EFTー1 ― 2014年03月17日 13:53
EFTー1
地球の大気圏の中でのごちゃごちゃした事件ばかりに気を取られていると、人類の偉業といった大所高所からの視点を見失ってしまう。
(EFT-1)
http://ja.wikipedia.org/wiki/EFT-1
「2014年9月にデルタIV(ヘビー)に搭載してケープカナベラル空軍基地第37複合発射施設から打ち上げられる予定である。このミッションは、数時間で軌道を2周する。2周目の軌道の高遠地点と20,000mphに及ぶ高速での大気圏再突入に焦点が当てられている」(( )内、浮沈子:注)
「この飛行は、2017年末に予定されるスペース・ローンチ・システムによる最初の打上げに先駆けて、アビオニクス、熱シールド、パラシュート等を含むオリオンの様々なシステムを試験することを意図したものである」
(スペース・ローンチ・システム:SLS)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0
初めのテストは、実績のあるデルタⅣロケットで行い、本番は開発が遅れているSLSでやろうというわけだ。
(ロッキード・マーチン、オリオンの打ち上げロケット用ブースターがケープカナベラルに到着)
http://response.jp/article/2014/03/08/218724.html
「ロッキード・マーチンは3月6日、ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)のデルタIVヘビーロケット用のブースターがケープカナベラル空軍ステーションに到着することで、オリオン宇宙船の最初のテスト飛行にさらに一歩近づいたことを発表した。」
ブースターとあるが、れっきとした液体燃料ロケットで、ファルコンヘビーと同じように、本体1段目と束にして3本纏めて打ち上げようというものだ。
なぜ、固体燃料ブースターではダメなのか?。
浮沈子は詳しくないのだが、燃焼を制御できないこと、つまり、花火と同じで、トイレに行きたくなって途中で止めようと思っても出来ない、燃やし続けなければならないということなのだ。
固体燃料ブースターといえば、スペースシャトルの巨大固体燃料ブースターが、事故も含めて、余りにも有名だ。
ということは、デルタⅣヘビーも、ファルコンヘビーも、有人宇宙船の打ち上げを念頭において開発されたロケットということなわけだな。
(世界最大のロケット デルタ4ヘビー 打ち上げに成功)
http://response.jp/article/2013/08/29/205219.html
「デルタIVヘビーを凌ぐ大型ロケットとしては、スペースX社のFalcon9シリーズの『Falcon9 ヘビー』ロケットが開発中だだが、2013年中を目指すとされた試験機打ち上げはまだ行われていない。」
大きいことはいいことだ!。
しかし、有人ロケットにもスペースシャトルを初めとして、固体燃料補助ロケットが使われている。
SLSにも、固体ブースターとの組み合わせが検討されている。
「ブースター:
第1段に搭載されたエンジンが発生する出力に加えて、 第1段ロケットで飛行する最初の2分間のために、2基のブースターロケットが第1段ロケットの両側面へ追加装備される。初期の形態(ブロック0とI)のSLSでは改修型のスペースシャトル固体燃料補助ロケット(SRB)を使用し、この形態では各々4段から5段と決定されている。これらのブースターは回収されるものではなく、飛行軌道に沿って大西洋に沈むものとされている。ブロックIAおよびブロックII形態用のブースターは改良されたブースターの中から選ばれ、さらにアップグレードされたブースターが用いられる。このブースターは固体燃料または液体燃料タイプのものになる可能性がある。
スペースシャトル用のSRBを製造しているATK社は、ブロック0およびIで使用されるであろう5段式のブースターの、フルスケールかつ全行程の静的試験3件を終了した。モーターの開発(DM-1)は2009年9月10日の試験に成功した。DM-2は2010年8月31日、DM-3は2011年9月8日であった。DM-2用のモーターは中心温度が華氏40度(摂氏4度)に冷却され、DM-3用のモーターは華氏90度以上(摂氏32度以上)に加温された。他の目的に加え、これらの試験ではこうしたモーターの最大の温度での性能が確認された。
2011年6月17日、エアロジェット社は推力が海面高度で2.2MNに増強されたNK-33エンジンの国内版を開発・生産するため、テレダイン・ブラウン社との戦略的な提携を発表した。このブースターはSLS打上げ機用のシャトル派生型固体燃料ブースターと対抗し、競争するものである。」
ちなみに、最後に出てくるNK-33というのは、60年代にソ連が開発した画期的なロケットエンジンで、未だに現役どころか、「オービタル・サイエンシズが開発したアンタレスロケットでは、2基のNK-33 (AJ26-62) を第一段に使用し2段目に固体ロケットを使用している。アンタレスロケットは、2013年4月に初打ち上げに成功した。」とあるように、米国の未来の商業ロケットを担う存在である。
ソ連の技術力って、米国の50年先をいっていたんだな。
(NK-33)
http://ja.wikipedia.org/wiki/NK-33
「西側に比べてコンピューターによる設計や解析が遅れていた1960年代のソビエト連邦で既にこの水準の先進的なエンジンが開発されていた事は特筆に価する。」
コンピューターに頼りすぎて、基礎を疎かにしてきた西側の技術にこそ問題があると思うんだが。
まあいい。
ソ連の技術は、デルタⅣロケットのエンジンにも生かされている。
