🐱ウクライナ降伏不可避:長期戦2024年02月16日 02:00

ウクライナ降伏不可避:長期戦


(ウクライナ侵攻、「欧米戦争に転化した」 ロシア高官 長期化を警告)
https://www.sankei.com/article/20240215-CVLE5LS6FRPUJMWIIT2QE2BU4M/

「ウクライナに対して開始された特別軍事作戦は、時と共に欧米との戦争に変わった。欧米諸国が一致して紛争に直接巻き込まれたことで、作戦は多少長引くかもしれない」

ロシアは、初めから長期戦を想定していたわけじゃない。

早期の収束を目指していたんだろうが、思惑とは異なり長期戦に持ち込まざるを得なくなった。

陥落目前といわれていたアウディーイウカにも援軍が送られ、一部の兵士はローテーションした。

(ウクライナ軍の貴重な強襲旅団がアウジーイウカに介入 「積極防御」実践)
https://forbesjapan.com/articles/detail/69152/page2

「主導権を握るための戦いは、主導権を握ったあとにそれを利用するリソースがなければ、ほとんど意味がない」(カーネギー国際平和財団のロシア専門家であるマイケル・コフマンら)

ちょっと興味をそそられたので、元ネタを読んだ。

(維持、構築、攻撃: 2024 年にウクライナの優位性を再構築するためのビジョン)
https://warontherocks.com/2024/01/hold-build-and-strike-a-vision-for-rebuilding-ukraines-advantage-in-2024/

「守備のみの戦略では十分ではないが、ウクライナは慎重な選択を迫られるだろう。」

「単に主導権を争うだけの目的や、ウクライナが費やす余裕のない人員や弾薬を犠牲にして圧力をかけることを目的とした作戦に転用されるべきではない。」

「局地的な攻撃はロシア軍への圧力を維持し、ロシア軍の行動の自由を制限することになるが、実際には、ウクライナ軍の戦闘力の再建を妨げる可能性がある。」

「人員、装備、弾薬の観点から見ると、攻撃作戦には防衛維持に比べてかなり多くの資源が必要であり、ウクライナではその資源が不足することになる。」

正に正論なんだが、ウクライナは軍は政治的要請から勝利を求めることになるんだろうな。

ここは我慢のしどころだ。

米国の支援が再開され、砲弾の製造能力が増加するまでは、高価値目標を叩きながら、防御に徹するしかないだろう。

(第3独立強襲旅団がアウディーイウカ到着を報告、対峙する敵戦力は約7個旅団)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/the-3rd-independent-assault-brigade-reports-the-arrival-of-audi-iuka-and-the-enemy-force-facing-them-is-approximately-7-brigades/

「アウディーイウカの状況を打開できるかどうかは「ウクライナ軍が与える損害」が「ロシア軍の補充能力」を上回れるかどうかにかかっている。」

「補充能力を上回る損害を与え続ければ攻勢の勢いは弱まるし、補充能力を下回る損害にとどまればアウディーイウカの危機的状況は続くだろう。」

ちょっと、興味深い情報も出ている。

「第110機械化旅団のローテーション(第3強襲旅団の派遣)は随分前に決定されていたため総司令官の交代と結びつけるべきではない」(ウクライナ人が運営するDEEP STATE)

ロシアは、攻撃の手を緩めることなく、ウクライナに軍事的圧力を加え続けている。

長期戦にはなったようだが、ウクライナを諦める気配はない。

「「作戦の進行に変更はない」と述べ、目的が達成されるまで侵攻作戦を続けると改めて強調した。」(ペスコフ報道官)

欧米との戦争という認識は、極めて重要だな。

停戦の行方にも重大な影響を与える。

そもそも、停戦が出来るのかどうかが問題だ。

このまま、延々と戦争を続けていくというのか。

戦争研究所(ISW)の記事には、モルドバに対して、ちょっかいを出し始めているという話も出ている。

(ロシア攻撃キャンペーンの評価、2024 年 2 月 14 日)
https://www.understandingwar.org/backgrounder/russian-offensive-campaign-assessment-february-14-2024

「クレムリンは、2014年と2022年のウクライナ侵攻前に行ったものと非常によく似た情報作戦をモルドバに対して実施しており、将来起こり得るロシアによるモルドバに対するエスカレーションを正当化する条件を設ける可能性が高い。」

「モルドバのオレグ・セレブリアン副首相は1月28日、ロシア・ウクライナ関係が改善せず、ロシアのウクライナ戦争が続く限り、モルドバは5+2プロセスには戻らないと述べた」

「ラヴロフ外相は、沿ドニエストルには約20万人のロシア国民がおり、ロシアは「彼らの運命を懸念し」、「彼らが新たな西側冒険の犠牲者になることを許さない」と主張した。ラブロフはさらに、モルドバが国家予算を与えないことを決定したと主張した。」

「ラヴロフ外相は、西側諸国が沿ドニエストル紛争における5+2交渉プロセスを停止したと主張した。」

「ラヴロフ外相は、ロシアは5+2プロセス再開に向けて「あらゆることを行う」と主張した。」

うーん、確かにいつか来た道のような気もする。

モルドバは、ウクライナの隣国でルーマニアとの関係も深い。

フィンランドやバルト3国だけではなく、欧州とのドンパチは、2正面作戦で行くことになるかも知れないな。

「クレムリンはまた、「海外の同胞」を保護するという考えを利用して、ロシア軍が1992年以来沿ドニエストルを占領してきた事実や、2014年と2022年のロシアのウクライナへの全面侵攻を正当化している」

「ロシア外務省(MFA)の他の当局者らは、モルドバ当局が沿ドニエストルを経済的に「絞めつけ」ようとしており、沿ドニエストル紛争の外交的解決を妨げており、ロシア外務省(MFA)に対する国内の広範な不満に直面していると以前主張していた。」

「モルドバにおけるロシアによるハイブリッド作戦の可能性の時期は不明だが、クレムリンはそれを近いうちに可能にするための情報提供条件を設定している。」

仕込みは順調というところか。

しかしなあ、文字通り、北極海から黒海に掛けて、長大な戦線を戦うことになるわけで、ベラルーシとの調整や、占領(!)直後のウクライナの不安定さもあるからな。

ロシアが、NATOに仕掛けてくることは確実だ。

全面的な侵攻ではなく、初期には一時撤退するかもしれない。

そこで、小手調べをしてから、本格的な侵攻に踏み切る。

そのためには、2正面作戦は有効かもしれない。

モルドバは、ウクライナ占領後でないと侵攻できないと思うけど、南部地域を回廊として使うことが出来れば(ミコライウからオデッサに掛けて)、兵站路線は確保できるからな。

