フルデプス2017年09月02日 17:26

フルデプス
フルデプス


地球の海の最深部、マリアナ海溝のチャレンジャー海淵は、1万メートルを超える深さだ。

(チャレンジャー海淵)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%E6%B5%B7%E6%B7%B5

「地球にある海洋の海底最深部でもある。」

「最新の計測では水面下10,911mとされ、地球上で最も深い海底凹地(海淵)である。」

「2017年8月27日、日本のNHKは、海洋研究開発機構(JAMSTEC)のチャレンジャー海淵調査時の映像をテレビ番組「DEEP OCEAN超深海/地球最深(フルデプス)への挑戦」で放映した。」

(超深海 地球最深(フルデプス)への挑戦)
https://www.nhk.or.jp/darwin/feature/deepsea/deepocean3/

例によって、いつまで見られるか分からないが、浮沈子はネットで鑑賞した。

(NHKスペシャル 170827 2017年8月27日 「シリーズ ディープ・オーシャン 超深海 地球最深(フルデプス)への挑戦」)
https://www.youtube.com/watch?v=YW2D24eus78&t=744s

どうやら、この撮影で使われたUROVという探査機は、事故で失われたらしい。

(UROVシステム試験機のビークル回収断念について)
http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20170519_2/

「作動確認等の試験終了後に、UROVのビークルが水深5,320mの海中から浮上できない状況となりました。その後、ビークルの回収を試みましたが、本日回収を断念することとしましたのでお知らせいたします。」

「※1 UROV(Untethered Remotely Operated Vehicle)
細径ケーブル式遠隔操作型無人機。ROV(Remotely Operated Vehicle、遠隔操作型無人機)の中で、動力源となる電池を機体内に搭載し、母船あるいはランチャーとビークルは細い径の光ファイバーケーブル1本で結ばれているもの。」

うーん、番組の中でも、切り離しの際に光ファイバーケーブルが切れる話が出てきたりして、「心臓に悪い」探査機だな。

浮沈子は、かいこうの喪失事故を思い出していた。

(無人探査機「かいこう」)
http://www.jamstec.go.jp/j/about/equipment/ships/kaiko.html

「2003年5月 四国沖で調査中、2次ケーブルの破断事故によりビークルを失う。」

げんざいの「かいこう」は、実質的に四代目ということになる。

・二代目:
2004年5月 無人探査機「UROV7K」を改造し、「かいこう7000」のビークルとして運用を再開。

・三代目:
2006年4月 新たに「かいこう7000II」を建造し、運用を開始した。

・四代目:
2013年11月 新たに無人探査機を建造し、「かいこう Mk-IV」(かいこう マークフォー)と名称を決定した。

システムとしては、UROVシステムと同じような感じだけどな。

NHKの収録との関係は良く分からないが、同時期に失われたことになる。

つーか、撮影後は、一切上がらなかったんじゃないのかあ?(未確認)。

揚収シーンは、映ってないし。

そう思って見ると、感慨もひとしおだな・・・。

まあいい。

試験機の位置づけだから、喪失は想定の範囲内なんだろう。

JAXAの電柱ロケットと同じだ。

フルデプスへの潜降が、チャレンジングであることは間違いない。

何たって、チャレンジャー海淵だからな。

(HMS Challenger (1858))
https://en.wikipedia.org/wiki/HMS_Challenger_(1858)

「The Challenger's crew was the first to sound the deepest part of the ocean, thereafter named the Challenger Deep.」

