ギアードエンジン ― 2014年03月05日 04:39
ギアードエンジン
三菱の国産ジェット機のエンジンも、ギアードエンジンなんだそうだ。
(MRJ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/MRJ
「エンジン型式:
・プラット・アンド・ホイットニー PW1215G ギヤードターボファンエンジン
・プラット・アンド・ホイットニー PW1217G ギヤードターボファンエンジン 」とある。
エンジンの型式の最後に「G」とあるのが、P&Wの場合の見分け方なわけだな。
(ギヤードターボファンエンジン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AE%E3%83%A4%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%9C%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3
「一般にターボファンエンジンは、ファンの直径をより大きくする、すなわちバイパス比を大きくすることで燃費を改善することができる。バイパス比を大きくする事は、すなわちファンと低圧タービンの直径の比が増える事を意味するが、ファンの回転数を変更せずに極端に大径化すると、ファンブレードの先端が音速に達してしまい、造波抗力によって極めて大きな損失を生じてしまう。」
ふむふむ。
「一方、従来のターボファンエンジンにおいてはファンと直結している低圧コンプレッサ及び低圧タービンは、回転数をある程度より下げると圧縮効率が著しく低下してしまう。したがって、ファンの回転数を下げるにも限界があった。」
なるほど、二律背反に陥ってしまったわけだ。
「仮にファンの回転数をファンブレードにとって最適な速度で回転させようとすると低圧コンプレッサ及び低圧タービンの回転数は下がり、その為、ファン及び低圧コンプレッサを回転する為に必要なエネルギーを取り出す為に低圧タービンの段数を増やさなければならないというジレンマが生じる。」
「ここで遊星歯車による減速機構を導入し、低圧圧縮機軸とファン軸の間のギア比を変えることでファンと低圧タービンをそれぞれにとって最適な回転数で運転することが可能になる、と言うのがギヤードターボファンエンジンの基本的なコンセプトである。ファンと低圧コンプレッサが自身にとってより高効率な回転数で回転できる事により、エンジンの圧縮機段数と部品点数を減らす事が出来る。」
しかし、ギアを噛ませれば、その分のエネルギー損失と、部品点数の増加となり、最適解に落とし込むのは大変だ。
「このような仕様のエンジンとしては、長年使用されているハネウェル TFE731、ハネウェル ALF 502/507や、最近のプラット・アンド・ホイットニー PW1000Gがある。」
なんだ、結構あるじゃん!。
しかし、問題もある。
「低燃費:
GTFは、バイパス比の増大によって燃費が改善される。例えばPW1000では従来型比12%の燃費改善が謳われている。」
たかだか、12パーセントしか改善されない。
「遊星歯車機構の採用:
GTFには減速機構として遊星歯車が用いられる。この遊星歯車の数は、ファンの高出力に耐えるため、他用途の場合より増加しており、より複雑な機構となっている。遊星歯車の数は、通常の用途では3個が一般的であるのに対し、例えばPW1000では5個の遊星歯車が採用されている。なお、大出力エンジンに遊星歯車を採用しようとする場合、更なる大出力に耐えるためにより一層複雑な機構を採用せざるを得ず、機械駆動による騒音、振動の増加、信頼性、メンテナンス性の低下などの問題が顕在化するため、遊星歯車を採用して問題が生じないのはPW1000程度の低出力型に限られる。」
例えば、旅客機最大のエンジンを搭載するボーイング777の場合、GE90-115Bエンジン(777-300ERに搭載)は、「推力: 海面高度で最大: 115,300 lbf (512.9 kN) ; 世界記録 127,900 lbf (568,9 kN) 高度827で達成」となっており、17000ポンドのMRJとは、桁が違う。
(ゼネラル・エレクトリック GE90:仕様)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BC%E3%83%8D%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF_GE90#.E4.BB.95.E6.A7.98
また、ファンのピッチを変えて、効率を上げる方法もある。
「なお、ターボプロップエンジンでは、遊星歯車機構に加えてより複雑な可変ピッチ機構とが採用されているものもあるが、実用化されているのは、PW1000Gのコア出力に相当する1万馬力級までであり、これを大幅に超えるような大出力エンジンは実用化されていない。ちなみに、従来型のターボファンエンジンではPW1000の数倍の推力をもつものが実用化されている。」
ターボプロップですか、YF-11ですな。
懐かしい!。
しかし、ニュースを見ていたら、こんな記事があった。
(ロールス・ロイス、次世代エンジン設計を発表 CO2排出量は2割超削減)
http://www.aviationwire.jp/archives/32902
「同社では、新たに2つの次世代エンジン設計を加える予定。1つ目の開発プロジェクト名は「Advance」。初代Trent(トレント)エンジンとの比較で、燃焼効率と二酸化炭素排出量が20%以上改善し、2020年までの商業化を予定している。」
