スターシップの失敗とファルコン9の1段目回収成功の共通点とは? ― 2020年04月05日 10:32
スターシップの失敗とファルコン9の1段目回収成功の共通点とは?
スペースXの打ち上げロケットであるファルコン9は、その1段目(ブースターとも)の回収を立て続けに成功させていて、意図的に廃棄したりする以外には殆ど失敗することはない。
何らかのトラブルが発生して回収できなかった場合には、その原因の追求と対策が行われることになる。
ニュース価値もあり、浮沈子的にも関心を寄せる。
回収に成功することが当たり前になり、回収できないことが異常事態だ。
陸上回収の場合は、成功頻度が高い。
グリッドフィンの作動不良で、フロリダ沖に墜落した以外は成功しているからな。
ドローン船は、開発当初から失敗の連続だったこともあり、ブロック5による通常運用に代わってからの失敗についても、まあ、それ程の違和感はない。
打ち上げるペイロードや投入する軌道によっては、回収がチャレンジングになる場合もあるから、成功しないケースも考えられる。
それでも、意図しない失敗についてはニュース価値が高い。
対して、開発中のスターシップは失敗の連続だ。
立て続けに推進剤タンクの爆発事故を起こしている。
先日も、ド派手にやってくれたようしだな。
(スペースX、スターシップSN3の圧力テストに失敗。崩れ落ちる)
https://sorae.info/space/20200404-sn3.html
「スターシップSN3型ロケットは、4月3日早朝にテキサス州ボカチカにあるスペースXの試験場で、推進剤タンクを液体窒素で満たす極低温タンク試験を実施。機体が凹み、崩れ落ちるように崩壊する様子がYoutubeにて公開されています。」
(SpaceXが極低温地上試験で3番目のスターシッププロトタイプを失う:元記事)
https://spaceflightnow.com/2020/04/03/spacex-loses-third-starship-prototype-in-cryogenic-ground-test/
「スターシップMk1と呼ばれる最初のスターシップテスト車両は、11月20日のサウステキサスでの圧力テスト中に爆発しました。」
「SN1という名前の変更されたスターシッププロトタイプは、2月28日の圧力テスト中に崩壊しました。」
今回は、3度目ということになるが、昨年8月に空飛ぶ給水塔のようなホッパーが150mの飛行を実現させてから、失敗の連続だ。
それも、推進剤タンクに加圧した燃料を詰め込む過程での爆発という、同じパターンの繰り返しだからな。
この間、プロトタイプは1cmたりとも飛行していない。
失敗のニュースにも、いささか飽きが来た感があるな・・・。
(SpaceX Starshipはクライオテスト中に破壊されましたが、次の船はすでに進行中です)
https://www.teslarati.com/spacex-starship-destroyed-cryo-test-next-ship/
「4月2日、SpaceXはStarship SN3を周囲温度の圧力にさらすことに成功しました。これにより、船は最初の呼吸を開始し、大規模な推進剤タンクに漏れがないことを確認しました。」
「ほんの数時間後、Starship SN3は最初に試みられた極低温証明試験を開始しました。中性液体窒素が船の液体酸素(LOX)タンクに短期間装填され、その後、SpaceXがロケットの供給を任された地上支援装置(GSE)のバルブの凍結によりテストを中止しました」
「最初の試みから約6時間後、おそらくSpaceXはGSEバルブの問題を緩和することに成功し、Starship SN3の2番目の試みられた極低温証明テストを午後11時頃(04:00 UTC)に開始しました。」
「午前2時7分頃(現地時間07:07 UTC)、状況は悪化しました。現在LN2を搭載したLOXタンクの下にある未充填のメタンタンクは、テストの過程で現れた小さなへこみから始まって、崩れているように見えました。重力は数秒後にかかり、さらにメタンタンクをくしゃくしゃにして、一番重いロケットを転倒させ、LOXタンクを破裂させました。」
上部に液体酸素タンク(LOXタンク)、その下部にメタンタンクがある。
今回の試験では、メタンタンクは充填せずに、液体酸素タンクだけに代替として液体窒素(LN2)を突っ込んだようだ。
記事にある通り、常温常圧のもとでは、問題なかったとあるので、構造的な漏れがあったわけではないんだろう。
温度か、圧力などの条件の中で、何らかの不具合が起こったわけだな。
「底部のメタンタンクがガス状の窒素で大幅に加圧されている場合、ガスが脱出しようとするときに、構造の完全性が急速に失われることは、はるかに激しい試練となるでしょう。」
「底部のメタンタンクは、実際にはまったく加圧されていないか、数百トンの液体窒素の重量に耐えられるほど十分に加圧されていないかのように見えました。」
記事を書いている方だって、そんな初歩的な理由で失敗したとは見ていないようだがな。
