kfujitoの徒然（ｂｙ浮沈子）

ウクライナ降伏不可避：転換


（米紙 “バイデン政権 新たなウクライナ支援戦略まとめる”）
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240127/k10014337611000.html

「バイデン政権がロシアからの領土の奪還を目指すよりも新たな侵攻を食い止め、長期的に戦闘能力と経済の強化を目指す新たな支援の戦略をまとめている」（複数の高官の話：米有力紙ワシントン・ポスト）

この話は、昨年もポリティコが報じていて、このブログでも取り上げている。

（ウクライナ降伏不可避：戦果：＜さらにさらに追加＞参照）
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2023/12/27/9646196

「米政治メディア「ポリティコ」によると、米欧はウクライナ側とウクライナ軍をより防御的な態勢に再配備することを協議しているという。」

同時期に、NHKも取り上げている。

（“欧米当局者 ウクライナ領土奪還支援 見直し検討”米メディア）
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231229/k10014303101000.html

「ウクライナがロシアに占領されたすべての領土を奪還することを支援してきたこれまでの戦略について、見直す検討をしている」（アメリカとヨーロッパの当局者の話：ポリティコ）

今回のワシントンポストの記事は、この流れの延長線上にある。

ゼレンスキー政権にとって、占領されている領土を放棄するに等しい支援方針の変更は受け入れ難いに違いない。

「ウクライナ軍が領土の奪還を目指して去年開始した反転攻勢で目立った戦果が得られていないとした上で、領土奪還よりもロシア軍の侵攻を食い止めるための新たな支援の戦略をまとめている」（初出記事）

「長期的にウクライナの戦闘能力と経済の強化を目指すとし、強いウクライナ軍を構築し、産業や輸出の基盤も立て直していく」（同上）

具体的な話が見えないので、何をどーするのかは分からない。

しかし、問題なのは、そもそもどんな形であれ、支援そのものが出来るのかどうかが問題だ。

「「支援を将来的に保証するものだ」とする政府高官の話も」

NATOからの離脱を公言してはばからないトランプ政権が返り咲くことがあれば、んなもんは消し飛んでしまうだろう。

（米、ウクライナ戦略転換　領土奪還よりも侵攻抑止に注力）
https://nordot.app/1124080741350294328

「バイデン政権は今春、10年先までを見据えた支援策を公表する。11月の米大統領選でウクライナ支援に否定的な共和党のトランプ前大統領が再選される可能性も見据え、米国の支援を将来も保証する狙いもある。」

