筋肉痛2013年09月25日 00:52

筋肉痛
筋肉痛


医学、生理学、生化学などのライフサイエンスに造詣(「関心」くらいか)が深い浮沈子は、しかし、やはり凡人並みに(凡人なので?)筋肉痛になる。

3日間、慣れないコンフィギュレーションで、身体の普段使わない筋肉(「筋肉を普段から使わない身体」が正しい!)を酷使(というほどのものかあ?)したために、動く度に、全身がメリメリと痛む。

大リーグボール養成ギプスを着けているような感じである(着けたことはありませんが)。

(大リーグボール養成ギプス)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%AB#.E5.A4.A7.E3.83.AA.E3.83.BC.E3.82.B0.E3.83.9C.E3.83.BC.E3.83.AB.E9.A4.8A.E6.88.90.E3.82.AE.E3.83.97.E3.82.B9

ちなみに、「ギブス」ではなく、「ギプス」である。

(ギプス)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AE%E3%83%97%E3%82%B9

「日本語のギプスの語源は、Gips(オランダ語・石膏の意)である。しばしば訛ってギブスと呼ばれるが、日本人にとって発音しやすいためだと思われる。」

さて、本題の筋肉痛だが、その前に、筋肉とは何かを明らかにしておこう。

(筋肉)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AD%8B%E8%82%89

「筋肉
・骨格筋:すべて横紋筋かつ随意筋
・内臓筋
・・横紋筋
・・・随意筋:舌・咽頭など
・・・不随意筋:横隔膜・食道の一部など
・・平滑筋:すべて不随意筋、食道の一部を除く消化管・血管など
・・心筋:すべて不随意筋、心臓」

「エネルギーは白筋が酸素を必要としない解糖系を用いるのに対し、赤筋は酸化的リン酸化反応から得ている」

「サルコメア(筋節)
筋原繊維の最小構成単位。これが縦につながったものが筋原繊維である。個々のサルコメアは、ATP存在下で収縮が起こる。骨格筋の縞は、このサルコメアのアクチンフィラメントとミオシンフィラメントが並行に一部分が重なっている配列に由来する。筋小胞体から放出されたカルシウムイオンによりアクチンフィラメントがミオシンフィラメントの間に滑り込み筋肉が収縮する。したがって、そのときにはサルコメア全体の長さはアクチンフィラメントが滑り込んだ分だけ小さくなる。」

「食用に供する食肉は主に筋肉であり、脊髄動物の骨格筋は湿重量の約20%をタンパク質が占め、主にこれを栄養として摂取するために食される。」

「肉と言えば一般に筋肉を意味する。」

なぜか、食う方に関心が偏りがちになるのは、性格の問題?。

ちなみに、死後硬直した筋肉が柔らかくなるのは「筋肉細胞に残存するタンパク質分解酵素プロテアーゼにより筋源繊維が小片化するためであると考えられている(その他にも筋肉中のCa2+(カルシウムイオン)が関与しているとする説もある)。」とある。

これを「解硬」、食肉の場合は「熟成」というらしい。

(死後硬直)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%BB%E5%BE%8C%E7%A1%AC%E7%9B%B4

さて、本題の筋肉痛だが、これが、諸説あるらしい。

(筋肉痛)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AD%8B%E8%82%89%E7%97%9B

「一般に筋肉痛と呼ばれるのは、運動した数時間後から数日後に発生する「遅発性筋肉痛 (英:Delayed Onset Muscle Soreness = DOMS) 」のことであ」るらしい。

べつに、歳をとったから、数日後に痛みが出るというわけではないようだ。

「骨格筋は数千本の筋線維が束になり、この束を筋膜が包むように形成されるが、痛覚を伝える神経終末は筋膜には接合しているものの筋線維には接合していない。このため、伸張性収縮などによって筋肉が過負荷を受けた瞬間(筋線維がミクロレベルで損傷した瞬間)に痛みを感じることはない。よって筋肉痛の原因は、筋肉自体の損傷ではない。ただし、筋膜までも損傷するような疾患(一般的に「肉離れ」と称するもの)の場合は即痛みを伴う。」

