駐機中2014年01月20日 03:52

駐機中


B787のバッテリー発火は、現在のところANA・JALに限って報道されている。

その理由については、既に考察した。

(なぜ日本だけに)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/01/19/7196816

部品としてのバッテリーの取り扱いについて、他社と異なる点があるのではないかというのが、浮沈子の仮説である。

今回は、バッテリーの保管状況とか、運搬方法とか、交換時の作業手順などとは別に、バッテリーの運用上の気になる点を考えてみる。

そもそも、B787バッテリーの発火は、公式には3回しか起こっていない。

(ボーイング787のバッテリー問題)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B0787%E3%81%AE%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%BC%E5%95%8F%E9%A1%8C

「2013年1月7日の現地時間午前10時半頃、成田国際空港からのフライトを終えボストン・ローガン国際空港で駐機中のJAL008便の機体内部の電池から発火した。」

「2013年1月16日午前8時25分頃、山口宇部空港発東京国際空港行きANA692便が香川県上空10000メートルを飛行中に、操縦席の計器に「機体前方の電気室で煙が感知された」との不具合のメッセージが表示されるとともに異臭もしたため、運航乗務員が緊急着陸を決断、午前8時47分に高松空港に緊急着陸した。」

「2014年1月14日、成田国際空港で出発準備をしていた機体前部のバッテリーから白煙が上がり、損傷が確認された。」

ANAは飛行中だったが、JALは、2例とも駐機中の発火である。

普通、飛行機には発電機が積まれていて、機内の電気はこの発電機によって賄われている。

発電用のエンジンは、推力を発生させるエンジンとは別に備えられていて、たぶん、同じ航空燃料を使って発電することができるはすだ(詳しくは知りません)。

地上作業中は、通常このエンジンを使うことはなく、外部からの電源供給を受けて、アンビリカルケーブルを繋いだ使徒のようになっているわけだな(一部の方には、分かりやすい喩え)。

最近は、駐機場のマンホールからケーブルで取り出せるようになっているらしいが、昔は電源車という専用のサービスビークルがあって、これが使用されていた。

(電源車)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E6%BA%90%E8%BB%8A

「空港などで見られる航空電源車も存在する。駐機中のエアコン、照明などのサービス用や、メインエンジンの始動用の電力を供給するのが目的である。」

「これは、航空機(おもに旅客機)がエンジンを切ってしまうと電力が得られないためであり、発電器を装備する車両と、地上電源からの電力を中継する車両があり、後者はGPU(ground power unit)と呼ばれる。現在の中型機以上にはAPUが装備されており、短時間の折り返しなどでは電源車を不要としている。」

(補助動力装置)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A3%9C%E5%8A%A9%E5%8B%95%E5%8A%9B%E8%A3%85%E7%BD%AE

「APUは作動時に騒音や大量の排気ガスを出すので、東京国際空港、成田国際空港や関西国際空港では使用が制限されており、日本国内のその他の空港でも地上施設や車両から駐機中の航空機へ電気や冷暖房を供給する地上動力装置(GPU)への切り替えが進められている。」

「全てが電動化されている航空機であるボーイング787では、APU は電力だけを供給している。空気圧系統が無いのでシンプルな設計になるが、何百kWもの電力が求められるため、大きく重い発電機と独特なシステム要件が必要とされる。」

浮沈子が注目しているのは、APUとして機能しているバッテリーに、JAL機が通常では想定できない負荷を掛けているのではないかという点にある。

駐機中に発火するということに対する原因は、駐機中の全ての負荷について、時系列的に解析を行い、トータルの負荷が、バッテリーに与える影響を徹底調査しなければならない。

まあ、当然、メーカーやキャリア、規制当局である航空局では行っているのだろうが、報道は一切ない。

同様の負荷を掛けての再現実験が、オフボードで行われたという話も聞かない。

もちろん、ANA機は飛行中の発火なので、異なる原因が想定されるが、地上に駐機中に既に問題が発生していた可能性もある。

当局からの発表がないので、これらの発火事故の詳細については不明である。

え?、そんなことは一切やっていないって?。

そんなこたあ、いくらなんでもないだろう。

少なくともJALについては、全世界で唯一、787のバッテリー発火事故を駐機中に起こしており、放電のみを行っている際の、何らかの負荷が原因となっている可能性はあるわけだ。

世界中のどこの航空会社でも行っていないような作業が、この間に行われており、それが元でバッテリーの負荷が一定の条件を満たせば発火に至るということが実証できれば、特定の航空会社に事故が限定的に発生していることの合理的な説明がつくのではないか(「呪い」とかじゃなくって!)。

わざわざ、「一定の条件」と書いたのは、ピーク値だけではなく、発火に至るプロセスを明らかにするためには、あらゆるパターンを想定すべきであるからだ。

幸いにも、大気圧での発火であり、オンボードであれ、オフボードであれ、再現は容易だ。

今回の発火事故が、関係者にとってショックだった(?)のは、B社の対策は、少なくとも発火を抑制するという点では、完全ではなかったということを、証明してしまったということだ。

効果がなかったかどうかは、今後の調査を待つしかないが、さらなる改善が必要なことは、「火」を見るより明らかだな。

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