絵に描いた餅か・・・。

英国などと同じだな。

１０年先にウクライナがあるのかどうか。

あったとしても、実質的にロシアの勢力圏内で、そこでNATO向けの戦車や砲弾を作ることも出来なくなっているだろう。

んな国に、米国民の税金使って、産業や輸出基盤の立て直しをするというのかあ？。

リアリティのない、絵空事に聞こえる。

公表の時期は、ロシア大統領選挙の前後と思われるが、その頃には米国大統領選挙の老老対決が始まっているだろう（ヘイリー氏の撤退）。

浮沈子は、トランプさんの返り咲きはないと見ているが、んなことは分からない。

１１月の投票日になっても分からない。

再び、議事堂が襲われるかもしれないしな。

今度は、裁判所だって危ない（そうなのかあ？）。

まあいい。

バイデン政権が継続するとしても、米国の支援が方針転換したということは重要だ。

米国がウクライナに割くことが出来るリソースは限られている。

前線を支える武器弾薬ではなく、銃後の守り重視ということになれば、ウクライナの戦闘能力は著しく削がれることになる。

砲弾の供給に至っては、現在ですらロシアの１０分の１程度と言われているのに、さらに少なくなる可能性がある。

米国の支援に関わらず、ウクライナ自身が兵士の動員問題を抱え、長期的な経戦能力に疑問を生じているからな。

（ウクライナ兵士訓練は維持、追加軍事支援の資金枯渇も　米）
https://www.cnn.co.jp/usa/35214476.html

「以前に打ち出した支援策に基づき在庫分を取り崩す形で一部の兵器や装備をウクライナへ引き渡す作業は続行している。」

「ウクライナは軍部隊への武器弾薬の供給のあり方について懸念を抱いていると指摘。ロシア軍に立ち向かえる十分な弾薬の確保も危惧している」

「この教習の目標はウクライナ側によるＦ１６の運用を今年実現させることと説明。」（米国防総省のワランダー国防次官補（国際安全保障問題担当））

あれっ？、F-16の運用はこの春からじゃなかったっけえ？。

まあ、どうでもいいんですが。

武器弾薬が足りないのは、今、この瞬間なわけで、１０年後じゃない。

守勢に転じた現在でさえ、前線を支え続けるのに苦労している。

５０万人の兵士が不足する中で、ウクライナはロシア本土への攻撃をエスカレートさせている。

真相は謎のままのロシア輸送機の墜落もあったしな。

軍事的にも、政治的にも、厳しい状況が続いていく。

好転の兆しは、少なくとも今のところ、どこにもない。

もちろん、戦いを続けるか、停戦に合意するかを決めるのはウクライナだ。

昨年の反転攻勢の作戦も、ウクライナが押し切って決めた。

被支援国家が、支援国の言いなりになるわけではない。

んなことが出来るのなら、イスラエル問題で米国が苦労することはないのだ。

ウクライナも、同じことになる可能性が高い。

無理筋と分かっていても、ロシア本土への攻撃は続くだろう。

NATOを引きずり込むための方策になるのかどうかはビミョーだ。

が、ロシアを停戦交渉から遠ざける効果は抜群だろう。

西側の思惑とは異なり、追い詰められたウクライナは歯止めが利かなくなっている。

このまま突っ走れば、停戦や降伏ではなく、国家崩壊になりかねない。

どこかで、ウクライナも転換せざるを得なくなる。

領土奪還を諦め、残った領土を死守する。

停戦するかどうかは考え物だ。

条件次第かも知れないし、結局ロシアを利するだけに終わるならしない方がいいかもしれない。

しかし、その間もウクライナの損失は増え続けていく。

浮沈子的には、さっさと停戦して、戦後統治の話し合いでも始めた方がいいと思っているけどな。

今なら、失う領土はわずかで済む。

この先は、時間が経てば経つほど、失う領土は増え、破壊されるインフラや産業基盤は増え、兵士の命は失われる。

米国の支援戦略の転換は、防御戦を戦うのに十分とは言えないだろう。

停戦を前提とし、戦力の損耗を止め、産業基盤を回復させ、再興を促す程度の規模に縮小する。

それも、１年や２年の話ではなく、１０年単位の話だ。

少なくとも２０２０年代に、反転攻勢が始まることはない。

ロシアは、その話に乗ってくるんだろうか？。

そもそも、ウクライナは乗るだろうか？。

＜以下追加＞ーーーーーーーーーー

（【ウクライナ戦略守勢に転換か】防衛機軸に戦力回復“反転攻勢”武器供与で難局打開は）
https://news.yahoo.co.jp/articles/8f4b07b41e8c0395153d1fc52f8becd7161e195f

「★ゲスト：兵頭慎治（防衛研究所）、小泉悠（東大先端研准教授）」

３３分余りの動画を見た。

新しい話はあまりなく、浮沈子的には時間を無駄にしたと思ったが、最後に小泉氏がロシアの凍結資産の没収の話をしたのが気になった。

（米、ロシア凍結資産3000億ドル接収をＧ７に提案か－ウクライナ支援で）
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-12-28/S6D2TYT1UM0W00

「今月開かれたＧ７財務相のオンライン会合で協議されたが、決定には至っていない。」（１２月２８日の記事であることに注意）

健闘は続いているようだが、法的リスクが大きすぎて、当局が及び腰という話もある。

ロシアはロシアで、対抗措置をちらつかせているしな。

（西側諸国、ロシア資産没収なら最低2880億ドル損失　国営通信が試算）
https://jp.reuters.com/world/ukraine/MBEHKHZM7NLMTMMPQ3ILPJK6BI-2024-01-21/