そりゃ、別の痛みだな。

「一般的な説明として多いのは、「運動で生じる『乳酸』の一部が筋肉中の毛細血管に長時間残存し、これが筋肉への酸素供給を阻害して鈍痛を引き起こす(肩こり等と同様の現象)」という仮説である。」

えっ?、そうじゃないの?。

「しかし、伸張性運動の場合に筋肉痛が発生しやすいこと、血液中の乳酸値が運動後比較的速やかに下がってしまうことなどとの矛盾が指摘されている」とある。

ほほう!。

「現在最も有力なのは「筋線維とその周りの結合組織の損傷が、回復過程において炎症を起こし、この際に発生した発痛物質が筋膜を刺激する」という説であるが、実際にどのようなメカニズムで炎症を起こしているのかについては、詳しいことがわかっていない。」

なあんだ、まだ研究中なんだ・・・。

「通常は筋線維とその周りの結合組織の回復過程が終息するに伴い、筋肉痛も自然に解消の方向に進む。」

「痛みを和らげる方法としては、冷やす、時間がたってから安静にする・入浴などで筋肉を温めるといった「消極的休息」のほか、軽度の運動やストレッチングなどで血行をよくする「積極的休息」がある。」

ようするに、ほっときゃあ治るというわけだ。

「発痛物質」とあるが、正体は何なのか。

(発痛物質 Algogenic substance, Pain Producing Substance: PPS)
http://www.shiga-med.ac.jp/~koyama/analgesia/subs-algo.html

「以前阪大歯学部薬理学の猪木令三先生の研究室では、研究室に入ってきた人ははじめに、カンタリジン発泡膏試験を体験すると言われていた。」

こりゃあ、立派なパワハラだな。というより、傷害罪を構成する恐れがある。

華岡青洲の妻なんざあ、虐待以外の何物でもない。

(華岡青洲の妻)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8F%AF%E5%B2%A1%E9%9D%92%E6%B4%B2%E3%81%AE%E5%A6%BB

まあ、どうでもいいんですが。

「○内因性発痛物質:K+、プラズマキニン(ブラジキニン/カリジン)、H+(プロトン)、5HT(セロトニン)、ヒスタミン、アセチルコリン、ATP(アデノシン三リン酸)
○発痛増強物質:PG(プロスタグランジン)
○外因性発痛物質:カプサイシン(→起炎物質)」

まあ、PGなどは、種類も多いし、他にもいろいろあるようだ。

(痛み)
http://hobab.fc2web.com/sub4-pain.htm

「痛みは、暖めると増強する場合と、冷やすと増強する場合とがある。一般的には、急性期には、冷やし、慢性期には暖めると、痛みは、軽減する。」とある。

もちろん、例外はあって、「急性痛でも、感染症による炎症での痛みの際には、局所周囲の血管(細動脈)は、収縮して、全身や周囲に、病原体が、広がらないようにしているので、暖めると、却って、病原体や炎症を、全身に広めてしまうおそれがある。」と書いてある。

なかなか難しい。

「16.天候と痛み
慢性痛は、天候変化(気圧低下)により、増強する。」

「気圧が低下すると、交感神経が緊張し、副腎髄質からのアドレナリン分泌が亢進し、末梢血管(細動脈)が収縮し、組織内の血行が低下(虚血)し、酸素(O2)濃度が低下し、組織のpHが低下(乳酸の蓄積など)し、感受性が高まっていた痛み情報を伝達する痛覚繊維が興奮し、痛みが増強すると考えられている。」

「気圧を感知する「気圧センサー」が、内耳に存在する可能性が示唆されている。」

この話が本当なら、ダイビング(超高気圧状態)と痛みとの関係も、当然あるだろう。

面白そうなテーマだな(水中で、SMするのかあ?:サイドマウントだってば・・・)。

まあいい。

ちなみに、サロンパス(久光製薬)には、プロスタグランジンの生成を抑制する秘薬(?)が配合されている商品もある。

(エアーサロンパスDX:フェルビナク配合!)
http://www.airsalonpas.jp/pc/products/details01.html

(フェルビナク)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%93%E3%83%8A%E3%82%AF