ちなみに、ここでのサウンドは、測深するという意味。

まあ、どうでもいいんですが。

現在、有人で潜水艇を作ることも検討されているらしいが、かなりリスクが高い感じだな。

生物のたんぱく質に水圧が作用して、その機能を奪ってしまう程の深さだ。

その水圧に対応した生物が住んでいるというのも、考えてみれば驚異だ。

本当にサカナがいたのか、それとも、何か別の生物だったのかは、今後の研究に委ねられている。

しかし、何だな、結局、当分の間は、探査機がないわけだからな。

調査もクソもあったもんじゃない。

現行では、かいこうマーク4の7000mが、我が国における探査機の最大深度ということになる。

ここは、じっくりと構えて、ベストな選択をすべきだろうな。

宇宙と違って、海底は有限だ。

まあ、そのうち、他の天体の海に探査機を送るようになって、1000km位の深さの海に潜らなきゃならなくなるかもしれないけどな(地球の海は、せいぜい11km)。

地球のフルデプスだけが、海洋開発のゴールじゃないってことよ・・・。

チャレンジャー海淵の怪2017年09月02日 23:46

チャレンジャー海淵の怪
チャレンジャー海淵の怪


(フルデプス)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2017/09/02/8666946

チャレンジャー海淵が、世界最深の海であることは、すでに書いた。

この深海は、何度か探査されている。

・1960年1月23日
トリエステ号(米国海軍)→退役・解体
ジャック・ピカール、ドン・ウォルシュ

・1995年3月24日
かいこう(海洋研究開発機構)→喪失

・2008年6月3日
ABISMO(後にUROVシステム試験機に改造)(海洋研究開発機構)→喪失

・2009年5月31日
ネーレウス(ウッズホール海洋研究所)→大破

・2012年3月26日
ディープシーチャレンジャー(オーストラリアで建造)→陸上輸送中に全損
ジェームズ・キャメロン

極限の環境で使用される機械だからな。

数奇な運命を辿るのも無理はない。

まともに引退できたのは、最初に有人で潜ったトリエステ号だけだ。

チャレンジャー海淵の最深部に潜った探査艇は、ことごとく失われてしまった。

現在、この深度に達することが出来る探査艇は、有人・無人を問わず、この世に1隻も存在しない。

(深海探査艇)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B7%B1%E6%B5%B7%E6%8E%A2%E6%9F%BB%E8%89%87

・蛟竜(中国):7000m
・しんかい6500(日本):6500m
・かいこう マーク4(日本):7000m
・ノティール(フランス):6000m
・アルビン号(米国):6500m
・ミール(1、2)(ロシア):6000m

世界の海の殆ど(98パーセント)は、これらの探査艇で潜ることが出来るから、実質的に不自由はないし、海溝の底に有用な海底資源があるわけでもないから、べつにフルデプスで潜れなくても支障はないんだろう。

そして、そこに潜った探査艇が、ことごとくお釈迦になっているということもあるしな。

金をドブ(海溝)に捨てるようなもんだ・・・。

世界の主な海溝は以下の通り。

(海溝:主な海溝)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E6%BA%9D#.E4.B8.BB.E3.81.AA.E6.B5.B7.E6.BA.9D

「海溝:場所:深さ
・マリアナ海溝:太平洋:10,924m(世界最深)
・トンガ海溝:太平洋:10,882m
・フィリピン海溝:太平洋:10,057m
・ケルマデック海溝:太平洋:10,047m
・伊豆・小笠原海溝:太平洋:9,780m
・千島・カムチャツカ海溝:太平洋:9,550m
・ニューヘブリデス海溝:太平洋:9,175m
・ヤップ海溝:太平洋:8,946m
・プエルトリコ海溝:大西洋:8,605m
・サウスサンドウィッチ海溝:大西洋:8,428m
・チリ海溝:太平洋:8,170m
・日本海溝:太平洋:8,020m
・アリューシャン海溝:太平洋:7,679m
・琉球(南西諸島)海溝:太平洋:7,507m
・ジャワ(インドネシア/スンダ)海溝:インド洋:7,125m
・中央アメリカ海溝:太平洋:6,669m
(理科年表 平成19年版より)」

探査艇で最深部に到達できるのは、ほぼ皆無だ。

殆どが太平洋西側にあるな。

我が国は、そういう環境にありながら、科学研究としての深海探査艇に熱心とは言えないな。

つーか、志が低いように感じる。

中途半端な深度の探査艇を数打つよりも、ビシッと、有無を言わせぬ世界一を作って、周囲を黙らせるのがよろしい。

可能なら有人探査艇が望ましいが、緊縮財政の折、ひとまず、無人機で確実な運用を確立するのが先だろう。

5月にUROVを喪失したのは、返す返すも残念な限りだ。

高精細カメラをたくさん付けて、無人機を送り込むのが今後の流れになるような気がする。

有人探査艇は、それでなくても金が掛かるし、リスクも高い。

しんかい12000については、このブログでも触れた。

(しんかい12000)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2017/06/23/8602696

