緑の地獄2013年12月08日 01:14

緑の地獄
緑の地獄


ニュルブルクリンクサーキッ・北コースの別名は、グリーン・ヘル(緑の地獄)という、おどろおどろしい名前である。

ジャッキー・スチュワートによって、名付けられたとある。

(ニュルブルクリンク)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%AB%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AF

このブログでも、既に触れた。

(ノルドシュライフェ)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/03/15/6746666

(ニュル破産)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2012/09/22/6581047

「豊かな森の中にある古城ニュルブルク城を囲むように建設されたクラシックコース。山間部の高低差を利用した変化に富むコースレイアウトに加えて、にわか雨や濃霧など天候の変化という要素もあり、世界有数のドライバーズサーキットとして知られる。また、北コースは後述する過酷なコース条件により「スポーツカー開発の聖地」と呼ばれ、北コースのラップタイムはスポーツカーの性能を測る指標となっている。」

このあいだ、918スパイダーが7分を切ったと思ったら、P1も7分切りだという。

それも、過去のサーキット専用車を、軒並み薙ぎ倒すタイムを叩き出したという極秘情報が流れている。

(【動画】マクラーレン P1、ニュルブルクリンクラップタイムが7分未満であることを明らかに)
http://blog.livedoor.jp/motersound/archives/51818601.html

スリックタイヤでは、なんと、6分33秒というとんでもない速さだ。

動画を観ると、ウェイストゲートバルブの開く、「プシューッ」という音が聞こえる。

おっと、このクルマは、ターボエンジン積んでるんだった!。

さらには、電気モーターによる加速装置もある。

(マクラーレン・P1)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%BBP1

「エンジンもMP4-12Cと同じ3.8リッターV8ツインターボを搭載するが、最高出力は737PS/7,500rpmに高められた。さらにF1のKERSに似たIPAS(Instant Power Assist System、アイパス)とよばれるハイブリッドシステムが搭載され、179PSの電気モーターのアシストにより最高出力916PS、最大トルク900Nmを発揮させる。」

ターボエンジンと電気モーターの相性は、極めて良い。

原理的に、どうしようもないターボラグを、リアルタイム性に優れたモーターでカバーする。

トップエンドの、もう一押しにも活躍する。

エンジンの美味しいところでは、充電もして頂こう!。

P1には、高速域での影響が大きい、空力コントロールのマジックもある。

動画でも出てくるが、リアウイングが、パタパタと動いて最適な空気の流れとダウンフォースを作り出す。

「通常のタイヤで6分47秒」というタイムも、なかなかのものである。

タイヤの性能が、決定的な要素であることも分かる。

しかし、我々は既に、6分11秒という、とてつもないタイムをたたき出したクルマを知っている。

(レーシングポルシェの系譜(その15)956)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/11/12/7052479

30年も昔の話だ。

「ニュルブルクリンク北コース(L=20.830km、1983 - 1984年)での絶対コースレコード6分11秒13は、ドイツの新鋭であったステファン・ベロフが1983年のニュルブルクリンク1,000kmのフリー走行中にこの車で記録したものである。」

レーシングポルシェの世界が、いかに凄まじいパフォーマンスを持っていたかを物語る、格好の事例であるな。

21世紀のスーパーカーは、未だにその壁を越えることが出来ないでいるのだ。

それにしても、ラフェラーリのタイムの公表を待って、正式にリリースするというマクラーレンのスタンスは、いかがなものか。

NA最強のエンジンを積んだMRフェラーリのタイムもまた、7分を切ってくるだろう。

最早、7分切りは当たり前、ニスモのGT-Rが7分10秒を切ったとかいっても、ニュースにもならない。

(【ビデオ】これが「GTR NISMO」がニュルの量産市販車の最速記録を樹立したときの走りだ!:なってました!)
http://jp.autoblog.com/2013/11/21/nissan-gt-r-nismo-nurburgring-lap-record-video/

話は違うが、ポルシェとマクラーレンといえば、1972年のカンナムでの因縁がある。

(カナディアン-アメリカン・チャレンジカップ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%8A%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%B3-%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%97

「マクラーレン黄金期
1966年の開幕シーズンは接戦の末ローラに乗るジョン・サーティースが初代チャンピオンとなったが、翌年から1971年にかけてはマクラーレン勢の独擅場となった。ブルース・マクラーレンとデニス・ハルムはオレンジイエロー色のワークスマシンで独走劇を重ね、「ブルース・アンド・デニー・ショー」と呼ばれた(1969年シーズンは2人で11戦全勝)。また、プライベーターへのマシン供給により出走台数の半数以上をマクラーレン勢が占め、コンストラクターとして23連勝という記録も残した。チームオーナー兼ドライバーのブルース・マクラーレンが1970年のテスト中事故死するという不運に見舞われたが、F1での成功に先駆けて名門チームとしての地位を固めることになった。」

