人の手垢 ― 2014年02月21日 22:56
人の手垢
タイから戻って1日経つと、心は既に日本の情景に馴染んでいる。
周り中が聞き慣れた日本語で話し、毛唐の顔をした連中も見かけず、ロシア語も、フランス語も、ドイツ語も、中国語も、タイ語も聞こえてこない。
ピピ・ドン島のトンサイ村の無国籍な通りを徘徊する雑多な連中、プーケット島はパトンの夜の裏通りの酒場に屯する怪しげなヤツラはここにはいない。
身元の確かな、住宅街の中の、見知ったご近所だけの世界。
しかし、そこには確かな生活があり、そこは地に足の着いた現実の世界だ。
ダイビングや観光地の雑踏とは無縁の、善良なる市民の居住地であり、ロンリー・ダイバーの潜む穴倉的なアパートさえ、小奇麗に修復されている。
気温差は25度以上、飛行機で数時間の移動が、人間の頭の中まで凍らせる環境の変化を可能としている。
しかし、どちらの生活も、真実の生活で、そこには上下や好悪の差はない。
人が作り出す、人間の世界があるだけだ。
昨日、帰ってきてから、エリジウムのDVDを買った。
アマゾンで注文したら、今日の午前中に配達されて、2回も観た。
改めて観て思ったのは、マット・デイモンの演技の確かさだな。
監督の意図を十分に汲み取っている。
社会派的なメッセージはこの際置いておくとして、たった一人の少女のために、自らの命を差し出すという筋立てには、違和感があった。
浮沈子には、その手の自己犠牲というものが未だに理解できない。
ジョディ・フォスター演じる防衛長官が、子供のためにパラダイスの安寧を優先すべきだと論じるくだりもある。
ここも、いささか、腑に落ちない。
2154年になっても、ヒロイズムと子孫の繁栄を尊ぶ風潮は残っているんだろうか。
まあいい。
さて、シド・ミードが絡んでいることもあり、浮沈子的にはブレードランナーの描く、酸性雨降りしきる未来のロス・アンジェルスとの違いに戸惑う。
荒廃した砂漠のイメージは、気候帯を考えれば、むしろ自然なのかもしれないが、安い労働力を調達する場所として描かれるそこは、中東とかそういった地域のイメージだな。
乾ききっていて、潤いのかけらもない。
地上のデザインには、シド・ミードは全く関与していないが、ブレードランナーの描く雑多な世界の方が、浮沈子には馴染む気がする。
逆に、エリジウムという人工環境においては、豪邸の芝の緑が眼に鮮やかで、際立った対称を見せる。
特典映像には、その辺りのロケーション設定の話も出てくる。
ブレードランナーの中では、宇宙船とかそういった映像は一切ない。
地上世界の中で、アンドロイドが語るだけだ。
その宇宙の楽園を、映像で見せてくれたエリジウムというこの映画は、浮沈子の中ではブレードランナーの続きのようにも映る。
宇宙ステーションのデザインの、細部への拘りは、この映画の価値を高めている。
映像として出すからには、徹底的に拘る。
最近の観客は目が肥えていて、下手なCGなんぞを出そうものなら、見向きもされない。
その意味では、ドアの取っ手、スイッチの形状、壁や床のの継ぎ目に至るまで配慮の行き届いたデザインは、悪くない。
しかし、どんなに細部を描いても、そこは人が住み、生活を営む空間にはならない。
生活者の手垢に塗れていないデザインは、空ろなだけだ。
画像は、トンサイの浜に並ぶロングテイルボート。
まあ、手垢に塗れている存在の、最たるものか。
タイから戻って1日経つと、心は既に日本の情景に馴染んでいる。
周り中が聞き慣れた日本語で話し、毛唐の顔をした連中も見かけず、ロシア語も、フランス語も、ドイツ語も、中国語も、タイ語も聞こえてこない。
ピピ・ドン島のトンサイ村の無国籍な通りを徘徊する雑多な連中、プーケット島はパトンの夜の裏通りの酒場に屯する怪しげなヤツラはここにはいない。
身元の確かな、住宅街の中の、見知ったご近所だけの世界。
しかし、そこには確かな生活があり、そこは地に足の着いた現実の世界だ。
ダイビングや観光地の雑踏とは無縁の、善良なる市民の居住地であり、ロンリー・ダイバーの潜む穴倉的なアパートさえ、小奇麗に修復されている。
気温差は25度以上、飛行機で数時間の移動が、人間の頭の中まで凍らせる環境の変化を可能としている。
しかし、どちらの生活も、真実の生活で、そこには上下や好悪の差はない。
人が作り出す、人間の世界があるだけだ。
昨日、帰ってきてから、エリジウムのDVDを買った。
アマゾンで注文したら、今日の午前中に配達されて、2回も観た。
改めて観て思ったのは、マット・デイモンの演技の確かさだな。
監督の意図を十分に汲み取っている。
社会派的なメッセージはこの際置いておくとして、たった一人の少女のために、自らの命を差し出すという筋立てには、違和感があった。
浮沈子には、その手の自己犠牲というものが未だに理解できない。
ジョディ・フォスター演じる防衛長官が、子供のためにパラダイスの安寧を優先すべきだと論じるくだりもある。
ここも、いささか、腑に落ちない。