やらないと断言することはできない。

ルーマニアの一部地域も併合することになるだろうから、かなりの抵抗も予想される。

まあ、順当に考えれば、フィンランドとかバルト3国からだろうな。

大ロシア帝国の妄想に捉われているプーチン大統領が、どういう戦略を描いているのかは知らないが、ウクライナ戦争が長期化することを考えると、同時並行で欧州に攻め込む公算が高くなってきている(そうなのかあ?)。

それはそれで、西側の戦力を分散させる要因になるから、ロシアにとって、必ずしも悪い選択じゃない。

が、黒海艦隊を十全に機能させられない状況が続けば、兵站にも不安が残るからな。

水上ドローンなど(ウクライナは、無人潜水艇も開発しているようです)を運用させないように、南部回廊の支配は欠かせないだろう。

長期化のスケジュールの中に、それが組み込まれているのかどうかは知らない。

東部戦線だけ見ていると、全体像を見誤るかも知れない。

ウクライナの黒海へのアクセスは、極めつけに重要だからな。

ロシアが輸出航路を確保する協定(正式名称は「ウクライナの港からの穀物および食料の安全な輸送に関するイニシアチブ」)から離脱した意味を、よーっく考えなければならないだろうな・・・。

(ウクライナ産穀物輸出合意が停止、ロシアが延長に反対)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/07/a4d4517c711ba2cf.html

「2022年7月に国連の仲介でウクライナ、ロシア、トルコが署名した。署名3カ国と国連が共同で、ウクライナのオデーサ、チョルノモルスク、ユージニーの黒海沿岸3港からウクライナ産穀物を輸出する船舶の安全な航行を確保することが目的。」

「(2023年)7月18日にイニシアチブの効力が停止した。」

ロシアは、下手な理屈をいくつか付けているけど、南部からの海路での輸出に圧力を掛けたいという意図は見え見えだ。

ウクライナの穀物輸出は、回復しつつあるということで、ロシアの意図は挫かれたことになる。

まあ、それでも陸路から進軍されて、ウクライナの黒海沿岸を掌握されるとマズいからな。

ドニエプル川東岸に張り付いたウクライナ軍に手を焼いているようじゃあ、戦略的勝利は当分先の話になるだろう。

逆に、ウクライナとしては、東部以上に重要な戦略的価値があるからな。

ハルキウを再度奪われたり、オデッサに進軍されないように、ガッチリ守り切らなければならない。

来年以降、戦況が好転する見込みは見えていないけど、今年が最悪なことだけは間違いない。

ロシアは長期言っているいるけど、それは情報戦の一環の可能性もある。

急速な兵器の生産は、欧州大戦争の準備という観測もあるけど、実際にはウクライナで短期にケリをつけるためかも知れない。

中古戦車を改装して前線に回そうとしているわけだからな。

NATO相手に、んなもんで戦争おっぱじめようというのは、いくら何でも無謀だ。

通常ラインでの戦車の生産については、西側でも掴み切れていないかも知れない(未確認)。

シャヘドやランセットなど、ウクライナで大活躍の兵器の増産体制も進んでいる。

まあ、これは、少し時間が掛かりそうだけどな。

この戦争は、変化にどれだけスピーディーに対応できるかが勝負だと言われている。

保守的なロシア海軍のようなことをやっていると、痛い目に会うわけだ(海上ドローンの攻撃とかな)。

ペスコフの発言は、眉唾で聞いた方がいいのかもしれない。

ああ、そういえば、プーチンもジョーク(?)を飛ばしていたからな。

(バイデン氏は「予見可能」、トランプ氏より望ましい=ロシア大統領)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/WZBMM2WJDROO3I32YQ22X5Y4WI-2024-02-14/

「ロシアにとって民主党のバイデン氏と、共和党のトランプ氏のどちらが望ましいかとの質問に対し「バイデン氏の方が望ましい。 バイデン氏は経験が豊富で、予見可能な人物だ。旧派の政治家でもある。ただ、米国民が信頼する大統領であれば、誰とでも協力する」と述べた。」

「米政局の不透明感が強く、両国関係が過去60年以上で最悪の状態にある中、プーチン氏の発言が文字通りに受け取られる可能性は低いとみられる。」

浮沈子は、結構真面目に答えている感じがするけどな。

「3年前にスイスでバイデン氏と会ったことに触れ、その時にはすでにバイデン氏には大統領職を務める能力がないという見方があった」

「私はそのようなことは思わなかった」(プーチン氏)

「トランプ氏に関しては「型破りな政治家と呼ばれてきた。米国と同盟国の関係について独自の見解を持っている」と指摘」(同上)

「独自の見解」ねえ・・・。

金を払わない国には、ロシアをけしかけてやると言われてたわけだからな。

複雑な心境には違いないだろうな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(ウクライナ新総司令官「攻勢から防衛」 反攻失速)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB15CBV0V10C24A2000000/

「全ての前線で進軍しており、われわれは攻勢から防衛に転じた」

ゼレンスキー政権は、舌噛んでも「膠着状態」を認めてこなかったが、一転して「防衛状態」にあることを認めた。

これは、ひょっとするといい傾向かも知れない。

自軍の置かれた状況を正確に認識しなければ、正しい対応は採れない。

「極めて困難」(シルスキー総司令官:東部のドネツク州アブデーフカ、ハリコフ州クピャンスクの戦況について)

「ロシア軍は兵士数で勝っている」(同上)

「要塞の構築などによる防衛強化を重視する方針」

「現時点で統制下に置く領土を守りながら、無人機(ドローン)活用などで優位に立ってロシア軍を攻撃し続ける方針」

「防衛戦の目的は、敵軍を消耗させて最大限の損害を与えることだ」

砲弾など、必要な兵器が不足し、兵員もロシアを下回っている現状の認識は正しい。

前線で兵士が消耗している事態にどう対応するかはビミョーだ。

昨年、攻勢を掛けた状況は、敵軍が守りやすい陣地に前線を作ってきたわけで、戦術的には、自軍が守りやすい地点に早急に撤退して戦力の温存を計りつつ、攻勢に転じているロシア軍を防衛しながら、さらに後方に強固な防衛線を構築し、そこを新たな防衛線として守る体制にするのがセオリーだろう。

反転攻勢の前線からは、いったん下がることになるわけで、政治的には受け入れがたいが、軍事的には必要不可欠の選択だろう。

新たな防衛線の構築がどの程度進んでいるのかは知らない。

スロビキンラインは、ロシア軍の積極的防衛(アタックアンドアウェイ)で維持されてきたこと、航空優勢にも支えられてきたことを考えると、武器弾薬に乏しく、航空優勢もないウクライナ側の地雷密度、陣地の強度、塹壕の形状や重層度などは、それよりも数段高くなくてはならない。

