SN6上がる:炎も上がるが、直ちに消火される用意周到なS社の対応:想定の範囲内なロケット火災2020年09月05日 05:58

SN6上がる:炎も上がるが、直ちに消火される用意周到なS社の対応:想定の範囲内なロケット火災
SN6上がる:炎も上がるが、直ちに消火される用意周到なS社の対応:想定の範囲内なロケット火災


スペースレーザー(うーん、クサすぎるネーミング:書くのがハズカシイ)の大ニュースが世界を駆け巡ってから数時間後に、テキサスではSN6のホッピング飛行が行われた。

(スペースX、8月に続きスターシップ試験機による無人飛行試験を実施)
https://sorae.info/space/20200904-sn6.html

「スペースXは日本時間9月4日、開発中の大型宇宙船「スターシップ」の試験機「SN6」(SNはSerial Numberの略)による高度150mへの無人飛行試験を実施しました。」

前回と異なるのは、離陸時に地上施設(?)が吹っ飛ぶ映像がないこと、エンジンカバー(?)内部の映像で煙が充満していてエンジンが発火しているかどうかよくわからないこと、別記事でリンクしていた映像によれば、着陸後に機体下部から炎が上がっていたこと、そしてなにより、その炎が着陸地点近くに設置されている遠隔操作の消火栓によって直ちに消火されたことだ。

(Starship SN6 150M Successful Hop!:動画出ます。:消火活動は3分35秒辺りから)
https://www.youtube.com/watch?time_continue=239&v=jVcn2yQReDI&feature=emb_logo

うーん、見事だ・・・。

使い捨てロケットなら、多少燃えちまっても問題ないんだろうが(そうなのかあ?)、再使用ロケットで着陸の度に火消しするというのはいかがなものか。

しかし、そんな些細なこと(そうなのかあ?)は棚に上げて、立て続けに打ち上げを成功させたことの意義は大きい。

まぐれじゃないぞ!。

まあ、炎が上がるのもまぐれじゃないようだが、爆発とかせずに終息させる技術はあるようだからな。

われわれが日常的に利用している旅客機だって、一旦燃え上がれば薪に火をつけたようになる。

(チャイナエアライン120便炎上事故)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%82%A8%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3120%E4%BE%BF%E7%82%8E%E4%B8%8A%E4%BA%8B%E6%95%85

「那覇空港到着直後にエンジンから出火し爆発、炎上した。」

浮沈子は、この時のニュース映像を今でも鮮明に覚えているが、黒煙を上げて燃えているさ中に那覇空港では航空機が離発着していた。

やれやれ・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

ロケットを着陸させて再使用するということは、しかもパワードランディングということになれば、爆発性の推進剤をしこたま抱えてエンジン噴射させながら落ちて来るわけだからな。

逆噴射では炎は上向きに上がり、そこには機体があって、エンジンや周囲の配管(推進剤も通っています)、着陸脚周り、制御系配線、その他諸々(カメラとかも?)があるわけで、それらが炎に舐められながら着陸することになる。

ファルコン9ブロック5では、エントリーバーンやランディングバーンで、機体が炎に舐められる、いわゆる逆噴射状態になることへの対策として、エンジンの根元に防炎カバーを取り付けている(ブーストバックバーンは、通常の推進になるので、その心配はない)。

現在のプロトタイプのスプレー缶(SN5とかSN6)では、そういう配慮はない(SN5ではエンジンそのものから炎が出てたしな)。

S社は、ちゃんと分っている。

火、出るぞ、と。

消火栓付けろよ、と。

今回の映像には、そのシーンが映っていて、なかなか感動的だ(そうなのかあ?)。

まあいい。

爆発しないで、2回のホップ飛行を成し遂げたということだけでも大ニュースだ。

次のスターシッププロトタイプの打ち上げがいつになるかは分からない。

改修されたSN5になるのか、SN6がもう一度飛ぶのか、一足飛びにSN8になるのか、その前にSN7.1が吹っ飛ぶのか(これは、壊れるまで加圧することを前提にしているから、確実に吹っ飛ぶことが分かっている:つーか、爆発しないでスローリークすることを期待している)。

プロトタイプじゃないファルコンシリーズは、9月中旬にスターリンクV1L12が予定されている。

(三瀬スターリンクv1-12)
https://www.elonx.cz/mise-starlink-v1-12/

「基本情報:
・開始日: 2020年9月中旬
・スタートウィンドウ:イミディエート(スタートウィンドウとは)
・静的点火:通常、開始の数日前に行われます(静的点火とは)
・主要貨物: Starlink衛星コンステレーション用の別の60衛星
・貨物重量:各スターリンク衛星の重量は260 kgであるため、総重量は少なくとも15,600 kgです。
・ロケット: Falcon 9 v1.2 Block 5(一部は既に第1ステージで使用済み)
・目的:低地球軌道
・開始ランプ: SLC-40 (ケープカナベラル空軍基地、フロリダ州ケープカナベラル)
・ステージ上陸の試み:おそらくはい、OCISLYまたはJRTI海上プラットフォームで
・カバーをつかむ:おそらくはい、両方が半分」

スタティックファイアーテストが行われるとあるが、今回もスルーされる可能性がある(どの1段目が使われるかは未定だが、再使用であることは確実と見られているからな:追加:B1058.3のようです)。

このところ出ずっぱりのOCISLYだが、JRTIは調子が悪いんだろうか?。

別記事によれば、満を持して臨んだV1L11のフェアリングの回収は両方とも失敗に終わった様だ。

次回リベンジだな。

フェアリングの回収は、まだ、安定した成功に持ち込めていない。

パラフォイルの操縦と回収船の操船を自動で連携させてキャッチすることが試みられているようだが、風任せのパラフォイルと波任せのミスツリー、ミスチーフだからな。

何でも想定しているS社でも、意のままにならないことはある(そればっかかあ?)。

サオコム1Bの打ち上げから怒涛の一週間だったが、暫くは静かな日々が遅れそうだ・・・。

<以下追加>----------

(Starship SN6プロトタイプも高さ150メートルまで飛行しましたが、これはSpaceXテストの始まりにすぎません)
https://www.elonx.cz/prototyp-starship-sn6-uz-take-absolvoval-let-do-vysky-150-metru-tim-ale-testovani-spacex-teprve-zacina/

「着陸後、エンジンセクションに炎が発生しました。何が燃えていたのか、これがどれほど大きな問題であるのかは正確にはわかりませんが、準備された水の大砲はすぐに火に対処しました。」