「皮膚から痛む患部に浸透し、酵素の1つシクロオキシゲナーゼに直接働きかけることで、炎症を引き起こすプロスタグランジンという物質の生合成を抑制する作用がある。肩・腰・関節痛などの炎症と痛みを抑える効果がある。」だって。

普通のサロンパスは、血行促進効果で、自然治癒を促し、間接的に痛みを和らげるが、DXは、効果が確認されている鎮痛成分(といっても、PGは、痛みを増幅する物質なので、完全に消し去る訳ではなかろう)を叩き込むわけだな。

もう一つの雄、サロメチール(佐藤製薬)も負けてはいない。

(サロメチールID1%スプレー:インドメタシン配合!)
http://search.sato-seiyaku.co.jp/pub/search/dispproduct.php?productid=758&ref=Command%3Dlistup%26SubCommand%3Dfreeword%26keyword%3D%25A5%25B5%25A5%25ED%25A5%25E1%25A5%25C1%25A1%25BC%25A5%25EB%26page%3D

(インドメタシン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%A1%E3%82%BF%E3%82%B7%E3%83%B3

「アラキドン酸カスケードにおけるシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することによりプロスタグランジン類の生成を抑制することによって抗炎症作用を示す。また、抗炎症作用以外に鎮痛作用を持つ。」

これも、PG生成抑制かあ。

いずれも、第二類医薬品の指定があり、薬剤師又は登録販売者が常駐する店舗のみで販売でき、極力購入者へ内容、成分、その他注意事項の簡明な説明が求められる(努力義務)ことになっているようだ。

要するに、普通に売ってるというわけだ。

トクホンにも、フェルビナク、インドメタシンを配合した貼付薬などがあるが、不思議なことに、この2剤を配合した一般薬(第二類医薬品)はないようだ。

(トクホン:一般用医薬品)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%82%AF%E3%83%9B%E3%83%B3#.E4.B8.80.E8.88.AC.E7.94.A8.E5.8C.BB.E8.96.AC.E5.93.81

スプレー剤には、第二類はない。

でもなあ、こうして、記事にしていても、各社からサンプルを送りましょうか、などという奇特な申し出は、全くない。

お近くの、薬局、薬店でお買い求めくださいというところか。

まあいいや・・・。

こうしてみると、一般薬も「乳酸説」ではなく、「発痛物質説」に基づく疼痛抑制を狙っているということが分かる。

筋肉痛は、自分の体が自分自身を修復しようとする時に出る痛みなのだから、じっと耐えるしかない。

痛みを発することによって、脳は、その部位が損傷を受け、修復過程にあることを伝える。

そして、安静を促し、栄養の摂取を促し(?)、食っちゃ寝を促し(??)、痛みが治まることによって、治癒の信号を送るのだ。

完全に痛みを消してしまったら、修復されつつあった組織が、再び損傷を受け、回復が遅れたり、より複雑で難治性の損傷に発展してしまうかもしれない。

それは、個体の生存にとって、好ましからざる結果を招いてしまうわけだ。

2剤併用薬や、疼痛消失を狙った薬を出さないのは、きっと理由があるに違いない(別々の成分のスプレーを買ってきて、シューッとやれば同じだが)。

痛みがひどくて、食欲がなくなったり、十分な睡眠が取れないほどだと、疼痛を管理して、自己修復やQOLを確保する必要がある。

(ペインクリニック)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF

「ペインクリニックは、主として疼痛を主訴とする疾患の診療部門であり、神経ブロックによる治療を中心に行う医療機関である。基本的には麻酔科の医師が行う。」

「基本的には保存療法が図られ、早期社会復帰やQOLの改善を目指す。神経ブロック以外には、薬物療法、理学療法、リハビリテーション、電気刺激療法、東洋医学、心理療法なども扱う。」

幸い(というか、当たり前だが)浮沈子の筋肉痛は、麻酔医のお世話になるほどのものではない。

安静にして、回復を待つことにしよう。