ILCがいらない理由がもう一つ ― 2019年01月18日 01:36
ILCがいらない理由がもう一つ
セルンの次期巨大加速器構想は、まだ絵に描いた餅だ。
陽子と陽子をぶつけたりする前に、ILCのように、電子と陽電子をぶつけて、ピュアな観測結果を得ようとする仕掛けを作るらしい(FCC-eeというらしい)。
それが出来るのを待っているだけで、ILCは必要なくなるような気がする。
しかし、我が国では殆ど報じられていないんだが、セルン自身が、CLICというILCとよく似たプランを進めているのだ(略語も似てるんですけど・・・)。
(Compact Linear Collider)
https://en.wikipedia.org/wiki/Compact_Linear_Collider
「加速器の長さは11〜50 km」(自動翻訳のまま:以下同じ)
「CLICの調査は2012年に概念設計報告書(CDR)を作成し、2019年から2020年の粒子物理学のためのヨーロッパ戦略の次の更新のためのCLIC概念のための事例を提示するために取り組んでいます。」
巨大円形加速器の概念設計が今年だからな。
7年先行しているということになる。
「CLICは、3つの段階で、異なる重心エネルギー、すなわち380GeV、1.5TeV、および3TeVで構築されそして運転される」
これは、初期のILCの250GeVよりも大きい。
CLICの日本語版ウィキはないけど、ILCの中でちょこっと触れている。
(国際リニアコライダー:将来)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E3%83%AA%E3%83%8B%E3%82%A2%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%80%E3%83%BC#%E5%B0%86%E6%9D%A5
「ILCとは別に、2ビーム加速方式と呼ばれる方法でより高いエネルギーへの到達を目指す、もう一つのリニアコライダー、CLIC計画の開発検討も、欧州を中心とするグループによって別途行われている。」
「リニアコライダー計画としての技術的成熟度では、ILCがCLICよりも数年以上先んじていることは、関係者の衆目の一致するところである。」
まあ、みているがいい。
我が国がILCにそっぽを向けば、CLICの風が勢いよく吹き始めるに違いない。
新しい物理学を拓くという観点からは、より高い3TeVを目指す点で、1歩先んじている(ILCは、最大でも1TeVまで)。
加速方法がユニークなので、技術的障壁が高いということなんだろうが、欧州は冷静な目でILCを巡る我が国の帰趨を見守っているのに違いないのだ。
ただし、建設のコストを見ると、費用対効果が高いとは必ずしも言えないかもな。
「長さが約11 km(7 mi)のCLICの最初の段階は、現在60〜70億CHFの費用で見積もられています。」(2017年現在)
70億スイスフランだと、今日のレートでは766,911,300,323.00 円(約7670億円)となり、ILCに匹敵する。
技術的なハードルもあるため、この見積もり自体が怪しい。
建設費の見積もりが下がることはない。
インフレとかは別にしても、雪だるまのように膨れ上がっていくのは目に見えている(えーと、雪だるまなら溶けることもあるんだがな・・・)。
まあ、どうでもいいんですが。
欧州は、したたかな戦略を組んで、世界と対峙している。
もちろん、ILCのメンバーだが、次の矢はしっかり番えている。
誘致に失敗したら、玉砕するしかない我が国とは異なる。
「CLICは30カ国以上にある70以上の研究所のグローバルプロジェクトです。」
ちょっとショボいけどな。
基礎科学からの米国の相対的な撤退(重力波検出とかありましたが)、中国の台頭、我が国の優柔不断を横目に見ながら、現実的なプロセスを進めている。
FCC-eeが現実になれば、逆にCLICがキャンセルされる話だってあるかも知れない。
CLICにとって、敵は身内にもいるのだ。
セルンにとっては、二重投資になるからな。
ただ、目指すパワーの違いもある。
時期をずらして、一時期に過剰投資になるのを避けるかもしれない。
中国の台頭にだけ目を奪われていると、老舗の戦略を見誤ることになる。
