謎の円盤・9142013年12月19日 03:23

謎の円盤・914
謎の円盤・914


ポルシェの開発コードは、901(911)以降、だいたい順調に増える傾向にある(912は、911の廉価版として有名)。

しかし、一体、どういう法則で割り振られているかについての知識はない。

最近は、987→981、997→991などのように、逆行することもある。

レーシングカーの場合は、あまりそのようなことはないようだが、来年ルマンを走るLMP1は、919なんだそうだ(906→910→907というのはある)。

この辺は、918スパイダーと関連付けたい意図が見て取れる。

その元になった918は、あのモンスター917に肖ったというから、ルマンでポルシェを初優勝させた917は、栄光の背番号ということになる。

野球でいえば、巨人の16番とか、サッカーでいえば10番のようなもんだな。

910番台のポルシェで、欠番になっているのは2つある。

913、915というのは、聞いたことがない。

(ポルシェに関して、詳しい方がいらしたら教えていただきたいのですが、ポルシェ913...)
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1216422337

(ポルシェ913)
http://minkara.carview.co.jp/en/userid/216971/blog/3563043/

あったらいいな、ということで、カスタムカーを作ってしまったらしい!。

これは、開発コードとは関係ない。

915というのは、通称ポルシェシンクロというトランスミッションの開発コードとして有名だが、自動車そのものではない。

ポルシェシンクロについては、このブログでも触れたことがある。

(930タルガの研究(その5)「続々・ポルシェシンクロ」)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/04/09/6772809

916については、ややっこしい話がある。

914の6気筒版(914/6)というのと、916(こっちも6気筒ですが)というやつだ。

(ポルシェ・914)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BB914

「当初、ビートル411Eの1,679cc 80馬力エンジンを搭載した914、ポルシェ911Tの1,991cc 110馬力エンジンを搭載した914/6が併売された。1972年412Eの1,800ccエンジンを1,971ccにボアアップし搭載した914(2.0)に914/6が切り替わり、日本では1973年から販売された。」

「914Sは914(2.0)の前後にスタビライザーを装着しアルミホイールを標準装備したもの。1973年ビートルのエンジンが変更されたことに伴い、914のエンジンが1,800ccとなったが、これは日本では販売されなかった。1974年914(2.0)の外装色のみ変更した914SLが20台限定で販売された。1975年から前後のバンパーがラバーコートされた。」

「この他911Sの2,341cc 190馬力エンジン、または911RSの2,687cc 210馬力エンジンを搭載した916が11台存在する。」

ドイツ語のウィキの下の方に、このあたりがわかりやすい表が出ている。

(Porsche 914:Technische Daten der Sport-/Straßenversionen)
http://de.wikipedia.org/wiki/Porsche_914#Technische_Daten_der_Sport-.2FStra.C3.9Fenversionen

2311cc(3台)と2653cc(8台)だけが、916を名乗ることが出来る。

それ以外の6気筒車は、914/6のように標記される。

本当の特注で作られた8気筒車もあが、これも914/8となる(918じゃあ、ないっしょ?)。

まあいい。

というわけで、カスタム車だけの913、ミッション番号しかない915については、欠番になっていることが分かった。

ところで、914というのは、このブログでもちょこっと触れている。

(レーシングポルシェの系譜(補遺)914 )
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/11/12/7052986

先日、謎の円盤UFOというテレビシリーズがネットで観られることを知り、殆んど中毒のようになっているのだが、その中に「人間爆弾」という恐ろしい名前の物語がある。

(TV 謎の円盤UFO ep14 人間爆弾)
http://www.dailymotion.com/video/xxj4dv_tv-%E8%AC%8E%E3%81%AE%E5%86%86%E7%9B%A4ufo-ep14-%E4%BA%BA%E9%96%93%E7%88%86%E5%BC%BE_shortfilms?search_algo=2

エピソード05も同じだが、コマーシャル入りなので、こちらで観るのがオススメ!。

この中に、914が登場する。

ホイールキャップが付いているタイプだ(2分55秒辺りで分かる:2分15秒ではないぞ!)。

そんでもって、謎は15分13秒から25秒にかけてのシーンである。

この後にも出てくるが、914に3人が乗っているのだ。

ストーリーの都合上、このシーンで3人がクルマで移動する必要もないと思うんだが、なぜか、3人乗りしているのである。

英国の道路法規には詳しくないが、クルマが右側通行だったりするのも不自然といえば不自然だな(これは、ネットでも指摘があります)。

ちゃんと、左ハンドルだったりするので、ロケ地の関係かもしれない(シャドーカーも、左だけど)。

さて、問題の914の3人乗りって可能なんだろうか?。

(パート②クルマとの失踪日記!(Time Is On My Side))
http://seiuchi9.exblog.jp/blog.asp?tag=%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%EF%BC%99%EF%BC%91%EF%BC%94&p=3&srl=2734612&dte=2006-07-07+17%3A49%3A00.000

