二兎を追う者は二兎を得る? ― 2019年01月18日 11:02
二兎を追う者は二兎を得る?
FCCの概念設計の発表を機に、いろいろ調べている。
またまたLCCとかいう3文字熟語(略語)が出てきて、大混乱だ。
(リニアコライダー・コラボレーション)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%8B%E3%82%A2%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%9C%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3
「直線型衝突加速器(リニアコライダー)の国際共同研究を推進するための組織」
「2013年2月、 国際リニアコライダー(ILC)とコンパクト・リニアコライダー(CLIC)を統合して発足した。」
業界団体の最たるもんだな。
この発足当時の記事が出ている。
(次世代直線型衝突加速器計画を推進する新組織「リニアコライダー・コラボレーション」発足 -ILCとCLICがひとつに-)
https://www.kek.jp/ja/newsroom/2013/02/22/0900/
「新たに設立された「リニアコライダー・コラボレーション(LCC)」は、欧州合同原子核研究機関(CERN)の大型ハドロンコライダー(LHC)実験を補完する、国際的な直線型衝突加速器の実現に向けた活動の調整と推進を担います。」
「ILCとCLICの2つのプロジェクトの目的は、類似していますが、異なる加速技術を用いており、さらに計画の成熟度には差があります。LCBの委員長として、両プロジェクトの進捗を見ることを楽しみにしています」
うーん、浮沈子的には、世界的に金がない中で、2つのプロジェクトを同時追求しようという虫のいい話に見えなくもない。
日本がILCにそっぽを向いたら、どうなっちまうんだろうか?。
環境が切迫してくれば、2つのプロジェクトを1つにするはめに追い込まれるのではないか。
そもそも、そうなってもいいような組織作りになっていて、共通部分の開発については切り離されている。
「遂行される研究領域に対応する3つの下部セクションが設置されています。」
・ILCセクション(米ブルックヘブン国立研究所)
・CLICセクション(CERN)
・物理・測定器セクション(東北大学)
カッコ内は、統括者の所属だが、意味深長な気がするな。
ILCが、そもそも米国マターであったことの名残りだ。
結局、米国が降りて、その尻拭いを我が国に押し付けようとしているようにも見える(そうなのかあ?)。
記事にもあるように、ヒッグス粒子の発見と、それを受けて精密測定の需要が喚起されたという背景があり、どちらの線形加速器も、そのエネルギー領域での早期稼働を目指す点では同じだ。
業界のホンネは、どうやらその辺りにあるらしい。
250GeVという、ILCの初期衝突エネルギーは、ギリギリの最小的妥協的産物なんだということも見えてきた。
CERNのLEPの衝突エネルギーが209GeVだったからな。
(Large Electron–Positron Collider:History)
https://en.wikipedia.org/wiki/Large_Electron%E2%80%93Positron_Collider#History
「2000年の終わりには、LEPコライダーのエネルギーは最終的に209 GeVに達しました。」(自動翻訳のまま:以下同じ)
新たに作られるILCが、これを下回るようなことは認められない。
衝突頻度の問題もある。
「円形コライダーでは、これらのバンチは反対方向にほぼ円形の形状を回って移動するため、何度も衝突する可能性があります。これにより、高速の衝突が可能になり、大量のデータの収集が容易になります。これは、精密な測定や非常にまれな崩壊の観察に重要です。しかし、束のエネルギーはシンクロトロン放射による損失のために制限されています。線形コライダーでは、粒子は直線的に移動するためシンクロトロン放射の影響を受けませんが、バンチを再利用することはできず、したがって大量のデータを収集することはより困難です。」
電子-陽電子衝突型加速器として、ILCはひと工夫している。
衝突頻度が円形加速器に比べて低いという点を補うために、蓄積リングや折り返しの仕組みを導入していたりするのだ。
ILCは、それなりによく考えられている。
まあ、どこに作っても、間違いのない施設には違いない。
総延長20km程度の初期型ILCが軌道に乗る頃には、CLICの話を本格化することが出来るという皮算用があるのかもしれないしな。
FCC-eeとの絡みもあるので、その辺りはビミョーだ(CLICの初期バージョンとほぼ同じエネルギーかつ円形加速器なので衝突頻度は高い)。
まあいい。
LCCは、二兎を追う組織だ。
上手くいけば、ILCとCLICの両方を作ることが出来る。
CLICの常電動2段階加速(っちゅーのかあ?)がこけても、FCC-eeでカバーできるし、さらに高いエネルギーを求めるなら、ILCを延長するという選択肢が残る。
CLICが大成功しそうなら、ILCとFCC-eeをキャンセルしてもいいかもしれない。
落としどころは複数あり、どう転んでもいいようになっている(たぶん)。
ヒッグス粒子の発見と、標準理論の限界突破という素粒子物理学の需要に後押しされて、巨大実験施設の建設に拍車がかかってきた感じだな。
いつか、どこかで、何らかの形で作られることは間違いない。
先立つものさえあれば、の話だけどな・・・。