世界が2度目の飛行そのものよりも、この炎に注目したことは間違いない(そうなのかあ?)。

「SN10の最初のコンポーネントもボカチカで見られました。」

破壊のペースは加速しているのかも知れないな・・・。

インド半端ない:ブラジルを射程内に入れ、米国に迫る感染者数2020年09月05日 08:10

インド半端ない:ブラジルを射程内に入れ、米国に迫る感染者数
インド半端ない:ブラジルを射程内に入れ、米国に迫る感染者数


13億人の感染パワーは伊達じゃない。

インド(感染者3,936,747人、死者8,472人)がブラジル(4,091,801、125,502)をかわして、米国(6,286,248、190,327)に次ぐ世界第二位の座を手に入れようとしている(って、望んでいるわけじゃないだろうが)。

インドの新規感染者数はアベレージで8万人を超えていて、米国の4万人と比較すると倍に当たる。

やれやれ・・・。

現在、230万人余りの差があるが、計算上では2か月以内に逆転ということになる。

米国の新規感染者は、このところ徐々に下がりつつあるし、どこで下げ止まるかは見通せない(第2波喰らう前はアベレージで2万人だったからな)。

対して、インドは多少勢いが衰えてきたとはいえ、新規感染者数の増加が続いている(1日100万人以上検査しても、陽性率が8パーセントもある)。

検査すればするだけ、陽性者が増える感じだ。

このまま増え続ければ、遠からず10万人の大台に乗る可能性が高い(そこで止まる保証もないしな)。

米国が2万人まで落ち、インドが10万人ということになれば、早ければ1か月程度で逆転する。

そう急展開するかどうかは分からないが、少なくとも来月(10月)中に射程内に捉えるだろうことは確実な情勢だ。

ブラジルが巻き返すかどうかは分からない。

感染者数の増加はピークアウトしているが、概ね4万人から5万人の勢いが続いている。

このままの状況が継続することになれば、米国を逆転してインドに次ぐ2位の座に収まる公算は高い。

つーことは、米国が3位に転落するということだ。

その時期は、早くても来年になる。

来年?。

ワクチンが先行して接種され始め、その効果が問われる時期だ(先行接種は年内からの見込み)。

直ぐには大きな影響はないだろうが、当初は気の緩みによる感染の拡大が懸念される。

ワクチン出来たからいいや・・・。

そんな事態になれば、米国の感染者は爆増する。

ブラジルは追いつくことができなくなるかもしれない(いやいや、気の緩みなら負けないかも!?)。

人口も2億人程度で、3.3億人の米国のキャパシティには及ばない。

人口で見た潜在感染力は、インドが断トツということになる。

中国(85,102、4,634)?。

中国は、何かあれば集中砲火で感染源を叩き潰しにかかるからな。

大規模な感染拡大は、起こらないに違いない(そうなのかあ?)。

その中国の感染者数に、我が国(70,268、1,330)の感染者が追い付こうとしているようだ。

そんな事態が起こるとは、今年の初めころには考えもしなかったがな。

新型コロナの時代は、まだまだ続く。

WHOは、2年以内の終息を望むと言っているが、ワクチンの効きと持ち次第というところか。

当初は、生産や供給体制の問題もあるしな。

少なくとも、来年後半にならなければ、状況が大きく変わる可能性はない。

うーん、大きく変わらなかった時のことも考えておかなければならない。

キレが悪く、持ちもよくないワクチンしか得られなかった場合、感染はダラダラと継続する。

集団免疫も、キッチリした形では期待できない。

一定程度の感染が、季節性を伴わずに継続することになる。

ハイリスク集団(ジジババと持病持ち)への対策としては、治療薬ということになるんだろうが、現在特効薬の目途はたっていない。

既存の薬で効き目がありそうなやつを片っ端から試している段階だからな。

経済活動に支障があることから、当初のような苛烈なロックダウン政策は二度と取られないだろう。

われわれは、この感染症との現実的な付き合い方を模索し続けることになる。

どこかで画期的なワクチンが出来るとか、特効薬が開発されればゲームは終わる。

人類の勝ち!、新型コロナの負け。

そうスッキリと解決する公算は低い。

だらだらと、いつまでも続くウィズコロナの時代・・・。

まあ、先のことを考え過ぎても暗くなるだけだ。

少なくとも、年内はこの状況は続く。

冬になれば、インフルエンザの流行が始まり、区別がつきにくくなるしな。

発熱症状のルーチンとして、PCR検査が行われることにはならないだろう。

怪しげな抗原検査あたりで誤魔化すことになる。

無症候性キャリアについては、現在同様野放し状態。

今年の冬は悲惨だな・・・。

HAL/S:アセンブラとC++の狭間で2020年09月06日 12:14

HAL/S:アセンブラとC++の狭間で
HAL/S:アセンブラとC++の狭間で


打ち上げロケットが一段落して、宇宙ネタも一休み・・・。

何か面白いことはないかと、いつも覗いているチェコ語のページを見ると、一風変わった記事が出ていた。

(NASAと協力して、SpaceXは異なる企業文化に対処する必要がありましたが、最終的に批評家を沈黙させました)
https://www.elonx.cz/spacex-se-pri-spolupraci-s-nasa-muselo-vyporadat-s-odlisnou-firemni-kulturou-ale-nakonec-umlcelo-kritiky/

主筆のペトルメレチンや、味わい深い記事を載せているイジーハダチではない。

どうやら翻訳記事のようだ。

(SpaceXとNASAが米国の宇宙飛行士の打ち上げを取り戻すために苦い文化衝突をどのように克服したか)
https://edition.cnn.com/2020/08/09/business/spacex-nasa-astronaut-launch-demo-2-culture-clash-scn/index.html

英語の記事だが、自動翻訳の得手不得手もあり、チェコ語からの方が読みやすかったりする(そうなのかあ?)。

ビミョーなニュアンスのところだけ、英語の原文に当たりながら読んだ。

この記事自体も面白かったが、スペースシャトルのプログラム開発に使用されていたというHAL/Sというプログラミング言語について読んだ別記事が楽しかったな。

(プログラミング HAL/S)
http://www2a.biglobe.ne.jp/~mizuki/tmp/programming_HAL_S_V2a.pdf

「本書では、残念ながら優れた言語とならなかった例として、ひとつのプログラミング言語を紹介する。」

浮沈子は、専門家ではないので、言語仕様の詳細に触れられているこの記事が理解できるとは言わない。

1割も分からないかもしれない。

また、言語仕様の優劣について触れられている部分の妥当性についても判断はできない。

でも、面白かったな。

関連事項も調べたりして、少しお勉強もした(セマフォとか)。

スペースXが、組み込み系でC++を使っていることは、以前にも読んで知っている。

(SpaceX開発のロケット「Falcon 9」はLinuxとC++で宇宙へ飛び立っている)
https://gigazine.net/news/20200719-linux-on-falcon-9/

