怒涛のダイビング週間コンプリート2019年12月21日 08:15

怒涛のダイビング週間コンプリート
怒涛のダイビング週間コンプリート


先週土曜日からの怒涛の一週間が終わった。

その前の週からSPIの宿題や予習を合わせれば、2週間ほどダイビング漬け(陸上でのお勉強含む)になっていたわけで、昨日、ようやく一段落した。

年末のDPV再受講に向けて、予習(復習?)もしておかなければならないからな(ホントにやるのかあ?)。

昨日、一昨日は、高齢初心者ダイバー2人のドライスーツ講習とアドバンス講習のサポート(インストラクターは藤上さん)。

1日目は海が荒れていて、初心者の初ドライには厳しい環境だったので、富戸から八幡野まで移動しての講習になった。

前日(水曜日)に、浮沈子側の浮世の雑事でバタバタし、予定していた前泊はキャンセル、木曜日当日の富戸への移動となったが、早めに着くことができたので、富戸で現地に預けてある器材やウエイトなどを積んで移動することができた。

そう、今回のサポートでは、シェルドライではなく、ネオプレンのドライで潜った。

こっちにも慣れておかないとな・・・。

歌って踊れるダイバーになるためには、どんな構成でもそれなりにコントロールできる必要があるだろう。

レギュレーターは、昔のSプロのやつ(これも、富戸に預けている)で、中圧ホースが1本しか付かない。

もちろん、貴重な中圧はドライのコントロールに使うからな。

BCは、オーラルで賄う。

これも、いざという時に役立つスキルだ。

受講生はアドバンス講習だ。

もちろん、ディープもある。

ネオプレンの浮力コントロールだけでは、深度下の浮力調整は適切にできない(つーか、ドライがぶかぶかになってしまって、トリムを崩すと首からエアが漏れ出てしまう)。

ここは、基本通り、しっかりとBCで浮力コントロールを行い、ドライの給気はスクイーズ防止と保温程度に留める。

P社のドライスーツSPIを受けたばかりだが、実戦的には異なる対応が必要だ(P社では、水面の浮力確保以外は、ドライへの給排気でコントロールするようになっている:シェルドライの想定なんだろうな)。

その辺りを、インストラクターが受講生にどのように伝えるのか、テキストと異なる説明を、どうやって合理的に納得させるのかなど、現場を経験しなければ分からないことを学ぶ(生徒との信頼関係が重要なわけだ)。