が、伝えられている情報を見る限り、とてもとても、そのレベルにはない。

現状認識に重大な欠陥を抱えたまま、正しい対応を取れずに引き下がれば、それは「防衛」ではなく、ただの「撤退」になる。

シルスキーは、失敗する。

西側からの支援が可能な限りタイムリーかつ潤沢に行われ、ゼレンスキー政権が追加の大動員を早急に決断してもなお、状況の悪化は免れない。

航空優勢を取り戻すには時間が掛かるからな。

おそらく、夏前にはムリポだろう(F-16の配備はその後の公算が高くなっている)。

砲弾の供給に至っては、来年末にならないと、本格的な増産体制は確立せず、仮に予算の問題が解決したとしても、イスラエルへの供給が続く限り、ウクライナに回す分はない。

動員に関しては、さらに悲観的にならざるを得ない。

国民に納得してもらうためには、戦場における「勝利」の後押しが必要だが、「防衛戦」における「勝利」というのは一般には分かり辛いからな。

縦深防御の場合、「撤退」しながら防衛するわけだから、前線が後退することは戦術的必然だ。

どこが「勝利」なのか。

敵兵力を損耗させて、攻勢を弱めることが出来れば、それでもなんとか「勝利」に結び付けることが可能かもしれないが、戦力差が大きいままではそれも叶わない。

大規模動員の「決断」と、実際の「動員」との間には、何光年もの開きがある。

浮沈子は、既にアウディーイウカにおいて、ウクライナ軍は誤った選択をしたと見ている。

現状の戦線を維持しながら追加の兵力を送り込み、ローテーションを掛けたわけだが、いたずらに兵力を損耗し、時間と砲弾を浪費するだけに終わるだろう。

決定はシルスキーの着任以前という話もあるから、必ずしも「新総司令官の失敗」とは言えないかも知れないが、時期が悪いな。

撤退をスムーズに行うための追加戦力の投入ということなら、最小限の被害に留めて、早急に引き下がるのがベターだ。

長期戦ということなら、ウクライナ側の防御戦こそ長期戦にしなければならない。

米国議会が予算を通し、ネタニヤフ政権がガザやレバノンへの攻撃を狩猟させ、米国からの武器弾薬の供給の流れがスムーズに行われるようになるまでは、最低でも持たせなければならないからな。

下手をすると、あと5年間は粘らなければならなくなるかもしれない(トランプ政権の間、ずーーーーーっと?)。

調達可能な武器弾薬の限度の中、国内的には政治的困難から早急な改善が見込めない兵員不足を抱えたまま、いつまで続くか分からない戦争を戦い続けることになる。

ああ、もし続けることが出来ればな。

南部の回廊を占拠され、海上輸出が止められれば、深刻な事態に追い込まれる。

ロシア側の占領地を取り戻すことは、事実上不可能になる。

1000年後は分からんだろうが、10年くらいは難しいかもしれない。

つーか、国家としてのウクライナ自体の存在も怪しい。

ウクライナだけじゃない。

モルドバも、ルーマニアも、ハンガリーも、スロバキアも、ポーランドも、リトアニアも、ラトビアも、エストニアも、フィンランドも怪しい。

まあ、その辺までは世間一般的に想定の範囲内だが、浮沈子的にはドイツもヤバいとみている。

欧州大戦争になった場合、バルト海の覇権を巡っては、スウェーデンとドイツを交えた大バトルになるからな。

現在の黒海の戦闘なんて、ままごと遊びのようなもんだろう。

カニーニングラードは火の海になり、デンマークだって巻き込まれるに違いないのだ。

やれやれ・・・。

ロシアは、本当に欧州大戦争の引き金を引くんだろうか?。

それは、多分ロシアが引くわけじゃない。

欧州大戦争の引き金は、中国が引く。

ロシアは、中国の使いっパシリとして、好むと好まざるとに関わらず、戦争に突入することになる。

が、もちろん、初めから一気にエスカレートすることはない。

初めは、最小限の武力侵攻を試みて、欧州の対応力を探る。

特に、米国の出方が重要だ。

その後は、本格的侵攻に備えるための準備期間に入る。

そう、ウクライナと同じだな。

10年かけて仕込みを続け、機が熟したところで全面展開する。

西側の結束は、そんなには持たないと見ているだろう。

NATO第5条は、死文化する。

水から煮殺されるカエル状態の欧州。

まあ、どうでもいいんですが。

ウクライナ戦争は、ロシアの長期戦略にガッチリ組み込まれている。

モルドバの話が出てきた時、思わずヤバい!、と思ったけど、その条件反射的(脊髄反射的?)直観が不発に終わる(まあ、いつものことですが)ことを祈らずにはいられない・・・。

<さらに追加>ーーーーーーーーーー

(ロシア攻撃キャンペーンの評価、2024 年 2 月 15 日)
https://www.understandingwar.org/backgrounder/russian-offensive-campaign-assessment-february-15-2024

「この地域で最も近い比較的大規模な入植地はアヴディイウカの西少なくとも30キロメートル」

「ロシア軍はアヴディウカ占領にかなりの人力と物資を費やしており、おそらくこの地域でさらなる協調攻撃を試みる前に、長期にわたる再編、再構築、休息が必要となるだろう」

「ロシア軍が入植地を占領したとしても、アヴディーウカから迅速に作戦上重要な前進をする可能性は非常に低・・・」

「ウクライナ軍は、ロシアによるアヴディウカ占領に関係なく、間接射撃と長距離攻撃能力の両方を用いて、ドネツク市近郊の後方付近にあるロシアの目標を攻撃し続けることができるだろう。」

戦争研究所は、アウディーイウカ占領という事態の影響を緩和するために、ありとあらゆる理由を総動員しようとしている(そうなのかあ?)。

10年間支えてきた防御拠点を失い、撤退を余儀なくされることは、ウクライナ軍にとっては死活的に重大な状況であることは間違いない。

(【ウクライナ情勢 解説】アウディーイウカ 陥落の危機)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240216/k10014360581000.html

「思っていた以上にウクライナ側にとって悪化していた」

「仮に、アウディーイウカが陥落すれば、ウクライナ側にとって大きな打撃です。」

・東部の防衛ラインがその分、後退する
・ドネツクの奪還が遠のく
・現在の苦戦の象徴
・・弾薬不足があらわになっている
・・軍にも難しい決断を迫っている(バムフトと同じ)

うーん、2つ目が分かり辛いんだが、NHKらしい配慮なんだろう。

つまりだな、バムフトの繰り返しになったということはだな、次の防衛拠点(どこかは不明)でも、他の戦線における防衛拠点でも、次々と撤退の連鎖が起こる可能性があるということなわけだ(そうなのかあ?)。。
しかも、バムフトの防御戦を戦ったのはシルスキーだ。