「ポルシェの挑戦
1972年、スポーツカー世界選手権の規定変更をうけ、耐久レースの雄ポルシェがCan-Amに本格参戦する(ワークスの運営はペンスキー・レーシングが代行)。シボレーV8エンジン勢(7~8.5リッター、約600馬力~900馬力)に対して、ターボチャージャーを装着した5リッター水平対向12気筒エンジンは公称1,100馬力の怪物的パワーを発揮(後に5.4リッターに拡大、ピークは1,580馬力にも達すると言われた)。ポルシェ勢がこのシーズンを席巻し、マクラーレンはワークス活動休止に追いやられた。翌1973年もポルシェの圧勝が続いたが、FIAが燃費規制を導入する方針を示したことで意欲を失い、ワークス活動から撤退することになる。」

21世紀はスピード時代だ。

3か月ほど前にポルシェが出した記録は、あっという間に塗り替えられて、マクラーレンが我が世の春を謳歌している。

ラフェラーリのタイムが公表されるまでの、束の間の春なのか、それとも、当分破られることがない、市販車最速の栄誉を勝ち取ったことになるのか。

いずれにしても、ポルシェの絶対コースレコードは、当分安泰だろう(いやいや、分からんぞお!)。

ラフェラーリの真実2013年12月08日 17:57

ラフェラーリの真実
ラフェラーリの真実


(フェラーリ・ラ フェラーリ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BB%E3%83%A9_%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%AA

エンツォ以来の、本格的なMR12気筒スーパースポーツとして登場した。

(【ジュネーブ2013】フェラーリ、「エンツォ」後継の限定モデル「ラ・フェラーリ」を発表!)
http://jp.autoblog.com/2013/03/05/ferrari-laferrari-unveiled/

「最後に動力性能を挙げると、0-100km/h加速は3秒以下、0-200km/h加速が7秒以下、最高速度350km/h以上と発表されている。フィオラノのテストコースにおけるラップタイムは、エンツォより5秒、F12ベルリネッタより3秒以上も速い、1分20秒以下だったそうだ。紛れもなく最速のロードゴーイング・フェラーリである。」


「テクニカル・データ

KY-KERS システム
合計最高出力:963馬力
合計最大トルク:91.8kgm
V12エンジン最高出力:800馬力/9,000rpm
V12エンジン最大トルク:71.4kgm/6,750rpm
電気モーター出力:120kW(163馬力)
CO2排出量:330g/km(申請中)

動力性能
最高速度:350km/h以上
0-100km/h加速:3秒以下
0-200km/h加速:7秒以下
0-300km/h加速:15秒

エンジン
65度V型12気筒
ボア・ストローク:94mm×75.2mm
排気量:6,262cc
圧縮比:13.5:1
出力/排気量:1リッターあたり128馬力

車両寸法
全長:4,702mm
全幅:1,992mm
全高:1,116mm。
ホイールベース:2,650mm
前後重量配分:41:59

トランスミッション
7速DCT

サスペンション
前:ダブルウィッシュボーン
後:マルチリンク

タイヤ
前:265/30R19
後:345/30R20
銘柄:ピレリ Pゼロ

ブレーキ
ブレンボ製カーボン・セラミック
前:398mm×223mm×36mm
後:380mm×253mm×34mm

電子制御システム
ESC スタビリティ・コントロール
ハイ・パフォーマンスABS/EBD(電子制御ブレーキ・バランス調整式)
EF1-Trac(ハイブリッド・システムと統合されたF1トラクション・コントロール)
E-Diff 3(第3世代電子制御ディファレンシャル)
SCM-E(磁性流体ダンピング・コントロール・ツイン・ソレノイド)」

ビデオの中に、エンツォとのディメンションの比較が出ていた(括弧内はエンツォ)。

・前長:4702(4702)
・全幅:1992(2035)
・軸距:2650(2650)
・全高:1116(1147)
(・出力:963PS(660PS):参考)

軸距が同じということは、基本的には同じドラビリで、全幅と全高が減った分、空気抵抗が小さくなったと考えられる。

デザインは、カッコ優先のピニンファリーナから取り上げて、社内デザインにしたという。

このクルマは、エンツォの焼き直しなのだ(カーボンボディなので、まんまかあ?)。

エンツォは、2008年8月にニュルで7分25秒03を計時している。

フィオラノのテストコース(1分20秒前後)で、5秒速かったというラフェラーリは、単純計算でいけば、ニュルでは27秒くらいは速く走れるだろう。

フィオラノは、どちらかといえばテクニカルコースなので、ニュルのような高速サーキットでは、さらに縮めてくるに違いない。

(フィオラノサーキット)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%AA%E3%83%A9%E3%83%8E%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%83%E3%83%88

シケインなしで2,976.41mのコースを1分20秒で走ったときのアベレージは、134km/hに過ぎない。

対して、全長20.832kmのニュル北コースを7分で走ったときのアベレージは、178kmに達する。

空気抵抗の低減と、パワーの増大というのは、ロジカルに考えれば高速サーキットに有利な要素である。

7分切りは当然だが、うまくいけば、6分50秒を切ってくる可能性もある。

ノーマルタイヤで6分47秒を叩き出したマクラーレンP1が、ラフェラーリのタイムを意識するのは当然だろう。

ラフェラーリの潜在能力は高いとみた。

浮沈子の予想は、6分45秒近辺である。

これでも、保守的な予想である。

ピレリPゼロの性能次第では、さらにタイムを縮めてくる可能性もある。

ロードカー開発の聖地、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェにおける21世紀のスーパースポーツの攻防を、古城ニュルブルク城は、静かに見守っている。