軍隊は何を守っているのか2013年12月03日 03:25

軍隊は何を守っているのか
軍隊は何を守っているのか


我が国には、正規軍がない。

自衛隊というのは、国家が交戦権を認められていないので、宣戦布告をして、敵国と戦争を行うわけにはいかないのだ。

それでも、我が国が攻撃を受けた場合には、しかるべき手段で応戦する。

(自衛隊法(昭和29年法律第165号))
http://www.houko.com/00/01/S29/165.HTM

「(自衛隊の任務)
第3条自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとする。」

「(防衛出動)
第76条 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃(以下「武力攻撃」という。)が発生した事態又は武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至つた事態に際して、我が国を防衛するため必要があると認める場合には、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。この場合においては、武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成15年法律第79号)第9条の定めるところにより、国会の承認を得なければならない。」

「(国民保護等派遣)
第77条の4 防衛大臣は、都道府県知事から武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律第15条第1項の規定による要請を受けた場合において事態やむを得ないと認めるとき、又は武力攻撃事態等対策本部長から同条第2項の規定による求めがあつたときは、内閣総理大臣の承認を得て、当該要請又は求めに係る国民の保護のための措置を実施するため、部隊等を派遣することができる。
《追加》平16法112
《改正》平18法118
2 防衛大臣は、都道府県知事から武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律第183条において準用する同法第15条第1項の規定による要請を受けた場合において事態やむを得ないと認めるとき、又は緊急対処事態対策本部長から同法第183条において準用する同法第15条第2項の規定による求めがあつたときは、内閣総理大臣の承認を得て、当該要請又は求めに係る緊急対処保護措置を実施するため、部隊等を派遣することができる。」

「(弾道ミサイル等に対する破壊措置)
第82条の3 防衛大臣は、弾道ミサイル等(弾道ミサイルその他その落下により人命又は財産に対する重大な被害が生じると認められる物体であつて航空機以外のものをいう。以下同じ。)が我が国に飛来するおそれがあり、その落下による我が国領域における人命又は財産に対する被害を防止するため必要があると認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に対し、我が国に向けて現に飛来する弾道ミサイル等を我が国領域又は公海(海洋法に関する国際連合条約に規定する排他的経済水域を含む。)の上空において破壊する措置をとるべき旨を命ずることができる。」

「(災害派遣)
第83条 都道府県知事その他政令で定める者は、天災地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要があると認める場合には、部隊等の派遣を防衛大臣又はその指定する者に要請することができる。
《改正》平18法118
2 防衛大臣又はその指定する者は、前項の要請があり、事態やむを得ないと認める場合には、部隊等を救援のため派遣することができる。ただし、天災地変その他の災害に際し、その事態に照らし特に緊急を要し、前項の要請を待ついとまがないと認められるときは、同項の要請を待たないで、部隊等を派遣することができる。」

「(防衛出動時の武力行使)
第88条 第76条第1項の規定により出動を命ぜられた自衛隊は、わが国を防衛するため、必要な武力を行使することができる。
2 前項の武力行使に際しては、国際の法規及び慣例によるべき場合にあつてはこれを遵守し、かつ、事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならないものとする。」

「(展開予定地域内における武器の使用)
第92条の4 第77条の2の規定による措置の職務に従事する自衛官は、展開予定地域内において当該職務を行うに際し、自己又は自己と共に当該職務に従事する隊員の生命又は身体の防護のためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。ただし、刑法第36条又は第37条に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。」

このくらいでいいかな。

正規軍ではないが、自衛隊という軍隊の任務は、法律によれば以下の二つである。

・我が国の平和と独立
・国の安全を保つ

ついでに、公共の秩序の維持も必要に応じて対応する。

具体的には、「直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務」とすることになっている。

ここだけ読むと、国民は守ってくれないのかあ?、ということになるのだが、第77条の4(国民保護等派遣)、第83条(災害派遣)など、直接的に守ってくれることもある。

ただし、この件については異論もある。

(今でも自衛隊は国民の生命・財産を守るものだと誤解している人が多い)
http://blog.goo.ne.jp/taraoaks624/e/8ee3aade9097aeb75fe032c89f5023cd

