スピード ― 2014年07月09日 15:57
スピード
高致死率の感染症は、患者の殆どが死んでしまって、感染源であるウイルスや細菌は生存に失敗する。
宿主との折り合いに成功した大腸菌などは、共存共栄を図って、宿主の自然死まで繁殖を続けることが出来る。
感染の拡大についても、潜伏期間にもよるが、早期に発見し移動を制限すれば、高致死率の感染症ほど制御がしやすいはずだ。
だって、宿主が死んでしまうので、感染の広がりようがないからだ。
大規模な感染拡大が起こるのは、致死率が低く、生き残った感染者からの伝播が次々と鼠算式に増えるパンデミックである。
(パンデミック)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF
感染者数の増加が指数関数的に増えるので、死亡率は少ないが、一定の割合で死ぬので、絶対数は爆発的に増える。
しかし、この考え方が成り立つのは、感染者の隔離に成功し、潜伏期間内の移動が起こらない場合に限る。
どれだけ死亡率が高くても、潜伏期間内に世界中に感染者が散らばって、ウイルスや細菌をばら撒いてしまえば、人類の殆どを殺すことが可能だ。
致死率9割(流行年によって異なる)ともいわれるザイール型エボラ出血熱が、今、アフリカから世界に広がろうとしている。
今年2月に広がり始め、4月には終息するかに見えたが、封じ込めに失敗し、対応が遅れれば中世ヨーロッパを襲ったペストの二の舞になりかねない。
(過去最悪の流行になった西アフリカのエボラ出血熱)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41133
「ついに6月20日、国境なき医師団が、エボラ出血熱の蔓延がすでに制御不能に陥りかけていると発表した。」
「エボラ出血熱というのは、急性熱性疾患で、ウイルスの種類にもよるが、死亡率は50%から90%と非常に高い。」
「7月2日、この原稿を書いているうちに、新しいニュースが流れた。それによると、犠牲者がすでに500人を超えてしまったという。1週間前は、「制御不能になる可能性」だったのが、今回のニュースでは、すでに「制御不能」と報じられている。」
政治的な対応の遅れで、感染がさらに拡大する可能性は高く、西アフリカからの渡航について、先進国が何らかの方策を打たざるを得ないのではないかと浮沈子は見ている。
(エボラ出血熱、史上最悪の規模に…封じ込め困難)
http://www.yomiuri.co.jp/science/20140709-OYT1T50048.html
「世界保健機関(WHO)によると、6日までのギニア、リベリア、シエラレオネの3か国で確認された感染者は、疑い例も含めて844人。うち518人が死亡した。」
(エボラ出血熱)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%9C%E3%83%A9%E5%87%BA%E8%A1%80%E7%86%B1
「エボラ出血熱はアフリカ大陸で10回、突発的に発生・流行し、感染したときの致死率は50 - 90%と非常に高い」
「体内に数個のエボラウィルスが侵入しただけでも容易に発症する。そのため、バイオセーフティーレベルは最高度の4に指定されている。」
「「エボラ出血熱」の恐怖が知られるようになってから30年以上が経つが、これまでの死者数は1,590人(2012年12月現在)で、これは今日でも年間数十万人を超える死者を出しているマラリアやコレラと比較しても格段に少ない。その症状は激しく、致死率も高いが、「他人に感染する前に感染者が死に至るため、蔓延しにくい」とされており、その恐怖は映画や小説で描かれたイメージや、「致死率90%」という数字により誇張されている面もある」
「2005年12月1日付の英科学誌『ネイチャー』にて、ガボンのフランスビル国際医学研究センターなどのチームの調査による「食用コウモリからの感染」を疑う説が発表されている。患者の血液、分泌物、排泄物や唾液などの飛沫が感染源となる。死亡した患者からも感染する。」
「エボラウイルスの感染力は強いが基本的に空気感染をしないため、感染者の体液や血液に触れなければ感染しない。現在までの感染拡大も、死亡した患者の会葬の際や医療器具の不足(注射器や手袋など)により、患者の血液や体液に触れたことによりもたらされたものが多く、空気感染は基本的にない。そのため患者に近づかなければ感染することはない」
「アルコール消毒や石けんによる消毒が容易であり、大きな変異がない限り先進国での大きな流行の可能性は低いと考えられている。」
「エボラ出血熱ウイルスに対するワクチン、ならびに、エボラ出血熱感染症に対して有効かつ直接的な治療法は確立されていない。」
