🐱ポストISS:恐ろしい「G」ワード ― 2023年11月23日 16:43
ポストISS:恐ろしい「G」ワード
(予算削減とステーションの老朽化により、NASA は軌道上のギャップを愛することができるでしょうか?)
https://arstechnica.com/space/2023/11/with-budget-cuts-and-an-aging-station-can-nasa-learn-to-love-a-gap-in-orbit/
「1975 年の最後のアポロ有人飛行の後、米国宇宙機関には、1981 年にスペースシャトルが登場するまで、宇宙飛行士を宇宙に飛ばす能力はありませんでした。」
「2011年にスペースシャトルが引退し、NASAはスペースXのクルードラゴンの代替品を9年近く待たなければならなかったときも同じプロセスを繰り返した。」
「これらのギャップはどちらも、不適切な計画、不十分な資金、楽観的すぎるスケジュールの組み合わせによって引き起こされました。」
民間宇宙ステーションの計画が次々とキャンセルされる中で、米国は地球低軌道上の拠点を失うという深刻な問題と直面している。
「それは良くないことだし、ギャップは望んでいない」(CLDプログラムを監督するNASA本部商業宇宙飛行部門のディレクター、フィル・マカリスター氏:CLD(commercial LEO destinations「商用LEO目的地」))
「個人的には、それが世界の終わりではないと思います。」(同上)
「クルードラゴンとスターライナーを活用して、ギャップの影響を軽減することはできます。」
「必要な研究を完了するために2人乗りの乗組員が最大10日間宇宙に滞在できるように準備することができる」
ははあ、宇宙ステーションの代わりに、ISSタクシーを短期運用の軌道上実験施設に改造しようということか。
もっとも、中国の宇宙ステーションは健在だから、人類が地球低軌道上に留まり続けることは間違いない。
米国が宇宙空間への有人アクセス手段を失っている間も、ロシアはソユーズを維持し続けてきたからな。
ISSへの送り迎えも、ロシアにやってもらっていたわけだし。
何年続くか分からない「ギャップ」の間、中国の宇宙ステーションを利用させてもらうという選択肢があってもいいだろう。
それで、何も不都合なことはあるまい?。
ロシアは、中国と協力して、地球低軌道の活動拠点を維持すると浮沈子は妄想している。
ISSがなくなったらなくなったで、人類には何の不都合もない。
見上げるものはあるからな・・・。
(予算削減とステーションの老朽化により、NASA は軌道上のギャップを愛することができるでしょうか?)
https://arstechnica.com/space/2023/11/with-budget-cuts-and-an-aging-station-can-nasa-learn-to-love-a-gap-in-orbit/
「1975 年の最後のアポロ有人飛行の後、米国宇宙機関には、1981 年にスペースシャトルが登場するまで、宇宙飛行士を宇宙に飛ばす能力はありませんでした。」
「2011年にスペースシャトルが引退し、NASAはスペースXのクルードラゴンの代替品を9年近く待たなければならなかったときも同じプロセスを繰り返した。」
「これらのギャップはどちらも、不適切な計画、不十分な資金、楽観的すぎるスケジュールの組み合わせによって引き起こされました。」
民間宇宙ステーションの計画が次々とキャンセルされる中で、米国は地球低軌道上の拠点を失うという深刻な問題と直面している。
「それは良くないことだし、ギャップは望んでいない」(CLDプログラムを監督するNASA本部商業宇宙飛行部門のディレクター、フィル・マカリスター氏:CLD(commercial LEO destinations「商用LEO目的地」))
「個人的には、それが世界の終わりではないと思います。」(同上)
「クルードラゴンとスターライナーを活用して、ギャップの影響を軽減することはできます。」
「必要な研究を完了するために2人乗りの乗組員が最大10日間宇宙に滞在できるように準備することができる」
ははあ、宇宙ステーションの代わりに、ISSタクシーを短期運用の軌道上実験施設に改造しようということか。
もっとも、中国の宇宙ステーションは健在だから、人類が地球低軌道上に留まり続けることは間違いない。
米国が宇宙空間への有人アクセス手段を失っている間も、ロシアはソユーズを維持し続けてきたからな。
ISSへの送り迎えも、ロシアにやってもらっていたわけだし。
何年続くか分からない「ギャップ」の間、中国の宇宙ステーションを利用させてもらうという選択肢があってもいいだろう。
それで、何も不都合なことはあるまい?。
ロシアは、中国と協力して、地球低軌道の活動拠点を維持すると浮沈子は妄想している。
ISSがなくなったらなくなったで、人類には何の不都合もない。
見上げるものはあるからな・・・。
🐱ウクライナ降伏不可避:ミサイルの備蓄 ― 2023年11月23日 17:08
ウクライナ降伏不可避:ミサイルの備蓄
(地上戦から空中戦へロシア軍が戦術変更、困惑するウクライナ軍)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/78075
「ロシア軍機が1年ほど安全な空域から都市を攻撃している間、ロシア軍の火砲は、ウクライナの精密誘導ロケット弾(砲弾)によって多数破壊されてしまった。」
「だが、ロシア空軍は2023年5月(15か月目)から、地上部隊への近接航空支援を実施するようになり、現在では、前線への空爆を重視するようになった。」
記事の著者の主眼は、火砲が破壊されたので、近接航空支援が再開されたというものだが、うーん、確かにデータは整合しているが、ちょっと不自然な気がしないでもない。
記事は、空対空ミサイルによって、ロシアの爆撃が減少して航空優勢が崩れるとしているんだが、それも単純化されてる気がする(<さらに追加>参照)。
ロシアの防空能力を甘く見ているのではないのかあ?。
まあいい。
F-16の導入効果については、専門家の間でも意見が分かれている。
特に、費用対効果では、アットーテキに砲弾や地雷の方が高いからな。
浮沈子的には、800発以上の備蓄があると言われるロシアのミサイルの攻撃目標が、巷で言われているように、電力インフラなのかという点が気になる。
戦略的なパワープラントを狙うのではなく、戦術的に前線を突破するために使用されるのではないかということなわけだ。
もったいない使い方だが、供給力が安定していれば、そういう使い方で前線突破を図る可能性はある。
歩兵の戦力を守るために砲弾をぶっ放し、その火砲を守るために近接航空支援を行うというセオリーだが、その近接航空支援の代わりに集中的にミサイルを撃ち込めばいいのではないか。
「前線に配備できるのは、短距離防空ミサイルや携帯対空ミサイル、高射機関砲(図2の左側の丸の中の兵器)だけである。前線から敵方に5~10キロ以内だけが、防空できる範囲である。」
ウクライナに、これを防止する手段はない。
「ウクライナ軍の「MiG-29」戦闘機とその空対空ミサイルでは、ロシア軍の「Su-30・34・3」5戦闘機を撃墜できない。」
冬のインフラ攻撃という、ウクライナの風物詩(そうなのかあ?)が定説となっているけど、前線における空爆の強化という手段がひそかに準備されているのかもな(未確認)。
F-16が、期待通りの効果を発揮すれば、現在のようなロシアによる航空優勢の状況は長くは続かなくなる。
今のうちに、バンバン打ち込んで稼いでおかないとな・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(「ウクライナの勝利」を信じなくなった世界、本音は「一刻も早い戦争終結を」)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/78061
「今年、来年に限らず、どれだけ長くなろうともウクライナが必要とする道徳的、外交的、経済的、そして何より軍事的支援を続ける」(外相になったばかりのデービッド・キャロン元首相)
英国の覚悟は素晴らしいと感じた。
「外相として初の外遊先はウクライナと決めていた。ウクライナ国民の強さと決意を称える」
が、なんとなく、政治宣伝に使われている気もする。
「英国から供与された空中発射巡航ミサイル「ストームシャドウ」(射程250キロメートル)はロシア軍の前線支援能力や補給ルートの道路・鉄道橋、クリミアにある黒海艦隊司令部、艦艇に大きな打撃を与えている。」
確かに、米国、ドイツに次いで支援額も多く、ウクライナにとって、なくてはならない存在には違いない。
「この冬、ロシア軍が再びエネルギーインフラを狙ってドローン(無人航空機)攻撃をエスカレートさせてくる恐れが強いため、ゼレンスキー氏は防空システムを強化する必要性を強調」
定番の要請だが、英国がどう応えるかは報じられていない。
「次期大統領選(来年3月に予定されるが、戦争中のため延期される見通し)にザルジニー総司令官が立候補したら強敵になる。」
別記事で、ザルジニーが選挙に立候補するかもと報じられていたが、本人にその気はないようだ。
「反攻開始から5カ月余が過ぎてもウクライナ軍は17キロメートルしか進んでいない。」
ザポリージャ州での最大進軍距離のことだろうが、一次防衛線を突破した後、進軍は停滞している。
「武器も資金も米欧に丸抱え、自国兵士の損傷が積み上がる状況で戦争は続けられない。」
ロシア軍の肉弾突撃と言い、西側丸抱えのウクライナ軍と言い、この戦争は従来の常識が通用しない点が多い。
「狡猾なプーチンは結論を急ぐ必要はない。米大統領選の結果が出るまで、国民に不人気な追加動員を避けながら時間を稼げばいい。その目的を達成するのに地雷やドローンほど安上がりで、効果的な武器はない。」
ふつーなら、そう考えて大人しくしているはずのロシア軍は、現在でも犠牲を厭わず攻撃を続けている。
「世界は安全保障面で米国主導のブロックとより緊密に協力することを好むが、経済面では中国との協力を好む。西側以外の国では、たとえキーウが領土奪還を断念することになっても戦争を一刻も早く終結させたいと願う人が多い」(欧州のシンクタンク、欧州外交問題評議会(ECFR)の報告書)
「いいとこ取りの世界を生きる」(10月11日発行)という報告書の題名は、実に言い得て妙だ。
「ロシア侵攻後、西側は冷戦後の自由主義秩序を守るため世界を動員しようとしたが、甘い期待はあっさり裏切られた。台湾を巡って米中戦争が勃発した場合、ワシントンに味方をする人は欧州でさえほとんどいない。」
浮沈子も同感だな。
その米国の軍隊に、我が国は不沈空母として、台湾有事の際に、全国の空港を提供しようとしている。
まあいい。
ちょっと意外だったのが、欧州自身の問題だな。
「欧州の外ではEUが今後20年以内に崩壊すると考えている人が非常に多い。」
ほほう、そうなのかあ?。
「欧州以外の国々ではEU崩壊の可能性が高いとみる人の73%が「ロシアの勝利」を予想」
ロシアの勝利とEU崩壊というのは、浮沈子の大欧州戦争の妄想とも符合する。
「米国は今後20年以内に民主主義国家でなくなると考える人も」
こっちは、意外ではないけどな(既に、そうじゃないって気もするし)。
「「ウクライナは自由と民主主義の砦」というゼレンスキー氏のナラティブにEU加盟国でさえソッポを向き始めている。」
「西側でも中露でもない第三勢力の本音は「自由と民主主義より安い食料とエネルギー」」
「もはや「ウクライナの勝利」という楽観シナリオは消え去った。」
「膠着状態を維持するためにウクライナを支え続けることができたとしたら、それが米欧にとって最善シナリオ」
木村氏の認識は厳しいな。
しかし、それが世界の現実だ(理想じゃないけど)。
最善のシナリオでなければどうなるか。
弾薬や兵力が不足するウクライナ軍は崩壊し、現在の防衛線は大きく後退する。
人為的に構築した要塞ではなく、自然の障壁(河川や山脈:んなもんはないけど)に頼ることになる。
或いは、ウクライナが自国の力だけでロシア軍を押しとどめることが出来るだけの規模になる。
しかし、戦線の規模の縮小は、ロシア軍にとっても有利な状況を産み出すからな。
兵站は長くなるが、適切な時間を掛けて備蓄を積み上げていくだろう。
その備蓄基地を攻撃するための長射程のミサイルは、もう、供与されないかもしれない。
その後退した前線を維持することが出来るかどうかも分からない。
軍事的に追い詰められていくウクライナは、どこかで決定的な選択を迫られることになる。
それは、西側の支援がなければ、とっくの昔に行われていたに違いない。
浮沈子は、反転攻勢が成功しようがどうしようが、軍事的な帰趨にはあまり関心がない。
ロシアによる軍事侵攻は、褒められた話ではないが、そのロシアに78年間も力による現状変更を食らっているわが国としては、そんなことは世界では常識なのだと理解すべきだ。
ロシアが、最終的にウクライナとどうケリをつけるかは分からない。
プーチン政権が当初描いていたのは、東部南部の4州およびクリミアの完全な編入と、残るウクライナの軍事的中立(もちろん、NATO非加盟)だったが、現在では少し変わっているようだ。
更に西部への進軍を意図し、おそらくはドニエプル川を国境とする方針に変更されている可能性がある。
南部は、黒海沿岸を完全に支配下に収め、ウクライナを内陸国とすることを目論んでいるに違いない。