「Falcon 9やGrasshopper、Crew Dragonのソフトウェア担当チームは35人のエンジニアで構成されているとのこと。任務はそれぞれのコアプラットフォームやシミュレーションソフトウェア、地上局の通信および分析用のソフトウェアの開発で、ソフトウェアはCあるいはC++でコーディングされている」

また、スペースレーザーの開発に当たって、C++の技術者を募集しているという記事も読んだ。

(SpaceXは、Starlinkインターネット衛星用の「スペースレーザー」を開発するエンジニアを探しています)
https://www.tesmanian.com/blogs/tesmanian-blog/spacex-starlink-lasers

「個々の衛星はおよそ227キログラム(500.5ポンド)の打ち上げ質量を持つオフィスデスクのサイズです。」

うーん、バージョン0.9の仕様だな・・・。

まあいい。

「SpaceXは今週、「エンジニアリングへの情熱」とC ++プログラミング言語の知識を持つシニアソフトウェアエンジニアを探して、「スペースレーザー」の開発を支援する「スターリンクレーザーコミュニケーションチーム」に参加することを発表しました。」

「ゼロから新しいテクノロジーを構築する必要があります」

「この職務には航空宇宙の経験は必要ありません。「組み込みC ++に習熟している」だけです。」

(C++)
https://ja.wikipedia.org/wiki/C%2B%2B

「C言語のようにハードウェアを直接扱うような下位層向けの低水準言語としても、複雑なアプリケーションソフトウェアを開発するための上位層向け高水準言語としても使用可能である。」

現在でも、たびたび改定が行われている現役バリバリの言語だな。

先に引用したHAL/Sの記事を読むと、スペースシャトルのプログラムは、下手をしたらアセンブラで書かれていたかもしれない。

「1962 年から暫く、アポロ誘導コンピュータのソフトウェア開発初期には YUL と呼ばれる独自のアセンブラ言語が用いられていた。」

「最終的には DAPというアセンブラ言語に置き換えられたようである。」

「それでもアセンブラで開発するよりかは遥かにましだった。実際は当初 NASA ではアセンブラでの開発が強く主張されていた。組み込み用プログラミング言語は当時信頼性とパフォーマンスの両面でまったく信用されていなかった。」

「パフォーマンステストで、アセンブラ記述より 5 パーセント速度が务るだけという性能をベンチマークで示し、ようやく HAL/S の採用が決まったのである。」

「ただ、シャトルフライトソフトウェアの開発が HAL/Sという高級言語で行えたことは成功と言っても良かったのかも知れない。もしアセンブラで開発が行われていたら、プロジェクトは果たしてどうなっていただろうか。……いや、それでもうまく行っていたのかも知れない。開発期間やコストはまったく違うものになっていただろうが。」

HAL/Sは、失敗した言語だったんだろうか?。

記事の筆者である水城氏は、こんな風に評している。

「シャトルフライトソフトウェアの開発はコストの問題はあるにしても、安全にその使命を果たしたという意味では成功だった。しかし HAL/S そのものは、やはり失敗した開発である。宇宙機向け汎用言語という当初の目的を果たせず、組み込みソフトウェアの世界で HAL/S はほとんど影響を与えることができなかった。」

そして、こうも述べている。

「HAL/S は珍しい、死亡日時がはっきりしたプログラミング言語となる。STS-135 向けのミッション用コード差分の最後のものが書かれた瞬間に、HAL/S の死は確定する。命日は 2011 年 7 月 21 日、最後のシャトル OV-104 アトランティス搭載のP-101S から火が落とされる瞬間だった。これより先、HAL/S でコードが記述されることは二度と無いだろう。」

どんなプログラミング言語であれ、そこには、それに関わった多くの人々の英知と凡知(?)が染みついている(コードを書かされたプログラマの恨みも・・・)。

まあ、どうでもいいんですが。

オリオンやスターライナーのプログラムが、どんな言語で開発されているかは知らない。

時が経てば、C++だって同じように呼ばれることになるのかも知れないしな。

現代の宇宙船は、ソフトウェアのデバイスに過ぎない。

人間が操縦して飛ばすことは最早出来ず、操縦桿(タブレットのボタン)とエンジンの間には、コンピューター殿がデンと構えて仕切っている。

何をどうしたいかを指示すれば、最適な操縦で良きに計らってくれる。

ISSタクシー程度なら、完全自動運転で連れて行ってもらえる(タイマーさえ合っていれば!)。

HAL/Sは、当時作られた2001年宇宙の旅に登場するコンピューター、HAL9000にあやかったものともいわれる。

「HAL/S という言語の名前の前半はこの MAC 言語の主開発者、Halcomp の名前に由来するとされているが、当時公開された映画"2001:a space dyssey"の中に出てくるコンピュータ、HAL9000 に由来する部分も当然ある筈である。」

「HAL/S の名前の後半、スラッシュの次の S は、シャトルを意味するとされている。」

コンパイラの作成に成功していれば、探査機ガリレオにも使用されて、HAL/Gとか出来てたかもしれないな。

「正直なところを言おう。シャトルがこの言語を使いながらコンピュータシステムで致命的な不具合を出さなかったというのは、ひとつの奇跡だ。」

そうならなかったのは、膨大なチェックの手間をかけたからに相違ない。

スターライナーのソフトウェアチームに、爪の垢でも煎じて飲ませたいところだろうが、彼らに必要だったのは経費と時間(人手も?)かもな。

結果的に、スペースシャトルは地に落ち、ファルコン9だけが残った(開発言語とは無関係でしょうが)。

今後、様々な宇宙機が飛び回るだろうが、それを飛ばしているのは人間じゃない。

人間が書いたコードを実行しているコンピューター殿が、良きに計らっている。

言語の良し悪しは、実行コードの品質に関わるだろうが、時間とコストと手間の問題でもある。

スペースレーザーのコードが間違っちまって、多数のスターリンク衛星からの集中砲火を受けて、カイパー衛星が焼かれて落ちたりしてな(そんなあ!)。

よくよく検証してから実装してもらいたいもんだな・・・。

OMS違い:ダイビング器材のブランドと枯れた制御系ロケット2020年09月06日 13:09

OMS違い:ダイビング器材のブランドと枯れた制御系ロケット
OMS違い:ダイビング器材のブランドと枯れた制御系ロケット


今日もまた、何か面白いことはないかとネットを徘徊する。

(オリオン宇宙船が最初のアルテミス打ち上げの最終マイルストーンを通過)
https://www.spaceflightinsider.com/missions/human-spaceflight/orion-spacecraft-passes-final-milestone-for-first-artemis-launch/

「欧州宇宙機関がエアバスによって設計および構築された欧州サービスモジュールを提供したため、宇宙船は国際的な取り組みでもあります。」

(欧州サービスモジュール:ESA公式ページ)
https://www.esa.int/Science_Exploration/Human_and_Robotic_Exploration/Orion/European_Service_Module

