「米国の良心」に触れる記事を読んでカタルシスを感じるも、軍隊が疲弊している状況に愕然2019年10月10日 22:32

「米国の良心」に触れる記事を読んでカタルシスを感じるも、軍隊が疲弊している状況に愕然
「米国の良心」に触れる記事を読んでカタルシスを感じるも、軍隊が疲弊している状況に愕然


米国製のヘリ(つーか、その落下物?)については、このブログでも記事にしている。

(何のカバー?)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2017/12/08/8744657

「ネットで調べてみたら、ヘリコプターのローターの付け根近くにある安全監視システム(IBIS)のカバーらしいことが分かった。」

(自衛隊関係者)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2017/12/08/8745026

「自衛隊機でも、死亡事故を起こしている。
「1995年6月6日、相模湾で掃海訓練中の海上自衛隊所属MH-53E(8626号機)の機体内で火災が発生、不時着水後に水没し、搭乗員8名が死亡した」」

今回、ヤフーの特集記事を読んだんだが、この事故には触れてなかったな。

(米軍ヘリ「53E」はなぜ墜落したのか? 真相に迫るアメリカの調査報道)
https://news.yahoo.co.jp/feature/1454

「輸送ヘリ「53E」は、全長約30メートル、重量31.7トン。兵士なら55人、貨物なら14.5トンを積載できる。海兵隊所属は「CHスーパースタリオン」、海軍所属は「MHシードラゴン」と呼称は異なるが、いずれも同型機だ。運用は約40年前の1981年から始まり、今も世界中で運用されている。」

「米軍で最も大きなこのヘリは、米軍にとって「死亡事故最多ヘリ」でもある。事故の実態はどうなっているのか。なぜ、事故が続くのか。」

「取材は、ドキュメンタリー映画プロジェクトとして進められ、作品『Who Killed Lt. Van Dorn?(ヴァンドーン大尉を殺したのは誰?)』が昨年10月に公開された。上映は今も全米で続いている。」

「取材で明らかになったのは、53Eヘリの墜落事故は防ぐことができたということ。それなのに、米軍は問題を知りつつ、対応を怠ってきたということです」

(Who Killed Lt Van Dorn Trailer)
https://www.youtube.com/watch?v=_d41jMSqcE4

「29歳の米国海軍士官学校卒業生であり、2人の若い息子の既婚の父親であるウェスヴァンドーン中Lは、彼が操縦していたヘリコプターが2014年の訓練演習中にバージニア沖でoff落したときに死亡しました。 彼女の悲しみに動機付けられて、彼の妻ニコールは災害の原因について説明を求めました。 彼女の努力は、53Eヘリコプター周辺の過失と制度的欠陥の長い歴史を明らかにした調査に拍車をかけました。モデルのヴァンドーンは、彼が殺されたときに操縦していました。 ヴァンドーンの同僚や家族への鋭い報告とインタビューを通して、誰がヴァンドーン中tを殺したのか? は、ある家族の悲劇の悲劇的な写真であると同時に、アメリカの防衛施設の暗い内部作業に対する啓示的な調査でもあります。」(映像解説:自動翻訳のまま)

記事の後半で明らかになるのは、衝撃的な事実だ。

「大尉の死亡事故に関する海軍の内部文書だ。そこには「出火元はナイロン製バンド」と明記されていた。」

「内部文書によると、飛行中の揺れによる摩擦によって、黒いバンドがワイヤーを保護する被覆を破った。さらに、バンドは燃料パイプに微小の穴を開け、空気中に燃料が漏出。むき出しになったワイヤーからの火花が引火、爆発した。キャビンは炎に覆い尽くされ、出火からたった15秒で機体は海面に墜落したという。」

配線の被膜に使用されているカプトン(ポリイミド製品の商品名)については、以前にも調べた(イカロスの帆に使用されている)。

(ポリイミド)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%82%A4%E3%83%9F%E3%83%89

「工業的に実用化されたのは1965年、米国のデュポン社がポリイミドフィルムの商品名カプトンを上市したのが最初である。」

今回問題になったカプトン・ワイヤーが爆発するという話は、よく分からないな。

機械的強度も高いし、耐熱性にも優れるんだがな。

まあいい。

ここまではよくある話で、浮沈子も想定していたんだが、問題はこの後だな。

「実は、カプトン・ワイヤーの問題については、海軍も気付いており、運用開始から間もない1987年にはこれの使用中止を決めている。」

「ところが、使用中止は、新たに製造される機体のみが対象とされ、カプトン・ワイヤーを使用している既存の151機には適用されなかった。」

「53Eを製造したシコルスキー・エアクラフト社は海軍に対し、30年以上も前から再三、問題のワイヤーを別の物に交換すべきだと提言していたのである。ところが、海軍はこれを拒否。1998年に3度目の提言が行われてから、ようやく「検討する」との対応に変わった。」