その上で、自国が関与する安全保障上の枠組みに取り込むか、変則的なNATOの加盟を認めることになる。
第5条の適用除外とかな。
ロシアも、ウクライナ全域の直接統治はムリポだと分かっている。
その上で、ある程度の領土保全を認めて、段階的に取り込んでいくプロセスを追及するだろう。
多民族国家であるロシア連邦は、その辺りの統治のノウハウは豊富だからな。
浮沈子の関心は、局所的な戦闘の推移から、ウクライナの「戦後」の姿へと移っている。
ロシアが何を考え、この戦争の後始末をどうつけるつもりなのか。
(メドヴェージェフ元大統領、遅かれ早かれ西側は停戦をロシアに懇願する)
https://grandfleet.info/russia-related/medvedev-sooner-or-later-the-west-will-beg-russia-for-a-ceasefire/
「この戦争の結末は我々が敵対的な政治体制を破壊するか、西側が最終的にロシアを引き裂くかのどちらか」
メドベージェフの表現はかなり過激だが、その背景にあるのは国民の危機感を煽り、ウクライナとの戦争が、実は西側との対決であり、国家の存続を掛けた不可避な戦いであることを宣伝しようと意図されたものであることが分かる。
いや、分かり過ぎる!。
ブログの管理人は、ロシアが最終的に核兵器をぶっ放して西側を道連れにするのは卑怯だとしているけど、プーチン含めてロシアがそれを本気で考えていることは事実だろう。
米国が、腫れ物を触るようにウクライナ問題を扱っているのもそのためだ。
「この結果は誰も望んでいない。従って唯一の解決策はウクライナを完全に解体して将来の安全を確保すること」
具体な統治方法には触れていないが、ロシアが意図しているところは明白だ。
「我々はテロリスト国家のウクライナが完全に解体されるまで立ち止まることはない。徹底的に破壊して灰すら残さないようにしなければならない。この忌まわしい国が再び立ち上がれないようにするためなら、我々は戦争が何年、何十年かかっても一向に構わない。何故なら我々には選択肢がないからだ」
この発言は8月19日に行われたようだが、今読み返すと、イスラエルの物言いに酷似していることに驚く。
力を背景に現状変更を試みる国家が考えていることは同じだな。
西側の支援に対して、ロシアが考えていることも、分かりやすく表現してくれている。
「連中にとってロシアとウクライナの戦争は見知らぬ人間が死ぬだけの他人の戦争で、この戦いから得られる利益を超えてまで踏み込んで来ない。どれだけサミットや国連で泣き叫んでも、遅かれ早かれ他人の戦争に対する関心は失われる」
「ロシアもウクライナとの消耗戦を単独で戦っている訳ではなく、中国、イラン、北朝鮮などからの支援で戦争に必要な物資を調達しており、肝心の戦費調達もインドへの石油輸出(ロシア人はインドで加工されたロシア産石油製品を欧州が購入しているため戦費を供給しているのは実質的に欧州だと主張している)で賄っているため「遅かれ早かれ他人の戦争に対する関心は失われる」という問題はロシア自身に当てはまる。」(ブログ管理人)
浮沈子は、このブログ管理人の見立てには不同意だがな。
ロシアは、戦費や武器などの支援には、石油やロケット技術など、調達国にきちんと対価を払っている。
「この戦いから得られる利益」の範囲で行動しているのだ。
したがって、「遅かれ早かれ他人の戦争に対する関心は失われるという問題」に直面したとしても、第三次世界大戦の危機とか、自由と民主主義の守護とかいう「妄想」や「でっち上げ」(そうなのかあ?)に頼る必要はない。
まあ、ロシアの場合、第三次世界大戦は、妄想じゃなくてリアルな選択だがな。
ロシアは、向こう100年くらいはウクライナ紛争を継続できる仕掛けを作っている。
長期的なスキームで見た場合、どう考えてもウクライナに勝ち目などない。
もちろん、短期的にウクライナが優勢になる可能性はある。
西側の結束が崩れず、ガザ紛争が早期に決着し、世界の関心が再びウクライナに戻り、弾薬の供給が軌道に乗り、エイタクムスやF-16の供与やM1エイブラムスなど、最新兵器が所期の効果を発揮して、再び反転攻勢に転じることがあるかも知れない。
アウディーイウカを守り切り、バフムトを取り返し、ドニエプル川東岸やザポリージャ州での進撃が進み、支配地域を分断してヘルソン州やクリミアを孤立させることだって、夢ではないかもしれない。
黒海の制海権を確立し、穀物輸出の回復も出来るだろう。
万々歳だ・・・。
だが、ロシアは決して諦めない。
「ロシアにとってウクライナとの戦争は同胞が犠牲になった悲劇であり、これは身近な対立で、自存自衛のための戦争だ。」
西側の支援に頼らなければならないウクライナは、戦闘の強度を自由に上げることができない。
それでなくても、兵員不足に悩まされている。
短期的にはロシアも同じだが、その部分では3倍以上の人口という絶対的アドバンテージがある。
豊富な天然資源や航空宇宙技術という、商品も取り揃えてある。
「自存自衛のための戦争」を続ける資源は十分だ。
国内生産力も、戦闘国家として存立していくために、既に強化されている。
西側は、ウクライナに支援するより前に、自国の防衛を考えざるを得なくなるだろう。
広範囲で長期のスキームの影響が、局所的で短期のスキームにダイレクトに及んでいる。
西側は、一気にリソースをつぎ込んで、ロシアを交渉の場に引きずり出すことを意図したんだろうが、今年の反転攻勢に失敗したことにより、その目論見は潰えた。
来年以降、同じような試みが続く可能性もあるが、おそらく同じような結果に終わる。
ロシアは、戦闘国家としての態勢を整え、既に時間を味方につけている。
戦闘が長引けば長引くほど、西側の利益は縮小し、ウクライナの兵力は損耗していく。
ヤバいな・・・。
ヤバ過ぎ!。
まあ、どうでもいいんですが。
浮沈子は正義派じゃない。
ウクライナの統治がどうなろうと、知ったことではない。
が、世界を巻き込んで大迷惑を掛けた戦争の行方は気になる。
それを見届けることが出来るかどうかは分からない。
ロシアは意図的に長期戦に持ち込んで、西側支援の疲弊を狙っているからな。
これは、プーチンの戦争として始まったが、プーチンの存命中に終わる保証はないのだ。
一時的な戦闘休止(停戦ではない!)くらいはあるかも知れない。
捕虜交換は、これまでも行われている。
ロシアによる段階的な支配のプロセスの中で、領土を分断されたままでの休戦だって、可能性はある。
朝鮮半島は、半世紀以上その状態を維持しているし、中国だって(北京は国内問題だというけど)台湾という分断を抱えている。
100年後、世界はウクライナ紛争の結末を確認することになるだろう。
それまでにロシアがブチ切れて、ありったけの核兵器をぶっ放すことがなければな・・・。
<さらに追加>ーーーーーーーーーー
「F-16戦闘機投入の効果」(ブログ本文初出の引用より)
「ウクライナの防空網の外から実施するロシア軍機の前線爆撃を阻止できるのは、長射程空対空ミサイルを装備するF-16だけ」
「そうなると、ロシア軍機は、対地ミサイルを発射できる位置まで進出して来なくなる。」
浮沈子は、良く知らないんだが、ロシア側には長射程の空対空ミサイルってないのか。
或いは、ロシアの防空網にはF-16に対抗する地対空ミサイルはないのかということになる。
また、戦闘機の投入にあたって、エーワックス(早期警戒管制機)の展開がなくて大丈夫なのかという不安もある。
(早期警戒管制機)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A9%E6%9C%9F%E8%AD%A6%E6%88%92%E7%AE%A1%E5%88%B6%E6%A9%9F
「高高度にレーダーを配置することによるレーダー水平線の増大・探知距離の拡大や必要地域へ移動し警戒を行なうことができるなどの利点」
「空中にあって航空作戦の要となる早期警戒管制機は、軍事的な高価値目標であるため、長射程空対空ミサイル(AAM)の標的にされることが想定される。」
まあ、それ自体が標的になっちまうけどな。
F-16の導入効果に対する疑問は多い。
(F-16がロシアとの戦争で果たす役割、決定的なものではなく大きな変化はない)
https://grandfleet.info/european-region/the-role-that-the-f-16-will-play-in-the-war-with-russia-is-not-decisive-and-there-will-be-no-major-changes/
「ウクライナが戦闘機を受け取っても戦争の流れを変えることはできない。現在最も優先されるべきは遠距離の目標を攻撃できるミサイルだ」(エストニアのペヴクル国防相)
「F-16は戦場に決定的な違いをもたらさない」(米空軍関係者や西側諸国のアナリスト達)
「地上ベースの防空システムや砲兵装備が提供する能力と然程違いがない」(同上)
「支援資金には上限があるため防空システムや砲兵装備の提供に資金を集中させた方がいい」(同上)
「来年引き渡し予定のF-16はあまり役に立たないだろう。今後戦場に違いをもたらすのは電子戦、FPVドローン、地雷除去装置、対砲兵レーダー、敵砲兵装備を探知する技術だ」(ウクライナ軍のザルジニー総司令官)
運用を維持するための資金的リスクも懸念されている。
「F-16がウクライナの手に渡れば維持するための支援は止められなくなる。F-16の飛行状態を保つにはスペアパーツが必要だ」(国防総省で兵器調達の責任者を務めるビル・ラプランテ氏)
「ウクライナに提供するものが何であれ、我々やパートナーは必ず90日分のスペアパーツを一緒に送る必要がある。これは経験から導き出された鉄則で運用・維持に関する問題は忘れられやすい。スペアパーツが不足すればF-16は数ヶ月以内に運用停止になるだろう。もしF-16提供国がスペアパーツを提供できないなら、我々がスペアパーツを探して提供しなければならない」(同上)
「ウクライナの空を保護し、ロシアの航空支配を阻止する『最も安価で効率的な方法』は地上配備型の防空システムだ。ウクライナにF-16を10機提供するには10億ドル、この10機を維持するのに10億ドル、つまり10機の戦闘機提供にかかるコストは20億ドルだ」(マークミリー前米統合参謀本部議長)
「オランダとデンマークはF-16を42機提供するらしいので「西側諸国の負担額」は80億ドル以上も増える計算」
これは、ウクライナにとっては、その他の支援が減額されることを意味する。
それに値する効果を発揮できなければ、むしろ有害だ。
ウクライナは、これらの批判に反論している。
「私はF-16に懐疑的な批判者に反論したい。F-16は戦争の流れを変えることができロシア軍に深刻な影響をもたらすだろう。F-16はロシア軍の戦闘機を撃退して地上部隊を空から援護でき、ミサイルやドローンによる空からの攻撃も防ぐことができるため『戦争の行方』に大きな影響を及ぼすと信じている」(ウクライナ空軍のイグナト報道官)
F-16を近接航空支援に使うというのは、ちっとムリポな気もするけどな。
まあ、マルチユースな機体だから、運用次第だろう。
この点に関するブログ管理人の以下の評価が妥当かどうかは、浮沈子には判断できない。
「結局、この戦争が膠着状態に陥っているのは「砲兵部隊の火力が戦場認識の拡張が結びついて地上部隊の機動スペースを戦場から奪っている」という点」
「これを空からのアプローチで解決するならロシア軍の接近拒否=高度な防空システムを無効化しなければならず、これを実行できる航空戦力と能力を備えているのは米空軍だけ」
つまり、F-16を投入しても、「膠着状態」は解消されず、「戦争の流れ」を変えることはできないということなわけだ。
「『戦争の行方』に大きな影響を及ぼすとすれば、そのために削減される80億ドルのために、ウクライナの戦闘能力が減少し、ロシアに有利な状況を産み出しかねないということになる(そうなのかあ?)。
が、まあ、戦争は戦ってみなければ分からない。
それは確かだ。
バイデン政権がウクライナへの戦闘機の供与を躊躇ったのは、彼らがそれでロシア本土を空襲し、過剰に反応したロシアがNATOとの戦端を開くことを懸念したからだ。
そうならない保証はどこにもない。
エイタクムスだって、未だに公式に供与を認めているわけではないからな。
ロシアに本気で戦争させないように、気を使いながら支援している。
パイロットの訓練に関する記事も上がっている。
(ウクライナ軍パイロット、F16戦闘機の訓練進む)
https://www.cnn.co.jp/world/35211863.html
「かつて旧ソ連製の戦闘機「ミグ29」の飛行中隊を指揮していた「ムーンフィッシュ」というコールサインを持つウクライナ軍パイロット」
「戦闘機の訓練兵を選抜する上で、主な基準は英語が堪能(たんのう)であること、それに経験と年齢」
即戦力であることが必要だからな。
「機体は航空電子工学の点で進んでいるが、操縦やインターフェースの点では極めてシンプル」
「一番の任務はロシアのドローン(無人機)やミサイル攻撃の撃退になるだろう」
来春以降、実戦投入されて、戦況を大きく変えることが出来れば、ウクライナにとっては嬉しい事態だ。
ロシアは、それを黙って見ているだろうか・・・。
(ロシア空軍が「虎の子」航空機を投入か リスクを顧みずに“F-16対策”急ぐ?)