「海洋研究開発機構は2020年代後半の完成を目指している」

「うーん、だんだん豪華絢爛になっていく感じだな。」

究極的には、こんなのもいいかも知れないが、まずは無人機だろう。

自律性を高めたり、冗長性を持たせるなどして、簡単にロストしないようなやつを運用してもらいたいもんだな。

画像解析や人工知能でもって、リアルタイムに画像を送信しなくても、研究者並みの成果を持ち帰ってもらいたいもんだ。

そう、求められているのは、研究者の代わりになるような深海探査ロボットなのだ。

そういうやつを、10機くらい作って、バンバン潜らせる(10機作っても、コスト的には、有人機よりも安いだろう)。

圧壊して中の生卵(=人間)が潰れてしまうような有人探査艇ではできないような、クリティカルな運用にも耐えられるようにする。

それでも、どーしても人間が潜りたいという要求はあるに違いない。

国家の威信とか、技術の継承とか、理由は何とでも付けられる。

人間の第六感に頼る発見も、中にはあるかもしれない。

暗黒の深海の中、ライトに照らされたわずかの範囲の向こうに横たわる漆黒の闇に蠢く怪しい生物や、想定を超えた地形、地質、潮流現象などなど。

片っ端から失われていく、有人無人の探査艇。

チャレンジャー海淵には、呪いが掛かっているのかもしれない。

ここに潜るには、それなりの覚悟が必要なのだ。

地球最深部の海底には、サカナがいるんだろうか?。

ナマコとエビだけじゃあな(単細胞生物は180種類くらいいるらしいが)。

ニッチな研究エリアだが、何かが大化けしないとも限らない。

深海生物が獲得した能力が、我々の生活を飛躍的に改善することだって、皆無とは言えまい(まあ、あんま期待できないけどな)。

少なくとも、火星に行くよりは実現可能性はあるし、未知の要素にも事欠かない。

短い時間の観察ではなく、長期に渡る観測についても、これからの課題だ。

高感度高精細カメラと高効率の照明、大容量バッテリーを使った、深海長期観測なんて、ちょっとドキドキする。

そういうのは、もちろんロボットの仕事だ。

やっぱ、無人機優先でいいんじゃなかろうか?。

所詮、生卵な人間は、豪華なロビーが付いた快適な船上で、美味いもん食いながら、試料やデータの解析を行い、ロボットに指令を出すのが相応しいような気がする。

広大な海を、網羅的、継続的に3次元で調べるのに、人間がいちいち潜っていたのではキリがない。

そのうち、母船自体がロボット化されて、データも衛星経由で送られてくるようになるに違いない。

人間のやることは、船の修理や探査機の修理開発程度だな。

チャレンジャー海淵が、手のひらのように分かるのも時間の問題になるだろう。

世界の海は、深く、そして広い。

まだまだ、分からないことだらけだ。

人間が直接潜って探査できる範囲は、限られている。

10台どころではなく、100台でも、1000台でも欲しいところだ。

そんな未来に繋がる探査を続けてもらいたいもんだな・・・。

ミサイルの次は核実験2017年09月03日 21:12

ミサイルの次は核実験


久しぶりに秋葉原に出かけたら、午後、朝鮮半島北部で地震があり、どうやら北朝鮮が核実験を行った模様だという。

(爆発規模は過去最大70キロトン?「水爆の可能性否定できず」小野寺五典防衛相)
http://www.sankei.com/world/news/170903/wor1709030049-n1.html

「過去の核実験に比べてはるかに大きなものだと認識している。水爆実験だということも否定できない」

「CTBTO(包括的核実験禁止条約機構)が初期値として発表したマグニチュード(M)5・8を基準に推定すれば、今回の核実験の推定出力は約70キロトンになると考えられる」

水爆の開発については、このブログでも取り上げたことがある。

(水素弾)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2015/12/11/7945072

「国名:原爆実験:水爆実験:期間
・米国:1945:1952:7年
・ソ連:1949:1955:6年
・英国:1952:1957:5年
・仏国:1960:1966:5年
・中国:1964:1967:3年」

北朝鮮の核実験については、纏められたウィキがある。

(北朝鮮の核実験)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E6%9C%9D%E9%AE%AE%E3%81%AE%E6%A0%B8%E5%AE%9F%E9%A8%93