初心者のフレッシュな反応も、非常に参考になる。

浮沈子は、耳抜きに難があるので、実際に生徒を取って教えることはできないからな。

安全管理できないし。

サポートという形で参加させてもらいつつ、理解を深めていくしかない。

それでも、いろいろお手伝い出来て良かったこともあった。

有り得ないような想定外の出来事もあったしな(ここには、とても書けません!)。

まあいい。

日本の海で潜るのに、ドライスーツは必須だし、メーカーも力を入れている。

レクリエーショナルで潜る分には、耐久性や簡便さを考えて、ネオプレンのドライは有力な選択肢だ。

今回、試していただいたモデルは、生地の素材が柔らかかったり、ファスナーの位置が異なっていたりと、数年前とは異なる優れものだった。

ファスナー自身も、プラスチック製だったしな。

日進月歩だ。

浮沈子のは、オーソドックスな金属製の後ろファスナー。

ただし、サイズはあつらえで作っている。

2日目の早朝には、先日、キャニスターライトを置き忘れてしまった獅子浜まで、取りに行った。

朝っぱらから、Nバンのエンジン全開で亀石峠を往復する。

やれやれ・・・。

何か一つは、必ず忘れ物する浮沈子。

気を付けよう。

2日目のナビゲーションとディープは富戸のヨコバマ。

海況も落ち着き、快適なダイビング。

まあ、ディープといっても、23mくらいだったけどな。

緩い斜面に沿って深度を取っていくので、ボトムまで時間が掛かり、NDLは9分くらいになった(良い子は、マネしないでね!)。

ダイコンに頼るダイビングでは、NDL2桁残しが鉄則だ(基本は事前の潜水計画。ダイコンはあくまでも水中での確認用)。

安全停止もしっかり行い、無事にアドバンス終了。

高齢の初心者でも、丁寧にスモールステップを刻めば、比較的短時間にスキルをこなせるようになることも分かった。

そのためには、周辺のストレスを出来る限り排除し、スキルに集中することができる環境を整えることが重要だ。

インストラクターの役割は、その辺りの手抜きをしないところにある。

段取り命だな。

エントリーした時には、講習は8割終わっている感じか。

逆に、段取り悪く、生徒がストレス塗れになってしまえば、スキルの習得はおろか、パニックに陥る可能性もある。

快適な講習の成果で、受講生からはマイドライスーツの発注もゲット!。

営業的にも大成功だな・・・。

安全管理上の問題もなく、2日間4ダイブの講習はハッピーに終わった。

浮沈子の怒涛の一週間もお終い。

・土曜日:東京→IOP(富戸泊):ネオプレンドライ:シングルタンク:2本:SPI(エンリッチ、サチリカ、ドライスーツ)
・日曜日:富戸→(亀石峠)→大瀬崎→東京:シェルドライ:ダブルタンク:2本:カバーン補習?、ネックシール交換のワークショップ
・月曜日:東京で休息
・火曜日:東京→(鷹ノ巣山トンネル)→獅子浜→(冷川トンネル)→東京:シェルドライ:ダブルタンク:2本:ファンダメンタルスキルをドライスーツで試す
・水曜日:東京で水泳教室(バタフライ)に参加(筋トレなどの通常のフィットネスも):浮世の雑事で、前泊キャンセル
・木曜日:東京→八幡野(富戸泊):ネオプレンドライ:シングルタンク:2本:ドライスース講習サポート
・金曜日:富戸→(亀石峠)→獅子浜→(亀石峠)→富戸→東京:ネオプレンドライ:シングルタンク:2本:アドバンス講習サポート(ナビゲーション、ディープ)

合計10本、陸上の移動距離は軽く1000kmを超えたな。

西伊豆まで、3往復。

水曜日には、水泳教室の他に、筋トレ(2クール)と水泳300mも。

爆食の限りを尽くして、体重はリバウンドの嵐だ(富戸の体重計に乗ったが、数字を見る前に降りた:って、なんなんだあ?)。

まあ、どうでもいいんですが。

冬の日本の海を満喫する。

今まででは、有り得ない浮沈子のダイビングスタイル。

年明けからは、リブリーザーも復活予定だ(酸素センサー発注済み!!←ポセイドン用2個:さっき届いたとの連絡あり:追加)。

2020年のダイビングは、どんな展開を見せるんだろうな・・・。

真の困難を知る者の控えめなコメント2019年12月21日 17:17

真の困難を知る者の控えめなコメント
真の困難を知る者の控えめなコメント


大言壮語を吐くことで知られたイーロンマスク(彼が慎み深く控えめという評価は聞かないな・・・)。

人類を火星に連れて行くとか、太陽系は俺様のものだとか(そんなこと、言ってたっけえ?)。

(ボーイングのスターライナー宇宙飛行士カプセルが宇宙ステーションに到達するための主要なテストに失敗)
https://uk.reuters.com/article/uk-space-exploration-boeing-idUKKBN1YO1A3

「ボーイングのライバルへの同情のメッセージの中で、マスク氏はツイッターで「軌道は難しい」と述べ、「着陸と次のミッションへの迅速な回復を願っています」と付け加えた。」

ザマアみろとか、それ見たことかとか、それに類する言葉はない。

クルードラゴンで、同じくISSへの有人飛行を目指しているスペースXも、開発過程で多くの困難に直面してきた。

グインショットウェルによれば、パワードランディングからパラシュート着陸への変更、座席の角度の修正に伴う搭乗人員の減少、パラシュートの重量軽減と展開の不具合への対応、今年4月の地上での打ち上げ打ち切りテストの際の爆発、エトセエトセ・・・。

