいけない(と、教わる)。

そこんところは、柔軟に判断して、まあ、今回はいいことにしよう!(良い子は、真似しないでね!)。

ボートダイブのポイントは、サイパンのリーフ内、マニャガハ島北部の沈船と大型飛行機の2箇所。

浮沈子には、ローカルのガイドがマンツーマンで付いてくれた。

いいねえ、このサービスは心地よい。

少なくとも、船の上では、介護老人の状態なので、大いに助かる(助けられるう!?)。

サイドマウントのダイバーの受け入れは可能かと、事前にメールしておいたら、OKというので使ってみたサービスなのだが、実際には余り経験はないようだ。

この日も、韓国からのお客さん3人と同船したのだが、ダイブマスターのあんちゃんと、なんとIANTDのロゴ入りメッシュバッグを持って、浮沈子の器材を見た途端、「サイドマウント!、サイドマウント!、・・・?(以下、韓国語で、意味不明)、と聞いてきたねえちゃんと、物静かでダイビング自体は初心者(浮沈子と同じくらいか)の壮年の紳士は、しかし、水中では別行動であった。

ただ、船上で、ボートキャプテンとローカルのガイドに、日本語と英語(らしき、単語の羅列)で、サポートの手順を十分に説明して、2本あるうちのどちらを先に渡すのか、バルブのオープンを確認してから渡してくれ、2本目を渡すタイミングは、ダイバーのサインを確認してからにしてくれ、などなど、エキジットも含めて説明してから、復唱してもらい、一通りのシミュレーションを行った後に、エントリーする。

器材は、いくら楽天家の浮沈子でも、使用実績のないSMS50ではなく、目を瞑っていても何が何処でどうなっているかが分かっているOMSテッセラクトデュアルブラダー浮沈子スペシャル(バックプレートは、イントラに特注で作ってもらったアルミ板)を使用する。

タンクは、カタリナの重い9リッター。

オーラルでBCに給気してからタンクを貰うのだが、2本目を受け取った途端、身体が沈み始めて焦った!。

浮沈子は、耳抜きがうまくいかないことが多く、特に潜水初日、1本目は鬼門である。

インフレーターから景気よく給気して、浮力を確保し、ガイドが待つ水底まで、信じられないほどの時間とガス(ナイトロックス)を消費しながら潜る。

リーフ内とはいえ、流れは強く、おかげで透視度は30mくらいはある。

透視度的にはストレスの低いダイビングだが、流れに対する経験が乏しい浮沈子は、イントラの教えを思い出して、水底を匍匐前進する。

沈船の残骸を盾にして、ガイドのそばに辿り着くまでに、50くらい消費している!。

しかし、グアムでも、似たようなもんだったし、あっちでは、11リッタータンクだから、多少効率はいい。

何とか丸という沈船は、結構大きくて、ガイドは、いろいろな生物をデジカメで撮っては、わざわざ見せに来る。

サメが寝ていたり、ミノカサゴがいたり、美味そうなベラが泳いでいたり、穴にいるカニを、なんとか誘き出そうとしたり、一般のお客さん相手のガイドとしては優秀なのだろうが、浮沈子は、事前に、生物には興味が無いこと、水中でのコンフィギュレーションを確認するために、浮沈子のダイビング中の写真をたくさん撮っておいてくれ、と伝えてあった。

にも拘らず、浮沈子の写真はアットーテキに少なく、美しい魚の群れ、沈船の息を呑む造形、珍しい小さな生き物たちばかりだ(1本目は87枚のうち、浮沈子以外が65枚・・・)。

普通のお客は、きっと、大喜びだろうし、サイドマウントで潜るジジイなんて、被写体としては、これ以上、つまらんものはないというのは、分かるんだが・・・。

それでも、1本目が終わって、2本目の飛行機のレックを含めた全体では、49枚の貴重な画像が手に入った。

2本目は、そのことを指摘して、生き物なんかいいから、オレサマだけ撮れ!、と指示したこともあり、生物は殆んど写っていない(まあ、一応、浮沈子も生物ではある・・・)。

しかし、なんか、数珠のような小さな虫みたいなのに興味があったらしく、浮沈子の撮影をほっぽらかして、30枚くらい連写している。

ジェラシーを感じるなあ!。

これって、そんなに珍しいんだろうか?(画像参照)。

第1回は、とりあえず、こんな感じという程度で、ここまで。

少し、記憶を辿りながら、何回かに分けて書く。