「今でも自衛隊は国民の生命、財産を守るものだと誤解している人が多い(中略)政治家やマスコミも往々(しばしば)この言葉を使う。しかし、国民の生命、財産を守るのは警察の使命であって、武装集団たる自衛隊の任務ではない。自衛隊は国の独立と平和を守るのである。警察法と自衛隊法に書いてある。この場合の国とは、我が国の歴史、伝統に基づく固有の文化、長い年月の間に醸成された国が、天皇制を中心とする一体感を共有する民族家族意識である。決して個々の国民を意味しない。もし個々の国民を指すとすると、自衛官も守られるべき国民であるから、生命を犠牲にすることは大きな矛盾である」

「軍隊は何を守るのかと言い換えるなら、その答えは国民の生命・財産ではありません。それらを守るのは警察や消防の仕事であって、軍隊の「本来の任務」ではないのです。」

「ならば軍隊が守るものとはなんなのか。それは国家目標の上位にあるもの。国家目的という言葉がしっくりこなければ、国家にとって「至上の価値」と言い換えても良いでしょう。「我々だけの自衛隊」(松原正、展転社)は「国家にとっての至上の価値とは何か」と提起した上で、「それは 國體である。 國體といふと眉を顰める向きもあらうから文化であると言ひ直しても良い」と解き明かしています。「伝統文化」と言い直してもよいでしょう。たとすれば、その中身はいったい何なのか。日本の皇室伝統が無縁でないことは明らかです。」

「連隊のある将校が、このひとに質問した。
「われわれの連隊は、敵が上陸すると同時に南下して敵を水際で撃滅する任務をもっているが、しかし、敵上陸とともに、東京都の避難民が荷車に家財を積んで北上してくるであろうから、当然、街道の交通混雑が予想される。こういう場合、わが八十輌の中戦車は、戦場到着までに立ち往生してしまう。どうすればよいか」
高級な戦術論ではなく、ごく常識的な質問である。だから大本営少佐参謀も、ごくあたりまえな表情で答えた。
「轢き殺してゆく」」

やれやれ、自衛官は、天皇制のために殺されにいくのか。

彼らが守るものは、國體という訳のワカランものなのか。

昔の話が引用されているが、そのためには、日本人を轢き殺していくわけだ。

「天皇陛下のためだからやむをえない」

天皇陛下のためなら、「生命を犠牲にすることは大きな矛盾である」ということにはならないのだろうか。

まあいい。

浮沈子は、自衛隊が軍隊だなどと思っていないし、かれらが、天皇陛下のために死地に赴くことがないように願っている。

現代においては、天皇の地位は象徴として国事行為を行うだけである(私的行為はいろいろあるようですが)。

その地位は、憲法によって定められ、それは不変のものではない。

(自衛隊は何を守るのか)
http://www.spnt.jp/sns/articles/DGXNASGH09003_00310M9Y000000/

「安倍総裁は「自衛隊員は自衛隊に入る時に、国家のため、国民のために尽くしますという誓約書を書くことになっているわけだから、当然、誇りを持って命令に従ってくれるでしょう」という言い方をしました。」

法律には明記されていないが、どうやら、国民のためにも尽くしてくれそうな雰囲気だな。

有り難い事だ。

こんな記事もあった。

(中米の「軍隊のない国」コスタリカ)
http://www.magazine9.jp/interv/chihiro/

「多くの人が誤解していると思うのは、自衛隊を「国民を守るもの」と考えていることです。脳天気にそんなことを言っていられるのは、軍隊について何も知らないからですよ。軍隊というのは、そんな甘いものじゃないんです。」

「中南米、ヨーロッパ、アフリカと、世界中の軍隊を見てきて思うのは、軍隊の第一義は「国民を弾圧すること」だということです。その時々の権力を守り、そのために国民を弾圧する。それが軍隊の本質なんですね。守るものは権力であって国民じゃない。かつての日本軍もそうで、第二次世界大戦のとき、沖縄戦であれだけの人が死んだのは、日本軍に「国体を守るためなら国民はどうなってもいい」という考えがあったからです。」