「北朝鮮の核実験 (2006年10月)
北朝鮮の核実験 (2009年5月)
北朝鮮の核実験 (2013年2月)
北朝鮮の核実験 (2016年1月)
北朝鮮の核実験 (2016年9月)
北朝鮮の核実験 (2017年9月)」

開発のスピードが加速していることが分かる。

核爆発の威力は、実際には100キロトンを超えているだろうな。

これは、米国の核ミサイルに搭載されている弾頭と同程度だ。

(戦後70年で核兵器はここまで威力を増している(インフォグラフィック))
http://www.huffingtonpost.jp/2015/08/06/biggest-nuclear-bomb-was-three-thousand-times-more-powerful_n_7953404.html

「アメリカ海軍の原子力潜水艦に搭載されているトライデント・ミサイルが運べる核弾頭は、平均で100キロトン前後と言われている。」

北朝鮮は、そういう核弾頭を手にしたということになる。

大きさとかは分からないけどな。

北朝鮮が主張するように、ミサイルに搭載されることになれば、再突入は直ぐには無理でも、高高度爆発による電磁波攻撃は可能となる。

(「水爆弾頭化」誇示=ICBM開発で北朝鮮-電磁パルス攻撃に初言及)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2017090300114&g=prk

「開発した核弾頭について、電子機器をまひさせる電磁パルス(EMP)攻撃も可能な多機能弾頭と伝えた。北朝鮮がEMP爆弾を開発している可能性は指摘されていたが、当局が公式に認めたのは初めて。」

呑気にブログ書いていられるのも、今のうちだろうな。

まあ、ハッタリという可能性がないでもないが、爆発の威力が、従来の10倍くらいになったことは疑う余地はなく、水爆である可能性も否定できなくなった。

ここまでは、想定の範囲内で、可搬性がある弾頭を開発できたかどうかは議論の余地がある。

今後、何度か地下実験を繰り返して安定した性能を引き出すめどがつけば、再突入試験や、実際の空中核爆発実験も行うかもしれない。

中国やロシアの面子は丸潰れだ。

もう、誰も、お坊ちゃま君の暴走を止めることは出来ない。

行くところまで行くしかないだろう。

このところ、頻繁に米国大統領とコンタクトを取っていた我が国の首相は、外交、経済的手段による核実験の抑止に失敗したことになる。

(トランプ米国大統領との電話会談についての会見)
http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/actions/201709/03kaiken.html

「今後、日米韓、しっかりと連携しながら、さらには国際社会とともに、緊密に協力して北朝鮮に対する圧力を高め、北朝鮮の政策を変えさせていかなければならない、その点で完全に一致したところであります。」

その数時間後に、水爆実験が行われたわけだからな。

(「挑発抑止へさらに圧力を」 日米首脳が電話協議)
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFK03H0S_T00C17A9000000/

「月内にニューヨークで開く国連総会の場で日米首脳会談」

頭の痛い話だ。

せいぜい頑張ってもらわなければならない。

米国大統領の本音が、日韓を切り捨てて、米国第一主義に突っ走ろうとしている中、タイトロープを渡りつつ、ソフトランディングさせるのは困難を極める。

核兵器の廃止、ミサイル開発の凍結は、北朝鮮にとっては国家の存亡にかかわる。

(万景峰、ロシアが入港拒否 制裁影響で使用料払えず…北朝鮮定期航路廃止も)
http://www.sankei.com/world/news/170902/wor1709020014-n1.html