「室内もシートは薄べったく決して座り心地が良いとはいえないのですが、センターコンソールが平らで奥行きも出幅もシートと殆ど同じになっています。」

「更にシートと高さも殆ど同じ仕上がりになっています。」

「多分、これは昔はイザという時には、3人の乗車を考慮したからではないか?と僕は思っています。」

「少なくとも、学生時代の僕は、イザという時の3人乗り・・・その発想を心底信じきっていたので、女の子を3人乗せて4人乗りとして使用したことが数回ありました。」

「実用的に許容出来るのは3人乗車までなのですが、シフトチェンジする度に右手の感触が柔らかいものに当たって、とてもとても心地良かったことを、今でも、昨日の事のように覚えています。」

この記事によれば、小柄なら、4人もいけるということが書いてある。

(Porsche 914 – Battle of the Badges)
http://motorcardigest.com/porsche-914-battle-of-the-badges/

40年以上の歳月が経ち、オリジナルのシートが少なくなってきているが、上記のページを見ると、センターコンソールの上に、シフトレバーを跨いで乗れば、まあ、3人まではいけそうである(もちろん、法規上は、定員オーバーでお縄である)。

しかし、まあ、テレビドラマとはいえ、それを放映してしまうというのは、いかがなものか。

ほかのクルマが、撮影用に改造されている中で、914が、オリジナルのまま出てきているということは、そのデザインが、いかに先進的で、SFチックであったかの証明でもある。

カッコだけでなく、収納にも優れており、MRかつ、オープンカー(916は、屋根溶接)であったことを考えると、浮沈子は、改めて見直さざるを得ない。

現代では、981型ボクスターやケイマンが、その役割を果たしているのだろうが、914の優れたパッケージングと、先進的なデザインは、改めて評価されるべきだろう。

外注される世界2013年12月19日 06:58

外注される世界
外注される世界


菅原出著の「外注される戦争」を読み終えた。

上梓されたのが6年前だから、オバマ政権は、まだ誕生していない。

9・11から一段落し、イラク復興の長く苦しい道のりの中で、米国が、何を行ってきたのか、何を行ってこなかったのか、そこに登場したPMC(プライベート・ミリタリー・カンパニー)とは何か、彼らは何をし、何をしようとしているのか、これからの対テロ戦争は、どうなっていくのだろうか。

この本は、主にイラクについて書かれているが、アフガニスタンでは、今日も同じ光景が繰り広げられている。

ここに書かれていることは、遠い国で行われている遠い世界の話なのだろうか。

国防の中枢施設を警備するのが民間会社であり、民間の船舶に警備会社の社員が乗って、ブローニングM2重機関銃をぶっ放そうとしているのは、我が国の話である。

(海賊対策―民間警備会社の活用に向けて)
http://www.jpmac.or.jp/img/research/pdf/E201221.pdf

(ブローニングM2重機関銃)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0M2%E9%87%8D%E6%A9%9F%E9%96%A2%E9%8A%83

「調達価格は約530万円である。」とある。

ボクスターより、安いな。

海上で使用するには、もう少し射程があったほうがいいような気がする(有効射程2000mとある)。

なにしろ、敵さんは、四方八方からやってきて、ありとあらゆる兵器を駆使できるわけだ(法的制限なんて、ありゃしない!)。

人事ではないのだ。

巻末には、18社の主なPMCが掲載されていて、インターネットのURLも書いてある。

しかも、著者は、研究者という立場から、この中の1社(アーマー・グループ社)のコンサルタントになってしまった!。

ミイラ取りがミイラになったわけだな。

(民間軍事会社のリスト)
http://nakayan.jp/4191.html

もちろん、自衛隊も指を咥えて眺めているだけではなく、一応、検討はしているようだ。

(紛争後復興における民間軍事会社の活用 ――市場の特徴と課題の考察――)
http://www.nids.go.jp/publication/kiyo/pdf/bulletin_j11_3_1.pdf

