団結・結合・同盟2013年12月21日 09:01

団結・結合・同盟
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今日は、ロシアの宇宙ロケット、ソユーズロケットについて調べた。

いちいち、「ロケット」を付けなければならないのには、訳がある。

そのロケットの先っぽに乗っかって、ISSに人間を送り迎えしている宇宙船も、ソユーズというのだ。

アポロでいえば、サターンVがソユーズロケットで、アポロ宇宙船がソユーズ宇宙船ということになる。

何でまた、ややっこしい命名をしたのか?。

(ソユーズ (単語))
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%82%BA_(%E5%8D%98%E8%AA%9E)

元々の語義は、ロシア語で団結・結合・同盟を意味する。

(ソユーズ:宇宙船)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%82%BA

ざっと目を通した印象は、この宇宙船の長所と短所は、運用開始時点の1960年代のままであるということが分かった。

つまり、その後の宇宙船開発の悉くが失敗したために、半世紀も前の設計による宇宙船が現役なのだ。

もちろん改良は行われているし、最近ではデジタル化により省電力化され、また、70kg軽量化もされている。

(ソユーズの一覧:ソユーズTMA-M)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%81%AE%E4%B8%80%E8%A6%A7#.E3.82.BD.E3.83.A6.E3.83.BC.E3.82.BATMA-M

しかし、この宇宙船は、3人の宇宙飛行士を宇宙空間に短期間滞在させる性能しか持たず、スペースシャトルのような、バス1台丸ごと宇宙空間に持ってって、しかも、再び地球に持って還ってくるような運用はできない(バスを宇宙に持ってったことは、ありません)。

中国の神舟宇宙船も、基本的にはソユーズ宇宙船であり、現在有人飛行を行っている宇宙船は、ソユーズ型だけということもできる。

(神舟:機体)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E8%88%9F#.E6.A9.9F.E4.BD.93

なんか、軌道モジュールは独自設計になっているらしいな。

さて、肝心のソユーズロケットについては、こちら。

(ソユーズロケット)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88

「ソユーズ(ロシア語: Союз、GRAU index 11A511)はソビエト連邦が計画しOKB-1が開発した使い捨てロケット。アメリカ合衆国議会図書館は"A-2"と呼んでいた。欧州宇宙機関によると、世界でもっとも頻繁に打ち上げられているロケットである。」

「ソユーズロケットはソユーズ計画でのソユーズの有人打ち上げに使われるほか、国際宇宙ステーションへのプログレス補給船の輸送、スターセムやアリアンスペースの商用打ち上げなどに利用されている。ソユーズは燃料に液体酸素とRP-1を使っており、ソユーズU2は液体酸素とシンチンを使っていた。ソユーズはR-7の派生形である。」

「なお、ソユーズロケットは中心に二段構成のロケットがあり、その周りに4基のロケットが存在している。日本やアメリカでは周辺の4基を補助ロケットとするが、ソユーズにおいてはこれを1段目としている。」

R-7というのは、世界初の大陸間弾道弾(ICBM)であり、先っちょに乗っけるものが、爆弾か宇宙船かで呼び方が変わるわけだな。

(R-7 (ロケット))
http://ja.wikipedia.org/wiki/R-7_(%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88)

1950年代の設計である。

弾道ロケットとしてのR-7は、初期の失敗はともかく、その後もはかばかしい出来ではない。

「R-7は31基が発射され、うち11基が失敗している。」

こんなもんに、人間乗せて打ち上げてんのかあ?。

「コスト以外にも運用上の弱点があった。巨大なR-7の発射基地はU-2偵察機による上空からの偵察から隠すことができず、どのような核戦争においても迅速に破壊する事が期待できた。巨大なR-7には発射準備に約20時間が必要で、極低温燃料システムのため、燃料を注入したままのアラート態勢を数日以上取ることができなかった。従って、ソビエト連邦軍は恒久的なアラート態勢を維持できず、彼らがアメリカのICBMに対抗するチャンスを与えずにアメリカ軍爆撃機によって発射前に破壊することができた。」