「これはすべて、SpaceXの新しいかつてないテクノロジーを開発するためのアプローチの一部であることを覚えておくことが重要です。」
「SpaceXはスケジュールの挫折として、1つのプロトタイプの障害が数週間以上の遅延を引き起こさないように船を迅速に建造しており、目標は2020年末までに毎週 Starship全体を生産することです。現時点では、SpaceXうまくいけば、開発テスト中に各失敗から学び、学んだ教訓を将来の各プロトタイプに取り入れます。」
そりゃそうだが、失敗が成功の基となるには、いつかは成功しなけりゃならんからな。
次回のテストは、既に作成中のSN4によって行われる様だが、どーせ失敗するに決まっている(そうなのかあ?)。
今度は、きっと、今回注入を見送ったメタンタンクの方が破裂するんだろう(そんなあ!)。
スターシップのド派手な失敗は、既にニュース価値が乏しくなってきた。
年内にプロトタイプが飛び上がる可能性は、徐々に少なくなってきている。
浮沈子は、エンジン開発がネックになると思っていたんだが、燃料タンクでこれ程苦労するとは想定外だ。
巨大ロケットは、その重量自体が凶器になる。
数百トンの推進剤を支える構造物は、温度、圧力、重力下の重量、飛行中の空力、熱、振動、その他諸々に耐えていかなければならない。
スターシップは、ブースターとなるスーパーヘビーと違って宇宙機としての開発だから、真空、低温、宇宙放射線などにも配慮が必要だ。
本格的な開発は、殆どこれからということになる。
ロケット本体にステンレス鋼を使用するというアプローチが正解だったかどうか。
再使用巨大ロケットという未曽有の挑戦だからな。
気が早いことに、スペースXは既にユーザーズガイド(バージョン1.0)を公開している。
(STARSHIP USERS GUIDE)
https://www.spacex.com/sites/spacex/files/starship_users_guide_v1.pdf
景気付けみたいなもんだが、いくらなんでも時期尚早だな。
やれやれ・・・。
今後、10年以内に成功すれば大金星だ。
SLSの打ち上げは、新型コロナで延期を余儀なくされるだろうし、アルテミス計画だってお先真っ暗になるだろう。
スターシップのテキサスでの開発は続いていくだろうが、状況によってはどうなるか分からない。
フロリダやカリフォルニアは、感染者が1万人を超えているしな。
今や、ニュース価値があるのは、新型コロナによって宇宙開発がどれ程の影響を受けるかという点だろう。
やっかいなご時世になったもんだな・・・。
スペースXの打ち上げロケットであるファルコン9は、その1段目(ブースターとも)の回収を立て続けに成功させていて、意図的に廃棄したりする以外には殆ど失敗することはない。
何らかのトラブルが発生して回収できなかった場合には、その原因の追求と対策が行われることになる。
ニュース価値もあり、浮沈子的にも関心を寄せる。
回収に成功することが当たり前になり、回収できないことが異常事態だ。
陸上回収の場合は、成功頻度が高い。
グリッドフィンの作動不良で、フロリダ沖に墜落した以外は成功しているからな。
ドローン船は、開発当初から失敗の連続だったこともあり、ブロック5による通常運用に代わってからの失敗についても、まあ、それ程の違和感はない。
打ち上げるペイロードや投入する軌道によっては、回収がチャレンジングになる場合もあるから、成功しないケースも考えられる。
それでも、意図しない失敗についてはニュース価値が高い。
対して、開発中のスターシップは失敗の連続だ。
立て続けに推進剤タンクの爆発事故を起こしている。
先日も、ド派手にやってくれたようしだな。
(スペースX、スターシップSN3の圧力テストに失敗。崩れ落ちる)
https://sorae.info/space/20200404-sn3.html
「スターシップSN3型ロケットは、4月3日早朝にテキサス州ボカチカにあるスペースXの試験場で、推進剤タンクを液体窒素で満たす極低温タンク試験を実施。機体が凹み、崩れ落ちるように崩壊する様子がYoutubeにて公開されています。」
(SpaceXが極低温地上試験で3番目のスターシッププロトタイプを失う:元記事)
https://spaceflightnow.com/2020/04/03/spacex-loses-third-starship-prototype-in-cryogenic-ground-test/
「スターシップMk1と呼ばれる最初のスターシップテスト車両は、11月20日のサウステキサスでの圧力テスト中に爆発しました。」
「SN1という名前の変更されたスターシッププロトタイプは、2月28日の圧力テスト中に崩壊しました。」
今回は、3度目ということになるが、昨年8月に空飛ぶ給水塔のようなホッパーが150mの飛行を実現させてから、失敗の連続だ。
それも、推進剤タンクに加圧した燃料を詰め込む過程での爆発という、同じパターンの繰り返しだからな。
この間、プロトタイプは1cmたりとも飛行していない。
