宇宙空間2013年09月29日 02:06

宇宙空間
宇宙空間


このブログでは、「宇宙」というカテゴリーを定めているが、そもそも、どこまでが空で、どこからが宇宙なのか。

(宇宙空間)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E5%AE%99%E7%A9%BA%E9%96%93

「地球およびその他の天体(それぞれの大気圏を含む)に属さない空間領域を指す。」

大気を持たないか、殆んど無視して差し支えないほど希薄な場合は、天体表面から離れたとたんに、宇宙旅行できるというわけだな。

技術の世界では、確かに「航空」と「宇宙」の区別は、大気との相互作用(揚力や抗力)の有無で区別することになろう。

(航空工学)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%88%AA%E7%A9%BA%E5%B7%A5%E5%AD%A6

「航空工学とは航空機に関する工学的な研究を指すものであり、流体力学・材料/構造力学・熱力学・制御工学などを基礎とする学問である。発展の歴史や扱う対象の類似から、宇宙工学とまとめて航空宇宙工学と呼ばれることも多い。」

「航空機は大気中を航行する能力を持つ交通手段であり、物資や人員を迅速に輸送することが可能である。」

「ベルヌーイの定理に示されるように非粘性の定常流れにおいて流速の大きなところでは負圧が生じることが分かっているが、現実の航空機でも翼に適当な迎え角を与えて表面(境界層)から少し離れた上面の流れを加速させ、発生する負圧により揚力を得て飛行している[要出典](負圧を表面全体について積分して得られる空気力ベクトルのうち、流れ方向と平行な成分を抗力、垂直な成分を揚力と呼んでいる)。したがって、水平定常飛行中の航空機では、揚力および抗力による上向きの成分と下向きの重力、後向きの成分と前向きの推力がそれぞれ釣り合っていることになる。」

なんでまた、こんな話を始めたかといえば、先日記事にした低軌道衛星のことがきっかけである。

(宇宙のフェラーリ)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/09/18/6985522

まあ、くだらん内容だが、航空機と人工衛星がクロスオーバーする時代になっているわけで、概念的な宇宙の定義、実在の空間などを確認しておいた方がいいのではないか、というわけである。

「地表から100kmを超える地点を宇宙空間と呼称するのが慣習である。」

「国際航空連盟では地上から100 kmをカーマン・ラインとして、宇宙空間と大気圏の境界線と定義している」

「国際条約において宇宙空間を定義することは領空の上限を定義することを意味するため、各国とも慎重であり明文化された定義は存在しない。」

微妙な話もあるようだ。

(国連宇宙空間平和利用委員会)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E9%80%A3%E5%90%88%E5%AE%87%E5%AE%99%E7%A9%BA%E9%96%93%E5%B9%B3%E5%92%8C%E5%88%A9%E7%94%A8%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A

「宇宙空間の研究に対する援助、情報の交換、宇宙空間の平和利用のための実際的方法及び法律問題の検討を行い、これらの活動の報告を国連総会に提出すること」が任務である。

(宇宙条約)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E5%AE%99%E6%9D%A1%E7%B4%84

「国際的な宇宙法の基礎となった条約。宇宙空間における探査と利用の自由、領有の禁止、宇宙平和利用の原則、国家への責任集中原則などが定められている。通称は宇宙条約だが、「宇宙憲章」と呼ばれることもある。」

「1966年12月19日に採択された第21会期国連総会決議2222号で、1967年10月10日に発効した。」

ずいぶんと古くからあるようだ。

「領有の禁止
第2条で規定。天体を含む宇宙空間に対しては、いずれの国家も領有権を主張することはできない。」

「宇宙空間の法的地位
宇宙条約は宇宙空間に特別の地位を与えたものであるが、一方で地球における空域においては各国が領空主権を持つ。そのため空域と宇宙空間との境界が問題となっているが、これについて明確には定められていない。境界の確定方法をめぐっては学説が対立しているが、境界の確定は不要であるとする論もある。」

航空と宇宙の境目は、国家主権の問題が絡んでくるようだ。

だから、人工衛星をあまり低い軌道で飛ばすと、領空侵犯の虞があるということだな。

(領空)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%98%E7%A9%BA

「国際法では、その国が主権を有する領空の定義は領海と同じく、その国の海岸線から12海里離れた地点までとされている。」

確かに、上下方向の規定はない。

さて、人間が勝手に決める宇宙の境と違って、自然現象で見たときにはどんなことになるのか。

(大気圏)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%B0%97%E5%9C%8F

「大気は天体の重力によって引きつけられ、保持(宇宙空間への拡散が妨げられること)されている。天体の重力が強く、大気の温度が低いほど大気は保持される。」

「太陽からの距離も、気体分子を宇宙速度(気体分子が惑星の重力による捕捉を逃れる速度)を上回るまで熱する事ができるか否かを決定する要因である。従って、遠く離れ低温のタイタンやトリトン、そして冥王星は、その重力が比較的小さいにもかかわらず大気を保持することができる。」