「(民間軍事会社[Private Security Company:PSC]」という表現を使っている。

アーマーグループは、Tシャツも売っている。

(イギリス民間軍事会社 アーマーグループ オフィシャル・ポロシャツ サイズL (USサイズ):4800円)
http://usarvtag.militarymarket.jp/products/detail.php?product_id=350

ワッペンなければ、1000円もしないだろう。

ブラックウォ-ターのほうが、高いな。

(Blackwater/Xe オフィシャル ポロシャツ サイズL(USサイズ) 色:グレイ:6800円)
http://usarvtag.militarymarket.jp/products/detail.php?product_id=323

もう、ブランドなのである。

世も末だな。

ブラックウォーター社はウィキがあった。

(ブラックウォーターUSA)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BCUSA

ラックウォーターという社名は、沼地の水が泥炭で黒くなっている所から名づけられたという。

「民間軍事会社の犯罪をアメリカ国内法の管轄下におく法案が下院で可決されているが、ホワイトハウスは反発しており、アメリカ政府内では「民間業者に頼るしかなく、むしろその人達の能力、勇気を称えるべきだ」と民間軍事会社を擁護する立場が主流である。」

「2006年6月、青森県つがる市の航空自衛隊車力分屯基地で、ミサイル防衛用のレーダー:AN/TPY-2(Xバンドレーダー)の搬入の際、アメリカ政府と契約していたブラックウォーター社の要員が、車力分屯基地、及び、AN/TPY-2の警備にあたっていたことがある。レーダーの運用の為、開発元のレイセオン社から派遣された同社社員もそこにおり、つがる市に派遣された民間企業の要員は、ブラックウォーター社の人間と合わせて、100名であった(2名の米軍軍人が監督)。」

アーマーグループについては、本社ページから、日本法人をたどることが出来た。

(ArmorGroup)
http://en.wikipedia.org/wiki/ArmorGroup

(G4Sとして登録されている日本法人のページ)
http://www.g4s.jpn.com/en-JP/

パット見、普通の警備会社である。

しかし、よく見てみると、アルソックとは違う会社である(アルソックも、タイでは頑張っているが、まあ、通常のビル管理だな)。

(ALSOK(THAILAND)CO.,LTD)
http://www.alsok.co.jp/company/overseas/thailand.html

この会社(G4S)の業務内容を見ると、海外に出かけていって、トラブルにあわないように警護することも含まれている。

「アデン湾・ソマリア沖海賊対策サービス
G4S Japan はアデン湾及びソマリア沖を通過する日本関係船を海賊の脅威からお守りすることにより、クライアントの安全に最大限貢献致します。2002年以来、G4Sのマネジメントチーム及びセキュリティチームは、セキュリティ・トレーニングや予防/警護、緊急対応等の様々な海上におけるセキュリティ・ソリューションを提供しています。特に、昨今のアデン湾及びソマリア沖においては、数百隻にのぼる船舶を警護した実績があります。」

「具体的には、G4Sのセキュリティチームがクライアントの船舶に同乗し、船長や乗組員に対して海賊の脅威(ハイジャック)から船舶を守るための様々な対策をアドバイス致します。また、航海に先だって、クライアントの乗組員に対して海賊対策のトレーニングも行います。」

「G4Sのセキュリティメンバーは、その多くが英国海兵隊(Royal Marine)出身者や特殊部隊出身者、それに準ずる経験を要した者で構成されております。また、ISP Ship's Security Officers (SSos)の資格も有しており、ハイリスクな環境における経験が豊富です。」

これからは、イザというときは、ブローニングの機関銃もぶっ放すことになるだろう(敵は酪酸なんかじゃなくって、バズーカとか、ミサイルとか持ってますが)。

すでに、日本であっても、戦争の犬たちの力を借りなければ、貿易国家として立ち行かなくなっているのだ。

お飯が食えたり、暖を取ったり、こうしてブログを書いたりできるのも、よく考えてみれば、彼らのおかげかもしれない。

マスコミ操作や、捕虜尋問、軍隊や警察官の養成、国際テロ組織の温床となっている、破綻国家への治安維持援助など、低強度紛争、テロとの戦争において、民間警備会社の果たすべき役割は大きくなる一方である。