「2つ目の「UltraFan」は、2025年以降に利用可能となる技術に基づいた、可変ピッチ翼システムを持つギヤード設計のエンジン。同エンジンは燃焼効率、排出ガスともに初代Trentエンジンとの比較で、25%以上向上する予定となっている。」
つまり、ギアードエンジンと可変ピッチで25パーセントはいけると踏んでいるわけだ。
アドバンスが、何で20パーセントも稼いでいるのかは不明だ。
「燃焼効率を最大化し排気ガスを削減する新しいエンジンコア構造や、カーボン/チタンのファンブレードや複合材ケーシングの採用により、機体当たり重量を1500ポンド(約680.4kg)削減する「CTiファンシステム」、耐熱材料を使い高タービン温度環境内での動作効率向上する先進セラミックス基複合材料、高推力、高バイパス比を持つ未来型エンジン向けの「UltraFan」といった特徴がある。」
気になる記述もある。
「同社はオープン。ローターエンジンに対する需要が生じた際に対応できるよう、同エンジンコンセプトを支える技術の開発や試験を実施している。」
これは、明らかな誤植で、「オープンローターエンジン」が正しい。
(そう、プロペラエンジンの復活なのだ 航空機エンジンで半世紀ぶりの技術転換)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20100108/212043/?rt=nocnt
「現在、民間機では大型のケースの中のファンを回転させて空気を吸い込んで、空を飛んでいる。それをオープンローターにすれば、ケースなどをなくし、大幅に軽量化することができる。これが最大の特徴だ。」
「2020年以降に登場する見込みで、これまでの既存エンジンに比べて一挙に2割以上の燃費改善への道を開く「夢の技術」とされる。」
(オープンローターエンジン)
http://ameblo.jp/ae31x/entry-11599194834.html
「川崎重工とロールスロイスが新エンジンの開発をするという記事が出た。燃費がなんと30%も改善し、小型機でも太平洋横断ができるようになるという話だった。これはすごいと思ったのだが、完成予想図を見て、びっくりした。これはプロップファンだ。」
RRの相方は、川重なわけか・・・。
(ボーイング未来旅客機の夢)
http://book.geocities.jp/bnwby020/mirai.html
オープンローターというか、アンダクテッドファンは、昔から検討されているが、騒音や航空機への搭載の問題で、なかなか実用にはならなかった。
その際も、タービンの高速回転を減速するギアの役割は大きく、ピッチ可変プロペラの意義も大きい。
巨大なトルクを受け止めて、減速してファンに伝える遊星ギアの技術。
自動車では、プリウスにも搭載されている。
ギアードエンジンの今後に注目というところか。
三菱の国産ジェット機のエンジンも、ギアードエンジンなんだそうだ。
(MRJ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/MRJ
「エンジン型式:
・プラット・アンド・ホイットニー PW1215G ギヤードターボファンエンジン
・プラット・アンド・ホイットニー PW1217G ギヤードターボファンエンジン 」とある。
エンジンの型式の最後に「G」とあるのが、P&Wの場合の見分け方なわけだな。
(ギヤードターボファンエンジン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AE%E3%83%A4%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%9C%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3
「一般にターボファンエンジンは、ファンの直径をより大きくする、すなわちバイパス比を大きくすることで燃費を改善することができる。バイパス比を大きくする事は、すなわちファンと低圧タービンの直径の比が増える事を意味するが、ファンの回転数を変更せずに極端に大径化すると、ファンブレードの先端が音速に達してしまい、造波抗力によって極めて大きな損失を生じてしまう。」
ふむふむ。
「一方、従来のターボファンエンジンにおいてはファンと直結している低圧コンプレッサ及び低圧タービンは、回転数をある程度より下げると圧縮効率が著しく低下してしまう。したがって、ファンの回転数を下げるにも限界があった。」
なるほど、二律背反に陥ってしまったわけだ。
「仮にファンの回転数をファンブレードにとって最適な速度で回転させようとすると低圧コンプレッサ及び低圧タービンの回転数は下がり、その為、ファン及び低圧コンプレッサを回転する為に必要なエネルギーを取り出す為に低圧タービンの段数を増やさなければならないというジレンマが生じる。」
「ここで遊星歯車による減速機構を導入し、低圧圧縮機軸とファン軸の間のギア比を変えることでファンと低圧タービンをそれぞれにとって最適な回転数で運転することが可能になる、と言うのがギヤードターボファンエンジンの基本的なコンセプトである。ファンと低圧コンプレッサが自身にとってより高効率な回転数で回転できる事により、エンジンの圧縮機段数と部品点数を減らす事が出来る。」
しかし、ギアを噛ませれば、その分のエネルギー損失と、部品点数の増加となり、最適解に落とし込むのは大変だ。
「このような仕様のエンジンとしては、長年使用されているハネウェル TFE731、ハネウェル ALF 502/507や、最近のプラット・アンド・ホイットニー PW1000Gがある。」
なんだ、結構あるじゃん!。
しかし、問題もある。