「European Service Moduleは、NASAのOrion宇宙船に対するESAの貢献であり、月に宇宙飛行士を送ります。電気、水、酸素、窒素を供給するだけでなく、宇宙船を適切な温度に保ちます。」

暫定の第二段ロケットから切り離されてしまえば、このサービスモジュールの推進システムだけを使って飛行することになる。

「サービスモジュールの本体は約2 mの高さですが、そのメインエンジンであるOrbital Maneuvering System EngineはSpacecraft Adapterまで伸びています。」

そのメインエンジンは、スペースシャトルの軌道制御用エンジンとしても使われた(バンガードロケットまで遡れるそうです)。

(スペースシャトル軌道制御システム)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%88%E3%83%AB%E8%BB%8C%E9%81%93%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0

「Space Shuttle Orbital Maneuvering System、OMS」

だから、OMSと呼ばれる(OMS-Eとも)。

(欧州サービスモジュール)
https://en.wikipedia.org/wiki/European_Service_Module

「AJ10-190エンジン」(OMSで使用された:メインエンジン:1基:燃料はモノメチルヒドラジンで、酸化剤は四酸化二窒素)

「R-4D-11補助スラスタ」(HTV、ATVなどで使用された:8基:燃料としてモノメチルヒドラジン(MMH)、酸化剤として一酸化窒素を3%添加した四酸化二窒素(MON-3)を採用)

「スラストエアバスリアクションコントロールシステムエンジン」(リンクされている元ネタを当たると、ATV(欧州補給機)に使われてたやつらしい:4基×6ポッド)

燃料は、3種類のエンジンとも共通のようだ。

オリオン宇宙船といったときは、このサービスモジュール(緊急脱出システムとかアダプター、カバーなども)を含めた概念となり、再突入して洋上回収され再使用されるカプセルはクルーモジュール(CM)と呼ばれる。

どっかで聞いたような呼称だが、業界では一般名詞のようなもんなんだろう。

2014年のEFT-1(無人飛行試験)の際には、クルーモジュールのドンガラ(といっても、本物ですが)だけ打ち上げられ、脱出塔やサービスモジュールはダミーだった。

(EFT-1)
https://ja.wikipedia.org/wiki/EFT-1

「ESAが開発を担当しているサービス・モジュールや、新たに開発された打ち上げ脱出システム(分離用のモーターのみ装備)はダミーを使っている。」

OMSなどを積んだ、本物のサービスモジュールと統合されてチェックされるのは、初めてということになる。

もちろん、ESMは毎回使い捨てだ。

OMSといえば、どこかで聞いたような気がして確認する。

(OCEAN MANAGEMENT SYSTEMS)
https://omsdive.com/

最近、あまり買わなくなったけど、浮沈子の初期のテクニカル器材には、赤と黄色のマークがいっぱい付いている。

まあ、どうでもいいんですが。

2010年に始まったSLSプロジェクトは、1970年代(50年代も含む)から連綿と続く枯れた技術を寄せ集め、現代のメカトロニクスのトッピングを施してでっち上げた代物だ(それが悪いというわけじゃない)。

電子デバイスをしこたま仕込んでそれらしく見せてはいるけど、中身はアポロ時代のまま。

ダメ出しをし尽くし、改良に改良を重ねて磨き上げた珠だ。

全く新しいロケットなどではなく、少なくともスペースシャトルに遡ることができる程度の実績は積んでいる(リアクションコントロールシステムエンジンは、ATVまでか)。

新しければいいというもんじゃない。

そういうのが好みなら、テキサスのボカチカ辺りで吹っ飛んでいるのをいくらでも見ることができる(そんなあ!)。

金も時間も湯水のごとくつぎ込んで、SLSもやがて飛び立つ。

戻ってくるのは、CMだけだ。

以前は回収して再使用していた固体燃料ブースター(SRBs)も、SLSでは使い捨てになる(今度のは、FSB-1って言うんだそうだ)。

スーパーヘビーやスターシップのようなわけにはいかない。

ふつーの使い捨てロケットだからな。

ESMは、アルテミスー3の分まで作成中だという。

その先は?。

ESAには、もう、ESMを作成する義理はないかも知れない(ISS経費の代わりにもう少し作るかもな)。

NASA自体が、いつまでSLSにしがみついているかということもある。

もちろん、有人宇宙船システムとしてのSLS/オリオンは、米国にとっては唯一の地球低軌道以遠へのアクセスパスだ(ソユーズは月くらいまでは対応しているし、中国は時期宇宙船を開発中だしな)。