タイミング、悪すぎ!。

しかも、精鋭部隊を援軍に送り込みながらの撤退という、嬉しくない結果になる。

「前線では、その長期化の影響がはっきりと見えるようになっています。」

おっと出ました「長期化」。

その影響なのかどうかは知らない。

米国の支援が途絶えていることは、N社の記事の冒頭にあるように、イスラエルの事案が生じた影響が大きい。

昨年の反転攻勢の不発は、砲弾の不足が原因じゃないけど(反転攻勢4日目で挫折!)、秋以降、ロシア軍の反撃を許したのは、明らかに砲弾不足だ。

また、記事では触れられていないが、兵員不足の問題も浮き彫りになっている。

そこんとこは、「長期化」の影響ととらえていいかもしれないが、ロシアは大規模動員を掛けてしっかり対応している。

(第3独立強襲旅団、アウディーイウカで対峙するロシア軍は正規軍の精鋭)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/the-3rd-independent-assault-brigade-the-russian-forces-facing-audiiivka-are-the-elite-of-the-regular-army/

「敵は機械化旅団とGRUの専門家で構成された正規軍の精鋭だ」「占領地に存在する最も強力な部隊で大砲や無人機の扱いも上手い」「アウディーイウカの困難さはバフムート以上だ」(アウディーイウカに派遣された第3独立強襲旅団のボロディン報道官:(GRU:ロシア連邦軍参謀本部情報総局))

「我々は全方位で交戦を余儀なくされている」「客観的に見ればアウディーイウカの状況は依然として危機的で不安定だ」「敵は積極的にローテーションを行って新しい兵力と装備を投入し続けている」(同旅団のアンドリー・ビレツキー司令官)

囚人を用兵したり、兵員の「質」の点で問題が多かった昨年に比べると、隔世の感があるな。

「バフムートで対峙した敵は囚人と特殊部隊で構成されていた」「一部の部隊は全方位の交戦を強いられている」「これは敵に包囲されているのではなく『敵が我々をあらゆる方向から攻撃できる』という意味だ」「現状の困難さはバフムートにワグナーが存在していた時期以上だ」(ボロディン報道官)

こうした現場に近い情報が上がっているにもかかわらず、司令部の見解は、相変わらず金太郎飴だ。

「15日午後11時時点におけるアウディーイウカの状況は困難だが制御可能だ」「市内で激しい戦闘が続いている」「我々は利用可能な全ての兵力と手段を用いて敵の攻撃を阻止している」(タブリア作戦軍司令官のタルナフスキー准将)

「セベロドネツク、リシチャンシク、ソレダル、バフムートでも都市を失うまで「敵の攻撃を撃退し続けている」「兵士は陣地を維持し続けている」と主張し続けていたので、現在のそれも実際の状況を反映していないポジショントークの可能性が高いが、戦時中に「不利な状況」を認める方が珍しいので「ウクライナ軍の対応」が特別おかしいというわけではない。」(ブログ管理人)

浮沈子は、NHKが奥歯にものが挟まったような言い方をしているのが気になったんだが、この記事(航空万能論)の後段に、その答えを見つけたような気がした。

「ウクライナでは世論調査(2月5日~10日)の結果が発表された。」(実施:キーウ国際社会学研究所)

・ゼレンスキー大統領に対する世論の信頼度(支持率):
90%→80%→77%→65%→60%(今回)
・解任されたザルジニー氏:
94%(今回)
・総司令官に任命されたシルスキー氏:
40%(今回)

やれやれ・・・。

・ウクライナが正しい方向に進んでいると考える世論の割合:
54%→44%(減少)
・ウクライナが間違った方向に進んでいると考える世論の割合:
33%→46%(増加)

「前線での困難な状況、西側諸国(特に米国)の不確実な態度、汚職問題が続く状況でザルジニー解任劇が数字の変化に最も大きな影響をもたらした」「そのためゼレンスキーは世論の信頼を大きく損なったが、まだ多くの人々が彼を支持している」(キーウ国際社会学研究所)

兵員問題を解決する大規模動員には、世論の支持が必要だ。

ゼレンスキーは、そのための「勝利」を望んでいた。

アウディーイウカの撤退(陥落!)は、政権への信頼や支持に、決してプラスにはならないからな。

兵員問題だけじゃないことは、世論調査の推移にも表れている。

「ウクライナが間違った方向に進んでいる」と考える人の割合が、「正しいと方向に進んでいる」とかが得る人を抜いてしまっている。

調査機関は、ザルジニーの解任劇が原因だとか、ゼレンスキーは依然として高い支持率を維持しているとか言っているが、そういう問題ではないように感じる。

「反抗作戦」の「失敗」、戦線の膠着→防御戦への転換が、人々の中に不安を呼び起こしている。

「ひょっとしたらひょっとして、この戦争に負けちまうんじゃないのか?。」

そこはかとない、ビミョーな空気の変化。

まだ、ウクライナに住む多くの人々にとって、戦場は遠い。

本当の変化は、これからやってくる。

戦争の長期化、領土奪還への絶望、戦線の後退。

政治的には、困難な状況下で大規模動員を行わなければならない。

やった途端に、支持率は急減するに違いない。

もちろん、それで戦況が好転するわけでもない。

何かが変わらなければならない。

その変化を求めてザルジニーを切った。

その直後にアウディーイウカが落ちることになる。

プーチンにとって朗報である以上に、ゼレンスキーにとっては痛手だ。

長期戦は、これからだ。

まだ、たぶん、始まってもいないだろう。

ウクライナの領土は、8割が健在だ。

失った領土は2割に過ぎない。

幸い、欧州の支援は途絶えることなく続きそうだ(先細りは避けられないけど)。

米国の支援も、いつかは再開されるだろう(いつまで続くかは不安ですが)。

東部戦線を持ち堪え、南部回廊を明け渡すことがなければ、ひょっとして再び反転攻勢に持ち込むことができるかも知れない。

それは、何年か先のことになるだろうが、国家を維持し、国軍を養うことが出来れば、不可能とまでは言えない。

西側の支援を十分受けなくても、ある程度戦闘を維持することが出来れば、戦線の維持が可能になる。

国内での武器弾薬の製造、工夫、創造で凌ぐ。

損失をどこまで減らし、戦力を蓄えることが出来るかが問われる。

浮沈子は、やっぱ、アウディーイウカに増派したのはまずかったと思っている。

総司令官を後退させたんだから、前任者のせいにしてさっさと撤退すべきだったろうに・・・。

戦力温存で、後方の防御戦を固める方が得策だ。

現在の戦線を維持することに意味はない。

それは、どこの戦線でも同じだ。

シルスキーは、防御戦に転じると明言した。

戦略の転換を明確にしたわけだ。

であれば、それに適した地点に下がるべきだろう。

アウディーイウカだけでなく、全線に渡って。

それも、直ちに。

ロシア軍の10分の1の戦力で戦うためには、使えるリソースをすべて使うしかない。

ぶっちゃけ、領土は間違いなく、そのリソースの一つだ。

反転攻勢は終わった。

既に過去の話に拘っていても仕方がない。

「この地域で最も近い比較的大規模な入植地はアヴディイウカの西少なくとも30キロメートル」(再掲)