なるほどね、小惑星イトカワみたいな、表面から1cm離れると宇宙空間になる天体とは異なり、地球のようなドデカイ天体には、重力によって保持されている気体成分があるわけだな。

(地球の大気)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E7%90%83%E3%81%AE%E5%A4%A7%E6%B0%97

「大気が存在する範囲を大気圏(たいきけん)、その外側を宇宙空間という。大気圏と宇宙空間との境界は、何を基準に考えるかによって幅があるが、便宜的に地表から概ね500km以下が地球大気圏であるとされる。」

500kmという数字もあるわけか。

「地球を覆う気体の層であることを強調する場合は「大気圏」、その気体そのものを指す場合地球科学では「大気」、それ以外では「空気」と言い、使い分けられる」

ここで問題になるのは、鉛直構造ということになるのだが、下から対流圏(0 - 9/17)km、成層圏(9/17 - 50km)、中間圏(50 - 80km)、熱圏(80 - 約800km)、外気圏(800 - 約10,000km)とある。

高度については、微妙に異なる記述もある。

(熱圏:右の図参照)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%B1%E5%9C%8F

まあ、約1万キロまで行けば、問題なく宇宙空間として認めてもらえそうだ。

しかし、プラズマ圏(2万キロ以下)や、それを含む磁気圏(高度1,000km以上。太陽側は高度6 - 7万km、太陽とは逆側に100万km以上の尾を引く)など、大気構造とは別の観点からの定義もある。

まあ、これらは、宇宙空間での話と考えていいだろう。

当然、400km程度のISSは、大気圏(熱圏)の中を飛んでいるわけだな。

「太陽からの短波長の電磁波や磁気圏で加速された電子のエネルギーを吸収するため温度が高いのが特徴である。2,000℃まで上昇することがある。」

「熱圏の温度は、あくまでも分子の平均運動量によって定義される。分子の密度が地表と比べてきわめて低いため、実際にそこに行っても大気から受ける熱量は小さく熱さは感じられないはずである。」

「熱圏の大気の分子は太陽からの電磁波や磁気圏で加速された電子のエネルギーを吸収して一部が電離している。この電離したイオンと電子が層になっているのが電離層である。熱圏にはE層、F1層、F2層(夜間は合わさってF層となる)が存在し、また季節によってスポラディックE層が出現する。」

「また高緯度地方では磁気圏で加速された電子などが次々に流入し、熱圏の大気の分子に衝突してそれを励起や電離させ、その分子が元に戻るときに発光する現象が見られる。これがオーロラである。」

「中間圏より下では混合によって大気中の分子の存在比は一様になるが、熱圏は大気の密度が低いため十分に混合せず、重力による分離が起こる。分子量の大きな分子が下に集まるため、80-100 kmでは窒素が 主成分、170 kmより上では酸素原子が、1,000 km程度ではヘリウムが多い。」

重力分離のことは、初めて知った。

「超低高度衛星技術試験機(SLATS)」の記事を読んだ時に、「原子状酸素に関するデータの取得:衛星の材料を劣化させうる原子状酸素(AO)の超低高度域環境及び材料への影響を把握」という記述があって、気になっていたのだが、運用高度である180-260kmでは、酸素が原子となって存在するわけだな。

こんなのもある。

(大気圏外)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%B0%97%E5%9C%8F%E5%A4%96

「地球ではおおむね地表から120kmほどの領域がこう呼ばれる。」

適当といえば、適当だ!。

<まとめ>
・国際法では未定(慣習としては、100km?)
・大気圏としては、120km、500km、1万kmと使い分けている。
・高度によって、大気の状態は層状に変化している。
・高高度では、太陽との相互作用が大きい。

こんなとこか。

どこまでが地球で、どこからが宇宙か。

立場によって異なる境目を、一義的に決めることは出来ないし、そこに線が引かれているわけでもない。

特に、高高度においては、太陽活動の影響が大きく、物理的な特性で線を引こうとしても、おてんとさま次第で物理特性が変化する高度自体が変わってしまうというわけだ。

(ソ連版スペースシャトル復活か 「ブラン」開発再開検討)
http://www.asahi.com/international/update/0927/TKY201309270416.html