他に、代替手段はない。

しかし、仮に2030年代にスペースシップなりなんなりが、有人認定を受ければ話は変わる。

オリオン不要論が噴出する(今でも、出ているようですが)。

10年くらいの短いライフサイクルになるかも知れない。

再使用ロケットであったスペースシャトルの事故が相次ぎ、冷戦が終結し、米国の経済に陰りが出てきて時代は変わった。

そんな中で構想されたSLSだが、飛び上がる前に賞味期限が来てしまった。

地球低軌道に民間宇宙船が飛び交い、月や火星に行こうとか言いだしているし、かつての宇宙開発競争は身内同士ということになり始めた。

そうこうしているうちに、中国とかに詰め寄られ始めているし(そうなのかあ?)。

SLSの中には、米国(欧州も)の宇宙開発の歴史が詰まっている。

化学ロケットに地球軌道上で給油して、月以遠に有人宇宙船を飛ばせるようになれば、巨大な使い捨てロケットは用済みだ。

何時になるかは分からないが、その時がSLSの終焉だろう。

その、最初の打ち上げに供されるCMとESMの試験が終わった。

これは、きっと、終わりの始まりなのだと思うと、ちょっと感無量だな。

まだテストフライトの前から終焉を語ってはいけないかもしれない。

しかし、考えてみれば、オリオンは有人では月より先に行くことはできない(ちょっとなら行けるかな)。

乗員の生命維持にしても、21日間の期限が切られている。

馬車がカボチャに変わり、白馬がネズミに戻り、シンデレラはおうちに帰らなければならない。

最大運用期間は210日(6か月という記述も)となっているが、それは無人運用とか、宇宙ステーションなどに係留されている時の話だ。

オリオン宇宙船単体としての運用寿命は、4人の宇宙飛行士を21日間生かしておくことしかできない。

莫大な経費を払って得たものは、3週間のミッションと後には何も残らない探査結果だけだ(そうなのかあ?)。

月に行ったって、何かがあるわけでもないだろう?。

小惑星ミッションという話もあったが、無人でそこから引っ張ってきた小振りのやつを、月の裏側でコソコソするだけの話だったしな(小惑星探査とは似て非なる話だ)。

ロボット使って、小惑星の鉱物資源をほじくり返す話(もちろん、無人)の方が余程気が利いている。

使えないオリオンと、SLSの連携。

無人探査機を打ち上げたりすることもあるから(エウロパクリッパーとかあ?)、SLSはまだ使いようがあるかも知れないが、オリオンは使い潰しが効かない。

ISSに救命ボートとして係留しておくには上等すぎるからな(半年で寿命だし)。

開発に200億ドル(2兆円以上)かけて、たぶん、3回くらいしか使わないかもしれないしな(そうなのかあ?)。

まあいい。

何の目的もなく、開発のための開発を行ったツケを、米国民は延々と払い続けなければならない。

地球低軌道より遠い宇宙に行きたい、太陽系の中を縦横無尽に飛び回りたい、可能ならその外側にも行って見たい・・・。

そのためには、オリオンの他に、宇宙空間専用の巨大宇宙船を建造して運用しなければならない。

化学ロケットで飛ぶのか、電気仕掛けなのか、新手の原子力ロケットなのかは知らない。

オリオンじゃダメなことだけは確かだ(せいぜい月くらいまで)。

SLSの完成が近づいてきて、NASAが月だ月だと言い始めたのには理由があった(たぶん)。

いきなり、火星は無理なんだと、納税者に納得させなければならない(S社はやるといってるけどな)。

火星ってのは、月を諦めさせるための方便だったんだと悟らせてはいかんからな(そうなのかあ?)。

コンステレーション計画がとん挫した時、なんとかして体裁を整えなければならなかっただけだ。

今更、月に行くというのもハズカシイ話だ。

しかし、それは現実の、手が届く範囲の話だ。

オリオンの使い道としても正しい(それが限界だし)。

先行きがどうなるにせよ、少なくとも1度は上がるに違いない。

トランプ政権が続くようなら月面に向かって飛ぶし(途中で乗り換えますが)、民主党が政権奪還に成功すれば、月周回軌道止まりだ。

どっちにしても、そのまま火星に向かって飛ぶことはできない。

そういう宇宙船じゃない。

作る時から、それは分かっている。

惑星間宇宙船の具体な絵面は見えていない。

放射線からの有効な遮蔽と人工重力というのは予想されるところだし、長期間の生命維持をどのように行うかについては議論があるだろう。

水や酸素のリサイクル、場合によっては食料も再生産するかもしれないしな。

火星程度なら、現在の技術をしこたま詰め込めばどうにかなるかもしれないが、木星圏ともなれば実現可能性も含めて慎重に検討することになる。

金星は、行ったとしても降りることはできないから、当面選択の余地はないかも知れない(回って帰ってくることは検討されているようです)。

小惑星帯までくらいは、将来の有人探査の範囲として考慮されているだろう。

数年に渡る惑星間空間での滞在が、どんな影響を人体に与えるかは未知の世界だ。

それはもう、22世紀以降の宇宙開発になる。

いや、23世紀以降かな。

オリオンの、次の次の次の次の次の次くらいか(テキトーです)。

確認しておこう。

最終チェックが行われたオリオン宇宙船は、月周辺までしか行けない。

月面にも(着陸船に乗り換えなければ)、火星にも、それ以遠の何処にも行けない。

宇宙空間で、別の宇宙船に乗り換え、乗り継いでいかなければならない(くっつけて一緒に飛ばす案もあるようですが、運用期間がネックになりそう)。

地球と宇宙とを結ぶ有人のタクシーのようなもんだ。

ISSより高く、GPS航法ができないバンアレン帯の外に行くことを想定して設計されているだけで、ISSタクシーであるクルードラゴンとかスターライナーと大した違いはないのだ(そうなのかあ?)。

月周回ステーションが、そこから先の深宇宙探査にどれ程有効なのかは知らないが、アプリケーションとしてはちょうどいいところだ。

21世紀の人類は、月へ乗り込んだ20世紀の先達の後を追って、月へ回帰するのがせいぜいかも知れない。

有人月面基地までは無理かもな(スターシップ次第というところか)。

月周回ステーションがいいところだ(常時滞在はムリポ!:乗り換えステーションに改名が必要?)。

そこから、惑星間探査に出発するというが、地球低軌道での給油ができれば、そんなもんはいらない(たぶん)。

おっと、ブンブン飛んでるスターリンク衛星にぶつからないように気を付けないとな・・・。

惑星間有人飛行の時代は来るのか:立ちはだかるのは放射線と無重力だけではない:宇宙船の推進力は電気エンジンか原子力か2020年09月07日 10:10

惑星間有人飛行の時代は来るのか:立ちはだかるのは放射線と無重力だけではない:宇宙船の推進力は電気エンジンか原子力か


無人探査機なら、わざわざ地球に戻ってくることはない(サンプルリターンとかは戻らないとな)。

火星の土(無機物ばっかだから、土じゃないか)をすくってくる話にしても、回収できるかどうかは約束された話じゃない。

概ね、探査機は行きっぱなしで、一方通行だ。

有人探査はそうはいかない。

移住とかになれば行ったきりでもいいけど、探査したら、土産話を持って帰らないとな(話だけかあ?)。

月は、そうやって20世紀に探査を行った。

次は火星だそうだが、そう簡単には行かない。

理由は、なんたって遠いから。

遠いと、一般に時間がかかる。

SLSが出来て速くなるとはいえ、月と火星の距離の差はベラボーだ。

近地点を5千6百万キロとしても、月軌道(38万キロ)の150倍弱になる(実際の移動距離は遥かに長い)。

比較にはならない。

1週間もあれば往復できる月とは異なり、火星に行って帰って来るだけでも2年近くかかってしまう。

着陸しようものなら、3年くらいは地球の土(こっちはちゃんとした土です!)を踏むことはできない。

宇宙放射線やら、無重力やら、精神的な安定やらで、人間の負担も大きいしな。

食料や酸素、水の確保も重要だ(人間のための荷物が多い!)。

しかし、なにより、それだけ長い期間を飛んで帰って来るだけの燃料が心配だな。

イーロンマスクは、メタンと液酸を軌道上で給油(油じゃないけど)すれば、行くことはできるとしているようだ。

帰りは、火星の大気中にある二酸化炭素(うっすいですが)と、ちっとはあると言われる水からメタンと酸素を作り出して燃料を作り、それを詰め込む算段をしている。

燃料が出来なければ、帰ってくることはできない(先に無人機送って作っておくとか)。

一か八か・・・。

まあいい。

NASA(ボーイングかあ?:<以下追加>参照)は、もう少しマシなことを考えているようで、とりあえず周回して帰ってこようとしている。

(深宇宙輸送:DST)
https://en.wikipedia.org/wiki/Deep_Space_Transport

「DST宇宙船は、電気推進と化学推進の両方で推進されるオリオンカプセルと居住モジュールの2つの要素で構成され、中規模の生息地で4人の乗組員を運びます。」

オリオン宇宙船の運用寿命は210日といわれているから、何年も掛かる惑星間航行には耐えられない(たぶん)。

まあ、そこんとこは大目に見ることにしているのかも知れない(そうなのかあ?)。

「探査の最初のターゲットは火星(flybyまたはorbit)であり、その他の推奨される目的地は金星(flyby or orbit)であり、サンプルは大きな小惑星からの戻りです。」

