予測 ― 2014年09月17日 06:34
予測
米国上陸を示唆する予測があるという。
(米国で10月にエボラウイルス流入の可能性が20% 感染症流行モデルからみた見解)
http://news.livedoor.com/article/detail/9257764/
「米ノースイースタン大学とフレッド・ハッチンソン癌研究センターによると、感染症流行モデルから見れば、西アフリカはエボラ出血熱の感染が更に拡大する可能性がある。9月末にエボラ出血熱と疑われる例、または確認された感染例は現在の2倍以上に達する。9月24日前後に疑われる例、または確認された感染例は1万人に上り、今後数千人も増加すると予測された。」
まあ、ここまでは、想定の範囲内だ。
「ノースイースタン大学のAlessandro Vespignani教授によると、現在は正念場に当たる。エボラ出血熱の感染者数が更に増加するが、制御不能な状態が続いていけば、どんな措置を取っても手遅れになる。世界保健機関(WHO)の幹部によると、エボラウイルスの感染者数は2万人に達するという。だが感染症流行モデルを見れば、実際の感染者数がWHOの予測を上回る可能性がある。」
この話も、既に聞き飽きている。
「Wiredサイトの報道によると、最悪な場合、2014年末時点でエボラ出血熱の感染者数が27万7000人まで増加する可能性があるという。」
これは、このブログでも既に取り上げた。
(28万人)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/09/12/7433498
しかし、海外に伝播する可能性を予測した記事はなかった。
「感染症流行モデルによると、9月末にエボラウイルスがイギリスに流入する確率は25%、アメリカに流入する確率は18%だった。」
なんか、適当なヨタ話じゃないのかあ?。
(Alessandro Vespignani)
http://en.wikipedia.org/wiki/Alessandro_Vespignani
数理物理学が専門の、イタリア野郎だ。
拡散モデルとか使って、適当に変数を弄くって遊んでるんだろう。
記事の中では9月に流入する確率しか述べていないのに、記事のタイトルでは10月の確率に言及している。
まあ、新華ニュースなので、仕方ないか・・・。
(Assessing the International Spreading Risk Associated with the 2014 West African Ebola Outbreak:原論文)
http://currents.plos.org/outbreaks/article/assessing-the-international-spreading-risk-associated-with-the-2014-west-african-ebola-outbreak/
(Disease modelers project a rapidly rising toll from Ebola:上記の原論文を取り上げた記事)
http://news.sciencemag.org/health/2014/08/disease-modelers-project-rapidly-rising-toll-ebola
原論文の中には、図3として「Risk of EVD case importation」というのがあって、確かに9月22日(9月末ではない)に英国が25パーセント越えで、米国が、まあ、20パーセント弱かな、という感じに書かれている。
もちろん、10月なんて話はどこにもない。
まあ、どうでもいいんですが。
「現在は正念場に当たる。エボラ出血熱の感染者数が更に増加するが、制御不能な状態が続いていけば、どんな措置を取っても手遅れになる。」
数値予測の専門家たちは、何の躊躇いもなく、モデルが弾き出した予想を発表する。
ヤツラには、ビビリってもんがないんだな。
科学は、冷徹な学問で、合理性が求められる。
こうあって欲しくないとか、そうならないように、さじ加減で数字を弄ることはしない(たぶん)。
製薬会社から資金提供を受けていたりすると、逆に、ちっと増やしとこうかというインセンティブが働くかもしれないが、原論文の中では、そういうひも付きの金はもらっていないといっている。
どんな措置を取っても手遅れになったら、一体、どういうことになるのか。
シミュレーションはゼオンプロセッサーを使って、12時間かけて行ったという。
「For instance, on an Intel Xeon Processor E5-2430 (6 cores @ 2.20GHz), simulating 1,000 realizations with 100 time steps in each one, for 108 different values of the parameters, took about 12 hours.」
そんなちんたらしたスピードで、エボラの感染速度に追いつけると思ってんのかあ、あん?。
まあいい。
国防総省のスパコンでも使って、自然終息までの、過酷なシミュレーションでもやってもらいたいもんだ。
海外伝播のリスクは、エボラの真のリスクだ。
それを、明確な形で示したのがこのシミュレーションである。
捕捉され、管理される程度で留められればラッキーだが、そんな保障はどこにもない。
9月24日に1万人達成記念(!)というのは、浮沈子の想定よりやや早いが、この辺りは微妙なところだ。
数理モデルの場合、パラメーターをどうとるかで、結果は異なってくる。
「感染パラメータ:値(一部省略)
・潜伏期間:7日
・発症から入院まで:5日
・発症から死亡まで:9.6日間
・生存者の発症から快癒まで:10日
・死亡から伝統的な埋葬まで:2日
・入院中の症例の割合:80%
・致死率:55%
・生存者の入院期間:5日
・入院から死亡まで:4.6日間」
ざっと、こんな感じかあ?。
この数値をこれまでの報告に当て嵌めて、チェック(キャリブレーション)しているわけだから、実際の平均的なエボラの臨床像と近いものになっているのだろう。
これからは、入院できない症例が激増することになる。
このパラメーターも、通用しなくなるわけで、医療資源の投入という要素を動的に外挿し得るモデルが必要だろう。
追いかけるだけではダメだ。
追いすがるだけでも足りない。
完全に追い付き、追い越さなければならない。
画像は、このシミュレーションのグラフである。
報告されている数字だけ見ると、ほぼ、このグラフの中心線に沿った推移になっている。
しかし、隠れた感染者を想起すれば、グラフの変動幅を越える推移になるだろう。
ゼオンプロセッサーなんか使ってる場合じゃあ、ないんじゃね?。
米国上陸を示唆する予測があるという。