「2010年5月29日、ボストン大学のウイルス学者トーマス・ガイスバートをはじめとした研究チームが、エボラウイルスの中でヒトに対する病原性が最も強いザイール型のエボラウイルスに感染させた中国のアカゲザルの治療に成功したと「The Lancet」誌上で発表した。」
(2014年の西アフリカエボラ大流行)
http://ja.wikipedia.org/wiki/2014%E5%B9%B4%E3%81%AE%E8%A5%BF%E3%82%A2%E3%83%95%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%82%A8%E3%83%9C%E3%83%A9%E5%A4%A7%E6%B5%81%E8%A1%8C
「エボラの流行として大きな特徴がある。
・感染者数、死亡者数ともに過去最悪。 西アフリカでの初めての流行
・史上初めての首都での流行
・致死率が高い「エボラ・ザイール株」の流行」
(Epidemic & Pandemic Alert and Response (EPR):WHOのページ))
http://www.afro.who.int/en/clusters-a-programmes/dpc/epidemic-a-pandemic-alert-and-response/outbreak-news.html
(Ebola virus disease, West Africa – update 7 July 2014)
http://www.afro.who.int/en/clusters-a-programmes/dpc/epidemic-a-pandemic-alert-and-response/outbreak-news/4217-ebola-virus-disease-west-africa-7-july-2014.html
518人の死者を報告しているページである。
この疾病の過去の累計の死者数が、2012年までの統計で1590人だというから、今回の流行が歴史的な意味を持っていることは明らかだ。
念のため、発症者がいる3か国について見ておこう。
(ギニア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AE%E3%83%8B%E3%82%A2
「旧フランス植民地の中でも、1958年に他の植民地に先駆けて国民投票で独立した国家である。」
「国民議会は2007年に任期を終えたのち2008年末にクーデター政権により解散された後、依然として国民議会選挙は実施されておらず、2010年に設立された国家暫定評議会 (CNT) が暫定の立法機関となっており、2012年7月現在、国民議会は存在しない。」
(リベリア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%99%E3%83%AA%E3%82%A2
「アメリカ合衆国で解放された黒人奴隷によって建国され、1847年に独立し、現在のアフリカの中ではエチオピアに次いで古い国である。」
(シエラレオネ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%82%A8%E3%83%A9%E3%83%AC%E3%82%AA%E3%83%8D
「奴隷制から解放された黒人たちの移住地として1808年にイギリスの植民地となり、1961年に独立した。」
各国とも、かつての内戦から復興し、発展期に入ろうとしている。
周辺国や欧米の協力を得て、封じ込めに成功すれば何よりだが、失敗すれば事態は深刻な展開になるだろう。
未だに、鳥インフルエンザがどうなるか予断を許さない状況が続いている中で、エボラのような致死率の高い感染症が、新たな流行のパターンを獲得して蔓延しそうな気配がするな。
人間の活動がウイルスの生活環とリンクして、パンデミックの引き金を引きかねない。
その引き金に、指が掛かった感じがする。
(エボラウイルス疾患について (ファクトシート))
http://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2014/05091411.html
この記事の表にある患者数、死者数からトータルでの致死率を見てみよう。
・患者数:
57+7+24+1+32+149+264+12+17+35+143+59+65+425+1+60+31+315+1+52+34+1+284+318=2387(人)
・死亡者数:
29+4+17+1+14+37+187+10+7+29+128+44+53+224+1+45+21+254+0+31+22+1+151+280=1590(人)
致死率は、約67パーセントである。
今回のウイルスは、新株だそうだが、類似のザイール株だけ見てみよう。
