🚀スターシップ:1段目は成功だったのか2025年01月18日 13:59

スターシップ:1段目は成功だったのか
スターシップ:1段目は成功だったのか


(スターシップの7回目のテスト飛行中に火災が発生し、宇宙からの破片が降り注ぐ)
https://arstechnica.com/space/2025/01/fire-destroys-starship-on-its-seventh-test-flight-raining-debris-from-space/

「打ち上げからわずか7分後、ブースターは発射台に戻り、タワーの2本の機械アームで空中キャッチし、スペースXが10月に達成した偉業を再現した。」

うーん、記事のどこを読んでも、ブースターのエンジンの一つが再着火に失敗したことには触れていない。

それどころじゃない状況(2段目の空中分解でFAAの事故調査)は理解できるとしても、メディアがどこも取り上げていない点は解せない(全部見てるわけじゃありませんが)。

メカジラキャッチに再度成功し、前回のリベンジを果たせたんだからいいじゃないの・・・。

そうはいかない。

再点火の失敗は、原因の如何によっては2段目の不具合とも共通するかもしれないし、軌道上での再点火のトラブルにも繋がりかねないからな。

ブーストバックバーンは、画像を見ても分かる通り、2段目の分離直後から行われる。

1段目が横向いた時点で、既に全基点火しているはずだったわけだ。

そのタイミングが適正なのかどうかは知らないけど、分離時にも噴射を維持している中央の3基は別として、ジンバル機構を備えた内周の10基は、このタイミングで再点火するはずだった。

高度65km程度だから、薄いとはいえ大気の影響はある。

何が原因かは分からないけど、再点火に失敗したことは確かだ。

もう、IFT(統合飛行試験)も7回目だからな。

原因が、ラプター2側の問題なのか、それともブースター側の問題なのかは重要だ。

試験飛行の初期には、燃料系統の問題だとされていたはずだ。

それがいまだに尾を引いているのかも知れない。

ラプター2側の問題で、すでに開発されているとされるラプター3で対応済みということなら、まだ影響は限定されるかもしれない。

それも不明なところだ。

ラプター3には別の懸念もある。

複雑な配管をエンジンそのものに鋳込んで作るラプター3は、ビミョーな改良を受け付けられないかも知れない。

場合によっては、設計そのものを見直して作り直すことになる。

そして、単体テストを繰り返して問題点を洗い出す。

ロケット本体であれ、エンジンであれ、終わることのない改良が続くことになる。

ロケット開発に覇道はない。

「いつものことだが、成功は学んだことから生まれる。スペースXが生命を多惑星に送り出すことを目指す中、今回の飛行試験はスターシップの信頼性向上に役立つだろう」(S社)

「根本原因を突き止めるため、すでにデータのレビューが行われている。FAAと連携して徹底的な調査を行い、今後のスターシップの飛行試験で改善できるよう是正措置を講じるつもりだ」(同上)

1段目エンジンの不着火の件もよろしくね・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(スペースXとイーロン・マスクがスターシップの喪失の潜在的な理由を説明)
https://www.teslarati.com/spacex-elon-musk-explain-potential-reasons-for-starship-loss/

「・・・初期データによると、船尾で火災が発生し、予定外の急速な分解に至り、破片が事前に定義された危険区域内の大西洋に落下しました。」

英国領の島にも一部落下したようだけどな。

「船のエンジン防火壁上部の空洞に何らかの酸素または燃料の漏れがあった」(マスク氏)

「漏れは明らかに、通気口が処理できる以上の圧力を発生するほど大きかった。」

「スターシップの飛行中に火災が発生したという証拠を認識した人もいた」

Xの投稿には動画(GIF画像)が埋め込まれていて、後部右側の動翼の付け根のヒンジ部分にオレンジ色の炎が見えている。

うーん、色が気になるな。

メタンの燃焼では、通常「青い炎」が観察されるはずだからな(色温度の問題かも)。

酸素リッチの雰囲気で、船内の何かが燃えている可能性もある(未確認)。

やれやれ・・・。

「マスク氏はすでに、火災抑制対策を少し講じ、船のエンジンファイアウォール上部の空洞の容積を増やすことで問題を解決できると考えている。」

そういう問題じゃないような気がするんだがな・・・。

2段目は、100回くらいの再使用を目指している機体だ。

文字通り「尻に火が付いた」ロケット(まあ、ロケットはふつー後部にエンジンがあるけど)を飛ばす気にはなれないだろう。

第2世代の2段目は、初回の飛行でケチが付いてしまった。

まあいい。

失敗は成功の基。

御座なりな対応ではなく、キッチリ詰めた対策を講じてもらいないもんだな・・・。

<さらに追加>ーーーーーーーーーー

(【更新】スペースXが「スターシップ」第7回飛行試験を実施 ブースター帰還も宇宙船は通信途絶える)
https://sorae.info/space/20250117-starship.html