「ロシアは、西側が強硬措置を進めれば、ロシア側にも没収できる米国と欧州諸国の資産のリストがあると警告している。」

「欧州連合（ＥＵ）とＧ７諸国、オーストラリア、スイスからのロシア向け直接投資額は２２年末時点で２８８０億ドル。」

べらぼーめ・・・。

いい勝負な金額だが、ロシアにとって自国内に投資された資産凍結は諸刃の剣だ。

双方とも、そう簡単には発動できないだろう。

ウクライナは喉から手が出るほど欲しがっているけどな。

検討しているというポーズを示すことも重要だ（そうなのかあ？）。

浮沈子は、西側がロシアとの決別を覚悟しない限り、実現は難しいと見ている。

特に、我が国は天然ガスを依存している関係上、没収することはできないだろう。

「２２年末段階では、米国が９６億ドル、日本が４６億ドル、カナダが２９億ドルのロシア関連資産を保有していた。」

いずれにしても、没収した資産をどう使うかということについては、国庫に入れたうえで予算として支出することになり、議会の制約を受けることになるだろう（未確認）。

そう簡単な話ではない。

まあ、どうでもいいんですが。

兵頭氏が今後注目すべき点として、ウクライナの動員を上げていたのはなかなか玄人受けする話だと思って聞いた。

山のような新兵器が届いても、兵士や砲弾がなければ何の役にも立たない。

動画コンテンツとしてのメインの話は、今年のウクライナが「戦略守勢」に転換するのではないかという点だ。

「戦略守勢とは、敵の攻勢に反撃する目的で意図的にまたは必然的に防御態勢をとること。」

積極防衛みたいなもんか。。

「ロシアに対する防衛を強化し、戦略守勢によりウクライナ軍の戦力を回復させ、攻勢の機会を模索」

ロシアの防衛ライン（塹壕）の略図も出てきたが、どこまで防御力を発揮できるかは不明だ。

スロビキンラインが機能したのは、ロシア側の攻撃（アタックアンドアウェイ）とセットになっていたことを忘れてはなるまい。

防御戦においても、兵力の損耗は避けられない。

少なくとも現在の情勢では、新たな兵力も、武器弾薬も、十分に供給されないまま、戦略守勢の名の下で、ウクライナ側の戦力の回復が出来ずにじり貧になる公算が高い。

浮沈子は、それよりも、追い詰められたウクライナがロシア本土への攻撃を激化させ、NATOを巻き込もうとすることの方が心配だ。

それは、ロシアにNATO侵攻の口実を与えることになるからな。

待ってました！。

まあ、どうでもいいんですが。

イリューシン輸送機の墜落は、未だに真相が不明なままだ。

今後、真実が明らかになるかどうかも分からない。

確かなことはただ一つ。

今年は、去年とは違うということだけだ・・・。

＜さらに追加＞ーーーーーーーーーー

（ハンガリーとウクライナの外相が会談　ＥＵのウクライナ支援など協議）
https://www.sankei.com/article/20240129-P7FD3K3QXVIMZLFYEAZIIYMNWI/