2154年になっても、ヒロイズムと子孫の繁栄を尊ぶ風潮は残っているんだろうか。
まあいい。
さて、シド・ミードが絡んでいることもあり、浮沈子的にはブレードランナーの描く、酸性雨降りしきる未来のロス・アンジェルスとの違いに戸惑う。
荒廃した砂漠のイメージは、気候帯を考えれば、むしろ自然なのかもしれないが、安い労働力を調達する場所として描かれるそこは、中東とかそういった地域のイメージだな。
乾ききっていて、潤いのかけらもない。
地上のデザインには、シド・ミードは全く関与していないが、ブレードランナーの描く雑多な世界の方が、浮沈子には馴染む気がする。
逆に、エリジウムという人工環境においては、豪邸の芝の緑が眼に鮮やかで、際立った対称を見せる。
特典映像には、その辺りのロケーション設定の話も出てくる。
ブレードランナーの中では、宇宙船とかそういった映像は一切ない。
地上世界の中で、アンドロイドが語るだけだ。
その宇宙の楽園を、映像で見せてくれたエリジウムというこの映画は、浮沈子の中ではブレードランナーの続きのようにも映る。
宇宙ステーションのデザインの、細部への拘りは、この映画の価値を高めている。
映像として出すからには、徹底的に拘る。
最近の観客は目が肥えていて、下手なCGなんぞを出そうものなら、見向きもされない。
その意味では、ドアの取っ手、スイッチの形状、壁や床のの継ぎ目に至るまで配慮の行き届いたデザインは、悪くない。
しかし、どんなに細部を描いても、そこは人が住み、生活を営む空間にはならない。
生活者の手垢に塗れていないデザインは、空ろなだけだ。
画像は、トンサイの浜に並ぶロングテイルボート。
まあ、手垢に塗れている存在の、最たるものか。
火を噴くGT3 ― 2014年02月21日 23:47
火を噴くGT3
ポルシェGT3が火を噴いている。
(ポルシェ 911 GT3 新型、エンジン火災の危険を顧客に通達…全785台を検査へ)
http://response.jp/article/2014/02/21/217738.html
これは、事件だ!。
「新型911 GT3の顧客に対して、車両の使用を止めるよう通達を出した」とある。
「現時点でポルシェは、エンジンからの出火原因について、「エンジンがダメージを負ったため」と説明。今後、エンジンがダメージを負った原因を特定するとしている。」
991型のGT3については、エンジンブロックが空冷タイプから水冷タイプに変更された初めてのモデルである。
(ポルシェ「911 GT3」)
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/impression/20130823_611789.html
高回転高出力型エンジンは、高い耐久性を求められており、ロードバージョンといえども十分過ぎるテストを経ているに違いない。
幸い、怪我人などは出ていないようだが、ポルシェの迅速な対応に期待したい。
GT3については、このブログでも触れた。
(別格GT3)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/10/31/7028203
ノンターボ・ロードモデルの最高峰、ポルシェ乗りの憧れ、上がりのクルマだ。
原因の究明と、対策が待たれる。
ポルシェGT3が火を噴いている。
(ポルシェ 911 GT3 新型、エンジン火災の危険を顧客に通達…全785台を検査へ)
http://response.jp/article/2014/02/21/217738.html
これは、事件だ!。
「新型911 GT3の顧客に対して、車両の使用を止めるよう通達を出した」とある。
「現時点でポルシェは、エンジンからの出火原因について、「エンジンがダメージを負ったため」と説明。今後、エンジンがダメージを負った原因を特定するとしている。」
991型のGT3については、エンジンブロックが空冷タイプから水冷タイプに変更された初めてのモデルである。
(ポルシェ「911 GT3」)
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/impression/20130823_611789.html
高回転高出力型エンジンは、高い耐久性を求められており、ロードバージョンといえども十分過ぎるテストを経ているに違いない。
幸い、怪我人などは出ていないようだが、ポルシェの迅速な対応に期待したい。
GT3については、このブログでも触れた。
(別格GT3)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/10/31/7028203
ノンターボ・ロードモデルの最高峰、ポルシェ乗りの憧れ、上がりのクルマだ。
原因の究明と、対策が待たれる。
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