守るものは権力だというが、我が国では、国民が権力の主体ではないのかあ?(将軍様とかじゃなくて)。

まあ、どうでもいいんですが。

こんなことを、ずらずらと書いているのは、とうとう、例の本が送られてきたからである(画像参照)。

(外注される戦争―民間軍事会社の正体 [単行本])
http://www.amazon.co.jp/%E5%A4%96%E6%B3%A8%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E6%88%A6%E4%BA%89%E2%80%95%E6%B0%91%E9%96%93%E8%BB%8D%E4%BA%8B%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E3%81%AE%E6%AD%A3%E4%BD%93-%E8%8F%85%E5%8E%9F-%E5%87%BA/dp/4794215762

その冒頭に、衝撃的な記述があった。

「国家が国民に対して十分な安全を提供できなくなった」結果、民間警備や、民間軍事会社が跋扈する(もとい、活躍する)ようになったというのだ。

先進国では警察予算よりも多額の金が、民間警備会社に落とされているし、イラク戦争後の復興支援に投入された軍人の数よりも、民間軍事会社の人数が多いという。

我が国でも、アルソックの子会社が自衛隊の中枢を警備していることは既にこのブログでも触れた。

そのうち、国会審議でも民間軍事会社の件が取り上げられるかもしれない。

憲法第9条に反しているのではないかという質問に、次のような答弁が行われる。

「民間企業による、契約相手(当事国への進出企業)の警備であり、憲法に抵触することはありません。」

でもって、先様で何をやっているかというと、多国籍軍と一緒になって、革命ゲリラの掃討作戦に従事していたりするんだな、これが。

契約した民間企業というのは、実は国家の金が流れ込んでいるコンサルかなんかで、現地事務所とは名ばかりで、国民の税金のトンネル会社だったりして。

そんなことは、きっとバレバレになって、彼の国の革命ゲリラだって、資金力に物をいわせて、向こうも民間軍事企業と契約して、我が国に於けるゲリラ戦を仕掛けてくるに違いない。

テロルの攻撃対象になって、議員会館とかが狙われるわけだ。

巨大な拡声器を使った、大音量兵器である。

「国家機密法は許さないぞお!」

このくらいにしとくか・・・。

とにかく、自分の身は、自分で守らないと、生きていくのも大変なことになりそうである。

事前に警察に保護を求めても、結局ストーカーに殺されるという、痛ましい事件が繰り返されたり、海外に進出した企業(日揮だっけ?)の社員が、国際テロ組織に殺されてしまったりするのを見ると、国家権力が国民を守ることが出来ない現実を見せつけられる。

軍隊は、我が国では国体(国民体育大会ではない:そもそもそんな言葉は、法律にはない)を守るためにあるらしいし、国民を守るはずの警察も、治安出動には熱心かもしれないが、個別の相談(窓口は、生活安全課とかいうらしいが)には、適当にしか対応しないし。

軍隊は、そもそも、その国の国民を守っているわけではない。

(軍隊:存在意義)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BB%8D%E9%9A%8A#.E5.AD.98.E5.9C.A8.E6.84.8F.E7.BE.A9

「軍隊は、政治の実行手段の一つである軍事を司る。軍隊を保有することで、他国からの急迫不正の侵害を抑止し、保有戦力に相応した外交関係が保障され、国内政情を安定化する働きをもつ。」

「軍隊は物理的な強制・加害行為をなしうる執行機関であり、国家権力の主要な権力資源である。」

政治の道具の一つとして、保有戦力に応じた外交関係を保証する権力資源なのである。

国体とか、国民とかではなく、国家の権益を守っているのである。

だから、クラウゼヴィッツも、政治との緊密な連携の必要を感じていたのだ。

外国に我が国の企業が進出して、彼らの活動が、国家にとって重要な権益となったとき、軍隊は、それを保全するために必要な措置を講じることもあるだろう。

でも、その軍事力は、必ずしも国防軍でなくてもいいかも知れない。

民間警備会社が、機関銃とかで武装して、戦車乗り回して警護してもいい。

まだ、ほとんど読んでいないので、トンチンカンなことを書いているかもしれないが、ちゃんと読んだらまた書く。