「ブラン」といえば、電気ブランしか頭に浮かばない浮沈子だが、「高度1万メートル以上を飛ぶ航空機は将来的に成層圏(10~50キロ)を飛行する可能性を指摘」とあるように、高高度飛行の旅客機が宇宙船と似てくるのは当然だろう。

ブランソンのスペースシップも、将来的には弾道飛行や、低軌道飛行で、地球レベルで超高速移動する宇宙航空機(航空宇宙機でもいいが)に大化けする可能性だってある。

しかし、そこには様々な壁があるだろう。

速度を考えてみても、第一宇宙速度と航空機の速度では桁が違う。

(第一宇宙速度:秒速7.9km)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%87%E5%AE%99%E9%80%9F%E5%BA%A6#.E7.AC.AC.E4.B8.80.E5.AE.87.E5.AE.99.E9.80.9F.E5.BA.A6

(X-43 (航空機):時速12,144 km=秒速3.4km:無人機です)
http://ja.wikipedia.org/wiki/X-43_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)

浮沈子が乗る旅客機の巡航速度は、概ね時速850kmだから、秒速0.2km程度である。

たしかに、成層圏を飛ばなければ高い速度で移動することは出来ない。

熱の壁が存在するのだ。

(熱の壁)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%B1%E3%81%AE%E5%A3%81

(SR-71 (航空機))
http://ja.wikipedia.org/wiki/SR-71_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)

ブラックバードの異名を取る偵察機も、熱対策には苦労している。

「SR-71の機体は、全体の93%にチタンが使用されている。これは、通常航空機で使用されているアルミニウム合金では上記の温度で強度が低下してしまうからである(アルミの融点は660℃に対してチタンの融点は1668℃と高い)。当時はチタン加工については未成熟な段階だったため手探り状態での開発であり当初は部品の歩留まりは10%程度だったとも言われている。」

「高温下での熱膨張を考慮し、機体外装パネルにわずかな隙間を意図的に空ける設計としている。」

「そのため、地上で機体温度が常温にある間は、パネルの隙間から燃料が染み出すため、床には受け皿が置かれた。復活配備の際には技術者はこの燃料漏れ対策に苦心したとも言われる。こうした高熱対策は機体構造だけでなく、タイヤにも必要で、耐熱性を持たせるためアルミニウム粉を使用した特殊なタイヤが使用されている。」

「燃料はエンジンにて燃焼させる前にまず機体を冷却させるために循環し、その後熱交換により高温になった燃料ははじめてエンジンに送り込まれる。オイルに至っては、常温では固体となってしまう製品を使用している。そのため飛行前には最低で24時間前から準備をしなければならなかった。」

SST構想が、如何に無謀であったかは、この記事を読むと納得がいく。

この軍用機でさえ、巡航速度はマッハ3程度である。

秒速1km行くかどうか。

宇宙ロケットがたたき出すスピードが、どれ程のもので、多段式の構成が必要な理由が、はっきりとする。

人間は、欲深である。

いつの日か、宇宙航空機の建造を実現するだろう。しかし、それは今世紀の話ではないだろうな。

はったり2013年09月29日 11:39

はったり
はったり


(はったり)
http://zokugo-dict.com/26ha/hattari.htm

「はったりとはもともと的屋の隠語で殴ることや喧嘩をしかけて脅すことをいった。隠語としては明治時代には使われていたが、一般にも使われるようになったのは戦後のことである。また、一般に広まる中で、実状や実力以上に誇張して言ったり、見せかけるという意味で使われるようになる(はったりの具体例:貧乏なのに金持ちを装う。社長と面識もないのにコネがあるようなことを言う。ピアノを触ったこともないのに弾けるような顔をするなど)。」

生物の世界では、ベイツ型擬態といって、強いものに似た形態をとることで、敵の攻撃をかわしたり、実際の身体の大きさよりも大きく見せかけて、敵を威嚇することは、普通に行われる。

(擬態)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%93%AC%E6%85%8B

人間も動物である以上、はったりをかますのは、当然といえば当然のことであろう。

(多核種除去設備が停止 第一原発で1日持たず)
http://www.minpo.jp/news/detail/2013092911188

「多核種除去設備(ALPS)」というのは、美味しい水を作るという触れ込みの、水道の蛇口に付ける装置の原理で、様々な放射性物質をフィルターに吸着させて除去し、原子炉から流れ出ている日量300トンにも及ぶ汚染水を浄化しようという装置である。

(多核種除去設備 (ALPS))
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/genkyo/fp_cc/fp_alps/index.html