「『53Eは金食い虫だ』と言ったんです。53Eはやがて引退する。ワイヤーの交換に多額の修理費を充てるなら、他に使い道があると」

「世界最大の軍事予算をもつ米軍は、最新の兵器や戦闘機の開発に湯水のごとく予算を投じ、その陰で安全確保のための修理費は削られてきた、と取材チームは指摘する。」

「米国には、米軍を尊敬、賛美する文化があり、米軍や米兵たちを特別な社会的地位に押し上げてきました。一方で、米軍は批判対象から外されてきた。でも、軍の内側を見ると、組織の中で苦しみ、声を上げながら潰されてきた兵士たちがいました。彼らは、僕らと同じ人間です。今回の調査報道ドキュメンタリー映画は、米軍の組織改善のために必要な、健全な批判です」

53Eは引退すると言われ続けながら、少なくとも2030年代まで使われ続ける。

「53Eの使用を海兵隊は2032年まで続ける。海軍では使用中止の見通しは立っていない。」

後継機(53K)の開発が遅れているためだ。

米軍は疲弊している。

技術的にも、組織的にも。

多額の予算をつぎ込んでも、現場に必要な支援は届かない。

(米軍事費、7年ぶりに増加 トランプ政権を反映)
https://www.afpbb.com/articles/-/3223035

「米国が単独で占める6490億ドル(約72兆円)の軍事支出は、米国に続く上位8位までの国々の合計額に匹敵する。」

まあ、米ドル換算での比較だろうから、必ずしも実態を反映しているとは限らないしな。

「2016年以降、軍事費を縮小させているロシアは、上位5か国から外れた。ウクライナ危機を理由に2014年以降、欧米諸国がロシアに対して発動している経済制裁が、ロシアの軍事予算に影響を及ぼしている。」

ルーブルの下落を見込んで再計算する必要がある。

米国は、むちゃくちゃなことを平気で行う未成熟な国家だ。

それが、20世紀以降の世界を蹂躙し、翻弄し、混迷に陥れている。

その一方で、今回の記事に見られるような優れたジャーナリズムが健全に存在している。

普天間では、その後、ヘリの窓が窓枠ごと落下するという、信じられない事態も発生している。

(普天間第二小学校の校庭に落下した…)
https://www.jiji.com/jc/d4?p=fal016-jpp025714389&d=d4_zz

「普天間第二小学校の校庭に落下した米海兵隊CH53E大型輸送ヘリコプターの窓枠=2017年12月13日」

記事を検索していたら、今年の夏にも窓(枠なし)が落下した話があったようだ。

(普天間所属米軍機から海上に窓落下、来月4日まで飛行停止)
https://www.sankei.com/politics/news/190830/plt1908300018-n1.html

「海兵隊CH53大型輸送ヘリコプターが27日午後5時半ごろ、同県約8キロの沖にプラスチック製の窓(重さ1キロ)を落下させていたことが分かった。」

「安全管理の徹底や、原因究明と詳細な結果報告も求めた。」

おざなりな当局の対応と、おざなりな報道。

まあ、当局の対応は仕方ないとしても、報道自体が疲弊していてどーする!?。

健全な軍隊は、健全なジャーナリズムからだな(そうなのかあ?)。

自国の兵士の損耗さえ気にしない軍上層部が、外国に駐留する軍隊が起こすトラブルに気を回すゆとりはないだろう。

(沖縄の保育園・小学校に米軍ヘリ部品落下であわや大惨事も、百田尚樹とネトウヨが「自作自演」「捏造」と攻撃!)
https://www.excite.co.jp/news/article/Litera_3654/

「1965年には読谷村で米軍が訓練中に吊り下げたトレーラーが落下し、11歳の女児が圧死するという痛ましい事故も起こっている。」

(1965年6月11日 読谷村で米軍のトレーラーが落下し小学生死亡)
https://www.archives.pref.okinawa.jp/news/that_day/4861

「1965年(昭和40)6月11日、旧読谷飛行場で行われていた米軍の戦場物資パラシュート投下訓練中に、重さ2トン半のトレーラーが読谷村親志の民家そばに落下しました。旧読谷飛行場と民家はわずか500メートルの距離にあり、小学校5年生の女の子が鉄板に載ったトレーラーの下敷きとなって死亡しました。当時、沖縄ではベトナム戦争の激化とともに演習も増えて事故が多発しており、パラシュート投下訓練によって死者が出る最悪の事態となりました。」