FCCの概念設計の発表を機に、いろいろ調べている。
またまたLCCとかいう3文字熟語(略語)が出てきて、大混乱だ。
(リニアコライダー・コラボレーション)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%8B%E3%82%A2%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%9C%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3
「直線型衝突加速器(リニアコライダー)の国際共同研究を推進するための組織」
「2013年2月、 国際リニアコライダー(ILC)とコンパクト・リニアコライダー(CLIC)を統合して発足した。」
業界団体の最たるもんだな。
この発足当時の記事が出ている。
(次世代直線型衝突加速器計画を推進する新組織「リニアコライダー・コラボレーション」発足 -ILCとCLICがひとつに-)
https://www.kek.jp/ja/newsroom/2013/02/22/0900/
「新たに設立された「リニアコライダー・コラボレーション(LCC)」は、欧州合同原子核研究機関(CERN)の大型ハドロンコライダー(LHC)実験を補完する、国際的な直線型衝突加速器の実現に向けた活動の調整と推進を担います。」
「ILCとCLICの2つのプロジェクトの目的は、類似していますが、異なる加速技術を用いており、さらに計画の成熟度には差があります。LCBの委員長として、両プロジェクトの進捗を見ることを楽しみにしています」
うーん、浮沈子的には、世界的に金がない中で、2つのプロジェクトを同時追求しようという虫のいい話に見えなくもない。
日本がILCにそっぽを向いたら、どうなっちまうんだろうか?。
環境が切迫してくれば、2つのプロジェクトを1つにするはめに追い込まれるのではないか。
そもそも、そうなってもいいような組織作りになっていて、共通部分の開発については切り離されている。
「遂行される研究領域に対応する3つの下部セクションが設置されています。」
・ILCセクション(米ブルックヘブン国立研究所)
・CLICセクション(CERN)
・物理・測定器セクション(東北大学)
カッコ内は、統括者の所属だが、意味深長な気がするな。
ILCが、そもそも米国マターであったことの名残りだ。
結局、米国が降りて、その尻拭いを我が国に押し付けようとしているようにも見える(そうなのかあ?)。
記事にもあるように、ヒッグス粒子の発見と、それを受けて精密測定の需要が喚起されたという背景があり、どちらの線形加速器も、そのエネルギー領域での早期稼働を目指す点では同じだ。
業界のホンネは、どうやらその辺りにあるらしい。
250GeVという、ILCの初期衝突エネルギーは、ギリギリの最小的妥協的産物なんだということも見えてきた。
CERNのLEPの衝突エネルギーが209GeVだったからな。
(Large Electron–Positron Collider:History)
https://en.wikipedia.org/wiki/Large_Electron%E2%80%93Positron_Collider#History
「2000年の終わりには、LEPコライダーのエネルギーは最終的に209 GeVに達しました。」(自動翻訳のまま:以下同じ)
新たに作られるILCが、これを下回るようなことは認められない。
衝突頻度の問題もある。
「円形コライダーでは、これらのバンチは反対方向にほぼ円形の形状を回って移動するため、何度も衝突する可能性があります。これにより、高速の衝突が可能になり、大量のデータの収集が容易になります。これは、精密な測定や非常にまれな崩壊の観察に重要です。しかし、束のエネルギーはシンクロトロン放射による損失のために制限されています。線形コライダーでは、粒子は直線的に移動するためシンクロトロン放射の影響を受けませんが、バンチを再利用することはできず、したがって大量のデータを収集することはより困難です。」
電子-陽電子衝突型加速器として、ILCはひと工夫している。
衝突頻度が円形加速器に比べて低いという点を補うために、蓄積リングや折り返しの仕組みを導入していたりするのだ。
ILCは、それなりによく考えられている。
まあ、どこに作っても、間違いのない施設には違いない。
総延長20km程度の初期型ILCが軌道に乗る頃には、CLICの話を本格化することが出来るという皮算用があるのかもしれないしな。
FCC-eeとの絡みもあるので、その辺りはビミョーだ(CLICの初期バージョンとほぼ同じエネルギーかつ円形加速器なので衝突頻度は高い)。
まあいい。
LCCは、二兎を追う組織だ。
上手くいけば、ILCとCLICの両方を作ることが出来る。
CLICの常電動2段階加速(っちゅーのかあ?)がこけても、FCC-eeでカバーできるし、さらに高いエネルギーを求めるなら、ILCを延長するという選択肢が残る。
CLICが大成功しそうなら、ILCとFCC-eeをキャンセルしてもいいかもしれない。
落としどころは複数あり、どう転んでもいいようになっている(たぶん)。
ヒッグス粒子の発見と、標準理論の限界突破という素粒子物理学の需要に後押しされて、巨大実験施設の建設に拍車がかかってきた感じだな。
いつか、どこかで、何らかの形で作られることは間違いない。
先立つものさえあれば、の話だけどな・・・。
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