「R-7ミサイルの射程はアメリカ国内の主要な目標に到達できず、兵器システムとして失敗であると考えられた。」

「全てのミサイルは1962年までに配備され、1968年には退役した。しかしロケットや発射台は宇宙開発のために転用され、8K72Kボストークや後の11A511ソユーズの基礎として大きな成果を上げた。」

もちろん、Rー7で残ったのは、発射台だけではない。

「発射の初期段階では、ロケットは4基のRD-107ストラップオンブースターと中央にあるRD-108メインエンジンの合計5基のエンジンによって加速される。」

「RD-107とRD-108は基本的に同じエンジンで、OKB-456(V. P. グルシコ(Glushko)が率いる設計局)によって設計された。その大きさは鉄道による輸送が考慮されて決定されている。」

「一台の燃料ポンプが4基の燃焼室/ノズルへ燃料を送っている点が特徴である。これは燃焼室の大型化を避け、震動を避けるための工夫であるといわれる。」

「第二段に相当するRD-108エンジンは4基のノズルと4基の姿勢制御用バーニアノズルを備えており、第一段に相当するRD-107ブースターは4基のノズルと二基のバーニアノズルを備えていた。」

「中心のRD-108ロケットの周りを取り囲むように、また各ブースターのバーニアノズルが外側になるように4基のブースターが接続される。各ブースターは円錐形状をしており、このためブースターが取りつけられたミサイルは全長の中ほどから下に向かって末広がりに大きくなる独特の外観を持つ事となった。」

この構成は、ソユーズロケットにそのまま引き継がれ、現在も全く同じである。

あの独特の外観は、鉄道による輸送を考慮したためであるということだ。

大陸間弾道弾としての開発経緯が、そのまま、現在も残っているということである。

注意しなければいけないのは、メインのノズルには噴射方向を制御するジンバル機構がないことだ。

そのために、姿勢制御用バーニアノズルを別途備えている。

こいつの向きを変えて、調整するというわけだ。

メインのノズルは、単一の燃料ポンプから燃料を供給され、4つの燃焼室で分かれて燃焼する。

(RD-107)
http://ja.wikipedia.org/wiki/RD-107

改良が行われているとはいえ、1957年設計のエンジンが、今でも現役で飛んでいるのである。

画像を拡大すると、メインの4つのノズルを真ん中で結合している赤い板状の部品は、どうやら、プレスで型抜きした板を、裏表にしてリベット止めしているようである。

コスト重視というか、合理的というか、安物というか・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

このロケットは、発射についても、独特の方法が採られる。

「軽量化の結果、ブースターの重量をロケット本体が支えることが出来ないため、自立して発射される西側諸国のミサイルと異なり、R-7はロケットの中ほどからトラス構造の頑丈な支柱に吊り下げられた状態で発射される。この方式はチュルパン(Tyulpan、チューリップ)発射方式と呼ばれ、レニングラード金属鋳造工場(LMZ)で設計された。ロケットのエンジンが点火され、出力がロケットの重量を支えられるようになると、支柱が切り離されて花が開くように四方へ倒れこむ。この光景はソ連/ロシアのロケット発射に固有の風景である。」

現在も、50年前と同じ発射方法を採る。

浮沈子は、ソユーズロケットは、ロシアのバイコヌール基地から打ち上げられているのだとばかり思っていた。

(バイコヌール宇宙基地)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%B3%E3%83%8C%E3%83%BC%E3%83%AB%E5%AE%87%E5%AE%99%E5%9F%BA%E5%9C%B0

「チュラタムにあるのに「バイコヌール宇宙基地」と名前が付けられているのは、正確な場所の秘匿のためであった。本来のバイコヌールはチュラタムの約500Km南西にある。バイコヌール射場、チュラタム射場(Tyuratam Launch Center)とも呼ばれる。また、旧ソ連時代からロシアの全ての有人宇宙船の打ち上げに使われている。」