当初、3年前(2017年)に予定されていた有人打ち上げは、早くても来年2月以降とされている。

ボーイングの方も順風満帆に開発してきたわけではない。

燃料系統のバルブの不良や、パラシュート展開の不具合は同じように起こっている。

基本コンセプトは陸上への着陸だが、いざという時に水上へ着水させるための改良も施されているはずだ(未確認)。

打ち上げシステムについては、アトラスVを有人用に改良するという課題もこなしている。

空力の対応のために、不格好なスカートを付けてみたりしてな。

ISSへの有人宇宙船の開発という点ではライバルだが、同じゴールを目指す同士でもある。

両社は切磋琢磨しながら、融通の利かないNASAの技術者を相手に、開発にしのぎを削ってきたわけだ。

一発で無人飛行を決めたスペースXだからな(まあ、その後に爆発したけど)。

ここは、チクリと嫌みの一つも言いたいところだろうが、そういう反応はない。

NASAとの付き合いも長く、スペースシャトルの軌道船も手掛けたボーイングと異なり、スペースXは新参者だ。

当初の提案も浮世離れしていて、保守的なNASAの技術陣とのやり取りは難しかったに違いないが、それを乗り越えて宇宙船を形にしてきた。

浮沈子的には面白みのない、ただのカプセルになっちまった感じだがな。

まあ、どうでもいいんですが。

その開発過程で、彼らが学んだのは、有人飛行の困難さと、それに伴うシステムとしての複雑さだろう。

アボートシステムは、無人輸送機にはない。

打ち上げロケットの冗長性も、無人機には求められていない。

パラシュートの安全性、冗長性も別物だ。

そして、それら全ては重量の増加の要素をはらみ、それを回避しようとすれば、新たな問題を生み出しかねない。

システムの複雑さは増すばかりだし、それに伴うテストの手間は、等比級数的に増大するに違いないのだ。

NASAは、当初、有人システムの開発は1社だけで行うとしていた。

結果的には、2社が選定され、競争する形になったが、別にどちらかが早く開発できたからと言って、ボーナスが出るわけでもない(たぶん)。

スペースXが、当初からコンサバティブな提案だったら、もっと早く開発できたかもしれないけど、そのプロセスの中で何かが見落とされて大きな事故につながったかもしれない。

同時開発の形はとっていても、おそらく別個のシステムとして独立に進められたんだろう。

途中経過について、逐一フォローしていたわけじゃないけど、例えばアボートテストにしても、スペースXはMaxQ辺りでの動的打ち切りテストを行うが、ボーイングは行わないしな。

「着陸と次のミッションへの迅速な回復を願っています」(再掲)

開発の苦労を知る者として、揶揄するようなコメントは控え、同情と期待を寄せる態度が印象的だ。

ロイターの記事には、気になる記述もある。

「ブリデンスティーンは、金曜日の事故の調査結果に応じて、ボーイングが最初のクルーのスターライナー便に直接進むことを許可する可能性を排除しないと述べた。」

昨日今朝読んだ記事にも、同じ様なことが書かれている。

(ケープカナベラルからの打ち上げ後、ボーイングクルーカプセルが揺れ動く)
https://spaceflightnow.com/2019/12/20/boeing-crew-capsule-falters-after-launch-from-cape-canaveral/

「NASAの商用乗組員プログラムの副マネージャーであるスティーブスティッチは、金曜日、操縦されていないテスト飛行でのドッキングの成功は乗組員の任務を進めるための前提条件ではないと述べました。」

「ボーイングとSpaceXの両方が、ドッキングを実証する無人テスト飛行を行うミッションを提案しました」

「それが要件だとは言いません。持っているのはいいことですが、乗務員のフライトの要件だとは言いません。」

「乗組員のミッションの重要な部分を考えると、打ち上げと着陸です。そのため、そのデータを収集し、この問題の根本原因を理解してから、次のミッションに関連する次のステップを確認する必要があります。」

つまり、無人の打ち上げを行わずに、この大チョンボの後に、いきなり有人飛行させるつもりのようだ(そうなのかあ?)。

今回、テストされなかったISSへの接近やドッキング、離脱や、高高度軌道からの大気圏再突入のマニューバリング、その他、軌道上で行われる予定の数々の試験は、有人飛行(一応、試験飛行ということになってるようですが)において、ぶっつけ本番で行う可能性があるということだ。