「オルバン政権の高官は会談前、同国がウクライナ支援にＥＵ予算を使用することを原則として容認する姿勢に転じたことを交流サイトで明らかにした。」

「２月１日のＥＵ緊急首脳会議ではハンガリーを含む全会一致で予算見直しが合意される可能性」

おっと、欧州の支援はようやく動き出したか。

ウクライナは、ほっと一息だな。

だが、欧州が一枚岩ではないことは確かだ。

（親ロ派のハンガリー首相、欧州のウクライナ支援にリスク）
https://www.cnn.co.jp/world/35214511.html

「侵略される側にとって、政治的な心理戦は戦争から目をそらす害でしかない。だがこの先数カ月はそうした状況が続くだろうというのが欧州関係者の大方の意見だ。」

「状況がますます緊迫して不安定になる中、オルバン氏が騒動を起こす機会はますます増えるだろう。そしてさらに大きな政治的利益を得ることになるだろう。」

CNNの記者は、混乱の種は尽きたわけではないとしている。

だが、欧州の支援が復活したことはウクライナにとっては重要だ。

こっちも、予算通過を妨げている米国に対する圧力にもなる。

資金面での懸念が払しょくされれば、残るのはウクライナにおける動員ということになる（おっと、砲弾の不足もあったか）。

それでも八方塞がりよりはいい。

こういう転換は、ウクライナにとっては吉報だな・・・。

＜さらにさらに追加＞ーーーーーーーーーー

（ハンガリーとウクライナ、ＥＵ首脳会議控え「建設的」協議）
https://jp.reuters.com/world/ukraine/F5GV7IWKKZKJXCZWEOAVVKTAHI-2024-01-29/

「ハンガリーとウクライナの信頼関係の回復に向けて、心強い一歩が踏み出された。ただ、まだ長い道のりがあり、多くの作業が必要だ」（ハンガリーのシーヤールトー外相）

「ハンガリーは、ウクライナのハンガリー系住民が母国語を使う権利などを侵害されていると主張」

「会談は率直で建設的なものだったと評価し、この問題に関する特別委員会を設置することで合意したと説明」（ウクライナのクレバ外相）

なんだ、ウクライナ支援の凍結解除じゃなかったんだ・・・。

「外相会談では、支援策に対するハンガリーの姿勢に変化はなかったと見られる。」

「これは二国間の問題ではなく、ＥＵで議論される問題だ」（シーヤールトー外相）

まあ、それが筋というもんだけどな。

しかし、それだけのために、このビミョーな時期にウクライナを外相が訪問するんだろうか？。

それはそれで、いささか不自然な気もする。

いずれにしても、２月１日のＥＵ緊急首脳会議の行方に注目だ。

ロシアの凍結資産についてもニュースが上がっている。

（ＥＵ、ロシア資産の利益確保で基本合意　ウクライナ支援に活用）
https://jp.reuters.com/world/ukraine/LM4RYD6ANNM6XFEWN64WYFBSP4-2024-01-29/

「欧州連合（ＥＵ）は２９日、欧州で凍結されているロシア中央銀行の資産から生み出される数十億ユーロの利益を確保することで基本合意した。」

うーん、果実の部分だけ使っちゃおうという話か・・・。

元本には手を付けないから、違法性が少なくなるという理屈なわけだろう（そうなのかあ？）。

しかし、この方法がすんなり実現するとは限らない。

「加盟国が今回の合意内容を正式に採択した後、欧州委員会が確保資金をＥＵ予算に振り替え、その後、ウクライナに送金することを提案するとみられる。」

「首脳会議ではウクライナに対する５００億ユーロの資金支援計画を議論する予定。ただ、この計画にはハンガリーが反対している。」

やっぱ、ハンガリーが反対ということなら、振り替えた予算も含めて使えないことに変わりはない。

ウクライナにとっては同じ状況なわけだ。

そもそも、果実流用の件についての懸念もある。

「フランスとドイツはこの計画に難色を示しており、欧州中央銀行（ＥＣＢ）はユーロの信認を損ない、金融市場を動揺させるとの懸念を示している。」

ロシアが報復をちらつかせる中、市場を大混乱に陥れる方策が実現するとは思えないけどな。

２つのニュースは、マッチポンプな気もする。

そんな中、ウクライナは相変わらず強気の発言を繰り返している。

（ロシア崩壊「１０年以内」　北朝鮮が支援でも攻勢維持困難―ウクライナ高官）
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024012900613&g=int