おっと、返還前だからな。

外国とは言えないだろう?。

もし仮に米朝戦争が起こるような事態になれば、同様の悲劇が繰り返されることになるかもしれない。

平時の現在でも、放射線防御用キャップや窓枠付き窓、窓枠無し窓、ヘリ本体が空から降ってくるわけだからな。

しかも、それらの原因については、軍隊自体が内部でしっかりした対策を取っていないことは、ヤフーの記事を読めば明らかだ。

疲弊した軍隊を持つ国家は、やがて滅びる。

いや、やがて滅びる国家だから、健全な軍隊を維持できなくなる。

まあ、どうでもいいんですが。

浮沈子が若い頃、ワシントンのアーリントン墓地を訪ねたことがある。

(アーリントン国立墓地)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%B3%E5%9B%BD%E7%AB%8B%E5%A2%93%E5%9C%B0

ちょうど、誰かの墓に献花するところで、居合わせた人々は直立不動で手を胸に当てていた。

「米国には、米軍を尊敬、賛美する文化があり、米軍や米兵たちを特別な社会的地位に押し上げてきました。」

ヤフーの記事のこのくだりを読んだ時、腑に落ちるものがあった。

また、映画「インサイダー」のことも出てくる。

「創設者のローウェル・バーグマン名誉教授は、米国のタバコ産業の不正を暴いた調査報道ジャーナリストとして、映画『インサイダー』のモデルになった人物だ。」

(インサイダー (映画))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%80%E3%83%BC_(%E6%98%A0%E7%94%BB)

「しかし、CBSの上層部はタバコ産業との訴訟を恐れ、ワイガンドのインタビューをカットして放送する事を決定、バーグマンも『60 Minutes』を降ろされてしまう。」

同じ系統の話としては、ペリカン文書とかもあったし、最近の映画ではザ・ポストもそうだったな。

(ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書:原題:The Post)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%B4%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%BA/%E6%9C%80%E9%AB%98%E6%A9%9F%E5%AF%86%E6%96%87%E6%9B%B8

トランプ大統領の弾劾が話題だが、大統領の陰謀と言えば、ウォーターゲート事件を忘れるわけにはいかない。

また、我が国では田中角栄の話もある。

しかし、残念なことに、これらは例外に近いのかもしれない。

ジャーナリズムの健全性をアピールする映画が繁盛するというのも、情けない話だ。

久しぶりに、ネット記事を読んでカタルシスを感じたわけだが、それ以上に米軍の疲弊した状況に危機感を覚える。

組織は人間が作り、人間は組織によって鍛えられる。

その連鎖が途切れれば、人間も組織も共に腐る。

内部に是正する仕組みを導入して、自浄作用を働かせようとするが、それが上手くいくとは限らない。

一蓮托生で、もみ消されることだってある。

誰かが、どこかで、しっかりと目を光らせ、秘密のベールを引きちぎり、全てを白日の下に晒していかなければならない。

関電の話もあるしな。

いろいろ考えさせられることが多い記事だった。

そろそろ寝ないとな。

明日は、久しぶりに機中の人になるわけだからな・・・。

エティハドの機材はB787-9と判明2019年10月11日 11:33

エティハドの器材はB787-9と判明
エティハドの機材はB787-9と判明


台風が来る前に離陸できることが確定して、ホッとする。

(フライト情報を調べる)
https://www.narita-airport.jp/jp/flight/today

ついでに、器材がB789(B787-9)であることも判明。

さっき、柏崎さんから確認の連絡もあり、ツアー催行決定となった。

やれやれ・・・。

当初、成田までは車(N-VAN)で行って、帰りの足を確保しておこうと思ったんだが、時間に余裕があるので東京駅からバスで行くことにする。

台風直撃で、成田空港の駐車場に停めておくのは心配だ。

離陸は夕刻なので、出発は昼過ぎでいい。

持って行くものはほぼ確定だが、ダイビング器材以外の荷物が意外に多くて、選択に苦労している。

まず、折り畳みの傘を没にする。

今日も、帰国予定日も雨には降られないからな(小雨程度は許容範囲)。

現地は、雨とは無縁だし・・・。

着替えは2セット持参(通常は1セットのみ)。

沖縄ツアーの時に相部屋だったが、エアコンかけまくりが出来なかったので、乾きが遅かった。

老眼鏡も小さいのだけにする。

パソコン(シンクパッド10)も、ショルダーバッグに直接入れていく。

ホテルのネット環境が不明だが、まあ、何とかなるだろう。

往復の機内は寝ていくだけだし(座席に電源があるかどうかは不明)。

アブダビまで、片道12時間のフライト(帰りは10時間くらい)。

そこから乗り継ぎに2時間くらいある(カイロまでの空路は4時間)。

電動髭剃りも置いていく。

手動のシェーバーで剃ればいいしな。

いつも持って行くお出かけセットも置いていく。

ミニマムな荷物。

キャリーバッグの荷物合計は、16kgに収まる。

あとは、3kgのショルダーバッグ。

この中にパソコンとダイコン、水中ライトその他諸々が収まる。

きっと、何かを忘れているに違いない。

アブダビから8000kmを戻って取りに帰ることはできない。

出かけてしまえば、行った先で買うしかない。

ブレーカーの電源を落とせば、パソコンのモニターも消える。

成田で何かあれば、また書く。

エジプトは中東なのか?2019年10月19日 12:11

エジプトは中東なのか?
エジプトは中東なのか?