「高性能容器(HIC)」という怪しげなタンクが出てくるが、そのうち、ブログネタにするかもしれない。

さて、記事にもあるように、動き出したと思ったら、1日で止まってしまったらしい。

困ったことである。

当てにしていた装置が動かないというのは、想定外であろう。

さらに、シルトフェンスという単語もニュースに出ている。

(福島第1原発:シルトフェンス破損 数値に異常なし)
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20130926k0000e040212000c.html

「東京電力は26日、福島第1原発の港湾内の放射性物質が海へ拡散しないように設置している「シルトフェンス」が破損しているのを、作業員が発見したと発表した。」

「シルトフェンスは港湾内に設置した水中カーテンで、厚さ0.5〜0.8ミリのポリエステルなどの合成繊維製。」

なんか、原始的な仕掛けだな。

効果があれば、仕掛けはシンプルなのが良いに決まっているが、程度の問題はあろう。

シルト(細かい粒子)はある程度押さえ込めても、海水中に分散している粒子は、水と共に易々と出入りするだろう。

「安倍晋三首相は同原発の汚染水の影響について、「港湾内の0.3平方キロで完全にブロックされている」と発言したが、シルトフェンスは0.3平方キロの内側にあり、「ブロック」の根拠の一つとされている。」

まあ、「影響」がブロックされているということなので、「汚染水」そのものがブロックされているわけではない。

しかも、海流に乗って拡散してしまうため、フェンスの外では、急速に希釈が行われるだろうから、検出限界以下になる可能性はたかい。

生物濃縮とかされない限り、ダダモレであっても、分かりゃしないだろう!。

シルトフェンスは、浚渫などにより巻き上げられた比較的沈降速度が速い粒子を含んだ、けん濁液に対する効果を期待しているもので、放射性廃液の拡散防止効果については疑問が残る。

(福島原発のシルトフェンスがあるから、汚染水は食い止められるとの見方があります...)
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12110907917

気休め程度のもので、拡散しないことを保証するものではない。

排水口とかを全て密封し、念のために、護岸工事も基礎からやり直し、二重の護岸にして間にトレンチを作り、その水を検査して影響がなければ万全だろう。

そうでもしない限り、「完全にブロック」などというせりふは吐けないはずだ。

はったりなのである。

IOC委員達は、まんまと騙されてしまったわけだが、今後、少なくとも7年間は、悔しい思いをしていただこう。

(地下水を海に流出しても、焼け石に水)
http://einstein2011.blog.fc2.com/blog-entry-748.html

地下の難透水層まで掘り下げた遮水壁を廻らせて、完全に遮断するしかないのではないか。

それでも、全く影響がないかどうかは不明だ。

太平洋で取れた魚は、全て汚染されていると考えた方がよいかもしれない。

いや、世界の海は繋がっているので、全ての海産物は、程度の差はあれ汚染されているのだ。

あとは、人間が勝手に決めた基準で判断しているに過ぎない。

そんなことを考えつつ、今日も美味しい魚をぱくついている。

毎時15トンの水を使って、今日も冷却し続ける福島第一原発の冷却水とは別に、地下水による海洋汚染は、今も続いている。

918を作る2013年09月29日 17:25

918を作る
918を作る


918スパイダーを作っている写真があった。

(ポルシェ 918 スパイダーってこーやって作るのね!!!な画像)
http://motorinfomation.blog.fc2.com/blog-entry-147.html

(How Porsche Makes The World's Most Advanced Hybrid:元記事)
http://jalopnik.com/how-porsche-makes-the-worlds-most-advanced-hybrid-747364906

サスペンションは、コンベンショナルなダブルウィッシュボーンで、スプリングやダンパーは、アウトボードである。

前輪をモーターで駆動したり、後輪にもモーター積んだり、上方排気にしているくらいだから、スペースが厳しいのでプッシュロッドを介したインボードサスにして、バネ下重量の軽減を図ることが難しかったのだろう。

その分、バイザッハスペシャル(だっけ?)は、マグホイールを奢って35kgの軽量化を果たしているようだ。

この辺りにも、GTクラスのレーシングカーをモディファイしたカレラGTとの違いが如実に現れている。

カレラGTが純粋なレーシングモデルとして作られたことは、そのV10エンジンの挟角が、等間隔爆発の72度ではなく、空力やサスペンションの自由度を優先した68度になっていることからも明らかである。

勝つための最適化が、行われているのだ。

対して、918は、ロードカーである。

クソ重いリチウムイオンバッテリーを積み、モーターを2つも積み、ボディの中に、ギチギチに押し込んだこれらのデバイスに押しやられて、余ったスペースにしかたなく甘んじているサスペンションが、それを証明している。