ISWの見立て通りということなら、そこまで一気に下がるのがよろしい。

ロシア軍が疲弊しているというなら(浮沈子的には、そうは思えないんだが)、その防御線にたどり着くまでは時間が掛かるだろう。

ロシア側にもやるべきことは多い。

兵士の休息、兵站の調整(備蓄、中間集積点の確保・更新)、前方陣地の造営、エトセエトセ・・・。

勝ってる方だって、何かと物入りなのだ。

その間にも、ウクライナ側の対応が求められる。

防御に最適な戦術、陣地、兵器、弾薬(もしあれば?)。

兵士の休息と訓練、可能ならローテーション、温存している(はずの)機甲部隊の展開・・・。

戦争は、最前線でドンパチやっている兵士だけの「イベント」ではない。

それは、最終的な「出力」なわけで、そこに至るまでの膨大な「入力作業」がなければ、何も生まれない。

水だって、食料だって、燃料だって必要だ。

戦闘で、身も心も傷ついた兵士を治療する必要もある。

死んじまった「英雄」のための勲章も必要だ。

ちょっと刺激的な記事も読んだ。

(アウディーイウカ南部の防衛ラインが崩壊、街の入口にもロシア国旗が掲げられる)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/the-southern-defense-line-of-audiiuka-collapses-and-the-russian-flag-is-raised-at-the-entrance-to-the-city/

「兵士らが直面している状況を作り出したのはゼレンスキー大統領、シルスキー総司令官、ウメロフ国防相のような指導者だ」(ウクライナ人ジャーナリストのブトゥソフ氏:以下同じ)

「ゼレンスキー、シルスキー、ウメロフはキーウで何もする必要はない。君たちの居場所は優秀な人間の運命が決定されるアウディーイウカの司令部だ。そこで諸君は決定を下す人間の目を見ながら命令を下さなければならない。色眼鏡を外し、嘘を報告する側近らを遠ざけ、本当の報告を聞かなければならない。緊迫した状況下で嘘の報告を許しているのは諸君らの責任だ。それがどの様な結果をもたらしているのか直接見なければならない」

「兵士らが直面している状況を作り出したのは貴方のような指導者だ。貴方達に戦場に出ろとは言わないが温かいオフィスに座る権利はない。自身の決断が招いた危機を直接見て、少なくとも何かを学び、結論を出さなければならないだろう。私は最高レベルで責任を回避する全ての人々に言いたい。ここで戦っている彼らが(危機を招いた責任について)黙っていると思わない方がいい」

気持ちはわかるが、もちろん、ブトゥソフ氏が見ているのは最前線だからな。

そこからでは見えないことはたくさんたくさんある。

賄賂をもらったり、横流ししたり、着服したり(そんなあ!)。

たとえば、動員は政府の権限で行われるが、その政府を率いる政治家たちを選んだのは国民だ。

麗しき民主主義国家では、国民が国の未来を担っている。

まあ、半分くらい(46パーセント)は、間違っちまったかもしれないと思ってるようだけどな。

昨年の反転攻勢が可能と言った時に、別に今日の事態を想定してたわけじゃない。

想定外のことが起こり、予期せぬ結果になることは良くある。

2年前のプーチンは、その最たるものだったかも知れない。

「こんなはずじゃなかった・・・。」(未確認)

自らをピョートル大帝に準える妄想癖の専制国家の元首は、その責任を誰のせいにすることもできない。

ウクライナ何て、10日もあれば降伏しますよって耳打ちした情報関係者は更迭させられたけどな。

想定外のことが起こり、予期せぬ結果になることは良くある。

フランスの情報部は、ロシアは侵攻しないと分析し、米国CIAはウクライナ政府は亡命すると予想した。

が、現実の世界ではそうはならなかった。

負けが込んでいる時の最前線は悲惨だ。

(ロシア軍、ゼレンスキー大統領が自撮りを行ったモニュメントに軍旗を掲げる)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/russian-military-raises-military-flag-at-monument-where-president-zelenskiy-took-selfie/

「モニュメント、浄水施設、旧防空基地での映像は「アウディーイウカが陥落した」という意味ではない」(ブログ管理人:以下同じ)

「ウクライナ軍の対外的な立場(ロシア軍の攻撃を阻止している+状況は制御下にある)を否定するもの」

「1日に同じ戦場の戦況マップを3回も書き換えたのは(恐らく)初めてのことで、個人的に「市街戦に突入したアウディーイウカの崩壊スピードはバフムートよりも早い」と思っている。」

「これが計画された撤退なら問題ないが、そうでないならバフムート以上の悲劇が起こるかもしれない。」

想定外のことが起こり、予期せぬ結果になることは良くある・・・。

<さらにさらに追加>ーーーーーーーーーー

(ウクライナ東部要衝、アウディーイウカが陥落危機…アメリカの軍事支援遅れが影響か)
https://www.yomiuri.co.jp/world/20240216-OYT1T50138/

「ウクライナ軍報道官は15日、一部部隊を守備に適した場所に後退させていると国営テレビで明かした。」

単なるローテーションではないということか。

「軍報道官」の「国営テレビ」での公表だからな・・・。

当てにゃあんらんだろうがな。

まあいい。

(ロシア、激戦地の補給路遮断 「ウクライナ軍撤退」報道も)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024021600270&g=int#goog_rewarded

「アウディイウカで、ウクライナ軍の主要な補給路を遮断」

「占領地区にロシア国旗が掲げられた」

「同地での攻防は重大局面を迎えた」

ちょっとドラマチック過ぎるなあ・・・。

「ウクライナ軍の兵員の一部がアウディイウカから撤退を開始」(米紙ワシントン・ポスト(電子版))

「軍当局者は「(陥落は)時間の問題」と認めている」(同上)

この報道では、単なる撤退と取れる。

「ゼレンスキー大統領は16日、訪問先のドイツで「軍は補給路を守っている」と説明しつつ、「最も重要なのは兵士だ」と述べ、撤退も辞さない構えを示した。」

「あり得るシナリオを考慮して新たな陣地を築き、強力な防御を固める。領土は大事だが、最優先なのはウクライナ兵の命だ」(現場のタルナフスキー司令官)