(米国で10月にエボラウイルス流入の可能性が20% 感染症流行モデルからみた見解)
http://news.livedoor.com/article/detail/9257764/
「米ノースイースタン大学とフレッド・ハッチンソン癌研究センターによると、感染症流行モデルから見れば、西アフリカはエボラ出血熱の感染が更に拡大する可能性がある。9月末にエボラ出血熱と疑われる例、または確認された感染例は現在の2倍以上に達する。9月24日前後に疑われる例、または確認された感染例は1万人に上り、今後数千人も増加すると予測された。」
まあ、ここまでは、想定の範囲内だ。
「ノースイースタン大学のAlessandro Vespignani教授によると、現在は正念場に当たる。エボラ出血熱の感染者数が更に増加するが、制御不能な状態が続いていけば、どんな措置を取っても手遅れになる。世界保健機関(WHO)の幹部によると、エボラウイルスの感染者数は2万人に達するという。だが感染症流行モデルを見れば、実際の感染者数がWHOの予測を上回る可能性がある。」
この話も、既に聞き飽きている。
「Wiredサイトの報道によると、最悪な場合、2014年末時点でエボラ出血熱の感染者数が27万7000人まで増加する可能性があるという。」
これは、このブログでも既に取り上げた。
(28万人)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/09/12/7433498
しかし、海外に伝播する可能性を予測した記事はなかった。
「感染症流行モデルによると、9月末にエボラウイルスがイギリスに流入する確率は25%、アメリカに流入する確率は18%だった。」
なんか、適当なヨタ話じゃないのかあ?。
(Alessandro Vespignani)
http://en.wikipedia.org/wiki/Alessandro_Vespignani
数理物理学が専門の、イタリア野郎だ。
拡散モデルとか使って、適当に変数を弄くって遊んでるんだろう。
記事の中では9月に流入する確率しか述べていないのに、記事のタイトルでは10月の確率に言及している。
まあ、新華ニュースなので、仕方ないか・・・。
(Assessing the International Spreading Risk Associated with the 2014 West African Ebola Outbreak:原論文)
http://currents.plos.org/outbreaks/article/assessing-the-international-spreading-risk-associated-with-the-2014-west-african-ebola-outbreak/
(Disease modelers project a rapidly rising toll from Ebola:上記の原論文を取り上げた記事)
http://news.sciencemag.org/health/2014/08/disease-modelers-project-rapidly-rising-toll-ebola
原論文の中には、図3として「Risk of EVD case importation」というのがあって、確かに9月22日(9月末ではない)に英国が25パーセント越えで、米国が、まあ、20パーセント弱かな、という感じに書かれている。
もちろん、10月なんて話はどこにもない。
まあ、どうでもいいんですが。
「現在は正念場に当たる。エボラ出血熱の感染者数が更に増加するが、制御不能な状態が続いていけば、どんな措置を取っても手遅れになる。」
数値予測の専門家たちは、何の躊躇いもなく、モデルが弾き出した予想を発表する。
ヤツラには、ビビリってもんがないんだな。
科学は、冷徹な学問で、合理性が求められる。
こうあって欲しくないとか、そうならないように、さじ加減で数字を弄ることはしない(たぶん)。
製薬会社から資金提供を受けていたりすると、逆に、ちっと増やしとこうかというインセンティブが働くかもしれないが、原論文の中では、そういうひも付きの金はもらっていないといっている。
どんな措置を取っても手遅れになったら、一体、どういうことになるのか。
シミュレーションはゼオンプロセッサーを使って、12時間かけて行ったという。
「For instance, on an Intel Xeon Processor E5-2430 (6 cores @ 2.20GHz), simulating 1,000 realizations with 100 time steps in each one, for 108 different values of the parameters, took about 12 hours.」
そんなちんたらしたスピードで、エボラの感染速度に追いつけると思ってんのかあ、あん?。
まあいい。
国防総省のスパコンでも使って、自然終息までの、過酷なシミュレーションでもやってもらいたいもんだ。
海外伝播のリスクは、エボラの真のリスクだ。
それを、明確な形で示したのがこのシミュレーションである。
捕捉され、管理される程度で留められればラッキーだが、そんな保障はどこにもない。
9月24日に1万人達成記念(!)というのは、浮沈子の想定よりやや早いが、この辺りは微妙なところだ。
数理モデルの場合、パラメーターをどうとるかで、結果は異なってくる。
「感染パラメータ:値(一部省略)
・潜伏期間:7日
・発症から入院まで:5日
・発症から死亡まで:9.6日間
・生存者の発症から快癒まで:10日
・死亡から伝統的な埋葬まで:2日
・入院中の症例の割合:80%
・致死率:55%
・生存者の入院期間:5日
・入院から死亡まで:4.6日間」
ざっと、こんな感じかあ?。
この数値をこれまでの報告に当て嵌めて、チェック(キャリブレーション)しているわけだから、実際の平均的なエボラの臨床像と近いものになっているのだろう。
これからは、入院できない症例が激増することになる。
このパラメーターも、通用しなくなるわけで、医療資源の投入という要素を動的に外挿し得るモデルが必要だろう。
追いかけるだけではダメだ。
追いすがるだけでも足りない。
完全に追い付き、追い越さなければならない。
画像は、このシミュレーションのグラフである。
報告されている数字だけ見ると、ほぼ、このグラフの中心線に沿った推移になっている。
しかし、隠れた感染者を想起すれば、グラフの変動幅を越える推移になるだろう。
ゼオンプロセッサーなんか使ってる場合じゃあ、ないんじゃね?。
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