https://trafficnews.jp/post/129433
「ロシア軍が早期警戒管制機と地対空ミサイルの統合を急ぐ理由として、ウクライナ軍が配備予定のF-16戦闘機に対する懸念をあげています。」(イギリス国防省)
「早期警戒管制機はウクライナ軍の高価値目標となります。ただロシア軍は、これまでより戦線に近づけて飛ばすリスクを受け入れる可能性がある」
ノーリスクノーリターンな戦場というわけだ・・・。
(米国防長官、F-16はロシアとの戦争においてゲームチェンジャーではない)
https://grandfleet.info/us-related/us-secretary-of-defense-says-f-16-is-not-a-game-changer-in-war-with-russia/
「F-16であろうが、HIMARSであろうが、他の何であろうが、戦場で適切な効果を生み出すためには能力を活用し、統合し、同期させることが重要だ」
オースティンは、効果がないと言っているわけではないことに注意だな。
能力を活用し、統合し、同期させれば、戦場で適切な効果を生み出すと言っているわけだ。
特効薬ではないが、米国も期待している・・・。
<さらにさらに追加>ーーーーーーーーーー
(ロシア軍、ウクライナ東部アブデーフカに激しい攻撃 南部砲撃で4人死亡)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/PWCVFT25NBPMDEWDODR5XMHDAQ-2023-11-23/
「ヘルソン州のベリスラフがロシア軍の砲撃を受け、自転車に乗っていた男性が死亡した。」(ウクライナ地方検察庁と大統領府)
砲撃であるという点に注目だろうな。
「ウクライナ軍は昨年11月にヘルソン州の州都ヘルソンを奪還。ロシア軍は以降、ドニエプル川の対岸からヘルソンに対する攻撃を行っている。」
ベリスラフは、ウクライナが渡河作戦で確保したとするクリンキ村の対岸に当たる。
そこへの「砲撃」が続いているということは、つまり、渡河作戦の目的が達成されていないだけではなく、確保された拠点が相変わらず砲撃の射程範囲内にあることを意味している。
いわゆる「橋頭保」になっていないわけだ。
まあ、逆に言えば、反撃を受けつつ、拠点を維持し続けているともいえるけどな。
「ロシア軍が同市への攻撃を激化させ、1日当たりの空爆が8─18回、多いときは30回に上っている」(アブデーフカの軍当局トップ、ビタリー・バラバシュ氏)
ロシア軍は、本気で取りに来ているんだろう。
「防衛線が1カ月半も持ちこたえていることに満足している。ロシア側が何を言おうとも、防衛線は突破されていない」
満足している場合かよ!?。
「反転攻勢」しなけりゃいけない時節に、何を寝ぼけたことを自慢しているのか。
膠着状態を曝け出しているだけじゃん・・・。
「東部ハリコフ州クピャンスク近郊でロシアが進軍を狙っている」(ロシア当局者ら)
「クピャンスクはロシアが昨年2月にウクライナ侵攻を開始した直後に掌握したが、ウクライナ軍が約1年前に奪還している。」
おいおい、「反転攻勢」してるのは、ロシア軍の方じゃん!?。
やれやれ・・・。
クピャンスクは、以前から攻撃を受けている。
(ロシア、クピャンスク一帯に兵士10万人余を集結 ウクライナ軍報道官:2023.07.18)
https://www.cnn.co.jp/world/35206650.html
「ロシアは絶えず戦闘要員を入れ替え、何よりも我々の攻勢を阻止するため、空挺部隊を送り込んでいる」
この地域の奪還に向けても、ロシア軍は当初から本気で取り組んでいる。
(ウクライナ、北東部37町村の民間人に避難命令 ロシアが攻撃強化:2023年8月11日)
https://www.bbc.com/japanese/66470239
「ハルキウ州クピャンスク地区の当局は、「ロシアの砲撃が絶え間なく続く」ため対応が必要」
「クピャンスク地区当局は声明で、地区内の2つの町と35の村の住民を避難させている」
「クピャンスクの住民に避難命令が出るのは、今年3月以来。」
「クピャンスクは交通と輸送の重要拠点」
「昨年2月24日の開戦から間もなく、ロシアが制圧したが、昨年9月にウクライナが反攻を重ねて奪還した。」
(ゼレンスキー氏、防空体制の強化訴え クピャンスクへの攻撃受け:2023.10.06)
https://www.cnn.co.jp/world/35209962.html
「北東部ハルキウ州クピャンスクの村へのロシア軍の攻撃で少なくとも51人が死亡」
「ロシアは連日のようにハルキウ州を攻撃」
(ウクライナ政府、東部クピャンスク周辺の民間人に避難指示 ロシア軍猛攻(字幕・10日):2023年11月10日)
https://jp.reuters.com/video/watch/idOWjpvC9U6DRLUWQT3FDRGEFPL0Z5FIM
「ウクライナ東部クピャンスクではロシア軍による攻撃が激しさを増しており、政府は11月8日、周辺地域の一部から民間人を避難させるよう指示した。」
「クピャンスクは軍需物資の重要な物流と鉄道の拠点。ロシア軍はこの町を包囲・奪還しようとしており、東部戦線の最大の激戦地の1つとなっている」
(クプヤンシク)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%97%E3%83%A4%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%82%AF
「2022年2月27日からロシア軍によって占領されていた」
「ドンバス地域侵攻の拠点であったイジュームへの物資が鉄道や道路で集まるクプヤンシクに対して、ウクライナ軍は9月初旬の反転攻勢で進撃し、オスコル川の橋を破壊してクプヤンシク市街を孤立させた。9月10日、ウクライナ軍が市議会を奪還。」
今年の3月までは、ロシア軍の奪還の動きはなかったようだ。
7月辺りから攻撃を始め、8月に地方当局による一部避難指示、10月に攻撃が激化し、11月に入って周辺地区の避難についてウクライナ政府の指示が出ていたわけだ。
この地域で、ロシア軍の攻撃がエスカレートしている様子がうかがわれる。
交通の要衝であることを考えると、ここを奪還して「以上終わり」ではないだろう。
注意すべきは、ハルキウ州は、ロシアが併合した地域ではないという点だろうな。
ロシアが、併合4州とクリミアで手打ちにする気がないことの何よりの証拠だ。
ドニエプル川東岸は、北東部と言えども危ない。
キエフが脅かされるリスクだって消えていない(キエフはドニエプル川沿いにあります)。
(キーウ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%82%A6
「市街はドニエプル川の中流右岸の高台に発達している。」
ウクライナ側も、東部からキエフにかけては縦深防御態勢を敷いていると思うが、敵を甘く見るのは危険だ。
(縦深防御:軍事的な意味での縦深防御)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B8%A6%E6%B7%B1%E9%98%B2%E5%BE%A1#%E8%BB%8D%E4%BA%8B%E7%9A%84%E3%81%AA%E6%84%8F%E5%91%B3%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%B8%A6%E6%B7%B1%E9%98%B2%E5%BE%A1
「縦深防御の不利な点として、攻撃側に占領地を与える計画であるため、防御側にとっては受け入れにくいものである、という点がある。」
「これは、重要な軍事的・経済的な拠点が前線の近くにあったり、政治的・文化的な理由から敵に領土を譲ることが受け入れられないという場合もある。」
少なくとも、東部戦線で「反転攻勢しているのはロシア軍」の方で、ウクライナ軍は完全に防御にまわり、防衛線を突破されていないことで「満足」している。
アウディーイウカは、コークス工場を要塞化した防御態勢を取っているが、北側については開けた平地があることから、縦深防御になっていないと言われている。
(ウクライナメディア、アウディーイウカの危機は第2防衛ラインの欠如が原因)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/ukrainian-media-says-avdiivka-crisis-is-due-to-lack-of-second-line-of-defense/
「問題はロシア軍がアウディーイウカで前進できた理由だ。この成功は兵士の数的優位や装備の優位性だけでなくウクライナ軍が『第2防衛ラインを用意していなかったこと』が大きく関係している」
「10月中旬に増援として派遣された第47機械化旅団の兵士は『大砲から身を隠すための塹壕が用意されておらず自らシャベルで掘るしかない。」
この記事は、ロシア軍の占領地に対するこだわりの例として以前にも引用している。
キエフへの進軍が行われた場合、防ぎきれるかが問題だな。
まあ、どうでもいいんですが。
東部戦線の状況は、比較的多く報じられているけど、南部の渡河作戦は情報が少ない。
ウクライナ側もロシア側も、大本営発表は勇ましい限りだが、基本的にウクライナ側にとって困難な状況にあることは変わっていないようだからな。
そんな中、今日の航空万能論では、オランダの話が出ている。
F-16の供給国の一つだから、この稿で取り上げる。
(ウクライナ支援停止を主張するオランダの自由党、総選挙で第1党を確保)
https://grandfleet.info/european-region/dutch-freedom-party-which-calls-for-suspension-of-aid-to-ukraine-secures-the-largest-party-position-in-general-election/
「オランダの総選挙で極右政治家のウィルダース氏が率いる自由党(PVV)が第1党になる見通しで、PVVは反移民・反EUを掲げ「ウクライナ支援もやめる」と公言」
「移民に対する厳格な制限」
「全面的な難民の受け入れ停止」
「EU拡大=新規加盟国の受け入れに反対」
「究極的にはEU離脱を希望」
「自国の安全保障に武器が必要なためウクライナ支援の停止」
EUやウクライナにとっては、厄介な結果だが、影響については何とも言えない。
「PVVは35議席~37議席(定数150議席)しか獲得できておらず、他の主要政党はPVVの政策に反対しているため連立政権を樹立できるかは不透明だ。」
「但し、どんな政権が誕生しても「最も多くの有権者から支持を集めたPVV」を政治的に無視するのは不可能で、最悪の場合「オランダからウクライナへの軍事支援」に影響を与えるかもしれない。」
「「ウクライナに対する2024年向けの軍事援助22億ドル」や「ウクライナに提供を約束したF-16」が影響を受ける可能性」
やれやれ・・・。
「F-16提供に反対という立場はPVVの綱領に含まれているが、今後誕生する連立政権にPVVの綱領が反映されるかは未知数なので現時点では何とも言えない。しかし連立政権に引き継がれれば大きな問題になるだろう」(ウクライナメディア)
西側の支援は、自国の利益に結び付く限りに留まるとするロシアの見立て通りな状況が次々に生まれている。
ウクライナは、投資に見合う戦果を挙げられていない。
欧州ネタのついでだから、チェコの話も取り上げておこう。
(チェコ大統領、反攻作戦は期待外れで支援国も戦争疲れを感じている)
https://grandfleet.info/european-region/czech-presidents-counter-offensive-strategy-is-disappointing-and-supporting-countries-are-feeling-war-fatigue/
「ウクライナ軍は戦場での優位性を示しておらず、来年には(ロシアとの)交渉が始まるかもしれない」(チェコのパベル大統領:11月上旬)
「反攻作戦の結果は期待していたようなものではなかった。当事国だけでなく全ての支援国も戦争に対する疲労を感じている」(同上:11月21日)
春先には、不気味な発言もしている。
「数ヶ月以内にウクライナ軍の反攻が必ず行われるが、これが失敗すれば次回の反攻に必要な資金や物資を得ることは困難になる」(同上:3月)
まあいい。
これは、もう、欧州の空気のようなもんだな(前のめりのドイツを除く?)。
「敵が意図的に戦いを長引かせようとしているのは明白で、プーチンは武器支援の意欲を揺るがしかねない米大統領選の結果を待っているのかもしれない。どちらにしても戦いの長期化は動員能力の差でロシア有利に働き、時間をかけることで不足している物資を補充することもできる。現在の状況が良くないことは明白だが、我々にとってもウクライナ支援を継続する以外に選択肢がない。西側諸国はウクライナ自身が次の行動を決めるまでそうしなければならない」(同上:11月上旬?)