マジか!?。

「スターライナーでの飛行を楽しみにしています。安全上の懸念はありません。」(ロイターの記事より)

「私たちが搭乗していたなら、この状況で何をすべきかについて、より多くの選択肢をフライトコントロールチームに与えることができたでしょう」(ロイターの記事より)

そりゃあ、そう言うだろうさ・・・。

俺たちは、実験用のラットと同じじゃないぞと。

厳しい訓練を受けた有能な宇宙飛行士が、アホな技術者のチョンボをカバーして、米国の栄光(ここ、重要です!)を取り戻して見せるぞと。

その能力も、勇気もあるってところを見せないとな。

浮沈子は、現在のNASAなら、やりかねないと考えている。

マジで、やるかも知れない。

イーロンマスクは、おそらく、そこまで読んでいるんだろう。

そして、不可知のリスクが潜在している可能性を排除しきれないことも。

何度も爆発事故を引き起こし、パワードランディングで激突を繰り返してきたスペースXだからな。

そのことは、骨身にしみて分かっている。

「軌道は難しい」(再掲)

今日のこの記事を書きながら、先日書いた記事を思い出した。

(死滅回遊魚か季節来遊魚か、まあ、どっちでもいいんですが)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2019/12/16/9190146

「「日本の宇宙開発も今後、国家としてのビジョンを明確に持つべきだと話した。」
具体的に何を指しているのかは分からないが、端的に言えば、宇宙に行って死んで来いということだな(そうなのかあ?)。
その屍にビビって、ぬくぬくとした日常に埋もれて滅びるか、それを乗り越えて新天地を得るか(確率低いですが)。
リスクを避け、課題を先送りし、真に守るべきものを守れなければ、この星で生きていくことさえできない。
そのために必要ならば、犠牲を厭わない姿勢を見せろと。
腹を括れということだな。」

米国は、この手の状況を、意図せず作り出してしまったのかも知れない。

スターライナーの次回のフライトが、星条旗の元、いきなり有人で行われることがあるとすれば、まさにツボにハマった形になるわけだ。

米国は、英雄を求めている。

B社も、NASAも、トランプも、それを望んでいるに違いない。

何より、ネズミと一緒にされている(!)宇宙飛行士たち自身が切望している(そうなのかあ?)。

開発の遅れは、米国のロシア宇宙船ソユーズへの依存を長引かせる。

財政的な支出だって大きいだろうが、それよりも何よりも、ロシアへの依存の継続こそが象徴的な話だからな。

アトラスVの1段目のエンジンはロシア製だけどな。

まあいい。

それも、そのうち、後継バルカンロケットのBE-4エンジンに置き換えられていくんだろう。

米国の、米国による、米国からの、米国のための有人宇宙飛行を一日も早く達成するために、一定の合理性があれば、いきなり有人飛行へと突き進む可能性は低くない。

動機は十分だしな。

ひょっとすると、来年2月以降に予定されているスペースXより早く行われる可能性さえある。

危険な発想だが、お国柄だからな。

浮沈子は、やりかねないと見ている。

来年は、大統領選挙だしな。

政治の風が吹いている。

生臭い風だ・・・。

血生臭い風にならないように、祈るしかないか・・・。

大気圏再突入の際に発生する熱は「摩擦熱」と解説しているNASAのビデオに違和感2019年12月21日 21:45

大気圏再突入の際に発生する熱は「摩擦熱」と解説しているNASAのビデオに違和感
大気圏再突入の際に発生する熱は「摩擦熱」と解説しているNASAのビデオに違和感


(人類を再び月面に送る「アルテミス計画」の詳細をNASAがムービーで解説)
https://gigazine.net/news/20191220-artemis-how-go-moon/

アルテミス計画に冷淡な浮沈子。

どーせ、宣伝用の下らんビデオだとバカにして、英語字幕を日本語に自動翻訳で変換しながらぼーっと眺めていた。

思わず見返したのは、月軌道を回るゲートウェイが、有人ミッションの間に無人になるところと、オリオン宇宙船が地球大気圏に再突入する際に、「摩擦熱」が発生するという2か所だけ。