人間が着陸しようなどということは、最初から考えられていない。

「DST宇宙船が火星を周回する場合、人間が支援する火星のサンプルリターンなど、火星表面の機器をリアルタイムでリモート操作する機会が得られます。」

うーん、隔靴掻痒の感があるな・・・。

「月のフライバイを使用して速度を上げ、次に太陽電気推進(SEP)を使用して、太陽中心軌道に加速します。そこで火星または他の可能な目的地への通過を完了します。火星の軌道に入るには化学推進力を使用します。クルーは、438日間のウィンドウの間にリモート観測を行ったり、水上を出発したりできます。車両は化学火傷を介して火星軌道を出発しました。それは、SEPと月の重力アシストの混合を使用して、地球の影響範囲に再捕獲します。」

想定されている推進力は、電気推進とフライバイ、伝統的な化学推進だ。

最近の話題は原子力ロケットだな。

(原子力推進)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E6%8E%A8%E9%80%B2

「核分裂炉又は核融合炉の高熱により直接推進剤(通常は水素)を加熱膨張させ、ノズルから噴出して推進する方式」(他の方式はちょっとヤバ過ぎ!)

原子炉を宇宙空間に打ち上げるという、一見、荒唐無稽かつヤバイ話に思えるが、リスクはさておき、推進効率から考えれば理に適っているようだ。

(アジャイルCislunar運用用のデモロケット(DRACO))
https://www.darpa.mil/program/demonstration-rocket-for-agile-cislunar-operations

「NTPは、電気推進よりも約10,000倍、化学推進よりも2から5倍高い比推力(推進剤効率)の高い推力対重量比を提供します。」

比推力(燃費みたいなもん)は高いが、推力対重量比は低い(もちろん、電気推進よりは遥かに高い)。

(核熱ロケット:ソリッドコア)
https://en.wikipedia.org/wiki/Nuclear_thermal_rocket#Solid_core

「米国の核熱ロケットの設計は最終的に推力対重量比が約7:1に達しました。これは、推力対重量比が70:1のオーダーである化学ロケットで達成可能な推力よりもはるかに低い推力対重量比です。液体水素貯蔵に必要な大型タンクと組み合わせると、これはソリッドコア核熱機関が地球外の軌道での使用に最適であることを意味します」

宇宙空間で使った場合は、そこそこの燃費とそれなりの推力を得られるということか。

あくまでも、設計上の話で、あらゆるリスクを棚上げにした机上の空論に過ぎない(材料の融点くらいしか考慮されていないんじゃね?)。

原理は簡単で、熱いストーブに水滴を垂らして蒸発した水蒸気の膨張圧力をノズルから推進力として吐き出すだけだ(そうなのかあ?)。

ストーブが原子炉に、水滴が水素になっただけ(酸素と反応して燃やすわけではない)。

原子炉の制御や、噴出ガスの制御(膨張室:ノズルの設計とか)が難しそうだが、構造的にはシンプルになる。

事故が起こってメルトダウン(重力ないので落ちませんが)すると厄介だな。

溶けまくって核分裂反応を続ける放射性物質が、長期間宇宙を漂うことになる(未確認)。

連鎖反応が制御できなければ、ドカーンと行くわけで、宇宙ステーションの近傍とかだとマジヤバになる。

重力を利用して、核分裂反応を止められるシンプルな構造の原子炉が提案されているが、重力のない宇宙空間では、そういう設計はできないからな。

(自然冷却でより安全に運用可能な「小型モジュール式原子炉」がついに規制当局から承認される)
https://gigazine.net/news/20200904-nuscale-small-nuclear-reactor/

「制御棒はモーターによって燃料棒の上に常に引き上げられている状態となっており、停電が発生したり電源が切られたりすると、自重でそのまま燃料棒の上に落下します。」

「この原子炉は「パッシブ冷却システム」を採用しており、熱された水が熱交換コイルを通って上昇し、冷却後に燃料棒に向かって下降するように配置されているので、原子炉を安全に運転するためのポンプや可動部品は必要ありません」

宇宙では、この有難い重力の恩恵を受けることはできないからな。

なにかあれば、即、メルトダウンだ。

そういう、根本的にヤバイユニットに依存するというのは、民間宇宙船の動力としては向かないかもしれない。

宇宙空間でドンパチやる軍事利用なら別だけどな。

DSTの重さは、NASAの検討案では100トンにもなるという(化学推進と電気推進を併用の場合)。

想定されている運用では、軌道から離脱したりする際には化学推進で、軌道に沿って移動する場合には電気推進で加速するということらしい。

それに、天体の重力を利用したフライバイを組み合わせて惑星間空間を移動する。

原子力推進が使用されるなら、電気推進の発電部分を原子炉からの熱で賄うこともできる。

太陽から離れれば、太陽電池で発電できる電力も減っちまうしな。

電子機器だけ賄っていればいい探査機とは異なり、動力ということになればそれなりの電力を食うだろう。

木星圏以遠への飛行については、必須になるだろう。

(NASA、新たなる「原子力ロケットエンジン」を開発へ)
https://news.mynavi.jp/article/20170825-ntp/

「宇宙開発に無限の希望を抱いていた1960年代に開発が行われたが、膨大な開発費や、必要性の弱さ、安全性などの面から打ち切られ、実際に宇宙を飛ぶことはなかった。」

打ち切られた理由が、現代に至って何か変わったかと言われれば、そんなことはない。

膨大な開発費が掛かり、必要性は全くなく(有人宇宙探査なんてしなくても、困ることは何もない)、危険性が減ったわけでもない。

月以遠の深宇宙へ人類が進出する際に、避けて通れない推進システムというだけの話だ。

近い将来(まあ、早くても2030年代以降ですが)、DSTの検討が進み、その推進力をどーするかという議論の中で、原子力ロケットが模索されることになるかも知れない。

火星くらいだと、あんまいらないかもな(でっかい太陽電池で電気推進か)。

木星圏への飛行ということになれば、必須の検討事項になるかも知れない。

探査機じゃなくて、帰ってこなければならないし、火星と違って燃料を現地調達できないからな。

ウィキの元ネタには、2030年代初頭の火星探査は不可能という記事が出ている。

(独立したレポートは、2033年の人間の火星ミッションは実行不可能であると結論します)
https://spacenews.com/independent-report-concludes-2033-human-mars-mission-is-not-feasible/