来年の反転攻勢をかけるための資金や物資が得られないという話が本当なら由々しき事態だが、欧州にその選択肢はない。
だが、「十分な」資金や物資が得られるかどうかは別の話だ。
「反攻作戦はウクライナ自身が期待していたように進んでいない。作戦に必要な武器供給は滞っていてウクライナが成功するレベルに達していない。反攻作戦で疲弊しているウクライナ軍兵士も西側諸国の支援にますます幻滅し、自分達が切り捨てられるのではないかと感じている」(同上:プラハで開催されたチェコ軍司令部会議:時期不明:以下同じ)
「現状は困難な冬を乗り切り、戦いから教訓を学び、軍事生産を倍増させ、戦時生産計画を強化し、西側諸国がウクライナに供給するのと同等か、それ以上の装備・弾薬を供給できる相手(ロシア)に成功を収めるのに良いスタートラインではない。」
「当事国だけでなく全ての支援国(恐らく欧州のこと)も戦争に対する疲労を感じており、これは交渉による戦争終結への圧力増大に繋がるだろう。」
「もし交渉が実現するなら当然のことながら戦争終結の形は戦場の状況に基づいたものになる」
「交渉による戦争終結=現状の前線位置での停戦」
浮沈子は、ロシアはそれでは停戦に応じられないと思うんだがな。
メドベージェフほどドラスティックでないとしても、最低でも併合4州とクリミアの完全譲渡、NATOへの非加盟表明、莫大な賠償とロシアの戦争責任追及の放棄くらいは差し出さないとな。
なんなら、ゼレンスキーの首を添えて出すしかないだろう(んなもん、いらないって言うかも)。
ロシアは、現在西側諸国を相手にして、国家の存立を掛けた戦争を戦っていることになっているらしい(未確認)。
もう、ウクライナだけの話じゃなくなっている。
巻き込まれているイラン、北朝鮮、中国、インドは元より、グローバルサウスも味方につけて、盤石の構えだ。
追い詰められれば、虎の子の数千発の核弾頭が火を噴いて、世界を破滅に追いやることになる。
手が付けられない・・・。
まだ、ソ連の方が良かったかもしれないな・・・。
<また追加>ーーーーーーーーーー
(ゼレンスキー大統領、アウディーイウカでロシア軍を破壊すれば流れが変わる)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/president-zelenskiy-says-destroying-russian-forces-with-audi-ivka-will-change-the-tide/
「アウディーイウカ近郊でロシア軍が破壊されればされるほど戦争全体の流れが敵にとって悪くなる」(ゼレンスキー大統領)
敵軍を疲弊させれば戦いが有利になるという、まあ、常識的に考えれば妥当な見通しだが、相手がロシア軍の場合、その常識が通用しないというのは、この戦いの中でウクライナがいやという程経験している話だ。
「敵は7,000人~8,000人が負傷し、最低でも3,000人~4,000人は死亡した。この地域の損害はヴーレダーやバフムートの損害を上回っている。装備損失の数については様々な数字があり、200以上の装備を失ったという報告もあれば、400以上の装備を失ったという報告もある。私は後者の可能性が高いと思っている」(アウディーイウカ軍政当局のバラバシュ長官)
敵の損失を過大に見積もる過ちと、損失を与えることを「戦果」として評価するという、同じような過ちを前線で行っている。
「両者とも「ロシア軍に損失を与え続ければ何れ流れが変わる=損失に耐えきれなくなり攻勢が止まるという意味」と示唆したものの、これまで戦場で起こったことを加味するとウクライナ側の主張を鵜呑みにするのは難しい。」
ブログ管理人の印象には、浮沈子も同感だな。
この点については、ザルジニーが既に指摘している。
「ロシア軍を消耗させればプーチンを止められるという思い込みは間違いだった。ロシアは少なくとも15万人もの戦死者を出し、これほどの犠牲者が出れば一般的な国は戦争を止めていただろう。しかしプーチンが想定している(消耗戦の規模)は数千万人を失った世界大戦レベルだった」
メドベージェフが8月に表明している通り、ロシアには本当に選択肢がないのかもしれない。
西側に国家を引き裂かれる恐怖の中で、数千万人の犠牲を覚悟しているとしたら、また、100年に渡る戦争を計画しているとしたら、アウディーイウカで数万人の犠牲者を出すことなど、戦況にはこれっぽっちも影響はないだろう。
ウクライナはもちろん、西側は根本的に重大な勘違いをしているのだ。
「西側基準ではなくロシア基準で「攻勢を維持できなくなる損害(これがどの程度なのは不明)」を与えないと前進を止めることは難しく、もしバフムート並の損失をロシア軍が覚悟(許容)しているなら「大きな損害を与えたのに拠点を失ってしまった」という残念な結果が繰り返されるだけだろう。」
ブログ管理人の見立ては、おそらく正しい。
「セベロドネツク、リシチャンシク、ポパスナ、ソレダル、バフムートでも「ロシア軍は莫大な損失を被っている」と主張して結局は押し切られている。」
戦闘におけるロシア軍の「言語」を理解しなければ、この戦いに勝つことはできない。
以前にも引用したんだが、このことはザルジニーが端的に表現している。
(ザルジニー総司令官が反攻作戦の評価に言及、私が間違っていた:2023.11.2)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/general-zarzini-commented-on-the-evaluation-of-the-counteroffensive-operation-but-i-was-wrong/
「正直に言おう。ロシアは封建的な国家で最も安い資源は人間の命だ。逆に我々にとって最も高価なのは国民の命だ。」
浮沈子は、ウクライナの兵員不足を指摘する際にこの引用を行ったが、問題の根は深い。
そりゃあ、ロシアだって、無尽蔵に人的資源があるわけではないだろうから、用兵については計画的に行っているだろう。
しかし、その規模や運用思想は西側のそれとは異なる。
敵に10倍の損害を与えたと言えば、大手柄と考える西側に対し、10万人の犠牲を払って1km領土を拡張したと言えば、大勝利と大喜びするお国柄なわけだ(そうなのかあ?)。
ロシアに領土的野心がないというのは、プーチンも公言しているし、メドベージェフも「敵対的な政治体制を破壊」するとしているだけで、ウクライナ全域の直接支配は主張していない。
安全保障上の担保が得られれば、ロシアはそれでいいのだ(たぶん)。
だからこそ、逆にNATOそのものが標的になりかねない。
大西洋を見渡す丘の上にロシア国旗が翻るまで、進軍は止まらないだろう。
まあ、どうでもいいんですが。
肝心な点は、戦力の消耗は、ロシアの戦意を挫くことには繋がらないということだ。
ゼレンスキーは、以前、ロシアが理解できる言語は戦闘しかないと喝破した。
それは、実に正しい評価だったと思うけれど、1点過ちがあったということだな。
戦闘で撃破しなければ、攻撃側の意思は伝わらない。
防衛線を維持するとか、敵に多大な損害を与えたなどという言語では、一切通じないわけだ。
浮沈子は、CIAのバーンズ長官が、ウクライナに対するプーチンのこだわりを過小評価してはならないと言っていたことを思い出す。
(ウクライナでの戦争がプーチン氏の指導力を腐食、CIAに絶好の機会=米CIA長官)
https://www.bbc.com/japanese/66079026
「これまでの経験から学んだことだとして、ウクライナ支配を目指すプーチン氏のこだわりを、低く見積もるのは絶対に間違いだ」
「ウクライナなくしてロシアは大国になれないし、自分自身も偉大な指導者になれないと、プーチン氏はそう信じているのだ」
米国は、そのことを、よーく理解している。
欧州は、たぶん、分かっていない気がするな。
ゼレンスキーは、いやでも分かるだろうけど、大っぴらにそうとは言えない。
国外からは武器弾薬を、国内では兵士を調達しなければならない立場だ。
いくら支援や兵士をつぎ込んでも、勝利できなければ何にもならないとは、口が裂けても言えないだろう。
ザルジニーは、言っちゃったけどな。
まあいい。
欧州は、戦場で勝てないウクライナから、ロシア側の戦力消耗という「利益」を引き出そうとしているんだろうが、それは欧州の利益にならないのではないかという潜在的な不安を抱えている。
ウクライナでの長期戦を、甚大な損害を乗り越えて戦い続ける能力を備えさせることが、将来的な欧州のデメリットにつながる恐れがあるということなわけだ。
じゃあ、どーすればいいのか。
早々にウクライナを切り捨てて、ロシアとよりを戻し、緊張緩和して軍備の負担を増大させず、経済的には安い天然ガスで潤うのが正解ということになるが、いまさら手のひらを反すわけにもいかないだろう。
少なくとも、ある程度の時間を掛けて、落としどころを探ることになる。
前のめりのドイツから、ウクライナ支援反対のハンガリーまで、欧州内の温度差も激しいしな。
確認しておこう。
ロシアは、戦力の疲弊では怯まない。
少なくとも、その基準は西側のそれとは異なる。
それを理解しないで、敵の戦力の疲弊を「戦果」とするのは誤りだ。
(ロシア、要衝に大部隊投入 歩兵重視に転換か―ウクライナ東部)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023112400575&g=int
「アウディイウカ周辺に大規模な部隊を投入している。」
「ロシアはこれまでにアウディイウカを巡る戦闘で多くの兵員や装備を失ったが、同地を奪取する計画を諦めていない。」
「ロシアは恒常的に攻撃を仕掛け、われわれの防衛線を疲弊させようとしている」(ウクライナ軍の大隊幹部)
「アウディイウカを奪取する機会を狙っている」(同上)
「(ウクライナ軍は)半分包囲されている」(同上)
「同地を守り抜く十分な部隊を有している」(同上:強調!)