もちろん、欧州にとってもILCが現実化するのは好ましい話だ。
その分、FCCに注力できるからな。
そして、ILCの寿命が尽きるのを待って、CLICを起動することも出来るしな。
2015年に本格稼働に入ったLHCの寿命は、2035年ころといわれている。
その頃までに、CLICを稼働させ、時間を稼いでいるうちにFCCが出来上がるというわけだ。
CLICで成果を出せれば、FCCをじっくりと作り上げることが出来るからな。
何てったって、パワーは正義だ。
100TeVだからな(はっ、鼻血が・・・)。
加速器の世界は、ノーベル賞を巡る熾烈な争いだ。
線形加速器で、何か画期的な発見がなされるとは思えないけど、やってみなくちゃ分からないことだってある(そうなのかあ?)。
ヒッグス粒子が出てきちまった以上、次は暗黒物質でもたたき出すしかない。
標準理論をぶち破って、新しい物理学を作り上げるには、デカい加速器を作るに限る。
そのためには、標準理論に関わる測定の精度を限りなく高めていく必要もあるしな(たぶん)。
線形加速器によるレプトンの衝突実験は、その役割を果たすに違いない。
ひょっとしたら、瓢箪から駒という話だって、皆無とは言えない。
なんか、こう書いていると、線形加速器はババ抜きのババのような気がしてきた。
金はかかるし、成果は期待薄だし、しかし、どこかで誰かがやらなくっちゃならないし・・・。
地元への経済効果だけ見ている話とは、次元の違うところで、ビミョーな駆け引きがあったんだろう。
押し付け合って、誰も引き取り手がないところで、仕方なく引き受ける形をとれれば、CLICの株はあがるからな(そうなのかあ?)。
まあいい。
我が国で報道されないのは、この加速器の導入が、決して好評ではなく、競争になっていないところに原因があるのかもしれない。
やれやれ・・・。
浮沈子は、中の人でもないし、当事者から直接裏話を聞いたわけでもない。
報道とかを見て、テキトーに推測しているだけだ。
事実は、全く異なるのかもしれない。
が、まあ、それが明らかでない以上、いろいろ妄想に駆られながら、推測を楽しむというのも科学に親しむ手段かもな・・・。
セルンの次期巨大加速器構想は、まだ絵に描いた餅だ。
陽子と陽子をぶつけたりする前に、ILCのように、電子と陽電子をぶつけて、ピュアな観測結果を得ようとする仕掛けを作るらしい(FCC-eeというらしい)。
それが出来るのを待っているだけで、ILCは必要なくなるような気がする。
しかし、我が国では殆ど報じられていないんだが、セルン自身が、CLICというILCとよく似たプランを進めているのだ(略語も似てるんですけど・・・)。
(Compact Linear Collider)
https://en.wikipedia.org/wiki/Compact_Linear_Collider
「加速器の長さは11〜50 km」(自動翻訳のまま:以下同じ)
「CLICの調査は2012年に概念設計報告書(CDR)を作成し、2019年から2020年の粒子物理学のためのヨーロッパ戦略の次の更新のためのCLIC概念のための事例を提示するために取り組んでいます。」
巨大円形加速器の概念設計が今年だからな。
7年先行しているということになる。
「CLICは、3つの段階で、異なる重心エネルギー、すなわち380GeV、1.5TeV、および3TeVで構築されそして運転される」
これは、初期のILCの250GeVよりも大きい。
CLICの日本語版ウィキはないけど、ILCの中でちょこっと触れている。
(国際リニアコライダー:将来)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E3%83%AA%E3%83%8B%E3%82%A2%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%80%E3%83%BC#%E5%B0%86%E6%9D%A5
「ILCとは別に、2ビーム加速方式と呼ばれる方法でより高いエネルギーへの到達を目指す、もう一つのリニアコライダー、CLIC計画の開発検討も、欧州を中心とするグループによって別途行われている。」
「リニアコライダー計画としての技術的成熟度では、ILCがCLICよりも数年以上先んじていることは、関係者の衆目の一致するところである。」