「予算の制約がなくても、火星の2033年軌道ミッションは、NASAの現在および概念的な計画の下では現実的にスケジュールできないことがわかりました」

その一方で、こうも書いている。

「私たちの分析によると、火星の軌道ミッションは、2037年の軌道ウィンドウまでに、大規模な技術開発、スケジュールの遅延、コスト超過、予算不足のリスクを受け入れずに実行できることが示唆されています。」

ワケワカ・・・。

記事を読むと、2037年に実現するとは書かれていない。

少なくとも、それ以降にならなければ、極端なリスク(計画断念とか)を受け入れずに実行することは出来ないと言っているだけだ。

「STPIはまた、2037年にこの最初の火星ミッションを実行するコストを推定しました。」

興味をそそられるところだが、元にしたのがオリオン宇宙船の開発というのが気になるな。

すでに、アポロが飛び、予見できるリスクの元で、ちっとばっか大きくし、運用期間を多少伸ばしたに過ぎない。

DSTは、今までに人類が行ったことがない未知の領域に踏み込む・・・。

・SLS、オリオン:337億ドル(昨年まで:たぶん名目)
・DST:292億ドル
・月軌道ゲートウェイ:60億ドル(米国負担分のみ)
・その他:517億ドル
・合計:1206億ドル

DSTは、1機とは限らないからな。

開発した後、おそらく数機を作成して、実際の運用に適用できるかどうかを数回テストしなければならない。

そのテスト期間は、1回に付き数年に及び、少なくとも2回程度(無人1回:こっちは実際に火星軌道に飛ばしてもいい、有人1回:ヤバくなったらいつでも戻れる辺りをぐるぐる回ってもらう)おこなったうえで火星探査を実行することになる。

運用期限が来てしまうオリオンの改造も必要だろう。

仮に、3年間の運用となった場合、現在の半年程度から数倍に延長する必要がある。

DSTの開発については、何の目途も立っていない。

「長いリードタイムを必要とする生命維持システムや推進力など、特に深宇宙輸送に関連する技術リスク」

それが、どれ程になるか、どのように解決するかについては、全く闇の中だ。

ああ、合成生物学で遺伝子改変して、放射線耐性を上げたり無重力でも骨が減らないようにしたりするアイデアはあるけどな。

それが、果たして有効に機能するかどうかは分からない。

現実には、どう解決したらいいかという具体な話はないに等しい。

放射線遮蔽壁や人工重力発生装置(メリーゴーランドのようなヤツ)を装備することはできるが、その重量をどのように推進するかという新たな課題を生む。

重くなれば、それだけ燃料を食う。

宇宙では、軽さは正義だ。

そして速さも。

宇宙空間に長期間留まることは、それだけでリスクなわけで、それを減らすことができるのは移動のスピードを上げることだ。

人間を生きたまま動かすためには、生命維持に莫大な資源を要求される。

電子機器も、放射線耐性については似たような話が付きまとう。

回路やデバイスの冗長化、電子機器への遮蔽などは、全て重量増加につながる。

ミッション全体で、相当程度のリスクを負わなければ、実現自体が不可能な状況なわけだ。

ふん、移民なんて、とんでもない話だな。

DSTの重量が100トンというのは、おそらくSLSで上げることができる最大重量から割り出した後付けの数字に違いない(未確認)。

必要な要素を積み上げていけば、おそらくとんでもない重量になって、月軌道はおろか、地球低軌道までも上げられなくなる。

分割して上げるか、断念するか。

浮沈子は、断念するのが正解と考えているけどな。

人類は地球に留まり、他の天体の有人探査は月だけ。

他の惑星やその衛星の探査はロボット(探査機)が行う。

有人月面基地などとんでもないし、火星移住など与太話以外の何物でもない。

月軌道ステーションは、技術的に手頃という意味でのミッションとしては面白いが、それだけでは何の意味もない。

アルテミス計画を、月軌道ステーションを使わずに行うというのは、時間的な制約というより、それが道理にかなっているからだろう。

月面着陸に、ステーションはいらない。

月面に定期的に着陸する程度なら、直接行くのが正しい。

人類の宇宙開発の地平は、余程のことがない限り、そこから先に進むことはない。

交代で常駐するのは地球低軌道まで。

宇宙旅行は、自由帰還軌道の月周回程度まで。

それでも、十分過ぎるくらいの背伸びだろう。

DSTについて調べれば調べる程、その実現可能性についての疑問が出てくる。

後世の歴史家が、20世紀後半から21世紀初頭にかけてのこの時期を、宇宙開発という切り口でどのように記述するかは知らない。

一旦、月へと進出しながら、地球低軌道へと後退したことを、否定的にとらえるのか。

それとも、限界をわきまえた英知と捉えるのか。

人類が宇宙空間向きでないことは灯を見るより明らかだ。

大気圏内であったとしても、地面から離れた途端にリスクが生じる。

それを、どこまで許容するかを決めるのは、物理の法則でも生命科学でもない。

人間自身の意思だけが、その限界を決めることができる。

技術の進歩とか、経済とかを睨みながら、自分たちの行動の限界を模索し続ける。

挑戦と挫折を繰り返して、その限界を知るのだ。

挑戦を止めれば、実質的にそこが限界となる。

挑戦し続けても、毎回全滅なら、まあ、それも限界だがな。

技術を進歩させるか、金を貯めるかして、再起を図るしかない。

20世紀の終わりから21世紀初頭にかけて、人類の選択は地球低軌道に留まるという妥当なものだった。

技術の成熟を待って、再び月や火星に向かおうとしているが、浮沈子には拙速に思える。

われわれは、それ程賢く、豊かになったのだろうか?。

無人の探査機を飛ばすのは構わない。

それだって、限界はあるし、サンプルリターンに成功しているのは、月と限られた地球近傍の小惑星だけだ。

人的リスクなく、チャレンジし続ける意義はある。

無人の月面基地(月面天文台含む)だって、面白いかも知れない。

ロボットを常駐させて、天体観測でも鉱物の採掘でもさせればいいのだ。

やることはいくらでもある。

地球大気の底に最適化した人類が、のこのこ行く必要はない。

所詮は、道楽の域を出ない(そうなのかあ?)。

探検や冒険は、生存圏の拡張を求め続ける生物の本能だと言われるが、そして、それは環境変化に適応するための生存戦略であることは確かだろうが、それには長い時間が必要だし、限界もある。