だからあ、防衛線を守ってるだけじゃ、ロシアには通じないって言ってんじゃん!?。
アウディーイウカが抜かれるのは時間の問題だろう。
戦力の主体を歩兵に切り替えてきたということは、現地の気象条件の変化が影響している可能性がある。
冬が来たのだ・・・。
キエフでは、初雪が舞ったという話も出ている。
ザポリージャ州での進軍が止まり、ヘルソン州でのドニエプル川渡河作戦の進展も危うい状況の中で、東部戦線で「後退」などというザマを晒すことになれば、戦場で勝てないウクライナの評価は定着する。
戦場での勝利だけが、ロシアに通じる言語だからな。
もっとも、その返答は、100万発の砲弾と「肉の嵐」だがな・・・。
<もっともっと追加>ーーーーーーーーーー
(欧州理事会のミシェル議長、ウクライナ軍の反攻作戦が失敗したと思ってない)
https://grandfleet.info/european-region/european-council-president-michel-says-the-ukrainian-militarys-counteroffensive-operation-has-not-failed/
「インタビュー記事に掲載されたKyiv Independent紙の質問とミシェル議長の回答を主要部分のみを要約」
一問一答を、さらに要約する(テキトーです!)。
・EU加盟交渉を開始するのを阻害している主な原因:
欧州理事会が全会一致で承認しなければならないから
・ハンガリーをどの様に説得するのか:
説得の具体的な見込みはない。
・EUは戦争に適応できていないのか:
できているとは言えない(そうなのかあ?)。
・ウクライナは2024年に選挙を行なうべきか:
ウクライナに聞いてくれ!。
・選挙なしでも同様の信頼を得られるか:
欧州では相変わらず人気がある(ホントかあ?)。
・反攻作戦は失敗したと思うか:
失敗したとは思っていない。
・米国の選挙の影響は:
非常に大きく、欧州の運命を左右しかねない(そういうことかあ?)。
・トランプ前大統領の勝利に備えているのか:
想定の範囲外(そんなあ!)。
・グローバル・サウスの説得に失敗したのか:
ロシアが問題を起こしていると説明した以外の成果はない。
インタビューは、百戦錬磨の外交官らしい受け答えに終始している(ポイントをずらすテクニックはさすがだ!)。
ブログ管理人は、反攻作戦の成否の部分に拘っているが、失敗を成功と言いくるめるテクニックに感銘を受ける。
つーか、その言い訳を作るために、クリミア攻撃とか渡河作戦やったようなもんだからな。
点と線の戦果だ。
面じゃない(0.3パーセントだそうです)。
まあいい。
浮沈子は、ウクライナの選挙(を先送りしたこと)に対して、決して肯定的な評価をしていない点に注目した。
つまり、統治の正当性に疑問符が付いたわけだ。
兵役逃れやそれに関する汚職、兵器の横流しや支援金の横領など、支援先としてあるまじき実態が報じられる中、それはウクライナの問題だと突き放している。
欧州の認識に、危機感は感じられない。
「連中にとってロシアとウクライナの戦争は見知らぬ人間が死ぬだけの他人の戦争で、この戦いから得られる利益を超えてまで踏み込んで来ない。どれだけサミットや国連で泣き叫んでも、遅かれ早かれ他人の戦争に対する関心は失われる」(再掲)
メドベージェフの指摘の通りだな。
「平和と安全のための戦略的投資である」(ミシェル議長)
その深淵な理想を、薄汚れた政権(そうなのかあ?)に託すことを、どのように自国民に説得しようというのか。
「米国でもEUでも選挙があるのは事実で、我々にとって欧米の市民に事態の深刻さを理解してもらうことが最大の義務と言える。」(同上)
統治者としての義務を放棄して、国民を戦地に駆り立てているウクライナ政権を、支援国が選挙の洗礼を乗り越えて支え続けようという構図なわけだ。
やれやれ・・・。
大いに支援し、成果を上げてもらいたいもんだが、インタビューの回答は既に空文化している気がする。
「我々が支援を行い世界秩序を確実に守り抜くことができれば世界より平和になるはずだ。」
まあ、どうでもいいんですが。
いずれ、欧州はウクライナから手を引くことになる。
大っぴらに、明日からゼロにするということはない。
もう少し、もっともらしい形をとるだろうが、結果は同じだ。
ウクライナ降伏不可避。
浮沈子の見立ては変わらない。
欧州にとって、ウクライナは所詮他人なのだ。
「見知らぬ人間が死ぬだけの他人の戦争・・・」。
もっともらしい言い訳で彩られた欧州委員会議長の受け答えを読むと、なおさらその感を強くする。
それは、2度の世界大戦で蹂躙された欧州のしたたかさでもある。
その後も、コソボ紛争で血を流しているしな。
ロシアは、それを見切っている。
「世界秩序」は守られるだろう。
その「世界」の中に、ウクライナが入っていないだけの話だ・・・。
(地上戦から空中戦へロシア軍が戦術変更、困惑するウクライナ軍)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/78075
「ロシア軍機が1年ほど安全な空域から都市を攻撃している間、ロシア軍の火砲は、ウクライナの精密誘導ロケット弾(砲弾)によって多数破壊されてしまった。」
「だが、ロシア空軍は2023年5月(15か月目)から、地上部隊への近接航空支援を実施するようになり、現在では、前線への空爆を重視するようになった。」
記事の著者の主眼は、火砲が破壊されたので、近接航空支援が再開されたというものだが、うーん、確かにデータは整合しているが、ちょっと不自然な気がしないでもない。
記事は、空対空ミサイルによって、ロシアの爆撃が減少して航空優勢が崩れるとしているんだが、それも単純化されてる気がする(<さらに追加>参照)。
ロシアの防空能力を甘く見ているのではないのかあ?。
まあいい。
F-16の導入効果については、専門家の間でも意見が分かれている。
特に、費用対効果では、アットーテキに砲弾や地雷の方が高いからな。
浮沈子的には、800発以上の備蓄があると言われるロシアのミサイルの攻撃目標が、巷で言われているように、電力インフラなのかという点が気になる。
戦略的なパワープラントを狙うのではなく、戦術的に前線を突破するために使用されるのではないかということなわけだ。
もったいない使い方だが、供給力が安定していれば、そういう使い方で前線突破を図る可能性はある。
歩兵の戦力を守るために砲弾をぶっ放し、その火砲を守るために近接航空支援を行うというセオリーだが、その近接航空支援の代わりに集中的にミサイルを撃ち込めばいいのではないか。
「前線に配備できるのは、短距離防空ミサイルや携帯対空ミサイル、高射機関砲(図2の左側の丸の中の兵器)だけである。前線から敵方に5~10キロ以内だけが、防空できる範囲である。」
ウクライナに、これを防止する手段はない。
「ウクライナ軍の「MiG-29」戦闘機とその空対空ミサイルでは、ロシア軍の「Su-30・34・3」5戦闘機を撃墜できない。」
冬のインフラ攻撃という、ウクライナの風物詩(そうなのかあ?)が定説となっているけど、前線における空爆の強化という手段がひそかに準備されているのかもな(未確認)。
F-16が、期待通りの効果を発揮すれば、現在のようなロシアによる航空優勢の状況は長くは続かなくなる。
今のうちに、バンバン打ち込んで稼いでおかないとな・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
(「ウクライナの勝利」を信じなくなった世界、本音は「一刻も早い戦争終結を」)
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/78061
「今年、来年に限らず、どれだけ長くなろうともウクライナが必要とする道徳的、外交的、経済的、そして何より軍事的支援を続ける」(外相になったばかりのデービッド・キャロン元首相)
英国の覚悟は素晴らしいと感じた。
「外相として初の外遊先はウクライナと決めていた。ウクライナ国民の強さと決意を称える」
が、なんとなく、政治宣伝に使われている気もする。
「英国から供与された空中発射巡航ミサイル「ストームシャドウ」(射程250キロメートル)はロシア軍の前線支援能力や補給ルートの道路・鉄道橋、クリミアにある黒海艦隊司令部、艦艇に大きな打撃を与えている。」
確かに、米国、ドイツに次いで支援額も多く、ウクライナにとって、なくてはならない存在には違いない。
「この冬、ロシア軍が再びエネルギーインフラを狙ってドローン(無人航空機)攻撃をエスカレートさせてくる恐れが強いため、ゼレンスキー氏は防空システムを強化する必要性を強調」
定番の要請だが、英国がどう応えるかは報じられていない。
「次期大統領選(来年3月に予定されるが、戦争中のため延期される見通し)にザルジニー総司令官が立候補したら強敵になる。」
別記事で、ザルジニーが選挙に立候補するかもと報じられていたが、本人にその気はないようだ。
「反攻開始から5カ月余が過ぎてもウクライナ軍は17キロメートルしか進んでいない。」
ザポリージャ州での最大進軍距離のことだろうが、一次防衛線を突破した後、進軍は停滞している。
「武器も資金も米欧に丸抱え、自国兵士の損傷が積み上がる状況で戦争は続けられない。」
ロシア軍の肉弾突撃と言い、西側丸抱えのウクライナ軍と言い、この戦争は従来の常識が通用しない点が多い。
「狡猾なプーチンは結論を急ぐ必要はない。米大統領選の結果が出るまで、国民に不人気な追加動員を避けながら時間を稼げばいい。その目的を達成するのに地雷やドローンほど安上がりで、効果的な武器はない。」
ふつーなら、そう考えて大人しくしているはずのロシア軍は、現在でも犠牲を厭わず攻撃を続けている。
「世界は安全保障面で米国主導のブロックとより緊密に協力することを好むが、経済面では中国との協力を好む。西側以外の国では、たとえキーウが領土奪還を断念することになっても戦争を一刻も早く終結させたいと願う人が多い」(欧州のシンクタンク、欧州外交問題評議会(ECFR)の報告書)
「いいとこ取りの世界を生きる」(10月11日発行)という報告書の題名は、実に言い得て妙だ。
「ロシア侵攻後、西側は冷戦後の自由主義秩序を守るため世界を動員しようとしたが、甘い期待はあっさり裏切られた。台湾を巡って米中戦争が勃発した場合、ワシントンに味方をする人は欧州でさえほとんどいない。」
浮沈子も同感だな。
その米国の軍隊に、我が国は不沈空母として、台湾有事の際に、全国の空港を提供しようとしている。
まあいい。
ちょっと意外だったのが、欧州自身の問題だな。
「欧州の外ではEUが今後20年以内に崩壊すると考えている人が非常に多い。」
ほほう、そうなのかあ?。
「欧州以外の国々ではEU崩壊の可能性が高いとみる人の73%が「ロシアの勝利」を予想」
ロシアの勝利とEU崩壊というのは、浮沈子の大欧州戦争の妄想とも符合する。
「米国は今後20年以内に民主主義国家でなくなると考える人も」
こっちは、意外ではないけどな(既に、そうじゃないって気もするし)。
「「ウクライナは自由と民主主義の砦」というゼレンスキー氏のナラティブにEU加盟国でさえソッポを向き始めている。」
「西側でも中露でもない第三勢力の本音は「自由と民主主義より安い食料とエネルギー」」
「もはや「ウクライナの勝利」という楽観シナリオは消え去った。」
「膠着状態を維持するためにウクライナを支え続けることができたとしたら、それが米欧にとって最善シナリオ」
木村氏の認識は厳しいな。
しかし、それが世界の現実だ(理想じゃないけど)。
最善のシナリオでなければどうなるか。
弾薬や兵力が不足するウクライナ軍は崩壊し、現在の防衛線は大きく後退する。
人為的に構築した要塞ではなく、自然の障壁(河川や山脈:んなもんはないけど)に頼ることになる。
或いは、ウクライナが自国の力だけでロシア軍を押しとどめることが出来るだけの規模になる。
しかし、戦線の規模の縮小は、ロシア軍にとっても有利な状況を産み出すからな。
兵站は長くなるが、適切な時間を掛けて備蓄を積み上げていくだろう。
その備蓄基地を攻撃するための長射程のミサイルは、もう、供与されないかもしれない。
その後退した前線を維持することが出来るかどうかも分からない。
軍事的に追い詰められていくウクライナは、どこかで決定的な選択を迫られることになる。
それは、西側の支援がなければ、とっくの昔に行われていたに違いない。
浮沈子は、反転攻勢が成功しようがどうしようが、軍事的な帰趨にはあまり関心がない。
ロシアによる軍事侵攻は、褒められた話ではないが、そのロシアに78年間も力による現状変更を食らっているわが国としては、そんなことは世界では常識なのだと理解すべきだ。
ロシアが、最終的にウクライナとどうケリをつけるかは分からない。
プーチン政権が当初描いていたのは、東部南部の4州およびクリミアの完全な編入と、残るウクライナの軍事的中立(もちろん、NATO非加盟)だったが、現在では少し変わっているようだ。
更に西部への進軍を意図し、おそらくはドニエプル川を国境とする方針に変更されている可能性がある。
南部は、黒海沿岸を完全に支配下に収め、ウクライナを内陸国とすることを目論んでいるに違いない。
その上で、自国が関与する安全保障上の枠組みに取り込むか、変則的なNATOの加盟を認めることになる。