まあ、みているがいい。
我が国がILCにそっぽを向けば、CLICの風が勢いよく吹き始めるに違いない。
新しい物理学を拓くという観点からは、より高い3TeVを目指す点で、1歩先んじている(ILCは、最大でも1TeVまで)。
加速方法がユニークなので、技術的障壁が高いということなんだろうが、欧州は冷静な目でILCを巡る我が国の帰趨を見守っているのに違いないのだ。
ただし、建設のコストを見ると、費用対効果が高いとは必ずしも言えないかもな。
「長さが約11 km(7 mi)のCLICの最初の段階は、現在60〜70億CHFの費用で見積もられています。」(2017年現在)
70億スイスフランだと、今日のレートでは766,911,300,323.00 円(約7670億円)となり、ILCに匹敵する。
技術的なハードルもあるため、この見積もり自体が怪しい。
建設費の見積もりが下がることはない。
インフレとかは別にしても、雪だるまのように膨れ上がっていくのは目に見えている(えーと、雪だるまなら溶けることもあるんだがな・・・)。
まあ、どうでもいいんですが。
欧州は、したたかな戦略を組んで、世界と対峙している。
もちろん、ILCのメンバーだが、次の矢はしっかり番えている。
誘致に失敗したら、玉砕するしかない我が国とは異なる。
「CLICは30カ国以上にある70以上の研究所のグローバルプロジェクトです。」
ちょっとショボいけどな。
基礎科学からの米国の相対的な撤退(重力波検出とかありましたが)、中国の台頭、我が国の優柔不断を横目に見ながら、現実的なプロセスを進めている。
FCC-eeが現実になれば、逆にCLICがキャンセルされる話だってあるかも知れない。
CLICにとって、敵は身内にもいるのだ。
セルンにとっては、二重投資になるからな。
ただ、目指すパワーの違いもある。
時期をずらして、一時期に過剰投資になるのを避けるかもしれない。
中国の台頭にだけ目を奪われていると、老舗の戦略を見誤ることになる。
もちろん、欧州にとってもILCが現実化するのは好ましい話だ。
その分、FCCに注力できるからな。
そして、ILCの寿命が尽きるのを待って、CLICを起動することも出来るしな。
2015年に本格稼働に入ったLHCの寿命は、2035年ころといわれている。
その頃までに、CLICを稼働させ、時間を稼いでいるうちにFCCが出来上がるというわけだ。
CLICで成果を出せれば、FCCをじっくりと作り上げることが出来るからな。
何てったって、パワーは正義だ。
100TeVだからな(はっ、鼻血が・・・)。
加速器の世界は、ノーベル賞を巡る熾烈な争いだ。
線形加速器で、何か画期的な発見がなされるとは思えないけど、やってみなくちゃ分からないことだってある(そうなのかあ?)。
ヒッグス粒子が出てきちまった以上、次は暗黒物質でもたたき出すしかない。
標準理論をぶち破って、新しい物理学を作り上げるには、デカい加速器を作るに限る。
そのためには、標準理論に関わる測定の精度を限りなく高めていく必要もあるしな(たぶん)。
線形加速器によるレプトンの衝突実験は、その役割を果たすに違いない。
ひょっとしたら、瓢箪から駒という話だって、皆無とは言えない。
なんか、こう書いていると、線形加速器はババ抜きのババのような気がしてきた。
金はかかるし、成果は期待薄だし、しかし、どこかで誰かがやらなくっちゃならないし・・・。
地元への経済効果だけ見ている話とは、次元の違うところで、ビミョーな駆け引きがあったんだろう。
押し付け合って、誰も引き取り手がないところで、仕方なく引き受ける形をとれれば、CLICの株はあがるからな(そうなのかあ?)。
まあいい。
我が国で報道されないのは、この加速器の導入が、決して好評ではなく、競争になっていないところに原因があるのかもしれない。
やれやれ・・・。
浮沈子は、中の人でもないし、当事者から直接裏話を聞いたわけでもない。
報道とかを見て、テキトーに推測しているだけだ。
事実は、全く異なるのかもしれない。
が、まあ、それが明らかでない以上、いろいろ妄想に駆られながら、推測を楽しむというのも科学に親しむ手段かもな・・・。
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