「ずうたいは大きいが、脳みそは小さい恐竜だ」（ダニロフ国家安全保障・国防会議書記：以下同じ）

「現代社会で生き残れない」

「ウクライナ軍がロシア崩壊のプロセスを加速させている」

「ロシアは他の専制国家から武器を提供されて戦力を強化したが、それは一時的なものにすぎない」

「１平方メートルのウクライナ領を侵略するたびに、多大な犠牲を払っている」

「これは過去の戦争とはまったく異なり、技術が勝敗を左右する」

「ロシアは１０年以内に崩壊する。西側諸国はそれに備えるべきだ」

ロシアを矮小化して、戦意高揚を図るという情報戦の手法は何も変わっていない。

武器弾薬の調達についても、誤った認識を広めている。

ウクライナ国内向けの発信としては理解できるが、西側に対しては逆効果だろう。

まだ、そんなこと言ってるのか・・・。

（ウクライナ侵攻、世界大戦に発展も　ゼレンスキー氏が支援訴え）
https://jp.reuters.com/world/ukraine/W6QI6IEJIBOQ3PPSFTN76ESXUY-2024-01-29/

「ロシアが北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）加盟国を攻撃すれば「第三次世界大戦の始まり」になる」（ゼレンスキー大統領）

やれやれ・・・。

支援に前のめりのドイツでは通用するかもしれないけど、世界は徐々に気付き始めている。

ウクライナの挑発に乗ってはいけない！。

仮に、例えば、バルト３国や北欧が攻撃されたとしても、NATOの全面参戦にはならない。

攻撃の規模に応じた反撃に留まり、ロシアとの早期の停戦交渉に臨むことになる。

NATOの軍事力は確かに強大だ。

脊髄反射的に全面戦争に突入して、第３次世界大戦を引き起こすことは可能だろうが、それこそ「ずうたいは大きいが、脳みそは小さい恐竜だ」（再掲？）。

「ショルツ首相はこのリスクを認識しているようだ」（同上）

西側だって、ショルツみたいなバカばっかしじゃない（そうなのかあ？）。

ウクライナの挑発は、西側の脳みそが小さいと馬鹿にしているのと同じだ。

浮沈子は、ハンガリーとウクライナの交渉に、問題解決の知恵があると見ている。

「ハンガリーは、ウクライナのハンガリー系住民が母国語を使う権利などを侵害されていると主張」

だからと言って、ウクライナとハンガリーがドンパチやるわけではない。

歴史的経緯で、国境と民族は不一致だ。

地続きの欧州は、その典型と言える。

宗教とかも入り乱れているしな。

国内問題でもあり、国際問題でもある。

それを、ドンパチで解決しようというのはいささか時代錯誤な気がする。

「この問題に関する特別委員会を設置することで合意した」（再掲）

問題の解決に前向きに取り組むことで、相互の信頼が醸成され、長期に渡る平和の礎になる。

もちろん、簡単に解決できるわけじゃない。

が、ドンパチに頼らずに解決しようという、相互の意思が重要だ。

ハンガリーは、単なるEUの問題児ではないのかもしれない。

一面的な報道に踊らされないようにしないとな・・・。

＜また追加＞ーーーーーーーーーー

（ウクライナメディアがザルジニー解任を報道、大統領府や参謀本部は否定）
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/ukrainian-media-reports-zarzhnys-dismissal-denied-by-presidential-administration-and-general-staff/

「ザルジニー総司令官が解任された可能性がある」（複数のウクライナメディア）

「ザルジニー解任は事実ではない」（大統領府や参謀本部）

錯綜した情報が乱れ飛んでいるわけだが、火のない所に煙は立たない。

「我々を含む多くのウクライナメディアはザルジニー解任が事実かどうか確認を取ろうとしているが、匿名を条件に取材に応じる関係者らは矛盾した回答（解任されたと回答する関係者と解任されていないと答える関係者がいるという意味）をしている」（キエフインデペンデント紙）