第5条の適用除外とかな。
ロシアも、ウクライナ全域の直接統治はムリポだと分かっている。
その上で、ある程度の領土保全を認めて、段階的に取り込んでいくプロセスを追及するだろう。
多民族国家であるロシア連邦は、その辺りの統治のノウハウは豊富だからな。
浮沈子の関心は、局所的な戦闘の推移から、ウクライナの「戦後」の姿へと移っている。
ロシアが何を考え、この戦争の後始末をどうつけるつもりなのか。
(メドヴェージェフ元大統領、遅かれ早かれ西側は停戦をロシアに懇願する)
https://grandfleet.info/russia-related/medvedev-sooner-or-later-the-west-will-beg-russia-for-a-ceasefire/
「この戦争の結末は我々が敵対的な政治体制を破壊するか、西側が最終的にロシアを引き裂くかのどちらか」
メドベージェフの表現はかなり過激だが、その背景にあるのは国民の危機感を煽り、ウクライナとの戦争が、実は西側との対決であり、国家の存続を掛けた不可避な戦いであることを宣伝しようと意図されたものであることが分かる。
いや、分かり過ぎる!。
ブログの管理人は、ロシアが最終的に核兵器をぶっ放して西側を道連れにするのは卑怯だとしているけど、プーチン含めてロシアがそれを本気で考えていることは事実だろう。
米国が、腫れ物を触るようにウクライナ問題を扱っているのもそのためだ。
「この結果は誰も望んでいない。従って唯一の解決策はウクライナを完全に解体して将来の安全を確保すること」
具体な統治方法には触れていないが、ロシアが意図しているところは明白だ。
「我々はテロリスト国家のウクライナが完全に解体されるまで立ち止まることはない。徹底的に破壊して灰すら残さないようにしなければならない。この忌まわしい国が再び立ち上がれないようにするためなら、我々は戦争が何年、何十年かかっても一向に構わない。何故なら我々には選択肢がないからだ」
この発言は8月19日に行われたようだが、今読み返すと、イスラエルの物言いに酷似していることに驚く。
力を背景に現状変更を試みる国家が考えていることは同じだな。
西側の支援に対して、ロシアが考えていることも、分かりやすく表現してくれている。
「連中にとってロシアとウクライナの戦争は見知らぬ人間が死ぬだけの他人の戦争で、この戦いから得られる利益を超えてまで踏み込んで来ない。どれだけサミットや国連で泣き叫んでも、遅かれ早かれ他人の戦争に対する関心は失われる」
「ロシアもウクライナとの消耗戦を単独で戦っている訳ではなく、中国、イラン、北朝鮮などからの支援で戦争に必要な物資を調達しており、肝心の戦費調達もインドへの石油輸出(ロシア人はインドで加工されたロシア産石油製品を欧州が購入しているため戦費を供給しているのは実質的に欧州だと主張している)で賄っているため「遅かれ早かれ他人の戦争に対する関心は失われる」という問題はロシア自身に当てはまる。」(ブログ管理人)
浮沈子は、このブログ管理人の見立てには不同意だがな。
ロシアは、戦費や武器などの支援には、石油やロケット技術など、調達国にきちんと対価を払っている。
「この戦いから得られる利益」の範囲で行動しているのだ。
したがって、「遅かれ早かれ他人の戦争に対する関心は失われるという問題」に直面したとしても、第三次世界大戦の危機とか、自由と民主主義の守護とかいう「妄想」や「でっち上げ」(そうなのかあ?)に頼る必要はない。
まあ、ロシアの場合、第三次世界大戦は、妄想じゃなくてリアルな選択だがな。
ロシアは、向こう100年くらいはウクライナ紛争を継続できる仕掛けを作っている。
長期的なスキームで見た場合、どう考えてもウクライナに勝ち目などない。
もちろん、短期的にウクライナが優勢になる可能性はある。
西側の結束が崩れず、ガザ紛争が早期に決着し、世界の関心が再びウクライナに戻り、弾薬の供給が軌道に乗り、エイタクムスやF-16の供与やM1エイブラムスなど、最新兵器が所期の効果を発揮して、再び反転攻勢に転じることがあるかも知れない。
アウディーイウカを守り切り、バフムトを取り返し、ドニエプル川東岸やザポリージャ州での進撃が進み、支配地域を分断してヘルソン州やクリミアを孤立させることだって、夢ではないかもしれない。
黒海の制海権を確立し、穀物輸出の回復も出来るだろう。
万々歳だ・・・。
だが、ロシアは決して諦めない。
「ロシアにとってウクライナとの戦争は同胞が犠牲になった悲劇であり、これは身近な対立で、自存自衛のための戦争だ。」
西側の支援に頼らなければならないウクライナは、戦闘の強度を自由に上げることができない。
それでなくても、兵員不足に悩まされている。
短期的にはロシアも同じだが、その部分では3倍以上の人口という絶対的アドバンテージがある。
豊富な天然資源や航空宇宙技術という、商品も取り揃えてある。
「自存自衛のための戦争」を続ける資源は十分だ。
国内生産力も、戦闘国家として存立していくために、既に強化されている。
西側は、ウクライナに支援するより前に、自国の防衛を考えざるを得なくなるだろう。
広範囲で長期のスキームの影響が、局所的で短期のスキームにダイレクトに及んでいる。
西側は、一気にリソースをつぎ込んで、ロシアを交渉の場に引きずり出すことを意図したんだろうが、今年の反転攻勢に失敗したことにより、その目論見は潰えた。
来年以降、同じような試みが続く可能性もあるが、おそらく同じような結果に終わる。
ロシアは、戦闘国家としての態勢を整え、既に時間を味方につけている。
戦闘が長引けば長引くほど、西側の利益は縮小し、ウクライナの兵力は損耗していく。
ヤバいな・・・。
ヤバ過ぎ!。
まあ、どうでもいいんですが。
浮沈子は正義派じゃない。
ウクライナの統治がどうなろうと、知ったことではない。
が、世界を巻き込んで大迷惑を掛けた戦争の行方は気になる。
それを見届けることが出来るかどうかは分からない。
ロシアは意図的に長期戦に持ち込んで、西側支援の疲弊を狙っているからな。
これは、プーチンの戦争として始まったが、プーチンの存命中に終わる保証はないのだ。
一時的な戦闘休止(停戦ではない!)くらいはあるかも知れない。
捕虜交換は、これまでも行われている。
ロシアによる段階的な支配のプロセスの中で、領土を分断されたままでの休戦だって、可能性はある。
朝鮮半島は、半世紀以上その状態を維持しているし、中国だって(北京は国内問題だというけど)台湾という分断を抱えている。
100年後、世界はウクライナ紛争の結末を確認することになるだろう。
それまでにロシアがブチ切れて、ありったけの核兵器をぶっ放すことがなければな・・・。
<さらに追加>ーーーーーーーーーー
「F-16戦闘機投入の効果」(ブログ本文初出の引用より)
「ウクライナの防空網の外から実施するロシア軍機の前線爆撃を阻止できるのは、長射程空対空ミサイルを装備するF-16だけ」
「そうなると、ロシア軍機は、対地ミサイルを発射できる位置まで進出して来なくなる。」
浮沈子は、良く知らないんだが、ロシア側には長射程の空対空ミサイルってないのか。
或いは、ロシアの防空網にはF-16に対抗する地対空ミサイルはないのかということになる。
また、戦闘機の投入にあたって、エーワックス(早期警戒管制機)の展開がなくて大丈夫なのかという不安もある。
(早期警戒管制機)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A9%E6%9C%9F%E8%AD%A6%E6%88%92%E7%AE%A1%E5%88%B6%E6%A9%9F
「高高度にレーダーを配置することによるレーダー水平線の増大・探知距離の拡大や必要地域へ移動し警戒を行なうことができるなどの利点」
「空中にあって航空作戦の要となる早期警戒管制機は、軍事的な高価値目標であるため、長射程空対空ミサイル(AAM)の標的にされることが想定される。」
まあ、それ自体が標的になっちまうけどな。
F-16の導入効果に対する疑問は多い。
(F-16がロシアとの戦争で果たす役割、決定的なものではなく大きな変化はない)
https://grandfleet.info/european-region/the-role-that-the-f-16-will-play-in-the-war-with-russia-is-not-decisive-and-there-will-be-no-major-changes/
「ウクライナが戦闘機を受け取っても戦争の流れを変えることはできない。現在最も優先されるべきは遠距離の目標を攻撃できるミサイルだ」(エストニアのペヴクル国防相)
「F-16は戦場に決定的な違いをもたらさない」(米空軍関係者や西側諸国のアナリスト達)
「地上ベースの防空システムや砲兵装備が提供する能力と然程違いがない」(同上)
「支援資金には上限があるため防空システムや砲兵装備の提供に資金を集中させた方がいい」(同上)
「来年引き渡し予定のF-16はあまり役に立たないだろう。今後戦場に違いをもたらすのは電子戦、FPVドローン、地雷除去装置、対砲兵レーダー、敵砲兵装備を探知する技術だ」(ウクライナ軍のザルジニー総司令官)
運用を維持するための資金的リスクも懸念されている。
「F-16がウクライナの手に渡れば維持するための支援は止められなくなる。F-16の飛行状態を保つにはスペアパーツが必要だ」(国防総省で兵器調達の責任者を務めるビル・ラプランテ氏)
「ウクライナに提供するものが何であれ、我々やパートナーは必ず90日分のスペアパーツを一緒に送る必要がある。これは経験から導き出された鉄則で運用・維持に関する問題は忘れられやすい。スペアパーツが不足すればF-16は数ヶ月以内に運用停止になるだろう。もしF-16提供国がスペアパーツを提供できないなら、我々がスペアパーツを探して提供しなければならない」(同上)
「ウクライナの空を保護し、ロシアの航空支配を阻止する『最も安価で効率的な方法』は地上配備型の防空システムだ。ウクライナにF-16を10機提供するには10億ドル、この10機を維持するのに10億ドル、つまり10機の戦闘機提供にかかるコストは20億ドルだ」(マークミリー前米統合参謀本部議長)
「オランダとデンマークはF-16を42機提供するらしいので「西側諸国の負担額」は80億ドル以上も増える計算」
これは、ウクライナにとっては、その他の支援が減額されることを意味する。
それに値する効果を発揮できなければ、むしろ有害だ。
ウクライナは、これらの批判に反論している。
「私はF-16に懐疑的な批判者に反論したい。F-16は戦争の流れを変えることができロシア軍に深刻な影響をもたらすだろう。F-16はロシア軍の戦闘機を撃退して地上部隊を空から援護でき、ミサイルやドローンによる空からの攻撃も防ぐことができるため『戦争の行方』に大きな影響を及ぼすと信じている」(ウクライナ空軍のイグナト報道官)
F-16を近接航空支援に使うというのは、ちっとムリポな気もするけどな。
まあ、マルチユースな機体だから、運用次第だろう。
この点に関するブログ管理人の以下の評価が妥当かどうかは、浮沈子には判断できない。
「結局、この戦争が膠着状態に陥っているのは「砲兵部隊の火力が戦場認識の拡張が結びついて地上部隊の機動スペースを戦場から奪っている」という点」
「これを空からのアプローチで解決するならロシア軍の接近拒否=高度な防空システムを無効化しなければならず、これを実行できる航空戦力と能力を備えているのは米空軍だけ」
つまり、F-16を投入しても、「膠着状態」は解消されず、「戦争の流れ」を変えることはできないということなわけだ。
「『戦争の行方』に大きな影響を及ぼすとすれば、そのために削減される80億ドルのために、ウクライナの戦闘能力が減少し、ロシアに有利な状況を産み出しかねないということになる(そうなのかあ?)。
が、まあ、戦争は戦ってみなければ分からない。
それは確かだ。
バイデン政権がウクライナへの戦闘機の供与を躊躇ったのは、彼らがそれでロシア本土を空襲し、過剰に反応したロシアがNATOとの戦端を開くことを懸念したからだ。
そうならない保証はどこにもない。
エイタクムスだって、未だに公式に供与を認めているわけではないからな。
ロシアに本気で戦争させないように、気を使いながら支援している。
パイロットの訓練に関する記事も上がっている。
(ウクライナ軍パイロット、F16戦闘機の訓練進む)
https://www.cnn.co.jp/world/35211863.html
「かつて旧ソ連製の戦闘機「ミグ29」の飛行中隊を指揮していた「ムーンフィッシュ」というコールサインを持つウクライナ軍パイロット」
「戦闘機の訓練兵を選抜する上で、主な基準は英語が堪能(たんのう)であること、それに経験と年齢」
即戦力であることが必要だからな。
「機体は航空電子工学の点で進んでいるが、操縦やインターフェースの点では極めてシンプル」
「一番の任務はロシアのドローン(無人機)やミサイル攻撃の撃退になるだろう」
来春以降、実戦投入されて、戦況を大きく変えることが出来れば、ウクライナにとっては嬉しい事態だ。
ロシアは、それを黙って見ているだろうか・・・。
(ロシア空軍が「虎の子」航空機を投入か リスクを顧みずに“F-16対策”急ぐ?)