無事帰国。

なれども、預託荷物は遅延していて、後続便にて到着予定とのこと(本日14時頃、成田に着いたとの連絡あり:追加)。

浮沈子の受け取りの都合で、手元に来るのは24日以降になる。

中に入っている下着類が、どういうことになっているかは考えないことにしよう(一応、手洗いはしてありますが・・・)。

まあいい。

往路のアブダビで携帯工具(小型ライト付き)を没収されたこと、復路のアブダビで首に巻いていたタオルを紛失したこと、ダハブの1本目(キャニオン)で、ダイコンその他を着けずに潜ったこと、ダイビング用のフードが破れてしまったこと、アブダビから成田がオーバーブッキングで、あわや中東に一人取り残されそうだったこと(キャンセルが出て、無事に皆さんと同じ便で帰国できましたが)、そのせいで預託荷物が遅れたことを除けば、病気にもならず、怪我もしないで帰国できたことは良かった。

入国の際、成田の検疫でラクダに乗ったことを申告したら、係員から意外な返答があり、ここに記しておくことにする。

「エジプトは中東じゃありませんから、MARSの申告は必要ありません。」

ええーっ?、エジプトって、中東じゃあないのかあ?。

(中東)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E6%9D%B1#%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E3%80%8C%E4%B8%AD%E6%9D%B1%E3%80%8D%E3%81%AE%E6%A6%82%E5%BF%B5

「このような不確かな概念にも係わらず、日本で中東の概念が広く用いられているのは、(中略)地理的にはアフリカに属すが、政治的・文化的には西アジアのアラブ諸国と同じマシュリク(東アラブ)に属すエジプトを西アジアと一体の地域として扱うためには非常に便利な地域概念と思われる。」

「欧米諸国では、「中東」はほぼアフガニスタンを除く西アジアとアフリカ北東部の国々を指す概念として用いられ、具体的には、アラブ首長国連邦 (UAE)、イエメン、イスラエル、イラク、イラン、エジプト、オマーン、カタール、クウェート、サウジアラビア、シリア、トルコ、バーレーン、ヨルダン、レバノンの諸国、及びパレスチナ自治政府の管轄地域がその概念の中に含まれている。」

世間一般では、エジプトはれっきとした中東地域とみなされているんだがな。

(地域別インデックス(中東):外務省のページ)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/middleeast.html

「アフガニスタン
アラブ首長国連邦
イエメン
イスラエル
イラク
イラン
オマーン
カタール
クウェート
サウジアラビア
シリア
トルコ
バーレーン
ヨルダン
レバノン
パレスチナ」

パレスチナまで入れているのに、我が国の外務省の区分ではエジプトはアフリカ地域となっている。

地理的にはそうだけど、世間の常識とは異なるお役所の常識か・・・。

実務的にはどうなんだろう?。

(中東アフリカ局)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/honsho/sosiki/chuto.html

「中東第一課:業務内容:
(1)中東諸国21か国中11か国(アルジェリア,イスラエル,「エジプト」,ヨルダン,シリア,チュニジア,トルコ,モロッコ,リビア,レバノン)及びパレスチナ暫定自治政府に対する外交政策の企画立案及びその実施。」

「中東第二課:業務内容:
(1)アフガニスタン,アラブ首長国連邦,イエメン,イラク,イラン,オマーン,カタール,クウェート,サウジアラビア,及びバーレーンに関する政務の処理,これに必要な情勢の調査・分析及び各国に関する外交政策の企画・立案並びにその実施の統制。」

実際には、サハラ以北の北アフリカ地域を含めた広義の中東地域(アフガニスタンを含むことに注意)を中東諸国21か国として、一体とした業務管理を行っているようだ。

政策的には、この地域を地理的概念だけで区分することは難しいからな。

まあ、どうでもいいんですが。

厚生労働省が、MARSの検疫でエジプトを除外しているのは、外務省が中東を地理的要件で区分しているのとは別の理由だ。

(中東呼吸器症候群(MERS)に関するQ&A:「問3 MERSはどこで発生していますか?」を参照)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/mers_qa.html