滅んでいた生物のリストで、歴史の図書館は一杯だ・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

宇宙に進出できずに人類、ひいては地球生命が絶滅したとしても、それはそれで仕方ないと浮沈子は考えている。

究極の選択だな。

宇宙に出て死ぬか、地球に留まって死ぬか。

幸いなことに、現代では、宇宙に出られる人は限られている。

大部分の人々は、その選択を迫られることはない。

安心して、地球で生き、死ぬことにしよう。

DSTという棺桶で死ぬより、余程充実した最期を迎えられそうだしな・・・。

<以下追加>----------

(ボーイング、月や火星の探査基地や探査船「Deep Space Gateway/Transport」コンセプトを発表)
https://sorae.info/030201/2017_04_05_boeing.html

(ボーイング社、月と火星探査の深宇宙概念を発表
深宇宙ゲートウェイ、将来の人間の宇宙活動に不可欠な輸送)
https://boeing.mediaroom.com/2017-04-03-Boeing-Unveils-Deep-Space-Concepts-for-Moon-and-Mars-Exploration#assets_117:20176

「ディープスペースゲートウェイは、火星ミッションの中間地点になる可能性があります。国際宇宙ステーションが商業運用に使用しているものと同様のドッキングシステムを利用して、人間を火星に運ぶディープスペーストランスポートビークルをホストできます。火星に近づくと、乗組員は着陸船を地上ミッションに配備したり、他の科学的およびロボットミッションを軌道上で実施したりできます。」

「輸送車両には、深宇宙の過酷な環境と独自の堅牢なSEPバスから乗客を保護するために特別に設計された生息地が装備されます。」

「ボーイングのコンセプトはどちらも、実績のある太陽電気推進技術と702衛星ファミリーのハードウェア設計を活用しています。」

このコンセプトでは、オリオン宇宙船との同伴は考えられていない。

提案されているのは、ディープスペースゲートウェイ、ディープスペーストランスポートビークル(SEPバス:ソーラー電気推進ユニット+居住施設)、オマケのロボット(火星軌道からリモート操作)だけだ。

NASAは、無理やりオリオン宇宙船をくっ付けたに違いない(未確認)。

火星に行くのに、オリオンは必要だと。

しかし、210日しか設計寿命がない宇宙船をくっ付けて大丈夫なのかという懸念は残るな(やっぱ、ダメでしょう・・・)。

何がネックになるのかは知らないが、例えば電子機器の放射線耐性とか、太陽電池の寿命とか。

太陽電池の方は、SEPバスからの給電を当てにできるかもしれないが、電子機器については遮蔽や冗長性を見直す必要がある。

想定されているのは、期間の際、オリオンだけ切り離して、そのまま地球におろすというシナリオなんだろうが、ゲートウェイ経由なら、係留して置いたオリオンに再度乗り換えてもいい。

居住施設については、さらに悲惨な状況で、ベースにしているのはISSのディスティニーモジュールだそうだ。

(深宇宙の生息地)
https://en.wikipedia.org/wiki/Deep_Space_Habitat

「60日間のミッション -基本的な60日間のミッションバリアントは、極低温推進ステージ(CPS)、ISS Destiny由来のラボモジュール、およびエアロック/トンネルで構成されます。」

「500日間のミッション -500日間のミッションバリアントは、同じ60日間の乗組員の生息地とサイズで構成されます。大量の増加は、多目的ロジスティックスモジュール(MPLM)を追加して、ミッション期間を延長するための追加の供給ストレージを提供することから生じます。」

この構成では、航法機器などのエレクトロニクスは、おそらくオリオン側にしか装備されない(未確認)。

必須の要素ということになる。

ボーイングの構成では、SEPバス側に航法機器関係を持ってくることも可能だろう。

また、500日の運用期間で火星探査が可能だとしているが、ギリギリだな。

そばを通り過ぎて戻ってくるだけだろう(周回軌道には入れない)。

ちなみに、ディスティニーはボーイングの建造による。

2001年2月から運用を開始して、既に20年近くになるから地球低軌道における耐久性には定評があるが、惑星間空間における堅牢性は未知だ。

(運命(ISSモジュール))
https://en.wikipedia.org/wiki/Destiny_(ISS_module)

「質量 14,515キログラム(32,000ポンド)
長さ 8.4メートル(28フィート)
直径 4.2メートル(14フィート)
加圧容積 104.77 m 3(3,700立方フィート)」

既存の実績のあるモジュールと接続機構を通じて、宇宙船をコンポーネントして作り上げる手法はNASAお得意だ。

インテグレートされた宇宙船を、トータルとしてテストもする。

地上で出来ることは地上で、宇宙でしかできないことは宇宙で。

本番に投入される時、未確定要素は少なければ少ないほどいい。

宇宙では、予測不可能なことが起こる。

予測可能なことは、事前のテストで潰しておくのが鉄則だ。

壊してみなければ分からないのなら、事前に壊しておいて、破壊限界を把握して、それ以下の応力だけしかかからないように設計・製造しなければならない。

運用に当たっても、その限界を超えない運用でなければ破壊されることになる。

機械的強度(金属疲労含む)、化学的劣化、紫外線等による脆化、電蝕、腐食、その他諸々を考慮し、堅牢な機体を作らなければならない。

惑星間空間に曝し、何年も無人で飛ばしてみて、徹底的に粗探しをして、人を乗せて大丈夫ということにならなければ有人飛行はできない。

有人テスト飛行の際にも、生命維持だけではなく、総合的な負荷の中で、全ての機能をチェックして、人類初の惑星間航行宇宙船としての性能を証明しなければならない。

改善すべき点があれば改善し、できなければ作り直しになる。

そして、テストに次ぐテスト・・・。

有人惑星間飛行が、明日にでも実現しそうな話は、全て与太話に過ぎない。

実際のところは、何も分からないし、何も決まっていない。

月に行くことはできる。

われわれは、既に行ったからな。

その先に踏み込むことは、別の話になる。

月軌道の10倍のところくらいまでは行けるかもしれない(オリオンでブッ飛ばしてな)。

人類の地平を広げることは可能だ。

早くても、2年後以降だがな。

そこから先については、我々は何も持っていない。

具体な計画やビジョンはない。

あるのは、要素技術の研究や個々バラバラの提案レベルで、オーソライズされたものではない。

もちろん、成案を得るプロセスの中にあると言えないこともない。

あーだこーだと議論百出しなければ、上手いアイデアは出てこないからな。

挙句の果ては、断念ということになるかも知れない。

初めから、そう明確には言わないだろう。

無期限延期、棚上げ、当面見送り、検討中(前向きに?)、エトセエトセ・・・。

100年経って、もう、いい加減誰もが忘れた頃になって、断念したと決定する(まだ引っ張ってたのか・・・)。

恒星間宇宙船の話なんて、50年くらい前のことだけど、まだ諦めてないしな。

惑星間航行を諦めさせるのはムリポかもな・・・。