「SpaceXによると、Starship宇宙船は機体後方で火災が発生して分解した模様です。」

火災の発生は間違いないところだ。

「【▲ 発射台に帰還したSuper Heavy(スーパーヘビー)ブースター。SpaceXのライブ配信から(Credit: SpaceX)】」(写真のキャプションより)

ソラエは、ビデオ映像からキャプチャした画像を数枚掲載して、1段目のメカジラキャッチが成功したことを伝えているけど、ブーストバックバーンで内周エンジンの1基が未着火のままだった点には触れていない。

まあ、どうでもいいんですが。

スターシップロケットシステム(1段目と2段目合わせて)では、何かが起こっている(少なくとも推進系で)。

要素の欠落か、不適合か、過剰なのかは分からない。

ロケットは移動体だからな。

余分なもの(空間の拡張、消火設備)を付ける対策は王道じゃないだろう。

何かが未解決で、その問題を抱えたまま飛行試験を積み重ねようとしている。

2段目の再突入関係(耐熱とか)の開発を進めるために、当面の対策で凌ぐことは構わないけど(ホットステージ用の段間リングは、未だに付いてるしな:完全再使用じゃないじゃん!?)、いずれは根本的な解決を施す必要がある。

今回未着火だったのは、ランディングバーンに使用される中央の3基のラプター2エンジンではなかった(内周のエンジン)。

未着火の原因によっては、中央のエンジンがトラブる可能性もある。

2基のエンジンだけでも、メカジラキャッチは可能なのかもしれないけど(未確認)、リスキーであることは間違いない(その状況でメカジラキャッチを行う判断をするかどうかは知りませんが)。

ったく、どのメディアも取り上げていないのは浮沈子的には不満だ。

2段目の喪失(爆発炎上木っ端微塵)と、メカジラキャッチの(2度目の)成功に目を奪われている。

まあいい。

抜本的な解決が施されない限り、この問題は尾を引くだろう。

複数のエンジンを束ねて運用するというS社のロケットの基本的なアーキテクチャは、それはそれで優れている。

大出力の巨大エンジンを開発する困難さを避け、ゼロにすることが出来ない故障のリスクを補うことができるからな。

でもな、それ(毎回故障したエンジンが出現すること)は通常の運用ということではない。

個々のエンジンの信頼性を上げていくことが必要だ。

また、燃料供給系や制御系など、共通部分で問題が生じれば、個々のエンジンの信頼性向上だけでは対処できないしな。

初期トラブル(燃料供給系の問題)が尾を引いているのか試験飛行を繰り返す中で、新たな問題が発生しているのかは知らない。

2段目の改良の中に、燃料配管の真空断熱が含まれていたのが気になっている。

マスクが、エンジン上部の空間の拡張を示唆した点も気になる。

配管周りに熱的な問題があるのではないのか。

1段目にもその問題が残っていて、未解決のまま進行しているのかも知れないな・・・。

<さらにさらに追加>ーーーーーーーーーー

(スペースXの「スターシップV2」宇宙船、初飛行 - イーロン・マスクの新たな挑戦と未来への展望:2ページ目)
https://news.mynavi.jp/techplus/article/20250120-3111246/2

「発射台まで戻るため、中央付近の13基のエンジンに再着火した際、1基のエンジンが作動しなかった。それでも、他の正常なエンジンを少し長く噴射させるなどし、飛行を続けた。なお、この作動しなかったエンジンは、前述した「パイ」ではなかった。」

おおっ!、さすが鳥嶋さんだな。

この点を指摘した記事に初めて出会った。

「やがて発射台の上空に舞い戻ってきたブースターは、エンジンを再々着火した。今度は13基すべてが正常に燃焼し、そして離昇から約6分56秒後、ブースターは発射塔に舞い戻り、チョップスティックスで捕獲され、回収された。」

ランディングバーンの初期には、数秒間、ブーストバックバーンと同じ13基がサイド点火される。

この際には、記事の通り失火はない。

うーん、甘いな・・・。

まあいい。

点火系か、燃料系か、またはエンジン固有の問題かは不明のままだ。

「今回の試験では、5回目の試験で飛行したロケットエンジンが再使用された。このエンジンは「314」というシリアルナンバーで、そこから円周率の「パイ」という愛称でも呼ばれている。」(1ページ目)

浮沈子はなかなか気づかなかったが、その点にも触れている。

最近、アップするまでに時間差が掛かっていたけど、今回はタイムリーに記事を上げていただいた。

読みやすく、内容濃く、深く掘り下げながらバランスもいい。

相変わらず、いい記事だな・・・。

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