「流行国*:アラブ首長国連邦、イエメン、オマーン、カタール、クウェート、サウジアラビア、ヨルダン」

「輸入症例ではないMERSの確定患者の発生が認められた流行国*」

流行国という概念の中には、輸入症例のみの国は含まれていないようだ。

「ヨーロッパ(イタリア、英国、オーストリア、オランダ、ギリシャ、ドイツ、トルコ、フランス)、アフリカ(アルジェリア、エジプト、チュニジア)、アジア(韓国、タイ、中国、フィリピン、マレーシア)、北米(アメリカ合衆国)及び中東(イラン、バーレーン、レバノン)からも患者発生の報告があります」

「これらの患者はすべて、(中略)流行国*への渡航歴のある人、又はその接触者であり、輸入症例であることが分かっています。」

非常に紛らわしい記述だが、浮沈子的に整理すると上記のようになる。

MARSは、ヒトコブラクダを自然宿主とする人畜共通感染症だ。

(MERSコロナウイルスの宿主としてのラクダについて:追加)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/iasr-sp/2320-related-articles/related-articles-430/6119-dj4305.html

「ヒトコブラクダ検体からヒトで見つかったものとほぼ同じウイルスの分離に成功し、MERS-CoVはヒトコブラクダ由来であるということが決定的となった。」

「またMERS-CoVはヒトコブラクダにおいては軽度の上気道感染を引き起こす病原性しかないことも明らかとなった」

(人獣共通感染症:呼称について:追加)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E7%8D%A3%E5%85%B1%E9%80%9A%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87#%E5%91%BC%E7%A7%B0%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6

「人獣共通感染症以外の呼称としては動物由来感染症などが挙げられる。」

「以前は人畜共通感染症または人畜共通伝染病という呼称が一般的であったが、「畜」という語が家畜のみを想起するのに対して、近年は愛玩動物(ペット)や野生生物からの感染が重大な問題になっているという指摘がある。これらを考慮して、人獣共通感染症という言葉を用いようとする動きがあり、この呼称が定着しつつある。」

「なお、厚生労働省はヒトへの感染経路を重視する観点から動物由来感染症という呼称を使っている。」

ヒトーヒト感染は、飛沫感染及び接触感染(ほとんどが医療機関における感染)。

流行国というのは、ここでは自然宿主が棲息している国のようで、そこで感染して帰国しても、輸入国(輸入症例のみの国)として区別される様だ。

実に紛らわしいな・・・。

ヒトーヒト感染の実態に応じた合理的な管理なんだろうが、一般には理解が難しい。

「問7:MERSはヒトからヒトへ感染しますか?」

「答:海外の感染予防対策の実施が不十分な医療機関等においては、患者から医療従事者や他の医療機関受診者等に感染した例が報告されています。」

「ただし、飛沫感染する季節性インフルエンザと比較しても感染力は弱く、次々にヒトからヒトに感染することはありません。」

整理しておこう。

①中東呼吸器症候群は、中東(エジプトを除く)のヒトコブラクダから感染する(致死率35パーセントで対症療法しかない)。
②地理的区分ではアフリカに属するエジプトは、実務的には中東の一部として区分されている。
③浮沈子はエジプトでヒトコブラクダに乗ったが、成田の検疫で、エジプトは流行国ではないので申告する必要はないと言われた。

幸い、今のところ熱発などもなく、MARSに感染した兆候はない。

真夏の気候のエジプトと、冷たい雨が降る東京の気温差に馴染めない程度だ。

昨夜は、今季初めて暖房を入れて寝た。

もう、東京では、短パン・Tシャツ・サンダルで過ごす季節は終わっていた。

街にはオレンジ色のカボチャが溢れ(ハロウィン)、それが終わればクリスマスのデコレーションが取って代わる。

今年も、あと2か月余りとなり、年末まで引き算して勘定するようになった。

ウェットスーツで潜るとヘンタイと言われ、ドライ用に今回破ってしまったフードの代わりを買い求めなければならない。

明日からは、DPVの研修が始まる。

レッドシーツアーの整理は、それが終わって、さらに23日のオープンウォーターのお手伝いが済んでからだな。

とにかく、身体は無事に帰ってこられた。

レッドシーで潜ることも出来た。

クフ王のピラミッドも押してみた(もちろん、ビクともしなかったけど)。

カフラー王のピラミッドの中にも入れた。

ダハブの海岸をラクダに乗って移動したしな(乗る時、サンダルが片方脱げただけ)。

それらは皆、一生の思い出になった。

成田からの帰りのバスで、ロンドンから着いたばかりの老齢の女性と拙い英語で会話した(3週間の滞在だそうです)。

ポンドの下落を嘆いていたっけ。

日本との時差は、8時間だと言っていた。

エジプトは7時間、アブダビは5時間だった。

まだ、時差ボケでボーっとしている(時差のせいだけかあ?)。

飯でも食って、時差ボケの解消に努めるとしよう・・・。

ギザの三大ピラミッドはカイロ郊外(目と鼻の先)にある2019年10月19日 21:11

ギザの三大ピラミッドはカイロ郊外(目と鼻の先)にある
ギザの三大ピラミッドはカイロ郊外(目と鼻の先)にある


カイロ市街の中心にあり、シンボルタワーとして君臨するのがカイロタワー(行政区分ではナイル川の西岸はギザ市だが、市街地は一体化している)。

(カイロ・タワー)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%AD%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%AF%E3%83%BC