「ロシアの港湾当局が8月下旬、港湾使用料の未払いを理由に、入港拒否を通告したことが2日、分かった。」

象徴的だが、全体に与える影響は軽微だ。

この船を使わなくても、別にルートはいくらでもある。

浮沈子は、実質的な影響はないのではないかと見ている。

日米韓が、いくら制裁のために団結しても、中露が本気で締めあげない限り、効果はない。

そして、おそらく、そんなことは出来ないんだろう。

北朝鮮を切るということは、同盟国を見捨てることだからな。

他国に対しての影響が大きい。

冷戦の後遺症を引きずりながら、大国の思惑に振り回されてきた小国の最後っ屁を食らいながら、始末に困っているに違いない。

さて、どうしたものか。

例によって、直接的な影響評価のみを行い、過小評価を公表し、問題を先送りにするに留まるに違いない。

そうしろということではないけど、米国本土の鼻先で核爆発でも起こさない限り、実は米国自身も動きが取れない(たぶん)。

実力を行使しない限り、北朝鮮の核開発とミサイル開発を阻止できないということが明らかになった時、最悪の事態が起こるだろう。

中国も、ロシアも、既に制御不能の状態なのではないか。

そういった状況下で、我が国は指をくわえて眺めているしかないんだろう。

予定では、来年も核実験が行われることは間違いない(そうなのかあ?)。

弾道ミサイル実験は、我が国を飛び越えて、太平洋に落ちるようになっていく。

中国からの経済支援と、ロシアからの技術支援は続いていくんだろう。

米国が嫌気を差して撤退すれば、儲けもんだからな。

中露は、それを狙っている。

我が国は蚊帳の外だ。

あと数年は、こんな感じか。

そこまで、持つかな・・・。

対岸の火事2017年09月04日 18:36

対岸の火事
対岸の火事


我が国には、北朝鮮に武力進攻しようとする意図はない(たぶん)。

歴史の中で幾度かそうしたことはあったけど、現在はそういう政治的意図はないだろう。

北朝鮮が、核保有国となり、その運搬手段を確保した時、我が国はどうするのか。

米国では、核保有国として認めたうえで、使用させないようにする方策を検討しているという。

(トランプ氏手詰まり感 「対話はうまくいかない」)
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/world/article/355808/

「北朝鮮を核保有国として認めた上で、核ミサイルを発射させない対応を考えるべきではないか」

「核抑止の観点から韓国への核再配備の可能性が高まり、東アジア全体の安全保障環境の緊迫化や不安定化を招く」

再配備というところがポイントだな。

かつて、朝鮮半島には、米国が持ち込んだ核兵器があった。

(在韓米軍への核再配備を検討 米NSC、大統領に提案)
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM08H88_Y7A400C1MM8000/

「在韓米軍には約1000発の戦術核兵器を配備していたとされる。91年9月にブッシュ米大統領(父、当時)が戦術核の撤収を表明した。」

この記事では、中国への外交カードとしての再配備について書かれているが、まさか、中国が北朝鮮を自国の核兵器で攻撃するとは考えられないからな。

「中国が我々とともに行動しないのなら、米国は単独で対応する用意がある」

「核兵器の再配備先としては、ソウル南方にある烏山(オサン)空軍基地が候補に挙がっている。」

ちょっと近過ぎるような気もするけどな。

(烏山空軍基地)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%83%8F%E5%B1%B1%E7%A9%BA%E8%BB%8D%E5%9F%BA%E5%9C%B0

「ソウルの南方、約40kmのところの平沢市近郊に所在する。」

もちろん、北朝鮮に対して近いということもあるが、中国に対して近過ぎる。

現在の中国の指導者たちが、この再配備を受け入れるのは困難だろう。

かといって、北朝鮮を言うとおりにさせる力は最早ない。

サードミサイルの配備に対しても、猛反発したわけだしな。

核兵器なんて持ち込もうとしたら、それこそ、大騒ぎするだろう。

我が国は、非核三原則を国是として、一応、建前としては、核兵器の配備を許していない(たぶん)。

まあ、持ち込まれてたかもしれないし、領海や領土、領空の通過はあったかもしれないが、公式に認めたことはない。

唯一の戦争被爆国(核実験による被ばくは、米ソはじめ、世界中であるからな)として、核兵器を自ら保有するという選択肢もない(たぶん?)。

可能性としてあるのは、有事の際の持ち込みを認めるということだ。

平時は、核兵器はないけど、戦時には配備可能にする。

何事もなければ、核兵器はないわけだから、非核三原則に抵触することもない(そうなのかあ?)。

従来から、有事の際の米軍の核兵器の持ち込みは、何かと話題になっている。

(日米核持ち込み問題)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E7%B1%B3%E6%A0%B8%E6%8C%81%E3%81%A1%E8%BE%BC%E3%81%BF%E5%95%8F%E9%A1%8C#cite_note-17

公式調査も行われたようだしな。

実態としての核持ち込みがあったことは、今では周知となっている。

「第2次安倍内閣発足後の2014年(平成26年)1月31日、首相安倍晋三は衆議院予算委員会で密約について岡田の指摘を受け「政府が否定し続けて来たのは誤りだった」と、密約の存在を正式に認め・・・」