失敗のニュースにも、いささか飽きが来た感があるな・・・。
(SpaceX Starshipはクライオテスト中に破壊されましたが、次の船はすでに進行中です)
https://www.teslarati.com/spacex-starship-destroyed-cryo-test-next-ship/
「4月2日、SpaceXはStarship SN3を周囲温度の圧力にさらすことに成功しました。これにより、船は最初の呼吸を開始し、大規模な推進剤タンクに漏れがないことを確認しました。」
「ほんの数時間後、Starship SN3は最初に試みられた極低温証明試験を開始しました。中性液体窒素が船の液体酸素(LOX)タンクに短期間装填され、その後、SpaceXがロケットの供給を任された地上支援装置(GSE)のバルブの凍結によりテストを中止しました」
「最初の試みから約6時間後、おそらくSpaceXはGSEバルブの問題を緩和することに成功し、Starship SN3の2番目の試みられた極低温証明テストを午後11時頃(04:00 UTC)に開始しました。」
「午前2時7分頃(現地時間07:07 UTC)、状況は悪化しました。現在LN2を搭載したLOXタンクの下にある未充填のメタンタンクは、テストの過程で現れた小さなへこみから始まって、崩れているように見えました。重力は数秒後にかかり、さらにメタンタンクをくしゃくしゃにして、一番重いロケットを転倒させ、LOXタンクを破裂させました。」
上部に液体酸素タンク(LOXタンク)、その下部にメタンタンクがある。
今回の試験では、メタンタンクは充填せずに、液体酸素タンクだけに代替として液体窒素(LN2)を突っ込んだようだ。
記事にある通り、常温常圧のもとでは、問題なかったとあるので、構造的な漏れがあったわけではないんだろう。
温度か、圧力などの条件の中で、何らかの不具合が起こったわけだな。
「底部のメタンタンクがガス状の窒素で大幅に加圧されている場合、ガスが脱出しようとするときに、構造の完全性が急速に失われることは、はるかに激しい試練となるでしょう。」
「底部のメタンタンクは、実際にはまったく加圧されていないか、数百トンの液体窒素の重量に耐えられるほど十分に加圧されていないかのように見えました。」
記事を書いている方だって、そんな初歩的な理由で失敗したとは見ていないようだがな。
「これはすべて、SpaceXの新しいかつてないテクノロジーを開発するためのアプローチの一部であることを覚えておくことが重要です。」
「SpaceXはスケジュールの挫折として、1つのプロトタイプの障害が数週間以上の遅延を引き起こさないように船を迅速に建造しており、目標は2020年末までに毎週 Starship全体を生産することです。現時点では、SpaceXうまくいけば、開発テスト中に各失敗から学び、学んだ教訓を将来の各プロトタイプに取り入れます。」
そりゃそうだが、失敗が成功の基となるには、いつかは成功しなけりゃならんからな。
次回のテストは、既に作成中のSN4によって行われる様だが、どーせ失敗するに決まっている(そうなのかあ?)。
今度は、きっと、今回注入を見送ったメタンタンクの方が破裂するんだろう(そんなあ!)。
スターシップのド派手な失敗は、既にニュース価値が乏しくなってきた。
年内にプロトタイプが飛び上がる可能性は、徐々に少なくなってきている。
浮沈子は、エンジン開発がネックになると思っていたんだが、燃料タンクでこれ程苦労するとは想定外だ。
巨大ロケットは、その重量自体が凶器になる。
数百トンの推進剤を支える構造物は、温度、圧力、重力下の重量、飛行中の空力、熱、振動、その他諸々に耐えていかなければならない。
スターシップは、ブースターとなるスーパーヘビーと違って宇宙機としての開発だから、真空、低温、宇宙放射線などにも配慮が必要だ。
本格的な開発は、殆どこれからということになる。
ロケット本体にステンレス鋼を使用するというアプローチが正解だったかどうか。
再使用巨大ロケットという未曽有の挑戦だからな。
気が早いことに、スペースXは既にユーザーズガイド(バージョン1.0)を公開している。
(STARSHIP USERS GUIDE)
https://www.spacex.com/sites/spacex/files/starship_users_guide_v1.pdf
景気付けみたいなもんだが、いくらなんでも時期尚早だな。
やれやれ・・・。
今後、10年以内に成功すれば大金星だ。
SLSの打ち上げは、新型コロナで延期を余儀なくされるだろうし、アルテミス計画だってお先真っ暗になるだろう。
スターシップのテキサスでの開発は続いていくだろうが、状況によってはどうなるか分からない。
フロリダやカリフォルニアは、感染者が1万人を超えているしな。
今や、ニュース価値があるのは、新型コロナによって宇宙開発がどれ程の影響を受けるかという点だろう。
やっかいなご時世になったもんだな・・・。
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