https://trafficnews.jp/post/129433
「ロシア軍が早期警戒管制機と地対空ミサイルの統合を急ぐ理由として、ウクライナ軍が配備予定のF-16戦闘機に対する懸念をあげています。」(イギリス国防省)
「早期警戒管制機はウクライナ軍の高価値目標となります。ただロシア軍は、これまでより戦線に近づけて飛ばすリスクを受け入れる可能性がある」
ノーリスクノーリターンな戦場というわけだ・・・。
(米国防長官、F-16はロシアとの戦争においてゲームチェンジャーではない)
https://grandfleet.info/us-related/us-secretary-of-defense-says-f-16-is-not-a-game-changer-in-war-with-russia/
「F-16であろうが、HIMARSであろうが、他の何であろうが、戦場で適切な効果を生み出すためには能力を活用し、統合し、同期させることが重要だ」
オースティンは、効果がないと言っているわけではないことに注意だな。
能力を活用し、統合し、同期させれば、戦場で適切な効果を生み出すと言っているわけだ。
特効薬ではないが、米国も期待している・・・。
<さらにさらに追加>ーーーーーーーーーー
(ロシア軍、ウクライナ東部アブデーフカに激しい攻撃 南部砲撃で4人死亡)
https://jp.reuters.com/world/ukraine/PWCVFT25NBPMDEWDODR5XMHDAQ-2023-11-23/
「ヘルソン州のベリスラフがロシア軍の砲撃を受け、自転車に乗っていた男性が死亡した。」(ウクライナ地方検察庁と大統領府)
砲撃であるという点に注目だろうな。
「ウクライナ軍は昨年11月にヘルソン州の州都ヘルソンを奪還。ロシア軍は以降、ドニエプル川の対岸からヘルソンに対する攻撃を行っている。」
ベリスラフは、ウクライナが渡河作戦で確保したとするクリンキ村の対岸に当たる。
そこへの「砲撃」が続いているということは、つまり、渡河作戦の目的が達成されていないだけではなく、確保された拠点が相変わらず砲撃の射程範囲内にあることを意味している。
いわゆる「橋頭保」になっていないわけだ。
まあ、逆に言えば、反撃を受けつつ、拠点を維持し続けているともいえるけどな。
「ロシア軍が同市への攻撃を激化させ、1日当たりの空爆が8─18回、多いときは30回に上っている」(アブデーフカの軍当局トップ、ビタリー・バラバシュ氏)
ロシア軍は、本気で取りに来ているんだろう。
「防衛線が1カ月半も持ちこたえていることに満足している。ロシア側が何を言おうとも、防衛線は突破されていない」
満足している場合かよ!?。
「反転攻勢」しなけりゃいけない時節に、何を寝ぼけたことを自慢しているのか。
膠着状態を曝け出しているだけじゃん・・・。
「東部ハリコフ州クピャンスク近郊でロシアが進軍を狙っている」(ロシア当局者ら)
「クピャンスクはロシアが昨年2月にウクライナ侵攻を開始した直後に掌握したが、ウクライナ軍が約1年前に奪還している。」
おいおい、「反転攻勢」してるのは、ロシア軍の方じゃん!?。
やれやれ・・・。
クピャンスクは、以前から攻撃を受けている。
(ロシア、クピャンスク一帯に兵士10万人余を集結 ウクライナ軍報道官:2023.07.18)
https://www.cnn.co.jp/world/35206650.html
「ロシアは絶えず戦闘要員を入れ替え、何よりも我々の攻勢を阻止するため、空挺部隊を送り込んでいる」
この地域の奪還に向けても、ロシア軍は当初から本気で取り組んでいる。
(ウクライナ、北東部37町村の民間人に避難命令 ロシアが攻撃強化:2023年8月11日)
https://www.bbc.com/japanese/66470239
「ハルキウ州クピャンスク地区の当局は、「ロシアの砲撃が絶え間なく続く」ため対応が必要」
「クピャンスク地区当局は声明で、地区内の2つの町と35の村の住民を避難させている」
「クピャンスクの住民に避難命令が出るのは、今年3月以来。」
「クピャンスクは交通と輸送の重要拠点」
「昨年2月24日の開戦から間もなく、ロシアが制圧したが、昨年9月にウクライナが反攻を重ねて奪還した。」
(ゼレンスキー氏、防空体制の強化訴え クピャンスクへの攻撃受け:2023.10.06)
https://www.cnn.co.jp/world/35209962.html
「北東部ハルキウ州クピャンスクの村へのロシア軍の攻撃で少なくとも51人が死亡」
「ロシアは連日のようにハルキウ州を攻撃」
(ウクライナ政府、東部クピャンスク周辺の民間人に避難指示 ロシア軍猛攻(字幕・10日):2023年11月10日)
https://jp.reuters.com/video/watch/idOWjpvC9U6DRLUWQT3FDRGEFPL0Z5FIM
「ウクライナ東部クピャンスクではロシア軍による攻撃が激しさを増しており、政府は11月8日、周辺地域の一部から民間人を避難させるよう指示した。」
「クピャンスクは軍需物資の重要な物流と鉄道の拠点。ロシア軍はこの町を包囲・奪還しようとしており、東部戦線の最大の激戦地の1つとなっている」
(クプヤンシク)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%97%E3%83%A4%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%82%AF
「2022年2月27日からロシア軍によって占領されていた」
「ドンバス地域侵攻の拠点であったイジュームへの物資が鉄道や道路で集まるクプヤンシクに対して、ウクライナ軍は9月初旬の反転攻勢で進撃し、オスコル川の橋を破壊してクプヤンシク市街を孤立させた。9月10日、ウクライナ軍が市議会を奪還。」
今年の3月までは、ロシア軍の奪還の動きはなかったようだ。
7月辺りから攻撃を始め、8月に地方当局による一部避難指示、10月に攻撃が激化し、11月に入って周辺地区の避難についてウクライナ政府の指示が出ていたわけだ。
この地域で、ロシア軍の攻撃がエスカレートしている様子がうかがわれる。
交通の要衝であることを考えると、ここを奪還して「以上終わり」ではないだろう。
注意すべきは、ハルキウ州は、ロシアが併合した地域ではないという点だろうな。
ロシアが、併合4州とクリミアで手打ちにする気がないことの何よりの証拠だ。
ドニエプル川東岸は、北東部と言えども危ない。
キエフが脅かされるリスクだって消えていない(キエフはドニエプル川沿いにあります)。
(キーウ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%82%A6
「市街はドニエプル川の中流右岸の高台に発達している。」
ウクライナ側も、東部からキエフにかけては縦深防御態勢を敷いていると思うが、敵を甘く見るのは危険だ。
(縦深防御:軍事的な意味での縦深防御)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B8%A6%E6%B7%B1%E9%98%B2%E5%BE%A1#%E8%BB%8D%E4%BA%8B%E7%9A%84%E3%81%AA%E6%84%8F%E5%91%B3%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%B8%A6%E6%B7%B1%E9%98%B2%E5%BE%A1
「縦深防御の不利な点として、攻撃側に占領地を与える計画であるため、防御側にとっては受け入れにくいものである、という点がある。」
「これは、重要な軍事的・経済的な拠点が前線の近くにあったり、政治的・文化的な理由から敵に領土を譲ることが受け入れられないという場合もある。」
少なくとも、東部戦線で「反転攻勢しているのはロシア軍」の方で、ウクライナ軍は完全に防御にまわり、防衛線を突破されていないことで「満足」している。
アウディーイウカは、コークス工場を要塞化した防御態勢を取っているが、北側については開けた平地があることから、縦深防御になっていないと言われている。
(ウクライナメディア、アウディーイウカの危機は第2防衛ラインの欠如が原因)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/ukrainian-media-says-avdiivka-crisis-is-due-to-lack-of-second-line-of-defense/
「問題はロシア軍がアウディーイウカで前進できた理由だ。この成功は兵士の数的優位や装備の優位性だけでなくウクライナ軍が『第2防衛ラインを用意していなかったこと』が大きく関係している」
「10月中旬に増援として派遣された第47機械化旅団の兵士は『大砲から身を隠すための塹壕が用意されておらず自らシャベルで掘るしかない。」
この記事は、ロシア軍の占領地に対するこだわりの例として以前にも引用している。
キエフへの進軍が行われた場合、防ぎきれるかが問題だな。
まあ、どうでもいいんですが。
東部戦線の状況は、比較的多く報じられているけど、南部の渡河作戦は情報が少ない。
ウクライナ側もロシア側も、大本営発表は勇ましい限りだが、基本的にウクライナ側にとって困難な状況にあることは変わっていないようだからな。
そんな中、今日の航空万能論では、オランダの話が出ている。
F-16の供給国の一つだから、この稿で取り上げる。
(ウクライナ支援停止を主張するオランダの自由党、総選挙で第1党を確保)
https://grandfleet.info/european-region/dutch-freedom-party-which-calls-for-suspension-of-aid-to-ukraine-secures-the-largest-party-position-in-general-election/
「オランダの総選挙で極右政治家のウィルダース氏が率いる自由党(PVV)が第1党になる見通しで、PVVは反移民・反EUを掲げ「ウクライナ支援もやめる」と公言」
「移民に対する厳格な制限」
「全面的な難民の受け入れ停止」
「EU拡大=新規加盟国の受け入れに反対」
「究極的にはEU離脱を希望」
「自国の安全保障に武器が必要なためウクライナ支援の停止」
EUやウクライナにとっては、厄介な結果だが、影響については何とも言えない。
「PVVは35議席~37議席(定数150議席)しか獲得できておらず、他の主要政党はPVVの政策に反対しているため連立政権を樹立できるかは不透明だ。」
「但し、どんな政権が誕生しても「最も多くの有権者から支持を集めたPVV」を政治的に無視するのは不可能で、最悪の場合「オランダからウクライナへの軍事支援」に影響を与えるかもしれない。」
「「ウクライナに対する2024年向けの軍事援助22億ドル」や「ウクライナに提供を約束したF-16」が影響を受ける可能性」
やれやれ・・・。
「F-16提供に反対という立場はPVVの綱領に含まれているが、今後誕生する連立政権にPVVの綱領が反映されるかは未知数なので現時点では何とも言えない。しかし連立政権に引き継がれれば大きな問題になるだろう」(ウクライナメディア)
西側の支援は、自国の利益に結び付く限りに留まるとするロシアの見立て通りな状況が次々に生まれている。
ウクライナは、投資に見合う戦果を挙げられていない。
欧州ネタのついでだから、チェコの話も取り上げておこう。
(チェコ大統領、反攻作戦は期待外れで支援国も戦争疲れを感じている)
https://grandfleet.info/european-region/czech-presidents-counter-offensive-strategy-is-disappointing-and-supporting-countries-are-feeling-war-fatigue/
「ウクライナ軍は戦場での優位性を示しておらず、来年には(ロシアとの)交渉が始まるかもしれない」(チェコのパベル大統領:11月上旬)
「反攻作戦の結果は期待していたようなものではなかった。当事国だけでなく全ての支援国も戦争に対する疲労を感じている」(同上:11月21日)
春先には、不気味な発言もしている。
「数ヶ月以内にウクライナ軍の反攻が必ず行われるが、これが失敗すれば次回の反攻に必要な資金や物資を得ることは困難になる」(同上:3月)
まあいい。
これは、もう、欧州の空気のようなもんだな(前のめりのドイツを除く?)。
「敵が意図的に戦いを長引かせようとしているのは明白で、プーチンは武器支援の意欲を揺るがしかねない米大統領選の結果を待っているのかもしれない。どちらにしても戦いの長期化は動員能力の差でロシア有利に働き、時間をかけることで不足している物資を補充することもできる。現在の状況が良くないことは明白だが、我々にとってもウクライナ支援を継続する以外に選択肢がない。西側諸国はウクライナ自身が次の行動を決めるまでそうしなければならない」(同上:11月上旬?)
