ワンウェブはスターシップの夢を見るか2020年09月04日 00:34

ワンウェブはスターシップの夢を見るか


いい感じで70機位の衛星を上げたところで力尽きて倒産したワンウェブ。

英国政府とインドの会社に救ってもらったわけだが、順調に衛星数を伸ばし続けているスターリンクに10倍返しされてほとんど詰んだ状態になっちまった。

今後の展開については、英国政府の意向も入ってきて、GPS衛星に格下げにされそうだしな(そうなのかあ?)。

5月には、4万機の衛星を打ち上げると怪気炎を吐いてはみたものの、具体な見通しがあるわけじゃない。

そもそも、現実的にそれだけのコンステレーションを展開する手段がない。

ああ、ないわけじゃないか・・・。

われらがスターシップがものになれば(究極のタラレバだがな)、衛星打ち上げ能力は余剰しまくる(現在のファルコン9でさえ、衛星需要がないから、仕方なく自社のスターリンクを上げてるくらいだからな)。

一度に400機もの衛星を上げられるようになれば、スターリンクだって軽くこなして余剰打ち上げ能力を持て余すことになるかもな(未確認)。

そこは民間企業だから、金さえ積めばライバルだって打ち上げるかもしれない。

相当吹っ掛けても、ほかに手段がなければ縋りつくしかないわけで、かなりの衛星を打ち上げてもらう必要が出てくるに違いないのだ。

全部とは言わないまでも、せめて半分くらいは頼まないとな。

他の打ち上げロケットとは桁が違う安さになるから、競争にはなるまい。

しかし、S社にしてみれば敵に塩を送る様なもんだからな。

おいそれとは引き受けられないかもしれない。

当然のことながら、相互乗り入れとか、相互補完の構想を抱き合わせて考えることになる。

競争してお互いに潰し合うのではなく、協力関係を築き、ウインウインでウハウハ儲けようという魂胆だ(そうなのかあ?)。

上手に棲み分けることができれば、ユーザーにとってのメリットも大きいかも知れない。

ユーザー端末で差別化するとか、移動体通信で強みを出すとか。

衛星間通信を実現できれば、スターリンクはバックボーンとしての強みを最大限に発揮できる。

ワンウェブの通信を地上局経由で受けて、地球の裏側に衛星間通信で届けたりとかな。

んでもって、ラストワンマイルはワンウェブに返すわけだ。

あるいは、超低軌道V帯での低遅延高速通信はスターリンクが受け持ち、中軌道Ka帯の中遅延中速通信や、雨天時のバックアップはワンウェブに任せるとかな。

低軌道通信網は、なにしろ数が命だからな。

相互に排除するより、協力して商売した方がいい。

地上に有線張り巡らして、人海戦術でインフラメンテするより、衛星打ち上げてコンピューター任せで管理した方が絶対的にコストは下がる。

都市部とかでは有線の方がメリットがあるかも知れないが、郊外ではいい勝負だろうし、ド田舎ではアットーテキに衛星が有利だ。

海上、僻地、極地、離島、砂漠、ジャングル、大草原などでは、他に選択の余地はない。

そんなところに需要はないと言うなかれ。

そんなとこでも、高速インターネットが繋がるようになれば、人口シフトが起こる可能性もある。

21世紀後半は、Iターンの時代になるかも知れない。

物流にしても、これからはロボットが運ぶ時代だし、大概のものは3Dプリンターで作れるようになるかもしれない(材料とかは運んどかないとな)。

労働集約的産業を担う人々は僅かで済み、その他大勢は情報集約的産業に従事してリモートワークが基本になれば、通信インフラさえあれば人里離れていた方が住みやすいかも知れない。