「患者20名から採取したサンプルの全長ゲノム配列と系統分類を行った結果、このウイルスはいわゆるエボラのザイール株と97%一致するものの、系統群は異なると推測されている」
・患者数(ザイール株):
32+264+12+35+143+59+65+1+60+31+315+52+1+318=1388(人)
・死亡者数(ザイール株):
14+187+10+29+128+44+53+1+45+21+254+31+1+280=1098(人)
致死率は、79パーセントに跳ね上がる。
今回の流行は、まだ途中集計だが、患者数844人に対して518人という死亡者数だから、約61パーセントの致死率ということになるな。
患者数の捕捉が急速に行われているステージなので、致死率が低く出ているのかもしれない(画像参照)。
浮沈子は、今回の流行について、あまりフォローしていなかったが、今後の行方を注視すべき段階に来たといえよう。
デカメロンで有名な14世紀のヨーロッパにおけるペストの大流行では、2000万人から3000万人が命を落としている。
(14世紀の大流行)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%82%B9%E3%83%88#14.E4.B8.96.E7.B4.80.E3.81.AE.E5.A4.A7.E6.B5.81.E8.A1.8C
「当時、モンゴル帝国の支配下でユーラシア大陸の東西を結ぶ交易が盛んになったことが、この大流行の背景にあると考えられている。」
現代は航空機によって、24時間以内に全世界に蔓延する可能性がある。
潜伏期間(エボラは2日から21日、通常7日程度)が長く、病状の進行が遅く、宿主の移動による拡散速度が十分に速ければ、致死性が高くてもパンデミックは発生する。
発症してからの経過については、時間的な推移が不明であるが、医療機関に赴いて感染源として隔離されるまでの間が長ければ長いほど、その間に多くの感染者を生む。
体液の濃厚接触による感染といわれているが、感染力は極めて強い。
航空機によるスピード時代に、ウイルス達は、どのように適応してくるのだろうか。
本来の自然宿主(感染しても発症しないで、ウイルスと共生できる生物)から離れて、人間などという直ぐに病気になって死んでしまう宿主に感染し、憎まれ役にされるというのも、ウイルスにしてみれば不本意な話だろう。
高致死率の感染症は、患者の殆どが死んでしまって、感染源であるウイルスや細菌は生存に失敗する。
宿主との折り合いに成功した大腸菌などは、共存共栄を図って、宿主の自然死まで繁殖を続けることが出来る。
感染の拡大についても、潜伏期間にもよるが、早期に発見し移動を制限すれば、高致死率の感染症ほど制御がしやすいはずだ。
だって、宿主が死んでしまうので、感染の広がりようがないからだ。
大規模な感染拡大が起こるのは、致死率が低く、生き残った感染者からの伝播が次々と鼠算式に増えるパンデミックである。
(パンデミック)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%AF
感染者数の増加が指数関数的に増えるので、死亡率は少ないが、一定の割合で死ぬので、絶対数は爆発的に増える。
しかし、この考え方が成り立つのは、感染者の隔離に成功し、潜伏期間内の移動が起こらない場合に限る。
どれだけ死亡率が高くても、潜伏期間内に世界中に感染者が散らばって、ウイルスや細菌をばら撒いてしまえば、人類の殆どを殺すことが可能だ。
致死率9割(流行年によって異なる)ともいわれるザイール型エボラ出血熱が、今、アフリカから世界に広がろうとしている。
今年2月に広がり始め、4月には終息するかに見えたが、封じ込めに失敗し、対応が遅れれば中世ヨーロッパを襲ったペストの二の舞になりかねない。
(過去最悪の流行になった西アフリカのエボラ出血熱)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41133
「ついに6月20日、国境なき医師団が、エボラ出血熱の蔓延がすでに制御不能に陥りかけていると発表した。」
「エボラ出血熱というのは、急性熱性疾患で、ウイルスの種類にもよるが、死亡率は50%から90%と非常に高い。」
「7月2日、この原稿を書いているうちに、新しいニュースが流れた。それによると、犠牲者がすでに500人を超えてしまったという。1週間前は、「制御不能になる可能性」だったのが、今回のニュースでは、すでに「制御不能」と報じられている。」
政治的な対応の遅れで、感染がさらに拡大する可能性は高く、西アフリカからの渡航について、先進国が何らかの方策を打たざるを得ないのではないかと浮沈子は見ている。
(エボラ出血熱、史上最悪の規模に…封じ込め困難)
http://www.yomiuri.co.jp/science/20140709-OYT1T50048.html