「1956年から1961年にかけて建設された」

「エジプト、カイロに位置する単独のコンクリート製タワーである。高さ187 m」

「50年ほどエジプトや北アフリカで最も高い建築物であった。」

「ダウンタウンに近い、ナイル川に浮かぶゲズィーラ島のザマーレク地区に建つ。」

クフ、カフラー、メンカウラーの三大ピラミッドは、このタワーから10km余り離れている(グーグルアースで約11.5km)。

(三大ピラミッド)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E5%A4%A7%E3%83%94%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%89

「造営時期は現在より約4500年前の、紀元前2500年頃とされ、いずれもエジプト第4王朝期に建設されている。」

地図で見ると、カイロ国際空港より近い(こちらは市街地の反対側:約19km)。

なぜ、巨大な建築物が、こんなにも市街地に近いところに建造されたのか。

まあ、順序が逆だからな。

建造当時は、カイロ(ギザ)なんて町はなかった。

(カイロ:歴史:古代)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%AD#%E5%8F%A4%E4%BB%A3

「古代エジプトからローマ属州時代は、ヘリオポリスが近郊にあったが、カイロ自体はナイルデルタの湿地帯に小規模の集落が点在するだけの未開地だった。定住者が少なかったこともあって、イスラム帝国侵攻前の時代の遺跡はほとんど見つかっていない。ナイル川対岸の西側のギーザ台地には三大ピラミッドが築かれているが、そのギーザも古王国時代の終焉とともにピラミッド信仰も衰退していったため、エジプト新王国時代には廃墟となっていた。」

(エジプト第4王朝)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%B8%E3%83%97%E3%83%88%E7%AC%AC4%E7%8E%8B%E6%9C%9D

「マネトは、エジプト第4王朝が「異なる家系に属する」8人のメンフィスの王によって統治されたと記録している。」

(メンフィス (エジプト))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%B9_(%E3%82%A8%E3%82%B8%E3%83%97%E3%83%88)

「現代で言うエジプト・アラブ共和国北東部の都市ギーザの20キロメートル南、現在のミート・ラヒーナ(アラビア語版)近郊に位置する古代都市の遺跡である。」

「この都市は上エジプトと下エジプトの境界に位置していた(上エジプト第22州と下エジプト第1州の間)。」

「メンフィスは古王国時代を通じて首都となっていた。この都市は第6王朝の下で、創造と芸術の神プタハの信仰の中心としてその威信の頂点に達した。」

古王国時代には、第3王朝から第6王朝が含まれる。

つまり、首都はカイロの南にあって、カイロは都市ではなかった。

だから、近代になってエジプトの発展と共にカイロが都市化し、規模が拡大してピラミッドのそばまで市街地が出来てきたわけで、別に市街地の近くに意図して作ったわけじゃない。

まあいい。

実際に現場に立ってみると、小高い丘の上に巨大な石造りのピラミッドが置かれている。

メンカウラーのは、見るからに小さいが、クフとカフラーのは、同じくらいに見える。

前にも書いたが、土台が高いために、カフラーの方が高く見える。

底辺とか構造物の高さはクフが最大である。

スフィンクス像は意外と小さい。

カフラーピラミッドへの参道がやや高くなっていて、その上から見たせいかもしれない。

メンフィスが首都だったころの、三大ピラミッド以前の墓地は、サッカラというところに作られていたようだ。

(サッカラ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%A9

「エジプトにある広大な古代の埋葬地であり、古代エジプトの首都だったメンフィスのネクロポリスだった。サッカラには多数のピラミッドがある。中でも有名なジェセル王のピラミッドは、その形状から階段ピラミッドとも呼ばれる。他にもマスタバがいくつかある。現在のカイロから南に30kmほど行ったところにあり、7km×1.5kmほどの領域をサッカラと呼んでいる。」

「サッカラの北にはアブシール、南にはダハシュールがある。三大ピラミッドのあるギザからダハシュールまでの地域は、古代エジプトの様々な時代のメンフィスの住民がネクロポリスとして使用した場所であり、1979年に世界遺産に登録された(メンフィスとその墓地遺跡)」