「ゼレンスキー大統領はザルジニー解任に関する法令に署名した」（Censor.NET）

「この法令は発表されておらず海外パートナーとの調整が進んでいる」（同上）

どうも、真相はこの辺りかもな。

伝えられている内容には具体的なものもある。

「ザルジニー総司令官は呼び出されて別のポジションを提案された」（ウクライナプラウダ）

「何処かの大使職を提案されたが彼は拒否した」（同上）

「ザルジニーの後任候補は情報総局のブダノフ中将だ」（Censor.NETの編集長を務めるユーリイ･ブトゥソフ氏）

いずれ、明らかになるだろうが、この事態は想定の範囲内だ。

キエフは、政治の季節に入っているのかもしれない。

（ウクライナ軍総司令官、解任報道　大統領と摩擦続く　政府は情報否定）
https://www.sankei.com/article/20240130-DUP2ACAZGNL33FYYMD6DM35O34/

「ニキフォロフ大統領報道官がザルジニー氏の解任を否定した」（ウクラインスカヤ・プラウダ）

やっぱ、産経は早いな・・・。

＜またまた追加＞ーーーーーーーーーー

（ハンガリー、ウクライナ支援容認を表明　ＥＵ緊急首脳会議控え）
https://jp.reuters.com/world/ukraine/QSVMNTY7SNJZRK5TQFZQJSVEXE-2024-01-30/

「２７日付でＥＵに譲歩案を送り、ＥＵ予算にウクライナ支援を盛り込み、共同で発行する債券を財源に使う案について、「注記事項」を記載するならば容認する立場を示した。」（オルバン首相の側近）

「英紙フィナンシャル・タイムズ（ＦＴ）は２８日、今週の首脳会議でハンガリーがウクライナ支援に拒否権を行使した場合、同国経済に打撃を与える方針を記したＥＵ文書の内容を報じていた。」

「注記事項」とやらが何かは不明だ。

うーん、事態はまだ流動的だな。

ハンガリーが何を考えているのかは分からない。

EUの飴と鞭（鞭だけ？）をかわしつつ、何らかの成果を得ようとしている。

背後で、ロシアがどう動いているのかも気になる。

動いてない？。

そんなことはない！。

まあいい。

結論はまだ出ていない。

ウクライナが安心するのは、もう少し先だろう・・・。

＜もっと追加＞ーーーーーーーー

（ウクライナ政権、ザルジニー総司令官を近く解任か　ＦＴ報道）
https://www.sankei.com/article/20240131-VOQHT7UWEFKB5CB6FZ2NI3CFMI/

「ザルジニー総司令官に国防顧問への役職変更を打診したものの、ザルジニー氏が拒否した」

「ゼレンスキー政権はザルジニー氏の意向にかかわらず同氏を解任する方針」

「メディアに人事情報が漏れたため、解任は当面、延期される可能性」

「ＦＴは、ザルジニー氏が解任された場合、「ロシアの全面侵攻後、ウクライナ軍司令部で最大の改革になる」と指摘」

火のない所に煙は立たない。

ザルジニーが政権から疎んじられていることは間違いないが、あからさまな解任ということになれば、前線への影響や支援国への影響は無視できないほど大きいだろう。

もっと言えば、軍事的には不合理な政治目的を押し付けてきたわけで、そのツケを払わせたわけだ。

敵を過小評価し、貶め、自らの損失をひた隠しにする。

戦時の情報戦というのはそういうものだし、それはロシアも同じだが、ウクライナは度が過ぎている。

それにまんまと乗せられる方がアホなだけかもしれないけどな。

まあいい。

（ロシアの攻勢は春先に頓挫、東部前線巡りウクライナ当局者が予測）
https://jp.reuters.com/world/ukraine/HVTUDNX7C5PH5OKX3UG442Y4NY-2024-01-30/

「ロシア軍はアブデーフカ近郊と「いくつかの戦場でわずかな前進」を果たしただけと指摘。「今は敵が動いている。それは終わり、われわれの動きが始まると思う」と述べた。」（ウクライナ国防省のブダノフ情報総局長）

