ウガンダの憂鬱2019年06月20日 08:45

ウガンダの憂鬱
ウガンダの憂鬱


DRCのエボラがウガンダに飛び火した。

(ウガンダ男児、エボラで死亡 家族も2人感染 WHO緊急会合へ)
https://www.afpbb.com/articles/-/3229747

「【6月13日 AFP】ウガンダで、エボラ出血熱に感染していた5歳の男児が死亡した。」

後に、この時既に感染していた患者一人が死亡している。

(ウガンダ、2人目のエボラ患者死亡 コンゴの死者1400人超に)
https://www.afpbb.com/articles/-/3229943

「その後この男児に加え、その祖母がエボラ熱で死亡。」

DRCにいた親族を介護に行った際に、家族もろとも感染したらしい。

やれやれ・・・。

治療は、DRCで行われているようだ。

医療資源(ワクチンや実験的治療法含む)が確保されているからな。

MSFも動き出している。

(ウガンダ:エボラ患者を確認 MSFが医療援助活動を開始)
https://www.msf.or.jp/news/detail/headline/uga20190619ay.html

「MSFは、ウガンダ医療当局を支援。エボラと確認できた患者と、その患者に接触した人びとでエボラのような症状が現れている人びとのケアを担っている。感染しているかどうかを確認している間、厳格なモニタリングを続けている。」

「MSFのエボラ治療ユニット(ベッド数8床)では、新しいエボラ患者が確認されたら、医療援助を開始できるよう備えている。ユニットは2018年8月に、MSFも参加して現地の病院内に開設した施設で、現在4人のエボラが疑われる患者が入院している。」

備えは万全、いつでもかかってこい状態というわけだ。

「MSFは引き続き、ウガンダ保健省と連携し、エボラ患者が最初に入院した病院で衛生管理と感染を抑える対策改善に取り組んでいく。」

が、まあ、大した話にはならないと見ている。

(WHO、エボラ熱の緊急事態宣言見送り)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46147770V10C19A6000000/

「世界保健機関(WHO)は14日、アフリカのコンゴ民主共和国(旧ザイール)で感染が広がっているエボラ出血熱について緊急委員会を開き、国際的な緊急事態には該当しないと結論付けた。」

順当だな。

感染経路は特定され、既に遮断に成功している(たぶん)。

同様の状況は、今後も散発的に起きる可能性はあるが、規模が小さいことや封じ込め対策が取られていることから、懸念するには及ばないと見ているんだろう。

しかしながら、本家のDRCでの感染は、一向に終息する気配がない。

(エボラの流行EVOLUTION 州北西キブイトゥリ
2019年6月18日(火曜日 ):標題から自動翻訳のまま:以下同じ)
https://mailchi.mp/sante.gouv.cd/ebola_kivu_18juin19

「2019年6月17日付けのエボラウイルス病の疫学的状況 :
流行が始まって以来、累積症例数は2,181人であり、そのうち2,087人が確認され、94人が推定されている。合計で1,459人の死亡が確認され(1,365人が確認され、94人が推定)、602人が治癒した。」

「医療従事者の確定/推定症例の累積数は119人(確定/推定全症例の5.5%)で、39人が死亡しています。」

相変わらず、1日当たり10人から20人前後の感染拡大が続いている。

しかも、感染地がころころと変わってきている。

一時期、増えていたカトワやブテンボに代わって、マンディマとかマバラコで増えている。

ルーツを辿れば同じところに辿り着くんだろうが、枝分かれが複雑になって、モグラたたき状態が続いているということだ。

ちょっと面白いニュースも出ている。

(エボラ集団発生、半数は「検知漏れ」 英研究)
https://www.afpbb.com/articles/-/3230007

「エボラウイルスが発見された1976年以来、大規模な流行が少なくとも10回発生しており、より規模が小さい流行は数十回起きている。」

「それぞれの局地的流行は、感染症が動物から人にうつり、その後人々の間で拡散する「スピルオーバー(spillover)」として知られる現象に起因する。」

「エボラ集団発生の2回に1回は検知されない可能性が高いことを示していた。さらに、個別の医療従事者がエボラ感染の孤立した症例1件を検出する確率は10%足らず」

西アフリカでの大流行のデータを基にシミュレーションした結果だというが、これがホントなら、我々はエボラの一部の姿しか見ていないということになる。

真実の姿は、自然宿主からヒトへ高頻度に感染し、ヒト‐ヒト感染する前に消失する、ありふれた人畜共通感染症ということになる。

たとえば、今回のDRCでの流行のようなド派手な事態は、ヒトに感染したエボラの姿としては例外的なものなのかもしれない。

「流行の始まりを最初の段階で防ぎたいのなら、スピルオーバーの過程を理解する必要がある」

「エボラが最初の数例以内ではほとんど検知されないのを知ることにより、広く利用可能な感染対策と診断手段を確保することの重要性が浮き彫りになる」

まあ、それもそうなんだが、どちらかといえば流行しちまった段階で、手っ取り早く終息させる方法を知りたいんだがな。

医療関係者の感染が100例以上に達していることからも分かるように、そもそも現地ではスタンダードプリコーションを徹底するには程遠い環境なわけだ。

現地では、エボラは、その他の致死的な疾病の、ごく一部に過ぎない。

総体としての医療環境が貧弱な地域で、どうやって特定の感染症にターゲットを絞って終息させることが出来るのか(マラリアとかは、根絶が困難だからな)。

しかも、スピルオーバーしちまった後は、単なるヒト‐ヒト感染だからな。

暴徒による医療施設や埋葬スタッフへの攻撃、テロ、小規模な戦闘、隠然たる地域支配勢力による抵抗・・・。

ヒトという宿主を得て、エボラは安泰だ(そうなのかあ?)。

感染経路を遮断できずに、エボラにとって居心地のいい環境を提供している21世紀の人類。

ウガンダの憂鬱を自らの事態として捉えることが出来なければ、いつまでもこの状態は続く。

現地を含め、交通インフラはますます整備され、ヒトの交流は拡大する一方だ。

それを妨げることはできない。

エボラだけを遮断する都合の良いフィルターを掛けることは不可能だ(潜伏期間とかあるので)。

もしも、たった1個のエボラウイルスが感染したことさえも感知できる、簡易で安価な検査方法が確立されれば、感染の伝播を効果的に抑止できるかもしれない。

あるいは、現在リング接種が行われているワクチンを、悉皆で接種することが出来れば・・・。

ウガンダへの感染から一週間以上が経ったが、隣国への新たな感染は報告されていない。

のど元過ぎればエボラを忘れる。

一時色めき立ったメディアも、一向に取り上げなくなってしまった。

昨日は、大井町のフィットネスで水泳教室。

街頭では、MSFの宣伝を行っていた。

珍しいな・・・。

ここ数日、やっているようだ。

ジョアンヌリューが2014年に国連で吠えたセリフを、浮沈子は忘れることが出来ない。

(踏絵)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/09/04/7427933

「私たちはまん延国を切り離して、この流行が単に燃え尽きることを願うわけにはいきません。この火を消すためには、私たちは燃えさかる建物へ突入していかなければならないのです。」

我々が、再び踏み絵を踏まされることなく、事態が穏便に終息してくれること願うしかないか・・・。

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