月軌道ゲートウェイが、殆どの期間、無人で運用されるだろうことは、想定の範囲内だ。

そこへ、有人宇宙船であるクッソ重いオリオンを飛ばすには、巨大なSLSロケットを作って使い捨てにするしかないしな。

20億ドル(2200億円)ものコストを、湯水の如く使いまくるわけにはいかない。

年に1回か、せいぜい2回くらいしか飛ばない。

1回のミッション期間が、仮に1か月くらいあったとしても、間の半年から1年近くは無人にならざるを得ない。

クルーが常駐するような運用には向かないからな。

オリオンにしても、2機体制が取れるかどうかはビミョーだ。

ISSと異なり、緊急避難用ポッドとして常駐させておくわけにはいかないだろう。

物資や燃料は無人で送ることはできるが、生身の人間を運んだり回収したりということになれば、長期間常駐すればする程リスクは高まる。

ゲートウェイの寿命も、ISSのような長期間は望めないしな。

メンテナンスコストが高くなるので、ある程度使ったら軌道離脱させて月面に落とすしかない。

特に、機械モジュールは、殆ど使い捨てになるだろうな。

燃料補給を数回(ひょっとしたら1回だけ)行って、数年で交換することになる(未確認)。

元々、静止衛星の汎用バスを使う予定なので、それでいいのかも知れない。

居住モジュールなどは、もう少し使い続けたいところだが、劣化具合によっては半分消耗品のような感じになるかもな。

何しろ、修理するのにいちいちSLSで人間を送る羽目になるわけだから、それだけで2200億円だ。

バッテリー交換くらいは、ロボットで出来るかもしれないけどな。

地球から、コマンド送って、デクスターみたいなのが良きに計らう。

(デクスター (ISS))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC_(ISS)

「EVA(船外活動)の必要な仕事を代替できるように機能を拡張するためのものである。」

モジュール内部の修理交換などは、別途対策が必要だろう。

まあいい。

次に気になったのは、再突入の際の「摩擦熱」だ。

「クルーモジュールは時速2万5000マイル(約時速4万km)で地球の大気圏に突入。空気の摩擦によりクルーモジュールは減速します。この時、クルーモジュールの表面温度は5000度まで上昇すると予測されています。」

動画のキャプションの英文を見てみる。

「Enering Earth's atmosphere at 25,000 miles per hour, the friction of air slows Orion considerably, while also subjecting it to temperatures of 5,000 degrees.」(時速25,000マイルで地球の大気に入ると、空気の摩擦によりオリオンはかなり遅くなり、同時に5,000度の温度にさらされます。)

概ね同じだな。

浮沈子は、大気圏再突入の際には、「大気との」摩擦熱ではなく、宇宙船の進行方向にある大気が「断熱圧縮」されて高温になり、それが宇宙船を熱すると覚えていたんだがな。

(摩擦)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%91%A9%E6%93%A6#%E6%B5%81%E4%BD%93%E3%81%AE%E5%86%85%E9%83%A8%E6%91%A9%E6%93%A6

「固体表面が互いに接しているとき、それらの間に相対運動を妨げる力(摩擦力)がはたらく現象をいう。」

流体の摩擦についての言及はあるけど、気体分子の場合の具体的記述はない。

(断熱過程)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%AD%E7%86%B1%E9%81%8E%E7%A8%8B

「外部との熱のやりとり(熱接触)がない状況で、系をある状態から別の状態へと変化させる熱力学的な過程である。」(←ワケワカ)

「大気圏(再)突入で宇宙機が加熱されたり隕石などが燃え尽きる現象も周囲の空気の断熱圧縮による温度上昇の影響が大きく、しばしば用いられる空気との摩擦という説明は間違いである。」

気を付けなければならないことは、NASAのアニメの解説では、空気「との」摩擦とは一言も言っていない点だな。

「the friction of air」(空気の摩擦)という表現になっている。

空気は流体で、理想気体では粘性がない。

実在気体では粘性を生じ、摩擦を生むが、断熱圧縮の場合は若干様相が異なるのかも知れない。

(大気圏再突入モジュールが高温になるのは摩擦熱?)
https://togetter.com/li/745180

「小規模で見れば、摩擦熱自体が断熱圧縮ですよ。摩擦するとき、ものの粒子の間の空間が圧縮され、電磁斥力が熱となった。断熱圧縮で熱が上がったのも同じような現象ですよ。」

