インスピ対抗肺2014年07月05日 21:22

インスピ対抗肺
インスピ対抗肺


インスピレーションのカウンターラングは、最近、バックマウントになった(従来品と併売である)。

(OVER-THE-SHOULDER OR BACK-MOUNTED?)
http://www.apdiving.com/en/rebreathers/features/#

オーバー・ザ・ショルダーという従来のタイプは、確かに胸の前にカウンターラングがあるので、ハーネスに何かを吊るしたいとかいう時には邪魔になる。

APDは、他機種がいろいろやってくると、こまめに反応して改造するので助かるな(最近、二酸化炭素センサーも導入したし!)。

しかし、今のところ、浮沈子はこのバックマウンテッドのカウンターラングを導入する気はない。

コンベンショナルなカウンターラングは、フラッシングやマニュアルインフレーションの扱いもよく、浮沈子のようにレクリエーショナルレベルで潜る分には何の問題もない。

前回書いた呼吸回路からの排水を、このカウンターラングで行うというのは、そう簡単でないことは画像を見ていただければ分かるであろう。

ベントバルブ(オーバー・プレッシャー・バルブ)が、上の方にあるからだ。

マーク6の場合、立ち姿勢で排水できた(底の方に、深さ5cm位残っちゃいますが)のに、インスピは、そんなことしたって何の意味もない。カウンターラングには、半分以上水が入ったままになる。

排水を行うときの手順は、おそらくマーク6とほぼ同じと思われるが、排水時の姿勢は、うつ伏せになっている必要がある。

(対抗肺考:マーク6の排水についてはこちらを参照)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/07/04/7380085

ベントバルブを、呼吸回路の中で最も低い位置にして、そこに水を溜めてカウンターラングを圧迫して押し出すのだ。

もちろん、同じ姿勢を取れば、マーク6の排水も完全に行うことが出来るだろう。

残り5cmをちゃぷちゃぷさせておかなくてもいい。

さて、インスピのカウンターラングとマーク6のそれを見比べてみると、特に排気側(右側)のカウンターラングのマニュアルインフレーションボタンの位置に違いがあることが分かる。

インスピは、ディリュエント側と左右対称になっていて、浮沈子的には位置的には最適だと思う(構造がチャチなので、トータルでは問題ありかあ?)。

また、ベントバルブの操作にしても、インスピは紐を引いて行うのに対して、マーク6はカウンターラング全体を押すことによって行う。

操作性の観点からは、マーク6には問題があるといえる。

インスピの勝ち!。

また、対立の構図に持ち込んでしまった・・・。

元々、マニュアルインフレーションをしない、レクリエーショナル用として開発されたマーク6を「改造」して、減圧ダイビングに適用させようとしたのだから、無理もないという感じだ。

無理なんじゃね?。

まあいい。

これからじっくりと浮沈子が試してみよう!。

2つのカウンターラングを比較してみると、左右一体型と分離独立型になっている。

別に左右を分離しなくてもいいし、ポジションは最適な位置にあると豪語している(してたっけ?)APD方式でも、問題はない。

まあ、サイドマウントに改造する時に、簡単に脱着できるといいなあ、と浮沈子が感じる程度である。

洗浄して乾燥させるときに、ばらせれば便利ではある。

分離型は、メガロドンシリーズもそうだが、確かにメンテナンスはし易いだろう。

(OVER THE SHOULDER LUNGS:左右が逆なのは、メグの場合、反時計回りにガスが回るから)
http://www.megccr.com/rebreather-products/shoulder-lungs/

マーク6の場合は、ハーネスは別売で、カウンターラングの装着はショルダーベルトにベルクロで留める。

上下の位置決めは、別の細いベルトで行い、上は肩越しに、下の方はクロッチベルトで背中の本体にバックルで止める。

上はともかく、下はウエストベルトでもいいような気がするが、ウエストベルトには、普通いろいろ付けたい物があるので、干渉を嫌ったのかもしれない。

そういう意味では、ハーネスに依存しない固定方法ではある。

ショルダーハーネスがないやつには、留めようがないけど(って、そんなハーネスは少ないだろうが)。

少なくとも、普通のバックマウント型のBCには付かないな。

カウンターラング自体は、別に力がかかることはない部品なので、その設計は比較的自由である。

インスピの場合は、ゲージ(残圧計)をここに通したり、マニュアルインフレーションホースを通して、ぷらぷらさせないという機能がある。

マーク6には、ゲージがない!(ファーストの高圧に圧力センサーを繋いで電気的に測り、コンピューター殿を経由して、プライマリーディスプレイ(液晶)に、なんと(!)パーセンテージで表示する)。

まあ、そんなこんなで、両者の設計には、本質的なところで違いがあって、浮沈子には極めて興味深い。

インスピをサイドマウント化するに当たっては、カウンターラングをBCから切り離して、本体・酸素タンク・カウンターラングユニットを、分離できるようにしたいと考えている。

左サイドに、サイドマウントでディリュエント兼ベイルアウト用シリンダーを1本つけ、本体ユニットは、水面で着ることができれば、運用は格段に改善される。

ワンタッチでその辺りを何とかできれば、サイドマウントCCRは、完成に向かって大きく前進するはずである。

まあ、どうでもいいんですが。

カウンターラングは、リブリーザーを成立させるための基本的な構成要素であって、ただの袋と馬鹿にしてはいけない(ただの袋ですが)。

重要な機能部品であり、前面に装備されていれば、ある意味でリブリーザーの顔である。

センチネルやKISS、最近ではSCRのエクスプローラーなど、カウンターラングを保護ケースの中に収納しているモデルもある。

(The Sentinel CCR)
http://www.vmsrebreathers.com/sentinel.php

(The KISS mCCR Difference)
http://www.kissrebreathers.com/difference.html

(EXPLORER REBREATHER)
http://www.hollis.com/explorer/

それらの運用について詳しくは知らないが、フラッシングとか、どうやっているのだろうか?。

マニュアルインフレーションによるPO2のコントロールは、どうしているのだろうか。

回路内の水の排水は?。

まあいい。

他の機種については、その道の専門家に任せよう(対立の構図には、持ち込みたくないんで)。

レクリエーショナル用途に限定すれば、フラッシングとかマニュアルインフレーションとかは必要ない。

ゴムの袋を露出させているタイプに比べて、堅牢性という点ではケースに入れているほうが有利ではあるな。

たまたま、インスピもマーク6も殆ど同じタイプのカウンターラングであった。

単なる偶然だが、運用もほぼ同じだろう。

インスピの講習では、ミニマムボリュームということを散々言われた。

浮力のコントロールや、PO2のマニュアル制御を行う上で、呼吸回路の容積を最小に保つということが、最も重要なスキルの一つである。

これはたぶん、どんなリブリーザーでも共通のスキルなのだろう。

呼吸回路の容積を変える要素はカウンターラングしかない。

鼻からのパージとADV(なければ、マニュアルインフレーション)で、呼吸回路の容積を調節して、制御の幅を絞り込んでおくのだ。

CCR運用のコツの一つである。

運用上も、重要な役割を果たすカウンターラングなのである。

あだや疎かにはできないな。