飲み会さえ、ズームで行う時代だからな。

VRと統合されれば、リアルな時間を過ごすより、ネットワーク上の仮想現実空間で過ごす時間の方が長くなるかもしれない。

行きつくところは、当然、マトリックスだな。

やれやれ・・・。

話を戻そう。

何処でもインターネットの需要は果てしない。

その究極のインフラが衛星コンステレーションかも知れない。

バックボーンからラストワンマイルまで(最近は、その間を繋ぐバックホールが注目されているようだ)。

あらゆるネットワークの階層を、縦横ににカバーする。

もちろん、有線ネットワークは一部では生き残るかも知れないが、そっちの方が例外になる可能性もある。

ネックはメンテナンスコストだ。

衛星インターネットは、上げてしまえば後はほったらかしでいい(そうなのかあ?)。

製造コストや打ち上げコストは、技術の進歩で安くなる一方だしな。

価格低下と需要喚起のクロスする、どのタイミングでビジネス化するかというだけの問題だ。

20世紀は早過ぎた。

22世紀では遅過ぎるだろう(たぶん)。

21世紀の今、打ち上げコストの画期的な低下が見えてきた時点で事業化に踏み切ったS社の判断は、大きく間違ってはいない。

まあ、スターシップが出来なければそれなりの規模で終わり、事業は失敗する可能性もある。

それだけの需要が喚起できなければ、コストが重くのしかかり、潰れていくことになる。

そこで、ワンウェブの存在意義が出て来るわけで、昨日の敵は今日の友、呉越同舟というわけだ。

文字通り、打ち上げロケットに相乗りするかもしれないしな。

ひょっとしたら、スターシップの完成を待たずに、ファルコン9で上がるかも知れない。

数で勝負だから、3機位の相乗りじゃあ話にならないけどな。

S社だって、当面ライバルになるリスクが少なければ、金が入ってくる方がいいに決まっている。

お客様は神様だ・・・。

どーせ、英国政府の意向が入ってくるとすれば、初めから商売っ気むき出しという話にはなるまい(防衛とか、そっち優先になるかも)。

そういう切り口で数を増やし、ゆくゆくはコンステレーション間のコラボレーションに持って行く。

そんなシナリオだって考えられなくもない。

まあ、どうでもいいんですが。

ワンウェブが切り開いてきた21世紀の衛星インターネットビジネス。

それを、ここで潰えさせてしまうのは惜しい。

ファルコン9でも、スターシップでも、何でもいいから乗っけてやって、ビジネスを成功に結び付けてもらいたいもんだ。

S社に、それだけの度量と先見の明があるかどうか。

ブリキ缶にエンジン付けて飛ばすのと、せこくフェアリングを回収しに行くのが同居する会社だからな。

ワンウェブがS社のロケットで打ち上がる時、新たな時代が始まるのかも知れない。

ああ、そういえばアマゾンのカイパーとかもあったけどな。

あっちは、金に糸目をつけない道楽だからな(そうなのかあ?)。

100億ドルの札びらで、顔をひっぱたくような話だ。

勝手にやらせておけばいい。

衛星数も、数千機に留まり、いつ飛ぶか分からないブルーオリジンのニューグレン頼みだ。

カイパーこそ、スターシップでさっさと打ち上げたい気持ち満々だろうが、頼んで来たら断っても差し支えない(スターリンクを首になった連中だしな)。

アマゾンで、打ち上げロケットでも買えばあ?。

「スペースレーザー」現る:スターリンク衛星間光通信実験始まる2020年09月04日 10:12

「スペースレーザー」現る:スターリンク衛星間光通信実験始まる
「スペースレーザー」現る:スターリンク衛星間光通信実験始まる


昨日書いた記事の続き。

(SpaceXはStarlinkネット衛星サービスのプライベートベータを検証中、低遅延と100Mbps以上の速度を確保)
https://jp.techcrunch.com/2020/09/04/2020-09-03-spacex-confirms-starlink-internet-private-beta-underway-showing-low-latency-and-speeds-over-100mbps/

「彼女はまた、SpaceX社が最近Starlink衛星間リンクを完成させたことにも触れた。このリンクは、衛星間通信では最速の速度で、光レーザーを介して数百GBのデータを衛星間で転送することができる。これはStarlink衛星が地球を周回している間の接続を維持するために、各衛星間のハンドオフに依存するネットワークの中核的な機能だ。」

このネタは、どうやらスターリンクV1L11の生中継中に明かされたものらしい(ヒアリングがからきしの浮沈子は、全然気付かなかったけど)。

(SpaceXのStarlinkインターネットは、初期テスト中に高速であり、ゲームとストリーミングが可能です)
https://www.cnbc.com/2020/09/03/spacex-starlink-satellite-internet-network-early-tests-show-fast-speeds.html