現代のカイロでは、「死者の町」(俗称)とされる墓地地域に住む人々がいる。

貧しく、住居を持てない人々は、なんと墓地に住んで生活しているのだ。

今回のカイロ観光では、ハイウエイから眺めるだけだった。

観光客がふらっと行くような場所ではないらしい。

モスクも、学校もあり、生活が営まれているが、ガイドのハマちゃん(アハマドさん)によれば、エジプトの恥部なんだそうだ。

墓での生活。

浮沈子は、盗掘の歴史を聞きかじっていたので、先祖の墓を暴いて生活しているのかと思い、つい口走って顰蹙を買った・・・。

浮沈子たちのクルマは、「死者の町」やその周囲に広がる街並みを縫って走った。

政府系や大企業のビルは別として、カイロの建物の殆どはレンガの壁で作られている。

柱や梁は鉄筋コンクリートだが、それを埋める壁には、むき出しの日干しレンガが使われていた。

中には、モルタルで上塗りしてあったり、レンガのまま塗装してあるものもあったが、殆どのビルは、むき出しの赤茶色のレンガのまま。

現代のカイロは、レンガで覆い尽くされた街だ。

雨が降らず、地震もない国の首都。

浮沈子は、クフのピラミッドの底辺に積まれた石を押してみた。

もちろん、1mmたりとも動かない。

4500年の時を経て、石積みはその形を保っている。

表面を覆っていた化粧石は、後世の人々によってはがされ、カイロの町の舗装に使われていったと言われる。

クフのピラミッドの底辺には、この化粧石が一部残っていた。

浮沈子は、カフラーのピラミッドの上部だけかと思ってたんだがな。

カイロの町がなかったころ、この地に巨大な建造物を残した人々がいた。

4500年後、東京の街で残る建物は皆無だろう。

数十年、せいぜい100年くらいしか残らないものを、生涯をかけて築く。

来世に続く墓だって、最近は自然の中に散骨したりして残らないしな・・・。

遺跡の残らない時代を、現世利益だけを追求して生きる現代の人々。

永遠の来世を信じて、巨大建造物を残していった大昔の人々。

エジプト考古学博物館では、止めようと思っていたミイラ室を、180ポンドも払って見学した。

91歳で亡くなったラムセス2世のミイラは、他のミイラに比べて出来がいい感じだった。

長生きしたということは、内臓も丈夫だったに違いない。

他のミイラは、せいぜい40歳くらいだったしな。

彼らが、数千年後の我々に、影響を与えていることは確かだ。

日干しレンガのカイロの町は、やがて崩れて廃墟になる(たぶん)。

4500年後の人類は、砂漠の中に取り残されたピラミッドだけを眺めることになる。

かつて、この地に大勢の人々が訪れ、すぐそばまで町が広がっていたことなど、想像すらできないに違いない。

地球温暖化が進めば、カイロの辺りは人間が住むことができなくなる。

それよりも何よりも、標高が低いために水没する可能性が高い(カイロの標高は15から60m)。

ピラミッドは、水面に突き出した形で存在することになるかもな。

やれやれ・・・。

地球外生命に対する健全な議論2019年10月25日 07:58

地球外生命に対する健全な議論
地球外生命に対する健全な議論


(火星での生命発見の日迫る? でもXデー以降、僕らの日常ってなにか変わるんだっけ?)
https://www.gizmodo.jp/2019/10/we-are-unprepared-for-mars-life-discovery.html

「1996年、ジョンソン宇宙センターの科学者は、火星隕石ALH84001に生命の痕跡を発見したと発表しました(結局いまも確証は出ていませんが…)。その発表はメディアで広く取り上げられており、人々はその発表に大きな関心をもって情報を追いかけましたが、広範な懸念を引き起こしたという証拠はほとんどありません。」

そう、浮沈子もこのニュースにビビった記憶がある。

これが本当なら、宇宙は生命に溢れていると言われても仕方ないからな。

しかし、その後、この隕石の「模様」が生命あるいはその痕跡だったという話は聞かない。

(アラン・ヒルズ84001)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%92%E3%83%AB%E3%82%BA84001

「南極大陸で採取された、火星起源の隕石の破片。内部から細菌のような生命体の化石らしきものが確認され、地球外生命の痕跡ではないかと取り沙汰されたが、現在に至るも結論は出ていない。」