「世界保健機関(WHO)によると、6日までのギニア、リベリア、シエラレオネの3か国で確認された感染者は、疑い例も含めて844人。うち518人が死亡した。」
(エボラ出血熱)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%9C%E3%83%A9%E5%87%BA%E8%A1%80%E7%86%B1
「エボラ出血熱はアフリカ大陸で10回、突発的に発生・流行し、感染したときの致死率は50 - 90%と非常に高い」
「体内に数個のエボラウィルスが侵入しただけでも容易に発症する。そのため、バイオセーフティーレベルは最高度の4に指定されている。」
「「エボラ出血熱」の恐怖が知られるようになってから30年以上が経つが、これまでの死者数は1,590人(2012年12月現在)で、これは今日でも年間数十万人を超える死者を出しているマラリアやコレラと比較しても格段に少ない。その症状は激しく、致死率も高いが、「他人に感染する前に感染者が死に至るため、蔓延しにくい」とされており、その恐怖は映画や小説で描かれたイメージや、「致死率90%」という数字により誇張されている面もある」
「2005年12月1日付の英科学誌『ネイチャー』にて、ガボンのフランスビル国際医学研究センターなどのチームの調査による「食用コウモリからの感染」を疑う説が発表されている。患者の血液、分泌物、排泄物や唾液などの飛沫が感染源となる。死亡した患者からも感染する。」
「エボラウイルスの感染力は強いが基本的に空気感染をしないため、感染者の体液や血液に触れなければ感染しない。現在までの感染拡大も、死亡した患者の会葬の際や医療器具の不足(注射器や手袋など)により、患者の血液や体液に触れたことによりもたらされたものが多く、空気感染は基本的にない。そのため患者に近づかなければ感染することはない」
「アルコール消毒や石けんによる消毒が容易であり、大きな変異がない限り先進国での大きな流行の可能性は低いと考えられている。」
「エボラ出血熱ウイルスに対するワクチン、ならびに、エボラ出血熱感染症に対して有効かつ直接的な治療法は確立されていない。」
「2010年5月29日、ボストン大学のウイルス学者トーマス・ガイスバートをはじめとした研究チームが、エボラウイルスの中でヒトに対する病原性が最も強いザイール型のエボラウイルスに感染させた中国のアカゲザルの治療に成功したと「The Lancet」誌上で発表した。」
(2014年の西アフリカエボラ大流行)
http://ja.wikipedia.org/wiki/2014%E5%B9%B4%E3%81%AE%E8%A5%BF%E3%82%A2%E3%83%95%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%82%A8%E3%83%9C%E3%83%A9%E5%A4%A7%E6%B5%81%E8%A1%8C
「エボラの流行として大きな特徴がある。
・感染者数、死亡者数ともに過去最悪。 西アフリカでの初めての流行
・史上初めての首都での流行
・致死率が高い「エボラ・ザイール株」の流行」
(Epidemic & Pandemic Alert and Response (EPR):WHOのページ))
http://www.afro.who.int/en/clusters-a-programmes/dpc/epidemic-a-pandemic-alert-and-response/outbreak-news.html
(Ebola virus disease, West Africa – update 7 July 2014)
http://www.afro.who.int/en/clusters-a-programmes/dpc/epidemic-a-pandemic-alert-and-response/outbreak-news/4217-ebola-virus-disease-west-africa-7-july-2014.html
518人の死者を報告しているページである。
この疾病の過去の累計の死者数が、2012年までの統計で1590人だというから、今回の流行が歴史的な意味を持っていることは明らかだ。
念のため、発症者がいる3か国について見ておこう。
(ギニア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AE%E3%83%8B%E3%82%A2
「旧フランス植民地の中でも、1958年に他の植民地に先駆けて国民投票で独立した国家である。」
「国民議会は2007年に任期を終えたのち2008年末にクーデター政権により解散された後、依然として国民議会選挙は実施されておらず、2010年に設立された国家暫定評議会 (CNT) が暫定の立法機関となっており、2012年7月現在、国民議会は存在しない。」