今回は、密約などという怪しいことはせずに、堂々と約束するのではないか。

朝鮮半島非核化を堅持し、北朝鮮に対するにらみを強化し、実質的には何の変更もなく、おそらく費用も掛からない。

まあな、ホワイトマン基地から、直接B-2爆撃機を飛ばせばいいだけだからな。

(B-2 (航空機))
https://ja.wikipedia.org/wiki/B-2_(%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)

「配備状況:

・第509爆撃航空団 (509th Bomb Wing)、ホワイトマン空軍基地(ミズーリ州)
第13爆撃飛行隊 (13th Bomb Squadron)
第393爆撃飛行隊 (393rd Bomb Squadron)
第394戦闘訓練飛行隊 (394th Combat Training Squadron)

・第53航空団 (53rd Wing):エグリン空軍基地(フロリダ州)
第72試験評価飛行隊 (72nd Test and Evaluation Squadron):ホワイトマン空軍基地(ミズーリ州)

・第57航空団 (57th Wing):ネリス空軍基地(ネバダ州)
第325兵器飛行隊 (325th Weapons Squadron):ホワイトマン空軍基地(ミズーリ州)」

なんだ、結局、全部ホワイトマン空軍基地なんじゃん!?。

この他にも、一時的に駐機することが出来る格納庫は、グアムのアンダーセンやインド洋のディエゴガルシアにもある。

エアコン完備、塵一つないクリーンな環境なんだそうだ。

そうじゃないと、ステルスできないらしい(未確認)。

だから、戦略的には、別に我が国に核兵器なんて持ち込まなくても、十分対応できるんだろう。

しかし、情況の変化に応じて、今までとは違う何かをやらなければならなくなった時に、我が国への米軍の核兵器の有事持ち込みの話が表面化する可能性はある。

それとも、今後も密約のままで行くんだろうか?。

「国民が「理解し得るかどうか、という中での判断だったのだろう」と答弁」

韓国の状況、我が国の状況、米国の状況など、総合的に判断していかなければならないだろうが、オサン基地への持ち込みよりは、抵抗が少ないのではないか。

もちろん、常時配備ということになれば、別の問題が生じる。

それは、もう、検討の範囲を超えるだろう。

超えるのかあ?。

グアムが狙われるくらいだからな。

我が国に配備されるとしても、どこにあるかは明らかにはされないだろう。

北海道から沖縄まで、どこにあるかは分からない。

対岸の火事が、こちらに飛び火するのは時間の問題かもしれない。

ICBM再び2017年09月05日 01:44

ICBM再び


従来、ロフテッド軌道で日本海に落としていた北朝鮮のICBM。

先月末の火星12で、日本列島越えを行い、太平洋への落下に目途が付いたことを踏まえ、近々に再度打ち上げを行う兆候があることが報じられている。

(北朝鮮 9日前後にICBM発射の可能性=韓国情報機関)
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/09/04/2017090402612.html

「韓国の情報機関・国家情報院(国情院)は4日、国会情報委員会の緊急会合で北朝鮮が北太平洋に向け通常の角度でミサイル発射を行う可能性があると報告した。」

「これまで高角発射されていたが、通常角度で発射されれば大変なことになる」

まあ、どっちに向けて撃つかというところが大事なんだがな。

米国本土を狙うには、我が国の上空を通過させる必要はない。

グアムなら西日本、ハワイなら東北上空を通過することになる。

前回のIRBMのような、当たり障りのない北太平洋コースなら、同じように襟裳岬上空になるかもしれない。

韓国国情院の分析のような「大変なこと」にはならないんじゃないか。

「米国本土までではないが、グアム程度の距離を飛ばすのではないかという話があった」

浮沈子は、今回の話に限らず、韓国政府は北朝鮮の軍事行動に対して、過小評価をしているのではないかと感じている。

少なくとも、自国民に対して、危機を煽るようなことは慎んでいる。

地続きで、砲撃で首都が壊滅されられるような地政学的位置にある隣国だしな。

いたずらに危機感を煽っても、メリットは何もない。

我が国では、100人規模の拉致被害者の問題があるといわれているが、韓国にしてみれば、1千万人の離散家族の問題を抱えているわけで、慎重な対応になるのはもっともだ。

(離散家族)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%A2%E6%95%A3%E5%AE%B6%E6%97%8F