ゼレンスキーの後任と目される人物だけに、この発言には注目が集まるだろう。

何を根拠にそんなことを言っているのかは知らない。

「ウクライナ軍は、反撃を行いつつ「積極的な防衛」を行っていると表明」

政権は、今でも反転攻勢を続けているとしているし、膠着状態になっていることすら認めていない。

ザルジニーは、膠着状態を認め、その原因を明らかにし、現状での軍事的限界を明確に指摘した。

虚勢を張り、脅しとはったりで凌いできた現政権とそりが合わないのは当然だな。

今年は昨年とは異なる。

そうしなければならないとしていたザルジニーは消える。

やっぱ、今年も昨年と同じことになるんだろうな・・・。

＜もっともっと追加＞ーーーーーーーーーー

（ゼレンスキー大統領、軍や米英の圧力を受けてザルジニー解任を覆した）
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/president-zelenskiy-reverses-zarzhnys-dismissal-after-pressure-from-military-us-uk/

「ザルジニーが自身のクビを副官に告げた後、軍の上級指揮官、米国や英国を含む海外のパートナーが懸念を表明した」（タイムズ紙）

「後任候補に浮上していた国防省情報総局のブダノフ中将や陸軍のシルスキー大将は総司令官のポストを拒否」

「そのためゼレンスキー大統領は総司令官を交代させることを断念」

情報は錯そうしており、それが真実かどうかは分からない。

支援国が、被支援国の人事に首を突っ込む話は呆れる。

が、事態はそういうレベルなわけだ。

ウクライナ軍の指揮官達の間にも動揺が広がっている。

「ゼレンスキーが再びザルジニーの交代を狙ってくるのではないか」

「ゼレンスキーの後押しがなければザルジニーは自信をもって指揮することは出来ないだろう」

「彼は小規模の特殊作戦が得意で大部隊を指揮した経験は皆無だ」（国防省情報総局のブダノフ中将について）

「現場経験だけは豊富だが指揮官からの評判は良くない。軍の立場を守ったり現実の状況に基づいて行動するだけの自立性がなく政治指導部の代弁者と思われている」（陸軍のシルスキー大将について）

つまりだな、ゼレンスキーはザルジニーを解任したいし、本人にもその意向を告げたが、諸般の事情でとん挫したわけだ。

無様だ・・・。

最高指揮官として、切り札である人事権を行使できない。

「2024年に動員するべき数字や立場を巡ってゼレンスキーとザルジニーの相違が激化した」「いま暫くザルジニーは総司令官の地位に留まるものの正式な大統領令によって解任される」「彼の側近もポストから解任されることが予想されている」（ワシントン･ポスト紙）

ブログ管理人は、重要な指摘をしている。

「ゼレンスキーは参謀本部が提案した45万人～50万人という数字について「（装備品の確保、訓練施設の不足、動員者に支払う資金不足、動員に関する潜在的な問題などを考慮して）現実的ではない」と考えているが、ザルジニーは「死傷者の増加によってウクライナ軍は既に兵力が不足している」「（追加動員は）ロシアが動員している40万人に匹敵する必要がある」と反論して対立しているらしい。」

ザルジニーの解任劇は、ウクライナの内輪もめの話ではない。

それは、ウクライナ軍の崩壊が始まったことの象徴だ。

このままいけば、ロシアの勝利は確実になる。

（ウクライナ戦争「ロシア勝利」濃厚　欧米の力が低下「米議会が動かなければ、あと数週間で…」世界は〝多極化時代〟に）
https://news.yahoo.co.jp/articles/a4a00ba2dd00758c7ba116bfcceb4ed1e509a8d7

「ウクライナ軍では、７０歳の老兵、１４歳の少年兵が確認されているほどの兵員不足に陥っている。」

「米議会が動かなければ、（弾薬が枯渇し）あと数週間でロシア軍が勝利する」（米政権の軍事支援担当者）

「ウクライナの敗北は、ウクライナを支援してきたＮＡＴＯ（北大西洋条約機構）、とりわけバイデン政権の敗北を意味する。」

「米国の一極覇権は終わった。」

浮沈子的には、そこまで悲観的ではないけど、ウクライナが危機的状況であることは変わらない。

（ロシア“ミサイル増産”強調 ウクライナはEUの巨額支援焦点に）
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240131/k10014341091000.html