「「新たな陣地」は後方への撤退を示唆する用語で、注目を集めている。」

ははあ、そういう意味なのかあ・・・。

「ポスト紙は、アウディイウカ制圧の場合、ウクライナ軍が昨年6月に反転攻勢を開始した後、ロシア軍にとって「最大の勝利となる」と指摘。」

うーん、やっぱ、世間的にはそういう評価になるんだろうな。

ISWは単なる象徴的な意義しかないと矮小化したいんだろうが、バフムトに続く最大の勝利なんだろう。

浮沈子的には何とも評価できない。

ドネツクに対する攻撃の低減というロシア側の主張に対しても、ISWは消極的だった。

アウディーイウカからの撤退なんて、大した損害じゃない・・・。

ロシア側にとっても意味はない・・・。

逆に、敵に大損害を与えたことは、ウクライナにとっては大勝利だ!!。

まあ、いつものパターンですが。

防御戦における勝利は、そういうものだ。

領土(支配領域)というかけがえのないリソースを消耗しながら、それを含めて味方の損害を最小に留めながら、敵に最大の損害を与え続ける。

新たな支配地域の獲得はない。

反転攻勢は、そうして損害を抑えつつ、自軍のリソース(領土除く)を蓄え、十分な戦力を整えた後の話だ。

うーん、5年後かな・・・。

🐱核搭載衛星破壊兵器2024年02月16日 15:38

核搭載衛星破壊兵器


(アングル:ロシアの新宇宙兵器、高出力で衛星の電子装置を無効化か)
https://jp.reuters.com/world/security/TSQPOZFTLFJLZOQP6INOIB75AQ-2024-02-16/

「ロシアの宇宙開発計画に詳しい専門家は、ロシアの新兵器は核弾頭ではなく、人工衛星を標的とする、核エネルギーが必要な高出力の装置ではないかと見ている。例えば、衛星の信号を妨害したり、画像センサーを無効化したりする装置などが考えられ、強力な電磁波で特定の軌道にある衛星の全ての電子装置を使えなくする「電磁パルス(EMP)」の可能性もある。」

先日から報道されているんだが、それ程の問題かどうかは疑問だ。

「この問題に詳しい情報筋は、米政府はロシアの核能力と宇宙兵器開発計画に関する新たな情報を入手したと明かしたが、ロシアの新たな能力は米国にとって緊急の脅威ではないと付け加えた。」

「ロシアが開発しているのは核弾頭を搭載した兵器ではなく、軌道に乗れば電子戦が可能な(中略)核を動力源とするシステムである可能性が高い」(米シンクタンク、軍備管理協会のダリル・キンボール会長)

まあ、妥当な評価なのではないか。

「国家安全保障上の深刻な脅威」(米下院情報委員会のマイク・ターナー委員長(共和党))

ターナー氏は、サリバン大統領補佐官からの詳細なレクチャーを待たずに発表したらしく、やや勇み足な感じがしなくもない。

宇宙空間で核兵器搭載の衛星を爆発させるという、ドラマチックなイメージが先行しているようだが、そんな話ではないだろう(未確認)。

核反応炉を打ち上げて、大電力を発生させたうえで、何らかの強力な電磁波発生装置を駆動、軌道上の衛星機能を片っ端から破壊するというのがありそうな話だ。

ターゲットが低軌道衛星なら、スターリンクとか、スパイ衛星とか。

中期道ならGPS衛星。

一番ありそうな静止軌道ということになれば、各種監視衛星や商業通信衛星も危ない。

実際に配備されれば、「緊急の脅威ではない」とか言ってられないだろう。

1機や2機なら、接近して取っ捕まえるという方法も取れるかも知れないだろうが、何十機とか何百機がぶんぶん飛び回る話になれば、今度は(衛星破壊衛星)破壊衛星を作らないといけなくなる。

そうすれば、敵はまた、((衛星破壊衛星)破壊衛星)破壊衛星を作り、こっちは(((衛星破壊衛星)破壊衛星)破壊衛星)破壊衛星という具合に、際限なくエスカレートしていくことになるわけだ(そうなのかあ?:エディターで()の数とかチェックしないとな・・・)。

まあ、どうでもいいんですが。

宇宙は過酷な環境だ。

それでなくても、放射線で電子機器はボロボロになるし、太陽電池だって劣化する(一応、電子機器ですが:たぶん)。

800kmくらいの高度の軌道に上げておけば、そう簡単には落ちてこないからな。

ごみはたまる一方だ。

衛星破壊衛星(以下、繰り返し省略)で無効化された衛星は、ドデカい宇宙デブリとなって、未来永劫管理しなければならなくなる。

やれやれ・・・。

詳細が公表されるかどうかは知らないが、それでなくてもデブリだらけの軌道上で、衛星破壊という名のポイ捨て(!)はやめてもらいたいな。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(注目を集めるのは確実な 3 つの用語: ロシア、核、対衛星兵器)https://arstechnica.com/space/2024/02/intel-circulating-on-capitol-hill-has-to-do-with-new-russian-threat-in-space/

「ロシア当局が、敵の衛星の通信を妨害したり妨害したりするための電子戦に従事できる原子力宇宙船の開発をゆっくりと進めているという公的な証拠がすでに存在していた。冷戦中、ソ連は原子炉を動力源とする30機以上の軍事衛星を打ち上げた。」

「このようなプログラムは、理論上、スパイ衛星、GPS衛星、さらにはスペースXの商用スターリンク・インターネット衛星など、さまざまな米国の宇宙船と交信できる高出力ジャマーをサポートするのに十分な電力を生成するための原子力技術の利用に焦点を当てることになる。」

浮沈子的には、この流れだと思うけど、宇宙空間で近接破壊の可能性もある。

「過去10年以内に、ウラジーミル・プーチン大統領の命令により、ロシアは地上発射ミサイルの開発に重点を置くためにASATプログラムを再構築した。そして2021年11月、ロシアは新型ミサイルを使用し、広く非難された「直接上昇」ASAT実験で自国の衛星1機の撃墜に成功した。このロシアの直接上昇 ASAT 試験は、中国、米国、インドによる同様の能力の実証に続いて実施されました。」

「同時に、ロシアはランデブーおよび近接運用技術を微調整するという明らかな目的で、過去10年間にわたって一連の実証衛星を配備してきた。 RPO として知られるこれらの機能には、高度な誘導アルゴリズムが必要であり、共軌道 ASAT システムの基礎となります。 2020年、ロシアの衛星は、別の宇宙船を破壊するために設計されたASATシステムの推定テストで、軌道上で高速発射体を発射した。」

「ごく最近では、ロシアは12月と2月9日に別の機密軍事衛星を打ち上げた。注目すべきことに、2月9日の打ち上げでは、数週間前に打ち上げられた最初の宇宙船とほぼ同じ軌道に2番目の宇宙船が置かれた。これは、対衛星兵器としての用途や近距離からの米国衛星の監視など、ロシアのランデブーおよび近接作戦技術の実証における次のステップとなる可能性のあるミッションを示唆している。」

従来の近接接近は、あくまで物理的破壊を目的として行われてきたんだろうが、その攻撃方法がスマートになっただけかもしれない。

依然として、ある程度接近しなければ攻撃できないということなら、それ程の脅威にはならないかも知れないし(数こなせないからな)、接近して観測する技術は米国を含めて多くの国が持っている。

