火の鳥7872013年02月05日 02:17

火の鳥787
火の鳥787


「787の運航再開に向けた是正措置について「可能性のある原因1つ1つについて、危険性を除去するようなやり方を考えるのが道筋」とし、考えられる要因を「全部つぶせるような対策をとれればいいのではないか」といったのは、国土交通省航空局の高野滋・航空事業安全室長であると報じられている。

(PDATE1: B787のバッテリー調査、進捗により仏タレスに直接話を聞く可能性も=運輸安全委)
http://jp.reuters.com/article/companyNews/idJPTK060582320130204

原因解析の手法には、いろいろな方法があるようだ。

(リスク原因の究明)
http://www.smrj.go.jp/keiei2/kankyo/h11/book/3rab/html/kagaku1l.htm

この中には、「フォルトツリー分析」とか、「イベントツリー分析」とかが出てくる。

(フォルトツリー解析)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%84%E3%83%AA%E3%83%BC%E8%A7%A3%E6%9E%90

(フォルトツリー解析(FTA)図の作成について)
http://www.sparxsystems.jp/products/EA/tech/FTA.htm

事象から遡って行って、この事象が発生する為の条件と要因を把握する手法であり、演繹的分析手法である。

イベントツリー解析というのは、事象の原因が発生した後の、阻止機能がどのように働き、あるいは働かずに事象の発生に発展したかを分析する手法である。時間的な流れを追うことができ、対策が立てやすい反面、リスクの全体像を把握することが困難でもある。

(イベントツリー手法とは?)
http://www.nmri.go.jp/sed/psa/titanic/titanic_et.htm

このほかに、FMEAなどが紹介されている。

(FMEA)
http://ja.wikipedia.org/wiki/FMEA

ハサップという管理手法に適用されたとある。

(HACCP)
http://ja.wikipedia.org/wiki/HACCP

事故は、複合的な要因が次々と発生し、通常想定を超えた状況の中で展開する。

「想定の範囲外」というやつだ。

(航空・宇宙の失敗事例)
http://www.sozogaku.com/fkd/lis/cat009.html

CIAのコンピュータールームに侵入を果たすイーサン・ハントのように、阻止しようとするトラップを、次々と破っていく。

今回のリチウムイオン電池の発火についても、幾重にも講じられた対策虚しく、事象は起こった。

発火に至る要因を分析して、考えられる原因を全て潰せば安全が確保できる「ハズ」であった。

タレス社のインテグレーションにおいても、そのプロセスは行われたに違いない。

結果、不十分であった訳だが、人知を尽くして検討したわけだ。

様々な試験も行われ、要求仕様を満たしているかどうかの納品検査にもパスし、実機に搭載されて2万時間の飛行実績を経て完成された。

にもかかわらず、航空機であってはならない「火災」という事象を発生させた。

同じ轍を、辿っている。

「考えられる要因を全部つぶせるような対策」は、取られていたのだ。その時点でのことではあるが。

その、同じ発想で、事故対策が行われようとしている。

それは間違った発想だ。

事故は、既に起こったのだ。その真の原因と、事故に発展したプロセスを完全に解明しない限り、同じことが起こる可能性を排除することはできない。

リチウムイオン電池を制御する技術は、完成したテクノロジーではない。発展途上であり、改善の余地はいくらでもある。そのスキを突いて、事故は起こった。

様々な調査を経ても、現在のところ解明の兆しは無い。原因不明のまま、人間の浅知恵で、火の鳥を再び放とうとしている。

今の時点での唯一の解決策は、誰もが分かっている筈だ。

リチウムイオン電池を降ろすことである。

さもなければ、原因の解明と、完全な対策である。

それがなされない限り、ドリームライナーが空に舞うことはあってはならない。

今回の事故は、幸いなことに、パイロットなどの人間のせいにすることはできない。純粋に技術の問題である。ヒューマンエラーという、厄介な問題からは開放されているのだ。

じっくりと腰を据えて、この問題と取り組むべきである。

そういえば、オバマ政権からは、この問題に対するコメントは何も聞こえてこない。米国航空業界の威信がかかっているというのに、呑気なものだ。

フォート・ノックスを空にしても、徹底的に調べ上げて解決しなければ、ボーイングの航空機製造能力に対する信頼が回復することはない。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
kfujitoの徒然の筆者のペンネームは、
「○○子」です。
○○を記入してください。

コメント:

トラックバック