「宇宙基地関係者のためにチュラタムに建設された都市は1966年に市に昇格し、レニンスクと命名され、1995年に市名をバイコヌールに改称した。」

まあ、辻褄は合ったわけだ。

ところが、こんな記事があって、驚いた。

(L2ラグランジュ点で5年間の観測ミッションへ 位置天文衛星ガイア打ち上げ成功)
http://response.jp/article/2013/12/20/213494.html

「アリアンスペース社は、日本時間12月19日午後6 時12分、仏領ギアナ・ギアナ宇宙センターから行われたESA 欧州宇宙機関の位置天文衛星『ガイア(Gaia)』打ち上げに成功したと発表した。」

ここまではいい。

「打ち上げから42分後、ガイア衛星は予定通りソユーズロケットから切り離され」たとある。

「ギアナ宇宙センターから6度目のソユーズの打ち上げともなる。」

聞いてないぜ!。

「2005年1月19日、欧州宇宙機関とロシア宇宙庁はギアナ宇宙センターからのソユーズSTロケットの打ち上げに合意した。赤道に近いため、ソユーズは3段目に依存して2.7トン-4.9トンの貨物を太陽同期軌道に運べるようになった。発射台の建設は2005年に始まり、2011年4月に完成した。ソユーズは通常バイコヌールなどでは水平の状態で燃料が装填されるが、ギアナではギアナで一般的な垂直での燃料装填形式となっている。模擬打ち上げは2011年5月に行われ、初の運用打ち上げは2011年10月21日に行われた。」と、ウィキにもある。

「現在まで全系統を含めると1700回以上打ち上げられ他のロケットを大きく引き離し世界で最も利用されたロケットとなっている。基本設計は古いが、低いコストと非常に高い安定性の両面から商用に向いている。」

いやあ、知らなかったな。

(ギアナ宇宙センター)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AE%E3%82%A2%E3%83%8A%E5%AE%87%E5%AE%99%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC

「2012年初め時点の打ち上げ施設としては1996年使用開始のアリアン5用のELA-3の他、ヴェガロケット用の打ち上げ施設(ELV、ELA-1を再度建設:2012年初めから使用開始予定)と、ソユーズロケットの打ち上げ施設(ELS:2011年末から使用開始)が新たに建設された。」

ギアナ宇宙センターの地図には、ちゃんとソユーズの射点が描いてある。

(Lancement du satellite Gaia le 19 décembre 2013)
http://www.cnes.fr/web/CNES-fr/9622-lancement-de-soyouz-en-guyane.php

フランス語の記事にも、動画まであるので、レスポンスお得意の誤報ではないようだ。

ロケットを支えている4本の支柱が、打ち上げと同時に花が開くように退避する様が分かる。

好天に恵まれて、補助ロケットの切り離しも、綺麗に映っている。

フランス語のカウントダウンも、なかなか味があるな。

まあいい。

このホームページは、英語でも閲覧できるし、打ち上げのビデオも、英語版がある(ユニオン・ジャックをクリック)。

商業衛星の打ち上げロケットとして、ソユーズロケットは、1700回に渡る打ち上げ実績と、高い成功率で、比較的優位を保っている。

有人の打ち上げは、バイコヌールからになるだろうが、ギアナの射点を確保したことで、無人の衛星などの打ち上げは、より有利となった。

商業打ち上げに実績が殆んどない、我が国のロケットの立場は、ますます苦しくなった。

軍事衛星の打ち上げは、仕方ないから米国に頼み、その他の衛星は、中国とか、ロシアに頼んで打ち上げてもらって、三菱や石播は、撤退するのが賢明だと、浮沈子は、真剣に考えている。

スペースXが、ロケットの再利用に成功すれば、少なくとも、コストの点では、太刀打ち出来なくなるんだから・・・。

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