「一部のミサイルは製造数を去年よりも倍増する計画」（ロシアのショイグ国防相）

「新たな設備が導入され、生産量は大幅に増加している。ことしの計画の完全な達成を期待している」（同上）

「主力戦車をひと月に100両以上製造できる可能性がある」（イギリス国防省）

「戦場で失った分を埋め合わせる生産能力があるとして、ウクライナ東部でロシアが進めている攻撃が当面は続く」

「われわれが、より迅速に生産するための多くの努力をしても、ロシアの努力に比べれば、規模も速度も適切ではない」（フランスのマクロン大統領）

やれやれ・・・。

（ＥＵのウクライナ向け砲弾供給、約束の半分に＝ＥＵ外相）
https://jp.reuters.com/world/ukraine/PSZQHOAFYJIQRDW7MKWLW5BRYQ-2024-01-31/

「３月までにウクライナに１００万発の砲弾を供給するという自主目標は達成できず、期限までに届けられるのはそのうち半分強にとどまる」（ 欧州連合（ＥＵ）の外相に当たるボレル外交安全保障上級代表）

既に届けられているのは３０万発と言われている。

残り２０万発か・・・。

「当初の目標達成は年末」

「欧州における砲弾の生産能力はロシアのウクライナ侵攻開始以来４０％増加し、２０２４年末までに年産１４０万発に達する見通し」

つまり、約７０万発が今年ウクライナに渡るが、残りの７０万発は仮に製造されたとしてもウクライナには渡らない。

欧州や、域外に送られることになる。

ロシアの砲弾の年産は現状で２００万発と言われている。

欧州大戦争を見越して、さらに増産に取り組む公算が高いし、北朝鮮などからの輸入も見込まれる。

戦場で実際に使われる砲弾数は、現状では１０対１と言われている。

まあ、それ程極端ではないだろうが、数倍に及んでいることは間違いない。

その状況は、少なくとも今年いっぱいは続く。

苦しい防衛線だ。

（150km先を攻撃可能なGLSDBがテストをパス、まもなくウクライナに到着）
https://grandfleet.info/us-related/glsdb-capable-of-attacking-150km-away-passes-test-and-will-soon-arrive-in-ukraine/

「シンクタンクの分析によれば初回出荷は24発」

なんと・・・。

「GLSDBを継続的に供給するには追加契約が必要＝600億ドルの追加支援を議会が認めなければならない。」

余った部品をニコイチにして生産に踏み切ったわけだが、２４発で終わりになる可能性もあるというわけか。

やれやれ・・・。

これで、ロシア本土を狙えると思ってたんだろうが、クリミアくらいがせいぜいだろう。

性能的には滑空弾だから、迎撃される可能性もある（未確認）。

F-16と同様、戦況を大きく変える要素にはならない。

何かが大きく変わる必要がある。

いや、全てが大きく変わらなければならない。

現在の閉塞状況を打破するためには、ウクライナ自体も支援国も、覚悟を決めて取り組む必要がある。

欧州は、本気でロシアと対峙する必要があるだろう。

欧州大戦争は始まっている。

年間数千万発の砲弾の生産、砲身が焼け付くまで撃ってもうち切れないほどの生産が必要だ。

ああ、大砲（自走式りゅう弾砲）の増産も必要かもな。

その生産力を見せつけない限り、ロシアを思い止まらせることはできない。

ウクライナの「たった」１０００ｋｍの前線で、砲弾が枯渇している体たらくでは、到底大欧州戦争を戦い抜くことはできない。

もしも、それだけの生産能力を維持できないのなら、ＮＡＴＯもじりじりと後退し、苦しい防御戦を余儀なくされる。

米国の支援は、もう期待できないからな・・・。