「低燃費:
GTFは、バイパス比の増大によって燃費が改善される。例えばPW1000では従来型比12%の燃費改善が謳われている。」
たかだか、12パーセントしか改善されない。
「遊星歯車機構の採用:
GTFには減速機構として遊星歯車が用いられる。この遊星歯車の数は、ファンの高出力に耐えるため、他用途の場合より増加しており、より複雑な機構となっている。遊星歯車の数は、通常の用途では3個が一般的であるのに対し、例えばPW1000では5個の遊星歯車が採用されている。なお、大出力エンジンに遊星歯車を採用しようとする場合、更なる大出力に耐えるためにより一層複雑な機構を採用せざるを得ず、機械駆動による騒音、振動の増加、信頼性、メンテナンス性の低下などの問題が顕在化するため、遊星歯車を採用して問題が生じないのはPW1000程度の低出力型に限られる。」
例えば、旅客機最大のエンジンを搭載するボーイング777の場合、GE90-115Bエンジン(777-300ERに搭載)は、「推力: 海面高度で最大: 115,300 lbf (512.9 kN) ; 世界記録 127,900 lbf (568,9 kN) 高度827で達成」となっており、17000ポンドのMRJとは、桁が違う。
(ゼネラル・エレクトリック GE90:仕様)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BC%E3%83%8D%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF_GE90#.E4.BB.95.E6.A7.98
また、ファンのピッチを変えて、効率を上げる方法もある。
「なお、ターボプロップエンジンでは、遊星歯車機構に加えてより複雑な可変ピッチ機構とが採用されているものもあるが、実用化されているのは、PW1000Gのコア出力に相当する1万馬力級までであり、これを大幅に超えるような大出力エンジンは実用化されていない。ちなみに、従来型のターボファンエンジンではPW1000の数倍の推力をもつものが実用化されている。」
ターボプロップですか、YF-11ですな。
懐かしい!。
しかし、ニュースを見ていたら、こんな記事があった。
(ロールス・ロイス、次世代エンジン設計を発表 CO2排出量は2割超削減)
http://www.aviationwire.jp/archives/32902
「同社では、新たに2つの次世代エンジン設計を加える予定。1つ目の開発プロジェクト名は「Advance」。初代Trent(トレント)エンジンとの比較で、燃焼効率と二酸化炭素排出量が20%以上改善し、2020年までの商業化を予定している。」
「2つ目の「UltraFan」は、2025年以降に利用可能となる技術に基づいた、可変ピッチ翼システムを持つギヤード設計のエンジン。同エンジンは燃焼効率、排出ガスともに初代Trentエンジンとの比較で、25%以上向上する予定となっている。」
つまり、ギアードエンジンと可変ピッチで25パーセントはいけると踏んでいるわけだ。
アドバンスが、何で20パーセントも稼いでいるのかは不明だ。
「燃焼効率を最大化し排気ガスを削減する新しいエンジンコア構造や、カーボン/チタンのファンブレードや複合材ケーシングの採用により、機体当たり重量を1500ポンド(約680.4kg)削減する「CTiファンシステム」、耐熱材料を使い高タービン温度環境内での動作効率向上する先進セラミックス基複合材料、高推力、高バイパス比を持つ未来型エンジン向けの「UltraFan」といった特徴がある。」
気になる記述もある。
「同社はオープン。ローターエンジンに対する需要が生じた際に対応できるよう、同エンジンコンセプトを支える技術の開発や試験を実施している。」
これは、明らかな誤植で、「オープンローターエンジン」が正しい。
(そう、プロペラエンジンの復活なのだ 航空機エンジンで半世紀ぶりの技術転換)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20100108/212043/?rt=nocnt
「現在、民間機では大型のケースの中のファンを回転させて空気を吸い込んで、空を飛んでいる。それをオープンローターにすれば、ケースなどをなくし、大幅に軽量化することができる。これが最大の特徴だ。」
「2020年以降に登場する見込みで、これまでの既存エンジンに比べて一挙に2割以上の燃費改善への道を開く「夢の技術」とされる。」
(オープンローターエンジン)
http://ameblo.jp/ae31x/entry-11599194834.html
「川崎重工とロールスロイスが新エンジンの開発をするという記事が出た。燃費がなんと30%も改善し、小型機でも太平洋横断ができるようになるという話だった。これはすごいと思ったのだが、完成予想図を見て、びっくりした。これはプロップファンだ。」
RRの相方は、川重なわけか・・・。
(ボーイング未来旅客機の夢)
http://book.geocities.jp/bnwby020/mirai.html
オープンローターというか、アンダクテッドファンは、昔から検討されているが、騒音や航空機への搭載の問題で、なかなか実用にはならなかった。
その際も、タービンの高速回転を減速するギアの役割は大きく、ピッチ可変プロペラの意義も大きい。
巨大なトルクを受け止めて、減速してファンに伝える遊星ギアの技術。
自動車では、プリウスにも搭載されている。
ギアードエンジンの今後に注目というところか。
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