(RS-68 (ロケットエンジン))
http://ja.wikipedia.org/wiki/RS-68_(%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3)
「エンジンサイクルは2系統の独立したガス発生器サイクルで、燃焼室はコスト低減の為に溝が多数あるチャンネルウォール構造が使用されている。これは元々旧ソビエト連邦で開発されたもので、外側と内側をロウ付けする事で作られ、他のエンジンに使用されている従来の数百本の管を燃焼室の形状に合わせて曲げて並べてロウ付けしたチューブウォール構造に比べると重量が増えるものの、簡単でより安価に製造することができる。」とある。
「有人仕様への適合:
RS-68を有人仕様へ適合させる為に200箇所以上の変更が必要とされる。NASAは有人仕様のRS-68に監視装置や離床時の燃料過多環境の除去や冗長系の追加を含む複数の変更が必要であるとしている。」
液体燃料を使うからといって、必ずしも有人ロケットに適合しているとはいえないんだなあ。
今回のEFTー1では、地球周回軌道を数時間で2周して、高速で大気圏に再突入するだけというチンケな計画だが、広範囲なテストが組み込まれている重要なミッションであることは変わりない。
アブレーターがちゃんと機能して、宇宙船を再突入の熱から守ってくれるのかに注目だな。
従来の使い捨ての宇宙船と異なり、10回程度の再使用が想定されている。
(オリオン)
http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/orion_crew_vehicle.html
「オリオンはアポロ宇宙船に一見似たカプセル型の宇宙船ですが、アポロより大きく、内部はアポロカプセルの2.5倍の容量になっています。また、アポロ宇宙船は使い捨てでしたが、オリオンは10回程度再使用することが可能になっています。」とある。
今年の打ち上げがいつになるかの確定情報は、まだない。
(オリオン宇宙船の初打ち上げに向け、ロケットの準備進む:この記事では9月となっている)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140309-00010000-sorae_jp-sctch
(NASA slips first test flight of Orion capsule to December:12月だってさ!)
http://www.collectspace.com/news/news-031514a-orion-eft1-launch-delay.html
この手の計画は、延び延びになることが多い。
中途半端な状況で、高いオリオン宇宙船をパーにしないためにも、周到な準備を行ってもらいたいもんだな。
地球の大気圏の中でのごちゃごちゃした事件ばかりに気を取られていると、人類の偉業といった大所高所からの視点を見失ってしまう。
(EFT-1)
http://ja.wikipedia.org/wiki/EFT-1
「2014年9月にデルタIV(ヘビー)に搭載してケープカナベラル空軍基地第37複合発射施設から打ち上げられる予定である。このミッションは、数時間で軌道を2周する。2周目の軌道の高遠地点と20,000mphに及ぶ高速での大気圏再突入に焦点が当てられている」(( )内、浮沈子:注)
「この飛行は、2017年末に予定されるスペース・ローンチ・システムによる最初の打上げに先駆けて、アビオニクス、熱シールド、パラシュート等を含むオリオンの様々なシステムを試験することを意図したものである」
(スペース・ローンチ・システム:SLS)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0
初めのテストは、実績のあるデルタⅣロケットで行い、本番は開発が遅れているSLSでやろうというわけだ。
(ロッキード・マーチン、オリオンの打ち上げロケット用ブースターがケープカナベラルに到着)
http://response.jp/article/2014/03/08/218724.html
「ロッキード・マーチンは3月6日、ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)のデルタIVヘビーロケット用のブースターがケープカナベラル空軍ステーションに到着することで、オリオン宇宙船の最初のテスト飛行にさらに一歩近づいたことを発表した。」
ブースターとあるが、れっきとした液体燃料ロケットで、ファルコンヘビーと同じように、本体1段目と束にして3本纏めて打ち上げようというものだ。
なぜ、固体燃料ブースターではダメなのか?。
浮沈子は詳しくないのだが、燃焼を制御できないこと、つまり、花火と同じで、トイレに行きたくなって途中で止めようと思っても出来ない、燃やし続けなければならないということなのだ。
固体燃料ブースターといえば、スペースシャトルの巨大固体燃料ブースターが、事故も含めて、余りにも有名だ。
ということは、デルタⅣヘビーも、ファルコンヘビーも、有人宇宙船の打ち上げを念頭において開発されたロケットということなわけだな。
(世界最大のロケット デルタ4ヘビー 打ち上げに成功)
http://response.jp/article/2013/08/29/205219.html
「デルタIVヘビーを凌ぐ大型ロケットとしては、スペースX社のFalcon9シリーズの『Falcon9 ヘビー』ロケットが開発中だだが、2013年中を目指すとされた試験機打ち上げはまだ行われていない。」
大きいことはいいことだ!。
しかし、有人ロケットにもスペースシャトルを初めとして、固体燃料補助ロケットが使われている。