「宇宙レーザー試験:
Ticeはまた、同社が最近、軌道上にある2つの衛星を、SpaceXが「スペースレーザー」と呼んでいる衛星と接続できるかどうかを確認するためのテストを実施したとも述べています。衛星間リンクとしても知られている宇宙レーザーは、地上にビームを往復させるのではなく、軌道上の衛星間でデータを交換できるようにすることで、スターリンクネットワークに影響を与えます。SpaceXは、衛星間リンクを備えた2つのStarlink衛星を軌道上でテストしました。」

具体だな・・・。

(Starlink Mission:V1L11:動画出ます。)
https://www.youtube.com/watch?time_continue=627&v=_j4xR7LMCGY&feature=emb_logo

件の下りは、ビデオ時間でちょうど10分から始まる・・・。

「We also have a bit of exciting news.
Recently as the starlink team completed a test of two satellite in orbit that are equipped with our inter-satellite links which we call 'space lasers'.
With 'space lasers', the starlink satellite were able to transfer hundreds of gigabytes of data.
Once these 'space lasers' are fully deployed starlink will be one of the fastest options available to transfer data around the world.」(字幕転記浮沈子:スペリングミスご容赦!:翻訳は記事の引用通り)

Ka帯ではなく、明確に「スペースレーザー」と呼んでいるからな(相変わらずクサいネーミングだ・・・)。

「これらの宇宙レーザーにより、Starlink衛星は数百ギガバイトのデータを転送することができました」

「SpaceXがネットワーク全体で一貫して「スペースレーザー」を機能させると、「スターリンクは世界中のデータを転送するために利用できる最速のオプションの1つになるでしょう」と彼女は付け加えました。」

現在は、まだ2機の衛星の間での通信テストに留まっているようだが、コンステレーションで実装されれば鬼に金棒になる。

その展開に死角はないのか?。

これまで、大規模な光クロスリンクを実装した事例はない(中国の例はあるけど、まだ少数のはずだ:<以下追加>参照)。

実験的に行われた衛星間光通信や、地上とのアップリンクやダウンリンクはあっても、数百の衛星を光通信のクロスリンクネットワークで接続するのは初めてのはずだ。

今回の衛星(60機)の中に、追加のデバイスを取り付けたものがあるかどうかについては触れられていない。

これからは、多数の衛星間でスペースレーザーで互いを追尾したり、経路制御を最適化する実験が繰り返されるんだろう。

追尾する仕掛けの精度や耐久性も検証されるに違いない。

今後の展開に期待だな・・・。

<以下追加>----------

(中国は新世代の宇宙搭載IoTプロジェクト用のレーザー通信リンクの構築に成功)
https://www.globaltimes.cn/content/1197631.shtml

「Xingyun-2プロジェクトの2つの衛星に搭載されたレーザー通信ペイロードの技術テストが成功」(画像参照)

IoT用だからな。

リッチコンテンツを扱うことはないだろうから、通信速度を追求するより、秘匿性や省エネの方が重要かもしれないな。

<さらに追加>----------

(SpaceX、Telesat LEO Constellation Webcastからの8つのポイント:7月の記事)
https://www.satellitetoday.com/broadband/2020/07/23/8-takeaways-from-our-spacex-telsat-leo-constellation-webcast/

「6. SpaceXは「積極的に」衛星間リンクをターゲットにしている
「衛星間リンクを得ることができるとすぐに、それが私たちがしたいことだとわかります」とホフェラーは言いました。」

「それを提供し、コンステレーションに実装するためには、費用対効果が高いことを確認する必要があります。これは私たちが内部で積極的に攻撃しているものであり、消費者と企業の顧客、そして政府の顧客の両方にとって、システムを大幅に強化することがわかっています。」

技術先行ではなく、商売になるかどうかをキッチリ評価しながら進めているわけだ。

うーん、垂直統合された無敵の衛星インターネット。

他の業者は太刀打ちできないのではないかあ?。