「断熱圧縮のとき、空間が縮み、粒子間の電磁斥力によって、粒子のエネルギーが増えた。その増えたエネルギーの一部は熱という形態で観測されます。この現象自体は摩擦熱です。」

それを、摩擦熱と呼んでいいかどうかは、物理の問題というより国語の問題だろう。

圧縮によって生じた熱という意味では、その生成過程が物体と物体とが接触して生じる摩擦熱とは異なる。

電磁斥力とやらが、空気分子(仮想的な)の運動エネルギーに変換されるということでは、圧縮という行為の先にあるミクロな現象としては同じと言えるのかもしれない。

しかし、それを物体がこすれ合うことを意味する「摩擦」という概念で説明するのは、やはり無理があるような気がする。

もちろん、「再突入体と空気分子」との摩擦でないことは自明だ。

NASAの説明では、もっとポピュラーなイメージで、「宇宙船が再突入する時に、空気と物理的に作用して熱を生じる現象」を、「空気の摩擦」と言い換えているだけのような気がする。

一般の誤解を逆手にとって、やんわりといなしている感じだ。

それでいいのではないかとも思う。

断熱過程とか言っても、一般には理解できないし、専門外の人々にはどうでもいい話だ。

しかしなあ、我が国の宇宙機関は、そういういい加減なことは認めないらしい・・・。

((10) 地球の大気圏(たいきけん)に突入した宇宙船は高温になりますが、この熱はどうして発生するのですか)
http://iss.jaxa.jp/kids/faq/kidsfaq10.html

「地球帰還(きかん)時に超高速で大気圏に突入する宇宙船は、すごい勢いで前方の空気を押しつぶします。」

「その押しつぶされた空気中の分子同士が、激しくぶつかり合って熱が発生します。」

「つまり宇宙船と空気との摩擦(まさつ)による発熱ではありません。」

バシッ!。

身も蓋もないなあ・・・。

(大気圏再突入)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%B0%97%E5%9C%8F%E5%86%8D%E7%AA%81%E5%85%A5

「大気圏再突入は地上から打ち上げた宇宙機や物体の帰還に限って言う。」

隕石は、通常、一方通行だからな。

「再」じゃない。

「「角度が浅いと大気に弾かれる」というのは間違った解釈である。」

へえーっ、そうだったんだあ・・・。

再突入のシーンで印象的なのは、なんといってもアポロ13号の帰還の際の6分間の沈黙だろう。

(アポロ13号:再突入とスプラッシュダウン)
https://en.wikipedia.org/wiki/Apollo_13#Reentry_and_splashdown

「再突入時にコマンドモジュールの周囲の空気をイオン化すると、通常、4分間の通信が途絶えます。アポロ13号の浅い再突入経路はこれを6分に延長し、予想よりも長くなりました。CMの熱シールドが壊れたのではないかとの恐れから、大きな緊張がありました。」(CM:コマンドモジュール(司令船)の略)

まあ、どうでもいいんですが。

宇宙開発は困難に満ちている。

失敗はつきものだし、人的損耗は想定内だ。

そこは、生身の人間にとっては死の世界だし、地球からの支援がなければ生きてはいけない。

政府機関であれ、民間企業であれ、そこに関わるということはミスの許されないシビアなミッションを意味する。

儲からないからといって、おいそれと撤退することはできない。

月軌道に宇宙飛行士を置き去りにしたり、兵糧攻めにあわせるわけにはいかないだろう?。

アルテミス計画は、おそらく中止、または変更、若しくは撤退の憂き目に会う。

その頃までISSが運用されていたら、キューポラの観測窓から、月周回ゲートウエイから地球に戻ってきて再突入するオリオンを眺められるかもしれない。

(キューポラ (ISS))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%9D%E3%83%A9_(ISS)

「直径は約2m、高さは約1.5mである。横窓が6枚と天窓があり、それぞれの窓には流星塵やスペースデブリによる損傷を防ぐための開閉式のシャッターが取り付けられている。」

無事の帰還を祈ろう・・・。