だが、おそらく、たぶん、きっと、その動的な性能は、カレラGTを凌いでいるに違いない。

ニュル北のラップタイムが、そのことを暗示している。

電子の力の成せる技である。

リアルタイムに入力を処理して、高速でサスペンションの特性を変化させる。

911の熟成で磨いてきた技術の集大成である。

浮沈子の83タルガから、30年の時間が経ち、トーションバースプリングとビルシュタインのガスダンパーは、頭脳を持った。

強固なカーボン製のシャシーに取り付けられた部品の一つ一つが、練り上げあられた設計と、過酷なテストをクリアーし、性能と耐久性を纏った美しさをかもし出している。

鋼板をプレスして成形した、折り紙細工のような量産車の部品は、一つもなかろう。

それが悪いといっているのではない。

4本のタイヤを履き、地上を走行する乗り物の総称として、自動車という名を名乗っている点では同じだが、工業製品としてみたときには、全く異なる。

違う乗り物なのだと考えた方がいい。

1億円と百万円。

そうでなければ、100倍の価格差の説明がつかない。

しかし、つくづく美しい・・・。

製造工程の最後に、コンピューターでプログラムするところがある。

命を吹き込まれる瞬間だ。

機械の身体に、魂が宿る。

その時こそが、918が生まれるときなのだろう。

83VS032013年09月29日 22:39

83VS03
83VS03


勝負になるかどうかは別にして、出力や車重が近い83タルガと03ボクスターを乗り比べた。

もちろん、浮沈子の所有する2台である。

83タルガがプレステージから戻ってきたので、昨日から乗っている。

相変わらず、左に取られるハンドルと、右コーナーや右折時に、速度に関係なく出まくるアンダー、そして、ブレーキングの際に左に取られたかと思うと、次には右に取られるハンドル・・・。

プレステージの名誉のために付け加えると、今回の入院で、かなり良くなったものの、症状は同じだ。

何も変わっていない。

河岸を変える潮時である。

昨日、アウトバーンモーターの池田さんに電話した。

来週土曜日に持ち込んで、点検と見積りを出してもらうことにする。

(株式会社アウトバーンモーター)
http://www.autobahnmotor.co.jp/

今日も、83タルガに乗ってみる。

第三京浜のいつものコース。

ハンドリングばかり気にしていたのだが、エンジンは、オイル交換でゴキゲンである。

滑らかに回るそれは、官能的ですらある。

ちょこっとタペット音がしているが、まあ、許容範囲だろう。

4000回転から上は、実に美味しい!。

アクセルにゲタを履かせてもらったが、それほど気にならずに踏み込むことができる。H&Tも一応できるようにはなった。

だんだんと良くなる83タルガ。

足回りさえ、ビシッと決まれば、気持ちよいクルマになるだろう。

さて、83タルガが戻ってきたので、再び03ボクスターを疎開させなければならない。

駐車場で入れ替えて、乗り換えたのだが、いや、実に楽チンで簡単で、スムーズで、安心で、乗り味薄くて、欠点のない優等生である(褒めてんだか、けなしてんだか)。

幌の蓋が少し浮いてしまうのが気になるが、そのうち直してもらおう。

高速では床まで踏んで、レクサスと勝負したのだが、向こうは張る気がなく、あっさりと引き離してしまう。

160kmから180km位の速度域では、実に気持ちよく走ることができる。

もちろん、オープン!。

下道に降りてからも、滑らかに回るエンジンと、癖のないハンドリングが実に心地よい。

ティプトロなのだが、必要にして十分な加速がある。

首都高の渋滞も、全く苦にならず、早くなった日暮れの景色を楽しむ余裕すらある。

万能車だな。

人間2人と、適度な積載力があり、長尺物でなければ十分積める。

いや、オープンにすれば、助手席を使って、相当長いものでも積むことができよう(雨でさえなければ・・・)。

しかし、クセがなさ過ぎるのも問題ではある。

愛着が湧かないのだ。

意のままになる、如意棒のようなクルマであるが、手がかからずに、ただ乗るだけになる。

500Eも、最近はそういう感じになってきた。

足車になってきたわけだな。

83タルガは、そうはいかない。

意を決して、何が起こっても動じない覚悟を持って乗るクルマだ(いや、それほどでも・・・)。

少なくとも、サンダル履きでひょいと出かけるわけにはいかない。

しかし、あと少し、足回りさえ直れば、日常的に乗る気になれるクルマだ。

取っ付きは悪いが、懐が深い。

薄っぺらなところがなく、きちんと乗ってやれば、きちんと走る。

ドライバーの関与する余地が、たっぷりとあるのだ!。

そこが、嬉しいところでもあり、悩ましいところでもある。

もう少し、手を入れて、深く付き合いたくなる車である。