軌道上でランデブーしたり、ドッキングするためには、それが出来なければ話が始まらないからな。

もちろん、中国だって持ってるわけだ。

んでもって、近づいて何をするのかが問題なわけだな。

体当たりするか、高速な弾丸をぶつけるか、電子的にぶっ壊すか。

ロシアの人工衛星は、静止軌道上で他の衛星に近づいて、スパイ(盗聴?)しているというのは有名な話だ。

わが国も、技術試験衛星(静止軌道上に配置)に米国の監視用カメラのっけて、打ちあげることになっている(H3の遅延で、先送りになっているけど)。

まあ、どうでもいいんですが。

問題は、スターリンクのようなロバスト性が高い低軌道コンステレーションとか、中期道をまわるGPSを狙う話だ。

スターリンクは、軍事用途も想定したスターシールドの展開を画策しているからな。

中国は、同じ数の衛星を打ち上げて、対抗しようとしているけど、金のないロシアにはムリポだ(そういうことかあ?)。

どうするのか。

ちょっと興味を掻き立てられるところだ(今回の話が、それに絡むかどうかは分かりませんが)。

ちなみに、米国は20世紀に宇宙空間での核爆発実験も行っている。

もちろん、ミサイルで打ち上げて爆発させたわけで、衛星搭載兵器としてではない。

他人にはやっちゃいけないとか言いながら、自分ではちゃっかりやっちまってる話は山ほどある。

まあいい。

宇宙空間での核爆発を伴う宇宙兵器ということになると、ロシアもいよいよ追い詰めらているという気がするけど、まあ、たぶん、それはない。

米国は、惑星間飛行の動力として、核熱ロケットエンジンの開発を行っている。

宇宙空間で原子力を利用しようという話は、今に始まったことではない(我が国でも、月面に小型原子炉を設置する検討を行ったことがあります)。

プルトニウムの発熱を利用した原子力電池は、長年の実績があるしな(ボイジャーは、まだ飛んでます:今年で47年目)。

衛星破壊とかに使わないで、もっとマシな用途を考えてもらいたいんだがな・・・。

<さらに追加>ーーーーーーーーーー

(ロシアによる宇宙への核兵器配備はどんな影響をもたらすのか?)
https://gigazine.net/news/20240221-nukes-in-space/

「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2024年2月20日に「宇宙への核兵器配備には断固として反対している」と発言し、宇宙への核兵器配備計画の存在を否定しています。」

「ロシアが宇宙空間に核兵器を1つでも配備すれば、「ロシアに対抗してアメリカが配備し、それに対抗して中国が配備し……」といったように他の国々も巻き込んだ軍拡競争が始まる可能性が十分にあります。」(カリフォルニア大学サンディエゴ校で安全保障について研究するスペンサー・ウォーレン氏)

まあ、そりゃそうだろうが、浮沈子がざっと調べた限り、米国は宇宙での核爆発によって衛星を機能不全にした唯一の国家だ。

(核兵器実験のリスト:ロケットの実弾頭のテスト)
https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_nuclear_weapons_tests#Tests_of_live_warheads_on_rockets

「ミサイルと核弾頭は、一緒に実験するのは非常に危険であると考えられているため、通常は別々に実験される。」

それでも、一緒に実験された実績があり、宇宙空間に到達したかどうかは別として、リストされている実験は20ほどある(複数回の発射を伴うのと、失敗した実験が多いので、回数については数えていません:リストは時系列でないことに注意:米軍の宇宙到達高度は80kmとされる:ロケット自体はそれを超えても、爆発した高度がそれ以下の実験があるかも知れない:未確認)。

<米国>

・フリゲート バード: 1962 年 5 月 6 日、600 ノットW47 弾頭を搭載したUGM-27 ポラリスA-2 ミサイルがUSSイーサン アレンから発射されました。1,800 km (1,100 マイル) 飛行し、大気圏に再突入し、南太平洋上空の高度 3.4 km (2.1 マイル) で爆発しました。

・1957年7月19日の実験では、プラムボブ/ジョンはジェット戦闘機からAIR-2ジーニー空対空ロケットに搭載された小出力核兵器を発射した。

・1958 年 8 月 1 日、レッドストーンロケットは核実験用チーク号を発射し、高度 77.8 km (48.3 マイル) で爆発しました。1958 年 8 月 12 日、レッドストーン #CC51 は核実験オレンジを爆発高度 43 km (27 マイル) まで発射しました。どちらもハードタック I 作戦の一部であり、収穫量は 375 万トンでした。

・アーガス作戦:1958 年 8 月 27 日、8 月 30 日、9 月 6 日の南大西洋上空での 3 回の実験

・1962 年 7 月 9 日、トール ミサイルはW49 熱核弾頭を搭載した Mk4 再突入体を高度 248 マイル (400 km) まで発射しました。弾頭は145万トンの威力で爆発した。これは核実験作戦のスターフィッシュ・プライム・イベントだったドミニク・フィッシュボウル

・1962 年のドミニクと金魚鉢シリーズ:チェックメイト、ブルーギル、キングフィッシュ、タイトロープ

<ソ連>

ソ連は1960年代に局所弾道ミサイルシステム開発の一環としてロケットに搭載した核爆発実験を行った。ロケットで弾頭を発射したソビエトの核実験には次のようなものがあります。

・バイカル (ソ連実験 #25、1956 年 2 月 2 日、アラリスクで) –カプースチン ヤールからR-5Mロケットが発射された 1 回の実験。

・ZUR-215 (#34、1957 年 1 月 19 日、カプースチン ヤールにて) – カプースチン ヤールからのロケット発射による 1 回のテスト。

・(#82 と 83、1958 年 11 月初旬) カプースチン・ヤールによる、実験一時停止交渉のための停戦宣言後に行われた 2 つの実験。

・グローザ (#88、1961 年 9 月 6 日、カプースチン ヤールにて) – カプースチン ヤールからのロケット発射による 1 回のテスト。

・グロム (#115、1961 年 10 月 6 日、カプースチン ヤールにて) – カプースチン ヤールからのロケット発射による 1 回のテスト。

・ヴォルガ (#106 と 108、1961 年 9 月 20 ~ 22 日、ノバヤ ゼムリャ) –ロガチェヴォからR-11Mロケットが発射された2 回のテスト。

・ローザ (#94 および 99、1961 年 9 月 12 ~ 16 日、ノバヤ ゼムリャにて) –ボルクタからR-12ロケットを発射した2 回のテスト。

・Raduga (#121、1961 年 10 月 20 日、ノバヤ ゼムリャ) – R-13ロケット発射による 1 回のテスト。

・ティルパン (#164、1962 年 9 月 8 日、ノバヤ ゼムリャにて) –チタから発射されたR-14ロケットによる 1 回のテスト。

・K 作戦(1961 年と 1962 年、サリー・シャガンで) – カプースチン・ヤールからロケットを発射し、高高度で 5 回の実験を実施。

<中国>

・中華人民共和国は、 1966 年 10 月 25 日に東風 2ロケット発射による CHIC-4 を実施しました。弾頭は 12 ノットの威力で爆発しました。

これらの中で、宇宙空間に到達して爆発したことが記載されているのは、米国のアルガス作戦、ドミニク作戦(その中のフィッシュボール作戦)、ソ連のK作戦である(ちゃんと調べたわけじゃないので、テキトーです)。