ギズモードの記事には、地球外生命発見にまつわる様々な専門家の意見が記載されていて、バランスの良い記事になっている。

中でも、浮沈子にとって印象的だったのはこれだ。

「私たちが火星に行くのは、生命を見つけるためではなく、生命がそこに見当たらないことを確認しに行くことでもあるんです。」

火星だけではない。

金星の大気中、木星の衛星であるエウロパ、土星の衛星であるエンケラドゥス、タイタンなどなど。

今世紀中に、何らかの探査は行われるかもしれないが、結局、生命のかけらもないということを確認しに行くだけに終わるに違いない。

もっとも、何らかの液体が存在し、炭化水素の化学反応が可能なエネルギーがあれば、連鎖的な化学反応系である生命が誕生する可能性は否定できない。

生命の材料が宇宙に満ち溢れていることは、ここ数十年の観測により明らかになってきているからな。

しかし、如何に材料が豊富であったとしても、また、その材料をこねくり回すエネルギーがあったとしても、それだけで生命が発生すると考えるのは気が早すぎるというものだ。

浮沈子がそう考えるのには理由がある。

地球46億年の歴史の中で、生命が発生したのは1回きりだからな。

材料は豊富で、反応エネルギーに事欠かないにもかかわらず、2度目の生命の発生は起こらなかった。

生命の発生が、激レアである動かぬ証拠だ。

人工的にDNAを合成して、既存の細菌のDNAと入れ替えて人工生命とか言ってるけど、それは生命の発生とは似て非なるものだ。

(人工生命体はすでに誕生している! 衝撃の最先端科学レポート)
https://ddnavi.com/review/460760/a/

「2016年、孤高の天才学者クレイグ・ベンター氏によって、世界初の人工生命体の誕生が発表された。遺伝子上、直結する「親」の存在しないこの微生物は、生存に必要な最小(ミニマル)のゲノムによって構成されている」

自然が数十億年掛かって獲得した試行錯誤の成果をパクって、手っ取り早く使える部分をピックアップして繋げただけの話だ。

まあ、それだって大した話だが、生命の発生とは次元が異なる。

削ぎ落した部分にだって、未解明の機能があるかも知れないし、残したミニマルの機能が進化の能力を持っているかどうかを確認する術はない(10億年くらいすれば分かるかも)。

要するに、遺伝子(最近はゲノムというのが流行っているらしいけど)を弄繰り回すことができるようになっても、生命を創造するというのは簡単ではないということだ。

ギズモードの記事には、こんな話も載っている。

「科学的な価値のある微生物のみを考慮するのか、それとも微生物自体に価値があると見なすのかが重要となるわけです。微生物自体に価値があるとすれば権利が発生します。その権利は、地球上の微生物が持ち込まなれないというものです。」

人間中心主義が横行する宇宙開発では、既に大量の生物が月や火星などに持ち込まれている。

生物汚染を完全に防ぐことは無理だからな。

アランヒルズ隕石の例に見るように、近所の惑星からの飛来物もあるから、そこまで神経質になる必要はないかもしれない。

少なくとも、月と火星(金星も)については、地球生物による汚染が発生している。

隕石の飛来など自然に行われたものではなく、人類が持ち込んだ探査機による汚染だ。

ミニマルセルを開発したクレイグ・ベンターは、引用した書評の記事で、こんなことを言っている。

「私たちは単なる一つの種ではない。アリやハエと同等ではないのだ。私たちには、全く新しいものを創り出すことを可能にするだけの知性がある。従ってもちろん、私たちにはその権利があるのだ」

人類は、やりたい放題やるに違いない。

そこに、何らかの規制を掛けようとする動きは出てくるかもしれないが、出来ることには限界があるということも知っておく必要がある。

人工的な生物汚染を完全に防ぐには、探査機を送り込まないようにする以外には方法はない(そんなあ!)。

浮沈子的には、それでもかまわないと思っている。

出来ることしかできないし、お釈迦様の手のひらから出ることができない孫悟空のようなもんだからな。

人類もまた、自然の造り出した被造物であることに違いはない。

人工物の持ち込みによる生物汚染もまた、自然の一部だ。

万が一、火星に生命が発見されたら、世界はパニックになり、我々の生活は一変してしまうのだろうか。

もちろん、そんなことにはならないし、昨日のように今日がある生活は変わらない。

この100年の間に、人類が得た知見は驚くべきものだ。

宇宙は、我々の居る天の川銀河の外にも広がっているし、人類が宇宙空間に出ることも出来るようになった。

他の天体(月)に、人工物を送り込み、人類自身が足跡を記すこともできた(今のところ、過去形だけど)。

太陽系の外に探査機を送り出し、重力波を検出し、相対性理論を実証してきた。

残っている重大な発見は、地球外生命くらいかもしれないな(恒星間探査もあるか)。

「私たちが完璧に準備ができていないのは当たり前です。準備ができるようなものなら、それは興味深い発見でさえないでしょう。」

一見、無責任に思える意見だが、我々に出来ることとしては、それ以上でもそれ以下でもない、健全な態度だろう。

何度も言うが、浮沈子的には地球外生命の発見などあり得ない話だと思っている。

仮に何らかの発見があったとしても、たとえば火星に発見された生命の兆候が、実は過去に地球からもたらされた生物汚染だったというオチに終わる可能性は大いにある。

少なくとも、ローバー2020やロザリンドフランクリンでは、何も出ない方に一票だがな・・・。