SLSにも、固体ブースターとの組み合わせが検討されている。
「ブースター:
第1段に搭載されたエンジンが発生する出力に加えて、 第1段ロケットで飛行する最初の2分間のために、2基のブースターロケットが第1段ロケットの両側面へ追加装備される。初期の形態(ブロック0とI)のSLSでは改修型のスペースシャトル固体燃料補助ロケット(SRB)を使用し、この形態では各々4段から5段と決定されている。これらのブースターは回収されるものではなく、飛行軌道に沿って大西洋に沈むものとされている。ブロックIAおよびブロックII形態用のブースターは改良されたブースターの中から選ばれ、さらにアップグレードされたブースターが用いられる。このブースターは固体燃料または液体燃料タイプのものになる可能性がある。
スペースシャトル用のSRBを製造しているATK社は、ブロック0およびIで使用されるであろう5段式のブースターの、フルスケールかつ全行程の静的試験3件を終了した。モーターの開発(DM-1)は2009年9月10日の試験に成功した。DM-2は2010年8月31日、DM-3は2011年9月8日であった。DM-2用のモーターは中心温度が華氏40度(摂氏4度)に冷却され、DM-3用のモーターは華氏90度以上(摂氏32度以上)に加温された。他の目的に加え、これらの試験ではこうしたモーターの最大の温度での性能が確認された。
2011年6月17日、エアロジェット社は推力が海面高度で2.2MNに増強されたNK-33エンジンの国内版を開発・生産するため、テレダイン・ブラウン社との戦略的な提携を発表した。このブースターはSLS打上げ機用のシャトル派生型固体燃料ブースターと対抗し、競争するものである。」
ちなみに、最後に出てくるNK-33というのは、60年代にソ連が開発した画期的なロケットエンジンで、未だに現役どころか、「オービタル・サイエンシズが開発したアンタレスロケットでは、2基のNK-33 (AJ26-62) を第一段に使用し2段目に固体ロケットを使用している。アンタレスロケットは、2013年4月に初打ち上げに成功した。」とあるように、米国の未来の商業ロケットを担う存在である。
ソ連の技術力って、米国の50年先をいっていたんだな。
(NK-33)
http://ja.wikipedia.org/wiki/NK-33
「西側に比べてコンピューターによる設計や解析が遅れていた1960年代のソビエト連邦で既にこの水準の先進的なエンジンが開発されていた事は特筆に価する。」
コンピューターに頼りすぎて、基礎を疎かにしてきた西側の技術にこそ問題があると思うんだが。
まあいい。
ソ連の技術は、デルタⅣロケットのエンジンにも生かされている。
(RS-68 (ロケットエンジン))
http://ja.wikipedia.org/wiki/RS-68_(%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3)
「エンジンサイクルは2系統の独立したガス発生器サイクルで、燃焼室はコスト低減の為に溝が多数あるチャンネルウォール構造が使用されている。これは元々旧ソビエト連邦で開発されたもので、外側と内側をロウ付けする事で作られ、他のエンジンに使用されている従来の数百本の管を燃焼室の形状に合わせて曲げて並べてロウ付けしたチューブウォール構造に比べると重量が増えるものの、簡単でより安価に製造することができる。」とある。
「有人仕様への適合:
RS-68を有人仕様へ適合させる為に200箇所以上の変更が必要とされる。NASAは有人仕様のRS-68に監視装置や離床時の燃料過多環境の除去や冗長系の追加を含む複数の変更が必要であるとしている。」
液体燃料を使うからといって、必ずしも有人ロケットに適合しているとはいえないんだなあ。
今回のEFTー1では、地球周回軌道を数時間で2周して、高速で大気圏に再突入するだけというチンケな計画だが、広範囲なテストが組み込まれている重要なミッションであることは変わりない。
アブレーターがちゃんと機能して、宇宙船を再突入の熱から守ってくれるのかに注目だな。
従来の使い捨ての宇宙船と異なり、10回程度の再使用が想定されている。
(オリオン)
http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/orion_crew_vehicle.html
「オリオンはアポロ宇宙船に一見似たカプセル型の宇宙船ですが、アポロより大きく、内部はアポロカプセルの2.5倍の容量になっています。また、アポロ宇宙船は使い捨てでしたが、オリオンは10回程度再使用することが可能になっています。」とある。
今年の打ち上げがいつになるかの確定情報は、まだない。
(オリオン宇宙船の初打ち上げに向け、ロケットの準備進む:この記事では9月となっている)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140309-00010000-sorae_jp-sctch
(NASA slips first test flight of Orion capsule to December:12月だってさ!)
http://www.collectspace.com/news/news-031514a-orion-eft1-launch-delay.html
この手の計画は、延び延びになることが多い。
中途半端な状況で、高いオリオン宇宙船をパーにしないためにも、周到な準備を行ってもらいたいもんだな。
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