(アーガス作戦)
https://en.wikipedia.org/wiki/Operation_Argus

「1958年8月27日から9月9日まで南大西洋上で秘密裏に実施された米国による一連の低出力高高度核兵器実験およびミサイル実験である。」

「テストの種類 宇宙ロケット (> 80 km)」

・1958年8月27日:南大西洋上:170km:1.7 キロトン
・1958年8月30日:南大西洋上:310km:1.7 キロトン
・1958年9月6日:南大西洋上794 キロメートル:1.7 キロトン

これらは、高高度核爆発によって生じる放射線帯によって、ソ連の核弾頭を無効化することを目的として行われた。

まあ、持続時間が短すぎて使い物にならないことが分かり、結局、徒労に終わった。

(ドミニク作戦)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%82%AF%E4%BD%9C%E6%88%A6

「1962年にアメリカ合衆国が行った105回にも及ぶ核実験である。」

「宇宙空間に近い高高度核爆発のテストでは、核弾頭を打ち上げるためにPGM-17型ソーミサイルが使用された(これらの実験は、まとめてフィッシュボール作戦と呼ばれた)」

(金魚鉢作戦)
https://en.wikipedia.org/wiki/Operation_Fishbowl

「ドミニク核実験計画の一環として米国によって1962年に実施された一連の高高度核実験である」

「テストの種類 高高度ロケット (30 ~ 80 km)、宇宙ロケット (> 80 km)」

宇宙空間に到達したヤツも、そうでないやつもある。

明示的に中止された実験を除くと、以下のようになる。

・スターフィッシュプライム:1962年7月9日:ジョンストン島上空:400.1km:1.4メガトン
・チェックメイト:1962年10月20日:ジョンストン島上空:147.3km:10キロトン
・ブルーギル トリプル プライム:1962年10月26日:ジョンストン島上空:48.32km(大気圏内):200キロトン
・ヒラマサ:1962年11月1日:ジョンストン島上空:97.24km:200キロトン
・綱渡り:1962年11月4日:ジョンストン島上空:21.03km(大気圏内):10キロトン

うーん、こうして見ると、爆発高度、規模とも、スターフィッシュプライムが突出していることが分かる。

人工衛星に対する影響が出たことが記載されている実験はこれだけだ。

(スターフィッシュプライム)
https://en.wikipedia.org/wiki/Starfish_Prime

「宇宙空間で行われた最大の核実験であり、米国が宇宙で行った 5 回のうちの 1 回でした。」

上記のウィキの記述をみると、5回じゃなくて6回になるんだがな(1962年11月1日の爆発高度が100km未満なので除外したのかも)。

まあ、どうでもいいんですが。

「地球低軌道にある3基の衛星が無力化されたとき、兵器開発者たちは非常に心配した。これらには、TRAACとTransit 4Bが含まれます。」

「当時、太陽と宇宙の粒子束が 10 倍変化し、エネルギーが 1 MeV (0.16 pJ ) を超える可能性があることは知られていませんでした。その後数か月間で、これらの人工放射線帯は最終的に 6 機以上の衛星を故障させました。放射線が太陽電池アレイや電子機器に損傷を与えたためです。その中には、最初の商用中継通信衛星であるテルスターや英国初の衛星も含まれます。衛星、アリエル 1。」

当時、地球低軌道上を回っていた衛星の3分の1に当たると言われる。

実験とはいえ、また、その影響が想定を超えていたとはいえ、宇宙空間による核爆発で軌道上の衛星を損傷したことが確認できるのはこの実験だけだ。

ソ連と中国の実験では、そのようなことは確認できなかった。

(ソ連のプロジェクトK核実験)
https://en.wikipedia.org/wiki/Soviet_Project_K_nuclear_tests

「1961 年から 1962 年にかけて実施された 5 回の核実験」(うち1回は大気圏内)

「翌年には部分的核実験禁止条約が可決され、大気圏内および大気圏外での核実験が終了し た。」

「K プロジェクトで使用された兵器は 1962 年の米国スターフィッシュ プライム実験よりはるかに小型 (最大 300 キロトン) でしたが、K プロジェクトの実験は人口の多い広大な土地で行われたため、結果として生じた EMP によって引き起こされた被害ははるかに大きかった」

・127 K2 (ジョー 109):1961年10月27日:カザフスタン、カラガンディ上空:180km:1.2キロトン
・128 K1 (ジョー 105):1961年10月27日:カザフスタン、カラガンディ上空:300 キロメートル:1.2キロトン
・184 K3 (ジョー 157):1962年10月22日:カザフスタン、カラガンディ上空:290km:300キロトン
・187 K4 (ジョー 160):1962年10月28日:カザフスタン、カラガンディ上空:150km:300キロトン
・195 K5 (ジョー 168):1962年11月1日:カザフスタン、カラガンディ上空:
59km(大気圏内):300キロトン

中国の宇宙空間における核実験については未確認だ。

確認しておこう。

米国は、ロシアが宇宙空間に核搭載衛星兵器を配備する恐れがあるという情報を流して警告しているが、ロシアは明確に否定している。

実験レベルでの宇宙空間での核爆発は、20世紀に1950年代末から60年代初頭にかけて行われたが、人工衛星に対する影響が確認できるのは、米国が1962年7月9日にジョンストン島で行った実験の1回のみだ。

少なくとも6機の衛星に影響が出たとされている。

核は核でも、原子炉を宇宙空間に配置した実績があるのはソ連だけと記憶している(未調査)。

今回の騒動が出てきたタイミングは、米国のウクライナ支援停止とか、そういいう政治日程との絡みがあるのかもしれないが、いささか唐突で不自然な気もする(情報戦?)。

対抗上、ウクライナに衛星搭載核兵器でも供与しようって考えてるのかもしれない(そんなあ!)。

宇宙空間での核爆発がヤバいという話は、何十年も前に実験して分かっている。

今日、GPS衛星(本来は米国製グローバルナビゲーションサテライトシステムの固有名詞)やスターリンクなどの衛星通信、気象衛星などの地球観測が当たり前になった時代に、そんなもん爆発させるとは到底現実的な話とは思えない。

が、一寸先は闇の宇宙戦争(?)だからな。

明日から、カーナビが使えなくなっても不思議ではない。

そんな時代が来ないことを願うしかないな・・・。