まあ、拉致とは一緒には出来ないけどな。

若いころにソウルに旅行した時も、浮沈子たちを案内してくれた現地ガイドの方の家族は、北朝鮮にいるという話だった。

5千万人の大韓民国に対して、1千万人の離散家族がいれば、そういう話は日常的にあるんだろう。

分断国家の相互の感情は、外部からは理解しがたい部分があるに違いない。

そういう状況の中で、「大変なこと」になるという認識が持たれているところに、浮沈子は注目したわけだ。

もちろん、米国の出方を心配しているわけだな。

(北朝鮮がICBM発射間近!?米軍は“臨戦態勢”)
http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000109265.html

「マティス国防長官はこれまで、過激なトランプ大統領を抑制するような立場。しかし、今回ばかりは強い口調で北朝鮮を牽制」

(アングル:抑制された北朝鮮対応、トランプ政権内の変化示す)
https://jp.reuters.com/article/nk-us-response-idJPKCN1BF0I2

「1月の就任以来、トランプ大統領は複数回、北朝鮮に関するブリーフィングを受けたが、軍事行動はあまりに犠牲が大きいため最終手段であるべきだという考えに異を唱えた、と両米当局筋は口をそろえる。」

我が国を含め、数千万人の犠牲が予想される軍事行動。

それを、最終手段と「しない」米国大統領。

やれやれ・・・。

確かになあ、グアムを狙ってミサイル撃てば、自動的に軍事行動が発動されるわけだしな。

そして、一旦発動されれば、限定的な攻撃にはとどまらず、短期間(短時間?)のうちに、大規模な展開になることは、米国自身が明言している。

(北朝鮮に「大規模な軍事対応」、米国防長官が警告)
https://www.cnn.co.jp/usa/35106725.html

「マティス氏は同盟国との結束を改めて強調し、北朝鮮がグアムを含む米領土や同盟国を脅かせば「有効で圧倒的」な軍事対応に直面することになると明言した。」

大型潜水艦の建造とSLBMの開発も進んでいる。

ICBMと異なり、潜水艦発射弾道ミサイルを阻止することは困難だ。

米国にとっては、こっちの方が現実の脅威になるだろうしな。

まあいい。

「大変なこと」が起こらないように、北朝鮮の自制に期待するしかない。

米国の自制には、あまり期待できそうもないしな。

軍事的にはともかく、経済的な圧力については、米国が北朝鮮と取引する国家に対して、貿易戦争を仕掛けるという動きが出てきている。

中国に対して、米国への鉄鋼輸出に関税を掛けるというものだが、果たして効果があるのかどうか。

既に、中国は北朝鮮に対する支援を続けるしかないことは、明らかになってきている。

中国もまた、北朝鮮に脅されているのではないのか。

非軍事的解決を求めて、タイトロープを渡るしかない状況が続くが、そのロープは、どんどん細くなっているような気がする。

昔、政治学の講義を受けた時に、国際関係を理解するには、重層的な情報を整理する必要があると習った。

国家指導者個人、政治体制(民主主義の場合は、政治状況含む)、基盤となる経済状況。

米国対北朝鮮の場合、国家指導者個人の問題は、両方とも最悪だしな(そうなのかあ?)。

政治体制は、片や独裁国家、此方米国第一主義がまかり通り、こっちも最悪・・・。

経済情勢は、中国がカギを握っていることに変わりはないが、影響力は限定されているという状況だ。

この手詰まり感を打開するには、やはり、限定的とはいえ、中国が動くしかない。

北朝鮮に脅されているかどうかは別にして、腹を括って対応していかなければならない。

米国の軍事対応も、今のところ、中国の毅然とした対応を引き出すための、限定された範囲に留まっていて、北朝鮮を刺激しない配慮が見られる。

中国が動かないと見極めた特、米国は単独で動き出す。

得意だからな。

待ってました!。

まあ、一応、韓国や我が国との調整はあるだろうし、ロシアだって無視するわけにはいかないだろうから、多少の時間はかかるかもしれない。

毎日のように、日米首脳の電話会談が行われたり、外務大臣がバタバタし出したら、要注意だろうな。

そうしているうちに、米国の艦船(たぶん空母)が、日本海に入ることになる。

2隻なら問題ないが、3隻集結したら一触即発の状態だろう。

そんなことにならないような、高度の知恵が、今ほど求められている時はないのかもしれない。