来年の反転攻勢をかけるための資金や物資が得られないという話が本当なら由々しき事態だが、欧州にその選択肢はない。
だが、「十分な」資金や物資が得られるかどうかは別の話だ。
「反攻作戦はウクライナ自身が期待していたように進んでいない。作戦に必要な武器供給は滞っていてウクライナが成功するレベルに達していない。反攻作戦で疲弊しているウクライナ軍兵士も西側諸国の支援にますます幻滅し、自分達が切り捨てられるのではないかと感じている」(同上:プラハで開催されたチェコ軍司令部会議:時期不明:以下同じ)
「現状は困難な冬を乗り切り、戦いから教訓を学び、軍事生産を倍増させ、戦時生産計画を強化し、西側諸国がウクライナに供給するのと同等か、それ以上の装備・弾薬を供給できる相手(ロシア)に成功を収めるのに良いスタートラインではない。」
「当事国だけでなく全ての支援国(恐らく欧州のこと)も戦争に対する疲労を感じており、これは交渉による戦争終結への圧力増大に繋がるだろう。」
「もし交渉が実現するなら当然のことながら戦争終結の形は戦場の状況に基づいたものになる」
「交渉による戦争終結=現状の前線位置での停戦」
浮沈子は、ロシアはそれでは停戦に応じられないと思うんだがな。
メドベージェフほどドラスティックでないとしても、最低でも併合4州とクリミアの完全譲渡、NATOへの非加盟表明、莫大な賠償とロシアの戦争責任追及の放棄くらいは差し出さないとな。
なんなら、ゼレンスキーの首を添えて出すしかないだろう(んなもん、いらないって言うかも)。
ロシアは、現在西側諸国を相手にして、国家の存立を掛けた戦争を戦っていることになっているらしい(未確認)。
もう、ウクライナだけの話じゃなくなっている。
巻き込まれているイラン、北朝鮮、中国、インドは元より、グローバルサウスも味方につけて、盤石の構えだ。
追い詰められれば、虎の子の数千発の核弾頭が火を噴いて、世界を破滅に追いやることになる。
手が付けられない・・・。
まだ、ソ連の方が良かったかもしれないな・・・。
<また追加>ーーーーーーーーーー
(ゼレンスキー大統領、アウディーイウカでロシア軍を破壊すれば流れが変わる)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/president-zelenskiy-says-destroying-russian-forces-with-audi-ivka-will-change-the-tide/
「アウディーイウカ近郊でロシア軍が破壊されればされるほど戦争全体の流れが敵にとって悪くなる」(ゼレンスキー大統領)
敵軍を疲弊させれば戦いが有利になるという、まあ、常識的に考えれば妥当な見通しだが、相手がロシア軍の場合、その常識が通用しないというのは、この戦いの中でウクライナがいやという程経験している話だ。
「敵は7,000人~8,000人が負傷し、最低でも3,000人~4,000人は死亡した。この地域の損害はヴーレダーやバフムートの損害を上回っている。装備損失の数については様々な数字があり、200以上の装備を失ったという報告もあれば、400以上の装備を失ったという報告もある。私は後者の可能性が高いと思っている」(アウディーイウカ軍政当局のバラバシュ長官)
敵の損失を過大に見積もる過ちと、損失を与えることを「戦果」として評価するという、同じような過ちを前線で行っている。
「両者とも「ロシア軍に損失を与え続ければ何れ流れが変わる=損失に耐えきれなくなり攻勢が止まるという意味」と示唆したものの、これまで戦場で起こったことを加味するとウクライナ側の主張を鵜呑みにするのは難しい。」
ブログ管理人の印象には、浮沈子も同感だな。
この点については、ザルジニーが既に指摘している。
「ロシア軍を消耗させればプーチンを止められるという思い込みは間違いだった。ロシアは少なくとも15万人もの戦死者を出し、これほどの犠牲者が出れば一般的な国は戦争を止めていただろう。しかしプーチンが想定している(消耗戦の規模)は数千万人を失った世界大戦レベルだった」
メドベージェフが8月に表明している通り、ロシアには本当に選択肢がないのかもしれない。
西側に国家を引き裂かれる恐怖の中で、数千万人の犠牲を覚悟しているとしたら、また、100年に渡る戦争を計画しているとしたら、アウディーイウカで数万人の犠牲者を出すことなど、戦況にはこれっぽっちも影響はないだろう。
ウクライナはもちろん、西側は根本的に重大な勘違いをしているのだ。
「西側基準ではなくロシア基準で「攻勢を維持できなくなる損害(これがどの程度なのは不明)」を与えないと前進を止めることは難しく、もしバフムート並の損失をロシア軍が覚悟(許容)しているなら「大きな損害を与えたのに拠点を失ってしまった」という残念な結果が繰り返されるだけだろう。」
ブログ管理人の見立ては、おそらく正しい。
「セベロドネツク、リシチャンシク、ポパスナ、ソレダル、バフムートでも「ロシア軍は莫大な損失を被っている」と主張して結局は押し切られている。」
戦闘におけるロシア軍の「言語」を理解しなければ、この戦いに勝つことはできない。
以前にも引用したんだが、このことはザルジニーが端的に表現している。
(ザルジニー総司令官が反攻作戦の評価に言及、私が間違っていた:2023.11.2)
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/general-zarzini-commented-on-the-evaluation-of-the-counteroffensive-operation-but-i-was-wrong/
「正直に言おう。ロシアは封建的な国家で最も安い資源は人間の命だ。逆に我々にとって最も高価なのは国民の命だ。」
浮沈子は、ウクライナの兵員不足を指摘する際にこの引用を行ったが、問題の根は深い。
そりゃあ、ロシアだって、無尽蔵に人的資源があるわけではないだろうから、用兵については計画的に行っているだろう。
しかし、その規模や運用思想は西側のそれとは異なる。
敵に10倍の損害を与えたと言えば、大手柄と考える西側に対し、10万人の犠牲を払って1km領土を拡張したと言えば、大勝利と大喜びするお国柄なわけだ(そうなのかあ?)。
ロシアに領土的野心がないというのは、プーチンも公言しているし、メドベージェフも「敵対的な政治体制を破壊」するとしているだけで、ウクライナ全域の直接支配は主張していない。
安全保障上の担保が得られれば、ロシアはそれでいいのだ(たぶん)。
だからこそ、逆にNATOそのものが標的になりかねない。
大西洋を見渡す丘の上にロシア国旗が翻るまで、進軍は止まらないだろう。
まあ、どうでもいいんですが。
肝心な点は、戦力の消耗は、ロシアの戦意を挫くことには繋がらないということだ。
ゼレンスキーは、以前、ロシアが理解できる言語は戦闘しかないと喝破した。
それは、実に正しい評価だったと思うけれど、1点過ちがあったということだな。
戦闘で撃破しなければ、攻撃側の意思は伝わらない。
防衛線を維持するとか、敵に多大な損害を与えたなどという言語では、一切通じないわけだ。
浮沈子は、CIAのバーンズ長官が、ウクライナに対するプーチンのこだわりを過小評価してはならないと言っていたことを思い出す。
(ウクライナでの戦争がプーチン氏の指導力を腐食、CIAに絶好の機会=米CIA長官)
https://www.bbc.com/japanese/66079026
「これまでの経験から学んだことだとして、ウクライナ支配を目指すプーチン氏のこだわりを、低く見積もるのは絶対に間違いだ」
「ウクライナなくしてロシアは大国になれないし、自分自身も偉大な指導者になれないと、プーチン氏はそう信じているのだ」
米国は、そのことを、よーく理解している。
欧州は、たぶん、分かっていない気がするな。
ゼレンスキーは、いやでも分かるだろうけど、大っぴらにそうとは言えない。
国外からは武器弾薬を、国内では兵士を調達しなければならない立場だ。
いくら支援や兵士をつぎ込んでも、勝利できなければ何にもならないとは、口が裂けても言えないだろう。
ザルジニーは、言っちゃったけどな。
まあいい。
欧州は、戦場で勝てないウクライナから、ロシア側の戦力消耗という「利益」を引き出そうとしているんだろうが、それは欧州の利益にならないのではないかという潜在的な不安を抱えている。
ウクライナでの長期戦を、甚大な損害を乗り越えて戦い続ける能力を備えさせることが、将来的な欧州のデメリットにつながる恐れがあるということなわけだ。
じゃあ、どーすればいいのか。
早々にウクライナを切り捨てて、ロシアとよりを戻し、緊張緩和して軍備の負担を増大させず、経済的には安い天然ガスで潤うのが正解ということになるが、いまさら手のひらを反すわけにもいかないだろう。
少なくとも、ある程度の時間を掛けて、落としどころを探ることになる。
前のめりのドイツから、ウクライナ支援反対のハンガリーまで、欧州内の温度差も激しいしな。
確認しておこう。
ロシアは、戦力の疲弊では怯まない。
少なくとも、その基準は西側のそれとは異なる。
それを理解しないで、敵の戦力の疲弊を「戦果」とするのは誤りだ。
(ロシア、要衝に大部隊投入 歩兵重視に転換か―ウクライナ東部)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2023112400575&g=int
「アウディイウカ周辺に大規模な部隊を投入している。」
「ロシアはこれまでにアウディイウカを巡る戦闘で多くの兵員や装備を失ったが、同地を奪取する計画を諦めていない。」
「ロシアは恒常的に攻撃を仕掛け、われわれの防衛線を疲弊させようとしている」(ウクライナ軍の大隊幹部)
「アウディイウカを奪取する機会を狙っている」(同上)
「(ウクライナ軍は)半分包囲されている」(同上)
「同地を守り抜く十分な部隊を有している」(同上:強調!)
だからあ、防衛線を守ってるだけじゃ、ロシアには通じないって言ってんじゃん!?。
アウディーイウカが抜かれるのは時間の問題だろう。
戦力の主体を歩兵に切り替えてきたということは、現地の気象条件の変化が影響している可能性がある。
冬が来たのだ・・・。
キエフでは、初雪が舞ったという話も出ている。
ザポリージャ州での進軍が止まり、ヘルソン州でのドニエプル川渡河作戦の進展も危うい状況の中で、東部戦線で「後退」などというザマを晒すことになれば、戦場で勝てないウクライナの評価は定着する。
戦場での勝利だけが、ロシアに通じる言語だからな。
もっとも、その返答は、100万発の砲弾と「肉の嵐」だがな・・・。
<もっともっと追加>ーーーーーーーーーー
(欧州理事会のミシェル議長、ウクライナ軍の反攻作戦が失敗したと思ってない)
https://grandfleet.info/european-region/european-council-president-michel-says-the-ukrainian-militarys-counteroffensive-operation-has-not-failed/
「インタビュー記事に掲載されたKyiv Independent紙の質問とミシェル議長の回答を主要部分のみを要約」
一問一答を、さらに要約する(テキトーです!)。
・EU加盟交渉を開始するのを阻害している主な原因:
欧州理事会が全会一致で承認しなければならないから
・ハンガリーをどの様に説得するのか:
説得の具体的な見込みはない。
・EUは戦争に適応できていないのか:
できているとは言えない(そうなのかあ?)。
・ウクライナは2024年に選挙を行なうべきか:
ウクライナに聞いてくれ!。
・選挙なしでも同様の信頼を得られるか:
欧州では相変わらず人気がある(ホントかあ?)。
・反攻作戦は失敗したと思うか:
失敗したとは思っていない。
・米国の選挙の影響は:
非常に大きく、欧州の運命を左右しかねない(そういうことかあ?)。
・トランプ前大統領の勝利に備えているのか:
想定の範囲外(そんなあ!)。
・グローバル・サウスの説得に失敗したのか:
ロシアが問題を起こしていると説明した以外の成果はない。
インタビューは、百戦錬磨の外交官らしい受け答えに終始している(ポイントをずらすテクニックはさすがだ!)。
ブログ管理人は、反攻作戦の成否の部分に拘っているが、失敗を成功と言いくるめるテクニックに感銘を受ける。
つーか、その言い訳を作るために、クリミア攻撃とか渡河作戦やったようなもんだからな。
点と線の戦果だ。
面じゃない(0.3パーセントだそうです)。
まあいい。
浮沈子は、ウクライナの選挙(を先送りしたこと)に対して、決して肯定的な評価をしていない点に注目した。
つまり、統治の正当性に疑問符が付いたわけだ。
兵役逃れやそれに関する汚職、兵器の横流しや支援金の横領など、支援先としてあるまじき実態が報じられる中、それはウクライナの問題だと突き放している。
欧州の認識に、危機感は感じられない。
「連中にとってロシアとウクライナの戦争は見知らぬ人間が死ぬだけの他人の戦争で、この戦いから得られる利益を超えてまで踏み込んで来ない。どれだけサミットや国連で泣き叫んでも、遅かれ早かれ他人の戦争に対する関心は失われる」(再掲)
メドベージェフの指摘の通りだな。
「平和と安全のための戦略的投資である」(ミシェル議長)
その深淵な理想を、薄汚れた政権(そうなのかあ?)に託すことを、どのように自国民に説得しようというのか。
「米国でもEUでも選挙があるのは事実で、我々にとって欧米の市民に事態の深刻さを理解してもらうことが最大の義務と言える。」(同上)
統治者としての義務を放棄して、国民を戦地に駆り立てているウクライナ政権を、支援国が選挙の洗礼を乗り越えて支え続けようという構図なわけだ。
やれやれ・・・。
大いに支援し、成果を上げてもらいたいもんだが、インタビューの回答は既に空文化している気がする。
「我々が支援を行い世界秩序を確実に守り抜くことができれば世界より平和になるはずだ。」
まあ、どうでもいいんですが。
いずれ、欧州はウクライナから手を引くことになる。
大っぴらに、明日からゼロにするということはない。
もう少し、もっともらしい形をとるだろうが、結果は同じだ。
ウクライナ降伏不可避。
浮沈子の見立ては変わらない。
欧州にとって、ウクライナは所詮他人なのだ。
「見知らぬ人間が死ぬだけの他人の戦争・・・」。
もっともらしい言い訳で彩られた欧州委員会議長の受け答えを読むと、なおさらその感を強くする。
それは、2度の世界大戦で蹂躙された欧州のしたたかさでもある。
その後も、コソボ紛争で血を流しているしな。
ロシアは、それを見切っている。
「世界秩序」は守られるだろう。
その「世界」の中に、ウクライナが入っていないだけの話だ・・・。
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