(リベリア)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%99%E3%83%AA%E3%82%A2
「アメリカ合衆国で解放された黒人奴隷によって建国され、1847年に独立し、現在のアフリカの中ではエチオピアに次いで古い国である。」
(シエラレオネ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%82%A8%E3%83%A9%E3%83%AC%E3%82%AA%E3%83%8D
「奴隷制から解放された黒人たちの移住地として1808年にイギリスの植民地となり、1961年に独立した。」
各国とも、かつての内戦から復興し、発展期に入ろうとしている。
周辺国や欧米の協力を得て、封じ込めに成功すれば何よりだが、失敗すれば事態は深刻な展開になるだろう。
未だに、鳥インフルエンザがどうなるか予断を許さない状況が続いている中で、エボラのような致死率の高い感染症が、新たな流行のパターンを獲得して蔓延しそうな気配がするな。
人間の活動がウイルスの生活環とリンクして、パンデミックの引き金を引きかねない。
その引き金に、指が掛かった感じがする。
(エボラウイルス疾患について (ファクトシート))
http://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2014/05091411.html
この記事の表にある患者数、死者数からトータルでの致死率を見てみよう。
・患者数:
57+7+24+1+32+149+264+12+17+35+143+59+65+425+1+60+31+315+1+52+34+1+284+318=2387(人)
・死亡者数:
29+4+17+1+14+37+187+10+7+29+128+44+53+224+1+45+21+254+0+31+22+1+151+280=1590(人)
致死率は、約67パーセントである。
今回のウイルスは、新株だそうだが、類似のザイール株だけ見てみよう。
「患者20名から採取したサンプルの全長ゲノム配列と系統分類を行った結果、このウイルスはいわゆるエボラのザイール株と97%一致するものの、系統群は異なると推測されている」
・患者数(ザイール株):
32+264+12+35+143+59+65+1+60+31+315+52+1+318=1388(人)
・死亡者数(ザイール株):
14+187+10+29+128+44+53+1+45+21+254+31+1+280=1098(人)
致死率は、79パーセントに跳ね上がる。
今回の流行は、まだ途中集計だが、患者数844人に対して518人という死亡者数だから、約61パーセントの致死率ということになるな。
患者数の捕捉が急速に行われているステージなので、致死率が低く出ているのかもしれない(画像参照)。
浮沈子は、今回の流行について、あまりフォローしていなかったが、今後の行方を注視すべき段階に来たといえよう。
デカメロンで有名な14世紀のヨーロッパにおけるペストの大流行では、2000万人から3000万人が命を落としている。
(14世紀の大流行)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%82%B9%E3%83%88#14.E4.B8.96.E7.B4.80.E3.81.AE.E5.A4.A7.E6.B5.81.E8.A1.8C
「当時、モンゴル帝国の支配下でユーラシア大陸の東西を結ぶ交易が盛んになったことが、この大流行の背景にあると考えられている。」
現代は航空機によって、24時間以内に全世界に蔓延する可能性がある。
潜伏期間(エボラは2日から21日、通常7日程度)が長く、病状の進行が遅く、宿主の移動による拡散速度が十分に速ければ、致死性が高くてもパンデミックは発生する。
発症してからの経過については、時間的な推移が不明であるが、医療機関に赴いて感染源として隔離されるまでの間が長ければ長いほど、その間に多くの感染者を生む。
体液の濃厚接触による感染といわれているが、感染力は極めて強い。
航空機によるスピード時代に、ウイルス達は、どのように適応してくるのだろうか。
本来の自然宿主(感染しても発症しないで、ウイルスと共生できる生物)から離れて、人間などという直ぐに病気になって死んでしまう宿主に感染し、憎まれ役にされるというのも、ウイルスにしてみれば不本意な話だろう。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。
※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。