しかし、資源を求めて他国の領土に踏み込んで、頂き放題いただいて、文句があるなら実力勝負で追っ払え!、そんなに欲しけりゃ、鉄砲玉くれてやるわい!、というように聞こえなくもない。

それは、優越による支配であり、徹底した搾取であり、あからさまな内政への干渉であり、国際関係における欺瞞である。

(対テロ戦争)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%BE%E3%83%86%E3%83%AD%E6%88%A6%E4%BA%89

「テロリズム
テロ攻撃に必要な計画、人員、装備、訓練、拠点などは高度に秘匿されながら準備され、敵である政府や軍事組織だけでなく、一般市民までをも攻撃の対象とする場合もある。これは攻撃の物理的な成果は本質的には重要ではなく、その攻撃でもたらされる恐怖や畏怖が狙いであるためである。」

「対テロ作戦
現地の行政機関や治安機関との関係を構築して連携する民事作戦、公共サービスの提供などによって現地住民の人心を掌握する心理戦を行う。敵ゲリラ組織だけでなく、一般市民までをも攻撃の対象とする場合もある。これも攻撃の物理的な成果は本質的には重要ではなく、その攻撃でもたらされる恐怖や畏怖が狙いであるためである。」

どっちも、どっちだな。

「テロリストが入手可能なイラクの大量破壊兵器について国際原子力機関がイラクを調査し、そのような疑惑は否定される。しかしアメリカはその報告を認めず、2003年3月19日にイラク戦争を開始」

どっかの国の首相が、その証拠を見せられて、まんまと騙されたという話は、余りにも有名だ。

(小泉純一郎さんはイラクに大量破壊兵器があるというウソに騙され自衛隊を使ったこ...)
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1027447865

(小泉純一郎の名言)
http://www.fesh.jp/detail_3079.html

ほんとに、こんなこと言ったとすれば、ちょっと変人だな(最近、またまた変なことを言い出したらしい・・・)。

結局、大量破壊兵器なんて発見されることはなかった。

米国は、世界を騙し、我が国も、まんまと騙されたのだ。

米国は、その落とし前を未だにつけていない。

騙してゴメンナサイなど、聞いたことはない。

「イラク戦争によってフセイン政権が打倒されると、イラクでは抑圧の重石がなくなった事も災いして部族、民族、宗派をめぐる対立が激化し、治安が急速に悪化する。」

「ヒラリー・クリントン国務長官は2009年3月30日、ハーグに向かう途中で同行記者団に、バラク・オバマ政権が「対テロ戦争」なる語の使用を中止した旨述べた」

「イギリス外務大臣デイヴィッド・ミリバンドは、2009年1月15日付ガーディアンに論文を投稿、この中で「“対テロ戦争”なる定義は誤りだった、却って諸勢力を団結させる事に繋がった」と述べた。イギリス政府も2007年からは「テロを煽る事になる」としてこの語を用いないようにしている。」

テロルが、市民にとって好ましい行為でないことは明らかであり、民主政治の元では、明白な犯罪であることは当然のことである。

また、治安の悪化が長期に渡って経済の発展を妨げ、結果として国家の発展を抑制することも確かだ。

テロルの抑止は、恐怖やカウンターテロ、国の内外における正規戦、経済制裁や国際批判、飴と鞭、重油と米、大量破壊兵器の無力化、兵器の流通制限など、あらゆる手段を複合的に、適時、適切に行うことが必要になってくる。

市民の理解や、協力も必要だし、犠牲も出る。

長い時間と辛抱が求められる。

民間軍事企業が、その中で、紆余曲折はありながら、一定の役割を果たしてきたのは事実だし、そのいくつかの事例を、「外注される戦争」で読むことが出来た。

しかし、イラクという国家に対し、イランに対する軍事勢力を醸成し、代理戦争を行ってきたのは、当の米国であることを忘れてはならない。

身から出たサビである。

ようやくその尻拭いをしただけであり、イラク戦争の結果、世界に平和をもたらしたわけでは断じてない。

何かといえば、強大な軍事力を背景に、恫喝し、ゴリ押しし、露骨に介入してきた。

米国は、一度として、相手国の利益を最優先に行動したことなどない。

まあ、それは、何処の国家でも同じであろうが、それが出来るのにしないのと、しようとしてもできないからやれないのとでは、意味が違う。

世界は、未だに、覇道で動いている。

それを、為政者から請け負っている企業の話を、心の中に、重いものが沈んでいくような気持ちで読み終えた。